「教育の情報化に関する手引」作成検討会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成20年12月19日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3階3F2特別会議室

3.議題

  1. 「教育の情報化に関する手引」の検討状況について
  2. その他

4.出席者

委員

五十嵐、石原、梶本、金森、小泉、佐藤、清水、高橋、玉置、永野、中村、西田、野中、原、堀田、本田、山本、横山

文部科学省

斎藤初等中等教育局参事官、中沢情報教育調整官、その他

5.議事要旨

(1)「教育の情報化に関する手引」の検討状況について

○ 各WGリーダー及び事務局より、資料1に基づき各章の検討状況について説明があり、その後、章ごとに以下の意見交換が行われた。

 

【第1章(情報化の進展と教育の情報化)、第2章(初等中等教育局における教育の情報化)】
○ 学習指導要領がどう改訂されたかに関心を持っている方が多いので、学習指導要領に記述されたことが、教科指導におけるICT活用、情報教育・情報モラル教育、校務の情報化といった観点からどのように関係しているか、全体的に記述してほしい。

○ 第2章第3節(教育の情報化と学習指導要領)で全体的な記述をしたいと考えている。

○ 情報教育は、子どもたちの情報活用能力を育成するということだが、新学習指導要領において教科の中で行われる言語活動的な活動の中にこれに近い部分がたくさんある。教科の目標達成と情報活用能力の育成との両方を目指す学習活動が豊富になることを意味していることを記述したい。また、子どもがICTを使う場合、教科の目標の達成と情報活用能力の育成とのどちらかに分けることは難しい。これらのことが第2章第1節(教育の情報化について)で説明されれば第3章(情報教育)と第5章(学習指導でのICT活用)のうちの児童生徒のICT活用の説明が理解しやすい。図や表などで概念整理ができればよいと考える。

○ 第2章第2節で情報教育の3つの目標を示しているが、それぞれが独立したもののようにとられないようにしなければいけない。3つのうちどれを欠いても情報教育の目標は達成できないのであり、3つの目標がバランスよく達成されることが重要だいうことを示すべきと考える。

  

【第3章(初等中等教育局における情報教育)】

○ 第3章を記述する上で感じたこと、困ったことが3点ある。1点目は、第2節の「各教科等での指導」における各教科等の規準リストについて、中学校の各教科でも記述できればよいが、全て記述するとなるとかなり大変であり、どう整理するか。2点目は、具体的に学習活動の例を提示する形について、学習指導要領や解説の文言を活用した場合とかみ砕いた場合の記述の整理をどうするか。3点目は、中学校において各学年でどういう内容をやるか。例えば、情報教育の充実に向けて中学校の技術・家庭科の技術分野を中核にして全ての教科等で取り組むと記述しているが、技術分野についてはどの内容をどの学年でやるかは学校に任されており、表にまとめるのが難しい。どう記述すればよいか。

○ 今回の学習指導要領では、小学校ではここまで、中学校ではここまでという区分けをしっかりしようという意図がみられる。そのため、具体的な提案をして行きたいが、具体的にし過ぎても絵空事のように捉えられかねない。学習指導要領の記述と実際の学習活動をどう色分けしていくのか、あるいは関連付けしていくのか、ご意見をいただきたい。また、中学校の学習指導計画の一覧表についてはまだ何も埋めていないが、これをどう組み立てるかについてもご意見をいただきたい。

○ 第2節は「各教科等での指導」となっているが、学習指導要領を整理したものに見える。まず、学習指導要領でどう記述されているかを示した上で、具体的な学習指導の例を記述してはどうか。ただ、小中学校の学習指導の例で同じような内容が重複するのは紙面がもったいないので、小学校と中学校で記述の仕方が変わってもよいと思う。小学校の場合、1人の先生がある程度理解すると教科を通していろいろなことができる。小学校での実践事例は、各項目のところでこういうことが期待されていると書きながら、実践事例のところでは3つの目標をトータルにバランス良くやれるような事例を挙げていただき、一つの活用の中でいくつかのことを一緒にやれるんだというメッセージを送れればと思う。中学校については難しいと思うので、各教科の中できちんと位置付けてほしいことを事例として挙げていけばよいと思う。いずれにしろ、第2節は具体的なものが見えた方がよいと思う。

