不登校問題に関する調査研究協力者会議
2002年11月29日 議事録不登校問題に関する調査研究協力者会議(第6回)議事録 |
1.日時 | 平成14年11月29日(金) 10:00〜13:00 |
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2.場所 | 経済産業省別館 944号会議室(9階) |
3. | 出席者
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4. | 議事内容 |
○ | おはようございます。定刻となりましたので,これから第6回の不登校問題に関する調査研究協力者会議を開催したいと思います。よろしくお願いいたします。 また,本日の会議につきましても,報道関係者の傍聴を許可しておりますので,御承知おきいただきたいと思います。 なお,本日は伊藤委員さん,斎藤環委員さんが,御都合によって御欠席でございます。 本日のテーマは,「学校外における支援について」ということで,今日が2回目になるわけでございます。前回は適応指導教室等の公的支援の在り方を中心に検討いたしましたけれども,今回は民間施設について御議論いただくということでございます。 まず最初に,民間施設のお立場として,3つの施設の関係の方々からヒアリングを行うこととしたいと思っております。 御紹介をさせていただきます。皆様方から見て右側からになりましょうか,英明塾の川合雅久さんでございます。 |
○ | よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 NPO法人東京シューレの奥地圭子さんでございます。 |
○ | よろしくお願いいたします。 相模湖フリースクールの月岡照夫さんでございます。 |
○ | よろしくお願いいたします。 ヒアリングの後,このお話を踏まえまして,民間施設の取組とその成果・課題,それから公的機関との連携など,今後の在り方等について御議論いただきたいと思います。 なお,お手元に本日御議論をお願いしたい点について配付させていただいておりますので,御参考にしていただきたいと思います。 また,配付資料につきましては,お話を伺った後に,事務局のほうから説明をしていただこうと思っております。 それでは,これからヒアリングを実施したいと思います。発表される方々につきましては,日ごろから不登校の児童・生徒,その保護者の方々と直接かかわっておられる立場から,その取組の内容,成果,あるいは課題,それから当事者の考え等も含めた率直な御意見をいただきたいと思っております。 進め方としましては,お一人について時間を,恐縮でございますが,お話を15分ほど伺うということで,そのお話を伺った後,それぞれ質疑応答の時間を5分ほど設けまして,お三方からのお話を伺った後,協議に移るということで進めさせていただきたいと思います。 本日は,お三方とも,この会議が終わるまでは御一緒させていただいてよろしゅうございますでしょうか。では,そんなことで予定をさせていただきたいと思います。 では,最初に,英明塾の川合さん,よろしくお願いいたします。 |
○ | ありがとうございました。 また後ほど,協議のところで,またいろいろお尋ねもあろうかと思いますので,そこでまたお話をいただければと思います。 とりあえず,この時点で御質問ございますでしょうか。 では,限られた時間の中ですので,また後ほど,御質問も出していただきながら,協議を深めたいと思います。 では,続いて,NPO法人東京シューレの奥地圭子さんからお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
○ | そんな見当でお願いをできればと思います。よろしくお願いいたします。 |
○ | ありがとうございました。 では,先ほどの川合さんと同じで,後ほどまた協議も深めますが,この時点で御質問がございましたらどうぞ。 |
○ | 後ほど,またお時間をとっていただけるそうですけれども,この資料の「はじめに〜不登校とフリースクール」,この一番下のほうに,「学校復帰については,その子の意志が尊重されるべきであり,学校復帰を強化する指導は,子ども達を追いつめる」と,そういうお考えもあるかと思いまして,実はフリースクール,いろいろある中で,学校は絶対によろしくないというお考えの方も,かなりいらっしゃるんですね。「学校に行かなくなったら赤飯をたきましょう」という著書まである人もいるんですね。そういうことについて,東京シューレさんとしては,どういうようにお考えなのかということだけ,まずお伺いしたいと思います。 |
