学校の第三者評価のガイドラインの策定等に関する調査研究協力者会議(第8回) 議事要旨

1.日時

平成22年2月26日(金曜日)10時~12時

2.場所

九段会館 3階 「真珠の間」 (東京都千代田区九段南1-6-5)

3.議題

  1. 「学校の第三者評価ガイドライン」について
  2. その他

4.出席者

委員

天笠委員、大矢委員、風岡委員、金子委員、神林委員、小松委員、實吉委員、島宮委員、日永委員、兵馬委員、藤井委員、藤原委員

文部科学省

前川大臣官房審議官、岩本参事官、田中主任視学官、西田学校運営支援企画官 他

5.議事要旨

(1)事務局より「学校の第三者評価ガイドラインの策定に向けた実地検証学校等アンケート結果の概要(平成22年1月現在)」について説明。その後、質疑が行われた。

 (○は委員からの質問、●は事務局からの回答)

○ 資料1の2ページに、今回の実地検証が「あまり役に立たなかった」とか「まったく役に立たなかった」という意見があるが、この点に関して何らかの分析はなされているのか。

● アンケートでは、実地検証全体を通じて良かった点や課題を記述式でお聞きしている。今回配布している資料は中間段階のものであり、今後ご指摘の点も含めて様々な分析を進めていくこととしている。

○ 実地検証の課題を丁寧に分析したり、データを整理することも大切である。

○ アンケートでは学校の匿名性は担保されているのか。

● アンケートでは学校名を書いて返していただいている。実地検証がどの学校を対象に行われているかについては文部科学省として公表していないので、アンケートも実地検証と同様、どの学校がどのような回答をしたかを特定できないようにしたいと考えている。

○ 学校名を書いて返していたのでは、文部科学省に対して「役に立たない」という回答をしにくいと思う。このため、「役に立たない」と返した回答結果については、特に十分分析していただきたい。

 

(2)事務局より「学校の第三者評価のガイドラインに盛り込むべき事項」について説明。その後、討議が行われた。

○ 資料2の1ページについて、「学校教育法に規定されている学校評価の一環として」という記述があるが、学校教育法には学校評価の実施を義務づけるような規定をしているため、このように記述すると第三者評価の実施が義務的なものとして受け取られるおそれがあるのではないか。

● 学校教育法の規定は学校評価の根本となる規定で、その具体的な実施義務等については省令で規定している。今回のガイドラインで第三者評価の実施を義務的なものとして位置づけるものではないため、そういう趣旨が明確になるよう記述を検討したい。第三者評価も学校教育法に定める学校評価の一環であるという基本的な考え方が整理できればということで、その旨を案として記述させていただいたところ。

○ 資料2の3ページの(ア)に「異なる実施者間」とあるが、これはどういう意味なのかご説明いただきたい。また、同じページの(イ)に「都道府県による支援などを考慮することも求められる」という部分についてもどういう意味なのかご説明いただきたい。

● 評価自体は学校単位になると想定されるが、評価に関する事務は学校単位を越えて共同で行うことにより効率化するということも考えられるため、3ページの(ア)のような記述を入れたが、文言については、分かりやすくなるよう今後工夫させていただきたい。

● (イ)については、都道府県が支援することも求められるという意味だが、端的な表現を検討させていただきたい。

○ 第三者評価においては、日程調整等の事務を行うスタッフが重要な役割を果たす。具体的な評価に関わる事務の実施体制についてあらかじめ整理しておくと、より内容が分かりやすくなるのではないか。

○ 学校や設置者が第三者評価に取り組みやすくするために、ガイドラインとは別の形で、実際に取り組まれている具体例を示すことを検討するべきではないか。

○ 資料2の3ページの2において、「第三者評価の評価チームが」とあるが、前回の案では「外部の専門家を加え」と記述していただけであった。このため、今回の資料では、複数の専門家を評価者にしなければならないということになり、実施者にとって第三者評価の敷居が高くなるという懸念がある。

● 資料2の3ページの2の実施体制は、確かに、1に記述している実施体制の類型であるかのような表現になるが、必ずしもそうではなく、学校関係者に外部の評価者が入ることにより第三者評価と学校関係者評価を一体的に行うということでよろしければ、その方向で表現を工夫したい。

○ 「評価チーム」と記述しなくても、「第三者評価の評価者」と表現するだけでよいと思う。

● 前回の案は学校関係者評価委員の中に第三者が加わるという意味であったが、今回の案では2つの主体が合同で評価を行うという意味に読めてしまうため、よろしければ1つの主体に第三者が加わり評価を行うという表現に改めさせていただく。

○ 協力者会議では第三者評価の在り方を議論しているため、学校関係者評価の評価者の中に第三者評価を加えるのではなく、第三者評価の構成員に学校関係者を加えるという観点で記述すべきではないか。
  また、資料2の3ページ(ア)の「異なる実施者間」は「複数の学校で」と記述すればよいのではないか。 

● 第三者評価の実施体制に関しては、本協力者会議のこれまでの議論で1のようなチームを編成する方法だけではなく、バリエーションを広げる方向での議論があったことを踏まえて記述している。学校関係者評価に第三者が加わる方法まで広げたほうがよろしければ、そういう趣旨がきちんとわかる表現に改めさせていただきたい。

○ 特に小規模な設置者においては、第三者評価のメンバーを確保することは困難であるということを踏まえると、学校関係者に第三者的立場の人を加えて実施するという方法のほうが現実的である。

○ 資料2の3ページに1~3として第三者評価の実施体制が記述されているが、1の実施体制はしっかり位置づけつつ、事務局の体制が担保できるよう柔軟な対応として2、3の実施体制がある、としておくと理解しやすいのではないか。

