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資料2

「情報教育の目標で分類した学習活動一覧」に対する各委員からの意見等

 本資料は、現時点において、事務局に寄せられた各委員の意見等をそのまま記したものであり、文部科学省としての考え方をまとめたものではない。今後、変更もありうる。


【各委員に対する意見照会事項】
  1  「情報教育の目標で分類した学習活動一覧」(第5回資料2-1,3-2,3-3)(イコール今回の参考資料2-1〜2-3)の「枠組み」のあり方、設定の仕方についての意見
  2  小,中,高の各教科の範囲を超えるが、情報教育全体から考えて、総合学習等で扱うものとして、一覧に新たに追加すべきものについての意見
 (ただし、学習指導要領の改訂までは想定しない。)
  3  一覧の中の具体的な「指導場面」について、具体の書き方や訂正等に関する意見。
  4  一覧等をまとめた後の、検討会の成果の公表の仕方や広め方についての意見。
  5  その他についての意見


1  資料一覧の「枠組み」のあり方

1)  どこまでが前提(制約)なのかは分かりませんが、横軸は学年(レベル)で結構です。縦軸は原稿の学習指導要領に沿ったものにしなければならないとすれば、あまり変更はできないでしょう。

2)   諸外国の類似のものを参考にするならば、調査力、分析力、計画・設計力、制作力、評価力、伝達・表現力といった項目が考えられます。また”情報”を強く意識すれば、アルゴリズム構成力、デバッグ力(問題発見力、クルティカル・シンキング)、システム構成力が考えられます。現場の先生方の受け取り方と社会(特に情報系の人たち)の受け取り方のギャップをどのように埋めるかも工夫が必要なのでは。

3)   小学生用と中高生用の間で縦軸が異なっているが、これは共通させて、連続性の観点からの評価を容易にしたほうがよいと思う。具体的には、小学生用を、中高生用の「情報教育の目標」「情報教育が目指す情報活用能力」「情報活用能力(詳細)」の構造に合わせる。

4)   項目の数が問題になっていたが、教員はそこから選択すればよいと考えられるので、ある程度多くても良いように思われる。とくに中学校以上は、それぞれの科目への専門化が進むので、各教員にはそれほどの項目数は当たらないことになると考えられる。

5)  小学生用における「表現された情報の意図に対する判断」は、「情報社会に参画する態度」(とくに「社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解する態度」)に含めたほうがよいと思う。

6)  小学生用では、既存の学習要領の記述においても、1〜2年生、3〜4年生、5〜6年生は共通しているものが散見される。情報教育について、現段階では、なかなか詳細に妥当なものは出しにくいことを考えると、小学校段階は、2年ごと3段階にまとめてもよいかもしれない。

7)   堀田先生の書き方がわかりやすく、見やすいと思います。

8)   中学では学年段階で習熟度を分けることは難しいと思われますが、なんらかの段階が見えた方がわかりやすいと思います。

9)  現在ある3つのとらえを下位目標に分けて示してあるのでわかりやすい。小学校第まる学年では、この事項を扱うというように示してあり、現場の教員には、理解しやすい書き方だと思う。

10)   校種ごとに枠組みを作るべきである。設定については,校種間を連携させる内容と児童生徒の発達段階を考慮した内容とすべきであると考える。例えば,情報モラルなどについては学習初期段階から導入が必要であり,情報の科学的な理解については,その学習に必要な基礎・基本となる事柄を他教科の学習との連携を図りながら実施することが望ましいと考える。

11)  見やすいことが大切であり,あくまでも「一覧」となるように1枚に収める。「ちょっとした配慮」が現場での活用につながり,情報教育の内容の充実にも寄与するのと考える。

12)  一覧を見やすく,分かりやすくするためにも情報活用能力の分類は細分化しすぎない方がよい。小学校段階の一覧のカテゴリ数が適当ではないか。


2  一覧に新たに追加すべきもの

1)  これも総合的学習というものが、現実には大変問題になっています。柔らかい”情報”というものを意識するならば、調査力、分析力、計画・設計力、制作力、評価力、伝達・表現力といった項目が考えられます。また”情報”を強く意識すれば、アルゴリズム構成力、デバッグ力(問題発見力)、システム構成力といった能力目標を設定した上で、具体的な項目をあげることが出来るのではないでしょうか。

