人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第18回) 議事要旨

1.日時

平成17年8月29日(月曜日) 10時~12時

2.場所

ホテルフロラシオン青山 「孔雀・東の間」

3.議題

  1. 「第2次とりまとめ」についての全体での議論
  2. 「第2次とりまとめ」に向けたワーキンググループにおける作業
  3. その他

4.出席者

委員

 福田座長、伊藤委員、有村委員、梅野委員、小島委員、菅原委員、仁科委員、林委員、森 委員、若井委員

文部科学省

 今泉課長補佐

5.議事要旨

 事務局から説明の後、自由討議を行った。主な内容は以下の通り。
 (○:委員、△:事務局)

○ まず、全体の構成とか、事例の書きぶり等含めた各W・Gの調整のための議論をしたい。
 「はじめに」があり、1節が3ページ、これは第1次とりまとめとの違いで議論になるかもしれない。8ページから第2節に入って、三つのW・Gの位置づけという内容がある。順番の検討も必要かもしれない。全体の構成から意見を聞きたい。
 最初に「はじめに」から。第一次を踏まえて第2次をだすに至った経過を示した。
 赤字の部分が第一次に書き加え第二次用にしたものである。細かい字句は次回検討してもらい、大きな枠を見て欲しい。
 では、第一節にいきたい。この部分は私と志水委員で作成した。意見を踏まえた朱が入れてある。ここは人権および人権教育の本質という見出しをいれた。かなり詳細に書き込んだのが(1)である。

○ 人に間をいれて人間としているが、ここはどういうことか。

○ わたしとしては人の権利ということで「人」の方がよいと思ったが、人間にするべきであるという意見が出たので変更した。先生の意見はどうか。

○ 人間は社会的な言葉であり、人は生命を含んでいる。生物学的な内容を含む。第一次の内容や論議から考えて、人の生命まで含めて人権ととらえ、人とした方が幅が広く適切だと思う。

○ 権利と人権は微妙なところがあり、もう少し書き込んだほうがよいと思う。入れる必要がないとかあれば意見を聞きたい。

○ 第一とりまとめのときも気になっていたが、基本計画の中に出ている11の基本課題について注を付している部分で、特定の課題だけを詳しく引用しているのは、アンバランスな印象を与えかねないように思う。課題全体をバランスよく記述する工夫が必要ではないだろうか。

○ これは一次のままである。誤解のないようにした方がよい。注1の中身についての意見は他にないか。その方向でよいか。十全な形にした方がよい。

○ この委員会で特にということがなければ、バランスをとった方がよいと思う。

○ 「権利」というところに、公立学校の教員になる権利は、教員免許を取得していなければ認められない、という例示があるが、これは例示として妥当なのか。

○ これは寄せられた意見であるが、この事例を入れるのが妥当であるかは疑問である。
 これは人権についての説明をできるだけ客観的に書いたつもりであるが、それの再検討を含めて、事例としては大きな疑問をもっている。
 できるだけ公文書にでているものを使うというのが当然だと思う。しかし、プラスアルファーがないと現場で実際に直面している権利のはき違いとかいう問題に迫れないという感じがした。そこでその範囲で最低限のものを書きたい。今のご指摘は私もそう考えている。精査する必要がある。特段の意見がなければ次回の全体会までに素案を書き直して検討するということでよいか。

○ 前回の素案でも書ききれなかったが、1~4があるが、最初の頃、座長も大事にするといっていた。この前現場の先生にここを引用して説明したが1の人権についての教育と2の人権のための教育は、よく分かるが、区別しきれないという意見があった。ここは4つに分けてすっきりとらえて明確にとらえているが、この箇所の説明をしてはどうかと思う。

○ 今日配った資料では書き換えている。そこで、若干試みた。ここも意見を踏まえて次回までやってくるが、それでよいか。

○ こちらであれば読んで分かる。

○ それでは朱が入ったところも踏まえて素案をつくってきて次回検討したい。
 5ページの(2)の目標のところは、第一次のものを若干削る形になっている。一次との兼ね合いでゆれている。6ページは、消すという案には全面的に賛成しているわけではない。新しい資料の5ページを見て欲しい。ここは一次の内容をそのまま生かしていくべきだと思う。ここも先ほどのところと合わせて次回に詳細に検討していく。構造的には特に問題がない。
 大幅に改善の方向で考えたのが6ページの(3)である。全体にかかわる問題としての「隠れたカリキュラム」を入れるという観点から志水委員に書き換えてもらった。それを基に朱を入れるという形になっている。つまり、6ページの最初から「隠れたカリキュラム」への注目が大事である、ということを言っている。その問題を効果のある学校という成果も踏まえて書き込んでもらった。第一次まとめを詳述して新しい観点も入れるという形である。

