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1 今後の学校の在り方・教員の職務の在り方

(1)現状と課題

  •  学校は、その役割を適切に果たせるよう、地域と連携協力しつつ、それぞれの学校や地域の実情に応じて、特色ある質の高い教育活動を自らの責任として主体的に展開し、国民の期待に応えていくことが求められている。
  •  そして、学校が子どもたちにより充実した教育を提供することを可能とするためには、学校教育を担う教員の資質向上を図るとともに、教員に優秀な人材を確保することが求められている。
     そのため、教員の勤務状況を改善し、教員が担当する教科や児童生徒への指導方法などに関して幅広い知識や技能を習得するなどの自己研鑽に励むことができるようにすることや、一人の社会人として公私ともに充実した生活を送る余裕を持てるようにして教職の魅力を高めることが求められている。
  •  しかし、平成18年に行われた「教員勤務実態調査」の結果が示すように、教員が勤務時間内で全ての業務を処理することが現実的には非常に困難な状況となってしまっている。これは、社会の価値観の多様化や地域や家庭の教育力の低下など、学校を取り巻く環境の変化から、授業以外の様々な業務が学校に持ち込まれている現状があるためと考えられる。
  •  さらに、一部の地方公共団体では、主幹教諭などの配置により、学校の運営体制の改善を積極的に進めているが、依然として多くの学校の運営体制が、校長、教頭以外は横一線に並んでいる、いわゆる鍋蓋型組織であることなどから、学校として組織的、一体的な教育活動が十分に展開されていないのではないか、また、学校が担うべき業務について各教職員の適切な役割分担と連携が十分になされていないのではないかなどの課題もある。

(2)今後必要な取り組み

1学校の役割の明確化

  •  学校と家庭・地域との役割分担を明確にし、学校が本来行うべき体系的な教育活動に専念できるようにする必要がある。
     そのため、国や各教育委員会は、今後の学校はどのような役割を果たすべきなのか、家庭や地域とはどのような役割分担や連携を図っていくべきなのかなどの検討を進め、学校が行うべき業務について、小学校や中学校などの学校種の違いも踏まえ、できる限り具体的に示していくことが必要である。その際、特に小学校、中学校においては、市町村に学校の設置義務が課され、地域に根ざした教育を行うことが期待されるなど、国立学校や私立学校とは異なる公立学校ならではの性格も踏まえ、検討することが必要である。
  •  また、上記の学校が行うべき業務とされたものについて、学校とその管理機関である教育委員会との間での事務分担や教育委員会による支援の在り方についても明確にする必要がある。
     そのため、国や各教育委員会は、学校が行うべき業務について、教育委員会と学校との間の事務分担や教育委員会による支援の在り方などについて検討を進め、できる限り具体的に示していくことが必要である。
     例えば、事務的な業務などについて教育委員会による集中管理を行うことや法的な問題が絡むトラブルなどについて教育委員会による積極的な支援を行うことなどが考えられる。

2学校の組織運営体制の整備・充実

  •  学校は、子どもたちの教育を担う教員が子どもと向き合う時間を確保した上で、学校としての明確な教育方針の下に、個々の教職員の活動を有機的に結びつけ、組織的、一体的な教育活動を展開していくことが必要である。そして、それが可能となるよう、組織的な学校運営を行う体制を整備することが必要である。
  •  そのための方策として、例えば、研修による管理職の意識改革やマネジメント能力の向上を図ること、学校・校長の権限の拡大、鍋蓋型の組織を改善するための主幹教諭などの配置、学校が抱える課題に対応した適正な教職員数の確保、各教員の学校運営への積極的な参画、学校運営の企画・調整のための校内組織の設置による体制整備、学校マネジメントを支える事務体制を強化するための大規模校などにおける事務職員の複数配置や事務長の設置などが考えられる。

3学校における教職員の適切な役割分担・外部人材の活用

  •  学校内における教職員の適切な役割分担を図るため、校長の全体統括の下、各教職員のそれぞれの職に応じた役割を明確にすることが必要である。
     例えば、食育や読書活動などについて栄養教諭や学校司書などの職員を配置して活用していくことや、事務部門を強化することにより今まで教員が担ってきた事務作業を事務職員が一括して処理すること、教員以外の専門的職員や支援的職員を配置して適切な役割分担の下で学校が一つのチームとして機能を発揮するようにしていくことなどが考えられる。
  •  また、副校長や主幹教諭、主任などが、校長を補佐し、中間的にそれぞれのグループの取りまとめや調整を行うなどして、組織的に運営が行われることが必要である。
  •  専門的な知識や技能を有する外部人材を活用することで、学校における適切な役割分担の体制の構築を図ることも必要である。
     例えば、部活動の指導や、いじめや不登校などの児童生徒の対応、登下校時の安全指導、給食指導などについて外部の人材を活用することは有効であると考える。また、併せて円滑に外部人材の活用を進めるため、地域と学校とをつなぐコーディネーターの配置も必要である。
     ただし、外部人材の活用については、責任の所在が曖昧になることや調整による負担の増大につながるなどの指摘もある。そのため、例えば児童生徒に直接関わり合うため、責任の所在を明確にする必要がある業務などについては、非常勤の職員を学校に配置するなどの方策も考えられる。

4学校の在り方、教員の職務の在り方の検討

  •  以上の1から3の取り組みにより、全教職員が学校としての方針を共有した上で、組織的な連携のもと、自らの役割について責任を持って果たしていくこととなり、学校として質の高い教育活動を展開していくことができることはもちろん、責任の所在の明確化、知識や経験の共有化が図られ、新たな課題にも機動的に対応することができるようになると考える。
  •  このような学校運営体制の下では、教員が子どもたちへの教育から学校事務、外部対応に至るまで学校のありとあらゆる仕事を担うのではなく、授業や学級経営を中心とした子どもたちへの教育に専念することができるようになると考える。
  •  また、学校教育活動が、校長やそれを補佐する副校長や教頭による全体統括の下、主幹教諭の中間統括や指導教諭の指導を受け、より一層学校という組織としての一体的な活動として行われるものになっていくと考える。
  •  今後の学校の在り方などについては、学校が地域社会の中で果たすべき役割やその役割を効果的・効率的に果たすために必要な組織運営体制の在り方は何か、教員の本来業務は何かなど、まさに学校教育の根幹に関わる問題であり、より広範な検討を今後さらに進めていく必要があると考える。