特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(第10回) 議事要旨

1.日時

平成20年12月15日(月曜日)13時30分~16時

2.場所

中央合同庁舎第7号館西館9階金融庁共用会議室1(903)

3.議題

  1. 審議の中間とりまとめ(素案)について
  2. 自由討議
  3. その他

4.議事要旨

5.議事要旨

(1)髙倉座長より挨拶が行われた。

(2)事務局より配付資料の確認が行われた。

(3)事務局より、審議の中間とりまとめ(素案)について説明のあった後、自由討議となった。その概要は以下のとおり。

〔概要〕

○:委員

△:事務局

 

○ P1の「これらの特別支援教育の体制整備は、各学校種で一定程度、進みつつある」という記載について、各都道府県や市町村教育委員会の努力に対しても謳うべきなので、P2にある「都道府県・市町村及び各学校」という表現に合わせたほうがよい。

 

○ P2に「3.幼稚園、小学校、中学校、高等学校等においてはLD(学習障害)・ADHD(注意欠陥多動性障害)等を含む障害のある」という記載があるが、自閉症についても列挙すべき。

また、子どもに特別なニードがあるかどうかについては、教育の過程の中で選定していくことであるから、P1の「しかし、障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し」という記載については、「障害のある」を除くべきではないか。

 

○ 本協力者会議の中で、検討事項として3つの課題が掲げられていたが、今回の中間まとめ案は就学指導の関係の話に集中していると感じる。これが与えられた課題に対する中間まとめの方向性として適切なものなのか確認したい。

 

○ 本会議の要項に定められている本会議の趣旨には「障害のある児童生徒の就学の在り方など更なる検討を要するとされた課題もあり、特別支援教育の実施状況を評価しつつ、就学支援教育の具体的な推進方策について、検討を行うこととする」とされており、本会議の狙いは、就学の在り方がメインで、単にその在り方を検討するということだけではなく、特別支援教育の実施状況を検討・評価し、更なる具体的な進展を図っていくというもの。全体的に考えれば、今回の中間まとめ案は、筋道が合っている。ご指摘の検討事項のうち今回触れられなかった課題や、高等学校における特別支援教育等の課題については2月以降に検討すると考えていただければと思う。

 

○ P2に特別支援教育の理念についての記載があるが、「適切な指導及び必要な支援」という表記と、P1の「適切な教育、支援」や「適切な教育や支援」という記載とは表現が異なっており、P3には「教育支援」という言葉が出てくる。それぞれの意味合いについて現場で誤解を生じないよう、言葉を整理すべき。

 

○ P4で保育所についての記載があるが、乳幼児健診のようなことを無料で行い、きちんと成果が出ているのは日本だけであり、早期からの支援につながることなので、「乳幼児健診等の情報を十分活用し」という文を加えるべき。

  また、P5の「○障害児を支える家族に対する支援」の項目が2つの段落に分けられており、1段落目は保護者の不安の解消の問題、2段落目は保護者への積極的な支援についての記載だが、2段落目の最後の「障害のある子どもだけでなく、障害があると明確な診断ができていないなどいわゆる「気になる子」やその保護者に対しても支援する必要がある。」という部分については、意図を明確にするために段落を独立させるべき。

 

○ P5の「○障害児を支える家族に対する支援」の項目について、1段落目と2段落目は質が違う。1段落目は、就学における保護者の不安感への対応に関わる部分であり、就学指導や転学等に関わる、就学先の決定云々というようなところ。書き分けが必要。厚生労働省がとりまとめた障害児支援の見直しに関する検討会の報告書における家族支援の問題と同じレベルで検討すべき。家族を含めたトータル的な支援の在り方が求められており、そこに教育も関わっていく必要があるという内容にすべきであり、その点に関して、視覚障害や聴覚障害等については幼稚部等でかなりきめ細かな対応を既にしているので、そのような内容を盛り込むことが大切。

  また、「気になる子」という文言について、厚生労働省では「気になるという段階からの支援」という表現を用いており、文言の整理をして、国としての整合性をとるべき。

 

○ 保護者に対する不安感の解消に関する記載はP5のみで、その後には2行だけしか触れられていない。整理が必要ではないか。保護者の安心感について、P5だけでなく、具体的な手続きについての項目などに、より明確に記載すべき。

 

