今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する教育関係団体ヒアリング(第1回) 議事録

1.日時

平成22年2月18日(木曜日)15時~18時

2.場所

文部科学省東館16階 特別会議室

3.議題

  1. 参加団体からの意見発表
  2. 意見交換

4.議事録

第1部

【金森初等中等教育局長】  

お待たせをいたしました。ただいまから第1回「今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する団体ヒアリング」の第1部を開催いたします。

 本日ご出席の皆様方につきましては、名簿をお配りしてございますので、それをもちましてご紹介にかえさせていただきたいと存じます。また川端文部科学大臣、鈴木副大臣は国会等の都合で遅れておりますので、ご容赦いただきたいと存じます。

 それでは、まず初めに、高井文部科学大臣政務官よりごあいさつを申し上げます。

【高井大臣政務官】  

改めて、本日は大変ご多忙のところ、今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する団体ヒアリングにご出席いただきまして、本当にありがとうございます。日ごろから教育政策全般にわたり、色々なご尽力をいただいておりますことにまず冒頭感謝を申し上げたいと思っております。お話にあったとおり、大臣、副大臣がちょっと出席かないませんで、2部のほうからは副大臣もご出席をいただけるようですので、どうぞ1部のほう、今日は忌憚のないご意見を頂戴したいと思っております。

 教職員の数の充実については、総理指示やマニフェスト、また政権の方針のもとに、今年度、昨年の5倍強となる4,200人の定数改善ということで、予算を組ませていただいて、今まさに国会でまっただ中の審議中であるというところでございます。OECD加盟国の先進国の平均の教員配置を目指して、少人数学級を推進するということが我が民主党としての公約でもございましたので、それに向かっていろいろ努力をしていきたいと思っております。改めて今後このきめ細やかな指導を充実させながら、こうした学校が直面するいろいろな諸課題を解決するためということや、また新しい学習指導要領の円滑な実施のためにも、今後の学級編制及び教職員の定数改善のあり方を検討して、計画的な教職員定数の改善に取り組んでいきたいと考えておりますので、平成23年度以降の学級編制及び教職員定数の改善について、本格的な検討をまさにスタートするということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 本日は、皆さんから、現行40人とされております国の学級編制の標準の今後のあり方についてということと、計画的な教職員定数の改善を行う場合の具体的な要望事項について、今日は率直なご意見をお聞きしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。それでは、各団体の皆様からご意見を賜りたいと思います。各団体、10分弱程度で順次ご意見をいただき、その後まとめて質疑応答をさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず全国都道府県教育委員長協議会・全国都道府県教育長協議会からお願いいたします。

【全国都道府県教育委員長協議会・全国都道府県教育長協議会】 

 大阪府教育長の中西でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。座って失礼いたします。

 本日は、このように各団体の意見を聞いていただく場を設けていただきまして、本当にありがとうございます。全国都道府県教育委員長協議会と教育長協議会、連名の意見書をお出しいたしておりますが、この意見書を取りまとめるに当たりまして、全都道府県の意向を把握するということで、アンケート調査を実施いたしました。府県によってかなり違いはありますが、最大公約数的なところを意見書として取りまとめたつもりでございます。

 資料2-1の1ページをごらんいただきたいと思います。1ページの意見書の前文でございますが、3つ目のパラグラフのところで、学力・体力の向上、生徒指導、特別支援教育などへの国民の期待にこたえるためには大幅な定数増が必要である。これが全都道府県に共通した圧倒的多数の声でございます。一番下のパラグラフでございますが、行政刷新会議における事業仕分けの際の意見でも、義務教育費の国庫負担金の全額国庫負担化というご意見がございましたけれども、そういった点も踏まえていただきまして、義務教育における責任と負担のあり方についても、あわせて検討いただきたいと考えております。

 2ページにまいりまして、まず小中学校ですけれども、(1)「少人数学級の実現を可能とする定数増」ということで、きめ細かな生徒の指導のためには、教員が子どもと向き合う時間を確保する必要がございますけれども、今、残業時間等をはじめとしまして、非常に教員の多忙化が言われております中で、少人数学級を実現できるだけの定数改善をやっていただくということがどうしても必要であろうかと思っております。

 (2)の「新たな学級編制の標準」ということなんですが、新たな基準に基づいて教職員定数を配当いただきたいと思うのですけれども、この標準をどの程度にすべきかという点について、アンケート調査を実施いたしました。別とじで、参考資料、今後の学級編制及び教職員定数の改善に関するアンケート結果という冊子をご覧いただきたいと思います。それの6ページ、7ページ。6ページが小学校、7ページに中学校を記載しております。その中ほどの表にしたところをご覧いただきますと、まず、例えば小学校1年生で申しますと、30人学級を希望しているところが一番多くございまして、47府県中18府県、38%、次いで35人学級が14都府県、30%という形になっております。これもずっとご覧いただきますと、小学校1年から6年、それから中学1年から3年を通じまして、全学年にわたって30人学級を選択する都道府県が一番多くなっています。それと僅差で35人学級が続いております。80%以上の都道府県が全学年で35人学級以下を選択しているというような状況になっております。

 ただ、学年別でご覧いただきますと、小1プロブレムなり、中1ギャップなどの課題が今言われておりますけれども、小学校1、2年生、それと中学校の1年生が他の学年に比べてよりきめの細かな対応が求められているという感じになっております。

 それと、10ページをご覧いただきたいと思います。10ページの問の5、学級編制基準の弾力化でございますが、47都道府県のうち、36府県が学級編制基準の弾力的な対応を求めております。6府県がむしろ全国一律の基準で行くべきだという感じになっております。

 こういった各府県のご意向を踏まえまして、本文のほうに、意見書に戻っていただきまして、(2)の「新たな学級編制の標準」ですが、新たな標準に基づき、教職員定数を配当するとともに、これをもとに都道府県の実情に応じた独自の学級編制を行うことが可能となるような弾力的な制度をお願いしたいという要望にいたしております。弾力的ということでございますが、例えば国で35人学級を新たな標準としていただいた場合に、各府県が上乗せをして30人学級をやる。これは当然なのですが、逆に38人学級でやって、その分を少人数指導に回すとか、そういう形の弾力的な制度をお願いしたいということでございます。

 それから、(3)の「少人数指導の推進」と(4)「様々な課題や支援を要する児童生徒への対応」。特に児童生徒加配ですけれども、この2つの加配についてどう考えるかということですが、各府県の意見としましては、少人数指導についても維持をしてほしいという声が多ございます。ただ、特に強い要望が出ておりますのが、児童生徒支援加配については、維持ないしは拡充をしてほしいという声が非常に強くなっております。大阪府の実情から申し上げましても、児童生徒支援加配につきましては、大阪の場合、全国の約15%の要保護、準要保護児童生徒が在席いたしておりまして、教職員はよりきめ細かな対応が必要となっています。大阪府としても、児童生徒支援加配の地域の実情に応じた配分が可能になるように加配を継続していただきたいと考えております。

 その際の配分の指標といたしましては、各府県の実情をあらわす客観的な数値ということで、例えば要保護、準要保護の児童生徒数でありますとか、日本語指導が必要な外国人児童生徒数でありますとか、そういったことが考えられるのではないかなと思っております。

 続きまして、高等学校ですけれども、高等学校につきましても、定数改善と弾力的な運用をお願いしたいという点については、小中学校と同じでございます。ただ、アンケート調査等の結果を見ますと、適正な学級編制基準については、35人を選択する都道府県が43%と、一番多くなっています。次いで、28%の府県が30人を選択するという状況になっています。

 それと、特に強い要望が出ておりますのは、定時制課程への配慮ということでございまして、定時制課程は、多様な生徒が多く在席いたしておりますので、全日制よりも学級編制の基準を充実してほしいという声が強くなっています。アンケート調査では、全日制では35人が一番多ございますが、定時制の場合、30人を希望する都道府県が一番多ございまして、それに次いで20人編制を求める声が強くなっております。

 それから、3ページの(3)「高等学校における特別支援教育の充実」でございますが、障害によりさまざまな教育的ニーズのある生徒に応じた指導のための定数措置や制度的な整備をお願いしたいということでございます。障害種別にかかわらず、高等学校へ進学を希望する生徒が各都道府県とも増えてまいっております。ノーマライゼーションの観点なり、障害のない生徒の意識改革も含めて、教育面で非常に高い効果が期待されておりますので、この点もお願いしたいと思っております。

 それから、特別支援教育でございますが、3ページの中ほどに、「定数改善と専門職種の活用を含む弾力的な運用」ということで記載しております。障害の重度・重複化や多様化を含めまして、看護師、理学療法士などの専門職種の活用や特別支援教育コーディネーターの定数措置、それから、LD、ADHDの児童生徒が通級指導の対象となったことも踏まえました定数改善など、柔軟に対応できるようにお願いしたいと考えております。

 最後に、その他で記載していますのは、「全国的な教育水準と財源の確保」ということが1点です。国として必要な財源を確保いただく。これは地方交付税の確実な措置ということも含めてお願いをしたいと思っております。

 最後、4ページでございますが、優秀な人材確保の観点から、給与上の処遇なり、各自治体の採用計画にご配慮をお願いしたいと考えております。

 最後、(3)の「市区町村への移譲」でございますが、これは各都道府県でさまざまな意見がございました。そういった意見も踏まえまして、この意見書案では、移譲の是非も含めて検討をいただきたいという趣旨にいたしております。ただ、大阪府としての状況を申し上げますと、地方分権や権限と責任の一体化などの観点から、市町村から要望があれば、全国に先駆けて移譲をしていきたいという思いを非常に強く持っております。当面は、現行法の範囲内での移譲になると思いますけれども、市町村が主体的で責任ある行政を進めるためには、人事権と給与負担は一体であるべきということでございまして、給与負担を含め移譲が可能となるような法改正をお願いしたいと思っております。

 それから、この意見書には記載をいたしておりませんが、各府県からございました意見といたしまして、少人数学級が実現いたしました際には、教室数の確保も必要となってまいりますので、施設整備に関する財政支援についてもあわせてお願いしたいと考えております。

 以上でございます。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。引き続きまして、全国都市教育長協議会、お願いいたします。

【全国都市教育長協議会】 

 お世話になります。全国都市教育長協議会の中川俊隆です。鳥取市の教育長でございます。本日はこのように意見を述べさせていただく機会をつくっていただきまして、本当にありがとうございます。感謝します。

 早速ですが、資料に沿って考えを述べていきたいと思います。まず1の「国の学級編制の標準の今後のあり方について」ですが、少人数学級編制については、ほとんどの都道府県、市区町村で、何らかの方法で実施されております。多くの場合、1学級30人から35人程度で少人数学級が実施されまして、実施学年は小学校1、2年生、中学校1年生の場合が多いようでございます。小学校低学年では、基本的生活習慣の定着に教育的効果が高いとか、きめ細かな指導ができ、学習指導が効果的に進められるとか、中1プロブレムの解消につながるなどの効果が明確になっておりまして、実施学年の拡大を望む声が多く上がっております。しかし、多くの都道府県、市区町村の財政状況から、これ以上の拡大は困難な状況で、国による30人程度学級編制の標準化を強く要望したいと思います。

 以下、具体的に3点について意見を述べます。(1)の地方分権の中で、学級編制の権限を市区町村へと言われることについてでありますが、学校現場の状況を的確に把握している市区町村の意見を尊重することがより重要であると考えております。しかし、定数管理、人事権、費用負担などがあり、一律に市町村への権限移譲は難しいと考えます。義務教育においては、教育水準の格差が生じないようにするとともに、全国的な水準の維持と向上のために、国の責任のもとで財政的な措置をしていくことが必要であると考えております。ただ、一定の条件のもとでの市区町村の学級編制は可能だと思います。これについては、後で少し触れたいと思います。

 (2)のティームティーチングや少人数指導の加配を使ってのきめ細かい指導をしていることについてでございますが、学級編制基準の弾力化や総額裁量制の実施によりまして、指導法工夫改善などの加配を活用しながら、少人数学級編制や少人数指導はほとんどの都道府県、市区町村で実施されています。しかし、教職員配置の財源は、国費の占める割合が大きく、導入の学年は、先ほども言いましたが、小学校1、2年生、中学校1年が多いようです。県独自の少人数指導を実施している場合は、常勤職員よりも非常勤職員の配置が多いという傾向がございます。

 (3)の小規模校の問題に触れますが、小規模校の学級人数については、学校の統廃合とか、また新たな枠組みである小中一貫校などの選択肢により解決すべき問題でありまして、今問題になっている学級編制基準の弾力化とは一緒に協議しないほうがいいのではないかと思っております。

 2の計画的な教員定数の改善を行う場合の具体的要望事項について述べます。平成17年の10月26日の中教審答申、「新しい時代の義務教育を創造する」において、義務教育の構造改革が提唱されました。国、都道府県、市区町村の役割や方向性を明確に述べておりまして、市区町村と学校が義務教育の実施主体であるとしています。これは、市区町村と学校に権限と責任を移譲するというものであります。一方、義務教育の一定水準の確保につきましては、国の役割は大変重要でありまして、義務教育の根幹、すなわち機会均等、水準確保、無償制については、これらを保障すると述べています。教員定数の改善と人材の確保については、国の責務を十分に果たしていただきたいと考えております。このような条件を担保していただくことにより、市区町村や学校が一定水準の教育効果を発揮しながら、より創造的な学校づくりに努め、将来を担う人材を育成していけると考えております。

 具体的には、次の(1)から(5)までを要望します。まず、学級編制の基準を今の40人学級から30人程度学級に見直していただきたい。そして、これに伴う教職員定数の確保をしていただきたい。また、先ほどもありましたけれども、このことに伴う、教室等の施設増等の手当の保障をしていただきたい。このことに尽きるのではないかと思っております。

 加配について、(2)、(3)をあわせて説明します。社会情勢や家庭状況の悪化、児童生徒の実態の多様化に伴い、加配教員を希望する学校が多くなってきております。が、実態は、十分に対応できている状況ではございません。近年、新たな課題として、通常学級に在席している発達障害傾向にある児童生徒の適切な対応も求められております。

 児童生徒支援加配、あるいは指導法工夫改善加配、そのほか、都道府県独自の加配が国や都道府県の裁量で配置されます。当然のことながら、加配教員は、目的に応じた縛りがかかっていますが、この縛りをできるだけなくしていただきたいと考えております。国や都道府県の基準で加配教員が配置されるわけでございますが、例えば何々市には合計何名という具合に配置数が決まります。この数が決まった後の学校ごとの振り分けの権限を市町村に移譲していただけると、より実態に合った配置ができるのではなかいと考えております。現在、加配教員の数はかなりの数に上ると思いますが、加配の色をなくして限りなく定数として繰り込んでいく。そして学校ごとの振り分けの権限を市町村に移譲していただく。ぜひこのような方法をとっていただきたいと考えております。

