人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第23回) 議事録

1.日時

平成18年6月14日(水曜日) 10時~12時

2.場所

ホテルフロラシオン青山 3階 「孔雀西」

3.議題

  1. 「第3次とりまとめ」の方向性について
  2. 「第3次とりまとめ」に向けた作業手順等について
  3. その他

4.出席者

委員

 福田委員、梅野委員、神野委員、小島委員、菅原委員、谷口委員、林委員、増田委員、森委員、若井委員

文部科学省

 坪田児童生徒課長、塩原児童生徒課長補佐、他

5.議事録

「第3次とりまとめ」の方向性について

○ 「第2次とりまとめ」をもう少し充実することで、中身をイメージしやすいようにし、「なぜこれをやらなければいけないのか」について、実践する教員自身の認識につながるようにしていくことが必要である。

○ 個別人権課題については、「資料」を掲載するということだが、資料を使いやすく位置付ける場合、その資料について一定の評価をしなければならないし、それぞれの資料を、どういう形で活用するのかについても示していくのであれば、そのあたりについての議論を、もっと行う必要があるのではないか。

○ 文字や音声言語的な話だけだとなかなか理解してもらえないので、後々に続くような形としては、パワーポイントを使ったものにするとか、あるいは教材・教具のパッケージ化とか、そういった方向への道が開けるような内容になっていくといい。

○ 「現場で実際に使えるものを」ということで考えた場合、「資料さえあれば私はもう授業をしますよ」といったような、既にスタンバイ状態にある人のための「使える」資料にするのか、それとも、例えば、学校が組織として人権教育を進めるに当たり、「最初に会議を開く際には、こういうシートに沿って話し合いをしましよう」といったような、人権教育に取り組むプロセスで「使える」資料にするのか。どの段階で使う資料なのかについても、考え方を整理する必要がある。

○ 具体的なハウツーの前に、例えば、それをどう位置付けて、どういう順序でやっていくとうまくいくのかという、そのプロセスのメソッドみたいなものが必要である。特に研修とか、あるいは「学校としての組織的な取組と関係機関等との連携」に当たるところでは、そういったものが要るのではないか。

○ 現場の教師達にとにかく人権に目覚めてもらわなければならない。そのための書き方をし、具体的な実践編においては、若干重なっても、プロセスとか道筋などを、丁寧に書いていくという形でカバーできるのではないか。

○ 第2次とりまとめでは隠れたカリキュラムについて書かれており、その中には、体罰の問題が入ってくるべきだと思ったが、そこがちょっと抜けている。教師のつくる雰囲気が、子供たちに対し抑圧的なものとなっていないかという観点から、隠れたカリキュラムに関連する話題の1つとして入れ込む必要がある。

○ 第2次とりまとめでは、「教育を受けることそのものが人権である」という部分についての記述が弱い。

○ 例えば、数学や国語で人権的な内容を扱うという意味での人権教育と、学力保障という意味での人権教育ということの区分を、整理するなり解説する部分が、理論編では必要ではないか。

○ 全教科、全領域で人権教育をどう進めていくかという視点が必要。子供たちが学んでいることを、あるいは、教員が行っていることを、人権の視点で位置付けし直し、その上で、今後の方向づけをしてくということが、この第三次のとりまとめの中でなされると、ありがたい。

○ 現場の教員の需要としては、人権に関わる具体的な問題発生に際し、その後の事後指導を人権教育を通じどのように行っていったらよいのかといった、一種の危機管理的な対応についても示して欲しいというニーズが大きい。こうしたことを、第3次とりまとめのなかに、少しずつでも入れいけるような工夫ができればよいと思う。

○ いじめ等の事件への対応については、山口県教委の光高校の事件に関する報告書でも、「いじめをいじめというふうに自覚できるだけの人権感覚が不足し」、実際に起こっていたのに「見逃していた」といったことが書かれている。事件が起きた後の対応マニュアル的なものも1つであるが、もう一つの方法として、他者への想像力・人権侵害の想像力を養うために、どういった指導が必要になるかといった面から書く方法もあるのではないか。

○ 「自分のことだけでなく、他人も」ということについては、第二次とりまとめの中でも、すでに、人権感覚の「技能的側面」に関する記述として、「他者の痛みや感情を共感的に受容できる」感覚・技能について触れられているが、全体の中では埋もれてしまっている感がある。

○ 1冊の中に「理論編」、「実践編」をまとめた方がよい。「実践編」だけを切り離すとその理念の部分が見えにくくなる可能性もある。

○ 「実践編」と理念編的な「在り方編」は相互に、例えば、「実践編」のところを見ると「在り方編」の何ページとかかわりがあるという形で、相互に関係を十分に深めていけば、おそらくより中身として分離しないで、密接な関係が見えると思う。

○ 「指導の在り方編」と「実践編(資料編)」の二部構成を基本にしながら、トピックによっては、理論から実践までをつなげて書くようなものも、部分的に取り入れていくといったまとめ方でよいのではないか。

「第3次とりまとめ」に向けた作業手順等について

○ 第1WGは、学校の組織の取組みに関することを担当するのだから、現場の校長先生にも、誰か入ってもらった方がよい。

○ とりまとめ作業に当たり、具体の人権課題をどのように取り扱うかについては、調査研究会議全体として確認しておいた方がよい。

○ 資料がある場合、各委員が共有しておいたほうが議論しやすいので、各人いくつかに限って、そういうものを出し合うのはどうか。

○ 各委員が情報提供し合うシステムをつくっていただきたい。資料を委員の人数分、事務局のほうに本を送ったら、事務局のほうからみんなに届けていただけるとか、もし可能であればそのようにして欲しい。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課