○ 「気になる子」という文言について、厚生労働省の障害児支援の見直しに関する検討会においては、当初「グレーゾーン」という言葉を使っていたが、グレーという言葉も適切ではないのではないかという議論になり、報告書では「気になる段階」という言葉に落ち着いた。

  また、平成17年の中央教育審議会答申の資料を見ると、当時盲・聾・養護学校から小・中学校に転出した子どもの合計数は約4,000人で、そのうちの約9割は病弱養護学校と肢体不自由養護学校の在学者であり、知的障害養護学校在学者が小・中学校に転出するケースは少ない。P5に「一度特別支援学校に就学すると小・中学校には転学できないという思い」という、今の制度の中でできているのに保護者が誤解をしていると読めてしまう記載があるが、これは誤解ではなく事実。このような記載をするのであれば、制度をきちんと変えた上で、特別支援学校に就学しても、その後も就学先の見直しができるということを本報告書の後半に盛り込むべき。

 

△ 特別支援学校から小・中学校への転出状況の障害種別の内訳については、中央教育審議会答申に掲載しているように平成15年には調査でとっていたが、現在のデータはない。第4回会議で配付した「盲・聾・養護学校と小・中・高等学校との転入・転出状況-国・公・私立計-」に記載されている平成18年の総数と平成15年の総数は大きく変わっていないので、おそらく障害種別の内訳も、ご指摘のあった平成15年のときのものと同様であると推測される。

 

○ 特別支援学校から小・中学校へ転学するのは、障害の状態の改善・克服よって特別支援学校の対象でなくなる場合。知的障害の子どもの小・中学校への転籍の割合が少ないということだが、制度上それができないということではなく、知的障害の場合、障害の状態の改善・克服が短期間ではなかなか難しいからだと考える。ただ、継続的な就学相談は必要。

 

○ P7の「現在の就学指導の手続きについて、法令上は、・・・11月30日(手続きに支障がない場合は12月31日)までに就学時健康診断を・・・することとされている」という記載の括弧書きの内容について教えてほしい。また、市町村教育委員会は12月末までに就学先の指定に関して都道府県教育委員会に上げなければいけないが、そのことについて記載すべきではないか。

 

△ 1点目の質問については、以前東京都板橋区から、特区で学校選択制を採用する場合に手続きに時間がかかるので、その分就学時健康診断を遅らせられないかという特区申請をきっかけにして、11月30日までだったところを手続きに支障がない場合は12月31日まで延ばすことを可能にしたものであり、全国制度である。

2点目の質問について、就学先の指定に関する都道府県教育委員会への通知について記載することは可能。

 

○ P11に記載されている、保護者の意見を十分に踏まえた上で教育委員会が最終的に就学先を決定することとすることについては、障害者の権利に関する条約に関わる大きな今回のポイント。この部分と、P14の障害者の権利に関する条約に対する基本的な構えの整理について、現段階での考えを教えてほしい。

 

△ 障害者の権利に関する条約については、現在、批准に向け、外務省あるいは内閣府が中心となり、政府部内で政府としての考え方、解釈等について検討を行っているところ。P11には、就学先の選択権を保護者に委ねるべきという意見について、本協力者会議としてはこのような考え方でいくということ、P14においては、このような就学手続きの考え方が、障害者の権利に関する条約におけるインクルーシブ・エデュケーション・システムの実現に沿うものであると、本協力者会議の考え方として整理するということを示しているという関係。

 

○ P12の「制度としては義務教育を実施する責任を負う教育委員会が最終的に就学先を決定することが適当であると考える」という記載について、これは設置者管理主義を言っているのか、それとも小・中学校の設置義務を言っているのか。

 

△ 基本的には設置者管理主義と設置義務の両方を含めて言っている。

 

○ そうであれば非常に理解しやすいが、「制度としては義務教育を実施する責任を負う」という書き方をすると、教育委員会としては問答無用に刀を抜かれたような印象を与えかねないので、教育委員会が就学先を決定することとするプロセスの説明の仕方をより工夫をしたほうがよいのではないか。

 

○ 就学先について教育委員会が最終的に決定するということに関しては賛成。保護者のニードと子どものニードのズレに対して、子どもの教育を受ける権利を最優先にすればそのような判断になるのであり、そう考えれば、障害者の権利に関する条約と矛盾しない。特別支援学校と小・中学校との転入・転学が一方向であるという意見についても、適正就学ができていないことが原因。適正就学がきちんとされれば、逆方向の転籍もでてくる。

 

