人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第34回) 議事要旨

1.日時

平成21年5月25日(月曜日)14時00分~15時30分

2.場所

ホテルフロラシオン青山 「クレール」

3.議題

  1. 人権教育の推進に関する取組状況調査結果の分析・評価等の進め方について
  2. ワーキンググループの人選、作業方針について
  3. その他

4.出席者

委員

福田委員、有村委員、梅野委員、神山委員、谷口委員、林委員、増田委員、森委員、矢作委員、若井委員

文部科学省

磯谷児童生徒課長、松本児童生徒課課長補佐、他

5.議事要旨

  •  事務局より、資料4・5・6に基づき、取組状況調査結果(暫定版)、ワーキンググループの割り振り案及びスケジュール案等について説明があった後、審議がなされた。

【取組状況調査の結果について】

【委員】
 教育委員会の調査結果について、例えば北海道とか東北とかブロック別に分けたらどうか。また、学校の調査結果については校種別にならないか。

【事務局】
 評価・分析する上で必要となるまとめ方については、よく検討してもらいたい。

【委員】
 市区町村、学校に行くに従って具体的な取り組みがなかなか見られない回答があるようだが、我々の意図としては、全国的に満遍なく、地域の実情に応じた取り組みをしてほしいという願いがあった。第三次とりまとめの中身を何らかの形で検討したりする手だてがあってほしいと思う。「まだ策定していない」、「十分でない」と自己理解している市区町村、各学校に対して、どのような支援ができるのかを考えて、積極的に取り組めるような方策を提案していくのも一つの方法ではないか。

【委員】
 第一次から第三次にわたるとりまとめを公表して、その結果、どのような成果と課題があるのかを明らかにすることが、文部科学省やこの会議に求められていることだと思う。

【委員】
 問18、19などの自由記述の回答については、どのような課題を各教育委員会が感じているのかを分析した上で、学校や教育委員会の自助努力だけで対応できるものなのか、それとも例えば専門的なファシリテーターなどの力を持った人材を地域や国がどの程度提供することができるのかといったことも検討できないか。

【委員】
 生徒指導上の諸問題、例えばいじめや暴力行為の都道府県別の発生件数との関係、学校用であれば3枚目のコミュニケーション技能、自尊感情、肯定的態度との関係について検討してはどうか。相関があるということがある程度わかってくれば、地域指定や指定校で、例えば、多様性に対する肯定的態度に力を入れた学校と、それ以外のところに力を入れた学校を比較・検証すれば、その後の研究のきっかけになるのではないか。

【委員】
 各学校でレベルアップを図らないと定着は難しいという気がする。具体的にどのような支援ができるのかという観点から方策を考え、アドバイスをしていく必要がある。

【委員】
 地域間の格差であるとか、学校間の格差というのは県レベルでも十分認識している。文部科学省で一元的に分析することはかなり困難であり、県教委レベルでの分析作業が必要ではないか。

【委員】
 教職員の意識の違いについては、アンケートの中に設定されていないが、実はそういうところに地域間の格差、学校間の格差ということも相関している面があるような気がする。いわゆる同和教育の実践が進んでいたところと、とりまとめにもとづいて人権教育に初めて取りかかった地域では、差が出てくるということはあるだろう。

【委員】
 学校調査「2 人権教育の指導内容と指導方法について」(問12)については、人間関係づくりのようなことはたくさんやられているが、それ以外のことはかなり厳しいという結果である。また、例えば、イ「人権に関する国内法や条約等に関する知識」については、2,000校中63校が特に力を入れていると回答しており、是非どんなことをやっているのか聞いてみたい。

【委員】
 この5年間、第三次とりまとめに至る過程で、子どもたちや教職員等の人権感覚をどのようにして育んでいくのかということが大きな課題であった。そういう意味で、学校調査「2 人権教育の指導内容と指導方法について」(問12)の回答項目オ、カ、キ、クを選択した学校については比較的浸透していると理解したいが、人権感覚の問題は情緒的な問題を含むため、クリアに出ないところもあり、実像はどうだったのか知りたいところ。

【委員】
 都道府県や大学で行った類似の調査は、この会議で評価・分析する上での手がかりになるのではないか。

【委員】
 粗集計をベースにしてさらに2元クロスとか3元クロス程度のものは、項目によっては可能か。

【委員】
 予算の関係もあるから、これは可能だとか、ここは作業量が多過ぎて予算がかかり過ぎるため困難であるとか、その辺のところが具体的な今後の課題になるかもしれない。

