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学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議(第6回)議事要旨・配付資料

1.日時

平成20年7月14日(月曜日)10時〜12時

2.場所

文部科学省 東館 7階第1会議室

3.議題

  • (1)関係団体からのヒアリング結果について
  • (2)学校が組織として問題解決に当たる体制の構築について
  • (3)教員の勤務の在り方及び地域の人材や外部の専門家の活用等について
  • (4)その他

4.配付資料

資料1
  関係団体からのヒアリング結果一覧
資料2
  学校が組織として問題解決に当たる体制の構築について
資料3
  教員の勤務の在り方及び地域の人材や外部の専門家の活用等について
資料4
  今後の開催予定
資料5
 「教員の業務の多様化・複雑化に対応した業務量計測手法の開発と教職員配置制度の設計」(平成19年度文部科学省新教育システム開発プログラム報告書)

5.議事

概要

  • (1) 事務局より、配付資料の確認が行われた。
  • (2) その後、自由討議となった。

【委員】

 まず最初に、審議に入る前に、教員勤務実態調査の再分析について、簡単に報告したいと思います。2006年に文部科学省で教員勤務実態調査を実施しました。そのデータをいろいろまた違った視点から再分析しようということで、昨年度、文部科学省の「新教育システム開発プログラム」の一つとして、作業を去年1年やってきました。一応中間報告ということで2分冊の形で出しております。目次を見ていただければわかるとおり、かなり2006年のデータをいろいろな角度から分析しています。例えば、きょう報告する予定の部活動顧問の勤務実態はどうなっているかとか、給食指導は実際にどうなっているかとか、年休とか休憩時間の取得の状況とか、教員の業務改善で先進的に取り組まれている群馬県のヒアリング調査とか、勤務の業務改善で県レベルではどういう取り組みをしているのかということで、都道府県と政令市へのアンケート調査等々もやっております。
 そうした広範囲にわたるものですけれども、きょうは時間がとれないので、各自読んでいただくとして、きょうは主に2つの点から報告したいと思います。
 まず最初に、小学校と中学校で異なる教員勤務の形態についてです。2006年の教員勤務実態調査で明らかになった通常期の勤務形態で、この小学校と中学校の先生方の平日と休日の残業時間を見ると、やはり小学校と中学校で違うんです。平日の場合には、明らかに中学校の先生方のほうが平均時間が30分前後多くなっています。その内訳で小学校と中学校で何が違うのかを見ると、中学校では部活動とか学校行事の時間が多くなっている。それが平日の残業時間の差異としてあらわれているというのが一つと、もう一つは、小学校の先生方は中学校の先生方と比べると、平日でも自宅への一日平均持ち帰り時間というのが多くなっている傾向があります。小学校の先生が自宅に持ち帰ってやる仕事では授業準備とか成績処理というのが多くなっているというのが、もう一つの大きな特徴です。もう一つ、週休日の残業時間を小学校と中学校の先生で比べてみると大きな違いが出てくるのは、中学校の先生は週休日でも学校に出て仕事をするというのが平均でも1時間半、また自宅でも大体1時間40分ということです。その内訳を見ると、週休日の場合には部活動に圧倒的に多くとられているということです。それに対して、小学校の先生で学校に出て仕事をするという方は非常に少なく、ほとんどの方が自宅で仕事をするという形態になっています。その内訳を見ると、成績処理とか授業準備というのが圧倒的に多くなっています。
 こうした小学校と中学校の先生方の違いの原因というのは何だろうかということですが小学校と中学校での教員の勤務形態の違いをまとめると、次のようになります。

  • 平日における学校での平均残業時間は、中学校のほうが小学校より30分ほど長くなっているが、その主な内訳は部活動や学校行事等である。
  • 平日における自宅への平均持ち帰り時間では、小学校のほうが14分ほど長くなっているが、その主な内訳は授業準備や成績処理等である。
  • 週休日における学校出勤での平均残業時間と自宅での平均持ち帰り時間でも、小学校と中学校では大きな違いがある。小学校では、学校出勤の残業よりも自宅への持ち帰り時間が圧倒的に多いのに対して、中学校では、学校出勤の残業とともに自宅への持ち帰りも同程度に多い。そうした違いが生じるのは、中学校における部活動の存在であることがわかる。

