人権教育の指導方法等に関する調査研究会議(第31回) 議事要旨

1.日時

平成20年3月14日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

ホテルフロラシオン 2階 「芙蓉西」

3.議題

  1. 「第3次とりまとめ」について
  2. その他

4.出席者

委員

福田委員、有村委員、伊藤委員、梅野委員、神野委員、神山委員、小島委員、谷口委員、林委員、増田委員、森委員、若井委員

文部科学省

木岡児童生徒課長、塩原児童生徒課課長補佐、他

5.議事要旨

  •  事務局より、資料2・3-1・3-2に基づき意見募集(パブコメ)について、資料5-1・5-2・5-3に基づき「第三次とりまとめ」(案)について説明があった後、審議がなされた。

【指導等の在り方編について】

【委員】
 P14の【参考】について、昭和63年の生徒指導資料第20集を引用しているが、この資料では自己指導力について書いていて、その考え方は、20年経った今も変わっておらず、現行の学習指導要領の中にも受け継がれているということを、注書き等で入れるべきではないか。

【事務局】
 新学習指導要領については、パブコメ中であり、どのように載せるか難しいが、新学習指導要領中の人権教育関連の記述の抜粋については、「第三次とりまとめ」を製本して、冊子として配る際に、参考資料として添付したいと考えている。

【委員】
 自己指導力については、学習指導要領の数次の改訂の中でも、引き続き同じ考え方で位置づけられているということを、※印か何かで、書けばよいのではないか。

【委員】
 P20の「(2)関係諸機関との連携・協力」について、第2パラグラフ中では、「諸機関・施設等の協力」となっているが、用語の統一性を考えれば、「・施設等」は削除していいのではないか。

【事務局】
 「機関・施設」の「・施設」は削除することで全体を整理したい。

【委員】
 P32「(2)個人情報やプライバシーに関することへの配慮」には、自己開示に結びつくことなので、「必ずしも個人情報やプライバシーに関することを扱ってはいけないと言っているわけではない」と明確にするべきでないか。具体的には、「人権教育の指導に当たっては、例えば『自己開示』を介し他者とつながる経験を積み重ねること等が重視される。」という一文を加えてはどうか。

【事務局】
 「人権教育を行う上で個人情報にかかわることは避けられず、むしろ必要だ」ということについては、(2)の第2パラグラフに書いている。また、自分の個人情報をコントロールできる知識・技能を身に付けさせるという話も、(2)の最後のパラグラフとして付け加えている。
 特に、後者の話は、子どもに教える内容の話であり、「指導内容・方法に関する配慮事項」をまとめる「4.(2)」の記述としては、本来入り込む余地のないものであるが、調査研究会議としてこの問題を重視しているというスタンスをはっきり出すために、敢えてここに入れ込んだ経緯がある。ただし、この上さらに、「自己開示も重要」といった内容まで盛り込んでしまうと、「4.(2) 」はもはや「配慮事項」に関する項でなくなってしまうので、全体の構成を維持するためにも、原案のような記述までで、ギリギリ止めている。

【委員】
 「4. 指導内容・方法に関する配慮事項」の中の記述であるので、原文のままでいいのではないか。

【実践編について】

【委員】
 P8の「事例1 全体計画の構成例の「特別活動」の欄で、「学級活動、生徒(児童)会活動」と書かれている、ここの内容は、どちらかというと小学校の学習指導要領の記述が念頭に置かれたたものだと思うので、「生徒(児童)会」でなく「児童(生徒)会」とした方が、指導要領との整合性がとれるのではないか。

【事務局】
 「事例1」は、全体としては、ある中学校の全体計画の例という形を取っている。

【委員】
 P11の「事例2 年間指導計画の作成例」で、「特別活動(クラブ活動)」の段は、「縦割りクラブ活動」と書かれてるが、表現としては、「クラブ活動により異学年間の交流を促進する」のようなものの方がよいのではないか。

【委員】
 P11の「事例2 年間指導計画の作成例」の「社会」の段で、「江戸時代(身分差別)」という内容が入っているが、小学校社会科(歴史的分野)の江戸時代に関する学習内容と同和問題との関連で見れば、身分制に部落差別の起源を求めるような取り上げ方をする授業は、最近では少なく、むしろ、杉田玄白の腑分け実験の話を取り上げ、被差別的身分の人が医学の進歩に貢献したことに触れるといったように、文化や生活に関連した話題の中で取り上げることが多い。そうしたことを踏まえれば、「江戸時代(身分差別)」の「(身分差別)」は外してしまった方がよいのではないか。

【委員】
 P18の「<視点>中学校区を単位とする連携」が実践編に残るのであれば、事例5の下ではなく、P16の「家庭・地域との連携推進のためのポイント(例)」と「家庭・地域との連携推進のポイントと様々な推進方策」の前か後にした方がいいのではないか。

【委員】
 P37の「小グループ活動」のグループの適正規模について、全国には規模の小さい学校もあり、「6人から8人という規模が最もうまくいく」とまで断定してしまうことがよいのか。

【委員】
 小グループ活動の人数については、参考として考えてほしいということで、そのまま翻訳しており、現場に応じて行うという理解なので、原案のままでいいのではないか。座長に一任することにしたい。

【委員】
 P73の「事例33 広報誌の人権教育の月別記載事項」において、「法教育の意義」と書いてあるが、学習指導要領では「法教育」という言葉が使われておらず、広報誌のテーマとして適切なのか。

【委員】
 「法教育」というと、狭い内容になってしまうが、「法に関する教育」とすれば、色々な取組を含むことになり、適当なのではないか。

【委員】
 P85の「事例39 ライフステージに応じた総合的な研修計画」について、「第三次取りまとめの理解」が初任者研修だけにしか入っていないが、初任者以外についても学んでほしいという書き方ができればいいのではないか。

【個別的人権課題について】

【委員】
 個別的人権課題について、本調査会議が、主要課題を選んだかのように誤解されかねないので、基本計画や人権教育啓発白書の項目に従っており、これらがすべての人権課題ではないということがわかるような文章を入れるべき。

【委員】
 同和問題のところに、同和対策審議会答申が挙がっているが、前文や第1部1だけでも掲載してはどうか。

【まとめ】

  •  「第3次まとめ」については、意見等を踏まえ必要な修正を行った上で、これを公表することとされた。修正については、各委員からのメール・FAXによる追加意見も受け付けるが、最終的な文言については、座長に一任することとされた。
  •  今後の事務的な流れとして、(1)文案確定後、ただちに文科省記者クラブへ資料提供することともに、各都道府県教委等へ通知すること、(2)その後さらに、文部科学省ホームページへ「第三次とりまとめ」全文を掲載すること、(3)「参考資料」を収録して印刷・製本の上、「第三次とりまとめ」を全国の学校へ送付することについて、事務局から説明があった。
  •  平成20年度以降は、「とりまとめ」を受けた学校等での人権教育の取組状況について、フォローアップを進めていくこととされた。