資料2 各教科等専門部会における主な意見(概要)

  • 他の教科においても言えることであるが、外国語の学習においても、言語的操作をすることの中で推論能力、論理的思考力など総合的な認知能力を高めるということを大目標として掲げておく必要がある。これは、言語力育成協力者会議の方で言及されている「メタ認知」を外国語教育においてどう受け入れるかという大きな課題である。
  • 「音楽のよさや美しさを…根拠をもって自分なりに批評したりする」とあるが、イメージや感情、情緒といった内的な体験は言葉にすることによって自分のものとなるのであり、音楽の鑑賞活動において、批評という新しい方法を用いることにより子どもたちの感性や思考力を育てることができるのではないか。
  • ビジュアル・リテラシーを含め、各教科等に横断的な言語力を幅広くとらえる方向には賛成。美術的な活動が広義の言語であるというとらえ方を確立することは非常に重要であると同時に、その際、ビジュアルな言葉・メッセージを読み取ることに加えて、自ら評価し、さらに新たな何かを付加していくという主体的なかかわりが非常に重要である。
  • 言語力の育成というと国語力の育成に帰してしまう傾向があるが、国際化が進展する中にあって音楽や美術は普遍的な共通言語であり、それらが果たす役割を認識してもらいたい。
  • 現代社会においては、障害者が地域の中で暮らしていくことが当たり前になってきている。会話以外の手法でコミュニケーションをとらないといけないという状況が日常的に広がってきているので、このことは言語力育成におけるコミュニケーションとも非常に関連がある。障害者への理解の問題に言及する必要があるのではないか。
  • 家庭科においては、例えば多様な家族の在り方についてクラス内で考えるなど、何か一つの正解を押しつけてしまうのではなく、「正解が一つは限らない問い」「結論が同じでもプロセスが多様である課題」について議論しながら学習を積み重ねていくことが重要である。また、子どもや高齢者と触れ合ったりする体験的な学習を通して、子どもたちが表現したい内容を豊かに身に付けることも重要である。
  • 「情報」は非常に大きなコミュニケーションの問題。見えないマルチメディアも含め多様な媒体を通してのコミュニケーションが形成されており、情報化社会において媒体を通すコミュニケーションが従来と異なってきている状況にあって、教科「情報」が担うべき役割は大きい。家庭科、技術・家庭科と一括りにするのでは不十分ではないか。
  • 諸外国等の国際的な研究を踏まえても、数式や証明における文字式は国語と並行して言語的な基礎と言えるものである。数・式・図・表・グラフといった数学的表現を総括して数学的な言語ととらえ、「外国語や非言語等に関する教育の在り方…」のところに、「算数・数学」という言葉があってもよいのではないか。ダンツィクという人が著した『数は科学の言葉』という本もある。
  • 「外国語」のところに「メタ言語能力」という言葉があることに、心強さとともに非常に生産的な考え方がとられていると感じる。そして、「国語」にも「メタ言語」「メタ言語活動」あるいは「メタ言語生活」という概念を取り込んでいただきたい。例えば発表したり感想を述べたりする言語活動自体について振り返ったり議論したりする言語活動が「メタ言語活動」であると理解しているが、国語科が中核として担っていく学習指導の枠組みにおいて、そのような活動が意識されることは非常に大切である。
  • 現場の先生方は、子どもたちが絵文字ばかり使うとか漢字を使わないことなど、子どもたちの言語力について関心・意識はすごくもっている。しかし、特に(教科担任制の)中学校では、他教科の先生方は何をしてよいのか分からない。そこで具体的に何をしたらよいのか国語科から提示することが、言語力育成において国語科が中核を担うということなのではないか。
  • 「国語」にある「相手の立場を考慮しながら双方向性のある言語活動」「建設的な合意形成を目指した言語活動」というのは非常によい。人間関係を形成していく中で、自分の考えを主張すればするほど対立することがあるので、そこでより相互作用的に建設的な方向に話をしていくということが求められると思う。
  • 「情報の取り出し」から「解釈」から「塾考」から「論述」というプロセスを参考として指導するというのも重要。学校現場では表現させていく方向に向いているものの、その間のプロセスが抜けてしまっているように感じられるので、その間の過程を示していくことが必要である。
  • 保健体育科における言語力育成に関し、実践的に身体を動かすだけではなく、身体を動かすことや運動することと脳との関係や身体を動かすことの効能など指導内容を工夫することにより、もっと体育やスポーツの価値自体が高まっていくと思う。
  • 体育についてコミュニケーション能力や論理的思考力の育成が可能と言われているところ、体育の分野からのアピールが十分でないと感じる。知育・徳育・体育という三育法において、体育はまさに身体だけに焦点が当てられる傾向があるが、理性と感性、思考と行動が統合的に機能するという意味でコミュニケーション能力やモラルの育成にも貢献するものとして、体育の中に知育・徳育・体育あり、という要素もある。三育法を超えたスポーツ・運動の価値についてアピールしていくべきではないか。

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