 そこで報告書の第二分冊の81ページを見てほしいんです。これは、教員の勤務実態のデータを時間別の行為者率という統計の処理であらわしたものです。この時間別の行為者率とは何かというと、一日の中である特定の業務に従事する教員というのは全体の教員の何パーセントかと、その業務を実際に担当したパーセンテージでもって教員全体の行動パターンや業務の執行パターンを見ようというものです。この81ページの上のほうが小学校の先生方の一日の業務の流れ、下が中学校の先生です。業務を「外部対応」、「学校の運営に関わる業務及びその他の校務」、「児童・生徒の指導に間接的に関わる業務」、「児童・生徒の指導に直接的に関わる業務」の4つに分けています。
 この小学校と中学校の先生方の業務の違いは、流れを見てわかるのは、小学校の場合には、学級担任制ということもあって、始業時から授業が終わって子供がいなくなる時間まで、ここでは大体7時ちょっと過ぎから4時、3時半ぐらいまでですか、授業とか児童・生徒の指導に直接かかわらざるを得ないということで、ほとんどの先生はこの時間帯はそういう直接的な業務にかかわる傾向が非常に強くなっています。それに対して、下のほうの中学校を見ると、これは教科担任制ということもあって、授業に全部縛られているわけではなくて、勤務時間内でも直接的にかかわる業務以外にほかの仕事をこなすといった流れになっています。上のほうの小学校の場合には、児童・生徒の指導に間接的にかかわる業務は、子供たちがいなくなってから、ここでは16時前後あたりから急に多くなっている。このような違いが出ているのがわかるかと思います。これは、小学校の場合には、一部専科教員を除くほとんどの教員が学級担任を務めている学級担任制をとっているということもあって、児童の登校時から下校時までの間、常に児童の直接的指導業務にかかわらざるを得ないということです。もう一つは、小学校の先生の63パーセントぐらいが女性教員であるということもあって、学校で処理できなかった間接的な業務等々を自宅に持ち帰らざるを得ないという傾向が非常に強くなっているということです。休日の場合には、小学校の先生は自宅での成績処理とか授業準備が多くなっているというのはそうした延長線上で考えることができると思います。
 それに対して、中学校の場合には教科担任制であることから、この図からわかるとおり、担当している教科授業に空き時間が生まれますので、その空き時間を利用して勤務時間内に間接的な業務とかその他の校務が分散的に行われている。もう一つは、早朝とか放課後以降に部活動指導があるために意識的にそれらの業務を勤務時間内に分散させていると考えることもできるのではないかと思います。
 ですから、教員の超過勤務実態を踏まえてその勤務状況を改善していく方策を考える際には、以上のように小学校と中学校の勤務形態の違いに十分に留意する必要があるのではないかと思います。管理・経営業務に専念できる教職員の配置や充実ないしは外部・他職種に委託可能な業務を検討することは当然重要ですけれども、小学校の場合には、今のような勤務形態がありますので、授業とか児童の直接的指導業務の負担軽減を図る方策がきちんと踏まえられないと、そういう業務改善のところはなかなかうまくできないのではないかということです。もう一つは、中学校の場合には、部活動の在り方そのものを検討することが不可欠ではないかということが、例えばこのようなデータからうかがえます。小学校と中学校で先生方の勤務形態が違うというのは今までの議論でも出ていましたけれども、このような数字で見ても明確に小学校と中学校では勤務の流れ方が違うということがよくわかります。
 また、小学校における学級担任の先生と学級担任ではない先生の時間帯別行為者率も違っています。これは、109ページに出ています。中学校における学級担任と学級担任ではない先生方の違いというものも113ページに出ていますので、少し参考に見ておいてください。
 次は、中学校の部活動に関わる教員の勤務実態と課題です。これは、2006年に実施した教員勤務実態調査の勤務時間のデータと、あとフェースシートでいろいろ聞いていますので、それを少しいろいろクロスして調べ直したものです。これについては、第一分冊の23ページに、第三章、部活動顧問の労働時間の分析ということで、再分析のデータを掲載しております。24ページの図3−1を見てください。これは、中学校の先生方の部活動の顧問について、運動部顧問・文化部顧問・顧問なしに分けて男女別に見たものです。これを見るとわかるとおり、中学校の運動部・文化部の顧問双方とも40歳以下の中堅とか若手の先生のところにほとんど依存しているということです。ですから、ここに書いてあるとおり、男性の場合には30歳以下では94.2パーセント、40歳以下では90パーセントの先生方が運動部顧問を担当しているということになっています。
