学校の第三者評価のガイドラインの策定等に関する調査研究協力者会議(第5回) 議事要旨

1.日時

平成21年7月22日(水曜日)13時~15時

2.場所

中央合同庁舎第7号館西館 共用第2特別会議室

3.議題

  1. 学校の第三者評価のガイドラインに盛り込むべき事項について
  2. その他

4.出席者

委員

天笠委員、大矢委員、風岡委員、神林委員、木岡委員、小松委員、實吉委員、島宮委員、竹原委員、千々布委員、永松委員、浜田委員、兵馬委員、藤井委員、藤原委員、松尾委員

文部科学省

前川大臣官房審議官、岩本参事官、西田学校運営支援企画官、他

5.議事要旨

 (1)事務局より人事異動の紹介の後、「学校の第三者評価のガイドラインに盛り込むべき事項」について説明。その後、自由討議が行われた。

    (○は委員による発言、●は事務局からの回答)

○ 前回の資料から「客観的」という言葉を削除したのはなぜか。

● 学校と直接関係を有しない者による評価を「客観的」な評価と表現していたが、この意味を明確にするため。また、前回会議でも「評価はそもそも主観的なもの」という意見があったためである。

○ 評価結果は不特定多数の人に対して公表する必要はないと考えるが、資料のP1では「評価結果等を保護者等に積極的に説明・公表していくことが求められる」とされており、学校関係者以外の不特定多数の人に対しても公表するように読めてしまうため表現を改めるべきではないか。

● 誤解が無くなるよう表現を検討させていただきたい。

○ 資料のP4に「第三者評価を行わせることを基本とする」という記述があるが、「第三者評価が実施できるようにすることを基本とする」と修正した方がよい。

○ 資料のP4に「第三者評価を行う」という言葉が2つ出てくるが、どちらも「第三者評価の主体となる」と修正した方がよい。

○ 現在の案で想定されている第三者評価は、文部科学省が試行事業として行っている第三者評価と同様のものと考える。これには多額の予算がついており、各都道府県から評価委員を推薦してもらっている。この試行事業と同様のものを都道府県・市町村に求めることには無理があるのではないか。
  現実的に行うことができる第三者評価は資料のP6に示されている「保護者・地域住民等の学校関係者に大学教員等の専門家を加えて」行う評価であると思う。ガイドラインでは多様な評価の方法を可能にするような記述にするべきである。

○ 複数の市町村などが共同して第三者評価を行うことについては、小規模な市町村では第三者評価を行うことが困難な場合として記述するよりも、多様な評価の方法の1つの例として記述する方がよいと思う。

○ 第三者評価の評価自体は学校の設置者とは別に編成される評価チームが行うものであるため、教育委員会が大規模でも小規模でも、評価を行おうという意思さえあればできると思う。「第三者評価を行わせる」という文言は、強制するということではなくて、設置者の意思に基づいて評価チームが実際の評価を行うという意味ではないか。

○ 小規模自治体は第三者評価を行うのにあまり多くの時間と人を要しないため、かえって第三者評価が行いやすいという側面があると思う。ガイドラインにおいては、単独でなく複数の設置者が共同して行ってもよいという意味が表現できればよいと思う。

○ 資料のP5の「自己評価や学校関係者評価では不十分な点を中心に評価し」という部分は、「不十分」を「不足する」に修正した方がよい。

○ 学校の事務処理体制が脆弱であるため、学校評価が教員の過度な負担になっている。学校マネジメントに学校事務職員が関わることで教員の負担が軽減されるのではないか。
  また、学校事務職員には学校と教育委員会や評価チームとの間を取り持つ役割も期待される。
  現在、多くの学校では財務面などといったマネジメントの評価があまり実施されていないと思うが、事務職員が関わることによって、このような教育活動と異なる部分の評価が可能になる。

○ 現在、学校事務の共同実施の取組が進んでいる。複数の学校が持つ様々なデータを整備し、評価のための資料としてそのようなデータを提供したり、学校間の差異を明確にするようなフレームづくりが期待される。

○ 資料のP6に「私立学校と公立学校の競争」という表現があるが、「私立学校と公立学校とが共存」という表現に修正していただきたい。

○ 資料のP5では第三者評価において専門的助言をどこまで行うかは設置者が判断することになっているが、原則として評価者が判断すべきではないか。

○ 資料のP5では「今後の学校運営の改善につなげるための課題点等を提示することを基本とすることが適当」という表記があるが、課題点を提示するだけでなく改善の方向性を示すところまで行うべきではないか。