2)  例えば、検索の仕組み、Webの仕組み、デジタルとアナログの違い、制約ー充足問題、データ圧縮等などを総合的学習の中で課題研究として探求させることができます。理解における発達段階の問題がありますが、教材研究や指導の方法(小中学校段階では分かりやすい表現・工夫が重要ですが)を工夫する必要があります。

3)  中学生用の「情報社会に参画する態度」において、指導要領のない項目がいくつもあるが、少なくとも情報倫理や情報安全に関する項目は、総合学習等で対応すべきである。「参画態度」については、すべて対応してもよいと思う。

4)  小学生用の「情報活用の実践力」では、「収集力」「表現力」「発信・伝達力」は下位目標となっているが、「判断力」「処理力」「創造力」は、指導要領での記述がないためであろうが、下位目標項目となっていない。これらに対し、総合学習等での対応があってよい。

5)  「情報活用の実践力」における「情報表現の効果的な伝え方」で、ビデオカメラで撮影した映像を加工・編集して作品を作ったり、プレゼンテーションに生かしたりする項目を入れてはどうか。

6)  それに関連して、「情報活用の実践力」における「情報手段の操作」で、ビデオカメラを使って後で利用する映像を撮影したり、撮影した動画を編集することを入れてはどうか。

7)  小学生の「情報社会に参画する態度」において、中学年以前が全くないが、少なくとも情報安全と情報倫理に関するものは追加すべきである。次期の指導要領では低学年からが望ましいと思うが、今回については中学年からでもよいと思う。

8)  同様に、小学生の「情報の科学的な理解」における「表現された情報の意図に対する判断」についても、中学年段階からの項目が追加されてよいと思う。ただし、この項目は、先述したように、「参画する態度」に移動させたほうがよいと考える。

9)   「情報の科学的な理解」の中に,「なぜ記憶違いを起こすのか」「なぜ判断を誤るのか」「なぜコミュニケーションに失敗するのか」といった原因探求型の学習(「人間の情報処理を科学する」)を含めてはどうか。簡単な実験を盛り込むことも科学的探究活動として効果的と考えられる。

10)   「情報の科学的な理解」の中に,「人間の情報処理とコンピュータの情報処理の違いを理解する」学習を含めてはどうか。コンピュータとの比較により(コンピュータが得意で人間が苦手な,あるいはその逆の情報処理を知ることで),人間の情報処理が理解しやすくなる。

11)   「情報活用の実践力」の「情報判断力」の中に,「合理的な判断とは何かを理解する」「合理的判断を妨げる“からくり”を理解する」「論理的な判断,目的にかなった判断を行う方法を学習する」などを含めてはどうか。

12)   「情報活用の実践力」の「新たな情報を創り出す能力」の中に,「情報を用いた仮説形成,仮説評価を日常の出来事に対して行う学習をする」などを含めてはどうか

13)   以上の内容は,具体的活動と題材を年齢に応じたものにすれば,中高のみならず,小学校高学年においても可能ではないかと思われる。

14)  また,「人間の情報処理への感情の影響」「情報伝達における感情の上手な表現」など,感情についての学習も重要と考えられる。

15)  いずれも、ネットワーク関連の実践力、知識、態度の育成を大きく取り入れる必要を感じます。

16)  ただ、もともと情報教育は既存の教科の枠組みとは相容れない内容であり、内容知から方法知への転換を実践する場面のために総合的な学習がもうけられた側面もあるように理解しています。そうなると総合的な学習の内容を規定するよりは、実践のヒントや例示にとどめる方が実際的ではないでしょうか。

17)  総合も良いと思いますが,やはり,教科の中で情報教育をしっかり位置づける方が学校現場としては良いのではないかと思います。

18)   中学年にも、総合的な学習の時間に情報安全教育を位置づけたい。なぜなら、自分の身を守り、正しく情報を活用していくためには、中学年のうちから、知識として教えるべきものがあると考えるからである。

