指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドラインに関する調査研究協力者会議（第8回）配付資料［資料4］

1　教員の資質能力の向上に関する基本的な考え方等

　「不適切な指導」という定義があいまいである。
　国が一定のガイドラインを設定することが、それぞれの地域の実態に応じた課題解決に向けての取組を画一的にするものであってはならない。
　認定対象者は40代・50代のベテランが多くを占めている原因を究明し、研修内容の見直し、現場復帰が達成される制度となるようにすべきである。
　指導が不適切な教員を安易に「排除」せず、現場復帰を支援し促進すべきである。
　指導が不適切な教員への対応が、他の教員の教育活動に萎縮的効果を招いてはならないことが強調されるべきである。
　報告，申請，認定，現場復帰，再研修などの各節目での本人開示はもとより，その後の異議の申し立て，苦情処理制度を設ける必要がある。
　指導改善研修を学校に完全に任せるべきである。
　人格評価、思想信条、プライバシーに関わる例示をおこなわないことを明記すべきである。
　指導改善研修において、人権蹂躙、退職強要をおこなわないことを明記すべきである。
　国際基準である『教員の地位勧告』の水準をクリアする「適正手続き」をはじめ、客観性・公平性・透明性のある「指導不適切教員」人事管理システムにならなければならない。

2　「指導が不適切である」教諭等の定義

　校長・教頭そして主幹教諭なども「指導改善」の対象にすべきである。
　「指導が不適切である」ことの原因が精神疾患に基づく場合には、本措置の対象にならないことを明確にすべきである。

3　「指導が不適切である」教諭等の把握及び報告・申請

　苦情処理制度、本人及び職場の同僚の意見聴取など、校長の恣意的な評価・判断を排除するシステムは必須とすべきである。
　対象とされる本人をさておいて進めてはならない。寄せられる意見や要求については、本人に十分な説明がおこなわれ、その上で総合的な視点から判断されるよう提言すべきである。
　対象者の要請があれば職場の同僚の意見も添付できると改善すべきである。
　本人のみならず職場の同僚からの異議申し立て制度も担保する必要がある。
　対象者の進退に関わる重大な課題の判断を学校長がおこなうことになり、その判断は本人とのコミュニケーションが優先され、納得性、透明性、共通理解、客観性などを確保する必要である。
　厳しい状況の中で教育活動に取り組んでいる教員を学校や教育の現場実態も踏まえず、一面的な現象のみによったりして「指導力不足教員」「不適格教員」などという言い方で、一括りにすることは問題である。
　校長に「過度な負担とならないよう配慮」が重要であるとして、負担軽減策を例示しているが、教員の名誉と人生に大きくかかわることから教員評価を慎重にすべきであるとの認識が希薄ではないか。
　「指導が不適切である」教諭等を早期に把握すること及び当該教諭等がその状態に陥っている要因ことを理解することが重要である。その後の指導改善研修、現場復帰を円滑にするために、校長はコミュニケーションをとおして指導状況の適切な把握に努めるべきである。
　保護者等外部からの情報に対しては慎重に対応し、プライバシー保護に配慮すべきである。

4　専門家等からの意見聴取の在り方

　専門家からの意見聴取の組織的な在り方が不明である。
　昨今、横暴な保護者によって学校現場が混乱に陥っている例が少なくない。保護者を専門家等として選任する場合は、見極めが必要である。
　「その他児童等に対する指導に関する専門的知識を有する者」の例示に偏りがあるので、同僚をはじめとする現場教職員も専門的知識を有する者として例示した方がいいのではないか。
　判定委員会のメンバーを公表すべきである。
　認定にあたっては必ず専門家等の意見を聞くこととし、校長や教育委員会の判断が客観的かつ多角的になるように配慮すべきである。

5　「指導が不適切である」教諭等の認定の方法等

　「指導が不適切である」ことには明確な判断基準と客観性が必要であり、恣意的な判断が入り込まないようにすべきである。
　認定にあたって当該教諭等が意見を述べる機会を保証すべきである。
　本人が希望したときは同僚や職員団体の代表などが同席した上での意見聴取のシステムづくりが必要である。
　判定委員会の場で、本人に弁明の機会を保証することを原則とし、その際、同僚・弁護士などの同席を認めることができるようにすべきである。
　意見聴取に際して本人が推薦する同僚などの同行を認めるべきである。
　認定されてはじめて「指導が不適切である」となるので、それまでの間の当事者の取扱いには十分留意する旨の提言を盛り込むべきである。