○ | ありがとうございます。 では,学校否定ではないというのは書いてあるとおりですということですね。 実は,森田先生のほうでおやりになった調査に,不登校になって後悔があるかどうかという点で,学校に行けばよかったという後悔をしているという人が,かなり多いというデータが出ておりまして,私どもも,すべて学校に戻ればいいということを考えているわけではないんですけれども,やはり,その子の将来の社会にどう参画していくかという点では,知識と同時に,学校も1つの社会という考え方で,社会に出る一歩として必要だろうという点を非常に強く感じているわけなんですけれども,その点,社会に参加していらっしゃる方もたくさんいるという御紹介で,非常に安心をしたといいますか,それがどんどん増えていけばよろしいなということなんですけれども,ぜひ,後々,後悔のないような生徒さんに育てていただくようにということでお願いをしたいと思います。 |
○ | ありがとうございました。 ほかによろしゅうございましょうか。 ちょっと御紹介させていただきますと,本日,御欠席の委員さんから,もし出席であるのだったら,次のような質問をしたいので,そんなことを御検討くださいという御連絡をいただいておりまして,その中にも,これは奥地圭子さんに対して,学校の存在を否定する立場ではないとのことですけれども,これについてのお考えをもう少し詳しくお教えいただきたいということであるとか,ただいまの学校復帰について,強制というようなこととどういうふうに関係するかということの御質問とか,その他いくつか出ておりまして,これは委員の方々にも知っていただこうと思って,今申し上げているんですが,私のほうで,後ほど,また協議の中で御質問も出て,協議を深める中で,少し,御欠席の委員さんの御質問も御紹介しながら,織り込みながら協議を進めさせていただこうと思ってますので,御承知おきいただきたいと思います。 では,また後ほど,御質問もまじえて協議を深めることにしまして,次に,相模湖フリースクールの月岡照夫さんから御発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
○ | ありがとうございました。 この時点で御質問,何かございますでしょうか。 では,月岡さん,ありがとうございました。また,後ほど,御質問も出ようかと思いますし,いろいろ教えていただくことがあろうかと思いますが,よろしくお願いしたいと思います。 ここで,御発表が終わった時点で,事務局のほうから,本日配付していただいた資料等について,確認及び説明をお願いしたいと思います。 |
● | では,資料の説明を,ここでいったんさせていただきます。 お手元の資料1をご覧いただきますと,こちらに配付資料の一覧がございます。 資料1が議事次第でございます。 そのほか,卓上に配付させていただいております,本日の論点メモ案というものもございます。 それから,資料2が,ただいまお話しいただきましたヒアリング関係資料。 それから,資料3,こちらが民間施設の概況について。 資料4,これが民間施設から学校・教育委員会に対する主な要望。 それから,資料5,これは民間施設ガイドライン(試案)。 最後が資料6,今後の審議予定(案)ということになっております。 このほかに,近藤委員のほうから御提供いただきました資料が1枚,それから,本日お越しいただいております東京シューレさんからの封筒に入った資料一式,さらに,今御紹介いただきました相模湖フリースクールさんからのS・F・Sデータという2枚の資料がございます。 そうしましたら,まず,本日の資料3から御説明させていただきたいと思います。 資料3でございますけれども,こちらは不登校児童・生徒の原籍校が出席扱いとした実績があります民間施設に対して実施いたしました,文部科学省の昨年11月の調査結果をまとめたものでございます。全国121施設から御回答いただいたものをまとめました。 1番でございますけれども,こちらは設置者の組織形態でございますが,ご覧いただきますと,個人立のところがやはり最も多く,全体の約3分の1となっておりまして,それに続きまして,「その他」として区分されています医療法人など,3番目に多いのがNPO法人という状況になっております。 それから,2番目に,スタッフについてでございますけれども,こちらは全体の約半数の施設におきまして,5人以下のスタッフで運営されているところが多かったということでございます。 