19)  総合的な学習の時間の中で知識として教えたいもの
1)   著作権や肖像権について中学年から指導したい。
 提案のように、総合的な学習の時間において、高学年で著作権や知的所有権を理解させることに賛成である。理解は高学年だが、これらの概念についての指導は、中学年あたりからはじめてもよいと思う。なぜなら、調べ学習やデジタルカメラで写真を撮ることは、中学年からすでに始めているからである。
2)   IDやパスワードなど、個人情報の保護について早いうちから指導したい。
 学校現場では、電話番号を含め、個人情報については、知らない人に教えないことを指導している。ネット社会の特性などを考えた場合、個人情報はあっという間に広がる。個人情報の保護を含めた「情報が広がるしくみ」を知識として教えた方がよいと考える。

20)  各教科以外では,道徳教育や,特別活動には情報活用能力の育成に寄与する学習活動がたくさん含まれると考える。(新)「情報教育に関する手引き」57ページ〜59ページを加えてはどうか。

21)   コンピュータやネットワークなどの内容に加え,情報を総合的に捉えることのできる情報端末としての内容を付加することが必要と考える。情報を受ける情報を発信することがどのような場所からでも可能になっている時代だからこそ,また,これからの情報社会を考えた内容を構築することが重要である。情報はコンピュータとすることを根底におき,様々なメディアを含めることも必要である。


3  具体の書き方、訂正に関する意見

1)  提示された資料を見ますと、よくできていると思いますが、総合的観点からの”科学する”、”技術的視点から工夫する、ものを作る”といった内容が十分ではないように思います。小学校段階ですと、やむを得ないのかなとも思いますが。

2)  しかしながら、上記の事柄は、我が国の初等中等教育が世界的視野から眺めた時、科学・技術立国の教育として重要であると思います。もちろん、情報倫理的課題、ICTを活用したコミュニケーション能力の形成も重要ですが。要するに指導する先生方の観点とその背景の知識に依存しますね。

3)   小学生用の一覧では、既存の指導要領の記述の具体性に対して、総合学習の記述部分がやや抽象的である。とくに、「情報社会に参画する態度」の部分において、開きが大きくなっており、総合学習の記述の具体性を高めることが望ましいように見える。

4)   小学生の「情報の科学的理解」での「表現された情報の意図に対する判断」においても、具体性を高めることは可能であり、例えば、「映像作品や番組におけるさまざまな違いを理解する」「そうした違いをもたらす要因を理解する」「発信者の意図を分析する」などの要素に分け、中学年段階から配置してもよいかと思う。

5)   小学生の「情報社会に参画する態度」の「情報社会における安全」についても、具体化を進めて、さまざまな安全問題を挙げるとともに、ネット中毒や長時間使用の問題などを新たに加えて、それらを中学生段階から配置してもよいと思う。

6)  ねらいだけではなく,それを達成するには,こんな方法でこんな指導をすれば,こういう力が身に付くといった具体的な記述が必要だと思います。

7)  具体の書き方については堀田先生のご提案通り,学習指導要領や解説に依拠した書きぶりがよい。各教科,領域において情報活用能力の育成に関する内容の位置付けを分かりやすくすることで学習活動のイメージがつかみやすく実践化につながる。

8)  指導場面に関して・・・(新)「情報教育に関する手引き」第2章,第3節には今回の資料にないものもある。手引きと各教科の指導要領解説を対比させ,加えるべきものを見直す必要があるのでは?