○ 「4.継続的な就学相談・指導の実施について」について、入学した子どもに対して「就学相談」という言葉は適切か。いつからが「教育相談」、「転学相談」で、いつまでを「継続的な就学相談」とするのかを明確にしておく必要がある。

 

○ P9に記載されている就学移行期に作成される個別の教育支援計画について、それは個別の教育支援計画とは言えない。個別の教育支援計画とは計画を作ることに目的があるのではなくその活用が大事なのであり、個別の教育支援計画についても、あるいは個別の指導計画についても、作って終わりになってしまっているケースが見受けられる。個別の教育支援計画を教育委員会が作り、それに基づいて就学先を決めるような計画になるのであれば、「就学支援計画」という名称のほうがよいのではないか。

 

○ 就学先の学校への情報の引き継ぎについて、P9に基本的な方向としては書いてあるが、P11の「○就学後の継続的なフォローアップ」の項目にも記載してほしい。情報あるいは個別の教育支援計画をきちんと学校に引継ぐことでスムーズな就学・修学にもつながる。就学指導の際に個人情報保護等の関係で情報の引継ぎが難しいという問題が実際にあるが、個人情報保護等への配慮をしながらきちんと情報を伝えていくことで一貫した支援ができる。

 

○ 「修学」という用語についても、いずれどこかで議論しなくてはならないと思う。

 

○ P9の「特別支援学校の設置管理や小・中学校の教職員配置に関し権限と責任を有する都道府県教育委員会は、市町村教育委員会の取組を積極的に支援していくことが必要である」という記載について、その具体的なイメージが巡回相談員や特別支援学校のセンター的機能等なのだとすれば、具体的なイメージがわかりづらいのでそのように書き込んでほしい。また、自治体だけでなく、国としての取組についても記載してほしい。例えば退職校長や就学相談員等の配置について書けないか。

 

△ 移行期の個別の教育支援計画は、主に就学後の支援等の内容について、市町村が中心になって作ることを想定しているが、教員の配置等、財政的な裏打ちがないと市町村単独の判断では支援内容を明確化することは難しく、また結果として都道府県立の特別支援学校に通う子どもも中にはいるので、市町村が中心になりつつも、都道府県がパートナーとして入ってもらうことが必要という趣旨で記載している。都道府県から市町村への支援に関してはP13にも記載しており、ご指摘のとおり、専門家チームの派遣や巡回教育相談等、あるいは特別支援学校のセンター的機能の充実などを例示しており、こことも重なってくる。国の取組についても、P13に「必要な財政措置について積極的に検討すべきである」と記載している。

 

○ 煩瑣でなければ、P9にも都道府県教育委員会から市町村教育委員会への支援の具体的な手段について書き込むと分かりやすい。報告書等が一般に読まれる場合、一部分だけを読んで局地的に反応されてしまう場合と、全体を読んでトータルとしての把握で理解してもらえる場合とがあるので、そのあたりも十分に考えながら、できるだけ丁寧に、しかしあまりに煩瑣にならないようにバランス感覚を生かして作成することが必要。

 

○ 交流及び共同学習について、積極的にさらに充実させるように努めるべきであるということに対しては賛成であり、二、三年の間に全国的に広がっていけるよう進めていきたい。先日訪問した特別支援学校には、廊下の壁に各小・中学校からの学校だよりがずっと並んでおり、非常に綿密にお互いの情報を交換するような仕組みをとっているということに感心させられた。P13に「今後、自治体におけるこれらの取組も参考にしつつ」という記載もあるので、学校での様々な努力についての記載や、そのような取組が増えることを望むような記載を加えてほしい。

 

○ 居住地の小・中学校との関わりについて、P13に「このような取組は・・・意識啓発につながるものである」という記載があり、これは障害者の権利に関する条約の第8条の意識の向上についての規定と大きな関わりがある部分ではないかと思う。現状、障害者理解教育は十分とはほとんど言えない状況であり、また、現在改訂作業中の特別支援学校学習指導要領の自立活動のところに、人間関係の形成に関する規定が出てくるが、障害児の側の自己理解と外の理解とが相まってそのような問題が整理できるのではないかと思うので、積極的な書き込みをしてほしい。

 