それから,(2)番,これは各資格,様々な資格を有するスタッフがいる施設数の割合をまとめたものでございますが,これは複数回答ですが,やはり教員免許,それから,カウンセラー資格を持っている方,臨床心理士などが多いということがわかります。 なお,すべて常勤ということではないですけれども,医師も1割程度の施設でいるというところでございます。 それから,3番の運営方針でございますけれども,こちら,各施設が優先する運営方針についてまとめたものでございまして,これも複数回答ですが,自信・自尊感情の育成ですとか,居場所の提供などを最も優先する方針として挙げていた施設が多いということがわかります。 それから,めくっていただきまして,2ページ目でございますけれども,4番目が,各タイプの子どもを受け入れている施設数の割合でございます。こちらは,例えば,遊び・非行型(怠学)傾向をもつ不登校の子どもについても,半数近くのフリースクールといいますか,民間施設で受け入れているといったデータでございます。 なお,申し訳ないんですが,ミスで,※のところで,「その他の不登校」,「その他」として区分されているものとしまして,「学力不振,いじめ等」とありますが,「いじめ」というのは間違いでございますので,削除をお願いいたします。 それから,5番目に,それぞれの民間施設が提供している活動のメニューということで,これも複数回答でございますけれども,やはり多かったのが野外体験活動,それから学校の授業の補習的な学習指導,あるいはスポーツ活動などが挙げられておりました。 6番目が,宿泊施設があるかというところでございますけれども,「有り」が全体の約3割というところでございました。 それから,7番目の活動を行うための施設・設備,こちらも複数回答でございますけれども,例えば学習室,面接室,プレイルーム,調理室などを持っている施設が多いということがわかりました。 3ページ目,最後でございますけれども,入会金あるいは月謝の状況でございますけれども,入会金につきましては,一応,平均というのを出してみますと3万7,881円程度になっていたということでございますが,最低金額は0円,最高金額が75万円ということで,非常に幅広くなっています。 それから,月謝につきましては,これは施設によって児童・生徒の受入形態ですとか,通所の頻度などに非常に違いがありまして,それに応じて金額の設定の仕方等もばらつきがあったため,平均ということはちょっと出せなかったんですが,例えば,パターンとしまして,通所の頻度によって月謝を分けている例ですとか,通所1回につきいくらという形で加算するパターンなどがありました。 以上が資料3,簡単に御紹介させていただいたものでございます。 それから,資料4,こちらが平成13年,昨年12月に文部科学省が実施いたしましたアンケート調査結果でございますけれども,民間施設から学校に対しまして出た意見というのをピックアップさせていただいております。 いくつか御紹介させていただきますと,例えば,教育委員会や文部科学省が出す指導資料などが,学校の現場で指導に生かされていないという御意見ですとか,あるいは,特に学校の管理職の民間施設に対する理解がもっと必要ではないかとか,学校によっては,民間施設を非常に見下したような対応があるというような御指摘もありました。 それから,例えば,民間施設に通っている児童・生徒に対し,学校が全く知らないというケースが見られる一方で,学校が継続的にかかわり続けることによって,学校復帰への意欲が喚起されることなども例としてあったので,学校が,自分の学校の子どもであるということを忘れずに対応してほしいという御意見ですとか,あるいは,教員にもっと施設を訪問してほしいという御意見ですとか,学校の不登校の初期段階での対応の不適切さが目立つ。例えば,進学ですとか進級といったことを理由に,学校不信に陥るような,脅迫的な対応もあって,学校復帰が遅れるような原因となっているとか。 あるいは,もう少し学校の敷居を低く,教師と親が対等に対話できるような工夫が必要ではないかというような御意見がありました。 裏を見ていただきますと,民間施設のほうから,今度は教育委員会,行政サイドに対する要望といたしまして,例えば,2番目にありますような,学校の教員や保護者と民間施設の指導員が一緒になる懇談会ですとか,あるいは具体的な児童・生徒の事例研究会を設けるなど,連携を支援するような施策を進めてほしいですとか,あるいは次の,民間施設と適応指導教室などの公的機関との情報交換の場をもう少し設けてほしいというような御意見がありました。 以上,資料4でございます。 資料5は省かせていただきますが,何度か御紹介いたしております,平成4年の文部科学省の通知の一部でございまして,民間施設に対する,要は保護者,あるいは学校,教育委員会として留意すべき点を目安として示したものでございます。 以上でございます。 |