 2つ目の留意点は、こうした運動部顧問・文化部顧問ないしは顧問なしの先生方の授業準備時間に対する実感です。28ページの図表を見るとわかるとおり、顧問なしというところと運動部顧問・文化部顧問の間では、「授業準備時間の不足」とか「生活のゆとり」等々においては大きな開きが出ています。ただ、文化部顧問のほうが運動部顧問よりも「授業準備時間が足りない」とか「生活のゆとりがない」というパーセンテージが多くなっているのですけれども、これはおそらく文化部顧問の大多数が女性教諭であるという条件もこのようなデータに出ているのではないかと思っています。こうしたフェースシートでの運動部顧問・文化部顧問の意識の実感というものがほんとうに勤務実態として出ているのかどうかということで勤務実態をいろいろな角度から整理したものが、28ページ以下の分析です。一言で言ってしまうと、特に運動部顧問の先生方が「授業準備時間が足りない」「生活にゆとりがない」といった回答を示していたのですけれども、それが数字的にも裏づけられるデータが28ページ以下の分析でも出ています。非常に深刻なのは、運動部顧問の先生方というのは、通常の平日においても部活動にとられて、なかなか授業準備とか研修等々に時間がとれない実情というのが見えるのですけれども、実は夏休みの長期休業期においてもほとんどの時間を部活動にとられていて、研修とか授業準備の時間確保が難しくなっている。忙しいというのは全体的な教師の傾向ですけれども、顧問を担当していない先生方は夏休み期間中に授業準備とか研修の時間はそれなりに確保できているデータはあるのですけれども、運動部顧問の先生方に限っては夏休みにおいてすら授業準備の時間確保が非常に難しいという実態が28ページ以降のデータでわかります。
 以上を踏まえて、きょうの議論にもかかわることなので、私がやったほかのアンケート調査の内容を少し紹介しておきたいのです。部活動の在り方をめぐっては多くの議論があるのは当然皆さんご承知ですし、教育活動の一環として学校・教員が担うべきだという考え方がある一方、教員の膨大な超過勤務の主な原因となっているということで、社会教育等に移行すべきであるとの主張もあります。そのような部活動をめぐる議論について、学校現場の校長先生はどのような認識を持っているのかということで、去年、全国の学校長に対するアンケート調査を実施し、部活動にかかわる質問項目を入れてみました。部活動指導の在り方について、社会教育に移行すべきであると考えるかということと、部活動指導は勤務時間内で実施して部活動手当を支給すべきであるということと、市区町村や県の教育委員会の直接の監督で実施し、必要な場合には教育委員会が直接委嘱料を支給すべきであるという考え方について校長先生はどう思うかということで聞いたものが、この結果です。社会教育移管とか、教育委員会が直接監督すべきだということについても、過半数の校長先生が「とてもそう思う」「そう思う」という傾向を示しているのが見られました。これは東京、大阪、あと全国のいろいろな地方の県もやったのですけれども、これについては地域の差はほとんどありませんでした。
 最後に、教員の勤務時間・業務量にかかわる都道府県の取り組みについては、第一分冊の第8章をちょっとごらんください。111ページから、都道府県と政令市に分けて整理しています。
 ちょっと留意してほしいのは114ページの教員の勤務時間等々についてということで、有給休暇の取得促進のために計算開始日等々のところで運用の工夫をしているかどうかということも聞いています。そこでは、例えば有給休暇の取得計算日を4月1日ではなくて9月9日にするという県が全国で3つあるという状況も知ることができました。あと、下のほうでは、教員の夏季休業期の勤務形態について何か工夫しているかということも聞いています。こういう点ではあまり工夫がないようでした。
 あと116ページ、これは中学校の部活動についてどのような対応をしているのかということで、例えば上限を設けるとか、校長会などでそういう何らかの取り決めをしているかとか、そのような幾つかのことについて、県としてどのような対応とか指導をしているかということを聞いたデータが載っています。後の審議の検討材料にもしていただけるかと思います。
 117ページは、同じようなものの政令市でのアンケート調査の結果です。