 それから、過疎地の状況について述べます。学級編制基準の改定というようなこととはまた趣の異なる問題があると思っております。学校規模によって乗数、掛ける数が決まっておりまして、小規模校にはそれなりの対応がなされておりますけれども、現実には決して十分ではございません。例えば中学校においては、免許状の所有者が配置できなかったり、複数校兼務の非常勤職員で対応しているという実態があります。乗数、掛ける数を再検討なさって、手厚い対応ができるようにするとか、あるいは特別に地域加配というような加配があればと望まれます。

 また、複数校の兼務辞令を持った定数教員、定数職員の配置があれば、担任等をすることも可能となりまして、学校現場としてはこういうことをしていただけると大変ありがたいと思っております。

 (5)で「学校施設への補助」としておりますが、学級編制基準を改定すれば、教室などを含めて、施設・設備が不足してくる場合がございます。先ほども言いました、この場合の施設に対する補助の保障をお願いしたいと思います。

 最初の発言は以上であります。ありがとうございました。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。続きまして、指定都市教育委員・教育長協議会、お願いいたします。

【指定都市教育委員・教育長協議会】 

 指定都市教育委員・教育長協議会副会長の芝村でございます。本来でありましたら、会長の堺市教員委員会委員長、阪之上のほうで寄せていただくはずでありますけれども、所要により、私が代理させていただきます。

 今回、ヒアリングの場を設けていただきまして、ほんとうにありがとうございます。この日を迎えるに当たりまして、政令指定都市18市に、以下に述べます5項目につきまして、意見の照会を行いまして、その回答をこのレジュメにまとめさせていただきました。レジュメに沿って述べさせていただきます。

 まず、1点目でありますけれども、現在各政令指定都市が取り組んでいる少人数学級の実施状況とその効果、そして、今後の課題ということでございます。その実施状況につきましては、レジュメの通し番号12ページの横長の表に掲載させていただいております。各市の対象学年、人数、学級編制の根拠等をまとめてさせていただいております。

 これまでの発表でもありましたように、小学校低学年、中学校1年が多いという状況でございます。

 根拠につきましては、都道府県の基準による少人数学級だったり、市の独自施策であったり、あるいは調査研究モデル事業として行っている場合、そして指導方法工夫改善定数配置を活用したもの、そういうふうにそれぞれの市の実施の根拠が分かれているということでございます。

 実施の効果につきましては、アからクまで書いておりますけれども、きめ細かな指導ができる、一人一人の活躍の場が増加してくる、学級集団づくりが行いやすい等、それぞれの市でその効果を実感しているところでございます。今回の改善については、各市とも期待を持っておるということでございます。

 しかし、実際行っている中で、課題として、まずアとイは、教員の問題でございます。教員の数の確保がア、そして指導力のある教員をという課題がイ、そしてウの教室等の施設整備の課題が現状でもあるということでございます。

 ページをめくっていただきまして、調査項目の2番目ですけれども、現在各指定都市が取り組んでいる少人数指導における効果と今後の課題ということについて調べさせていただきました。各市の少人数指導については、もう既にすっかり定着しておりまして、興味・関心、あるいは習熟の程度等に同じまして、きめ細かな指導がなされており、その体制づくりも進んでいるということでございます。しかしながら、実際上行っている中での現場的な課題も含めまして、アからクの課題を持っているわけでありますけれども、このことにつきまして、それぞれの市で工夫改善をし、課題はあるけれども、少人数学級とは別に少人数指導のよさということについて、今後もその実践を続けていきたいと各市とも考えております。今回の学級編制標準の改善の中で、少人数指導もあわせて、これまでどおり、あるいは以上の改善をしてほしいというのが、また後半にも出てくることになりますけれども、よろしくお願いいたします。

 3番目でありますけれども、国の学級編制の標準が引き下げられた場合の小規模学級の発生とその取り扱いについてでございます。仮に学級編制基準が35人に引き下げられた場合、学年全体が少人数の場合、1学級18名の学級が生まれるなど、そういった場合の問題点でございます。男女の比率等、小さい学級になりましたら、際立ってくるというような内容の困難も生じる場合もございます。そして、そこには体育の球技を代表例として書いてございますけれども、大きな人数で行ったほうがよい教育活動もある。そして、イでは、少人数のよさもあるわけですけれども、子どもたち同士の固定的なグループが生まれやすい。人間関係づくりの面で少人数になり過ぎると、また異なった問題が起きるのではないかという懸念が述べられております。

 そういった場合につきましては、アといたしまして、学校、学年の実情に応じて、少人数学級と少人数指導の選択をできるなど、弾力的な運用を可能なものにしていただけたらと。そして、イといたしまして、1学級の最下限の人数を定める。そういったことも必要ではないかということでございます。

 4番目の調査項目でございます。都道府県から学級編制の基準が、政令市を含めまして、市町村へ移譲された場合のメリット及び課題についてでございます。メリットにつきましては、市や地域の実情に応じた学級編制が行われ、市の教育行政方針を実現するための学級編制が可能となる。そして、年度途中における児童生徒の変動の場合等におきましても、状況に応じた柔軟かつ迅速な学級編制が可能となるということで、各指定都市は学級編制の基準の市町村への移譲を歓迎するということでございます。

 このことにつきましては、これまでも指定都市市長会、そして指定都市教育委員・教育長協議会におきましても、要望を行わさせていただいたところでございます。10ページに4行にまとめておりますけれども、人事権者と給与負担者は一致させるべきであるという考えから、政令指定都市への税源移譲を前提とした財源の確保が必要不可欠である。学級編制、教職員定数、教職員配置等の包括的な権限移譲とともに、税源移譲による財政措置を講ずることにより、一元的な責任体制のもとで地域の実情に応じた教育施策が可能になるということで、これまでも要望させていただいたということでございます。よろしくお願いいたします。

 5番目の調査項目ですけれども、国の学級編制標準の今後のあり方、計画的な教職員定数の改善、新学習指導要領の円滑な実施等、教育課題に対応した教職員定数のあり方について、さまざまな意見、課題を挙げていただきたいということで、アからケまでの9項目の意見が上がってきております。

 アにつきましては、先ほども述べましたように、少人数指導のための加配定数を含め、これまでの学校の個々の課題に対応する加配定数の措置について継続していただきたい。

 そして、イにつきましては、大幅な教員確保が求められてくるようになるということで、人材確保の面からも、今後の見通しと計画を早期に明らかにしていただいて、段階的な実施も考慮していただけたらということでございます。

 本市は人口84万人の政令指定都市でありますけれども、仮に35人学級を実施するとして、試算いたしましたら、小学校におきまして、約110学級の増、そして、中学校では約80学級の増ということで、教職員、学級数増、さらに教科指導等も含めたら、それを上回る教員が必要になってくる。それぞれの都市で教員増が求められてくるということでございます。

 ページをめくっていただきまして、ウですけれども、教室の整備等についての財源措置を含めた支援をお願いしたいということでございます。本市の場合、先ほどので試算しましたら、ざっと8億円以上の教室改修の費用等がかかってくるということでございます。

 エですけれども、単に標準学級定数を下げるだけでなく、先ほどもお話しさせていただいたような、弾力的な学級編制が可能になるものにしていただきたい。

 そして、オにつきましては、新しい学習指導要領のもとで、理数教育、あるいは外国語教育の充実等の中で、授業時数の増加に対応できる定数改善をお願いしたい。

 そして、カにつきましては、学校マネジメントにも関係する副校長、指導教諭、主幹教諭等の定数化も含めて、柔軟な計画をお願いしたいということでございます。

 そして、キは、生徒指導の専任教員あるいは児童生徒支援加配、養護教諭・栄養教諭・事務職員定数の改善といった面も考慮いただきたいということでございます。そして、普通学級の中で、特別に支援を要する児童生徒のための教員定数についても検討していただきたい。

 クにつきましては、教員養成の問題でございまして、教員養成課程の充実など、教員免許所有者、教員志望者を増やす等の施策もあわせてお願いしたい。

 ケでございますけれども、先ほどは校舎、教室等のお話をさせていただきましたけれども、学校における施設整備、あるいは教材・教具等の整備が必要になってきます。学級数が増加していきますと、それをもとにしての支出といいますか、そういったことについての補助金等については、学級数を基準単価に算定されているものが多くあるということで、十分な財源支援や措置をお願いしたいということでございます。

 最後の3行は、各市の状況でありますけれども、それぞれの市で異なりますが、いわゆる学級需用費という言い方をしている学校の配当予算につきましても、基礎になるのは、学級数で学校予算を配当していくといったことがベースになりますので、市の経費増加が伴ってくるというようなことを背景に置きますので、そういった意味での、先ほど述べさせていただいたような財政的な支援ということもあわせてお願いできたらということでございます。

 以上でございます。ありがとうございました。

【金森初等中等教育局長】 

 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、中核市教育長会、よろしくお願いいたします。

【中核市教育長会】 

 中核市教育長会会長の宇都宮市教育委員会教育長の伊藤と申します。よろしくお願いします。今日はこのような機会を与えていただき、ほんとうにありがとうございます。

 今回意見を述べるに当たりまして、私ども中核市各市の教育長から出された意見をもとにまとめた資料について、説明させていただきたいと思います。

 最初に、私どもは、これまで県費負担教職員の人事権の移譲等をはじめとする権限の移譲を求め提言してきた立場から、今回学級編制、定数改善を検討するに当たっても、これからの方向性を確認してやるべきではないかというスタンスを持っております。具体的には、リード文に書いてございますが、「中央主権から地域主権へ」の実現に向けた取組が進められている中、基礎自治体への権限移譲を期待しております。そして、今後地域の創意工夫を生かした特色ある質の高い義務教育の実現や、地域に根ざした優秀な人材の育成・確保のために、新たに義務教育費国庫負担による教職員人件費の国の全額負担、基礎自治体への権限移譲、こういうものを総括的に検討する中で学級編制、教職員定数についても検討すべきではないかということを申し上げております。

 まず、基礎的自治体への権限と責任の一体的移譲についてであります。これは、県費負担教職員の人事権等の移譲もあわせて論議するべきであります。現状では、一律に市町村ということでいかないのでありますから、まずは移譲が可能である中核市等へ、最終的には市町村へということを志向すべきではないでしょうか。これは何よりも権限と責任の一致であります。今のように、予算権、人事権などがばらばらでいいのかという問題意識をもっております。

 財源につきましては、今回民主党政権で「教育一括交付金」という考え方が提案されておりますが、これは大変すばらしいことだと思っております。あわせて、後ほど申し述べますが、総額裁量制について評価・点検すべきだと思っています。「定数崩し」や国庫負担金の返納問題も出ております。こういった事情で、ほんとうに当初の一般財源を移したということになるのか。そのような制度につきましてもあわせて検討していただきたいと思っております。

 次に、国の学級編制の標準の今後のあり方ですが、これは2つの点から運用の弾力化ということを申し上げたいと思います。1つは、都道府県と市町村の関係です。都道府県までは、かなり裁量権が拡大し、弾力化がされております。しかし、都道府県から市町村への弾力化というのはほとんど進んでない状態にあります。これを市町村さらには学校において弾力的な運用が可能となるよう、裁量権の拡大、権限の移譲を行っていただきたい。

 もう一点は、定数の基準の決め方について、これまでどおりでいいのかということを申し上げたいと思います。先ほど指定都市教育委員・教育長協議会からもありましたが、全国の小学校の15%の学校は単学級であります。単学級ということは、かなり人数が少ない。一方では、40人学級のところもあるわけです。この問題については、今までのように上限だけを決めてどんどん1学級の基準を下げていくでいいのかと。先ほど下限の最低基準の設定という意見もありましたが、1学級の児童生徒数に幅をもたせることも必要ではないかと思います。

 さらに、学級編制基準についても、単に学級数基準がいいのか、児童数基準がいいのか、十分論議する必要があります。その際、例えば、教員の持ち時間は何時間が適正なのだろうか、どの程度空き時間が必要なのかといった点についても検討いただきたいと思います。ただ定数を下げればいいことではありません。

 あわせて、全国一律の規定でいいのかどうかという問題もあります。大都市の問題もあれば、小さい町村の問題もあり、大規模校もあれば、小規模校もあります。小規模校は一人当たりの校務分掌等が多いという現実もあります。そういったところをもっときめ細かに工夫改善することなどについて論議すべきではないかと思っております。

 それから、1学級の人数を35人、30人に下げてほしいというのは、私どもも同じであります。ただ、先程来出ておりますが、施設の問題、現在の教室の補助基準のあり方についてもあわせて考えていただきたいと思っています。普通教室や特別教室だけでなく、少人数指導用の教室やいわゆる「取り出し授業」を行うなどの特別支援のための教室などにつきましてもどうすべきか、ぜひこういった機会にあわせて検討いただきたいと思っております。

 3番目に、計画的な教員定数の改善を行う具体的要望ですが、先ほども申し上げましたとおり、ほとんどの中核市は、1学級の人数をまずは35人に、次は30人にしてほしい、あるいは特別支援は6人にといった要望がございます。これにつきましても、教職員定数と学級編制は一対でありますので、「市町村別の算定」など学校設置者である市町村が工夫できる方法をぜひ考えていただきたいと思っています。

 その際、これからの学校像、教職員に何を求めるかということの確認が必要だと思っております。アメリカ、欧米のように、教科指導だけに専念するのか。生活指導もやるのか。どのような学校づくりをやるのか。教員に何を期待するのか。事務職員についても、同じような問題がありますので、そういったところもこの際考えていただきたいと思っております。国としての理念や基本方針を確認しませんと、常にあっち行ったりこっち行ったりすることになりかねません。教員を増やすほうがいいのか、事務職員を増やすほうがいいのか、栄養士を増やすほうがいいか、これによって小さい学校では教職員の負担も軽減化されるところもあるわけです。ですから、そのようないろいろな面からトータル的に考えていただきたいと思っております。

 それから、教職員定数の決め方についてですが、教職員定数の中に管理職を含めるのがいいのかどうか。欧米では、管理職を定数に入れておらず、実際に児童生徒の指導を行っている教員を定数としており、わが国と欧米の実情を正しく比較できていない状況であります。このようなことから、管理職をはじめ、小中学校、高校、特別支援学校で必須な職種については、法律で別に定め、教職員定数に入れないという考え方でいいのではないかと思います。