9)   児童生徒に身につけさせたい内容を中心に記述するようにし,具体の学習課題などを示さないようにすることがよい。児童生徒の興味・関心や指導者の裁量が生かせる記述であることが重要である。


4  公表の仕方や広め方

1)  文部科学省のウェブページに掲載し、通達や教育関係の新聞等でその存在を周知させたり、教員研修において周知を進めることは、もちろん行われるものと考えられる。

2)  常套的手段の他に思いつくものとしては、NHKと交渉し、今回の成果の普及を含む番組を放送してもらってはどうか。教育トゥデイを始め、情報教育の番組はしばしば見られるところである。交渉はかなり早くから行う必要がある。

3)  ガイドブックの配布(教委向け、教員向け)が考えられますが、これまでの経験からも実効は薄いかなと思います。しかし、あまり強制力のある形にしてしまうと、現場での自由な発想や創造的な学習を著しく制約してしまいそうな危惧を感じます。

4)  とはいえ、これまで情報教育があまり創造的に行われてきていないというジレンマから今回の問題意識が発展しているとすれば、現場の教員を支えるシステムとしてこの報告が生かされるとよいのですが・・・。

5)  パンフレットにまとめ、教員だけでなく、保護者にも配布する。

6)   授業の例示を別の形でいいので紹介したい。そうすることで、パンフレットに書かれていることへの理解度が、さらにアップするのではないだろうか。

7)   Web公開を前提に考えるのであれば,一覧の各指導場面と指導案(大竹先生資料参照,等)や指導事例集をリンクさせ,より具体的な指導場面や指導方法を例示するとよい。


5  その他

1)  いつも指摘することですが、1先生の授業改善手段としての情報教育2児童・生徒の学習手段としての情報教育3各教科(総合的学習の時間も含む)の中での学習目標達成のための情報教育4情報収集、整理、表現、伝達、社会参画といった比較的抽象的なレベルの能力形成のための情報教育5そしてコンピュータ・サイエンス(情報科学、情報工学、情報システム学?)の内容を学習する情報教育があります。この点をきちんと整理し、理解してもらう必要があります。

2)   小中学校の段階、高校の段階、独立教科「情報」での内容をもう少しフリーに議論(あまり制約をおかずに)する必要があるのでは。

3)  前回の最後に、少し出ましたが、中高一貫の教科”情報”を考える必要があるのでは?大きな教育改革になります。諸外国では、Secondary Schoolとして、実施しているところが少なくありません。

4)   情報教育の体系性を持ち、また、近年の社会的要請にも対応した一覧表を作ることが望ましいと個人的には思う。しかし、そのためには、かなりインテンシブな作業が必要であり、(場合によっては複数の)ワーキンググループを作る必要があると思う。

5)   情報モラルに関する記述については、現在、文部科学省がコンピュータ教育開発センター(CEC)に、その指導法についての事業を委託しているが、そちらとの連携が採れる部分があるかもしれない。

6)  今回の整理の作業を見て、小学校段階においても、「情報」の教科ないし単元が必要であることを確信した。現在の各学科の学習要領では、情報教育の観点から見れば、抜けている部分が多過ぎており、これは現行のような教科分散型の配置では避けられないように思われる。

7)  前にも書きましたように、あまり内容を規定しすぎますと、以前の生活科のように現場での工夫も創造性もないお仕着せのものになってしまいがちです。特に総合的な学習の時間の、目的は示しても内容は示さなかったという趣旨をどこかで再確認する必要があるのではないでしょうか。

8)  一方、現場の教師が具体的な指針や段階、内容のヒントをほしがっていることも確かです。この検討結果がうまく生かされるようにさらなる議論を進める必要を感じます。

9)  新しい情報教育の手引きは,理論的なことだけでなく,できるだけ現場の先生が実際に利用できるものがよいと思います。情報教育は新しいものなので,目標だけ示してあとは各自工夫して指導してくださいというスタンスでは実践できない教員が多いと思います。丁寧かつ具体的に指導方法を示すことが利用につながるのではないかと思います。

10)   小学校と中・高等学校では、学級担任制と教科担任制と異なっているので、書き振りをそろえるのは難しいと考える。提案のように、小学校は、学年ごとの系統性がわかるように示し、中・高等学校では、教科ごと示す形にし、無理に小・中・高等学校と書き振りをそろえなくてもよいと考える。

11)   枠組みや具体の書き方等が定まらなければ「指導場面」の内容検討は難しいので,まずは一覧の作り方を決めていただければと思います。


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