【委員】

 資料2で現状の問題を解決する際の意見のところで挙がっているのを見ると、人を増やすという話、あと仕事を減らすというか、別の人にやってもらうという話、それから設備を充実させる話、それから組織を見直すことで多分組織としてのパフォーマンスを上げる話といった、いろいろな話がここに入ってきてしまっているような気がするので、一つは多分そこの整理は必要なんじゃないかということ。あと、ここでの論点がそれを全部含んだものなのか、もっと狭い意味で組織の話なのかというあたりをお伺いしたいと思います。

【事務局】

 第2回の会議におきまして、私どものほうから論点整理的なものを配らせていただきました。それで、この教職調整額の見直し方策を検討していくに際しまして、この検討会議の会議名にもなっておりますけれども、まず学校の組織運営の在り方というものを今後どのようにしていく必要があるのかということを検討していただいた上で、その組織運営体制のもとで組織運営をどのようにしていくのかといった事柄のもとで、その中で教員はどういった勤務の在り方が求められるのかということ、そしてその教員に求められる勤務の在り方に見合うような形で処遇をどのようにするのかということを考えていって、特に時間外勤務との関係の中で教職調整額の見直し方策を検討していっていただければありがたいといったご説明をさせていただいたところでございます。今回の組織として問題解決に当たる体制の構築、あるいは地域の人材や外部の専門家の活用といったところについては、冒頭の学校の組織運営の在り方をどのようにしていく必要があるのかということについての検討をいただきたいということでございます。

【委員】

 問題解決の手段として、人を増やすという話とか、仕事を減らす、あとほんとうにその組織の在り方を変えるとか、機材を整備するということは、それぞれ性格が違うと思うし、最終的な給与の話への結びつき方も違うと思いますので、そこはある程度、ごっちゃにはしないほうがいいのかなという気はします。

【委員】

 学校が持つ機能ということで、教育活動と事務的な業務が混在しているわけです。組織の充実のための措置ということで、副校長、主幹教諭の配置、教頭の複数配置、これは明らかに教育活動を行うための一つの責任体制ということで必要だと思います。しかし事務長の設置、事務部門の強化ということになると、各学校でそういう機能を持っていくというと、これまた人数とかいろいろな意味でかえって複雑になっていくと思います。教育的な活動が学校本来の業務ですので、そこできちんとした活動ができるように整備するためには、できることは市町村教育委員会が一括してできればいいわけです。学校ごとに行うべきものを強化する部分と、そうでない、集中管理的にやる部分を区分したほうがいいのではないかと私は思います。

【委員】

 要するに教員が子供と向き合う時間を確保して、先生方ももう少しゆとりを持ってやっていくほうが子供にとってもプラスになるだろうという出発点でいいのかなと思うんです。そのために学校組織をどうするのか、あるいは職務内容をどう精選して、外部委託できるものは何かと、そんな議論をしていけばいいのかなと思うんです。学校組織については、今確かに鍋蓋構造ということは言われていますので、副校長とか主幹教諭の導入についてはおおむね支持されているんじゃないかなと思いますので、あとはいかに定数を増やせるかというのが課題だと思います。
 それから、職務内容の精選ということでは、今は何でもかんでも教員が引き受けていますので、学校の中で、教員の定数を増やせれば、教員は何でもやるんですけれども、定数を増やすということは簡単なことではありませんので、その分、外部の非常勤の職員を活用できる部分があれば、それを活用したほうがはるかに現実的だと思います。例えば、私の学校は読書指導員とか心の相談員を市で配置してくれています。これはすごく教員にとっては負担軽減になっています。図書館の管理も全部その人がやってくれますし、不登校の子供には心の相談員が対応してくれますので、この部分は非常に助かっています。ただ、これは市町村によって、つけてくれるところと、つけてくれないところがありますから、これを全国的にどうしていくのかということが大きな課題だと思いますので、非常勤の職員でやれるところは、非常勤の職員を配置してもらいたい。教員以外の職で定数をつけても、結構無駄が多いと思います。それならば教員を1人増やしてもらいたいというのが現場の声だと思います。
 それから、部活動に関しては、社会体育化というのは昔から言われているわけですけれども、これはなかなか進んでいきません。これはもっと時間がかかると思います。ただ、少しずつは進んでいると思います。私の学校でも、サッカーのクラブチームに入っている子とか、あるいは野球でもシニアのチームに入っている子はいますので、わずかですけれども、学校の部活動とは違うところで活動している子も今出てきています。これは学校ではどうにもできない話で、そういう条件整備は学校外のところでやっていただくしかありませんので、そういう受け皿がどうつくられていくのか、つくることができるのか、そこにかかっているのではないかなと思います。

