今後の学級編制及び教職員定数の改善について(回答)(全国都市教育長協議会)

平成22年2月18日

文部科学省 
文部科学大臣
川端 達夫様

全国都市教育長協議会
会長 中川  俊隆
(鳥取市教育委員会教育長)

今後の学級編制及び教職員定数の改善について(回答)

このことについて、下記のとおり回答いたします。

1 国の学級編制の標準の今後のあり方について

・少人数学級編制については、現在、学年を限定的ではあるが、大変多くの都道府県(市町村)で実施している。導入学年については、小学校1,2年生、中学校1年生が多く、生活習慣の定着や環境の変化への対応のために実施している。

・具体的には、1学級30名~35名程度の基準で少人数学級編制を実施しており、

  「小学校低学年に基本的生活習慣の定着に教育的効果が高い」「きめ細やかな指導が可能となり、学習指導が効果的に進められる」「小学校3年生以上に拡大できないか」等々、その効果は明確になっている。

・ただし、都道府県(市町村)の財源不足のためこれ以上の学年における実施拡大は見られず、国による30人程度学級編制の標準化を強く要望するところである。

(1)地方分権の中で、学級編制についての権限を(都道府県から学校設置者である市町村へ)と言われていることについて。

・今日の教育的ニーズに応え、義務教育の質的な向上を図るためには、学校現場の状況を適切に把握している市町村の意見を尊重することがより重要であると考える。

・しかし、定数管理、人事権、費用負担等、関連する事項を包括的に検討しなければならないため、一律に市町村への権限の移譲は難しいと考える。また、義務教育においては、教育水準の格差が生じないようにすると共に、全国的な水準の維持と向上のため、国の責任のもと、財政的な措置を増加していくことが必要である。

(2)都道府県においては、ティームティーチングや少人数指導の加配を使って(融通して)のきめ細かい指導ができるようにしているところもあることについて。

・学級編成基準の弾力化と総額裁量制の実施により、指導方法工夫改善等の加配も活用しながら、少人数学級編制や少人数指導はほとんどの都道府県、市町村で実施されている。しかし、教職員の配置の財源としては、国費のしめる割合が大きく、少人数学級編制の導入学年は、多くの場合、小学校1、2年生、中学校1年生である。また、少人数指導に係る県単独の費用による教職員配置は常勤職員よりも非常勤職員が多くなっている。

(3)小規模校などであまりにも少人数で、ある程度の人数がいた方が指導の上からもよいこともある、などから弾力化も考えていくことについて。

・小規模校の学級人数については、学校の統廃合や新たな枠組みである小中一貫校などの選択肢により解決すべき課題であり、学級編制基準を弾力化して対応すべきではないと考える。

2 計画的な教職員定数の改善を行う場合の具体的要望事項について

 平成17年10月26日の中教審答申「新しい時代の義務教育を創造する」において、「義務教育の構造改革」が提唱され、市区町村と学校が義務教育の実施主体とされた。

 これは、市町村や学校に権限と責任を移譲するというものであるが、義務教育の一定水準の確保については、国の役割は重要であり、今日の教育的ニーズに対応できる教職員定数の改善とすぐれた人材の確保や補充について、国の責務を十分に果たしていただきたい。このような条件を担保していただくことにより、市町村や学校が一定水準の教育効果を発揮しながら、より創造的な学校づくりに努め、将来を担う人材を育成したいと考えている。

 具体的には、次のような教職員定数の改善を切に要望する。

(1)学級編制基準の改善に伴う教職員定数の確保

・現行の40人学級から30人程度(25名~35名)学級に学級編制基準を見直し、全国一律に実施していただきたい。

・したがって、これに伴う定数改善を国の責務として実施していただきたい。

(2)加配の要求

・社会情勢や家庭状況の悪化により、児童生徒の実態として「学力格差」や「不登校」「問題行動」などの問題が著しく増加している傾向にある。また、その対応については多様性が求められており、加配教員を希望する学校数が多くなっており、配置が不足している。

・近年、新たな課題として、通常学級に在籍する発達障害傾向にある児童生徒への適切な対応が求められるようになっている。こうした児童生徒への適切な対応ができずさまざまな問題が二次的に発生することが多くなっている。よって、教職員の加配を求める学校が多くなっている。児童生徒支援加配に「発達障害」「集団適応」に資する教職員加配増をお願いしたい。

(3)加配教員の配置を市町村の権限に

・国の児童生徒支援加配、指導法工夫改善加配、都道府県独自の加配等各種の加配教員が国、都道府県の裁量で配置されている。

・当然のことながら加配教員にはその目的に応じて縛りがかかっている。

・学校によって学習指導加配が多く欲しかったり、生徒指導加配がほしいところがあり、その実態は市町村教育委員会が詳しく把握している。

・国、都道府県の基準で配置された加配教員の振り分けの権限を市町村に移譲していただけるとより実態に合った配置ができる。

(4)過疎地域における特別な加配

・山間地域、中山間地域、離島地域等においては、免許状所有者の配置もままならない。非常勤職員が何校かを兼務している実態もあり、学校運営上いろいろな問題がある。地域の実情に応じた加配が必要である。

(5)学校施設への補助

(6)その他

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