特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第14回) 議事要旨

1.日時

平成21年6月23日(火曜日)10時~12時半

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 義務教育段階を中心とする特別支援教育の推進体制の充実について(特別支援学級及び通級指導の現状と課題を中心に) ○1事務局による説明 ○2瀧島委員による説明
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事要旨

(1)髙倉座長より挨拶が行われた。

(2)事務局より配布資料の確認が行われた後、説明が行われた。

(3)国立特別支援教育総合研究所小澤主任研究員より資料6に基づき説明が行われた後、瀧島委員より資料に基づき発表が行われ、自由討議となった。その概要は以下のとおり。

〔概要〕 ○:委員 ◎:ヒアリング者 △:事務局

(特別支援学級、通級指導及び特別支援教育コーディネーター等)

○ 特別支援学級のアンケート調査資料6P6の校長として望むこと(理想)と担当者の認識(現実)の調査について、質問方法は「特にそう思う」、「そう思う」、「あまり思わない」、「そう思わない」の4段階となっている。中間的な評価の選択肢は無く、肯定的評価か否定的評価かのどちらかについて、評価の程度の強弱を選択することとなるので、否定的評価で回答するのは非常に勇気を要することになる。結局のところ、「特にそう思う」と「そう思う」を合計して比較すると、現実としては8割、9割程度、校長は教員に対して満足している。校長に教員の評価を聞くことは、民間企業で例えると、各企業の社長に、自社製品の評価を聞くようなものである。そのような場合に、自社製品を否定的に評価する社長はあまりいないと思う。校長会でアンケートを実施すること自体は非常に有効であるが、その結果はユーザー側からの評価と乖離が生じているのかもしれない。

◎ ご指摘のように、自校の教員に対する評価についてのアンケートのため、好評価が高くなる可能性は想定していた。そのため、今回のアンケートは、「特にそう思う」と「そう思う」との差を比較してみたところ。なお、ユーザーである子どもたちからの評価については、アンケート調査等を実施しておらず、不明である。

○ 速報結果によれば、特別支援学級担当教員には特別支援学校教諭免許が必要であるとの回答が多いが、免許取得に対する具体的手だてを講じてはいないことに関しては、どのような背景があるのか。既に2割から3割は免許を所有しているので、これ以上は必要ないと考えているのか。若しくは、必要と考えるものの、別の要因によりそれができないということなのか。

◎ 校長としては、免許取得や研修の受講等を通じて、専門性を身につけてもらいたいと思う一方で、現実には教員自身が担任する子どもから離れることができず、研修等の出席が困難となっている。長期休みを利用した場合、免許取得までに3年から4年かかるため、免許講習中の特別支援学級の担任が、免許を取得する前に通常の学級の担任へと変わってしまうこともある。この点を踏まえると、免許取得ではなく、取得する過程の講座の中で、専門性を向上させていくことが重要であると思う。

○ 現職教員の免許取得については、認定講習のことを想定しているのか、若しくは、一時休業して専修免許を取得することを想定しているのか。さらに、認定講習を想定している場合、一種免許、二種免許のどちらを必要と考えているのか。

 認定講習の場合、養護学校の教員が養護学校免許を所有していないために、その方たちの免許取得が優先され、通常の学校の教員まで講習枠が回らないこともあったが、単に二種免許を取得すれば良いのであれば、講習枠を増やすことで対応できるので難しいことではない。

◎ 教員に一種免許まで要求する校長は少ないと思う。認定講習の中で、専門性を少しでも身につけてもらいたいというのが現実的なところ。学校を休んでまで一種免許に固執するようなことは、想定していない。

○ 二種免許だけでも随分違うとの考えであれば、全教員に何年以内の二種免許の取得を義務つけるというのも、1つの方法ではないかと思う。ただし、二種免許で良いという点については、疑問を感じる。

○ 免許の問題について、これまで、教員養成課程に特別支援教育に関する教科を設定するなど議論はあったが、一種免許や二種免許、専修免許などの免許の種類についての議論は初めての議論となる。

○ 赴任した最初の1年目から2年目まで、今で言うところの特別支援学級の担当を勤め、3年目以降、約30年間通常の学級に勤務を続けている教員がいる。その教員を見ると、若いときの2年間の特別支援学級の経験が、教員としてのキャリアに非常に役立っていることが実感できる。ただし、再び特別支援学級の担当となる機会が無いようで、積極的に免許状を取得することのメリットがないようだ。