○ | ただいまの事務局の説明に対しまして,何か質問ございますでしょうか。 よろしゅうございますでしょうか。 |
○ | 資料4の「民間施設から学校・教育委員会に対する主な要望等」というのは,これはどこに対して出したアンケート調査でございましょうか。どの範囲までということを。 |
● | 都道府県を通じまして,SSPの事業の対象となっております全国36施設に対する調査でございます。 |
○ | よろしゅうございますか。 |
○ | はい,わかりました。 |
○ | ありがとうございました。 では,これまでの説明を踏まえまして,これから民間施設についての御討議をいただきたいと思います。お手元に,先ほどもちょっと触れていただきましたけれども,論点メモをご覧いただきたいと思います。論議を焦点化するという意味で,1つは,民間施設の取組やその成果等の実態について。それから,民間施設と学校,適応指導教室等との公的機関との連携がどうあるべきなのか。それから,民間施設のガイドラインについて,今,お手元に資料としてもお配りいただきましたけれども,これについて,見直す必要があるのかどうなのか。あるいは,新たに付加すべき点があるかどうか,こうしたことを中心に論議を深めていきたいと思っております。 では,先ほど質問の時間も十分とれなかったので,口切りは質問からになりましょうか。どうぞ,どなたからでも御発言いただきたいと思います。 会を進める立場から,あまり発言するのは望ましくないんですが,私のほうから川合さんに1つお伺いしてよろしゅうございましょうか。 先ほどのお話の冒頭で,やはり,不登校を起こす子どもの実態に,最近はテンポが早くなって変化が見られるというお話がありまして,そのことに触れて,不登校を起こしているお子さんの中に,家庭の深刻な問題を背負っているお子さんがおられるというお話,あるいは,福祉的な対応が重要じゃないかというような御指摘がございます。実は,ごく最近も私,ある会議で研究者の方から,同じようなお話を伺ったこともありまして,そこのところ,もうちょっと詳しくお話を伺えればと思いますが,お願いいたします。 |
○ | まず,委員さんの方のほうが何か。 |
○ | 奥地先生,どうぞ,また後で,今のお答えについては,お答えいただきたいと。 ちょっとここでお尋ねしたいんですが,今日のテーマは,ある意味で民間施設,学校,それから適応指導教室との,公的機関との連携の問題。それぞれの今お三方の御報告,それぞれの施設の特徴は,私どもよく理解できて,大変参考になる面があるんですが,それぞれの施設,非常に特色がございます。学校側からというよりも,まず1つは,川合さんとか,奥地さんとか,月岡さんのところへアクセスしてくる。そのアクセスが,先ほどおっしゃったように,川合さんのところは,かなり非行タイプ,あるいは遊び型という従来の,あのカテゴリーがまず最近増えてきている。文部省統計では減ってきているんですね。このあたりは,やはりされる方の特性といいますか,こういうものがずいぶん,それぞれの施設によってあるんだろう。 そうしますと,施設側からご覧になって,うちの施設はこういう特徴を持っているんですよという意味じゃなくて,いわゆる学校側のアクセスの仕方といいますか,アプローチの仕方,あるいは不登校になった方々,あるいは保護者の方々からのアクセスの仕方というのは,それぞれの施設によって少しずつ違うだろう。そういうアクセスの仕方について,いわゆる学校,あるいはこういう公的機関等への,何かそれぞれの中でお感じになっている要望等を,そういうものがございましたら,ちょっと御紹介をお三方にしていただきたい。 それから,そこから逃げると言っては失礼なんですが,うまく合わない,マッチングしない。今,お話を聞いたのは,受け入れた方々の特徴なんですね。だけど,来て,あ,これは僕はだめだよという方々もいらっしゃる。そういう中での,何かそれぞれの施設でご覧になった特徴といいますか,こういうものをお教えいただきたい。 それから,その点を含めて,奥地さんに,基本的な立場は,ある意味では,公的な教育,いわゆる学校に関しても,いろいろと御参考になる点といいますか,そういうものを提供したいというお気持ちも施設としておありだろうと思います。そうしますと,そういう今の奥地さんのところから見られて,こういう学校との連携の在り方の中で,奥地さんのところの東京シューレからご覧になって,どういう要望なり,あるいは連携の仕方というものへの期待といいますか,希望というのはおありになるのか。おありになるとすれば,ちょっとその点もお聞かせいただきたいという具合に思いまして,つまり,御参考になる,活動の中から,こういう点は参考にしたいので,こういう連携の在り方というのはどうなんだろうというような御提言があれば,お伺いしたいと思いますが。 以上でございます。 |