【委員】
 量的調査とは別に、各都道府県から今の取り組み状況をごく簡単に説明してもらえれば、もっと質的なレベルでの取り組み状況がはっきりするのではないか。

【委員】
 自由記述のまとめ方については、キーワードを振っていき、カウントしていくなど、作業にはなるが工夫が必要ではないか。

【委員】
 実施要項の趣旨に「関連施策の改善・充実に資する」とあるが、例えばこういう分析をした結果、国の方向性としてこういうところにもっと予算をつけていく、あるいはこういう具体的な施策を打つ可能性があるといった、今後の予定があれば、都道府県における予算編成や施策の展開の励みになると思う。

【事務局】
 学校現場で何が困っているか、何が足りないのか、それをするために必要となるアイデアを挙げていただきたい。指定校や地域指定をより発展的に変えていくということなども考えられると思う。
 まずは取組状況調査をよく分析・評価していただいて、それを次の施策の改善につなげていければと考えている。

【委員】
 例えば、都道府県教育委員会、あるいは地域単位で、教育委員会の適切な支援がどれだけ学校における人権教育を推進させる力になっているのかといった、教育委員会と公立学校との関係についての分析を検討してはどうか。

【委員】
 都道府県教育委員会は、第三次とりまとめを普及させようと、いろいろな施策を打ち出しているが、第三次とりまとめの公表から調査実施までの期間が短いことから、実際に学校現場でどれだけ普及したのか、今回の調査結果にはまだあらわれていないような気がしている。

【委員】
 調査結果を今後の施策に活かしていく上で、これまでの指針を提案すること、教材を提供していくこと、あるいは指導者養成のようなことが必要になるのではないか。もっと幅広く、例えば、人権教育専任教員といった条件整備についても考えられるのかもしれない。

【事務局】
 アイデアはどんどん出していただきたい。ただし、教材というのは、どこが出すのかという主体の問題と、むしろ都道府県では既に独自に副読本などを作成しているのではないか。

【ワーキング・グループの班分けについて】

【委員】
 教育委員会の調査結果を担当する第1ワーキンググループにおいては、学校の結果をにらみながら教育委員会の課題を主に考え、逆に学校の調査結果を担当する第2ワーキンググループにおいては、教育委員会の結果をにらみ合わせながら学校の課題を中心に論じる、とする分担であればやりやすいのではないか。

【委員】
 学校の調査結果を担当する第2ワーキンググループのほうが、調査の素数としては多いと思うが、教育委員会の調査結果は傾向が全然違うと思うので、三者の変容を明らかにするために、最初は第1ワーキンググループが半分に分かれたほうがいいのではないか。

【調査結果の公表について】

【委員】
 都道府県の結果を出すべきだとは思っていない。抽出された調査対象校をもって、県を代表させることは統計的に無理であり、ここで競争してもらうという趣旨ではないと思ってる。地域別ぐらいで公表するのがせいぜいではないかと思っている。

【委員】
 最終的に10月の会議をもとにして公表することになるが、1月にアンケートを集約して提出をして、今半年経っているので、教育委員会等において当面の取り組みを促したり、来年度予算に活かしてもらうために、この1カ月ぐらいの間に簡単な粗集計だけでも公表することは可能か。

【事務局】
 調査結果の分析を含め、もう少し議論が必要ではないかと思う。

【委員】
 公表については、よく検討してからで十分だと思う。12月に調査があるということは昨年度の年間の当初から示されていたわけではなくて、都道府県からしてみれば突然のことで、学校まで情報をおろして集約するのにとても大変な状況であった。全く情報が入らないところに突然の調査、突然の集計で、自分たちが意図してやった調査であれば、何かの施策に反映しようということも十分考えられると思うが、どういう公表をされるかもわからない中で、この調査の結果を来年度の施策にというのは考えにくいのではないかと思う。

【委員】
 今年度で終わる、国連の「人権教育のための世界計画・第1フェーズ行動計画」との関連で、この間における我が国の取り組みの成果を発信する国際的な責任がある。

【まとめ】

  • 次回以降、2班のワーキンググループに分かれて、調査結果の分析・評価を進めることとされた。