○ 特別支援教育がスタートして、その推進体制として、校内委員会の設置やコーディネーターの指名など進んできているが、設置や指名だけではなく、実態そのものの充実が必要。実態の充実が進まない背景には、教育振興基本計画が計画されたにもかかわらず、教育への投資が依然として低いことが根本的にある。専修免許状ということも十分視野に入れ、教員養成に一層の時間と予算を費やし、特別支援教育や総合教育の問題を解決して行かなければならない。

△ 基礎データを紹介すると、特別支援学校においては、免許状の保有率が平成19年度の平均68.3%が、平成20年度において69.0%と微増。それに対して、小・中学校特別支援学級の担当教員について、特別支援学校教諭免許状の保有率は、平成19年度が32.4%、平成20年度の暫定値は32.0%と微減。これについては、年齢による退職補充などの要因もあり、単純比較はできないが、専門性の向上については、数字の上では必ずしも増加していない状況。文部科学省の取組では、平成18年度から、各都道府県の教員を対象とした専門性向上事業を大学に委託して研修を実施している。また、国立特別支援教育総合研究所においても、各都道府県の指導的立場の方を対象とした様々な研修事業を実施している。さらに、全都道府県を対象とした発達障害等の総合推進事業という中で、特別支援教育コーディネーターの養成研修、あるいは一般教員を対象にした研修についても実施していただいているところ。

○ 現場で感じていることが、資料6ではっきりと示されている。特に、資料6のP5の特別支援学級担当教員について、経験年数が実質5年以下の者が半数を超えているというデータ。身近なところでも続々と初任者が着任しているが、その一方で、地域や周囲に模範や指導者となる教員がいない。

○ 教員養成課程の問題について、通常学級の教員志望者向けの教職課程の問題と、特別支援学級の専門性の高い教員を養成する課程の問題があり、後者については今後、これらの養成課程の枠や人数をさらに増やしていただきたい。

○ 現職教員の専門研修について、東京都などでも地域や特別支援学級の将来のリーダーを育てるため、様々な研修を用意しているが、ほとんど手が挙がらないのが現状で、今年は3,000学級あるうちの4名。出席する方も、年々、多忙感や疲労感で身が入らないのが現状。

○ 現在の学校現場は、地域で特別支援学級の教員を育てても、初任者が着任し、五、六年したら通常の学級へ転任してしまう。通常の学級から特別支援学級へ戻るということはまず無い。ひどい事例では、通常の学級で指導力不足であったり、学級崩壊を起こしてしまったりするような教員が特別支援学級に配置されるようなこともある。

○ 専門性がない部分をどうやって補っていくかということについて、専門機関との連携やサポートを受けることが必要。都道府県単位の特別支援学校において予算や制度がある場合、医療、言語、心理の専門家が導入されているが、区市町村の場合は、そのような予算措置も制度も無い。

○ 特別支援学級の子どもが急増してきているという実情の中で、3年過ぎたら教員が去ってしまうという実態があることは、極めて矛盾を感じる。昭和54年に養護学校義務制が施行されたが、東京都では昭和48年には希望全員就学となった。この時期は養護学校や子どもが急増し、現在と同様の状況が生じた。当時、私も一生懸命、手練手管も使いながら定着させるように努力したが、3年で異動となってしまうため、特殊教育の成長には憂いを感じた。その時期と全く同じ状況では無いが、繰り返さないためにも、現状を真摯に受け止め、対応を検討する必要がある。

○ 従前から常に言われてきた教員の免許取得の問題について、免許は10年程度経てから全員が取得するという構想まで議論されたが、結局、据え置かれたままとなっている。

また、特別支援学校はセンター的役割を持つという位置づけがなされているので、そのような取組をもっと活用するべき。他校種とも交流を深め、門戸をさらに広げるような努力をする必要がある。

○ 専門性と言うと、免許状の議論となりがちだが、それだけではなく、本委員会では、人間性や愛情などといったヒューマン性の点についても、魅力ある言葉でもって打ち出していく必要がある。

