人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第13回) 議事要旨

1.日時

平成16年10月5日(火曜日) 15時~17時

2.場所

経済産業省 別館1012号 会議室

3.議題

  1. 今後の検討の進め方
  2. その他

4.出席者

委員

 福田座長、有村委員、伊藤委員、梅野委員、岡田委員、押谷委員、神山委員、小島委員、塩委員、志水委員、菅原委員、仁科委員、林委員、若井委員

文部科学省

 坪田児童生徒課長、宮川視学官、亀田児童生徒課長補佐、他

5.議事要旨

 事務局から資料について説明の後、自由討議を行った。主な内容は以下の通り。

 第一次とりまとめ資料を校長先生に配らせて頂いた。本とりまとめをいかに授業に反映させるのかが今後の課題である。今後は、授業の中でいかに具体化・具現化していくかを探っていきたい。
 例えば子ども一人ひとりの意見を大切にしているかといった、どちらかといえば抽象論が多くなってしまうので、そのあたりを具体化できれば良いと思う。また、各教科の留意点と人権教育の留意点との関連が課題だと思う。

 第一次とりまとめについて、感想が3つある。一つ目は、学校教育において人権教育をどう捉えるか、基本的な枠組みがしっかりと示されており、この点評価できること。二つ目は、資料で法的な根拠が示されており、現場の校長先生方に具体的に説明しやすいよう整理されている。三つ目は、とりわけ今後の学校教育に関してであるが、子ども達をとりまく状況が大変厳しいだけに、学校だけではなかなか取組が思うように進まないといった状況があるため、今後は、家庭・地域との連携及び校種間の連携を具体的にどうするべきかということを視野に入れていく必要がある。
 なお、今後の進め方として、子ども達の知的理解・人権感覚が養われるよう、授業の実践のあり方等を示し、現場の先生方々にも手に取っていただけるような、そういった工夫も欲しいのかなと思っている。

 第一次とりまとめの反響としては、人権教育の考え方が見えてきたという意見や、現場の感覚が吸い上げられているといった意見、共感を持って読んだとの感想をいただいた。特に命の問題、命の大切さについて「共感する」という感想をいただいている。第一次とりまとめを読んで、自分の実践とつなげていきたいという教員もいる。本とりまとめが起爆剤となって、各学校で色々な実践が広まればよい。今後については、どういう教材をどういう形で第二次とりまとめに盛り込むかという点を慎重に考えなければならないと思っている。また人権教育は、教育活動の全般にわたって行われることから、各教科の目標と人権教育の目指すものとの関係、人権教育としての教材の在り方なども整理していく必要がある。

 第一次とりまとめについてであるが、命の問題がとりあげられていたり、具体的な表現になっており、共感できるといった意見があった。それだけに、次の第二次とりまとめが大切になってくるのではないかと思っている。
 一つは学習活動全体で行うという視点からすると、例えば、国語や英語といった教科についても人権教育に係る事例が出てくると思う。人権教育の理念と具体的な事例とがうまくつながっていくような形にしていきたいと思う。また、チェックリストであるが、積極的に作成していければと考えている。例えば注意する際にどうやって注意すると人権教育の観点から望ましいのかといったことが、今後、実践事例を集める過程で明らかになることを期待している。

 とりまとめについてであるが、人権教育の目標が明記されたとともに、学校に指導していく場合に分かりやすい言葉で書かれてた点は大変良かったと思っている。もう一点は、第2節に挙げられている改善・充実に向けた視点8点についてであるが、この8点について学校現場に具体的に伝えていかなければならない。人権学習用の学習教材を開発した。具体的には、参加体験型学習をとり入れて、子ども達が気付いたことを話し合いで学び、最後には自分自身で振り返れるようにするというものである。また、各教科・領域等との人権教育との関連を明らかにしていかなければならないと思う。最後に、チェックリストは大変役に立つ反面、対処療法的なところもある。人権教育というのは課題解決のために行うのではなくて、普遍的なところも強調していく必要があるのではないか。

 第一次とりまとめの「自分の大切さとともに他の人の大切さを認めること」ができるというのは、相手の立場に立って考えるということであり、重要である。発達段階においてどのような能力が求められるかということを踏まえつつ、他の人の大切さを考えることができるという部分について具体的に検討し、事例について児童生徒に考えてもらえればいいのかなと思っている。