○ 学校関係者評価の中に専門家が入って評価を行う場合でも、第三者評価も兼ねているとするためには、その評価結果が設置者にとって無視できないものであることを明確にすることが必要。
  資料のP6に、複数の評価を併せ持つ取組を同時に行う場合に留意すべき点等については「さらなる検討が必要」とあるが、「さらなる検討」の内容として、学校関係者評価と第三者評価の両方を兼ね備えているということが明確になるようにするとよいと思う。

○ 第三者評価と教育委員会に対する評価の連動について検討すべき。

○ 教育委員会に対する評価は教育委員会が管轄している事務全てに対する評価であり、学校の第三者評価には学校の改善支援に関する設置者に対する評価が含まれるべきである。学校の第三者評価が教育委員会に対する評価に包含されるとすると第三者評価を行うことの積極的な意味が小さくなる。よって、第三者評価は教育委員会の事務のうち学校の改善支援について具体的に評価する等といった整理が必要なのではないか。

○ 学校関係者評価の中に専門家が入って評価を行う場合、当該学校に対する評価のみならず、教育委員会に対する評価と連動させる必要がある。

○ 資料のP6,P7では第三者評価の実施時期や日程、評価対象校の範囲については、設置者が「適切に決定する」としているが、具体的にどのように適切に決定するのかを議論すべきではないか。評価の実施時期については、評価結果を予算編成や人事構想に活かすことを考えれば、それに間に合うよう中間評価を行う必要があるのではないか。

○ 4月に校長が異動したばかりの学校で第三者評価を行うことは不適切であると思う。校長が数年かけて取り組んできたことを総合的に評価し、改善につなげるという発想に立てば、7月くらいに第三者評価を行うのが適切。また、年度末に評価を行うことは、多忙な時期の評価となり、翌年度を見越せない状態での評価となってしまい、不適切である。年度中に評価結果がフィードバックされる必要があるため、7月くらいの中間期に重点を置いた評価が重要であると考える。

○ 学校評価を行う場合、学校現場では年度当初に計画を立て、その後の1年間の状況をチェックするという方法が根付いていると思う。自己評価をベースに第三者評価を行うとすると、1年前の自己評価の結果を用いて6月か7月辺りに評価を行うことになり、学校の改善がワンテンポ遅れることとなる。そのような前提でよいのかを整理してガイドラインで示しておかないと、学校現場が混乱するのではないか。

○ 第三者評価は単年度で考えられるものではない。ここ数年間及び当該年度の7月頃までにおける学校の活動を分析し、9月頃以降の具体的な計画や目標づくりが適切になされるようにするものとして第三者評価を捉えることが適当である。

○ 自己評価や学校関係者評価は、年度内に2回行わなければ次年度の改善に生きてこないと思う。中間評価を行った段階で第三者評価を行うという考え方もあるかと思うが、そうすると第三者評価の評価対象期間が短くなってしまうので、数年の期間で捉える考え方があってもよい。

○ 自己評価における一般的な評価サイクルと第三者評価の評価サイクルは異なるものであると認識している。

○ 自己評価と学校関係者評価と第三者評価の評価サイクルの関係についても記述すべきではないか。

○ 学校改善に重きを置いているようだが、子どもたちにとっては教育を受けている今こそが大事。このような思いから私立学校は哲学や理念をもって学校経営を行っている。

○ 教育関係者だけでなく、別の分野の関係者も何人か評価チームの中に入ることが必要ではないか。

○ 資料のP10に、評価者は「当該学校の設置者とも直接の関係を有しない者」とあるが、具体的な例をいくつか示すべき。

○ 評価者に求められる資質がどのようなものかを示すことが必要ではないか。

○ 資料のP10に評価者の例が1から4まであげられているが、下の○に記述されている「学校と地域の連携に関する知見を有する者」と「組織管理に造詣の深い」者をこれらと並列的に記述する方がよいのではないか。

○ 資料のP10に課題として「評価者に求められる資質とは、具体的にどのようなものか」と記述されているが、1から4までにあげられている評価者の例から評価者に求められる資質が導き出せるのではないか。