【委員】

 私は、学校が組織として問題解決に当たる体制の構築という論点からは、定数というよりは、管理職、校長、副校長、それから今度は主幹教諭、指導教諭等が誕生しますので、そういう役割を持った方たちがきちんとその役割を理解して組織の中で動いていけるかどうかというのが非常に大きいと思うんです。一人一人の教員の時間外勤務の時間を減らすという点では、定数その他も関係あるかとも思いますけれども、組織として動けるかどうかというのは、やはり一番は管理職の意識、それからその下にいてボトムアップとトップダウンのまとめ役である主幹とか指導教諭がどのように役割を自覚して動けるかということが一番大きいと思います。ですから、そこを育てていけるようなシステムをどうつくっていくかというのが一番大きいんじゃないかと思います。

【委員】

 給与にメリハリをつけるという方向がありますが、全員の教諭が同じ仕事であればそういう結論は出ないのです。仕事としてどのような違いがあるのかという現状把握がまず第一と思います。既にある程度役割分担をして、個々の教諭にもいろいろ違いがあるので、それを制度的に位置づけて処遇を変え得るという余地がまず最初にあるのではないかなと思っていたんです。つまり、もちろん今の組織をもっと改善したほうがいいのですが、主幹教諭とか指導教諭の位置づけは、今までなかった機能をつくったのではなくて、事実上ある人が果たしていた仕事を正確に位置づけたということだったのではないかなと思うんです。要は実態に合わせるということとして理解していたんです。ただ、その先には絶対時間としての残業が長いから、それを減らすためにはどうするかとか、いろいろな話は別途ありますし、部活動を社会教育化したらその時間を減らせるでしょうといった話はあるんですが、まず最初に人によってかなり違っていて、組織としての一定の機能、役割分担をしているという事実が既にあるわけです。学校の現状は最善とは言えないかもしれませんけれども、少なくとも役割分担がされており、それへの処遇というのが喫緊の問題ではないかと思います。
 要は中間管理職的な機能がおそらくあると思うんです、現実問題として。それはどういう教員がやっているかという問題があります。あるいは部活動の話になってしまいますが、部活動という機能は、将来的に社会教育にすべきかどうかは別問題として、既に機能としてあるわけです。それが一部の人に集中しているわけです。それをまず処遇でサポートするというくくりでも十分議論はできるのではないかと。広い話は大事なんですけれども。

【委員】

 指令系統というか、責任体制を明確にするということは当然だと思うんですが、その責任に応じた処遇が与えられることが必要だと思います。各団体からのヒアリングで出てきましたが、給料表が現実に4級・3級・2級の中で、ほとんどが2級ですね。主幹教諭という位置づけになったら、一般教諭がその指示を受けるということになるわけですけれども、明確にそれを裏づけるような処遇というか、それは給料表を細分化なりして位置づけないと、これは定着しないのではないかなと私は思います。

【委員】

 事実上、だれかが中間管理職的な機能を果たしているわけです。それを明確に位置づけるという意味では職層の設定ということになりますし、給料表も分けることになります。また、給料表を分けるだけではなく、その役割を分けていくということと連動しなければいけません。要は同じ教諭ランクでも仕事の違いがある。ただ同時に、教員の場合に非常に重要なのは、教員の持ち帰り問題に対して、それはちゃんと手当てしなければならないという制約要因はあると思います。ということで、とりあえずまず一つは現状を前提にというアプローチと、それからあるべき組織論からどう組み立てていくか、その両方があると思うんです。

【委員】

 資料2に書かれているところで、事務部門の強化とか、事務職員の権限と責任の特定とありますが、今、事務職員は都道府県の県費負担職員なんです。それで、現実的には1名なわけです。そうしますと、事務部門が本来やるべきことを実は教員がやっている。例えば、小学校で給食のお金を集めることとか、物品の購入・管理なども教員がやっている学校もあります。事務職員の権限と責任の特定という点では、現実的には1名の県費負担の事務職員が来て行うというのは非常に限界があるんです。ですから、事務職員について早急に人事権を移譲して、各市町村で事務職員を配置できるようにすると、その地域への帰属意識を持った職員が学校にいて事務を行うということになりますので、私は、事務職員は人事権の移譲抜きには活性化しないだろうと思います。
 組織として問題解決に当たるという意味では、やはり事務部門の強化というのは絶対必要だと思うし、それがひいては教員が子供たちに向き合う時間の創造という点でも非常に重要だと思います。