○ 7ページの最初のところで、人権感覚の育成には、そうした公式的なカリキュラムの整備以外に、ということころがあるが、前の文があれば公式的といわなくても公式と分かる。また、公式的というと私的というものがあるのかとも考えられる。これは必要ないと思う。

○ これは顕在的なもので、指摘の通りとってもよいと思う。

○ 現場の観点から、例えば、5ページに正義感覚、心理感覚がある。分かりやすいが受け止め方はいろいろである。難しいところには注を節ごとに入れてもらうとよい。
 もう一つは、表現が重複しているということ。例えば、7ページの123と5ページの赤字とは同じ意味になる。

○ はじめのところは包括的に書いて、例をあげると123となる。
 それでは、2節の検討に入りたい。ここには大きな問題がある。第一次を踏まえて、1,2,3の順でつくった。しかし、検討を踏まえて内容・方法を一番にもってこようと、1,2を変えることが本当によいのかどうかも検討して欲しい。それによっては前文を変える必要がある。

○ 今いったのは、2でいう組織を先に持ってくる、そういう意味か。

○ そういうことである。新しい資料の7ページをみて欲しい。提案になる。
 2節の前文を「前節では、人権教育の目標に関連して、人権に関する知的理解の促進と深化、並ぶに人権感覚の育成の意義と必要性とについて指摘した。さらに、人権教育の成立基盤としての学校や学級のあり方そのものが持つ重要性にも言及した。これを受けて、本節では、学校における人権教育がその目標を達成するためには、どのような点に留意すべきかについて検討したい。その際、1学校としての組織的な取組,2人権教育の内容及び指導方法等、そして3教職員研修等教育委員会の取組等、の3つの側面から迫ることにする。なお、本調査研究会議が都道府県教育委員会の協力を得て人権教育の実践状況及び指導事例等を収集したのでその内容をふまえるとともに、海外の人権教育に関する理論的・実践的研究成果をも勘案して、今後の人権教育の推進に資すると考えられる具体的事例を参考のために例示したい。」ということで、分科会とのかかわりで、1節には人権教育の構造とかカリキュラムの重要性を指摘しているので、むしろ戻す方がよいのではと思う。はじめの事務局案にもどす方が妥当ではないか意見はいかがか。
 菅原委員、第一W・Gの責任者としてどうか。

○ 1W・Gでは、骨格的な内容だと思う。だから、まず概括的なことを述べて、真ん中に中身を挟んで最後に効果的な取組の方が見る側としては、最初に概括が分かって、肉付けがあって、整合性があるし読みやすさがある。最初のWGの順番で対応するのがよいと思う。

○ 最初の事務局案でよいのではないか。我々の仕事は、指導方法の研究であり、第一次を受けて、指導方法はこういう提案でをします、それについてはこういう組織的な配慮が必要ですよ、という風な動きがノーマルである。学校現場としても原則論とか、組織論が頭にくるよりも、内容が頭にきた方が実践的であり使いやすい。そういう風に考える。
 順序性なのであまりこだわりはない。報告書の性格から考えると、指導方法・内容が先のほうがいいのではないか。

○ 目標設定の中でと考えるのが妥当かもしれない。元に戻すということにする。隠れたカリキュラムをいれるとすれば学校全体の構想が先にあったほうが妥当である。それでは、2節の1が第1W・Gの内容とする。
 それでは、35ページの内容で何かないか。

○ 最終的には一つの統一された作品になるので、どこかでグループの責任者で文体も含て、まとめざる得ないであろうと思う。第1G・Wにお願いがある。学校全体を人権尊重の場にするとか、学校をあげてとかの視点が入ってるのか。冒頭にでも、学校そのものをそういう風につくることで人権教育の具体的なことをやる以前に、相当な影響力をもつ。そういう視点を入れて欲しい。

△ 事例の提示の仕方について。学校の組織的な取組で言えば、36ページみたいな感じで1つの項目について1つの事例でよいと思う。量的にこのくらいが事務局でもイメージするところである。第3W・Gだけで集まりがあった。そこで、2つの相反する意見が出た。一つは文章をまとめて書いて事例は後にもっていてはどうかという意見、もう一つは、それでは抽象的な文が多くて、イメージが湧かないので各場所に事例を示す必要があるという意見である。最終的には入れ込んでいく形になった。しかし、あまり事例を多くしてしまうと、流れている文集が事例が入ることで途切れてしまうので、その弊害をなるべくなくすためにA4で言えば、大体7行程度の量か、多くても半ページくらいと考えている。
 さらに、提案がある。この案を作り終わった後、現場に普及させていく必要がある。11月から3月まではまさに、事例についての補充をする、ウエブにのせる、第二次とりまとめを各委員はこう読んでもらいたいという手引書、解説書をつくり、その中で事例についてより詳細に盛り込んでいくというようなやり方もできる。いかがか。

