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1 外国人児童生徒の受入状況と外国人児童生徒教育の意義

1.外国人児童生徒数の動向

  •  外国人の子どもの学校での受入状況について見ると、学校基本調査によれば、全国の公立の小学校、中学校、高等学校等に在籍する外国人児童生徒数は7万936人(平成18年5月1日現在)となっており、前年度より若干増加(平成17年5月1日現在では6万9,824人)している。また、外国人学校にも3万人程度の外国人の子どもが在籍しているといわれている。
  •  一方、文部科学省で行っている「日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況等に関する調査」においては、我が国の公立の小学校、中学校、高等学校等に在籍する外国人児童生徒のうち日本語指導が必要な外国人児童生徒数は2万2,413人(平成18年9月1日現在)となっており、前年度より8.3パーセント増加(平成17年9月1日現在では2万692人)している。また、経年変化を見ても平成14年度以降増加傾向となっている。(注1)

    • (注1) なお、近年、日本国籍を有する日本語指導が必要な児童生徒数についても増加しており、平成18年度の調査では3,868人となっており、前年度の調査結果より654人(20.3パーセント)の増加となっている。したがって、外国籍・日本国籍を問わず日本語指導が必要な児童生徒数は平成18年度には2万6,281人である。
  •  日本語指導が必要な外国人児童生徒数を母語別で見ると、ポルトガル語が8,633人と最も多く、次いで中国語が4,471人、スペイン語が3,279人、フィリピノ語(タガログ語)が2,508人の順となっている。これら4言語で全体の約84パーセントを占めている。
  •  また、これらの児童生徒の在籍学校数については、5,475校となっており、前年度(5,281校)より3.7パーセント増加している。さらに、在籍期間別の児童生徒数を見ると2年以上の在籍者が43.7パーセント、1年以上2年未満の在籍者が21.3パーセント、6ヶ月以上1年未満の在籍者が15.5パーセント、6ヶ月未満の在籍者が19.4パーセントとなっている。
  •  これらの状況から、学校における受入にあたって特に対応が必要となる日本語指導が必要な外国人児童生徒数については、当面、増加傾向にあるとともに、それに伴い在籍学校数も増加し地域的な広がりを見せつつあることが予想される。

2.外国人の子どもの就学状況

  •  外国人の子どもの就学状況については、文部科学省が全国の1県11市に委嘱し、平成17年度から平成18年度にかけて行った「外国人の子どもの不就学実態調査」(注2)の結果によれば、以下のような状況が見られた。

    • (注2) 同調査の調査方法・結果については、参考資料36ページを参照。
    • ア 調査対象者9,889人のうち、就学者の割合は81.4パーセントであり、そのうち国・公・私立の小学校、中学校等への就学者は6,021人(60.9パーセント)、外国人学校等への就学者は2,024人(20.5パーセント)であった。
    • イ 不就学が確認された者は112人(1.1パーセント)であった。また、転居・出国等何らかの事情により就学状況が確認できなかった者は1,732人(17.5パーセント)であった。
  •  これらの結果より、外国人の子どもの就学先としては、公立学校等への就学者数が全体の6割を占める一方、外国人学校等への就学者数も2割程度いることや、就学状況が不明である外国人の子どものうち、転居・出国等により外国人登録上の居住地に居住しておらず、就学状況が把握できなかった者が多くを占めることが分かった。
  •  また、上記の不就学が確認された者112人の保護者等に不就学の理由を聞いてみたところ、「学校へ行くためのお金がないから」(15.6パーセント)、「日本語が分からないから」(12.6パーセント)、「すぐに母国に帰るから」(10.4パーセント)、「母語の学校と生活や習慣が違うから」(8.9パーセント)等の回答があった(複数回答)。
  •  なお、上述のとおり、今回の調査結果においては、外国人の中には転居・出国等により、その居住地が分からないものが多数いるという現状にある。このため、今回の調査結果においても外国人の就学状況に関する傾向を示すにとどまっている。
  •  このような状況にあっては、市町村が就学支援を実施しようとしても、その対象は一部の外国人の子どもに限られてしまう結果となる。外国人の子どもに対する就学支援を効果的に行うためには、市町村が当該地域における外国人の居住地を正確に把握できることが前提となる。
  •  現在、国においては、外国人登録制度等を見直し新たな外国人の在留管理制度の導入及び外国人版の住民基本台帳制度の導入を検討している。当検討会においては、これらの制度の導入により外国人の就学支援を行う市町村が外国人の正確な居住地情報を円滑に入手し、もって、効果的な就学支援を行うことができるよう関係者に要望する。

3.外国人児童生徒の受入の意義

  •  外国人児童生徒の受入については全国的な広がりを見せつつあり、近い将来、国内のどの地域においても外国人児童生徒の受入が重要な教育課題の一つとなる可能性がある。このような中、あらためて学校における外国人児童生徒の教育を行うことの意義については、次のように考える。
    • ア 外国人の我が国における滞在の長期化や定住化が進む中、学校教育を通じて外国人児童生徒に我が国の社会の構成員として生活していくために必要となる日本語や知識・技能を習得させることは、外国人児童生徒が我が国において幸福な生活を実現するために不可欠な条件であるとともに、我が国の社会の安定や発展にとっても極めて有意義であると考えられること。
    • イ 外国人児童生徒と日本人児童生徒が共に学ぶことにより、日本人児童生徒にとっても、広い視野をもって異なる文化を持つ人々と共に生きていこうとする態度をはじめとした国際社会を生きる人間として望ましい態度や能力が育まれること。
    • ウ 外国人児童生徒に対して丁寧できめ細やかな指導を進めることにより、学校にとってもその教育活動を一層向上させ、児童生徒一人一人を大切にした教育の実現につながること。
  •  このように、外国人児童生徒の教育は、外国人児童生徒の健全な育成と我が国の社会への適応を図る上で重要であるとともに、同じ学校で学ぶ日本人の子ども達の国際性の涵養や学校そのものの教育活動の向上等にも資することとなる。