【委員】

 現行では、市町村が市町村費で事務職員をつけることは可能ですよね。

【委員】

 ええ、それは可能です。

【委員】

 うちの地域では、ある一定規模の学校では、市区町村の事務職員を入れて、都道府県の事務職員と市区町村の事務職員との2人体制でやっているんですけれども、学校というのはコミュニティーの核ですから、そこの地域の活性化を考えると、学校への市区町村の職員の配置というのは非常に重視しているんです。ですから、学校の事務職員を経験して、それから出張所の所長になるとか、そのようなかなり力のある方を入れて、単なる学校の事務だけではなくて、学校が地域のコミュニティーの核になるときに学校長を助ける、そういう力のある方を入れているんです。だから、そういう視点で学校の事務というのを考えていかないと、例えば資料3で外部人材の活用とありますけれども、そういうときに市区町村の職員というのは地域の方をよくご存じの方が多いですから、そういういろいろ動ける方が学校の事務にいるかいないかは非常に大きいですね。

【委員】

 部活動については、学習指導要領の中にも完全に教育活動の一環として強く打ち出されているのですが、教員の本来の仕事は教科指導等にかかわる授業等であって、部活動はプラスアルファ的な感覚がどうしても定着しているような気がするんです。それは、明確にこれはそうでないんだと、部活動も一つの教育活動だという認識に立って、勤務時間内における本来の活動だというスタンスでこの会議での意向を伝えていく必要があるのではないかなと私は強く感じます。

【委員】

 資料3の論点の中の、学校が担うべき業務と、学校以外の場で行われるべき活動は、具体的にどのようなものがあるかという、そこから考えていきたいと思うんですが、学校が担うべき業務というのが社会の変化によってどんどん増えている実態があるわけです。例えば、青少年の食の問題、個食とか、家庭の力が減ってくると、食育を考えないといけない。それで食育基本法もできましたし、学校の中で給食指導だけでなくて食育ということを考えていかないといけない。それから、社会で子供が襲われるようなことがありますと、登下校の安全・安心も考えていかないといけない。そのほか環境問題、さまざまな問題はすべて学校がまずやるべきだという流れの中で、学校が担うべき業務として増えているわけです。そういう中で、教員が行うべき業務と、それ以外の職員や外部人材により行われるものとに分かれるとすると、例えば食育というのは、給食指導から発展して、ほんとうに食全体を考えて、よりよい食生活の習慣をつけるとか、それから実際にどういう食材を使うのかとか、そういうことまで指導するようなことになってくるとすれば、国全体で食育基本法もできたことだし、各学校に栄養教諭を入れていただくといった措置。それから、今、読書量といいますか、読解力が低下しているというOECDの結果が出て、かなり騒がれた時期もありますけれども、そういうときに各学校には司書というものが必要であるということであれば、司書を入れていただくとか、教員定数というよりは、社会の今の動きの中で、これは絶対に学校には必要だという人材を文部科学省が率先してリーダーシップを発揮して入れていただくことによって、教員のその部分の負荷というのは非常に減るのではないかなと思います。
 それからもう一つは、今、学校支援地域本部を各学校にという動きもありますけれども、学校の管理職及び教員が地域とあまりいい関係を持っていない学校では非常につらいだろうなと思います。私の地域では、地域とともに子供を育てるというのを施策の第一の柱に掲げてやっておりますし、学校選択制はとらないので、必ず地域の方たちと一緒にやってくださいと言っていますので、かなりスムーズにやってはおりますけれども、そうでないところにとっては非常につらい。そういうときに、地域と学校をつなぐパイプ役を利用する。
 それから、部活動については、私はさまざまな要因があると思うので、一概には言えないんですけれども、一つには、部活動に対する支援体制を各教育委員会がつくり出すということが重要であろうと思います。例えば、顧問がいなくても、外部指導員を入れていくような支援体制が必要だと思います。ただ、支援体制をしっかりしますと、部活動が盛んになってきますので、教員の忙しさも増えているということで、ある程度上限を設けてやっていくような意識の変革というのも必要だと思います。

【委員】

 確かに、外部人材は難しいと思います。両面があるんです。要するに、外部人材を活用すると、楽になる部分と、休みたくても休めなくなってしまう。人によるんだろうと思いますけれども、これはなかなか、どういう人材を確保できるかによってうまくいくかどうかが決まると思うんですが。