○ 第3章で根拠としている情報活用能力の8つの項目を作った際、現行の学習指導要領を基に具体的な活動内容、指導内容をピックアップした。現行の学習指導要領を基に作ったので、新学習指導要領でそのまま活かせるとは限らないが、参考になると思う。それを参考にして具体的に分かりやすいものにしてもらえばと思う。
  また、その際、各教科の担当教科調査官に学習指導要領の記述と整合性があるか精査していただいたが、今回も同様の作業が発生することが考えられるので頭に入れておく方がよい。

○ 第3節の「小学校から中学校への接続」の図について、小学校には情報手段の活用、情報モラルに加え、基本的な操作の習得がある。基本的な操作の習得は、学習指導要領の総則に記述され、小学校で身に付けることを前提に、中学校の学習指導要領の各教科でも記述がある。そういう観点から基本的な操作の習得が重要であるとここで記述されており、これは重要なことだと思う。
  「基本的な操作スキル」の表は、各学校、特に小学校で引用されると思うが、これを学年で分けることが本当にできるかについては検討を要する。低学年・中学年・高学年という分け方もあるが、いずれにしても、その学年でなぜそれを教えるのかを学習指導要領に記述されている具体的な学習活動との関係で説明できなければいけない。例えば、案にある「ローマ字入力によるタッチタイプで自分の名前や簡単な文字を入力できる」ことを3年生のところに書けるのかを議論しなければいけない。新学習指導要領ではローマ字は3年生の国語で習うので、3年生でローマ字入力を教えるのは理屈が通るが、タッチタイプまで行けるかどうかなどは十分な検討が必要であり、精査していただければと思う。

○ この表は重要であり、構成員の方々の意見を聞きながら精査する。学年の分け方については、低・中・高と3つに分けて幅を持たせる方向で考えていく。

○ 外国では小学校の低学年、高学年、中学校、高等学校と4つに分けている。検討していただきたい。

○  「小学校から中学校への接続」の図について、「慣れ親しませる」という表現は、子どもたちは小学校段階から自然に慣れ親しんでいくものなので違和感がある。また、情報モラルの学習活動が全て「~させる」という表現になっているが、情報手段の活用の学習活動は「~する」という児童生徒主体の表現となっている。この表は大事であり、学校にも活かされていくと思うので、精査をお願いしたい。

○ 基本的な操作の習得は、具体的に小学校の授業場面としてはどの時間で行うのか。

○ 一番最初の授業は、生活科に学校生活の単元があり、その中でコンピュータ室を見付けるといった活動を通して、どういうことをしているのかを体験させたり、町探検でデジカメで撮影したものを発表し合ったりするとか、新しい学習指導要領では交流の学習が入るので、交流活動の中でそうした活動をするといったところから始まり、3・4年生辺りを通して様々な活用の場面で身に付けさせて行きたいと考えている。

○ 従来の小学校では、情報活用の実践力を育成しようとするときに、操作スキルの習得の時間まで保証できないとか、活動の中に操作スキルの習得を埋め込むこと自体が難しいという意識があるように思う。その辺は、この中では読み取れなかった。教科の学習の中に操作スキルの学習を埋め込むことを記述するのだと思うが、一方で学習指導要領の内容は増えており、やることはたくさんある。この点を整理しないと、操作スキルをどこでやればいいのかということになると思う。

○  学習活動の場面場面で先生が使用するというイメージを持っている。45分の授業の中で5分くらいデジカメの操作を教えるといったイメージで埋め込まれていく学習活動だと考えている。