6　指導改善研修

　定期的な研修として位置づけることやその研修の意味の守秘義務が充分に守られる配慮が必要である。
　指導改善研修自体が適切かどうかを検討することが不可欠（これまでの事例から考えて）。とりあえずは、専門家などでの承認が必要ではないか。公正、適正に必要な改善研修が実施されているかを判断する第三者の専門家を含む検討機関を設置すべきである。
　大学や研究所あるいはNPOなども改善研修機関として認めるべきである。
　指導の改善・職場復帰が目的であることから、所属学校で勤務しながら研修・支援を行うことを基本とすべきである。
　所属学校での実地研修は、具体的にどのように行い、どのような配慮が必要か明示すべきである。
　指導が不適切な状態は個々によってさまざまなので、個別に計画書を作成することは重要な観点である。学校や教育センター等における研修の実効性を高めるため、いつでも相談ができるような指導者を適切に配置すべきである。
　「延長して2年を超えない範囲」は最低基準とし、教育委員会の主体的判断を妨げることはあってはならない。

7　指導改善研修終了時の認定

　本人の希望があれば同僚ないし職場の代表などの意見や同席などを認めるようにすべきである。
　認定時と同様に、終了時にも専門家並びに当該教諭等からの意見を聴取すべきである。

8　指導改善研修後の措置

　「支援を要する教員」を生みださないための総合的な支援システムの構築が重要である。
　周囲の教職員に対しては、十分な配慮の協力体制および守秘義務があることが徹底されるよう提言すべきである。
　改善された場合には学校に復帰することになるが、校長は円滑な復帰となるよう職場環境を整えるとともに、各教育委員会は積極的に支援すべきである。
　学校復帰後も適切な指導・助言等を行い、継続した支援を行うこと。異動にあたっては、それぞれの職場で情報を共有し、再び「指導が不適切である」と認定されることがないようにすべきである。
　未だ「指導が不適切である」と認定された場合、直ちに分限免職、免職・採用（教員以外への職種への転任）等を検討するのではなく、再受講を含めて慎重に対応すべきである。

9　教員の指導力の維持・向上のための取組

　教育委員会は、労働安全衛生法にもとづいた過重労働対策や、メンタルヘルス対策をおこなうことなどで支援すべきであり、教員評価制度に基づく定期的な評価をふまえて、支援するものではない。
　良好な職場環境というものをどのようにイメージしているのか、またその職場環境作りをどのように構築しようとしているのかも明示していただきたい。
　指導が不適切な状態に陥ることを未然に防ぐため、教員同士のサポート体制の確立、校務分掌の負担軽減、カウンセラーによるメンタルヘルスケアなどの方策を充実させるべきである。
　学校教育法の改正により設置できるようになった「新たな職」である指導教諭は、他の教諭などに対して教育指導の改善や充実のために必要な指導・助言を行う職務であるから、指導教諭を十分に活用すべきである。

パブリックコメントに提出された主な意見（提出された意見を文部科学省が暫定的に整理、とりまとめたもの）

1 教員の資質能力の向上に関する基本的な考え方等

2 「指導が不適切である」教諭等の定義

3 「指導が不適切である」教諭等の把握及び報告・申請

4 専門家等からの意見聴取の在り方

5 「指導が不適切である」教諭等の認定の方法等

6 指導改善研修

7 指導改善研修終了時の認定

8 指導改善研修後の措置

9 教員の指導力の維持・向上のための取組

1　教員の資質能力の向上に関する基本的な考え方等

2　「指導が不適切である」教諭等の定義

3　「指導が不適切である」教諭等の把握及び報告・申請

4　専門家等からの意見聴取の在り方

5　「指導が不適切である」教諭等の認定の方法等

6　指導改善研修

7　指導改善研修終了時の認定

8　指導改善研修後の措置

9　教員の指導力の維持・向上のための取組