 また、加配職員につきましても、再三出ておりますが、少人数指導等の加配職員は定数化して当然だと思っております。

 さらに、使い勝手という意味では、多目的加配、市町村の裁量で配置できる教員を制度化できないか。目的を特化した加配教員は、その目的以外の業務を任せた場合、会計検査院のほうで目的外使用とされます。学校現場は、教職員の配置があれば、いろいろな形で活用したいと考えますので、そういった工夫もぜひお願いしたいと思っています。

 それから、スクールカウンセラーなどの新しい職種についても、定数化するかどうか、ぜひご検討いただきたいと思っております。複数担任制や教科担任制という発想もございます。食育を推進するために、小規模校をはじめ全部の学校に栄養士を配置する必要があるのではないか、あるいは生活指導担当教員を中学校については思い切って定数化してもいいのではないかなど、実情を踏まえご検討いただきたいと思います。

 最後に、教職員の資質の確保ということを申し上げます。これにつきましては、最初に述べました総額裁量制における、いわゆる「定数崩し」の問題があります。いくら学級編制基準を下げ、教職員を増員しても、幾つかの県におきまして、総額裁量制の仕組みを使って非常勤の教員をどんどん増やしている。これでほんとうにいいのでしょうか。この部分は正規の職員でやるべきだとか、そういうところを考えてもよろしいのではないか。宇都宮市では、非常勤委託員や臨時職員などいろいろな職種を約600人、6億5,000万円ぐらいかけて配置しています。しかし、非常勤の教員は、正規教員のように計画的に研修を受けられないため、教員としての資質の向上を図る機会がなかなかありません。そのようなことから、定数のうち、最低この部分は正規の職員でやりなさいという点につきましても、ぜひこれから教育の質を高めるためにご検討いただきたいと思います。

 雑駁ですが、以上で終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。続きまして、全国町村教育長会、よろしくお願いいたします。

【全国町村教育長会】 

 5番目に意見を申し述べます。全国町村教育長会の会長の髙橋と申します。茨城県東海村の教育長をしております。前の4人の方と同じように、全国町村教育長会の会員の皆様にアンケート調査をし、その最大公約数、それから、若干ですが、私の意見も含めてまとめたものが要望意見書でございます。町村らしいと言えば、そういう要望になっているかなと考えております。

 まず初めにリード文なのですが、一番最後の3行になるんですが、一番多かった要望でございます。教職員の定数に関しては、本則定数以外の加配措置があり、現場として非常に救いとなっております。学級編制の基準が変わることによって、この加配の枠が減少することのないように願っているというのが一番多かったかなと思っております。

 そこで、国の学級編制の基準の今後のあり方について4点申し述べます。義務教育いわゆる標準法による学級編制基準を、当面は35人にして、将来的には30人に改善していただきたいというのが一番多かった要望でございます。その理由としまして、保護者のニーズの多様化への対応や個に応じた指導のため、少人数学級が必要と考えています。必要な教員数の確保や施設設備面の制度が必要となるため、状況を勘案しながら改善が必要と考えておる。こういう意見が多かったと思います。

 2番目としまして、特別支援学級における定員を現行の8人より減じていただきたい。特別支援学級の編制については、10人から8人へと改善されておりますが、特別支援を必要とする児童生徒は増えつつあり、しかも重複障害のある者や症状の重い児童生徒も多くなってきておりますので、より手厚い指導が必要と考えております。

 3番目、1人の教員が2の学年を同時に指導する、いわゆる複式学級の標準を10人程度にしていただきたい。1人の教師が複数学年の児童生徒の教育効果を同時に上げるには、現行の16人では困難であると考えております。特に個に応じた指導、学力向上等を考えますと、指導が多岐にわたっております。

 4番目としまして、学級編制については、地域や学校の実情に応じて弾力的に運用できるようにしていただきたい。地域や学校によって、物的・人的環境が違います。それぞれの実情に即して対応できるようにすることが望まれております。つまり、小規模校か、大規模校か。学年1クラスの学校もありますれば、学年3クラス、5クラスの学校ももちろんあります。そういったところに一律に当てはめるということは、実情に合わないのではないか。具体的には、30人学級の場合、1クラスの学級を半分にしますと16と15人になります。集団としての学習の活力が低下するということも懸念されております。そこで、上限を35人程度とし、1クラスの児童生徒数の下限を25人程度とするなどとして、人数の幅を持たせると無理のない学級編制ができると考えております。

 大きな2番目、計画的な教職員定数の改善を行う場合の具体的要望事項について申し述べます。1番目、教職員定数につきましては、地域や学校の実情に応じて弾力的に運用配置ができるようにしていただきたい。地域や学校によって児童生徒の状況や地域の特色も違っています。それぞれの実情に応じて、教員の活用を地域や学校が選択できるようにすれば、より実情に合った校内体制がつくれると考えております。つまり、同じ町村内におきましても、生徒指導上の課題のある学校、それから、中学校におきましては、授業時間の持ち時間のアンバランス。特に音楽、図工、体育、技術・家庭などは、複数校勤務が可能になるような配置も、教育委員会でできるようにしていただければと思っております。

 学校の状況に応じて少人数学級編制をするには、クラスを増設したり、増設せずに、複数担任制や複数指導制にしたりするなどして、教員の弾力的な運用が有効であると考えております。中学校では、教科等の免許外担当が生じないようにするのが難しく、教員の確保が難しくなっております。

 小1プロブレム、中1ギャップに対応する教員の特別配置を考えるのも1つの策だと考えております。

 児童生徒や保護者の支援のために、スクールカウンセラーの全校配置が必要となっていると考えております。これは、一番要望が多かったものでございます。現在核家族が進みまして、子育てに悩む家庭が多くなっている。そういった家庭に対する支援として、どうしてもスクールカウンセラーの要望が多くなっていると考えております。

 2番目としまして、小学校の教科指導の充実のため、専科教員、音楽、図工、理科、外国語活動、体育、ICTの加配的措置をお願いしたい。子どもたちには、専門家による指導というのは、小さいうちにしておくということは、感性を育てる意味においてはとても大事かなと思っております。ICTはもう既にやっているのではないかというご質問があるかもしれませんが、現実には、なかなか日々の授業に追われまして、この専門家がいないと十分に活用するということまでには至ってないというのが現状でございます。

 中高学年の専科制を今以上に導入し、授業の充実を図るとともに、教員の負担を減らすことができると考えております。専門的知識技能を生かした豊かな心の育成や感性の構築は小学校時期に大変重要と考えております。1人の教師がすべての時間にかかわって指導するよりも、多くの教師が児童とかかわることにより、教師や児童にとって心理的にも支援することができるので、学習指導も充実することができると考えております。

 それから、3番目です。特別支援を必要とする児童生徒が通常学級に在席する割合に応じて、複数担任制や介助員、生活指導員などの配置をしていただきたい。これは国によって今も充実はしてきておりますが、人数がなかなか追いついていないというのが現状かと思っております。

 通常学級に在席する特別支援を必要とする児童生徒は年々増加し、程度も重くなっています。本人や周りの児童生徒の安全と学習の保障をするためにも、複数担任制や、先ほど言いました介助員、生活指導員、場合によっては看護師などが必須になってきているのではないかと考えております。

 その他としまして、これは全部あったわけではございません。法改正により、給与を市町村が負担することにより、独自に教員採用が可能になりまして、全国各県あるいは、市町村によりまして独自に教員を採用し、30人学級をとり入れているところも少しずつ出てきておりますが、財政事情によりできない町村との間に教育格差が生じないように国の財政支援などをお願いしたい。

 2番目としまして、これは全部の意見ではございませんが、6―3制の見直しについてです。やはり子どもたちの現状を見ておりますと、社会情勢や子どもたちの発達段階に合った6―3制の研究や検討をしていくときではないかと考えております。

 それから、3番目なんですが、ほんとうはこれが一番要望したいと思っております。特別支援を要する児童生徒のためのセンター的な施設の設置についてです。障害の状況が重度・重複化、多様化していることから、専門職種(看護師、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、臨床心理士等)が必要に応じて活用でき、センター的な施設を各市町村に設置していただくよう、検討していただきたいと思っております。これは、各学校にはとても無理と思いますので、市町村をまたがったセンターがあると、悩んでおられる保護者にとっては、相談の大きな窓口になるかと思いますし、将来のことを考えますと、できるだけ小さなうちに、幼稚園段階のうちに、子どもたちの治療ができるのではないかと考えております。

 以上でございます。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。一通りご意見をいただきましたので、これから質疑応答に移りたいと思いますが、その前に、それぞれのほかの団体のご意見をお伺いして、少し補足しておきたい、あるいはちょっと言い足りなかったというようなところがあれば、おっしゃっていただければと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございましょうか。

 それでは、適宜ご質問を申し上げたいと存じます。

【高井大臣政務官】 

 大変丁寧で、かつ前向きな様々なご意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。おおむね35人程度がまずはいいのではないかというようなお話と、それから、施設整備への支援等も皆さんからほぼ共通して出されたことは、本当にそのとおりだと受けとめます。加配の枠を減らさないでほしい、また多目的加配とおっしゃっていましたけれども、そうした色んな形で裁量を持って加配ができるようにというご意見等もそのとおりだと思いますし、我々も前向きに引き続き取り組んでいきたいと思っております。

 いよいよ今回の私たちの第2フェーズと今言っておりますけれども、教職員の数の充実と資質の充実・向上というのが今年1年の私たちの最大のテーマとして、まさに教員免許更新制の話も含めて、色々と検討を、現場の皆さん、また大学関係者、色んなところからヒアリングを始めているところでございますので、またその面についてもいろいろご意見やご指導をいただきたいと思っているんですけれども、中核市、髙橋会長でしたか、まさに我々も考えているのは、教科指導、また生活指導、それから管理職としての専門、こうした、10年、20年たった人が専門的なスキルを上げることができるような研修や、そういう免許制度みたいなものも、1つアイデアとしていろいろ考えているところですので、大変貴重なご意見をいただいたなと思いました。

 それで質問なのですが、下限の人数のお話が出まして、具体的に25人というお話もちらっと出ておりましたが、どうでしょう、イメージというか、感覚で教えていただきたいんですが、下限の人数としてはどれぐらいを最適というか、最低と考えておられるのか、教えていただきたいと思っています。

 それから、全国都道府県教育委員長・教育長協議会の中西理事のほうから、冒頭、市町村への移譲については、まず移譲ありきでなく、是非も含めて考え直すことという、適切に検討を進めることというふうにおっしゃっておられましたけれども、おおむね学級編制の権限と一緒に人事、給与面もセットであるならば、移譲もオーケーだという、わりとそれは前向きに考えてもいいということなんでしょうか。

【全国都道府県教育委員長協議会・全国都道府県教育長協議会】 

 そこのところは、各府県によって、かなりこの件については落差が大きいですね。ですから、非常に前向きな検討、非常に慎重な検討、かなりありまして、我々も、協議会の意見書としては、移譲の是非も含めてという書き方をしたのは、そういう慎重論にも配慮してのことなんですが、少し申しましたように、うちの大阪なんかは、可能なところは先行的実施も含めてやっていきたいという思いはかなり持っております。その際には、やっぱりセットでということになっていかざるを得ないかなと思っています。

【高井大臣政務官】 

 どうでしょう。下限のイメージについては何か……。

【指定都市教育委員・教育長協議会】 

 先ほどは、18人という数を出させていただいたんですけれども、それこそ具体的に、各教室の中での子どもたちの状況等を実際に指導なさっておられる先生方の声といいますか、そういったものも参考にしていただいて、仮にグループでの活動をするとして、4人ずつのグループが6つぐらいあるとしたら、通常の教室でどれぐらいか。そしてあと、机を講義式に配置して横に6人並ぶとしたらなどというように、実際に子どもたちの状況、そして指導の中でのやりやすさというか、あるいは、学級教室というのは、子どもたちの生活の場でもありますので、そういったことこそ、現場の先生方の声を聞いていただけたらと思います。実際に、今のさまざまな学校の中で、多様な人数の学級があるわけですので、どれが一番よいということでなしに、今は実際は、少なければ少ないなりの創意工夫、多ければ多いなりの創意工夫、あるいは合同授業をしたり、あるいは分割したり、あるいは複数教員で指導したりという形でやっておりますので、私の立場で一概にこの数というのは今控えさせていただきますけれども、実践的な面で研究していただけたらと思っております。

【全国都市教育長協議会】 

 下限をお尋ねですけれども、目的がよくわからないんですが。例えば20人以下であれば、学校の統廃合を進めていくとかというようなことになるということになれば、ちょっと大きな問題だなと思いますね。

【高井大臣政務官】 

 それは大きな問題です。そうではなくて、ご意見があった中で、やっぱり少な過ぎ、例えば38人であると半分ずつで19人ということになると、ちょっと少な過ぎはしないかというような懸念も、さっきどなたかから出ていらしたし、ある程度の幅の中でということで、イメージ的なものを教えていただきたかっただけですので。

【中核市教育長会】 

 私は、現在のように各学校の実情が異なる中で、一概にこの人数がいいと言えないと思っております。ただ、先ほど出ましたように、例えばグループ討議を行う場合、2つぐらいのグループで成り立つのか。4グループぐらいなければうまくいかないのではないか。そうなると、1学級で16人から20人ぐらいの人数になります。また、スポーツでも、試合ができる人数が必要です。1学級の人数を検討する場合に大切なことは、学級に何を求めるかということだと思います。生活集団なのか、学習集団なのか、また集団として互いに切磋琢磨させたいということになれば、その問題は必ず出るわけです。そのようなことを加味して、学級編制基準にある程度の幅を持たせることを検討すべきです。それは、統廃合の問題ではなく、そのような小規模校などに対してどう措置をするかという意味で、下限をつくってもいいと思うのです。小規模校、児童生徒数が少ない学校は、また別な苦労があるわけです。今はある程度の児童生徒数がいる学校ばかりに目が行きがちで、小さい学校について考えられていない状態です。それで本当にいい教育ができるのでしょうか。そういう意味であります。

【高井大臣政務官】 

 私も同じような問題意識です。あまりにも少ないなという、小規模の学級ができることに対してどういうふうな問題があるとお考えなのかということが知りたかっただけなので。

【全国町村教育長会】 

 町村のほうなのですが、下限を25人とした根拠として、大学に委託して研究はしておりません。現場の先生たちからのそういう調査の中で、15、6人の学校が40人の学校より効率が上がっているかというと、一人一人に目はとどくのですが、教育的効果は必ずしも上がっていない。そこに何があるかというと、子どもたちの学習集団としての活力が若干低下しているかなと思われます。これはぜひ文科省さんのほうで調査研究していただければ、我々としても協力していきたいなと思います。