○ | 3人に,今のことについてお尋ねしますが,委員の方々から,今の,お三人,それぞれこれからお話しいただきますので,関連して,こういうことも付け加えてというようなことがございましたら出していただいて。お願いいたします。 |
○ | 非常に経済的に厳しいというお話があったんですけれども,その中で非常に個性的な活動を,それぞれ3つの施設ともすべて行われているということ,すごく感銘したんですが,例えば,受講生の授業料というか,経済的な負担はどれぐらいなものなのか。それから,行事なんかの負担はどうなのか。それから,できれば,ほかから補助等があるのか否か,その点もぜひ付け加えて。ただ,これはちょっと教えにくいことがあるかもしれませんので,話できるところで結構ですので,ぜひ付け加えていただければありがたいと思います。 |
○ | あまり注文がたくさんだとお話ししにくいでしょうから,その辺にして,御欠席の委員さんからも,ちょっと関連する質問がございましたので。では,川合さんから,お願いしてよろしいでしょうか。 |
○ | 学校からのアクセスの仕方についての何かこう,御要望とか,そういう連携の。つまり,学校からの施設へ連携のとり方の,アクセスの段階では何か御要望ございますか。 |
○ | ありがとうございました。 では,奥地さん,お願いいたします。 |
○ | 続いて月岡さん,よろしくお願いします。 |
○ | ありがとうございました。はい,どうぞ。 |
○ | 私も実は,お三方と同じような状況にあるということもありまして,何だか質問のしにくいところもあるのですけれども,川合先生の話を聞いていましたら,涙が出てまいりました。ほんとにこれが現実なんだということをいろんな人たちにわかってもらいたいというふうに今,思いました。 シューレさんの,うちも川合さんのところの何倍も借金があるのだという話を聞きまして,これまたびっくりしました。シューレさんはそんなに大変だとは思わなかったものですから。これもほんとうに申し上げたいのです。金の心配とか経営の心配をしないで,自分たちの持っている情熱を子どもたちに全部注いでいきたい,ほんとうにそういうふうに思います。私は,公立の先生方からたくさんメールをいただきます。いろんな些細な問題のもあります。その中で私は「みなさんはいいですね。お金の心配しないで子どもたちとかかわれるから」とメールを打ち返します。だれからも反論が来ないです。私たちは金の心配をしながら,「学校がなくなったら,この施設がなくなったら,子どもたちはどうなるだろう」という視点でいつもものを考えていかなければならないからです。 そういう意味で,財政的な援助というのは非常に難しいかもしれません。私たちに合ったガイドラインをつくって,それに適合したら,公的な援助をしていただきたいと思います。でも,そのガイドラインは非常に難しいのですが,何とかしてそれをつくり上げていただきたいということが1つあります。 それから,実は私はきのうもおとといも適応指導教室を回っています,学校も回っています。けれど,大変立派な施設の中に,生徒はほとんどいないんです。そして,去年まで使われていた施設がそのまま放置されてもいます。公民館もいっぱい空いています。そして,学校も学校の生徒がいなくて,半分以上空き教室になっています。そういうところをもっともっと我々のような弱小な民間教育機関に,ぜひ文部省が頂点になって調査をしていただき,施設を貸していただきたい。これがなされたら,もっともっと民間施設は元気を持って教育に携わることができると思います。 川合先生の話を聞いていて,ほんとに涙が出てきました。よろしくお願いします。 |
○ | ありがとうございました。 今のお話も踏まえて,さらに論議を深めていきたい,それからただいまの御発言の中にもありましたように,できればこのガイドラインについても御意見を出していただきまして,それぞれ御質問,御意見も交えて御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 |