○ その辺りを分かりやすく記述していただければと思う。

○ 「基本的な操作」について、第1節2.(1)小学校段階において、「情報手段の適切な活用」は「基本的な操作能力を指導する領域である」と記述されており、「情報活用能力育成のスパイラル構造」の図では、3・4年生で「基本的な操作」、5・6年生で「適切な情報活用」という用語になっている。ここで見ると別のもののような感じに見受けられるが、「基本的な操作」と「情報手段の適切な活用」の関係は明らかにできるのか。

○ 「情報手段の適切な活用」というのは課題解決の学習であったり、目的に応じた学習であったりするので、「基本的な操作」の中に溶け混んでいるイメージである。低学年の生活科、中学年の様々な教科において、「基本的な操作」をする中で体験として児童に定着するものと考えている。

○ 議論の中でwithとaboutが混在していると感じる。小学校段階ではwith(情報手段を使って)の方で、慣れ親しませながら能力を身に付けていくというのが基本である。中学校になると技術・家庭科でabout(情報や情報手段について)についても入ってくる。高校段階に進むことを考えると、情報教育そのものを単独に時間・場所を取ってやるという意味での中学校での記述と、withをやるというところの違いをメリハリ付けなければ、withをやりながらaboutになるのか、aboutはどこでやるのか、ということが分かりにくくなってしまうのではないか。

○ 小学校の活動は情報手段を「適切に」活用できるようにするという活動なので、withの活用で満足できるが、中学校では「かつ主体的、積極的に」となるので、ABoutも入るという切分けが必要と考えている。

○ 小学校の社会科ではaboutがかなり入ってくる。そうした場合、各学年・各教科で記述した際に、withとaboutをどう書き分けるかは非常に難しいと感じる。

○ 中学校の技術・家庭科の技術分野の「情報に関する技術」は指導項目が3つに分かれているが、まとまって指導しなさいという規定は全くない。どの学年で指導することも可能なので、この手引で学習指導要領以上に規定してしまうことには問題があると思う。他の教科でも複数学年で内容を規定している教科もあるので、一覧表にしたときには学年による線引きを除いておき、学年を規定している教科等との関連は配慮しながら、各学校で3年間の指導計画の中でやってもらうというレベルまでしか記述できないと考える。
   また、「基本的な操作」に係る文字数の話だが、まだ結果は公表していないが、国立教育政策研究所の「特定の課題に関する調査」で技術・家庭科について調査している。全国3000人の中学校3年生レベルで、表示した文字を5分間程度で何文字くらい入力できるかといったデータが今後公表される。ご提案の45分間で600字程度で推敲するという具体的な数値を入れることには、いろいろなところから意見が出る可能性があることを認識しておいてほしい。

○ 中学校の学年ごとの線引きについては、いただいた意見で検討する。
  文字数については、根拠として、小学校の卒業文集は600字程度であり、コンピュータで処理する場合、10分間に200字程度の力があれば、45分間で、打ち込み、推敲し、印刷して保存までやれる、という目安を考えた。中学校で言えば、10分間で400字というのは、50分の授業時間内に1000字程度のレポートを作成することを期待しているということである。さらに、「キーボー島アドベンチャー」という文字入力学習サイトがあるが、そこに参加している小学校の児童のデータを見てみると、10分間に200字は十分可能ではないかと考えている。

○ 第3節にある「情報活用能力育成のスパイラル構造」の図は重要だが、スパイラルのイメージが見えていないということと、高等学校が入ってくると大きく書き換える必要があるのではと思う。中学校に技術・家庭科の技術分野が入っていないと欠けたものになるし、高等学校への繋ぎがうまくいかない。また、図では基本的な操作能力は3・4年生で終わるイメージだが、表の方ではそうではない。整合性について検討してほしい。

  

【第4章(初等中等教育局における情報モラル教育)】

○ 学校への携帯電話の持込みが問題化している中で、指導をどうすればよいかという点についてだが、学校への持込みが禁止されたとしても、指導は是非やらなければいけないと考える。これからの法整備等の変化があるとしても、子どもたちも携帯電話を使う世の中であることを踏まえて指導を検討していく必要がある。

