特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第11回) 議事要旨

1.日時

平成21年1月15日(木曜日)10時~12時30分

2.場所

三田共用会議所第3特別会議室

3.議題

  1. 審議の中間とりまとめ(案)について
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事要旨

  (1) 髙倉座長より挨拶が行われた。

  (2) 事務局より配付資料の確認が行われた。

  (3) 事務局より、1.平成21年度特別支援教育課予算額(案)の概要について、2.特別支援学校学習指導要領等改訂案のポイントについて、3.障害者の権利に関する条約(仮称)について、4.特別支援教育の更なる充実に向けて(審議の中間とりまとめ)について説明のあった後、自由討議となった。その概要は以下のとおり。

  

    〔概要〕

 

    ○:委員

    △:事務局

 

  ○ P1「はじめに」の第3パラグラフの「しかし」のところについて。頭のところで「障害のある」というのが抜いてあるが、その4行目のところでは「障害のある」という言葉が残っているし、P3の(2)の「基本的な考え方と改善の基本的方向」については、第2パラグラフのところでは「障害のある幼児児童生徒」とされており、統一が必要。

  

  ○ 意識してとっているのではないか。

   

  ○ かなりテクニカルな問題であるため全体を通して見直し、整理することが必要。

  

  ○ テクニカルな問題というわけではなく、支援の対象を障害があるとわかっている子だけに限定するのか、あるいは、障害の有無はわからないが支援が必要だと思われる子まで含めるのかという問題だと思う。

    

  ○ 特別支援教育の理念は、特別支援教育の対象になる幼児児童生徒だけを考えての話なのか、それとも教育一般に通ずる普遍的な原理と捉えるのか。平成17年の中教審特別支援教育特別委員会の答申の際は、もっと広い意味で考えるというのが前提になって、そして、特に特別支援教育の対象になる云々というような了解があったと思う。そのあたりも十分整理し誤解のないようにした上で、この協力者会議で議論しているのは、障害のある幼児児童生徒の問題が中心なんだということをはっきりわかるようにすべき。

   

  ○ ただし、早期からの対応ということがテーマになっているので、乳幼児期の、まだわからないけれども気になるという子どもたちについても含めていくことが重要である旨をわかるように記述すべき。

  ○ 障害のあるなしの問題ではなくてという基本的なスタンスは、P6の「その際」の段落が修正され、書き込まれている。そことの整理でP1のところだけ「障害のある」は抜かれたのではないか。一方で、そのほかの部分については、障害のある児童生徒の就学のあり方などの検討に係るところであり、違うトーンの書き込みだと思うので、「障害のある」があるところとないところがあっても、整理はついているのではないか。

  

  ○ P2の「教育分野の憲法とも言える」という部分について、「憲法だ」と言っているわけではなく、「とも言える」として文学的な表現になっているので問題ないと思うがどうか。

    

  ○ 「分野」と言うと何か角度が非常に狭まることもあり「教育における憲法とも言える」のほうがよく言われているのではないか。

   

  ○ 今回のまとめは、個別の教育支援計画というのがキーワードになるわけで、これが何を指しているのかということをちゃんと理解してもらうことが大事。「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」がどういう意味なのかをどこか1カ所でまとめて書くとわかりやすくなる。

  

  ○ できるだけ多くの方に理解してもらうという意味では、どのような趣旨でこのようなまとめになったのか理解啓発のための記述や機会があるとよいと思う。

  

  ○ P8の2行目のところで「障害のある幼児」を「子ども」というふうに書きかえたのは、幼稚園だけでなく保育所や認定子ども園等が出てくるためという理解でよいか。

  

  △ そのような理解でよいと思う。

   

  ○ P6の「例えば発達障害等があることが想定されても」という部分について、この保護者を、子どもも含めて、だれが責任を持って支援していくのか明確に書くべき。直接かかわっていくのは、幼稚園や保育園の先生。学校は11月頃にやっている就学時健康診断から初めてかかわり始める。この段階で一人一人漏れなくすくい上げるのが大事であり、本校でも数年前から保護者面談を就学時健診に取り入れ、子どものニーズ、保護者の気持ちを吸い取っていく方向で進めている。ここで入ってくる情報はクラス編成や担任を決定する際にも非常に貴重な情報となる。このような、一人一人のニーズに漏れなく対応していくための就学時健康診断における特別支援教育への工夫・見直し・改善がここで取り上げられるとよい。

  

  ○ 主語が抜けていることについては、一番上のパラグラフで「教育委員会においても」という書き込みがあるので、それでずっと読めるかもしれないし、そのあたりは検討させていただく。

  

  ○ 2.の早期支援の出だしの部分について、「障害のある子どもにとって、その障害を早期に発見し、早期からその発達に応じた必要な支援を行うことは、その後の自立や社会参加に大きな効果があると考えられる」という文章があり、読む人はまずここで期待をするのだが、次にいきなり「市町村教育委員会や」といって説明に移ってしまっている。何で「早期」が必要なのかということを丁寧に説明することが必要だと思う。

  

  ○ 就学の部分については、丁寧にきめ細かく教育相談等を含めてやっていくことがきちんと出ていると思う。また市町村教育委員会が特に大事な役割を果たすということ、個別の教育支援計画が極めて大事なものであることなどがきちんと書き込まれているので問題ないと思う。

  

  ○ 就学指導の部分で前回から加筆した部分について、非常に具体的に書かれているなという印象を受けた。本市として既に取り組んでいる部分もあれば課題として指摘されている部分もあり、本市だけでなくこれを読んだ各市町村教委は、改めて就学指導の本来的なあり方やなどについて明確に認識できると思う。

