資料1

「指導が不適切な教員に対する人事管理システムに関するガイドラインの調査研究協力者会議」における主な意見等

基本的な考え方

1.「指導が不適切な教諭等」の定義と認定基準・手続き

(定義と認定基準)

  •  模擬授業でいくら一定のレベルの授業を行っても、学校で子どもたちの前に立って十分な指導ができなければだめである。児童生徒理解、あるいは人間関係、コミュニケーション能力、ここが一番の大事なポイントである。
  •  これまでの指導力不足教員の中には、もともと分限事由に該当する教員が含まれていた。そういう教員は研修では改善されない。研修の対象となる教員を絞り込む必要がある。
  •  現実には、一人の教員について、分限事由も認められる場合もあるし、指導力不足で教師としての専門性が低下している場合もあるし、精神疾患のような部分が混在している場合もある。それを見極めるというところからスタートする。
  •  最初の認定時に、指導力の問題と捉えるか、あるいは精神疾患として対処していくかについて、厳密に判断しなければならない。
  •  精神科の病気として一番難しいのが、人格障害的な方。指導力不足教員の認定に関して、こういった方をどのように扱うか、きっちり判断していかなければならない。もう一つ紛らわしいのが、病気であるかどうかが一般的な視点から非常にわかりにくく、結局、病気のために指導力が損なわれ適性が落ちているという方。代表的なところでは、統合失調症で、ある程度病気が落ち着いている慢性状態の方。そういった方は純粋に病気ということで、治療なり、あるいは保護的な観点での扱いというのが必要と思われる。
  •  精神疾患の診断書が簡単に出されるという問題について、県教育委員会で指定医を設け、診断をすればかなりのものが解決できるのではないか。
  •  指導力不足教員の対応で一番苦労するのは、病気を理由に指導改善研修を受けないこと。本当に病気なのかどうかがよくわからない。だから指定医制度というのが必要になってくる。ただし、指定医になってくれる人材や予算を確保することが課題。

(認定の手続き)

  •  指導力不足と認定するための手続が精密になり過ぎている。指導力不足認定の手続というのは分限免職の手続より厳しくなっているが、本来、これは研修であり、指導改善研修をどう位置づけるかが問題である。
  •  判定段階ではあまり絞り込まず、できるだけ研修に入ってもらうようすべき。そのためには指導力不足ということを前面に言い過ぎると、この研修が重たくなってしまい、校長が申請しづらくなる。
  •  校長と教育委員会がどのように協力すればよりよい認定ができるのかという手続きを考える必要がある。
  •  校長としては、指導が不適切な教員として申請を上げると、最終的には訴訟になるということを覚悟しなければならない。日常業務に加えて、いろいろな対応が求められるので、時間的にも精神的にも非常に負担が大きい。訴訟への対応も含めて、教育委員会が学校を支援できるよう工夫すべき。
  •  校長は教員が課題を自覚しない場合はかなり強い調子で当たることになるが、それと同時に、親身になって相談を受けなければならない。そういう意味で、校長がキーパーソンである。
  •  教育委員会が校内の指導で十分対応できると判断をしている場合でも、校長が指導を求めるケースもあるし、一方で、苦情等があるにもかかわらず、校長が指導を求めようとしないケースもある。教育委員会として対応が必要と判断している場合には、校長に話をして、複数の担当者が指導にあたることとしている。
  •  匿名も含めて保護者や地域の方からの苦情等があったときは、すぐに学校と連絡をとり、事実確認を行い、対応策について協議をするので、学校の管理職にとって教育委員会は相談相手というような形で情報共有をしている。
  •  県費負担教職員の場合、都道府県と市町村の間で二重行政になっており、基本的には教員の指導・育成は校長が第一で、次に市町村教育委員会の責任で行われていて、そこで支え切れないから任命権者である教育委員会のところに話が来るというところがある。
  •  最終的には裁判ということもあり得るので、指導が不適切な状態の記録をしっかりとるべきである。今回の法律に則ったシステムに入る前の段階は間口を広げるようにし、システムに入ったならば、裁判に耐えうるような厳格な運用を行うべきではないか。(再掲)

2.指導改善研修

(内容等)

  •  現場で一人で子どもを教えられるかが一番の問題。そういう課題が最終的な判定段階で検証されるような制度にしなければ、研修成果の評定が正しくできない可能性がある。
     研修内容を実践的なものにする必要がある。
  •  指導が不適切な教員で、教科指導に課題がある場合には、校内研修や研修センターの研修でかなり改善されると思うが、対人関係に問題がある場合、本人に課題となっている点を自覚させたりしようと思っても、なかなか難しい。
  •  児童生徒理解ができない、コミュニケーションがうまくいかない教員を指導する際、その教員の物事の理解の仕方等をある程度把握することが重要。
  •  指導改善研修を受ける教員は多くの人が孤立している。こうした教員には、研修を行うというだけではなく、適宜相談にのってあげる人も必要。
  •  指導が不適切な教員が孤立しがちであるということについて、現状では、先生方は非常に多忙なので、何らかの形で話を聞くことができる人を配置するなどの工夫をしない限り、しっかりとコミュニケーションを図るのは難しい。
  •  個別指導のプログラムの中で、児童生徒とのコミュニケーションについて学級経営案や学級通信などを持ってきてもらう。具体的な話をしてみると、周りの教職員が支援の手を差し伸べているのに、そのことに気がつかない状況があることが分かる。具体的に経歴を追って話をしていく中でいろいろなことが見えてくる。それ抜きにして、例えば教科指導だけという研修ではうまくいかない。
  •  学校を離れて研修をしていると、復帰時に学校の雰囲気が分からなくなるので、校内において子どもの指導に当たらない形で何かをさせるなど、学校の仕事に支障が出ないよう、バランスを考えて個々に課題を与えている。
  •  自分の指導力に課題があることに気がつかない教員が一番改善されない。
  •  自分に問題があると認める場合は比較的その後の対策はスムーズになるのに対して、なかなか認めない場合は認定の段階からいろいろな苦労がある。
  •  研修の課題について、1本人に指導が不適切であることを認識させること、2研修からの復帰に際しての対応、3復帰後の対応について検討する必要がある。
  •  模擬授業でいくら一定のレベルの授業を行っても、学校で子どもたちの前に立って十分な指導ができなければだめである。児童生徒理解、あるいは人間関係、コミュニケーション能力、ここが一番の大事なポイントである。(再掲)

(期間)

  •  研修期間が1年間と長期になっているが、長期が必ずしも効果があるとは限らない。むしろ問題の程度に応じて短期集中でやるほうが良い結果がでると思う。

3.指導改善研修終了時の認定

4.指導改善研修終了後の措置

5.指導改善研修の認定を行う前の段階の把握と対応

その他