○ その場合の教材をどのように子どもたちに提供するのかという点の記述を検討している。

○ 全体的な表現について、影の部分と光の部分の兼合いを書くのが難しいと思う。10年先を考えたとき、携帯電話以外のものへの対応や積極的な活用と情報モラルについて、うまく表現できるとよい。

○ 現在の記述は影の部分が中心であり、光の部分の教育として、積極的な使い方についても盛り込んでいきたい。

○ 第3節(具体的な指導内容)について、各教科における指導事例は第3章の指導事例と重複するのではという懸念がある。記述の仕方として切分けがあるか。

○ 第2節(学習指導要領における情報モラル教育)は、学習指導要領の記述程度に留めて、第3節に、実際に集めた事例を概要的に記述することを検討している。

○ 行き過ぎた児童生徒の行為による事件が起こると、全ての児童生徒にどこまで指導すべきかという話になる。そういった行き過ぎた例と、普通の児童生徒に指導すべき内容とは多少色づけが異なると思う。情報モラル教育を行っていても逸脱したことをする児童生徒はあり得るわけで、これを学校教育として全員に指導すべきとするのはどうか、ということを記述してほしい。

○ 「児童生徒の実態に応じた指導」の部分で補足したいと思う。

○ 情報モラル教育を全体的にやるのは重要だが、問題が起こったときに学校はどう対応するのかということは、第4章で取り扱うことではないかも知れないが、どこかで触れる必要があると考える。

○ 「情報モラル指導実践キックオフガイド」にはそうした事例が載っているので、参考にしながら、学校での生徒指導や対応を具体的に記述することを検討する。

○ 記述が拡大すると、情報モラル教育のねらいが逸れてしまうので、そういうことがあるとだけ記述して、詳細は別の章に記述する方がよい。また、日常的な学習指導の場面における指導についても触れておく必要がある。

○ 道徳に記述はあるが、もう少し膨らませたい。

○ 第3節の「具体的な指導内容」について、小学校では図画工作だが中学校では美術など、小学校と中学校の教科のどちらの教科も記述されるように整理が必要と考える。

○ 整理して記述したい。

○ 第4節(家庭や地域の連携と学校の役割)について、学校と家庭とのやり取りは、現状では学校から家庭への一方的な通知だけで終わっているという状況も見受けられるので、家庭からのフィードバックや、家庭との連携・協力といったことがより具体的に示されるとよい。

○ 抜けている内容なので、記述を検討したい。

  

【第5章(初等中等教育における学習指導でのICT活用)】

○ 第2節の「指導の効果を高める方法の研究や研修」のポイントについて、第9章でも研修の具体例やポイントを挙げているが、その切分けをどうするか。

○ ICTを活用した授業力を向上させるために、日々の学習指導を行いながら考えていくといった、本章で取り扱うICT活用や授業に密接に関連した内容で記述している。他の章との関係も検討しており、記述ぶりは今後調整したい。

○ 第3章・第4章が情報教育の目標に関連する学習内容で、第5章で突然、別の観点になっている。第2章で切分けを記述してもらうにしても、混乱しやすいとこなので、第5章の冒頭に、この章では教師が日常での学習指導の中でどのようにICTを活用するかという観点で記述する、といった説明を加えてはどうか。

