子どもを見守り育てるネットワーク推進会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成22年1月14日(木曜日) 14時~14時30分

2.場所

文部科学省3階 講堂

3.議題

  1. 構成員からの自己紹介
  2. 推進宣言について
  3. ワーキンググループの設置について

4.出席者

委員

内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付参事官(青少年支援担当)、警察庁生活安全局生活安全企画課長、法務省矯正局少年矯正課長、法務省保護局更生保護振興課長、法務省人権擁護局調査救済課長、文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課長、文部科学省生涯学習政策局社会教育課長、文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長、文部科学省初等中等教育局児童生徒課長、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課長、文部科学省スポーツ青少年局青少年課長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課虐待防止対策室長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局育成環境課長、全国連合小学校長会、全日本中学校長会、全国高等学校長協会、全国定時制通信制高等学校長会、全国適応指導教室連絡協議会、全国児童相談所長会、全国人権擁護委員連合会、社団法人全国保護司連盟、‪非営利法人チャイルドライン支援センター、社団法人日本臨床心理士会、スクールカウンセリング推進協議会、社団法人日本PTA全国協議会、社団法人全国高等学校PTA連合会、非営利法人フリースクール全国ネットワーク、非営利法人教育支援協会、社団法人中央青少年団体連絡協議会、財団法人児童健全育成推進財団、財団法人インターネット協会、日本弁護士連合会、日本BBS連盟、社団法人日本青年会議所、全国商店街振興組合連合会、日本労働組合総連合会

文部科学省

川端文部科学大臣、坂田事務次官、金森初等中等教育局長、德久大臣官房審議官 他

5.議事要旨

開会

議事

(1)川端文部科学大臣から挨拶があった。

(2)各構成員から自己紹介があった。

(3)「子どもを見守り育てるネットワーク推進宣言」が採択された。

(4)ワーキンググループの設置について了承された。

                                        

(1)川端文部科学大臣挨拶

【川端大臣】高齢化や少子化の進展、都市化、情報化等々の環境変化に伴って、子どもを巡る環境は大きく変化している。そういう中で、人と人との絆が非常に弱くなってきて、子どもたちを見ても、人と人との関係を持つのが極めて不得意になってきている、そして、精神的にもろく、弱くなってきているということが一般的によく言われている。

 そういう中で、子どもが小さな胸で1人で抱え込んで悩み、苦しみ、そして、いじめの問題や不登校の問題や、極端に言えば、みずからの明日生きていく道を選ばないような、愕然とすることもたくさん起こっている。

 そのように子どもたちが悩み、困り、苦しんでいるときに、また頑張って明るく元気になれるような方策を、あらゆる立場の人の知恵と手段と経験を生かして考えたい。また、力を合わせて子どもたちを守り、支え、子どもがちゃんと元気に自分の居場所があると感じられる社会をつくるために取り組んでいきたいと思い、この会議を開催することとなった。

 関係省庁だけではなく民間の団体も含めて、何か行動したらそれが、たった1人であっても、子どもがまた元気になったという手立てであるということが積み重なっていくことが、間違いなくこれからの日本を変えていく一つの大きな状況をつくっていくと思う。ぜひ、皆さんのこれまでの取組・努力がもっと大きな力になるように、ネットワーク活動により連携することを趣旨として進めていきたいので、協力をお願いしたい。

 

(2)構成員から自己紹介と活動内容の紹介

【文部科学省学校健康教育課】学校健康教育課では、学校保健の関係では学校における健康相談や保健指導を、学校安全の関係ではスクールガードリーダーの配置など子どもの見守り活動に関する地域ぐるみで学校内外の子どもの安全を見守る体制の整備の関係の仕事している。

【内閣府青少年育成支援担当参事官】内閣府では子ども・若者育成支援推進法の4月からの施行に向けて、ニート、引きこもり等、困難を有する若者への支援を行うため、地域ネットワークづくりの推進や同法に基づく子ども・若者育成推進大綱案の検討などの準備を進めている。

【警察庁生活安全企画課】警察庁では、生活安全企画課では、犯罪抑止という観点からボランティア団体への支援や、子ども・女性安全対策班における犯罪抑止のための対策を講じている。また、少年課では、各都道府県警察において、少年相談、あるいは被害少年の保護といった活動を講じている。

【法務省少年矯正課】矯正局では、非行を犯した少年たちに対する少年院における矯正教育、あるいは少年鑑別所における少年の資質の鑑別等に関する業務を所管している。少年鑑別所においては、収用して行う鑑別に加え、一般少年鑑別として、心理学等の専門的知見を有する法務技官により、子育てや非行問題に悩む地域住民等からの相談に対応するという体制をとっている。

【法務省更生保護振興課】保護局では民間の保護司やボランティア団体と協力し、犯罪や非行をした人を地域社会の中で立ち直らせるということと、犯罪や非行のない社会づくりの取り組みを推進している。