○ 専門性の問題点は、よくテクニカルな議論になるが、資料の速報値にあるように、テクニカルな面、コンセプチュアルな面、ヒューマンな面、ヒューマンなマネジメント、こういったものを総和として考えられることを示唆いただいた。このような総合的な視点から専門性の問題を、今後議論していく必要がある。

(特別支援教育の推進体制)

○ 本市の小学校に在籍している子どもの障害の幅は広く、本校では、特別支援学校相当の子どもから、知的障害は無いけれど行動面の課題が大きい子どもなどが在籍している。今回議論されている教員の専門性や、また校長の専門性についてその必要性を痛感している。

○ 教員の専門性について、教員の力量をとらえる4つの側面があり、これがバランスよく備わっている人というのは、現実的には難しいが、4人の担当者がいた場合に、その中でうまく役割分担することにより、チーム力でこの4つの側面を補うことは十分可能。それでも不十分であれば、養護教諭、校長、副校長、コーディネーターなどの校内の様々な人的資源によって、この4つの側面を補うことが可能であると思う。1人の教員が、これら全て備えることは厳しいが、このような役割分担により、4つの側面を補うことは十分可能と思う。

○ 校長の専門性について、校長が自ら専門性やセンスなどを検証する機会というのはあまり無い。先日、保護者の前で、校長のリーダーシップについて発言したところ、「リーダーシップには、『正しい』をつけてください。」と言われ、リーダーシップには誤ったリーダーシップもあるということに気づかされた。リーダーシップがあれば良いというものではなく、正しいリーダーシップで特別支援教育を引っ張ってほしいという意見であった。

 特別支援教育は知っているつもりでも現実的な課題に対応するとなると非常に難しいという点があり、特別支援教育の経験が全く無かったり、若しくは少なかったりする管理職にとっては、重荷となることがある。

 また、校長は、理想はあるが、現実の中で勝負せざるを得ない。その中ではどうしても、先ほどの発言にもあったように、指導力のない教員をどこかに配置せざるを得ないときもあり、その場合、残念ながら、特別支援学級を担任させるということがこれまではあった。

○ 通級について本市では、言語障害の通級指導教室で450人程の子どもが指導を受けているが、最近の傾向として指導が長期化する傾向がある。その原因としては、いわゆる発達障害が背景にあり、学年の区切りで終了とは言えず、課題が長期化している状況がある。これについて、教育委員会の立場からすると、もう少し回転を早くして、より多くの子どもを指導できるようにならないものかと考える。

○ 卒業まで丁寧に見ることは大事ではあるが、現在の普通学級、特別支援学級、そして通級による指導という3つの区分で、ほんとうにすべての子どもに対応できるのか考えたとき、学校現場から見ると、この3つの区分でうまく仕切ることには疑問がある。狭間の子どもや、それらを渡っている子どもは多くおり、その対応は現場に任されている。この点について、ぜひ、こういう大きな会議で検討いただきたい。

(自由討議)

○ 校内委員会の設置やコーディネーターの指名について、私立幼稚園も対象になるのか教育委員会に確認したところ、全部の幼稚園を対象として校内委員会を設置、コーディネーターを指名するようにということであった。私立幼稚園の場合、何も対応しない幼稚園がある一方で、区立幼稚園などのように100%対応する幼稚園もある。また、その区立の幼稚園においても、規模が園児数40人以下、学級数が2学級という幼稚園も多くあり、このような規模の幼稚園を相手に、校内委員会を設置するとか、コーディネーターを指名すると言っても、相手にされないということも実際には起こる。その点について、一律に推進するものなのか、教えてほしい。

△ 平成19年4月に初等中等教育局長通知を発出して、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、また幼稚園から高等学校まで、すべてのところでの特別支援教育体制整備をお願いしているが、その前提としては、各学校、あるいは地域の実態に応じた体制の整備を想定している。一律ということではなく、それぞれの実態に応じた体制整備があるものと考える。ただし、そこまでの細かな分析ができている段階ではなくて、現段階では、まず量的なところがどうなのか、どこまで進んだのかというところを分析しているところ。今後、個々に応じた体制整備のあり方等も含めて、質的な体制整備を見ていかなければいけない段階にきていると考えている。