○ 現在、特別支援学校の過大規模化により、子どもの教育的ニーズに最も適切に対応できる学校を指定することが難しくなっている状況が年々強まっており、総合的に就学先を決定することとした場合、ハード面の不十分さが将来的に就学指導を歪めてしまう恐れもあるのではないか。P13に国による財政措置についての記載があるが、財政措置はこれからの就学指導を適切にしていくための一つの大事な要件。参考資料のP19に就学手続きの流れの改正イメージ図があり、上段に比べ下段の改正イメージでは就学基準は米印で小さく書かれている。教育委員会としては就学基準を重要視しており、過大規模化の状況によって就学基準が歪められてはならない。就学基準について、重要な一つの基準として記述してほしい。

 

○ P14に、就学先の決定の際の市町村教育委員会の早期支援に係る機関との連携強化についての記載があるが、小学校と市町村教育委員会がうまく連携しているかどうかということも重要であるので、記載すべき。P12にあるような就学前の就学相談を居住地の小学校が行っている例についても、小学校と市町村教育委員会とがうまく連携していれば、就学相談もうまくいく。

 

○ 「5.居住地の小・中学校との関わりについて」、「6.市町村教育委員会等の体制整備について」に関して、それらは体制整備があればこそ充実したものになってくるので、質の高い教員、人材を配置していくことが必要。また、P13の、国の財政措置についても積極的に検討すべきものであるという記載について、我々もしっかりと対応をお願いしていくべきであることも読み取っていかなければならない。

  それから、就学指導委員会等のメンバーには、積極的に経験豊かで専門性の高い教員を配置することが理想。また、居住地の小・中学校との関わりについて、共生社会をつくっていくためには、どのような子どもが居住地にいるのかということを知ることや、そこにいるということが大切なので、交流及び共同学習についても積極的に進め、それを地域の中に啓発していかなければならない。さらに、直接交流・間接交流について、より明確にそれらの具体的な策を持たないと、言葉だけで終わってしまうのではないか。特に、平成19年の「特別支援教育の推進について(通知)」を全面的に達成していくためには、教育委員会体制整備が充実していかなければならない。

 

○ P17の「直接的な交流」、「間接的な交流」の文言の前に具体例を挙げるなどすれば、理解しやすくなるので、工夫してほしい。

 

○ 障害者の権利に関する条約について、本協力者会議の中できちんとした説明があまりなかったように感じる。例えば第1回会議の配布資料において条約の第24条等の仮訳が示されたが、「ジェネラル・エデュケーション・システム」に対する「教育制度一般」という訳等、議論中のものもある。P14に条約に関する整理の話が急に出ている印象を受けるので、本会議できちんと説明してほしい。

 

○ 障害者の権利に関する条約については仮訳からだけで考えるのではなく、少なくとも英語とフランス語の訳文からも考える等の努力も必要と思う。例えば「教育制度一般」という訳について「ジェネラル・エデュケーション」と「エデュケーション・イン・ジェネラル」とでは意味が違ってくるので、他の言語テキスト等と比較して、より適切に我々が理解することが大切。しかし、条約それ自体に定義規定がない中で、事務局としては、暫定的にこういった理解が可能だということを示しているということだと思うし、この暫定的な理解は非常に適切なものだと理解している。

 

△ 障害者の権利に関する条約全体については、次回会議でもう少し丁寧に説明をさせていただきたい。「ジェネラル・エデュケーション・システム」の訳については、外務省を中心に再度検討を行っているところ。いずれにしても、仮訳における「教育制度一般」の中には特別支援教育も含まれるという共通理解を図った上で議論している。

 

○ 特別支援教育体制を整備する中で本当の意味での質的な充実が図られているのかという問題が、本協力者会議の中で議論されてきた。例えば校内委員会の設置状況が何%であるというようなことだけでは中身は分からない。特別支援教育体制を整備する中で、何ができていて何ができていないのか、質的な充実を図るためには何が必要なのか、ということについても、今後検討すべき課題の中に位置づけてほしい。

 

○ 本協力者会議の委員の任期は22年3月までであるが、今後のスケジュールが分からない。中間とりまとめでは就学指導について中心に検討したが、最終まとめの時期はいつ頃を考えているのか。最終まとめでは中間まとめの内容をベースにするのか、それとも他の検討項目についてまた1年か半年かけて検討するのか。

  また、保護者の立場でこの中間取りまとめ案を読むと、「保護者や当事者のため」というような気持ちが出ていない、反感を持つ文章になっている。そのような気持ちを、行間にも込めてほしい。

 