 それからもう一つは、25人から35人と申しましたのは、教室の現状の広さ、74平米という国の基準でいきますと、今、新基準の子ども用の学習机が、子どもの体格の大きさからすると、小さくなってきております。小学校5、6年生、中学生になると、非常に教室が狭く、机も小さな机しか入れられない。そういうのも含めますと、25人から35人、できれば30人前後が理想的かなと考えております。

 以上です。

【金森初等中等教育局長】 

 そのほか、適宜よろしくお願いいたします。

【指定都市教育委員・教育長協議会】 

 今の一連の意見発表の中で触れられていなかった面で1つございます。それは、仮に40人学級でぎりぎりの数であったといたしましても、特別支援教育の考え方から、特別支援学級に在籍しているけれども、できるだけ通常の学級で生活あるいは学習しようということで、実際的な学級生活は、41人であったり、42人であったりとかいうようなことがございまして、在籍の数の問題と実際にどのような教育活動が行われているか。この辺も、それぞれの地域、学校でさまざまにあるのかと思いますけれども、検討事項の1つではあるかなということで述べさせていただきました。

【金森初等中等教育局長】 

 それから、教職員定数の関係で、加配について色々とご要望いただいたのですけれども、できるだけ弾力的に使えるようにというご意見が多かったかと思ったんですが、それでも加配というのがあったほうがいいんですかね。学級当たりの先生の数を増やして、そこで全部カバーしていくというやり方もあろうかと思うのですが、それと別に加配もあって、両方それは増えるのが一番いいんでしょうけれども、限られた人数をどっちで増やしていくかということだと、加配というのがあったほうがいいということになるのでしょうか。

【全国都市教育長協議会】 

 加配というのは、本来定数の余分にもらえるのが加配であるのですけれども、現状は、今現状がマイナスだから、そのマイナスを補うための加配というようなニュアンスが非常にあります。だから、これは定数として措置されて当然なんだというようなニュアンスの加配。もっともっと学校現場では、うちの学校はこんなふうな学校にしたい。例えば研究加配でやりたいのだとか、あるいは、生徒指導の加配をつけ加えて、生徒指導でやりたいのだという、そういう加配に帰していただきたいなと思います。現状は、学校で苦労して、苦労して、足りない部分を補っているというような感じの加配になっている。そんな感じがします。

【全国都道府県教育委員長協議会・全国都道府県教育長協議会】 

 我々も、基本は、今教育長がおっしゃいましたように、少人数学級ができるような定数改善をやっていただいて、その中で、弾力運用ができるということが基本だと思っているんですが、ただ、児童生徒支援加配的なものについては、それでは吸収できないという思いを非常に強く持っています。今、地域格差でありますとか、経済状況の差、そのあたりの問題、非常に深刻になっておりますので、児童生徒支援加配については、ぜひ残していただきたいなと思っています。

【全国都市教育長協議会】 

 例えば指導法工夫改善の加配をいただいたら、そのことに何時間かは充てなければ、報告のときに、確かに今、指導法工夫改善に何時間以上充てていますよという報告をしなきゃいけない。わりあい縛りがきつい。この縛りを緩くしていただいて、学校に裁量を任せていただく。例えばうちには日本語指導に力を入れたいのだとか、あるいは不登校対策に力を入れたいんだとかということにも使えるような加配の弾力化が欲しいなという感じがします。

【金森初等中等教育局長】 

 加配の事由をあまり細かくしないということなのでしょうかね。

【全国都市教育長協議会】 

 私はそう思います。

【中核市教育長会】 

 それもそうなのですけれども、私は、教職員定数の決め方と権限の問題があると思います。教職員定数についていろいろ検討した上で、市町村あるいは各学校でやりなさいというなら、できるかもしれない。加配教員については、加配する理由に客観性がないと、県との交渉において非常に困るわけであります。ですから、私は加配教員についてはなければないほうがいいと思います。それがなくて、教職員定数としてきちんと規定し、その中で弾力的に裁量できるのが理想です。そうはいっても、それだけでは十分ではないということになれば、必要最低限で先ほど申し上げた多目的加配教員をということにになる。基本は、やはり教職員定数の決め方です。定数でどこまでカバーできるか。これだけの教職員の配置があれば、こういうことができるという理屈づけをしっかりし、市町村や各学校に配分することが可能になるのではあれば理想的ではないかと思っています。

【金森初等中等教育局長】 

 そのほか、何かご質問ございませんか。よろしいですか。

 では、そろそろ時間も近づいてまいりまたしので、貴重なご意見いただきまして、ありがとうございました。今まで色々といただいたご意見をもとに私どももいろいろ検討を進めていくわけでございますが、高井政務官から何かまとめてございますでしょうか。

【高井大臣政務官】 

 先ほども申し上げましたので、改めてまとめてということではないんですが、1点だけ、町村会のほうにお聞きしたいんですが、学級編制権も移譲し、人事の権限も移譲するというほうがいいというお話が幾つか中核市等から出ましたけれども、実際町村環境、私も小さい町村で生まれ育った、徳島の山の中ですので、大変人の確保、教師の質もそうですけれども、数の確保というのは、少し不安があるところではないかと思うのですが、仮にそうなった場合、さまざまな広域で取り組むことは、できそうでしょうか。どう思われますか。

【全国町村教育長会】 

 私以外の中核市さん、それから、指定都市さんのほうではできると思うのですが、ご承知のように、町村になりますと、山間へき地も入ってきますので、その中で教員を集めていくというのは、よほど準備していかないと難しい面もありますし、人の交流というのもなかなか難しい問題もございます。

【金森初等中等教育局長】 

 それは事実上本当にそうだろうと思うのですけれども、改めて過疎だけじゃなくて、中核市と協力をしながら広域的にということは考えられなくはないでしょうか。

【全国町村教育長会】 

 そういうことができれば、できる方向でやれればありがたいと思っています。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。

【金森初等中等教育局長】 

 鈴木副大臣がお見えになりましたので、副大臣のほうから何かございますでしょうか。

【鈴木副大臣】 

 すいません。今日ちょっと急に官邸での会議が入ったものですから、失礼いたしました。今回も大変貴重なご意見をお寄せいただきまして、誠にありがとうございました。また、これは来々年度といいますか、そこでの非常に重要な案件になってまいりますので、引き続きご指導とご意見をちょうだいできればと思いますので、よろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございます。

【金森初等中等教育局長】 

 どうもありがとうございました。以上をもちまして……。

【全国町村教育長会】 

 すいません。今、高井政務官のほうから人事権移譲の話をいきなり振られたものですから、人事権移譲については10回ほど会議に出て、毎回同じようなことをお願いしてきたのですが、人事異動、人事権の場合に、町村と大きなところ、どういう問題が起きるかとなりますと、移動の距離もあります。それから教員の希望もございます。そういう中で、1つの大きな枠になると、人事がちょっとやりづらくなります。

 それから、教育長の立場でいいますと、どこもできるだけこの地域に合ったいい先生を集めたいという希望あります。したがって、人事の異動というのは、各都市間、町村もそうなのですが、極端に言うと、エゴとエゴの対立になります。そうなりますと、なかなかそれがうまくいく方法というのは難しいかなと私は思っていますし、それから地域手当の問題も出てきますと、教員の質のある程度の保証、そういうことになりますと、小さな町や村に不利になりはしないか。不利にならないような方策をぜひ考えていただきたい。今現状でも、茨城県でも大きな市はありますが、市の中での人事異動になりますから、なかなか向こうから出る人をもらうことはあっても、こちらから入るというのは、なかなか入れない部分もありますし、今の現状もなかなか難しいですから、これを中核市さんと我々だけで話し合ってといっても、なかなか難しいかなと思いますので、ぜひ文科省さんのほうでそういった方策を考えていただけると我々としても安心ができます。調整機関はどうしても必要かと思っております。以上です。

【高井大臣政務官】 

 ありがとうございます。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。そろそろ時間になってまいりましたので、第1部のヒアリング、ここで閉じたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。

本日は大変ありがとうございました。

第2部

 【金森初等中等教育局長】 

 それでは、第1回の今後の学級編制及び教職員定数の改善に関する団体ヒアリングの第2部を開催いたします。本日ご出席の皆様方につきましては、お手元に名簿をお配りしてございますので、それをもちましてご紹介にかえさせていただきたいと存じます。

 それから、川端文部科学大臣は、国会の都合で遅れております。ご容赦をいただきたいと存じます。

 それでは、まず初めに、鈴木文部科学副大臣よりごあいさつを申し上げます。

【鈴木副大臣】 

 皆さん、こんにちは。大臣が今国会で答弁、質疑で遅れておりますので、私がごあいさつ申し上げたいと思います。

 今日は学級編制と教職員定数改善に関するヒアリングに、大変お忙しいところお越しいただきまして、ありがとうございました。この教職員の数の充実度は、政権発足時の鳩山総理から川端大臣に対する指示にも明確に3つのうちの1つに入ってございますし、民主党のマニフェストでも盛り込ませていただいております、大変重要な政策だと考えております。平成22年度予算というのは、税収が対前年で8割に落ち込むという厳しい中ではございましたけれども、そういう政権の大方針のもとで、昨年の5倍強に上る4,200人の定数改善を盛り込ませていただいたところでございます。

 それから、民主党の政策インデックス2009では、OECD加盟の先進国平均並みの教員配置を目指し少人数学級を推進するとしているところでもございます。今後、こうした方針に従いまして、きめ細かな指導を充実させながら、学校が直面する諸課題の解決、あるいは新学習指導要領の円滑な実施といったものを推進するために、今日のテーマであります学級編制及び教職員定数改善のあり方を検討して、今後計画的な教職員定数の改善というものを平成23年度以降、本格的に進めていきたいということで、そのための検討に着手したところでございます。

 本日は、皆様方から、現行40人とされております国の学級編制の標準のあり方、それから今後計画的な教職員定数の改善を行う場合の具体的な留意事項、あるいは現場からのご要望事項についてご意見を伺いまして、私どもがこれから制度設計をしていく際の参考にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。それでは、各団体の皆様からご意見を賜りたいと思います。各団体、10分弱程度で順次ご意見をいただきまして、その後、まとめて質疑応答させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

 では、初めに全国へき地教育研究連盟からお願いいたします。

【全国へき地教育研究連盟】 

 皆さん、こんにちは。全国へき地教育研究連盟の会長の梅木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今回このような場を設定していただき、まずお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 今後の学級編制及び教職員定数の改善に対しての要望につきましては、私どもの連盟と、あるいは全連小、全日中ともに共通の課題で要望している部分がありますので、今回、特に全へき連に限って、私たちが進めている、例えばへき地教育にかかわってのものについて、若干狭まるのですけれども、数点にわたって要望したいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 まず初めに、学級編制についてであります。現行の複式学級の編制基準は、ご承知のように、小学校での複式学級編制は、ほかの学年の児童と合わせて16人まで、1年生を含むときは8人までとして、1学級を編制するとなっています。中学校では、同じく8人までのときは1学級を編制するという具合になっているわけであります。

 全へき連は、従前からこの編制基準を改善するために、数点にわたって要望を行ってきたわけですけれども、しかし、その時々の財政的な面から一向に改善が見られなかったというのが現状であります。今回、このような機会を得ましたので、改めて4点について要望して、特に複式学級編制基準の改善につながるように期待したいと思っているところであります。

 まず1点目の要望事項でありますが、小学校1、2年生の複式学級を解消するということであります。2点目は、小学校2、3年、それから4、5年といった、いわゆる変則の複式学級を解消してほしいということであります。それから、3点目は、中学校の複式学級を解消してほしいということであります。4点目は、複式学級編制基準の改善をしてほしいということでありまして、特に小学校では現行の16人を10人に、1年生を含む場合は、8人を5人という具合に変えてほしいという要望であります。中学校の複式学級が解消されない場合においては、現行の8人を4人とするという具合に数字を低くしてほしいという要望であります。

 以上の4点につきましては、特に御配慮いただきたいと思っています。今後も、これらの改善にかかわっては、現場の持っている困難性を訴えながら、政府、文科省等に配慮をお願いしていきたいと思っているところであります。

 基準の改善につきましては、国が一定の基準を示すことで今日まで来ていますが、現実には、地方公共団体等の財政的な事情もあって、全国的な格差を生じていることは確かであります。地方分権が叫ばれる昨今でありますけれども、地方には各権限が移譲されても、当該地方公共団体の財政的な事情もありまして、国の基準を下回らないという歯どめが必要であろうかと思っているところであります。現実に、例えばへき地手当などは、各都道府県での対応に大きな差が生じています。へき地教育振興法の精神からいいますと、これも大きな問題ではなかろうかと押さえているところであります。

 いずれにせよ、現行基準の改正は、少子化が進む中で、より多くの学校が児童生徒一人一人を大切にしながら、新たな教育を築くために、必要不可欠なものであると考えています。次の課題である教職員の定数との関連もあるわけですけれども、学級編制の基準を改善して、国が一定の予算を担保することによって、地方公共団体がさらに独自の弾力的な運用が図られることにつながるものと期待しているところであります。

 次に、教職員定数の改善についてでありますが、全へき連といたしましては、全国的に困難な状況を解消するために、従前から、以下3点について要望を行ってきたわけであります。1つは、3学級以上の学校に専任の教頭の配置をしてほしいということ。これは、基準に3学級と4学級のところだけ、1.25という乗数がありまして、それを掛けていくと、3学級のところが4点であったり5点になったりするというところが出てきます。そういうことで、後でも詳しく述べますけれども、3学級のところで教頭の未配置が生まれているということで、要望しているところであります。

 それから、2点目は、第1部でも話題となりましたが、事務職員と養護教諭の全校配置であります。

 それから、3点目は、中学校の免許外教科担任の解消であります。現在は、幾つかの県において独自の改善策を立てて、その解消に努めていますけれども、これも全国的に極めて温度差が大きくて、地方公共団体の財政的な力に左右されているのが現状であります。

 まず1点目の3学級以上の学校に専任の教頭を配置することについては、複式学級を有する学校が中心になるわけですけれども、教頭が未配置の学校と教頭が学級担任をしながら教頭職を全うしているという現実があります。小規模学校においても、事務量等は多級校と変わらないのが現実であります。こうした状況にある校長、あるいは教頭の負担ははかり知れないものがあります。当然小規模校は、配置基準から申しますと、事務職員と養護教諭とも制限がありますので、配置されていない状況下での学校運営を余儀なくされているというのが現状であります。このことは、児童生徒数が少ないからという理由で決して片づけられるような問題ではないととらえています。学校の教職員は、それぞれの職務に応じた職責があって、その本来的な仕事を通して、学校全体で児童生徒の教育に当たっています。教育の機会均等、あるいは教育水準の確保等からも、ぜひ見直していただきたいと考えています。