 長崎県佐世保市で事件が起こったが、メディアの中の人権というものをどう考えていったらいいのかという点が、今後の検討課題の一つとなるのではないか。また、友だちの命を奪うということがどうしても理解できないところであり、どこに問題があるのか、ずっと考えているところである。事例を持ち出して、それについて皆で話し合ったところで、根本的な解決になるのかというあたりがまだ分からないので、もっとよく考えてみたい。

 第一次とりまとめは大変コンパクトで構造がはっきりしており、メリハリの効いた構成になっていて良い。「自分の大切さとともに他の人の大切さを認める」という、子どもでも分かり易い表現ができたことは一つの成果だと思う。また知的理解だけではなく、行動に結びつける必要があるということが、文章の中でも明確になっている。今後は基本的には第一次とりまとめに掲げられている6つのポイントを具体的に展開することが適当だと思う。また、組織の在り方や各教科、道徳、総合的な学習の時間と人権教育との関連に関心がある。さらに、事例を集めることでクリアできる部分と、クリアできない部分があることにも留意するべき。実際にクラスで起こっている問題をどうするのか、当事者である自分達がどうあるべきかを考える参加体験型の学習も重要と考える。事例を扱うときには、海外や社会教育の分野まで広げてはどうか。

 第一次とりまとめについては、平易な文章で分かり易というような感想をもった先生がいた。知的理解のみならず人権感覚をいかに養っていくかについて触れられており、大変良いという感想も頂いた。今後のとりまとめについては、人間関係スキル、コミュニケーションスキルについて具体にどう展開するか、第一次とりまとめに示されている観点をしっかり位置づけ、考えていきたい。

 第一次とりまとめについてであるが、感想を三つ。一つ目としては、「生命の尊重」が入っている点が大変良かったと思っている。二つ目としては、方向性がはっきりと示されていた点が良いと思う。三つ目は、とりまとめの受け止め方は管理職と一般の教員とでは異なる点が挙げられる。人権教育の意識があるのは一部の教員に限定されているのではないか。今後は、英語や国語といった各教科の指導のねらいにどう人権の視点をとり入れるのかが課題になると思う。

 第一次とりまとめによって、人権教育とは何かについて、身近に感じていただけたのではないか。ただし、現状は、教える側の人権意識をどう涵養していくかが弱い。第二次とりまとめにあたっては、集団宿泊の際に子どもが相手を傷つけるような言動をした場合や、生徒会活動における事例を取り上げるなど事例のバリエーションを豊富にすると良いのではないか。また、実際の指導がうまくいったかどうかという点も取り挙げれば、より現場のヒントになるのではないか。

 第一次とりまとめについては、平易にまとめられており、良かったと思う。生命の尊重ということがしっかりと記述されている。先程マスメディアの中の人権という指摘があったが、確かに具体的に盛り込んでいく必要がある。また、今後の方向であるが、基本計画の中で取り上げられている問題については、全般的に目配りをしておく必要がある。また、人権教育の取組状況は、全国的に様々であることや各教科のかかわり、さらに法教育や人権侵害に対する備えなどにも留意したい。

 道徳と人権教育は、根本的な所で軌を一にするものである。共生という概念を強調しても良いのではないか。今後については、具体的な事例への対応が焦点となる。チェックポイントは対処療法的なものであってはならないだろう。課題への対応は、レベルに応じて提供するべきだと思うまた、教材の開発が大切だと思う。

 人権概念、人権教育概念がまだ十分理解されていないのではないかと思っている。第一次とりまとめをさらに深め、充足しながら、現場の先生が自信をもって取り組めるように進めていきたい。単なるわがままと権利の区別を、しっかりと押さえられるようにしなくてはならない。

 人権教育・人権感覚が機能としてどう生きていくかを考える必要がある。

 第二次とりまとめでは、子どもの発達に応じた取組事例を集める必要があるのではないか。自分の大切さに気付くことができないのは、どこに原因があるのか。

 理論的枠組みとか、人権意識、人権尊重などがどういう構造になっているのかといった点についても明らかにするべきではないか。

※ 次回の日程について説明の後、閉会。

以上

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課