○ 随分前になるが、五、六年前にガイドラインが出た。その中でコーディネーターの役割が出ていたと思うが、それから数年経た。現在、校内でコーディネーターが機能して特別支援がうまく進んでいるような学校があると思うが、そのような学校のコーディネーターがどのような役割を担っているのかというところを把握しながら進めていくことが必要。

○ 今後の特別支援教育のあり方の検討のときに、コーディネーターを学校外にするのか、学校内の分掌の中で位置づけるのかといったことで議論をした。校務分掌の中に位置づけることの意味の重要さがかなり指摘されて、校内の中でどんなふうに体制を整備していくかということが具体的に検討された。それがガイドラインとして整備されている。

○ 保護者など当事者側からすると、当然、コーディネーターや特別支援学級の担任は、通常の学級の教員よりも専門性が高いと思っており、頼っていく。初任で特別支援学級を担当することになった教員は、前研修もなく唐突に教壇に立ち、良い経験となったかもしれないが、その相手側には、あまり良い経験をしなかった子どももいる。企業ではOJTがあり、初任の者に指導役をつけるなど何らかの対応があると思う。教員はそういうことがないので、当初から一定の専門性がないといけないと思う。

○ 特別支援教育を担当する教員は、大学院を卒業した教員が良いとする意見もあるが、6年掛けて卒業したらそれなりの評価や仕事、待遇がないと、2年余計には通学しない。大学院卒業程度の方が良いに決まっているが、そのためには制度や体制を整備し、その能力を活用できる道をつくらないと、目指す者もいないと思う。理想は6年であっても、そういう体制等を全て整備することを考えると、すぐの対応はできず、少なくとも5年、10年後を見通して提言していくことになると思う。

○ 先ほどの研修等の問題について、教員を研修に出すということは、配置されている教員数や、校内における調整などでは対応できないと思われるので、制度面から整備していくのが良いと思う。また、例えば、コーディネーターを複数配置したらよいと思う。理由としては、毎年、1年程度でコーディネーターが変わるので、連続性が無くなってしまう。主でも副でも良いのだが、複数配置されることで引き継がれ、連続性が保たれる。

○ コーディネーターは、特別支援教育への移行においても既に大きな議論になっているが、それは特別支援コーディネーターにはIEPをつくるなど特別支援教育の専門性を確保する役割とソーシャルワーカーとしての役割という2つの役割を持っているからである。この2つの役割が混在しているため、コーディネーターは非常に難しい問題となっている。ソーシャルワーカーの役割というのは、実際には教務主任や養護教諭等、学校では数人が担当しているが、このような役割を、一職種として校務分掌の中に位置づけるということであれば、そのほうが良い。窓口が複数設置される場合とは異なり、窓口が適切に機能することで様々な場面において変化が生じると思う。ただしその場合、それなりの校務分掌の責任を果たさなければならなくなるし、専修免許、あるいはそのレベルの専門性が保障される必要もある。

○ 資料7のP4で、弱視・難聴学級の教員の高齢化について、対策は行っているのか。

◎ 正確な調査を全特協で実施しているのか定かではないが、高齢化の状況はあると思う。文部科学省が調査するものかもしれないが、調査結果を踏まえた上、的確に対応していく必要がある。

○ 一番被害が及ぶのが、最もマイノリティーな層である。ぜひ対応をお願いしたい。

○ 資料8にある特別支援教室構想を議論する場合、この専門性の維持について、制度的なものを含めて議論しなければならないのではないか。

 また、これまで触れられていないところだが、本校には梅ヶ丘分教室という、病院の中に設置された分教室がある。その分教室は心の病気を持った分教室だが、病院の移転により、心と体の両方の分教室となる。この院内学級については、「特別支援教育を推進するための制度のあり方について」の答申で、入院期間が非常に短くなっており、転入転出のサイクルも短くなっていることから、今後検討する必要があると触れられていたと思う。例えば、5月1日現在で生徒がいない場合に、どのように定数を措置していくべきかなど。小・中学校においては、このような問題は多くある。実態としては、入院期間が短く、2週間以下の事例もあり、その場合は籍を移さないまま指導していることもあると聞く。この点を、もう少し議論して、整理をしていく必要がある。