【法務省調査救済課】法務省の人権擁護機関では、手紙や電話、またインターネットによる子ども専用の相談窓口を設けており、周囲に相談したくてもできずに悩んでいる子どもたちからの相談に応じている。また、深刻ないじめや虐待などの相談に対しましては、これを人権侵犯事件として立件し、適切な対応に努めている。

【厚生労働省育成環境課】児童の健全な育成、子どもたちの居場所づくりを推進しており、特に共働き世帯の留守家庭の子どもたちに対する放課後対策として放課後児童クラブを推進している。また、すべての子どもたちの遊びを目的とした児童館を推進している。また、地域活動として、子どもたちの安全を守る活動をしている母親クラブ、民生委員、民生児童委員の支援をしている。

【厚生労働省総務課】児童相談所の体制強化など子どもや家庭に関する諸問題に対応する相談体制の整備、あるいは虐待防止対策等を所管している。特に虐待の防止、早期発見の観点から、学校をはじめとする関係団体等との連携強化が必要と考えている。

【全国連合小学校長会】全連小は全国2万1,000余のすべての公立小学校の校長で構成しており、小学校教育における健全育成、あるいは子どもの居場所づくり、登下校の安全等について、事例研究、調査研究等を行っている。

【全日本中学校長会】本会は全国1万の公立中学校長が各都道府県に中学校長会をつくり、その47都道府県の会長が集まっている会である。年4回の理事会の中で今日のような会の報告や、各県の活動状況を提供し合って、中学校教育の充実発展のために日夜努力している。

【全国高等学校長協会】全国高等学校長協会は高等学校、中等教育学校、特別支援学校の高等部の校長で組織しており、例年生徒指導委員会を中心に家庭、地域と連携した高校生の規範意識等、健全育成についての調査研究等を行ってきた。

【全国定時制通信制高等学校長会】定時制通信制高校では不登校や中途退学をした生徒や外国籍の生徒が多く学んでいる。また、心の病や発達障害の生徒たちも多く、スクールカウンセラーや心理士、専門医の派遣を要請し、教育相談体制の確立を図っている。

【全国適応指導教室連絡協議会】全国適応指導教室連絡協議会は平成5年度に全国の適応指導教室の相互の連携及び関係機関との連携を密にしながら不登校問題の解決に寄与することを目的として設置した。全国の適応指導教室の規模はさまざまであるが、不登校児童生徒の学校復帰、あるいは社会的自立に向けて取り組んでいる。

【全国児童相談所長会】児童相談所は児童福祉法の規定により、18歳未満の子どもに関する問題に関して相談活動を行っており、本会は現時点で全国201カ所の児童相談所のすべてが加盟している団体である。調査研究活動により児童相談所の専門向上と組織強化を図り、児童福祉の増進と子どもの権利擁護を推進する取り組みを行っている。

【全国学童保育連絡協議会】共働きや一人親家庭の小学生に放課後及び長期休業中、安全で安心して生活できる学童保育を保障するためにいろいろと取り組んでいる学童保育と保護者と指導員でつくっている団体である。

【全国人権擁護委員連合会】人権擁護委員は全国で1万3,000人いるが、法務省や法務局と連携し、手紙や電話あるいはインターネットによる人権相談に応じており、また、地域の学校と協力して、人権教室、全国中学生人権作文コンテストなどの啓発活動に取り組んでいる。

【全国保護司連盟】全国5万人ほどいる保護司会の連合会である。保護司の仕事は社会に反して悪いことをしてしまった人々を社会へ戻すことであり、その7割ぐらいは青少年対象の仕事である。普段は、学校で保護司が麻薬、薬関係の問題や、悪いことはしてはいけないということを子どもたちに教えることもしている。

【チャイルドライン支援センター】チャイルドラインは、悩んだり、寂しかったりする子どもたちの声を、本音を電話で受けとめるということを全国2,000人のボランティアが65カ所の拠点でやっている。大体毎月2万件ぐらいの子どもたちが、つらい、寂しい、苦しいという本音を、電話で寄せてくる。昨今の経済状況や家族の崩壊がもろに子どもたちの声にあらわれており、日本の子どもたちが非常に悲惨な状態に今置かれていることを私たちは日々生の本音の子どもたちの声から受けとめている。

【日本臨床心理士会】臨床心理士は教育、福祉ほかさまざまな場で相談活動を行っている。最近では、子どものみならず親御さんたちも難しい問題を抱えて苦しんいることが増えている。親子双方への定期的な、継続的な面接という相談活動がこれまで以上に重要になっていると思う。

【スクールカウンセリング推進協議会】すべての教師がすべての子どもに育てるカウンセリングを展開するという志を持っている学会が5つあり、また、団体が2つあって、合わせて7つの団体の連合体である。

【日本PTA全国協議会】公立の小中学校の約1,000万の会員がおり、地域と学校と家庭とが一緒になって子どもの健全育成に努めているところである。特に家庭の教育力の低下が指摘されているので、地域の人たちと一緒に子どもたちの安全、安心して通える環境づくりに努めているところである。