○ これは例外なく全部検索できるような形になるのか。

△ 工夫はしたいと思う。この項目についての事例が見られるようにしたい。

○ 年度が過ぎると前の年度の取組はHPなどでも、なかなか掲載されていない。第二次とりまとめの読み手が詳しい資料を確認したいというときにどういう手段があるのだろうか。

○ それは県教委があげてきているので、県教委を通じてまとめて載せるということは再確認する必要がある。載せるのならば県教委に確認をして、そちらにも責任があるということを明確にした方がよい。

△ 誤解があるかもしれない。事例については都道府県や学校名はあげないと考えている。一般化した事例として考えている。というのも、これも2つの話がある。取組は西日本のほうが進んでいるから、西日本の取組が出てくるのはしょうがない。もう一方の話は全国津々浦々に事例を広げるにあたって西日本だけの事例が多くなると、あれは東日本と事情が違うからだと採用しなくなるのではという話が出た。そう考えると国の報告書としては都道府県名、学校名は入れないほうがよいのではないかということになった。そのことで課題は解消される。

○ こういう文章に出すと、これはよいものでだとうことになる。そういうのが本当によいのかという問題がある。少なくても載せる事例は裏も取ることも必要である。効果が確認されているものもある。それとのかかわりもある。出すまでには今の手続きは踏まえるということで進めたい。

○ 文言のことだが、「被差別」という文言は使ってよいのか。それと「被差別部落」はどうか。同和問題は消えてないから。ここら辺の整理も必要ではないか。

○ 基本計画とのかかわりにも絡んでくるので、用語について敏感になるべきだと私も思う。
 2節についてである。大きな形としては新しい資料を見て欲しい。人権教育の内容および指導方法等に関する側面ということで、前書きをつけて、その後のプロットについて話す。事務局案と大きく変えてみたい。まず第一に教育プログラムの構成というのを立てて、この中に視点として教育目標の多面性とか目標の順次性、児童生徒の自発性というような形で教育プログラムを構成する一つの手順なり視点について紹介し、大きな2つ目として児童生徒の発達段階と実態に応じた学習プログラムづくりという形で柱を立て、そして最後に人権教育に関わる具体的な学習活動の視点と方法ということで、具体的な方法に絞ったことを論じていく、この3本の柱でまとめていけば、他のW・Gとも分かれても一応形が整うのではないかと考えた。こういう形を提案した上で意見を聞きたい。どうだろうか。
 理論に関わる部分はここでは触れないで、前の方へ振っておいてここではさっきのような位置づけに敢えて絞り込んで、第一次で取り上げた問題、今後取り組む問題というものを3つの柱に絞って進めていくという提案である。詳細はグループで詰めて次回の素案作りにしたい。

○ 事務局案で示した最初の案では、理論的な背景というところをある意味では知的側面、技能的側面といった説明がある程度プログラム方向性の中での目標の諸領域と重なっている部分もあって、こちらに組み込んだという考え方でよいのか。

○ そうである。それと同時に前の方でも123で触れておかないと第1W・Gの位置づけにも絡むので、前にも置いたが、学習プログラムを考える場合には入れる方がいいかなということでそっちへ含みこませて、それから方法に関するものは3番の柱で具体的な指導方法のところに若干組み入れるように考えた。また全体会の中でもやれると思う。

○ 言葉のことである。7ページでいうと教育プログラムという言葉が出てくる。12ページにいくと学習プログラムというのがでてくる。次に指導計画という言葉が出てくる。指導計画と教育プログラムというのは別で、もう少し包括概念が教育プログラムで、少し整理が必要ではないか。

○ ちょと細かいところまで詰めていない。今日は大きなことを決めなくてはいけない。言葉も大事なことだから整理をしたい。

○ 教育プログラムと学習プログラムというこの2つの関係の最初のところでことわってもいいし、例えば12ページのところで教育プログラムは前にも述べたがそれとの対応で学習プログラムが云々とか。

○ 教育はする側から言えば教育、受ける側言えば学習と理解している。例えば、2のところでは、総合的な学習の時間などを組むとすればこのような、という事例だと思う。そういうものを出す形で、それを考えるときに留意点を指摘しておけばかなり貢献できるのではないかと考えた。