○ ICTとは何か、ICT活用とは何か、といった記述は第2章になるのか、第5章になるのか。

○ その点はWGでも議論となるが、第2章との調整もあるので、記述については今後の課題と認識している。

○ 「教員のICT活用指導力チェックリスト」のC(児童生徒のICT活用を指導する能力)は情報活用能力を育成することに結び付くとしても、各教科・各授業での使い方は、あくまでその教科の目標を達成するためのものである。各教科では、それまで培ってきた情報活用能力を活かして使うことが前提にあるが、そうした能力を身に付けながら、更に教科の学習を深めていくという、目標が多重化した部分もあると思う。そこでこの章を見た場合、第2節1.(授業中におけるICT活用)の(1)はチェックリストのB1に当たる。(2)と(3)はB4とC4に対応させていると感じる。しかし、これだけだと授業中に教師が提示して活用するのが主になり過ぎていて偏りを感じる。(4)はB4とC4の内容が混ざっていると感じるが、「児童生徒の知識の定着を図るため」とはなっているが表記上は教師が主語となっており、児童生徒が主語になるようにしたい。子ども一人一人の学習状況に応じてICTを使うことは、かなり効果がある。一斉に行うドリルだけでなく、個々の学習状況に応じて問題が変わっていくという個別学習の使い方で習熟を図れるという点で本当に効果がある。C4は教科の学習内容を達成するための活用であり、その辺りをもう少ししっかり記述してもよいのではないか。また、C3はプレゼンテーションや表現ということだが、教科では表現するだけでは終わらない。学習活動を振り返って、まとめて、そこからクラスの仲間などとやり取りをしながら、更に自分の考えを深めていったり他者から学んだりといった協同学習になり、教科の学習をより深めていく。そうした面で、C3についても教科での活用が示せると思う。(2)に5年生理科の「天気の変化」が書かれており、このような学習でのICT活用は学校で一般的になっている が、教師が提示するだけでなく、グループで分析して予測したり、規則性を見付け出したりという方がより効果があるので、C1に持って来れる部分だと思う。この辺り、全教科を記述するのは難しいと思うが、Cの活用もあるということを示せないか。

○ 第5章の基本的スタンスとして、教科の学習指導目標を達成するという観点での書きぶりとしている。学習指導要領や解説を洗ったが、ご指摘のような活動はどちらかというと情報活用能力の育成に関わる部分も多々あり、教科の目標を達成するとも理解できる部分もある。そうした場合に、第3章でも記述し第5章でも記述するのかとなったとき、第3章で教科別に記述されているので、そちらに譲った方が妥当ではないかと考えた。ただし、ドリルのような話は第3章では取り上げられないので、第5章で記述したという経緯がある。

○ 多少の重複はやむを得ないのではないかと思う。児童生徒のICT活用は情報活用能力の育成だけを目的としているのではなく、情報活用能力を活かしながら教科の内容を深めるという点もある。それほど多く取り上げなくても、児童生徒のICT活用が教科の内容を深めるものだという事例がないと、現場の先生は教科で使おうという気が起きない。そういった戦略的な意味もある。

○ 書きぶりとして教員を中心としているが、タイトルは「学習指導でのICT活用」なので、教員全員が活用、指導できるという観点からいくと、教員が授業の中で使うことがまずスタートだと思う。ご指摘の点も十分検討を行ってきたが、例えば、先ほどの理科の天気の事例についても、子どもが観察した結果と衛星写真を比較させるなどのように、子どもが情報手段を活用した場面を取り入れながらも、教員が活用することがメインにならないと第3章との棲分けができないと考えている。

○ 第2節(具体的な方法や場面)において、授業中におけるICTの活用が4つに分かれて記述されているが、授業においてプロジェクタが用意されていれば、4つともできると思う。学習の流れの中で、興味・関心を高めた後、課題を明確につかませて、分かりやすい説明でも使えて、最後まとめをする際にも使えるというような、一つの授業の中での使い方、流れの中での使い方が分かる記述とすると分かりやすいと感じる。

○ 検討する。

○ 中学校の数学の新学習指導要領ではかつての「資料の整理」が「資料の活用」という単元となっており、コンピュータを使って表やグラフを作成し、その資料の傾向を読み取ることができるようにするなどの目標が掲げられている。具体的なICT活用の事例にそうした事例を入れた方が学習指導要領を反映していると見えると考える。

○ 了解した。

○ 第1節の「ICT環境の整備について」では、日常的に活用できるICT環境が全体的に大事と記述されている。一方、第2節の「日常的なICT活用のための環境整備」では、教室の中で常にいつでも使えるようにする工夫が細かく記述されている。この辺りは一つにまとめたり一貫性を持たせた記述にするか、項目名を変更して違いが分かるようにした方がよいのではないか。