 2点目の事務職員と養護教諭の全校配置についてでありますが、事務職員の取り扱いにつきましては、現在さまざまな動きがあることは承知しています。さきに述べたことと同様にですが、小規模学校にも配置が見られない現状であります。教職員の定数は、児童数に応じて決められているわけですけれども、現実的には、管理職が経理等の事務的業務に頭を悩ましたり、児童の健康安全面での対応を実際に行っています。専門的な事務や財務等の知識の活用だとか、児童生徒への心の問題への配慮だとか、健康安全指導等の充実を考えますと、小規模校でも、事務職員あるいは養護教諭の配置は不可欠だと考えます。事務、養護といった専門的な視野から学校運営に携わることで、学校により質的な向上が期待できるように思いますし、児童生徒へのきめ細かな指導がより可能になると思っています。

 また、配置によって、職員が増えることによって、学校に余裕が出る分、児童生徒への新たな時間を生んで、学習指導等への工夫だとか、教育活動にもまた可能なことが生まれるのではないかと押さえています。

 3点目になりますが、これも第1部で教育長さん方の意見にもありましたけれども、中学校の免許外の教科担任の解消であります。免許を持っていない先生が実際に違う教科を持っている、そういうことをなくすということのお願いであります。現在、このことが大きな問題となっているわけですけれども、人事等での配慮をしても、その解消に至っていない都道府県が多く見られます。教職員定数の関係で、中学校では、自校の教員で賄うことができない教科が多くの学校で存在する状況であります。特に定数が少ない小規模の中学校での場合がこれに当たりますが、よく東京に来て話を聞きますと、小規模校の中学校だけでないということが校長さん方からも聞かれます。だから、これはある程度深刻な問題なのかなと思っているところであります。

 教員の免許の偏りだとか、あるいは人事面での困難さから、無免許の先生が教科を担当せざるを得ない状況が生まれているわけですけれども、担当する教員にとっても、得手、不得手があって、また指導されている生徒の立場に立つと、これは大いに問題があるように思います。専門的な教科での指導は、確かな学力の向上に欠かせないということは承知のとおりでありますから、この現状は、先ほども言いましたように、教育の機会均等、水準の確保の観点からも、早急に見直していただきたいものだと思っています。

 以上、早口で申し上げましたけれども、へき地教育が抱えている視点から、数点にわたって意見を述べさせていただきました。従前から要望してきた内容が、半世紀以上にわたっての課題であることをぜひご承知願いたいと思います。時代の流れが新たな人員を養成して、それにこたえていく状況は、確かに私どもわかりますけれども、従前からの多くの課題の上にまた新たな課題が解決されぬまま積み重なっているということをもう一度確認されて、ぜひ現状を一歩でも抜けられるような施策をお願いしたいと思っています。

 以上で全へき連の意見陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。続きまして、全国公立学校教頭会、お願いいたします。

【全国公立学校教頭会】 

 では、失礼します。全国公立学校教頭会の総務部長の片山と申します。本日、私どもの意見を述べさせていただく機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。そこの資料に載せさせていただきましたが、私ども教頭会では、教頭の立場で学校の現状をぜひお伝えして、また我々の意見等を述べさせていただきたいと思っております。

 まず、色々なところで教職員の多忙化というのが違ったふうに受け取られているようなケースを耳にすることがございます。例えば国から県に流れてくるような調査を減らせば先生たちは子どもと向き合う時間が増えるんじゃないか。ところがどっこい、ほとんどの調査内容をこなしているのは我々教頭でございまして、先生方が忙しく、今時間がなく、大変きつい仕事になっているというのは違う現状なのだということをぜひ調査し、検討してよく見ていただきたいなと思っています。そのうちの何点をここにご紹介させていただきました。

 まず新学習指導要領への対応でございますが、指導時数が増える。以前は土曜日がございましたが、今、土曜日がなく、月曜日から金曜日の中で、器の中で授業をこなすわけですが、当然5時間目、6時間目の時間を増やさなければならなくなってまいります。6時間目の授業が終わると、ほぼ4時ごろになってしまうわけで、そこからの分掌会議等、非常に苦しい状況が続いています。特に小学校ですと、次の日の4コマ、5コマの授業の準備、ノートの丸つけ、採点、すべてを、特に最近は個人情報の流出等もあるので、学校でこなさなければならないということになりますと、余計に実質の勤務時間は長くなっているのが現状です。この辺の解消ができないと、かなり学校全体に活力が失われていく心配が考えられると思っています。

 また、2番目に挙げさせていただきましたのは、特別な支援を要する児童の問題でございます。通常学級に在席し、特別な支援を必要とする子どもたちというのは、我々現場の教頭の実感からして年々増えているように思います。当然その対応に追われるわけですが、特別支援員さんの配置などはありますが、いただいても、1校にお1人でございますので、手を尽くすのに限りがある。当然1人の子どもがパニックを起こせば、担任はそちらのほうにかかりきりになりまして、その他大勢の子どもたちが置いていかれるような現状がどうしてもできてしまう。校長や教頭だけでは賄いきれないという状況が生まれてくるのはいたし方がないところだということで、現場が今苦労して抱えているところでございます。

 不登校児童生徒への対策につきましても、早期の段階で、子どもたちを迎えに行ったり、励ましたりするとかなり解消できる率が高くなるのでございますけれども、では、担任が迎えに行っている間、ほかの学級の子どもたちはどうするんだといったことなども、非常に大きく頭を抱えているのが現状です。

 また、当然教員の資質向上という視点で見ましても、今、さまざまな部分で教員の資質向上が求められていて、教員も研修等、出張等を重ねながら、資質の向上を図っているわけでございますが、出張に行っている間のクラスはどうなるんだということも含めます。当然自習となってしまう割合が多くなってくる。あるいは、校外学習、実際に体験等させていきたいので、校外学習の引率をする。引率をするときには、安全の確保の事由上での職員が、学年以外の職員がついていく。学年以外の職員も授業を持っていますから、その分、穴があいていくという悪循環の流れの中で、担任が留守で、教員が教室にいない時間ができてしまうということは、今非常に大きな問題として学校が抱えているのが現状です。

 また、モンスターペアレントとまでは言わなくても、今、非常に現場に対して無理解な保護者が大変多ございます。その方々の理解も得なければ、学校はうまく回転していきませんので、その方々へのご理解を求めるための家庭訪問等、多くの時間を割かなければならなくなってきています。

 そういうことも相まみえまして、2番目のところに書かせていただきましたが、今、教員が抱えている現状というのが、夢を描いて教員になっても、途中でやめていかれる方が非常に多くなっている。精いっぱい自分の職場で頑張っているんだけれども、病気になってしまう方も増えてきている。こういった現状なども、我々教頭の側面から見ましても、非常に大きな問題だなと考えているところでございます。

 また、今後予想される、若手の先生方の非常に多くなっていく現状、これをどう支えていくのか。ここも大きな課題の1つになってございまして、これらにつきまして、ぜひ今後十分調査し、検討を加えていただけるとありがたいと思っています。

 そこで、我々全国公立学校教頭会としては、少人数学級の実現というのがまず1つお願いしたいところでございまして、これは当然学級当たりの人数が減るわけですから、目の届く範囲が広くなってくる、きめ細かな指導がしやすくなってくると同時に、特に中学校などは、学級数において教職員の配置の人数が決まってきますので、今現状を打開するためにも、学級数を多くして、職員数を増やしていくということは喫緊の課題になっているのではないかなと思います。

 もう1点、先ほど来申しましたが、小学校においては、学級担任という形でしか数えられませんので、それ以外のユーティリティープレーヤーというのがほとんどいないというのが現状でございます。これから、例えば職員が不登校児童を迎えに行く、あるいは出張に行くといったときに、教室に教員がいない状況をなくすという観点。あるいは、若手がこれから増えてくる。若手にきめ細かな指導をして一人前の教員に育ってもらう。教員というのは、大学の養成課程等を経てきますが、教師としての力というのは現場でしかつきません。現場でしか本当の先生にはなっていかないわけなので、それを支えるには学校組織がとても必要になってくるわけでございます。この上におきましても、ここに書かせていただいたのは、学校において、各学年1名の、例えばこの方々が学年主任さんでいらっしゃれば、学校組織としてもしっかりとしたものになっていくに違いない。若い先生方も支えていけるに違いない。そういう思いを乗せてここに書かせていただきました。

 また、同時に学級における人数が減っていきますと、学級数が増える。学級数が増えれば、学級にかかわるさまざまな施設設備のほうも必要となってまいります。挙げていくと、ここにあえて給食の配膳台と書かせていただきましたが、非常にきめ細かなものまで、さまざまな部分出てくるかなと思います。ぜひこの辺におきましても、ご配慮をいただきまして、学校が健全な運営ができますように、その方向で伸びますようにお願いしたいちと思っております。

 以上でございます。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。引き続きまして、全国学校栄養士協議会、お願いいたします。

【全国学校栄養士協議会】 

 全国学校栄養士協議会会長の市場祥子と申します。よろしくお願いいたします。座ったまま失礼いたします。

 日ごろは、私ども協議会にご指導、ご支援を賜りまして、まことにありがとうございます。また、平成16年度の栄養教諭制度創設の際には、多大なお力添えをいただきましたことに深く感謝いたしております。最初に、2番目として資料でお出しいたしました栄養教諭・学校栄養職員の定数の改善について、栄養教諭配置の成果とその課題及び要望案についてお話させていただきたいと思います。

 おかげさまで、平成17年度の法律施行以来5年が経過いたしまして、現在では全国に約2,700名の栄養教諭が配置されております。ありがとうございました。この配置数は、総数からいいますと、まだ4分の1弱でありまして、わずかなのですが、それでも栄養教諭たちは意欲的に一生懸命職務に励んでおりまして、学校における食育の成果があらわれてきております。

 1例を申しあげますと、食育基本法の施行に基づく食育推進基本計画に定量的な目標値として掲げられました児童生徒の朝食欠食率につきましては、資料そしてお出ししました2ページに、本協議会が昨年度全国の約45万人の小中学生を対象に実施しました調査結果を載せておりますが、朝食を毎朝食べる児童生徒は、平成18年に実施した同じ調査結果と比較して、平成20年は大きく改善されてきております。朝食の内容につきましても次の資料の3ページ目をご覧下さい。主食のみの朝食が減って、主食におかずを添えて食べる児童生徒が増えております。

 この結果から考えますと、学校における食育が家庭の食生活を変えてきていることが伺えると思います。

 朝食摂取の効果につきましては、ご承知のとおり、資料の7ページに参考までに添付させていただいておりますが、学力、体力との関連も明らかになってきておりますし、また不定愁訴と朝食の関係についても、朝食をしっかり食べている児童生徒の方がその症状を起こさないと言われ、そういう心と関連するデータも最後から2枚目の8ページに載せています。

 このようなデータからも、食育基本法に示されておりますとおり、まさに食育は生きる上の基本であって、知育、徳育、体育の基礎となるものが実証されていると考えております。

 さらに昨年度、改正されました学校給食法、新学習指導要領にも食育の推進がうたわれ、学校の食育は、栄養教諭が作成しました学校給食の献立を教材としながら、栄養教諭が校内の教職員や児童生徒の保護者、地域の方々と協力をしながら推進しております。しかし、先ほども申し上げましたとおり、栄養教諭は国庫負担の学校栄養職員を含めた総数から見ますと、約4分の1の配置にとどまっております。これではせっかくの食育も点にしかならず、面として取り組んでいくには難しいと考えております。

 また、課題としましては、学校栄養職員の職務は、学校給食の献立の作成、衛生管理、調理指導、給食に使用する物資の管理等を行っておりますが、栄養教諭につきましては、これらの職務にさらに加え、児童生徒に対する食に関する直接的な指導はもとより、肥満傾向や食物アレルギーを持つ児童生徒や保護者に対する指導および給食における対応等の個別指導、さらには、先ほど申しましたように、教職員や保護者、地域の方々との連携や調整など、かなりの量の職務が付加されておりまして、大変多忙をきわめております。

 このようなことから、学校栄養職員と栄養教諭の配置基準が現在は同じ枠になっておりますが、同じではかなり過重な状況であると考えております。要望案は、資料の1ページに(2)に明示しております。ぜひ学校栄養職員と栄養教諭の配置基準を分けていただいて、栄養教諭がその力を遺憾なく発揮し、次世代を担う子どもたちの健全育成に全力で取り組むことができますよう、配置基準の改善をよろしくお願いいたします。

 この配置基準の改善が行われれば、学校における食育が一層進み、ひいては、生活習慣病の予防につながると確信しております。

 また、本協議会としましては、できれば、できるだけ早い時期に学校栄養職員が全員栄養教諭に切りかわり、学校給食が実施されている全校に配置されることを心より願っています。

 なお、私たち団体も、学級編制につきましては、できるだけ現状よりも少人数編制を望みます。なぜかといいますと、少なければ少ないほど個に寄り添ったきめ細やかな直接指導ができます。また、今は児童生徒の健康課題の個別化が進んでおります。特に食物アレルギー等については各学級で対応していただくことが不可欠ですから、学級担任の協力はどうしても必要です。人数が少なければ、それだけ一人一人の児童生徒に行き届いた食事の提供ができて、安全性も確保されます。ぜひ少人数学級についてご配慮をお願いしたいと思います。

 以上よろしくお願いいたします。本日は本協議会に意見を述べる機会を与えていただきまして、ほんとうにありがとうございました。深く感謝いたします。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。引き続きまして、全日本教職員組合、お願いいたします。

【全日本教職員組合】 

 全日本教職員組合中央執行副委員長の本田久美子と申します。よろしくお願いいたします。

 私のほうから、今後の学級編制及び教職員定数の改善についてに関する全教としての意見を述べさせていただきます。全教は、学級編制の標準の見直しを含む教職員定数改善に向けた検討が始まったことを歓迎いたします。そして、その改善は、日本国憲法が保障する子どもたちの教育を受ける権利と教育の機会均等を実質的に保障し、すべての子どもたちが行き届いた教育を保障するために行われるべきだと考えます。

 現在の学級編制や教職員配置の標準などの状況は、OECDの平均的水準など、国際的な到達点から見ると遅れた水準にとどまっています。子どもたちの教育を受ける権利を保障するための基礎的な条件であるからこそ、国の責任によって教育の充実を図る立場を明確にすることが重要であり、学級編制及び教職員配置の標準を漸進的に改善する一定期間を想定した新しい改善計画が策定されることが必要です。以下に述べます6点の観点で検討が行われる必要があると考えます。