○ 言葉の続きなので先に言わせてもらう。まず事務局の方と座長には感謝したい。本当にいろんなことがある中でこれだけ整理してもらい感謝したい。
 それで、言葉のことで一つ言いたい。自尊感情、セルフエスティームという言葉がいろいろなところであがっている。これは第一次とりまとめでは非常に慎重に「自分を大切にすることと合わせて人のことも大切に思える」という言い方でとどめた。もしも一つのやり方をするとしたら、あの時も自尊感情という言葉を使うことも可能だったかもしれない。しかし、そうしなかったのにはいくつかの理由があった。自尊感情という言葉が学問分野により活動分野により結構違うということもあった。この概念は一応、この委員会ではどのような取り扱いをするのかということについては調整しておいた方がよい思う。

○ 言葉の使い方については後で議論してもらいたい。人権教育を進めるといったときに、対極になるのが人権侵害を受けるということだが、第二次とりまとめの中で人権に関わる問題点を指摘するときにどのような人権が侵害されているのか、また、どのような人権の侵害を受けて差別を受けているのか、そういう点についての書き方を統一的に考えた方がよいと思う。人権の侵害を受けている人を指し示す文章はいろいろなところに出てきている。それが、その箇所箇所で違っていては、全体のまとまりに欠けることになるのではないだろうか。

○ 人権侵害というのはより包括的な概念でその中の一つに差別というのが入っている。差別イコール侵害ではない。侵害の内容の中にその一つとして特に同和問題で言われてきたのが差別である。そういう風に考えて言葉の整理をしてもらいたい。

△ 事務局からである。第2節が確かに重要なので、この部分の分量が多くなることはあることだが、その反面かなり長い感じがする。内容については先生方の私見に委ねる。できれば第1W・G、第3W・Gはもう少し読み手が読みやすいというか、読む意欲、持続力が湧くような感じにして欲しい。それと関連するが、図式があると読みやすい。例えば、第1W・Gの42ページの表とか、またここまでの表でなくても36ページの中段にあるように矢印で示すだけでも読みやすくなってくるのではないか。または42ページみたいな全体の流れとか、こういう表みたいなものがあると読み易いと思う。この工夫も考えて欲しい。

○ これから今の趣旨でできるだけコンパクトでしかも落ち度がないような文章を考えたい。

○ この理論的考察の部分の(2)で指導方法が一般的に備えている要素、(1)(2)(3)がある。体験的活動に戻るべきことという強調が、これを削った場合に次からいくところにちょっと入っていないので、そこに何かをくっつけるとか精査して、そこで入れておかないと人権感覚を培うということと体験的活動・活動がワンセットで一番主要な部分なのでどこかで強調しておかないと逆に消えすぎてしまっていると感じた。精査して補足するということをして欲しい。

○ それをしかるべきところに位置づけたい。
 それでは、第3の部分について何かないか。46ページになる。教職員研修等教育委員会の取組等の部分である。

○ 教育委員会の連携支援や教育委員会による職員研修の取組等は、場合によっては、第3W・Gの内容として扱う方が適当かもしれない。その点少し検討して欲しい。

○ 1の部分でも言及は必要である。それを具体的にしていく。

○ 第3W・Gは8月23日に協議をした。事務局から配られたもともとの素案を基に検討した。赤で直されたところは協議した内容が盛り込まれている。いずれにしろもう一度作り直すということで9月の6日までにとりまとめる。やっていて、第1W・Gと第2W・Gがあって、またここにきて同じような内容が出てくるのが多い。全体会で精査してもよい。強いて言うならば、教育委員会の取組だから、理念は1と2で述べているので、それをどうやって教育委員会で取り組むのかということだから、あまり長く述べる必要はないと思う。
 先生たちに読んでもらうにはどうしたらよいかも大切な視点である。

○ 51ページの3に書いてある4つが教育委員会の施策の基本である。教育委員会は教員研修だけではなく、いろいろな事例紹介してそれを普及する、それと実態の統計をだす必要がある。特に大阪でいうと学力実態調査ということで同和地区の学力調査をどう入れるのか。入れたけれど調査をしなければならない。調査をどうしてするかということが議論になっている。そういう意味あいも含めて調査も大事な委員会の役割である。そういう内容を前書きにしっかり位置づければ、教育委員会の役割が浸透する。前にやるとか、この柱に沿って整理するとかした方が分かりやすい。特に効果的な研修の前文に人権教育の理念体得とかを入れていくとか、一番教育委員会の役割は分かりにくいところなので、51ページに書いてある内容にもう少し光を当ててて欲しい。

○ 全体の構図が分かりやすくなってきた。あとは分科会でわかれると全体会がないので宿題などがあればお願いしたい。

 ※ 次回の日程についての説明の後、閉会。

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初等中等教育局児童生徒課