「初等中等教育における国際教育推進検討会報告(案)」に対する意見募集の結果について

平成17年8月3日
初等中等教育局国際教育課

 「初等中等教育における国際教育推進検討会報告(案)」について、平成17年6月16日から同年7月6日まで意見を募集したところ、18通の御意見をいただきました。
 主な意見の概要は以下のとおりです。とりまとめの都合上、適宜集約させていただいています。
 今回御意見をお寄せいただきました方々に厚く御礼申し上げます。

 なお、平成17年7月15日の第10回初等中等教育における国際教育推進検討会において、いただいた御意見を踏まえ審議がなされ、「初等中等教育における国際教育推進検討会報告 -国際社会を生きる人材を育成するために-」として取りまとめられました。

1 意見募集方法の概要

(1)募集期間

 平成17年6月16日(木曜日)から平成17年7月6日(水曜日)

(2)告知方法

 文部科学省ホームページ

(3)意見受付方法

 郵便、ファックス、電子メール

2 受付意見総数

 18通

3 主な御意見の概要

(1)国際教育の意義と今後の在り方について

  • 国際化した社会を生きる人材を育成するため、国際教育推進の基本的な方向性を示すとともに、国際教育を取り巻く現状と課題を分析し、今後の国際教育を充実させるための具体的な方策が提示されている点を評価する。
  • 文部科学省の初等中等教育局が教育委員会や学校等と協力して、国際教育を推進しようとする意欲を買う。
  • 国際社会の一員として自己を確立し、発信を行い、主体的に行動できる人材の育成に力を入れるべく、実践的な態度や資質、能力の育成により重きを置く点を評価する。
  • 初等中等教育における国際教育で大切なことは、自国や他国の文化に関する理解を深め、また、国際的に活躍する行動の「動機づけ」を行うなど、将来、国際的な視野をもって世界に貢献する国際人を育成するための「基礎づくり」を行うことである。
  • 国際教育を推進する理論的基礎・根拠に関する説明が不十分である。
  • 3ページの「国際理解教育の目指していたところと基本的に変わりがないが」という記述について、国際理解教育は過去も現在も、一貫してこれらの態度・能力の育成を目指してきており、本検討会の提言する国際教育と異なるところはない。
  • 1974年のユネスコ勧告で提唱された「世界平和の実現」や「人権の尊重」等の理念を国際教育の基本に位置づけるべきである。
  • 「国際教育の望ましい姿」をまとめるとすれば、「偏見」、「差別」という概念に対する理解や「寛容」の精神の育成という考え方を盛り込むことが必要である。
  • 国際化した社会を生きるためには、「公」の概念の醸成が求められる。
  • 学校現場では「国際理解教育」「国際理解のための教育」という用語が広範に使用され、多くの優れた実践が積まれている。本検討会報告が「国際教育」という用語を使用することによって、現場が混乱するのではないか。
  • 国際理解教育の目指してきたところ、本報告案が提言する国際教育の目指すところに相違はない。新たに「国際教育」という名称を用いるのではなく、これまで数々の実践および研究が蓄積されてきた「国際理解教育」という名称を使用することが望ましい。
  • これまでの学校現場における授業実践を尊重し、本報告案において提言する国際教育の理念を踏まえて、学校教育においては、知識理解・技能・態度にかかわる教育として国際理解教育を推進していくことが適切である。
  • 本検討会が提言する態度・能力をすべての子どもたちが身に付けることを強調するのであれば、「リーダー的資質の育成」について言及することを全く否定するものではないが、慎重であるべきである。
  • 初等中等教育における国際教育を推進は、入試中心の教育や依然として筆記試験中心の入試内容を改善し、本検討会が提言する態度・力を評価するような入学者選抜が行われなければ難しい。

(2)国際教育の充実のための具体的方策について

1.学校教育活動における国際教育の充実

ア.学びが広がり深まる授業づくり
  • 中等教育段階での国際教育を充実するため、教育課程全体の中での国際教育の位置づけを明確にするなどカリキュラム構造見直しの観点と、地域の主体性を生かしたカリキュラム開発の観点をもって進める必要がある。
  • 外国語能力だけでなく、国語能力の育成をも提言していかなければならないという意識もより明確に打ち出していることは評価できる。
  • インターネット等を活用した海外との共同プロジェクトや諸外国との学校間交流等を促進することが必要である。
イ.教員の実践力の向上
  • 個々の教員が豊かな海外経験を積めるよう、海外での大学・大学院での自費による海外研修や夏休みなど長期休業中の海外研修を奨励する制度がほしい。
ウ.直接的な異文化体験の重視
  • 日本への夢を抱き、主体的に日本への関心を示し、日本にあこがれを持つような「他国の同世代の育成」していくためにも、異なる文化・生活・習慣をもつ若者の交流を進めることが大切である。
エ.外国人児童生徒教育の充実
  • 国際社会における人材を育成するに当たっては、日本人だけでなく、外国で育った子ども、国際結婚の両親の間に生まれた子どもなど、子どもたちの多様な実態に目を向け、国際教育を進めていくことが必要である。

2.国際教育資源の活用と連携のための支援体制の構築

ア.海外派遣教員の活用
  • 海外派遣経験者がその経験を生かせるよう、地域の学校での体験発表や海外派遣経験者同士の情報交換等が行われるような支援が必要である。
  • 多くの教員は海外経験をもつことも大事であるが、海外派遣経験者がさらに海外経験を積めるような制度も必要である。
イ.地域における協働の促進
  • 学校が国際教育に取り組むにあたって、地域の様々な”力”を活用することが大切である。
  • 学校における国際教育を推進するためには、行政・学校・NPOが一体となった取り組みが不可欠であり、文部科学省や教育委員会による予算面を含めたNPOに対する支援が必要である。

3.海外子女教育の成果の活用と変化への対応

  • 帰国児童生徒教育について、特性伸長を一層重視して取り組むことが必要である。

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