○ 検討する。

  

【第7章(初等中等教育における校務の情報化)】

○ 校務の情報化が進まない背景には、予算的なことに加えて、校務が情報化されると何がどう便利になるか描けていないという現実がある。第1節に目的、第2節で立場ごとで記述されているが、この辺りで、そもそも校務が情報化されると何が効率よくなって、何がサービスの向上になるか、といったことを明確に打ち出す形でより具体的に記述できればよい。

  

【第8章(学校における情報化の推進体制)】

○ 情報主任の役割として「カリキュラムコーディネータ」という表現があるが、全ての教員の情報教育に関するものを含めて、これに携わる人の役割は大きい。現在の記述ではどのようなことをしたらよいか不十分だと思う。コーディネータとしての役割をもう少し具体的に記述しないと、そうした人のやる気を起こせないのではないか。

○ もう少し詳しく記述しなければいけないと思うが、校務その他に関しては、情報主任ではなく、むしろ教務主任レベルで学校全体を見渡してやるものとして押さえたいと考えている。

○ 「学校における情報化の推進体制」というタイトルであるのに、最初に教育委員会の話から記述されているので、このことへの説明が要ると思う。

○ 第2節3.(学校の情報化の具体化)の(2)情報セキュリティへの対応に「情報セキュリティポリシー等の規程を遵守し」とあるが、第7章では「学校情報セキュリティポリシー」という表現でしか出てこない。章にまたがって同じ言葉が出てくるところは、最後に整合性を取ることが必要になってくると思う。それ以外にも、ICT活用についても、大きく出力系と入力系に分類されているが、第10章(学校におけるICT環境整備)ではそうした分類がない。お気付きの点があれば、あらかじめ教えていただければ事務局でもチェックがしやすいかと思う。

○ 支援体制のことがICT支援員のところで書かれているが、教育委員会では推進体制と並行して支援体制が求められると感じる。そうした意味では、第1節1.の「教育委員会が果たすべき役割」として、推進体制に加えて支援体制を記述していただければと思う。

○ その点については、第1節3.(学校との連携)の(2)学校の情報化推進サポートにおいてICT支援員の位置付けから記述している。

  

【第9章(教員のICT活用指導力)】

○ 「教員のICT活用指導力チェックリスト」に関する記述の構成について、5つの大項目を記述してから各項目の説明を記述するというやり方もあると思う。「年間研修ロードマップ例」の図は重要だと思うので、悉皆研修である初任者研修、10年目研修等に関しての内容の位置付け、教育の情報化または教員のICT活用指導力の向上に関する位置づけを大きく取り上げてほしい。希望研修と悉皆研修では役割が違うので、その点をお願いしたい。教育委員会でも悉皆研修での位置づけで記述されていると、根拠としてアピールできるのでは思う。

○ 項目については修正したい。悉皆研修についても、図に分かりやすく入れたい。

○ 第2節2.(1)で研修の実践事例を記述しているが、研修における授業評価で模造紙を使う例が書かれているなど生々しい記述となっている。こうした例を載せるのか載せないのかの議論が必要ではと思う。

○ 検討しているので、分かりやすくしたいと思う。

○ 教員のICT活用指導力の定義やチェックリストの解説をした後に、全国的な実態や自治体による差が大きいことを示し、その上で、各学校・地域においてICT活用指導力の実態を把握しそれに応じて研修を進めることが必要であるというようなストーリーで記述することがが大事だと思う。

○ 教員免許更新講習の中でも扱っていかなければいけないと思う。

○ 「D情報モラルなどを指導する能力」で、情報モラルの定義を記述しているが、第4章に記述されているので、そこを参照するような形とした方がよい。

  

【第10章(学校におけるICT環境整備)】

○ コンピュータ教室の整備の記述があるが、ここまで全体を通して見てきて、コンピュータ教室を使った具体的な活動があまり出て来ていない気がする。コンピュータ教室の整備について記述するのであれば、その前までに具体的な活動も記述すべきではないか。小学校でも整備されているのだから、その点の記述が必要ではないか。

