人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第43回) 議事要旨

1.日時

平成24年2月27日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

経済産業省別館11階1107会議室

3.議題

  1. 人権教育に関する実践事例について
  2. その他

4.出席者

委員

福田委員、有村委員、梅野委員、大西委員、神野委員、金子委員、 桒原委員、谷口委員、林委員、森委員

文部科学省

春山児童生徒課課長補佐、堀江指導調査係長 他

5.議事要旨

[○:委員、●:事務局]

 人権教育に関する特色ある実践事例における「留意すべき表記表現等」、「人権教育の指導方法等に関する調査研究会議によるコメント」、「来年度の実践事例の収集・公表のあり方等」について、またその他の事項について、意見交換を行った。

(1)人権教育に関する実践事例について

留意すべき表記表現等について

○学校名や学校種について、間違いが散見されるので、再度確認する必要がある。

○「先進事例」ではなく「特色ある実践事例」であることを踏まえて、「評価できる」、「波及効果が期待できる」ではなく、「特徴がある」、「注目できる」といった表現を使った。「評価できる」だと、評価できる事例とできない事例と解釈される恐れがある。

○「これまでになかった新規性を有している」との表現は、ほかに従来から似た取組があるかもしれないので、断定的な表現は避けた方が良い。

○「参考にしてもらいたい取組」との表現とした。読む方は、ちょっとした表現の違いを気にすると思う。比較級や最上級の表現の仕方は避けた方が良いと考える。

○「一層の効果が期待される」との表現としたが、共通の表現があると有り難い。

○「本校」「当該校」など表現にばらつきがあるので、統一する必要がある。

○コメントを段落分けしている場合としていない場合がある。統一する必要がある。

○「QUテスト」との表現があるが、登録商標と思う。こうした具体名についてどの程度まで留意すべきか、確認の必要がある。無断で注釈なく使用すると指摘される可能性がある。

○「HR」や「総合的な学習の時間」との表現は、学習指導要領を踏まえて、文部科学省が使用している用語に統一する必要がある。

○学校の事例の中に、自分自身の個人名が出てくる部分があるが、例えば「大学関係の専門家」といったように、個人名は伏せた表現に統一する必要がある。

●事例の中にある商標や個人名については、事務局で統一的にチェックしたい。

○コメントについては、文末を統一してしまうと迫力がなくなる。全部同じコメントではコメントの意味がなくなってしまうのではないか。出てきた事例を大事にし、事例から学ぶということにしているので、委員それぞれの考えを尊重し、個性を生かしたコメントとする方法で良いと考える。

○コメントについては、今日の議論も踏まえて委員がそれぞれ判断するのではないか。

●コメントの表現の仕方については、事務局で整理するのは難しいと考える。

人権教育の指導方法等に関する調査研究会議によるコメントについて

○効果的に進められている事例なのだろうという推測の下で、個人的な視点から事例を読みコメントを書いているが、これで良いのかという不安がある。座長や調査研究会議の目線でコメントについて議論し、確認することはできないか。

○コメントについて、提出した各都道府県教育委員会に、一度確認してもらった方が良いと考える。

●ネガティブチェックということで、間違いがないかを見てもらうことは可能と考える。

○今日、御欠席の委員にも、今日の議論を共有の上、コメントを再度見直してもらうことが必要と考える。 

●今日頂いた御意見については、概要をまとめて各委員にお送りし、それを踏まえてコメントについて、御検討いただきたい。

来年度の実践事例の収集・公表の在り方等

○中学校、高校、特別支援学校の事例もあり、1回目としては予想したより多くの学校種の事例があって、良かった。

○ごく簡潔な事例もあり、率直に言えば、「特徴がある」かどうか判断に迷う事例もあったと思う。負の評価を表すことは今回はしない方針だが、今後検討が必要と考える。

○17~18ページの分量の事例があった。よく書けている事例だが、ページ数についてどのように扱うかは検討が必要と考える。

○来年度は、高校や特別支援学校の取組がより増えると良い。また、幼稚園の事例もあると良い。

○今年度は良いが、来年度は、担当する学校の地域をばらしてもらえると良い。地域ごとに担当すると、コメントも同じ文体が続いてしまう。

○全都道府県から事例を提出してもらったことには大きな意味がある。一方で学校種別や基準の観点別で見ると偏りがあり、次年度は教育委員会に対して、何らかの方向を示すことは考えられるのではないか。