○ 資料2の3ページに「異なる実施者間で共同して行うといった工夫」という記述があるが、ここで学校事務の共同実施を活用すると、複数の学校が共同で学校評価に関する事務処理や連絡調整を行うことができるようになるのではないか。現実に、小中連携を行っている学校では、事務職員が学校関係者評価の事務局の役割をするという事例が見られる。このような体制で学校評価を行うことにより、事務職員を活用できるとともに、教員の負担軽減が可能になる。
  また、資料2の3ページに、第三者評価の実施体制3として「中学校区単位などの、一定の地域内の複数の学校が協力して」という記述があり、これは学校関係者評価に近いのではないか。 

● 3ページの実施体制の部分については、今回の議論を踏まえて改めて表現を検討させていただきたい。

○ 資料2の6ページに「自己評価は毎年度少なくとも1回は実施することが望ましく」と記述されているが、これでは自己評価は毎年度1回実施しなくてもよいかのように読めるのではないか。

● 学校教育法施行規則においては、自己評価の実施を義務づけているが実施頻度については規定していない。一方で、学校評価ガイドラインにおいては「少なくとも1年度間に1回は実施する」と記述しているが、ガイドラインは指針であるため義務づけている訳ではない。ガイドラインの文言との整合性も踏まえた上で、表現を検討させていただきたい。

○ 資料1の11ページにおいては、評価者からの回答の内容にばらつきが見られるが、評価者の立場によって回答に違いがあるのか。これだけ回答にばらつきがあるという結果を見ると、やはり評価者の確保についてはかなり課題があるのではないかと思われる。

● ご指摘の点も含めて今後分析を進めていくこととしている。

○ 今後は評価者の確保や養成が大きな課題である。資料2の9ページの一番下には、評価者の養成・確保について記述しているが、もう少し踏み込んで記述すべきではないか。

● 評価者の確保については、本協力者会議で国や都道府県の役割についての基本的な考え方を示していただき、それを踏まえて現場の実態や第三者評価を実施する際の課題を具体的に把握した上で、国や都道府県レベルでアクションプランを策定するなどして取り組んでいくべきものと考えている。

○ 資料2の9ページの一番上に「実施者は、当該第三者評価にふさわしい評価者を選定する責任がある」と記述されているが、実施者がそこまでの責任を負うことは困難ではないか。また、何をもって「第三者評価にふさわしい」とするのか。

● 学校現場が自らの質の向上、学校運営を改善する場合、学校の主体性というものが大変重要。評価者は単に外部の人であるということではなく、第三者評価を受けた学校が、評価結果を受け止めて改善に結びつけていけることが必要である。
  実施者は第三者評価を実施する上で、どのような評価者を選んできたのかということをきちんと責任を持って考え、説明することが非常に大事であることから、このような「ふさわしい」の内容については、8ページにあるとおり、「評価項目に即した専門性や知見、及び具体的な評価活動を担うことができる経験や能力」と記述している。 

○ 学校関係者評価の評価者と第三者評価の評価者の住み分けが難しいと感じる。
  また、評価を受ける学校側としては、学校単独では改善に取り組めない評価結果が出た場合に、評価結果を根拠として学校の改善に結びつけられるよう、資料2の10ページの3の表現をもう少し強めていただけるとありがたい。 

○ 実施者が自主的に第三者評価に取り組めるように、ガイドラインにはあまり細かい記述をするのではなく、別途事例を示すとよい。評価者を確保したり研修を行うとなると実施者が着手するにはハードルが高いので、まずは第三者評価の原則を打ち出し、事例を蓄積することで進めていけばよいのではないか。

○ 校長には学校現場としての意見を求められるという役割があるが、国や設置者が現場の実態を示す資料として、学校評価結果を集積し、あらかじめ広く把握しておく旨の記述を入れていただきたい。

○ 国の役割として、第三者評価を行うことのメリットを発信してくことが大事。そのためには、第三者評価を行うことにより具体的にどのような改善がなされるかというエビデンスを、国が主体となって集めることが必要。また、第三者評価を自主的にやりたいと思わせるようなユーザー満足度の高いウェブサイトを作る必要もあると思う。

○ 都道府県は高等学校及び特別支援学校においては設置者になるため、資料2の12ページにおいては都道府県のそのような役割についても記述すべき。

○ 資料2「学校の第三者評価のガイドラインに盛り込むべき事項」は、協力者会議における委員の発言を踏まえて作成しているため、会議の回数を重ねるごとに分量が増えている。今後は読み手の立場から、重要なポイントを明確にする必要がある。

○ 何のために第三者評価を行うのか、第三者評価がどのように学校の改善に役立つかということに立ち返るべき。また、第三者評価の実施は義務ではないが、自己評価や学校関係者評価の質を充実させるようなものになれば、ガイドラインを作成する一定の意義があると思う。

○ 第三者評価が学校のみで完結するのではなく、評価結果を踏まえた教育委員会の支援など、国や教育委員会の方針や施策に連動するものであるという位置づけを明確にしていただきたい。
    また、第三者評価のガイドラインはこれで完成というのではなく、第三者評価の質の充実を促すために随時見直していく必要があるという内容を盛り込んでいただきたい。 

○ 現在の案は、非常に設置者の負担軽減が図られているように思われるが、第三者評価が議論され始めた頃の経緯から、第三者評価に対して反発を抱いている設置者もあると思われるため、今後、ガイドラインに関して設置者の意見を吸い上げることも必要になるのではないか。

 ・事務局から今後の会議の予定について説明があり、閉会した。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 企画・学校評価係

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付 企画・学校評価係)