○ 地方交付税についての説明があるが、情報化に関してどれだけの経費が学校として積算されているのかという根拠を示すことができないか。また、それも以前より減っていると思うので、そういう状態にあるということを総額などで示してはどうかと思う。

○ 金額については、出せるかどうか、把握しているかどうかというのがある。また、手引全体の戦略、整備推進の戦略との兼ね合いで記述するしないというのもあるので、検討したい。

○ 普通教室、特別教室、コンピュータ教室の整備について、例えば全ての普通教室にプロジェクタを整備できないときに、コンピュータ教室と似た形で、ICT教室といった形で一斉指導用のICT環境を整備する方法も考えられる。小学校の英語の時間に「英語ノート」デジタル版をそこで使うなどの発想も盛り込めないかと思う。

 

○ 続いて、事務局より、資料2に基づき「教育の情報化に関する手引」の構成の見直しについて、WGリーダー会議での章の並び順(第3章~第5章、第8章~第10章)に関する議論の概要とともに説明があり、その後以下の意見交換が行われた。

  

○ 第8章~第10章について、表題だけを見ると新案でよいかと思うが、内容を見ると、第8章は具体的な現場の事例の記述、第10章は予算的な裏付けと機器の導入の記述となっている。この2つの章の関係で言えば、第8章の次に第10章という順が読みやすい。ただ、第8章は「学校における情報化の推進体制」でありながら、第1節はいきなり教育委員会の話をしているなど整合性の問題もあり、両方併せて再編成が必要かと思う。構成は第8章が「教員のICT活用指導力」、第9章に「学校における情報化の推進体制」、第10章に「学校におけるICT環境の整備」の並び順がよいのではと思う。

○ 第2章第1節で、教育の情報化が3本柱で構成され、これを実現するに当たって指導力の向上や環境整備、推進するためのサポート体制が重要と記述している。その辺りの整合性も考慮していただければと思う。

○ この点については、本日のところは、ご意見があったということで事務局とWGリーダー会議で検討することとする。

○ 第3章~第5章の関係だが、まず全体を見ると、第2章から第5章と第7章について、「初等中等教育における」と頭に付いているが、この手引全体が初等中等教育のことであるので、章の表題にその表現は要らないと考える。
   それから、かなり分厚い手引となった場合、第1章から順に読まれるのかという問題がある。例えば、学習指導要領の改訂の考え方は何かと思う人がいる。それは第2章で記述するようお願いしたが、現在の第2章の前半部分は第1章に置いて、第2章は、例えば学習指導要領改訂の概要あるいは基本的考え方として、情報教育に関係する事項、教科指導に関係する事項、校務の情報化に関係する事項、ICT環境整備に関係する事項、と整理して説明するのがよいのではないか。特に、学習指導要領では教科指導と情報教育をセットで活動する場合が多々ある。例えば、子どもたちに調べ学習をさせるとき、教科指導の目的を達成するためにその内容を調べるわけだから、それは教科指導となる。しかし、それを調べるスキルが全ての子どもにないとすると、一部の子どもに対してはその操作スキルの指導をしていかなければいけないので、その部分は情報教育になる。新たな学習指導要領に関する章を立てたとき、そういう2つの考え方があるということも記述しておけば、今回の学習指導要領の改訂について学びたい人はここを読みに来ればよいということになる。
   また、情報教育と情報モラル教育は間違いなくセットである。情報教育の中に情報モラル教育があるわけだが、現代的な状況から見て情報モラル教育が重要なので章を別途立てたということであり、この並び順は崩せない。情報教育の中で情報モラル教育のことにも触れておかないと情報教育の位置付けが崩れるので記述する必要があるが、それは第4章を見て下さいということで済む。
   その次の第5章は「学習指導でのICT活用」としているが、広すぎるのではないかと感じる。「教科指導でのICT活用」とすれば、情報教育とは別の形で位置付けられ、教科指導の目的を持ったICT活用に特化した形となる。ただし、先ほども言ったとおり、セットで情報教育も行うという便もあるから、それを記述して、その点は第3章を見て下さいということである。第3章も、情報教育を主体にはしているが、各教科における情報教育については過去の検討会でたくさん資料を作っているので記述する必要があって、教科指導のその部分は第5章を見て下さいとすればよいのでは、という気がする。
   そういうことからこの並び順を考えたときに、学習指導要領の改訂について記述するとすれば総則があり教科等ごとに記述されるから、その関連からすると、今の第5章が「教科指導でのICT活用」だとするならば、これを前にした方が学習指導要領の改訂と繋がりはよいかも知れない。それから今ある第3章、第4章が来るという気がする。第2章で重要なことは学習指導要領の改訂ということだが、読み手からすると、情報教育について特に知りたい人はいきなり第3章に行く。情報モラル教育を特に知りたいとなるといきなり第4章に行く。そうなると、章の順番というよりはニーズに応じてポンと読みに行ける、あるいは単独に入ってきたユーザーに対して解説の頭の説明が必要かと思う。
   特別支援教育は第3章から第5章までを総合的にまとめるからこの位置で、校務の情報化は特別支援教育も含めた校務の情報化であるからこの位置かと思う。第8章から第10章は、今の関係も含めて、3つの案について事務局に検討してもらいたいと思う。一般論としてだがどうか。