○ 今後特別支援教育についての国内外に向けた理解啓発が進んでいかなくては、就学関係や早期からの教育相談についても進んでいかないので、今後の方向性も見据え、理解啓発事業等の推進や、国立特別支援教育総合研究所における国際的なセミナー等の実践などについても記載すべき。

  また、例えばセンター的機能の充実等、いろいろな形で特別支援学校の充実についても流れの中で示していくことが重要。

  さらに、市町村レベルでの関係機関との連携についての記載がいくつかあるが、例えば現場レベルでは、個別の教育支援計画と、福祉や医療サイドの個別の支援計画との連携がうまくいっていない現状があるので、国レベルでの厚生労働省と文部科学省との連携が具体的に見えてくればよいと思う。例えば、個別の教育支援計画と個別の支援計画とで、可能なところは同じようなシートにする等、情報の共有化を図りながら、トップダウン的に下ろしていけば、より現場サイドでつながりが深くなっていく。

 

○ P5の「○障害児を支える家族に対する支援」において、項目を分けることについて賛成。保護者同士で協力することはできるが、そのようなところと学校を含めた専門機関との連携を特にとることで、保護者の安心につながる。

  また、本協力者会議の中間とりまとめ案では教育委員会が就学先の決定をすると位置づけているが、全ての親がそれに納得することはできないと思う。十分な情報交換等によって子どもの状況や乳幼児期からの取組を的確につかみ、就学にしっかりと結びつけていくという細やかな取組が必要。

  それから、特別支援学校の過大規模化が進んでいるということだが、それは地域の通常学校に特別支援教育に対する体制基盤がなかったり、専門の先生が十分にいなかったりすることが原因で、保護者が特別支援学校を希望するのだと思う。それでは地域の中から子どもたちが抜けていくので、地域の中では大きな問題。いつまでも地域の中では障害者は生きていけないことになってしまうし、それを理解する人も少なくなってしまう。そういう面では、地域の学校に就学することを一番主眼にすべきだと思うので、本協力者会議でも議論してほしい。

 

○ 参考資料のP1の「特別支援教育の対象の概念図」の中で、通常学級における発達障害の子どもの在籍率が6.3%という数字で出ているが、これは平成14年のデータであり、学級担任を含む複数の教員により判断されたもの。学校の体制整備についてきめ細かく検証をする際、この数字をベースにして考えていいのか。現場の感覚ではこの数字は年々増加していると感じているが、次回はいつ調査するのか。

  また、中間とりまとめ案には学校の役割についての項目が立てられておらずスペースが少ない。例えば就学後の継続的なフォローアップに関しては、就学先の決定後、学校は特別支援教育コーディネーターを中心に行うことがいろいろと多く、新しい体制で動き始めているので、そのような内容も加えてほしい。

 

○ 「個別の教育支援計画」がキーワードだと思うが、引き継ぎやその流れについて、より明確に書き込むべき。

 

○ 当初は、これからの就学指導の在り方と個別の教育支援計画とがリンクしていくのだと考えていたが、P9には「このような幼児期から義務教育段階への移行期における個別の教育支援計画は、単に就学の場を決定するための資料ではなく・・・」とされており、そうすると、本協力者会議が提案する個別の教育支援計画とは何のためにやっていくのかということに対する誤解が生じてくるのではないか。

 

○ この中間取りまとめ案は、具体的な内容が少し足らず、理想的な内容になっていると感じる。退職教員等の専門家が必要であるということは書いてあるが、その専門家をどこから連れてくるのか、どのように育てるのか、どういう人を配置するのかについても、明確に記載すべき。

 

○ 「6.市町村教育委員会等の体制整備について」の最初に書かれたことがしっかりと行われればうまくいくと思う。市町村では、都道府県立の学校に就学した子どもは市町村の子どもではないという意識が非常に強く、そのようなことに対する取組についてもP12からP13にかけて具体的に記載されているので、それらを進めていくことが重要。

 

○ 通常学校の特別支援教育コーディネーターが、他の教員と同じような分掌の配置の中で、自費で大学院等に行きながら学習をしているという実態がある。授業時間数の減を可能にするなどしなくては、スキルアップしていくことは厳しい。

 

○ 市町村教育委員会の役割について、その前段階のものをきちんと位置づける必要がある。乳幼児健診を行う保健福祉部局と教育委員会とが連携し、子どもの把握の仕組みをつくった上で継続的な支援をするということが重要。

 

(4) 事務局より今後の会議の運営について説明があり、閉会した。

 

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)