○人間関係作りや、地域学習、環境学習といった内容の事例が多いが、同種の内容の取組でも、こうした観点から取り組めばそれが人権教育になる、ということが分かるような工夫ができないか。今回集まっている事例を見ていると、例えば「生徒指導提要」を踏まえた事例を集めたとしても変わりないような内容の事例が少なくない。

○何に注目し、どのように取り組めばそれが人権教育となるのか、あいまいと感じる。ヨーロッパでは、人権についてどの部分で課題があるから、このように取り組むというねらいがはっきりしている。「取り組んでいる」としても、それが本当に人権問題の解決へつながる取組になっているのかどうかが課題と考える。

○学校現場においても、果たしてどんなことをすれば人権教育なのか、疑問があるのではないか。教育課程と指導法等が縦横に絡む中で、そこに人権教育をどのように位置づけるのか、そのポイントが見つかればヒントになるのではないか。例えば、道徳教育をベースにした人権教育というのはあるが、道徳教育をすれば人権教育をしたことになるわけではない。

○こんなふうに人権教育に取り組みたい、というスタートには、必ずその学校が持っている課題や現状が前提としてあり、そこから離れてしまっては人権教育に取り組みにくくなってしまうのではないか。

○特別活動の時間も少なくなり、防災教育などの課題もある中、新たな内容として人権教育に取り組もうとしたのでは大変。教員が意識すれば、既存の道徳、特別活動、各教科などの中で取り組むことができる。この会議として、それを支援できると良い。

○事例に関しては、例えば今年度の事例集について、いろいろな立場の人が見れば、それぞれの立場から不十分な点などの指摘があるかもしれない。しかし、この調査研究会議としては、全体の状況を示して、だからこういう点にも留意してほしい、ということを呼びかけるしかないのではないか。

○秋に行う指導主事連絡協議会で話題にする、というのはあるのではないか。タイミングとしても事例の提出を呼びかける前の時期であり、人権教育について一緒に推進していく気持ちを持ってくれる人と、率直な意見交換をできる場であると思う。

○指導要領の改訂で授業時数が増え、学校が独自の取組をする時間的な余裕がなくなってくる。全教科・領域で人権教育を進めるための指導資料はあちこちの教育委員会で作成しているが、高校の指導要領における、生き方、在り方についての教育も非常に参考になると思う。

(2)その他

○「人権教育資料分析的研究1(ローマ数字)」は教育委員会から指導資料等を収集し、アクティビティを重視して掲載されている例を集め、一覧にしてみたものである。34ページから、多い順に並べたが、第三次とりまとめの実践編の事例が参考にされていると感じた。なお、本会議の第1回の会議において、事務局から各県で作成している指導資料等の一覧が配布された。その際、児童生徒課にお願いして指導資料を頂いたので、今回はそのときの資料も踏まえて、各県に資料の提供をお願いしたものである。

○昨年12月に国連において採択された「人権教育及び研修に関する国連宣言」について、暫定的に翻訳したものを参考として配布している。人権教育だけでなく研修についても保障すべきであることを、国の責務としてうたっている重要な宣言である。

○学校における人権教育について、5か年計画のようなものがあると良い。実践事例の収集・公表を5年間続けることは戦略的に決めていることであり、またこのほか指導主事連絡協議会が現在の取組としてあるが、5年後の姿としてこのようになっている、という目標があれば、この会議として毎年取り組むべきことも整理しやすい。

○人権教育の世界計画は、2010年から第2フェーズがスタートしているが、第2フェーズでは、初中教育における取組を継続することとした上で、高等教育における取組と、人権教育に関する研修に取り組むこととなっている。そこに、今回の宣言が採択された、という流れがある。

○教員養成課程の中で人権教育についてどのように取り組まれているか、現状を把握できると意義がある。

○ヨーロッパにおける興味深い取組として、スイスの教員養成大学を中心として、人権教育指導者の免許を出す取組が始まっている。

●人権教育の取組状況調査について、平成21年1月時点の状況を21年10月に公表したが、それから時間が経過していることを踏まえ、再度実施する必要性があると考えている。来年度は、御意見を頂きながらこの調査を進めたいと事務局では考えている。

●事例について、誤りではないかと思うような点があれば、早めに事務局にお知らせいただきたい。事務局から都道府県教育委員会を通じて内容の調整をしたい。

・事務局から、次年度の人権教育研究推進事業について説明した後、閉会。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課