○ 学校選択ができる学校の場合、地域との連携をどのように捉えるべきか検討すべき。

○ 地域との連携については、学校段階や各学校が置かれている状況等に応じて考えていくべきではないか。

○ 評価者の例として、「他の学校の教員等」があげられているが、事務職員も明確に読み取れるよう文言に加えていただきたい。

○ 資料のP12に「専門的評価に期待される評価活動を実践する工夫」とあるが、どのようなことを指すのか具体的に記述すべき。また、現在の案では課題等の提示について、学校単独で取り組めるものと設置者等による支援が必要なものと分けることとしているが、改善の方向性や専門的助言についても、それぞれについて提示するといった表現を加えた方がよい。

○ 「評価結果の取りまとめ」、「評価結果」、「報告」という言葉の関係について整理すべき。また、教職員の任命権者に対する評価結果の報告がどのような位置づけなのか明確にすべき。

○ 「評価結果」、「報告」などの言葉の整理については評価書など形のあるものの有無によって整理をした方がよいと思う。

○ 資料のP13に「評価結果について説明・意見交換」という記述がある。評価対象校と意見交換をした上で評価書を作成すべきと考えるが、この「説明・意見交換」は評価書が作成された前と後のどちらで行われるのか明確にすべきではないか。

● 資料のP12の「1.評価結果のとりまとめ」では、評価の結果を例えば評価書という形でまとめるまでの手続きを記述しており、「2.評価結果の取扱い」では、取りまとめられたものをその後どのように扱うかを記述したものであるが、不明確な部分があるため、表現ぶりを検討させていただきたい。

○ 予算確保に関する国や都道府県の責務を具体的に記述すべき。予算が必要となることが明らかな施策を、予算の裏付けのないままに都道府県や市町村に求めるべきではない。

○ 第三者評価に係るコストについては、どのように考えるかはっきりさせるべきではないか。

○ 資料のP15で幼稚園については、「環境を通して総合的に教育活動を行う」とあるが、これはどういう意味か。

● これは幼稚園教育要領に基づいた表現であるが、教科書というものはなく、各教科ごとに系統立った学習をするものではないという意味でご理解いただきたい。

○ 幼稚園の第三者評価のガイドラインは別に作る予定なのか。

● 別途策定する方向で検討されていると聞いている。

○ 第三者評価で財務面までチェックするのは評価者にとって大変な負担となり、非現実的ではないか。

○ 私立学校では財務が一番重要と申し上げたが、何が重要かを理解していただきたかっただけであり、ガイドラインに特に盛り込むべきとは考えていない。

○ 第三者評価を学校改善に活かす場合、数年スパンで取り組むこともあれば単年度で集中して取組むこともあるので、改善のサイクルについては幅広く捉えるべき。また、評価者の在り方については、多様性よりも専門性を強調すべきである。
  自己評価や学校関係者評価も新たな気づきをもたらすことがあるので、資料のP1の「新たな気づきをもたらすような評価」という表現は工夫した方がよい。資料のP5「自己評価や学校関係者評価では不十分な点を中心に評価し」という表現は不要ではないか。

○ 過去に行われた第三者評価の試行事業の結果について検証を行うべき。また、国指定による学校評価の充実改善に関する実践研究等の各地域の報告書の蓄積もあるため、それらの分析を行うことで新しい学校評価の在り方を考えていくべきではないか。

○ 評価結果の公表については、個人情報保護のみを理由に非公表としても、学校の説明責任との関係など様々な問題が生じることがあるため、もう少し幅広く検討すべきではないか。

○ 教育の質を高めるため、今後は学校だけでなく保護者側の評価も必要になるのではないか。

○ 資料のP5の1では「目標」と「達成」という言葉が何度も登場し、一度読んだだけでは内容が読み手に伝わりにくいため表現を工夫すべき。

○ 現在議論しているガイドラインは小・中学校を念頭にしており、幼稚園については別に策定するとのことだが、特別支援学校は幼稚部、小学部、中学部、高等部とあるため、特別支援学校についてはどのように考えればよいのか整理していただきたい。
  高等学校や特別支援学校は小・中学校と比べて教職員の数が多いため、全ての教職員に学校運営について理解させることは困難ではないかと思う。
  教職員の異動が学校運営に影響することがあるが、これも評価の対象になるのかについてもご検討いただきたい。

○ 評価結果が設置者の学校支援にどうつながるのかなど、第三者評価の意義をもっと明確にしていただきたい。

 ・事務局から今後の会議の予定について説明があり、閉会した。

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)