△ ご指摘の点について、いわゆる院内学級については、短期間の在籍であっても、学籍の移動手続が必要となるもの。しかし、年度途中の児童生徒数の変動を踏まえて学級編制や教員定数措置を行うことは、非常に難しく、課題の大きい問題であることは承知している。この点については、技術的な問題もあるので、事務的に整理をしているところ。その上で議論をいただきたい。

○ 特別支援教育は、学校事故や保護者間の対立、学級崩壊の回避や、教員の精神安定・心の健康の保持といった観点から、危機管理の問題としてもとらえられる。校長は、これらの非常にシビアな問題を管理するようリーダーシップを発揮していかなければならない。また、危機管理的な問題としてではなく、本来的な特別支援教育として制度にスムーズに移行するためには、保護者との共通理解が必要である。

○ 人事の問題について、全国小学校長会の調査によると、特別支援教育で、校長が解決のための対応として第一に挙げるのは、コーディネーターの加配ではなく、「指導できる」教員の加配。「指導できる」教員の加配が71.8%とトップなのに対して、特別支援教育コーディネーターの加配は28.5%。この点に、現場が抱える実態と、これから検討すべき問題との不一致があるのではないか。

○ 今発言のあった部分が、要するにソーシャルワークである。ソーシャルワーキングの問題と、特別支援教育の専門的な指導の問題というのが、混在している。そこを区分するのか、それとも区分しないのかという点が、1つの大きな論点である。

○ おそらく一番大きい問題は、特別支援教育の理念ができる前において、ライフタイムから将来像をイメージした上で、今何をするべきかといった議論する視点があまりなかったことだと思う。極端なこと言うと、1年間歯を食いしばって頑張れば良いというような部分がある。だからこそ、逆に、ソーシャルワークとIEPづくりというのが一緒になっていかないといけないと思う。そのためには、専門職が必要。その視点でやらないと、結局のところモンスターペアレントにどう対処するのかというような問題に終始してしまう。この問題というのは、特別支援教育の中核にかかる問題と、学校が抱える様々な危機管理とが密接に絡み合うと考える。

○ 先日、特別支援学校に異動した者と、小・中学校に異動した者が集まる機会があった。小・中学校に異動した者の話では、とにかく人が足りないとのことであった。授業が始まると、職員室にいるのは教頭だけという現実。小学校の教員の配置基準を見直さないと、小学校、特に小規模校での特別支援教育は考えられない。

○ 採用に関して、特別支援学級や特別支援学校の区分枠の設定がなされていない県がかなりあると聞いている。養成段階では特別支援教育にかかわる教員の養成をしても、採用段階では大きな枠で採用され、配置された学校における校長の考えにより特別支援学級や通級指導の担当が決められるというのが現実。もっと養成、採用、研修の体系化を検討してもいいのではないか。

○ 2人学級以下の特別支援学級の場合、担任の配置が非常に微妙となり、配置されるとなっても、臨時的任用の方を充てることがある。臨時的任用は1年間しかその学校では勤務できないということもあり、校長としては、その人に特別支援学校の免許取得を勧めにくくなっている。調査には、その実態が反映されていると感じた。

○ 保護者が通級を選ぶ場合、言語通級と情緒通級とが並んでいる。そうすると、発達障害のある子どもの保護者は、まず言語通級を選ぶ。このため、言語通級の教員の指導の範囲が、この五、六年で非常に変わってきている。以前は構音障害や吃音が中心であったが、現在では半分ぐらいが発達障害ということを聞いている。

○ 子どもの就学先の選択肢として、通常の学級に在籍のまま通級による指導を受ける場合と、知的障害の特別支援学級に在籍する場合がある。特別支援学級では、先ほどからデータでも示されているように、障害が多様化しており、混在している。知的障害のある子どもと発達障害のある子どもが、大きい集団の中で混在して指導を受けており、教育課程を別に作成すべきなのに、同じ教育課程で指導されているという現状がある。

 各市内の学校を巡回する中で、各学校で問題になっている1年生は、IQについて80台は出ているが、学習上や生活上において、非常に困難な問題を抱えている子どもである。そのような子どもを見ていると、通級による指導のみでは対応できないと感じる。通級による指導以外の4日間を校内でどう対応していくかが、学校の中では大きな問題となっており、教員や保護者からも、情緒の特別支援学級を増やしてほしいと声が多い。

(4) 事務局より今後の会議の運営について説明があり、閉会した。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)