この資料の活用に当たって

 「指導等の在り方編」においては、人権教育の指導方法等の在り方に関する指針として、第1章で、人権教育とは何かについての考え方を整理するとともに、第2章では、「学校としての組織的な取組と関係機関等との連携等」、「指導内容と指導方法」及び「教育委員会及び学校における研修等の取組」についての理論を提示している。「在り方編」のとりまとめに当たっては、指導方法等のまさに「在り方」を語ることに主眼を置いており、指導方法等の改善・充実のための方策(ノウハウ)に関しては、概ね、基本的な方法論を提示するのみに止めている。

 しかしながら、「在り方編」で示した理論等が、十分理解され、具体的な実践へと結び付くようにするためには、当該理論に沿った実際の取組イメージが明確になるような事例等の情報を、別途、提供することが必要となる。そこで、「在り方編」の理解を助け、「在り方編」と対をなすのものとして、人権教育の実践事例等をとりまとめた「実践編」を公表することとしたものである。

 「実践編」においては、「在り方編」の中では収録できなかった、改善・充実のための具体的なポイント等に関する参考情報を掲載するほか、応用可能性に富むと思われる43の取組事例を新たに収集し、「在り方編」第2章の記述に対応する形で提示している。
 紹介する事例は、いずれも「在り方編」で示した理論を、学校・教育委員会において実践する取組例として位置付けられるものであり、「在り方編」の内容等も併せ参照しながら、有効に活用されたい。

 なお、人権教育の取組を効果的に進めていくためには、個々の学校等ごとの多様な実態を踏まえた対応が必要となるものであり、無論のことながら、本編のねらいも、各事例の取組を、形式的・マニュアル的になぞらせることにあるのではない。
  こうした観点から、事例の活用に当たり、特に留意してほしい事柄として、以下の点を挙げておきたい。

  • (1)各学校等で本編の事例を基にした活動を行う際には、ただ単に事例を取り入れればよいというのでなく、年間指導計画等に照らしてしかるべき位置付けをした上で、見通しをもって取り組んでいただきたい。そのためにも、事例については、それぞれの趣旨や意義について十分探究し、理解した上で活用されるよう期待したい。
  • (2)本編において採り上げた事例は、多様な応用可能性を持つものであり、各学校の教育目標等に応じより効果的に取り組めるよう、適宜、内容の追加・修正、方法のアレンジなどを加えながら、弾力的に活用いただきたい。
  • (3)本編の事例は、特定の人権課題を想定せずに集めたものであるが、そこで使われている手法等の多くは、普遍的アプローチからの学習に限らず、様々な個別的人権課題の学習においても有効に活用できるものと考えている。各学校においては、本編の事例が示す手法を、必要に応じ、個別的な人権課題の学習にも当てはめて適用するなどしながら、幅広く活用いただきたい。

 本資料が、各学校・教育委員会の創意工夫により、さらに発展的に活用され、人権教育のより一層の充実が図られるよう、期待するものである。

※ 所要時間についての目安

 本資料中の事例における「所要時間」の目安は、次の分類による。

  • 短:1日の中の連続した授業時間等の中で実施が可能なもの(概ね2・3時間程度まで)
  • 中:事前・事後学習が必要となるものも含め、2日以上の授業日を使って取り組む必要があるもので、その期間が長期にわたらないもの(概ね10~12時間程度まで)
  • 長:事前・事後学習が必要となるものも含め、2日以上の授業日を使って取り組む必要があるもので、その期間が長期にわたるもの(概ね10~12時間を超える程度)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課