    就学の指導・支援をしていて感じるのは、就学時期のちょうどまたがる部分ののりしろの部分について、これまでのりが非常に弱かったように思う。重なってはいるがうまくくっついていなかった。それが今回、個別の教育支援計画という非常に強力な接着剤というか、結びつけるものによってこの期間をうまくつなげていこうとされている。このような基本的なコンセプトが非常に明確に書かれていると思う。

   

  ○ P13の「また」のパラグラフの「新しい仕組み」について。「新しい仕組み」では人によって色々な新しい仕組みの理解の仕方をしてしまうと思う。

   

  △ そのパラグラフの、上から2行目に、「上記の仕組みへの転換を図った場合は」と言っており、この「上記の仕組み」というのは、ここで述べた全体の仕組みということ。

  

  ○ 「上記の仕組み」が、「新しい仕組み」ということでよいか。

  

  △ その通り。

  

  ○ P13の第2パラグラフは、文科省は将来的に特別支援教育をどこでするのが一番いいと考えているのかという点が不鮮明。特別支援学校に安易に流れていく可能性があると思う。親は、地域の中で特別支援教育ができるような体制整備と、専門的な先生の配置を望んでいる。時間がかかるにしてもどちらの方向性にあるのかは、ある程度示していくべき。 

    就学後の継続的なフォローアップについて、市町村教育委員会と都道府県教育委員会の連携を文言で言うことは簡単だが、市町村立である小・中学校と、都道府県立である特別支援学校は縦割りになっている。ここの連携についてもう少し具体的な方策を考えていくべきと思うので事務局の意見を聞かせてほしい。

  

  △ 都道府県と市町村の関係については、連携しているところもある一方連携が弱いところもあるので、制度改正後の通知等でしっかりと周知すべき点と考えている。

  

  ○ 都道府県と市町村の連携について、私学の小学校や特別支援学校でも、障害のあるお子さんを受け入れているので、市町村教育委員会、都道府県教育委員会だけではなく首長部局も含めての連携であることがわかるよう修正したほうがよい。

  

  ○ 就学の部分について、保護者に情報を提供するとか、気持ちを酌むといったことが丁寧に書き込まれていると思うが、「制度としては」という文を入れる必要はあるのか。

    それから、P4で「面」としての教育支援、就学指導をしていくべきと書いてあるにもかかわらず、就学の部分になると、小学校1年に入学するときの「点」としてのニュアンスをまだ感じる。継続的な就学支援だというところをもう少し丁寧に書く必要がある。

  

  ○ 「就学先の学校について思い悩み」の記述について、これだけだと地域の小・中学校に就学する親を批判しているようなニュアンスもないわけではないと思う。もう少し優しい書き方にしてはどうか。

  

  ○ 先週、今回提言する就学指導の在り方と継続的な就学相談について、ある就学指導委員会で話したところ、多くの委員から納得を得ることができた。就学指導を実際に行っている現場の人たちは、今回の提言のような考え方で元気づけられていると思う。

  

  ○ P16の6.の市町村教育委員会等の体制整備について、財政措置について書かれているが私学は完全に置いてきぼりになっている。私学に対する積極的な財政措置についても入れていただきたい。

  

  ○ P17の7.の条約の部分について、最後のパラグラフで「実現にも沿うものと考える」と言い切るところが気になるかもしれないが、現状ではこれぐらいが到達点ではないかと思う。

  

  ○ 「本協力者会議としては」を取り、「考える」を「考えられる」とした方がよいのではないか。

  

  ○ インクルージョンの問題について、かつて小・中学校の取組に入り込めないうちは、いくら特殊学校のところでインクルーシブな方向を掲げても何も始まる話ではなかった。ただ、ずっと私ども現場の者たち、障害のある子どもの仕事に携わっている人たちは、みんな日本国民である以上、障害のある子どもとない子どもが共に生きる社会になるよう努力をしたり、お互いにディスカッションしたりしてきた。そうしたこれまでの取組を保護者の方にも理解していただければと思う。その一つの例として、交流及び共同学習等については、ようやく今度の学習指導要領で、小・中学校の総則の部分に記述された。こういう成果もあるのだから、インクルーシブな方向に向かって私たちはやっているんだということで自信を持って、受け身形・能動形とかの話ではなくて、「考えている」という表記の仕方でいいと思う。

  

  ○ 「考える」でいいと思う。

  

  ○ 受け身で書くというのは、決して逃げるのではなくて、客観性を示そうという意味合いでもある。

  

  ○ 参考資料について、早期支援の必要性に関しては厚生労働省の社会保障審議会の答申にも記述されているので、他省庁との連携もかねて参考資料に掲載するなどしてはどうか。

  

  ○ 前回に比べ、親の立場からも随分わかりやすくなった。

  

  ○ P12の個別の教育支援計画の作成する範囲のところで、「当面は、」は、なくてもいいのではないか。小学校に行く子どもなどで就学基準に該当しなくても、必要である場合には個別の教育支援計画が引き継がれたほうが良いかと思う。

  

  ○ 一番はじめに議論のあったP1の「障害のある」という表記について、学校現場では障害の有無に係らず、発達障害等があっても強い個性という感じで捉えていくという方針でやっており、なくなっているのはよいこと。  

      また、P25に、高等学校の指導要領案の抜粋があるが、抜粋されている以外にも、発達障害等特別支援に絡む記述が出てきたように思う。

   

  

  (4) 今回の審議をもって中間取りまとめ案の最終的なとりまとめを座長一任とすることとし、事務局より今後の会議の運営について説明があり、閉会した。

  

 

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