【委員】

 外部人材については、今までの先生方のご意見と同じように、外部人材を活用することによって教育の質・量は高まるかもしれませんが、教員の業務軽減にはおそらくつながらないのではないかなと。それは、協働のロジックからいうと、外部人材が働くと、教員も一緒に動かざるを得ない。外部の人も納得するくらい働かざるを得なくなるので、おそらく特定の人に仕事が集中する状況はますます悪化するのではないかと。だから、質・量を改善するという意味ではきっといい政策だと思いますが、今回のテーマに関しては非常に危険が伴うのではないかなと思います。
 それからもう一つは、日本の場合には基本的にはぼやっとした仕事が割り振られてくるということなので、教員に限らないですけれども、民間全体も含めて、本来ぼやっとしたところにわっとサービス残業的なものがふってくる。それ自体に非常に問題があるんですけれども、学校に期待するものが大きくなればなるほど、どうしてもこういうことは避けがたいと思うんです。だから、外の人材を活用するのが質の向上や量の拡大という積極的な態度によるもので、もっと忙しくなっていいというのであればこの方式でいいと思うんですけれども、そうでない限りは非常に危険を伴うと思います。

【事務局】

 我々の問題意識としては、そのぼやっとしたところをもう少し明確化できないかと、もう少し分業体制のほうへ持っていけないかという問題意識があるんです。教員はここまでが大体標準的な業務である、事務職員はここまでやってほしいと、例えば給食費の徴収は事務職員がやるとか、それから今学校にはきちんと配置されていないけれども、配置されると望ましい学校司書とか理科支援員とか特別支援教育の支援員とかがこの部分の業務は担ってほしいとか、そういうある程度の分業体制をイメージしていきたいなと考えています。それから、外部人材というのは、外部の人がお手伝いで来るという形だと、確かに教員の仕事は増えるだろうと思うんです。その人たちに学校の中に入ってもらって、学校の一員として仕事をしてもらうにはどうしたらいいかと。結局これは学校の職員になってもらうしかないという気がするんですけれども、部活動にしても、外部からの指導者ということで来てもらうと、教員は一緒に動かなければならないわけです。教員でなくても顧問になれるとか、あるいは部活動の指導者として学校の中に非常勤職員として置くとか、そういう方向が一つは考えられるのではないかと思っています。教員の業務を明確化して、授業を中心とした業務に特化させる方向で今後考えたいと思っているんです。

【委員】

 事務職員の人数が増えればよくなるというのはそのとおりだと思うんですけれども、だったら教員が増えてもいいわけですね、仮に人数を増やせるのであれば。もうちょっと教員にはジェネラリスト的なものも期待されていると認識を変えてしまってもいいのではないかと思います。事務職員を増やすよりは、全部教員にしたうえで教員が事務もやるというほうがいいのではないかという気がするのですが。

【事務局】

 今までの日本の学校はそうなんです。教員が何でもやっていくということだったのですが、現にいろいろなタイプの職員が学校に入ってくるという事態にはなってきているので、教員でなくてもいい仕事というのは教員ではない人に担ってもらっていったほうがいいのではないかという発想です。あるいは、教員としての専門性ではなくて、別の専門性を持った人が配置されたほうがいいような業務というのはあるのではないかという発想で、ある程度の分業体制というものを考えていきたい。そういう意図が我々にはあります。

【委員】

 外部人材でボランティアで入ってきてもらうと、どこまで頼んでいいのかわからないので、お互いに気を使ってしまうところがありますので、非常勤職員であっても、学校の職員として明確に位置づけてもらったほうがやりやすいですね。学校によって実情が違いますから、学校で選べるように、学校に裁量権を与えたほうがいいと思います。活用するかしないかは学校で選べるようにしていただけると、非常にやりやすいと思います。

【委員】

 30代、40代は一番働き盛りであるし、部活動も、年をとった人にはあまり運動系は任せられないということがあって、どうしてもその年代に業務が集中するんです。教員の業務で一番主要な教科指導を行うところと、部活動を担当するところをワークシェアリングできるような機能を学校の中に持たせることで、部活動を担当する非常勤講師などの働き盛りの年代の人が学校に来られるような仕組みが広がっていくといいかと思います。

─了─

(初等中等教育局財務課)