 1点目、今日貧困と格差の広がりなど、社会状況を反映して、子どもたちをめぐる困難、不登校や児童虐待など、広がっています。すべての子どもたちの成長・発達を保障する教育をどう充実させ、子どもたちをめぐる困難に接近し、打開するための教育活動を進めるかという観点は、今日の学校と教育を考える上で欠くことのできない、最も切実で、緊急の課題です。今回の学級編制及び教職員定数の改善に向けた検討に当たっては、これらの課題を解決する方向での新たな計画として策定されることが必要です。

 2点目、一つ一つの学校には、この子どもたちの実態と学校が置かれている地域の現状を出発点にしたそれぞれの学校の教育課程を編制し、計画的な教育活動を進められています。それぞれの学校の教育計画と教育活動を支え、励ます観点から、学級編制及び教職員配置の標準が策定される必要があります。

 3点目、今日の社会状況では、特別な教育ニーズを持つ子どもたちの問題が大変大きくなっています。こうした特別な教育ニーズを持ち、それぞれに対応したケアを必要とする子どもたちも含めて、教育条件整備の計画として策定されることが求められます。その際、教育活動を充実させる専門職の位置づけなど、積極的な検討が必要です。

 4点目、教育機関への公財政支出のOECD各国平均へ引き上げることができれば、教育をめぐる遅れに条件を一気に引き上げることが可能になります。このことは、初め、冒頭の鈴木副大臣のお話の中にもございました。同時に、ILO、ユネスコによる教員の地位に関する勧告や日本も批准している子どもの権利条約などの角度からも、学級編制や教職員定数の検討が行われることも大切です。

 5点目、現行の制度は、全国の学校にあらわれている膨大な人数の定数内臨時的任用者など、教育の充実にはほど遠い課題が出ております。私たちは、義務制第7次定数改善計画によって導入された定数崩しや、義務教育費国庫負担制度の改正による総額裁量制などがこの状況の要因の1つに位置づいていると考えます。今回の検討に当たっては、現行制度の矛盾や問題点を丁寧に見つめ、分析し、その打開を目指す制度改善の方向が示される必要があります。

 6点目、教職員の長時間過密労働の実態は極めて深刻なものになっています。全教の試算では、文科省の調査によって明らかにされた長時間労働を解消するためには、勤務日の時間外勤務に限定しても、小中学校で17万人を超える増員が必要です。教職員の勤務時間が守られ、その命や健康が大切に扱われることは、行き届いた教育を保障する重要な条件です。そして、子どもたちとより向き合うことが可能となります。

 以上の6点を踏まえ、新しい制度政策に向けての全教としての考えと提案を述べます。

 全教は、学級編制及び教職員定数に関する標準は、国の責任による改善が行われなければならないと考えます。学級編制及び教職員定数に関する標準が定められ、しかもその標準は、全国すべての学校の最低基準として位置づけられなければなりません。このためには、義務教育費国庫負担制度を堅持し、国の負担割合の改善を図ることが必要です。また、定数内臨時教員任用者の計画的な解消など、学校現場における非正規教職員の増加を抑制する具体的な措置を盛り込むことを求めます。

 2点目。全教は国庫支出による全国的な教育水準の確保を前提に、地方がそれぞれの子どもたちの実態、地域の実態に応じた創意あふれる教育活動を進めるための経費に充当できる、例えば「教育交付金」の創設を提案いたします。今回提案する教育交付金は、地方の判断による教育の充実のための人的経費にのみ使用可能とする特別財源として位置づけます。

 3点目、日本の教育は、高等授業料の実質無償化に踏み出し、教育費をめぐる大きな転換を迎えています。全教は、長年の教育費自己負担主義を転換させ、こうした政策動向を歓迎し、高校への進学率が98%という現実も踏まえ、例えばですが、小学校、中学校に準じた高校教育費国庫負担制度の創設が必要だと考えます。

 以上の基本的な考え方に立って、全教はそれぞれの学校種に応じて、少なくとも次の諸事項が盛り込まれる改善計画が策定される必要があると考えます。基本的な改善方向として4点述べております。

 1点目、学級編制の標準は、小中高校30人以下とし、特別支援学級及び学校、幼稚園はそれぞれの学校に通う子どもたちの成長・発達を最大限に保障する観点から、別に標準を設置すること。

 2点目、教員の担当授業時数について、学校種に応じた上限的な規制を導入すること。これは文科省が言及しておりました、1時間の授業につきましては1時間程度の授業の準備が必要ではないかという観点に立った定数改善が求められると思います。

 3点目、教職員の配置は、学級数、児童生徒数などをもとにした客観的な基準によることを基本に、学校設置者及び学校の判断による加配を行う方式で対処することも求められます。

 4点目、子どもの実態、先ほど申しました、とりわけ特別なニーズに対した専門職の位置づけを明確にして、学校に配置すべき新たな職種についての検討を行う。この際、国の責任による教職員配置の立場から、標準法対象職員として位置づけを明確にする。また、現在学校に勤務している市町村費などによる教職員の雇用安定、身分の適正化との調整を図ることを求める。

 以下の4点を基本として、各種校種によりましては、具体的に以下に述べておりますので、ご覧おきくださいませ。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。引き続きまして、日本高等学校教職員組合、お願いいたします。

【日本高等学校教職員組合】 

 日本高等学校教職員組合の中央執行委員長を務めております大出と申します。よろしくお願いいたします。本日はこのような場を設けていただきまして、ありがとうございました。

 早速ですけれども、23ページのほうに資料を載せさせていただいております。高校の場合ですと、第6次定数改善計画ということで、以前小冊子もつくっておったのですが、2004年に文科省のほうにも提出しておりますけれども、前政権下のもと、定数改善計画についての問題点についてこちらの方では指摘させていただいております。こちらの方は、後ろのページでも重複する内容ですので、割愛させていただきたいと思います。

 次に24ページ目になりますけれども、「計画的な教職員定数の改善を行う場合の具体的要望事項について」の中ですけれども、高等学校及び特別支援学校教職員定数の拡充についてですが、四角の枠にあります内容は、本年度日高教が運動方針として掲げておる要望項目になっております。

 とりわけて、(二)の「教職員定数を抜本的に改善されたい」ということで、1ポツ、2ポツのところ、1学級当たりの標準生徒数を全日制課程30人、定時制課程20人とされたい。また、2ポツでは、教頭及び新たな職員については、従来の教職員定数と別枠で配置されたいという観点から、要望のほうを出させており、こちらのほうは25ページの上段まで上っておりますので、後ほどご覧いただければと思います。

 本日は、こちら、25ページのほうになりますけれども、学校現場の実態に即した具体的要求事項について、学校現場の実態を紹介しながら、意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず1番ですけれども、定数改善の前提条件として、児童生徒と向き合う時間を創出していただきたい。そのためにも、まずは文科省が進めております職務の精選については、しっかりと進めていただき、そちらを政策に反映させていただければと思います。

 その場合にも、事務職員の増員というのが不可欠ではないかと思いますし、また、教員が行わなければいけない。事務職員に任せるよりも、実際に児童生徒と向き合っているのは教員ですので、教員にも任せなければいけないという観点からも、教職員定数の増員が必要ではないかと考えております。

 2番目ですけれども、定数改善によって学校内の組織力のアップにつながると考えております。例えば生徒指導やら進路指導に関しても、定数改善をされることにより、チーム力がアップするということで、そういったところで先生方の余裕を持たせて、しっかりときめ細かな丁寧な指導が創出されやすくなるという部分で改善のほうをお願いできればと思っています。

 また、教職員のスキルアップのための自主的な研修や10年経験者研修など、積極的に受講することが可能となりますので、そういった部分においても、現在の定数ですと、学校現場に穴をあけてしまいますので、そういったところのフォローアップができることが期待されます。

 さらには、部活動や課外授業においても、より密度の高い指導が可能となるのではないかと思っております。

 3ポツですけれども、標準定数法を当然改正して、国の財政負担による1クラス定数を30人とすることにより、生徒一人一人に対して向き合うことができ、事件や事故など不測の事態にも迅速に対応することが可能ではないか。モンスターペアレンツなんかでも、そういったところで、やはり先生方のチームワークが発揮できるかと考えております。

 4ポツ目では、学級編制においては、総合学科や専門高校、中高一貫教育校など、各学校の特色を生かすため、弾力的に運用できるシステムを構築してもらえればと思います。学校によっては、30人で授業を進める。中には、TTで授業を進めていく。そういった観点から、その各学校により特色が違いますので、弾力的な運用の構築を望みます。

 5番目ですけれども、特別支援学校においては、児童生徒の十分な安全確保と適切な支援が可能となるよう定数上の配慮をしていただければと思います。

 また、6番目の定時制・通信制におきましては、現在多様化が進んでおり、学校は最後のセーフティーネットとなっております。定時制の学級編制を20人とし、通信制においても、教員の配置基準を改善することが今後求められていると思います。

 26ページ目になりますけれども、7番で、新たな職の定数についてですが、(1)から(5)ということで記させていただきました。まずは、当然ながら教諭とは別枠としていただきたい。新たな職ができても、教諭にその分負担がかかっては意味がありませんので、別枠とされたい。また、管理強化につながらないようにしていただければと思っております。そして、やはり新たな職ですと、人事異動の硬直化につながりかねませんので、そちらのほうのガイドライン等も国で示していただければと思います。

 8番ですけれども、新聞報道等でもございますが、精神疾患で休職する教職員の数が16年連続して増加しているということで、今までのこの16年間でストップがかからなかったのかというところで、やはり今後も、このままで行きますと、20年連続とか30年連続ということで、増えてしまうのではないかというような危惧を持っておりますので、定数をまた改善することにより、精神疾患の一因でもあると思いますけれども、多忙化の解消、また教員間のネットワークやコミュニケーション、教授法等の情報交換が活発となり、またそれが教員の質の向上にもつながるのではないかと思います。また、それぞれ休暇制度もありますけれども、休暇をとる環境が学校現場にはありませんので、休暇という制度があったとしても、環境が許されないということで、そういった環境も必要ではないかと思っております。

 あと、9番目ですけれども、超勤の実態ですが、日高教のアンケート調査によりますと、一番高いのが、部活動やら、あと事務処理の時間に費やすのが非常に多くなっております。そういった部分でも、定数改善の必要性を認めていただければと思います。とりわけて、部活動におきましては、時間や金銭にもましまして、責任の度合いが非常に大きくなっています。顧問の先生方が責任をとらされるわけですので、そういった部分で、顧問になりたくないとか、運動部は嫌だというような声も多々ありますので、そういったところも、複数の顧問が配置できることによって、そういった危惧といいますか、心配事が減少されるのではないかと思います。

 あと、12番目に移りますが、国庫負担金の制度ですけれども、こちらのほうは、当然堅持していただきたいと考えております。また、負担割合が3分の1にとどまっておりますが、こちらのほうは、2分の1から、また全額国の負担ということでお願いできればと思います。やはり教育は国の責務と考えておりますので、そういったところ、国が責任を持って教育をしっかりやっていただくという観点から、全額のほうに将来的には移行できればと思っております。

 13番目になりますけれども、定数改善のための財源確保を理由に、教員給与を削減していっていると思います。教員の士気の低下を招くとともに、そちらのほうは人材確保法の趣旨にも反することでありますので、これからまた定数を改善していくといった中で、教員給与を減らしましょうというようなことになりますと、そちらの方は認めがたいと思いますので、先ほども申し上げたように、教育は国の責任でやっていただきたい。国全体で支えるべきであると思っております。

 以上で日高教の意見を終わりたいと思います。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございました。一通り各団体のご意見をお伺いいたしましたので、これから質疑応答に移りたいと思います。ご質問ございましたら適宜どうぞよろしくお願いいたします。

【鈴木副大臣】 

 どうもありがとうございました。現場でのご様子が大分わかりました。峯岸さんにお伺いをしたいのですけれども、今までは標準法ということで40人とか、学級当たりの規模という議論をしてきたのですが、ご要望の中で、小学校の各学年に1人分の定数増をと、こういうお話で、確かに色んなことが起こって、そこにエクストラでサポートしなきゃいけないニーズというのは、これはへき地も同じだと思いますけれども、学校現場というのは生き物というか、日々いろんなことが起こるわけですから、そういう人がいるということは非常にいろんな意味で有効だなと改めて思わせていただいたんですが、それから、皆さん方も、フレキシブルにというお話もされましたので、同じ趣旨だと思うんですけれども、今回、標準法の改正というやり方もありますけれども、もう少し法律の構えを変えていくという考え方も、ゼロベースでもう1回議論していきたと思っているんですけれども、何を法定して、何を任せてみたいなあたりをどういうふうに考えていったらいいのかというところ、もう少し教えていただけると大変ありがたいんですけれども。

【全国公立学校教頭会】 

 基本的には、例えば30人学級というレベルで1つものを言わせていただくと、30人がいいのか、35人がいいのかというのは、じゃあ、どこを基準にして考えればいいかというと、現場の我々教頭としても、明確な線を引くことはできません。今までは日本の教師がすぐれた教師だと言われ続けてきたのが、集団一斉指導のすばらしさであります。ですから、一概には言えない。それから、それぞれの地方によって、かなり1学級当たりの人数も変わっている。ですから、一概にそれこそ何十人学級ということで、一律に線を引くことはできないと思っておりますので、その辺につきましては、一度ぜひ具体的に実際どうなっているのだというところを、全高教としても完全に把握できておりませんので、その辺をつかまえていただいてまず考えていただきたい。

 小学校につきましては、先ほど言っていただきまして、大変意を強くするわけでございますが、昔と比べて非常に多忙になっていることは確かで、ここには各学年に1人お願いしたいと書かせていただきましたが、例えば私の小学校でいいますと、一斉に普通のごくごく日常が始まりますと、たまたまなのですけれども、私の学校の場合は職員室が2階でございまして、1階に全部お客様が来ることになっています。そうすると、教頭が職員室に1人でいることの時間が非常に多ございます。事務職員さんは、どちらかというと1階の事務室で受けてくださるので。そうすると、もうあとは誰もいないのです。仕事を全員がやっているわけですね。そういう状況の中で何か大きな事件が起きたときには、教頭が動けば職員室は空になるのが見えているわけですから、必然的に小学校における人員というのが非常に今は人手不足になっているんだという現状なんです。

 ですので、ここでは学年に1人の定数増をお願いしたいということは切なる願いではございますが、ある程度調査検討していただいた後に、少なくとも一定のラインの中で小学校の定数を定めていただけるのが一番よいのかなと感じています。

