学校の第三者評価のガイドラインの策定等に関する調査研究協力者会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成21年5月22日(金曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 3F1特別会議室

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 学校の第三者評価のガイドラインの策定等について
  3. その他

4.出席者

委員

天笠委員、大矢委員、長田委員、風岡委員、金子委員、神林委員、木岡委員、小松委員、實吉委員、島宮委員、竹原委員、永松委員、浜田委員、葉養委員、日永委員、兵馬委員、藤原委員、松尾委員

文部科学省

金森初等中等教育局長、前川大臣官房審議官、藤野参事官、西田学校運営支援企画官、田中主任視学官、他

5.議事要旨

・前川大臣官房審議官からあいさつが行われた。
・委員および事務局メンバーの紹介が行われた。
・委員の互選により、座長に天笠委員、副座長に小松委員が選出された。
・議事の取扱いについては、資料2「会議の公開の取り扱いについて」が承認され、会議資料については原則として公開とし、会議を傍聴しようとする者は、あらかじめ初等中等教育局参事官付の登録を受けることとされた。
・事務局から第三者評価に関する現状や取組等について説明があった後、自由討議が行われた。その概要は以下の通り。

  (○は委員による発言、●は事務局からの回答)

○ 第三者評価そのものの意義や第三者評価のガイドラインの目的について議論し、決定していく必要がある。

○ 私立学校は受験という形ですでに第三者の評価にさらされている。学校の在り方については、私立学校と公立学校では性質を異にしているが、教育活動については、学習指導要領など文部科学省から示されている基準があるので大きな差異はないと思う。
  また、私立学校は寄附行為により成り立っているため、寄附行為の内容に重きを置いて学校が設立されている。また、先の私立学校法の改正により理事会機能の強化や監事の機能強化が図られたこと、学校法人に設置されている評議委員自体が、私立学校においては第三者的な立場にあることをご理解いただきたい。

○ 学校評価を行う際にはコストが発生するが、第三者評価を議論する際には、どのようなコストイメージで議論をすればよいのか。

● 当面コストは考えずに議論していただきたいが、効率よく効果を上げる評価という考え方が必要だと思う。

○ 監査的な要素を盛り込むということについては、コストの問題や評価委員の質の問題も含めて課題があると感じている。学校運営全般について評価するということになると、現実的には非常に大変だと思うので、評価項目をどうするかが重要。
  また、公表の仕方が課題であると思われるので、公表の仕方についてもぜひ議論していただきたい。

○ 第三者評価が機能し、学校の質の改善につながるためには、教育現場の意識の改善が必要。評価を行うことが現場のモチベーションの向上に結びつくようにするべき。また、数年で管理職や先生方がかなり替わるため、どのポイントで第三者評価を行うべきかが問題。

○ 第三者評価をアレルギーに感じている先生がいるように感じる。改善点を見出し、ともに改善を図るという姿勢でなければ、なかなか現場の先生方は第三者評価を受け入れてくれないのではないか。

○ 高等学校は非常に校種が多いため、統一した評価項目ができるかという問題がある。また、部活動や資格取得などが学校の特色や評価につながるが、そのようなものをどのように評価項目の中で扱うのか。また、第三者評価による学校の負担とモチベーションがどのようにつながるのか気になるところである。

○ 評価項目としては、教育活動を支える資源である学校予算について、教育活動の実施を考えた予算編成、執行が行われているか、またどのようなプロセスで行われているかなどの視点が必要だと考える。学校の第三者評価試行事業の経験では、学校で準備する財務関係の帳簿が各地区によって全くばらばらであったため、共通のフォーマットがあると望ましい。

○ 特別支援学校は大きい学校であれば、幼稚園から小学部、中学部、高等部、専攻科まであるため、1つの学校でガイドラインを幅広く参考にすることになる。
  特別支援教育のことを理解している方が少ないため、委員や一般の国民、地域の方々に理解啓発する必要があると思う。学校で一番大事なのは教育を受けている本人であるが、特別支援学校で本人評価を行うと、なかなか自己主張できない子どもたちがいる。教育を受ける本人にとっての学校や教育環境についても検討いただきたい。

○ 第三者評価をすると学校や教育委員会が大変お得なんだという「お得感」を強調するガイドラインを作ることを期待したい。専門性や客観性など、自己評価や学校関係者評価では足りないところについてアドバイスするものになるとよい。
  校種や地域性の違いもあるため、共通に示すべき部分と地域の特色を踏まえて柔軟に対応してもよい部分を盛り込むことが大事である。

○ 学校評価における第三者性には、専門性、中立性、公共性の3つの役割がある。第三者評価の学校評価システムにおける役割として、これらのうちでどれに重点を置くのか、どのような関わり方が有効、必要なのかを考えるべき。
  日本は大学依存で教員養成がなされてきて、学校現場で専門家を育てるという発想が十分ではない。指導主事制度を中心とした専門家の養成が課題。評価者研修ではなく、評価者を養成するという発想が位置づけられる必要がある。
  コストについては、初期投資のコストと、システムが完成したあとの運用コストの両面を考えながらの議論が必要。

○ 世の中に対する説明責任を担保するのが第三者評価の一つの役割。民間企業で言う、監査法人の役割や内部統制と同じようなことが、教育の中でも求められてきている。自己評価や学校関係者評価の中で組織や学校経営の能力を高め、それらがきちんとできていることを保証するために第三者評価の役割があると思う。

○ 授業観察については、年に数回見ただけで何がわかるんだという教員側の不信感があると思う。実際に評価を受ける側の教員の意識改善につながるよう、効果的な実施体制を考えていかなければならないと思う。
  第三者評価が行われない間は教育委員会が責任を持って学校を指導していく必要があり、それを補完する意味で第三者評価を何年かに1回行うという考え方をとる必要がある。

○ 設置者みずからが学校にどんな支援ができているかを評価すべきではないか。
  アメリカでは地方教育委員会に対する認証評価というシステムが最近立ち上がってきている。このような形で教育委員会レベルが学校改善に対する支援体制、支援機能を整えるということまで視野に入れた上で、日本なりの第三者評価のあり方を考えていく必要がある。

○ 自己評価がきちんとなされているということを外から保証することが外部評価の果たす唯一の役割ではないかと思う。ただ、そのためには自己評価をきちんとやらなければならない。また、何らかの単位で評価委員会をつくるとき、評価を支える事務組織が必要だが、そのコストについて考えておく必要がある。

○ 教育の質保証全体の中での位置づけをきちんと考えるべきではないか。
  第三者評価というのは、自己評価や学校関係者評価で抜け落ちる部分をカバーするという考え方なのか、または学校教育全体を丸ごと評価するという考え方なのか。
  第三者評価を改善に結びつけようとすると、学校だけでは対応できない部分がやはり出てくる。評価と改善を結びつけるため、教育委員会ヒアリングまで考えて第三者評価のプログラムを作るのであれば意味があると思う。学校関係者評価も第三者評価も自己評価がベースにあるが、自己評価がきちんとできていないところがある。自己評価に立ち返っての議論が必要ではないか。

 ・事務局から今後の会議の予定日時について説明があり、閉会した。

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)