○ 今回の学習指導要領の改訂では、情報教育の体系についての考え方は特に変わっていない。つまり、97年から98年の協力者会議(情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議)の考え方が継承されている    。そこでの並び順とこの章の並び順が異なったとしたら、そのことにどこかで触れる必要があるかと思う。現状の並び順は協力者会議の並び順に従っている。

○ 現場の声ということで紹介すると、この検討会が始まったということを技術担当の指導主事は注目している    。特にタイトルが「情報教育」でなく「教育の情報化」になり、それで何が変わるのか非常に興味深く思っている。これまでの意見で考えれば、何を先に記述するのかという順番が変わったことにタイトルが変わったことの意味が現れていると現場の先生には理解してもらえるのではと思う。

○ 情報教育を軽視する気持ちは全然無い。非常に重要な位置付けの手引である。

○ 今の清水座長の提案に全面的に賛成である。新10章(現8章)に関して、今は「学校における情報化の推進体制」としているが、中身の冒頭は教育委員会についてである。「教育委員会と学校が連携した」など「教育委員会」という言葉がないと、章を後ろに下げる意味がないと思う。「教育委員会」という言葉が入れば、ICT環境整備の問題も含めて全て扱うということで、最後の方が座りがいいという気がする。

○ 「学校における」ではなく、手引のタイトルそのものの「教育の情報化の推進体制」として、教育委員会など全てを入れた体制を記述する方が最後の締めとして良いと感じる。

○ 「教育委員会」という言葉を入れるという意見に全く賛成である。基本的には学校が動くので、今の第8章の名称は「学校における」でよいかと解釈していたが、学校が動くためにはやはり教育委員会がしっかり支える必要があり、このことを大事にしなければいけないので、章の名称はそうする方がよい。
  それから、情報教育は非常に大事であるが、学校では環境教育など「○○教育」というものをたくさん求められており、当市でも教育委員会に教育課程を届け出るときにはいろいろな○○教育の年間指導計画を提出している。そういうことから考えると、授業は各教科が基本であるので、学習指導要領の基本がきちんとあって、日々の教科の授業があって、そして情報教育も大事だというように、段々と重きを置いて示していくことは、学校に促す面でも進めやすいと感じている。

 

(3)ワーキンググループ構成員の追加について

○ 事務局より、資料3に基づきワーキンググループ構成員の追加について説明があった。

 

(4)今後のスケジュールについて

○ 事務局より、資料4に基づき今後のスケジュールについて説明があった。

(以 上)

お問合せ先

初等中等教育局参事官付