【鈴木副大臣】 

 もう一ついいですか。すみません、私ばかり。中学校の免許外教科担任の話、これもおそらく現場では相当困っておられるのだろうなと。それともちろん、教育政策としても望ましいことではないなと、まさしくそう思います。ですから、これも我々、制度設計をしていかなきゃいけないわけでありますけれども、単に1学級当たりということにどういう要素を加えていくか。さっきの学年担当の話もそうなのですけれども、教科担任の話も、要は単に学級の生徒数だけ決めたらいいという話ではないわけですね。

 だから、今日は免許外の教科という問題があるということはわかりますが、そういう意味で、単なる40人を減らすということ以外に、もちろん栄養教諭も同じ話なんですけれども、機能的に留意しなきゃいけないポイントというのは、皆さん方からお伺いしたいんですけれども、どういうところがチームの構成に必要最小限の要素というか、考慮ポイントというか、どう考えていったらいいのかというあたりを皆さんからお聞かせいただければ大変ありがたいのですが。

【全国へき地教育研究連盟】 

 免許外のほうは、中学校が主なのですけれども、学級の数でケースが決まっていますね、義務標準では。それでいきますと、どうしても制約があって、限られた人数しか配置されない。その限られた人数を、例えば小規模校であれば、総数が少ないわけですから、免許を持っているのと、それから、教えなければいけない教科が全く合わないですよね。それでまた校長あるいは担当する先生が臨時の免許を申請してということで、1年間やっていくわけですよね。本当にその現状を訂正するには、学級だけの人数とかというのではなくて、もう少し思い切った定数の改善がやっぱり必要かな。さっき副大臣が言いましたけれども、考え方を変えていくという方向もなければだめなのかなというぐあいに押さえますけれども。

【全国学校栄養士協議会】 

 まだ栄養教諭制度ができて5年で、その配置数も総数12,000人のうちの3,000人にも満たないので、実際にはどうか明確ではありませんが、栄養教諭は、教諭としての資格と管理栄養士の免許の両方あわせ持った人ということが条件になっています。ですから一般の先生方と同じような資質をしっかり身につけた人でなければ栄養教諭になれないことになっています。

 今年度より食育が教育の中に法的に位置づけられました。そうすると、先生方の負担がますます大きくなるのではというお話もあります。が、それを解消していくためにも、教諭としての資格も資質もある栄養教諭を増員していただくことで、先生方の負担の軽減にもなるのではないかと考えます。その1例をお話しますと、地場産物を活用した学校における食育の推進について、先生方の実践研究の報告会がありました。その席で一斉に食育担当の先生方がおっしゃったことは、栄養教諭がいて進める食育と、いなくて進める食育では成果が全然違うし、負担も違うので、ぜひ栄養教諭を配置してほしいという要望でした。

そういうお話が出ていることを考えても、栄養教諭の必要性についての認識も高まっていると思います。配置していただければ、少なからず先生方のお力になれますし、児童生徒の食育も徹底します。「食は人なり」とよくいわれますが、食育が徹底することで、皆が願っている子どもたちの生涯の心身の健康が確保されると思います。このような点も考慮して栄養教諭の増員も定数改善の視野に入れていただければよいのではないかと思います。

【全日本教職員組合】 

 全教の本田でございます。国の責任で少人数学級をということで言っておりますが、国である程度の基準を設けまして、それ以外のところ、その部分は既に今全国的には少人数学級が進んでおりまして、その中で出ておりますのは、例えば小学校1年生や2年生の手のかかる学年には複数担任を入れるとか、中学3年生の受験で大変なところには教員をたくさん入れるとかいうことは既に出ているところです。そういう形であったり、今、貧困や格差の問題が問題になっておりますけれども、就学援助など、多いところには、事務職員を加配するという基準は、まだ全部ちゃんとなってはおりませんけれども、ありますけれども、子どもたち、または家庭の状況などもケアしながら、子どもたちを育てるという意味でいいますと、例えばソーシャルワーカーとか、直接的に子どもにかかわりケアをできる、そういう専門職などをそれぞれの学校に応じて配置を考えていくべきではないかと思っております。

【日本高等学校教職員組合】 

 先ほど、基準は全日制30人と申し上げておりましたが、弾力的に学校によっては30人、例えば1クラスで授業を行い、またTTでその教科を行い、TTではなくて、半数半数にして授業を行う。そういった弾力的に行うことによって、教科別でよりよい効果が上がるというケースが多々ありますので、習熟度別もそうですし、そういったところで、学校において、各学校の特色をあらわすように裁量を学校にある程度与えたほうがいいかなと思います。その場合にも、裁量を与えるためにも、定数の改善が必要不可欠だと思っております。

 高校ですけれども、例えば小学校でも、低学年のほうですけれども、県独自で40人学級から35とか30にしている県が多々あると聞いております。そういったところでも、県の財政があれば、そういったことができますけれども、県の財政がなければ、そういったこともできないというところもありますので、そういった部分も国が責任を負っていただきたいと思っております。以上です。

【清水文部科学審議官】 

 全教の本田さん、教育交付金というご提案をされていましたよね。イメージが浮かびにくいのですけれども、これは義務教育費国庫負担制度とはどういう関係でお考えになっていらっしゃいますか。

【全日本教職員組合】 

 国家負担としては、義務教育費国庫負担は、ある程度基準を設けて、例えば全国的に今進められている30人学級への移行というのは、国としてちゃんとしっかりと設けると。それプラス、先ほどちょっと申しました特別に支援を要する子どもとか、貧困で大変な学校には、プラスして加配する部分を「教育交付金」として入れたらどうかという提案でございます。

【清水文部科学審議官】 

 加配と言われているようなものについてということですか。

【全日本教職員組合】 

 そうです。

【高井大臣政務官】 

 1つ、全国学校栄養士協議会の市場会長に。栄養教諭の制度が導入されて5年となりましたけれども、実際に教壇に立ってみて、どういう新たな気づきというか、子どもたちの食育に関して、以前と違った印象なり、難しいところなどあれば、教えていただきたいということと、あともう1点、数を増やしたときに、教員免許と栄養士の免許、両方持っていなければいけないというお話ですけれども、実際に対応できる人は即戦力として、今、何千人単位でいらっしゃるということなんでしょうか。

【全国学校栄養士協議会】 

 最初に栄養教諭として教壇にたっての思いということですが、私どもは栄養教諭制度の実現を何十年も前から願って活動してきております。制度ができたときに困ることのないようにということで、平成10年からは自主研修会を開催し、教育はどういう仕組みで、授業はどのように取り組むのかということを、ずっと専門の先生方にご指導いただいてきています。栄養教諭の資格として、管理栄養士と教員の免許が取れるように、資質の向上に努力してきました。毎日6時間授業をしている先生方の資質には及ばないかもしれませんが、先生方と一緒にチームティーチングによる授業に関わる中で、先生方に認めていただけるような授業ができるようになってきました。例えば教材研究にしても、先生方から「栄養教諭の先生の方がこんなにすばらしい教材が作れている。私たちも見習わなければ」と逆によい刺激になると認めていただいています。授業へ参加させていただくことで、お互いに高め合えることもあります。私たちも一緒にかかわらせていただくことで、多くのことを学ばせていただいてもいます。児童生徒の食育は、学校給食の献立を教材化してすすめることになっています。そこに食べ物があって、それが生きた教材になっているので、本や教科書などの書かれたものよりも実感できるので関心が高まり、食育の成果も上がっています。学校栄養職員として勤務しているときにも、担任が同席すれば可能だったので、同じように教壇に立つこともありました。そういう経験をしてきた会員もたくさんいますが、法律上では職務として明示されていない中で行うのと、法律の中で定められていて、どうしても取り組まなければいけない環境の中で行うのとでは、自分自身はもちろん、周りの人たちの認識も変わってきます。児童生徒に授業をしたときの受けとめ方、保護者の皆さんや先生方にしても栄養教諭に対する意識が変わっていることが肌で感じられるといいます。

そして指導の成果も、学校栄養職員で取り組んだときと同じことを言っても、その浸透力は全然違って成果が大きいことが実感でき、やりがいがあると喜びの声が寄せられています。大変だとか難しいと思うことよりも、そういう成果の大きさ、子ども達がどんどん変わっていく喜びのほうが今の栄養教諭たちには大きくて、少しぐらい職務が大変でも頑張っていこうという姿勢が見られます。

 それから次に即戦力となる栄養教諭の免許を持った人数についてですが、学校栄養職員が栄養教諭の資格を取るための認定講習があります。まずは現在在職している学校栄養職員を栄養教諭に切り替えていくという施策になっていますので、国でも予算化をしていただいて、各都道府県で栄養教諭に認定するための講習会を、制度ができてからずっと続けていただいています。ですから、今年度の新規採用か、この2、3年に採用された学校栄養職員以外は、ほとんどが栄養教諭の資格を持って学校栄養職員として勤務しています。そういう人が大半で、本協議会の会員9,400名の多くが栄養教諭の免許は持っています。ただし、産休等いろいろな事情で資格が取れなかった会員も若干います。

【高井大臣政務官】 

 ありがとうございます。

【金森初等中等教育局長】 

 1つすみません。ご意見を拝見いたしますと、教頭会や全日本教職員組合や日本高等学校教職員組合からは、現行40人とされている学級編制の標準について、30人のご提案をいただいているのですけれども、あまり小さくなると、それをまた2つに割ったときに小規模過ぎるとかいう問題が言われたりします。やっぱりこれは35とか25ではなくて、30なのでしょうか。

【全国公立学校教頭会】 

 先ほども申しましたけれども、何が何でも30人とは思っていません。私も、自分自身としても、先ほど申しましたが、日本の先生たちが持っている一斉指導のすばらしさというのはものすごくありますから、少なければいいとは思っていません。ただ、現状を見ていきますと、ある程度の人数でないと、今の子どもたちは非常に目が届きにくいという現状がある。ただ、それが31なのか、32なのか、29なのかという線をどこに引けばいいかということは、はっきりとはまだデータとしても持っていませんし、わかりません。だから、何が何でも30ということはありません。ただ、今ご指摘のように、例えばそれが十何人になり、20人になりということで、どうなるのだろうかと。

 私の学校のことを色々言って申し訳ないですけれども、今現在、1つの学年が学年全部で47です。47ですから、2クラスに分かれるから、1クラスが23、24のクラスですけれども、非常に目が……。今、子どもたちが、うちの学校の教室が狭いせいかわかりませんが、目いっぱい入っていくと、高学年なんて、教室が満タンになります。ただでさえ満タンなところに来て、50インチのテレビをいただきまたしものですから、もっと狭くなっているのが現状なのです。あれ、キャスターでかいですね。そういうのもあるんですけれども、非常にゆったりとした教室で活動できるという良さはあります。

 それでは、少なければ少ないほどいいのかというと、そうも思ってないということで、どなたかがご主張されているように、例えば25人から30人という枠が適当なのかもしれません。この辺についてはぜひ調査していただいて、適切な幅を定められるのが一番よろしいのかなということは思います。

【金森初等中等教育局長】 

 この件に関して何かございますか。

【全日本教職員組合】 

 全体的に30だとは思っておりません。しかしながら、30人学級にした場合に一番少ない場合が15と16となりますよね。それ以下だったらどうかなというのはありますけれども、15、16だったら、私どもとしては少人数の形態での形の授業が十分にできるし、全国的にはそうした実績が積み上げられていると考えております。

【日本高等学校教職員組合】 

 日高教ですけれども、以前第6次教職員定数改善計画を出されたときに、その後、このような日高教の定数法試案ということで、文科省のほうには既に提出しておりますので、そちらのほうを参考にしていただくのが1点と、やはり30人という枠の中でも、今、40人ですけれども、実際に私も授業を行っていく中、またクラス経営を行っていく中でも、その前は44人か45人だったのですけれども、その後40になって、生徒に対して目が行き届くようになったなとは思っておりましたが、多様化が進む中で、先生方もどんどん減って、チームワークも図れない中、自主研修をやろうと思ってもできない。先生方の質が悪いから教員免許更新制だというようなところもつながってきているかと思っております。そういった部分も解消できるのではないかなと思いますし、また、先ほども申し上げたように、例えば40人学級とか30人学級、一斉にそれで授業を行う教科で一定ラインの学力がつけられる場合もあれば、TTにしてやる場合、また半数半数にしてやる場合ということで、それぞれ教科なり、そういった部分でも弾力的に行えるようになれば、それだけの教育効果が上がってくるかと思います。そういった研究も実際学校現場でもやっておりまして、研究発表でもされているところであります。そういった部分もあわせて、30人を基準として学校に裁量を与えていただきたいなと思っております。以上です。

【金森初等中等教育局長】 

 ありがとうございます。そのほか、いかがでございましょうか。

【辰野政策評価審議官】 

 いろんな現場の切実な話をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。今のお話の中で、例えば多忙化とか、精神的疾患の人たちが多くなっていると。これは数字でも確かにあるのですね。これを定数改善によって、どこまで解決できるかという観点から見たときに、何が一番の肝なのかなというのをひとつお聞きしたいのです。例えば精神的疾患とか、そういう人たちが増えてきていることについて、先生の数を増やせばいいという話なのか、それとも、話の中にありましたけれども、事務的な仕事などどんどん降ってきて、それをやらなければいけない。モンスターペアレントに対応しなければいけない。それから、色んな子どものカウンセリングもやらなければいけない。そういうことがどんどん先生たちに降ってくるから、むしろそういうことを専門的に対応できる人たち、渉外的なコーディネーターとか、事務職員だとか、そのあたりのところを措置して、教員が教育、指導に専念できるようにしていけば、そこのところは解決するのだという感じなのか。それとも、ユーティリティー教員みたいな話がありましたが、要するに今はかつかつなので、かつかつのところに1人なり2人なり、自在に動ける人たちを置けば、例えば若い人たちも、1つの学校で、また1つのものを抱え込んで悩むのではなくて、全県的な研修会に行くとか、教科の研究会に行くとか、出張に行って、先進事例を見るとか、が可能になるということも考えられるのですけれども、何が一番の肝なのかなと。定数改善といったときに、単に教員の数を増やすということだけなのか。増やし方についても肝は何なのか。その辺の発想を、現場での実感からにじみ出る部分で教えていただければありがたいのですけれども、いかがでしょうか。