【全国高等学校PTA連合会】今年度まで文部科学省の委託事業として、子どもを取り巻く人間関係の回復と社会環境の充実事業を実施してきた。昨年度は親と子どもの関係についてのアンケート調査等を報告にまとめている。今年度は子どもたちの心とその背景についてアンケート調査し、分析結果をすべての保護者に対して情報発信していきたいと考えている。

【フリースクール全国ネットワーク】フリースクールは学校外の子どもの居場所、学び場であり、主として不登校の子どもたちの成長支援にかかわっている。現在約70団体がつながり合い、市民でできることをボランティア的な熱意で進めており、子どもの笑顔がよみがえるのを見るにつけ、このような活動が公的にも応援されることを望んでいる。

【教育支援協会】各地の行政組織又はさまざまなNPOの団体ののコーディネートをするような仕事を中心に行っている。

【中央青少年団体連絡協議会】ボーイスカウトやガールスカウト、YMCA、YWCAといった全国組織の青少年団体の協議会である。日々子どもたちと向き合って、最先端で子どもたちと遊び回っている。

【野中企画調査室長】全国に約4,700カ所ある児童館や母親クラブ、放課後児童クラブの活動支援と研修等を通じて子どもたちの健全育成と放課後生活の充実に役立つように努めている。

【インターネット協会】インターネットに関する技術的な課題の解決や、新技術の普及を目的として元々は設立された協会である。フィルタリングに関しては、去年の4月からインターネット利用環境整備法が施行されたところである。また、インターネット利用のルール・マナーの普及啓発については、ネットいじめの問題や、出会い系サイトへ誘引の問題があるので、テキストをつくったり、ネットを通じて実際に自分の知識をテストできるようなサービスをやって無料でやっている。また、文科省の委託を受けて、「ちょっと待って、ケータイ」というリーフレットを作成している。全国の小学校6年生全員に携帯電話を使う際の注意を啓発するためのリーフレットである。

【日本弁護士連合会】日弁連は子どもの権利委員会を設置しており、少年司法をはじめ、子どもの権利の充実、発展のための多方面の課題に取り組んでいる。特に福祉部会を設け、虐待問題やいじめ問題にも最近は力を入れている。

【日本BBS連盟】BBSはBig Brothers and Sistersの略で、全国約4,500人の会員が、兄、姉という立場で非行少年や社会不適応少年の立ち直りを助けるというボランティア活動をしている団体である。

【日本青年会議所】青年会議所は全国に基本的に自治体を中心とした単位の700の団体・4万名の会員を有している。その中でまちづくり、青少年育成事業にそれぞれの団体が励んでいる。

【全国商店街振興組合連合会】商店街は売り上げ、業績が大切ではあるが、一方では住みよいまちづくり、安全で安心して子育てができる町の中の商店街の機能というものをもう一度原点回帰をして考えていきたいという行動に移ってきている。具体的には、商店街の空き店舗を利用して子育て村、寺子屋塾というような地域が子育てをする、また、商店街が長屋のように子どもたちを育てるといったことである。まさに今日の会議のテーマの子どもを見守り育てるということは商店街の役割だと思っている。

【日本労働組合総連合会】全国に加盟組合員が670万人ほどおり、組合員に限らずすべての働く者の雇用と暮らしを守る取組をしている。取組の一環としては、おおむね2年に一度全般的な政策の提言集を取りまとめている。本日の会議にかかわる問題としては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実、あるいはいじめに遭った児童の訴える場の設置などを文科省はじめ各関係省庁に働きかけをしている。

 地域の具体的な取組としては、加盟組織である日教組がほかの団体とも連携しながら、親と子と教職員の教育相談室を設置している。また、47都道府県にある地方連合会を通じて独自の児童相談又は子育て支援の取り組みをしている。

 

(3推進宣言の採択

【事務局】推進宣言案の前文にあるとおり、私たち大人が、一人一人が子どもたちを見守り育てる責任があることを自覚し、学校・家庭・地域社会が一層連携を深め、行政と民間団体が一致協力して取り組むことを決意し、ここに宣言するという趣旨である。1番が子どもが悩みを相談することができるチャンネルを充実する。2番が社会全体で子どもを見守る。3番が子どもたちが安心して過ごせる居場所をつくる。4番が子どもたちと地域の人が触れ合う機会をつくる。5番目に家庭教育への支援を行う。こうした内容について推進宣言をまとめている。

            (この後、推進宣言の採択について「異議なし」の声あり)

 

(4)ワーキンググループの設置について

【事務局】ワーキンググループは、推進会議の構成員間の連絡・調整を行い、具体的な取り組みの検討を進めることを趣旨として設置する。当面の目標としては、平成22年7月中を目途に、関係省庁、民間団体の取り組みの現状、課題のヒアリングを行って課題を抽出する作業を進めるといったことである。

        (この後、ワーキンググループの設置について「異議なし」の声あり)

閉会

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室