【全国公立学校教頭会】 

 今のご指摘なのですが、例えば私の学校でもありましたけれども、教員になりたての方、あるいは学校現場でドキドキする先生方というのは、新採用として入ってこられた方だけではなく、人数の関係から、臨時的任用として入ってこられる方も今は若くなっています。極端な話、全然教員経験がない方がいきなり臨時的任用で入ってこられて、担任を持たなきゃならないとういこともあるのですね。そのときに、ある先生が連絡帳を持ってすっ飛んでくるのですけど、「親御さんからこういう言い方でもって来たんですよ。どうしたらいいですか」と真顔になっておっしゃる。要するに、親御さんから、「うちの子どもがけがしたのだけれども、これは先生の責任じゃないか」ということでぼんぼん、ぼんぼん書かれて、ドキドキ、ドキドキした顔で来られる。そのときに、当然教頭として支えてやるわけですけれども、我々職場が特に感覚的に受けとめているのは、小学校、中学校も全部そうだと思いますけれども、1つの学校の力というのは、職員の同僚性にあると思うのですね。つまり、今までもそうですけれども、職場のみんなが支えてきた。この組織がうまくつくれる学校とつくれない学校と当然出てくるわけです。だけども、それにしても、そういう方を励ましてみたり、それから、先ほど言ったように、何かあったときに、職員室は全部空になってしまうわけですから、それを支えていく学校の職員組織をつくっていく上でも、今の現状では人手は足りなさ過ぎるのだろう。ただ、何が肝か。精神疾患の問題でおっしゃられて、何が肝なのですかと言われた場合、はっきり言って、これは私がわかるものではないですが、ただ、そういう現状を見ていくと、いろいろなものが複合的に先生方を追い詰める部分というのは多々あるのではないかなと思います。何せ、子どもたちがいる間というのは、ほとんど子どもたちに相対するわけで、それが放課でさよならになった後にしか、すべてのものはできないということで、日々毎日追っかけられていくわけです。現状、こんなことを教頭の立場であまり大きな声で言ってはいけないのかもしれませんが、本校の職員も時間内に帰ることはできませんし、土曜日、日曜日に出てこなければ仕事が終わらない。これは本来そうさせてはいけない私の立場なのですけれども、なかなかそれが難しい部分もある。そういうところにすべていろんなものが複合的に絡み合ってくるのではないかなと思います。ただ、自分自身の経験から考えてみても、こういう精神的な疾患が非常に多くなってきているというのが、ただ、それだけの側面であろうとは思いませんが、それはわかりませんが、そういうことも拍車をかけているに違いないという感じはしています。

【辰野政策評価審議官】 

 定数改善でそれを少しでも良くしようとしたときには、どこの部分を、つまり、先生の数を増やせばいいのか。それとも、違った色んなものを抱えていて、仕事をこなすための、また別途の職員の数を充実していくのがいいのかとか、そのあたり、どういうふうに結びつけたらいいのかなということなのですが。

【全国公立学校教頭会】 

 これはやっぱり先ほども言いました同僚性という観点から、定数、先生自身が増えてこないと。

【辰野政策評価審議官】 

 増えても、まさに運営とか、そういうところにもかかわる話ですよね。それは小さくても、大きくても、ばらばらのところもあれば、緊密なところもあるわけで。

【全国公立学校教頭会】 

 先ほどもどこかのお話にもありましたけれども、今抱えている先生たちが、一人一人が抱えている仕事というのは、人数が増えることによって軽減化されていくというところは必ずあると思うのですね。

【辰野政策評価審議官】 

 これは、私たちが色んな声を聞く中で、じゃあ、昔はどうだったのかというと、定数改善が始まる前の直前の昭和30年代は、50人、60人の学級ですよね。あのときは上限というよりも、実態として目いっぱい50人、60人というのがあった。それから、終戦直後のときは、もっとすさまじい状況があったわけで、それに比べると改善は非常にされてきたわけですね。最近も、及ばずながら、色んな改善をしてきている。しかし、それでも、精神疾患の数とか、多忙感を感ずる方々が増えてきている。この辺をどう理解したらいいのだろうか。ここは、国民の皆さんの中で何となくよく分からないというようなところもあるらしいのです。そこを我々もどう理解し、そのうえで定数改善のどこに手を打てば、一番今学校が望んでいる、何とかしてほしいというところの的を射るのかというところをできればつかみたいということなのですが。

【全国公立学校教頭会】 

 あまりしゃべり過ぎても……。

【鈴木副大臣】 

 でも、それは僕も全く同じ話を聞きたかったです。わりと問題意識は似ていて、例えば今職員室に教頭先生1人しかいないという状況がありますと。我々、とにかく、少なくとも子ども一人当たり教員数を増やそうという大方針はあるんです。そのときの論拠とかストーリーを辰野さんも私も欲しいわけです。そのときに、職員室に1人ではなくて、3人に。それは別に職員でも、教員でもいいのです。ユーティリティー教員というのはまさにそういうことだと思うのですけれども。3人にすることが必要なのか。それは教員は1人で、やっぱり今40人の学級を、これは上限ですけれども、それを30にすること。無限に財源があるわけじゃないので、例えば3人増やしますといったときに、どこにどうつけますかみたいな話でもあって、かつまたそれを、国が決めるのか、例えば3はつけますから、あとは任せます、そういうことなのか。学級というのは、ある種のコンセプトを持った概念ですから、またそれも、さっきも局長が申し上げたように、少な過ぎるのも学級として構成できないみたいな話もあるし、同じ問題意識なんですよね。

【全国公立学校教頭会】 

 言いたいことは山のように出てくる。例えば先ほど50人か40人のお話がありましたが、私が新任の教員で入った当時というのは、私の学校の地域の方々というのは、すべて温かい目で見ていただきました。「ああ、若い先生、いいね」。今時の親御さんというのは、そんなことはちっとも考えてくれません。ベテランだろうが、若手だろうが、同じように言いたいことを言ってきます。基本的にそこが違います。

 それから2つ目は、我々の若いころというのは、放課後にかなり時間がありました。子どもたちとたっぷり遊ぶ時間がありました。今、何々教育、何々教育、何々教育とさまざまな視点が多く入ってきたこともあり、また先ほども申しましたが、6時間目の授業が増え、放課後というのが4時以降になり、今度先生たちの仕事がすべて4時以降です。埼玉県の場合は、7時間45分制の勤務時間が敷かれましたので、そうすると、子どもたちが帰った後の勤務時間なんていうのは微々たるものしか残ってない。休憩なんていうのも非常にとりにくい状況。これは別にあれなんですけれども、そういう現実があるということを含めて考えて、総合的な問題だろうと思うのです。ただ、それが、確かに学級の場合は、1学級当たりの人数がこうだ、こうだ、こうだ。だから、一番簡単なのは、小学校の場合、各学年1人というのが、明確な考え方としてはわかりやすい算数の世界になると思うのですけれども、現実路線でもって考えていかれるとするならば、ある程度小学校に人の手を厚くするという観点から考えれば、総枠的に確保して、ある程度それぞれのところに任せていただいてもいいのかなと思います。

 ただ、先ほども申しましたように、精神疾患だけで語っているわけではないので、私どものほうも言っているのが、教室に担任が不在になる現状というのがあるのだということを言っている部分もあるので、そうすると、今現状では、学校というのは日々非常に高いリスクをしょったまま毎日生活しているということになっているわけなんですね。その辺なんかも加味していただきたいということをお話ししたいわけです。

 精神疾患が云々ということについては明確な答えはなかなか難しいだろうと思いますが……。

【辰野政策評価審議官】 

 例えばの話です。

【全国公立学校教頭会】 

 昔と今ということをよくおっしゃられますが、我々こうやっていくと、徐々に来るので、明確にはっきりとわかる方というのは、学者さんのほうがわかるかもしれませんが、直接昔と今とをそのまま横に並べて比較はできないと思います。

【鈴木副大臣】 

 もう一つ、小学校も中学校も高校も30人とおっしゃるわけですけれども、おそらくちょっと違うのではないかと思うんですね。例えば小学校なんかは、おっしゃるように、要するに学年に1人スーパーサポートというか、あるいはスーパーバイズというのが必要だというようなことだと思うし、それから、中学校は逆に教科をある程度カバーしないといけないというのはありますよね。へき地の複式学級の話はまた話が相当複雑になりますけれども、少なくとも学級を減らすよりも、それは教科担任がいないとまずいよねという視点もありますよね。それから、高校はまた、保護者対応といったときに、中学校、小学校の保護者対応と高校の保護者対応はまた違いますよ。ゼロとは言いませんけどね。また一方で、進路指導とか何かは、相当ちゃんとやらなきゃいけないという。

 奇しくも皆さん30人とおっしゃるのだけど、おそらくそれの裏づけとなるロジックというか、考え方というのは、少し整理が必要だなと。少なくとも僕は、小学校、ほんとうは低学年と高学年分けるべきだと思いますが、小学校、中学校、高等学校で、まさに審議官が言っているように、現状もおそらく違うし、ニーズもちょっと違うし、それから、もちろん教員集団、教職員集団というのは大事なのですけれども、そこでの構成というのも若干違うんじゃないかなという気もするものですから。

【全日本教職員組合】 

 よろしいですか。全教は幼小中高を抱えている教職員組合ですけれども、私、小学校の教師をしておりました。小学校でも、もちろん学校での教職員の集団というのはとても大事だと思いますけれども、学級担任としての責任というのが大変重くなります。さまざまな仕事もありますので、それでいくと、1つの学級の人数を減らすということが、一人一人の子どもたちに目をかけ、充実した教育をしていくということでいえば、まずはそこが大事ではないかと思います。多忙化を解消するために事務量を減らしていくというようなことが行政から少しずつ出ておりますけれども、それだけではやはり不十分ではないか。やっぱり先生の数を増やしてほしいというのが多くの教職員の願いでもあります。

【日本高等学校教職員組合】 

 やはり学校現場は、ほんとうに多忙化もありますけれども、過密化しているという部分がありまして、先ほど、20年前、30年前の話もありましたけれども、昔は土曜日に授業があったわけで、例えば高校であれば、月曜日から土曜日まで授業を割り振ることができました。その中で1日の業務が、空き時間もありますので、そこである程度こなし、また先生方の横のつながり、時間的余裕、そういった部分で自主研修なり何なりということであったわけで、そういった教員文化というのもあったわけですけれども、それが今、過密化になり、どうしたらいいのかというのがわからないところがありまして、先生方が相談しようとしても、すぐ授業をやらなければいけない。生徒が来ても、「これから授業だから待ってなさい」とか、そういったふうな部分にもなってしまい、また土曜日も、地方のところですと、塾がなければ、予備校がなければ、土曜日も先生方が課外をやる。当然土日は部活動もあったりもしまして、そういった部分、土日週休2日制だといっても、土曜日はそういった部分でつぶれてしまい、日曜日も、やりこなせなかった仕事を家に持ち込んでやってしまうというところで、持ち帰りの仕事も多いですし、休日出勤のほうも多くなっております。ですので、実際に、じゃあ、定数を増やせば、例えばですけれども、精神疾患性が少なくなるのかと言われれば、なくなるとは思うのですけれども、ただ、その根拠と言われますと、また難しい話なのですが、やはり学校現場を見る限りは、どこの団体も、すべて定数を増やしてくれと。定数を改善しなくてもいいという団体は1つもないと思いますので、それはまさに我々が楽をしたいとかではなくて、我々が攻めの仕事をしたいという部分がありますので、そういったところをご理解していただきたいなと思っております。

 また、26ページのほうの10ポツのほうでも、日本の教育を考える10人委員会のところでも、アンケートの結果を載せておりますけど、やはり国民的ニーズも30人学級を望んでいる部分がありますので、そういったところもとらえていただければありがたいなと思います。以上です。

【全国学校栄養士協議会】 

 教職員定数の増員は、必ずしも教師でなくても数が増えればよいかと言う、今のお話の件について、先生方と一緒に学校で過ごさせていただいて感じていることをお話させていただきたいと思います。私も基本的には教師を増やすことがよい思います。特に義務教育は人づくりですから、学校に一緒に生活している大人はすべて、子どもたちには教師です。先生です。知識を学ぶだけではなく人生の先生かもしれない。いろいろな人としての必要なマナーの先生かもしれない。ですから、基本的には私は教師の数を増やすことだと思いますし、それから、時代が変わっていまして、バブルがはじけて高度成長時代を迎えて以後は、食生活一つをとってみても、かつての食料不足の時代に、ないものを工夫して食べてきたことと違って、たくさんの、豊富であふれるような食材の中から選ぶという力をつけなければいけなくなりました。その状況の中だからこそ余計にも今正しい食の知識を学ぶ食育が重要視されてきていますが、このように子どもたちを取り巻く社会環境や家庭の生活環境もすべて変わっています。

ですから、このような現状の中では、特に義務教育の中では、先生方が子どもたちにきめ細かくかかわって、家庭教育で落ちこぼれていることを学校で補わなければいけないことがたくさんあると思います。そういう点でも義務教育では特に先生方が必要だと思います。

それから、モンスターペアレントのお話がありましたが、どういう家庭であろうと、その家庭環境を学級担任の先生が十分把握して児童生徒に対応していかなければ、本当の指導や解決にはなりませんので、どんなに大変でも他の人に任せるということは、真に子どもたちを教育していくことにはならないような気がします。人として大切なことを学ぶ場であり、教える場であるということを大事にしていくとすれば、栄養教諭を含めた先生方を増やしていただくことが望ましいと思います。

【金森初等中等教育局長】 

 貴重なご意見をいただいてまいりましたが、予定しておりました時間を少し回っております。何か補足しておきたいことがございましたら、承りますが、よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、鈴木副大臣、最後によろしくお願いいたします。

【鈴木副大臣】 

 今日はどうもありがとうございました。現場のイメージというものを深めさせていただき、皆さんのご意見を参考に頑張っていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

【金森初等中等教育局長】 

 高井政務官、お願いします。

【高井大臣政務官】 

 ありがとうございました。

【金森初等中等教育局長】 

 では、以上をもちまして、本日の関係団体のヒアリングを終了いたします。ありがとうございました。

5.出席団体

第1部

全国都道府県教育委員長協議会・全国都道府県教育長協議会(中西正人 理事)、全国都市教育長協議会(中川俊隆 会長)、指定都市教育委員・教育長協議会(芝村巧 副会長)、中核市教育長会(伊藤文雄 会長)、全国町村教育長会(髙橋健彦 会長)

第2部

全国へき地教育研究連盟(梅木登喜雄 会長)、全国公立学校教頭会(片山巌 総務部長)、全国学校栄養士協議会(市場祥子 会長)、全日本教職員組合(本田久美子 中央執行副委員長)、日本高等学校教職員組合(大出建隆 中央執行委員長)

 

お問合せ先

初等中等教育局財務課