○ | 今,話を聞かせていただきまして,ほんとうに自らの生き方として不登校に向き合ってこられて,こういった組織を運営しておられる方々の迫力というのを改めて感じまして,今日,ほんとうに勉強させていただきました。特に,それぞれ共通しているところと言いますか,ものすごい失礼な言い方でございますが,やっぱり心で子どもたちに接しておられるということが一番感銘したところでございます。特に川合先生の場合は,受け入れの在りようといいますか,ほんとうに感銘いたしましたし,教育は嫌いやけど,今日を生きていかなければならないから,やっぱり教育やというふうなことも含めて,月岡先生の話であるとか,また私ども適応指導教室の相談員等々とヒアリングをやっておりますと,子どもたちをありのままに受けとめていくといいますか,そういった中で,子どもたちがやっぱり自己決定,自己選択していくということの教育の経過といいますか,そういったことを指導方針で示しておられる奥地先生,それぞれほんとうに感銘したわけでございます。 私ども教育行政に携わるものといたしまして改めて感じることでございますが,こういった子どもたちが社会的に自立していくために,その子に応じた必要な支援策をとっていかなければならないということを,改めて肝に銘じたわけでございます。さらに,学校の,また教育行政の果たす役割といったことにフィードバックしていかなければならないといったことを,私どものスタンスとして感じたところでございます。そういった中で,何点か見解を述べさせていただきたいと思います。 先ほどからの話に出ていました子どもの活動に対し,私ども学校関係者といたしまして,「こんないいスペースがあったんやな」ということを,学校というステージの中で改めて実感させていくような魅力ある学校をどうつくっていくかといった視点で受けとめたわけでございます。そういった中で,意見の第1は,フリースクールの皆さん方と,私どもの,例えば適応指導教室であるとか,学校サイドであるとかいったことの交流といいますか,連携といいますか,こういうことを積極的にやるべきではないかなということを感じたわけでございます。と同時に,今日のようなそれぞれの取組の成果等も含めて,私どもにさらにお教えいただければありがたいと,かように感じたところでございます。これがまず第1点でございます。 次に,前からの調査にもございましたように,私ども,社会でそういった子どもたちが自立したときに,学校に行っておけばよかったという悔いを残さないための対応ということも大切だなと感じたわけでございます。そういった意味で,私どもといたしましては,2点目として,市としてもこういった不登校の児童・生徒を支援するようなセンターを統括的に設置する中で,皆様方,また関係機関とのネットワークづくりの必要性を痛感したわけでございます。先ほども申しましたように,いろんな支援策は,やっぱりこういったネットワークの中で形成されていくのではないかなと思うわけでございます。教育行政といたしましても,学校の役割といたしましても,先ほどからの話もございましたように,もっと子どもたちに私どもの持っている情報を積極的に発信していくといったことが必要ではないかなと思います。と同時に,学校がそういうネットワークの調整役といいますか,コーディネートしていくということの必要性も,教育行政ともども痛感したわけでございます。 また,先ほどのビデオにもございましたように,学校そのものがさらに開かれて,例えばもっと多様な人との出会いとかつながりを学校自身がつくっていく,そういった役割へと学校そのものの機能もさらに発展させていくことが大事ではないかなと思います。と同時に,私ども一番感じますのは,実際に学校にも来られない,フリースクールにも入れない子どもたちに対しまして,公教育の立場から,将来社会的に自立していくための基礎的な学習内容等も含めて,どのようにフォローしていくのかといったことも問われているのではないかなと思うわけでございます。 そういった意味で,学校がさらに子どもたちにとってすばらしい居場所になるような形で,今言ったような取組が結果として学校復帰につながれば,さらに大事ではないかなということを今,改めて受けとめたところでございます。長くなりましたが以上でございます。 |
○ | ありがとうございました。行政としての立場も踏まえての御発言でしたが,この我々の会は,多様な立場からこの会に参加しているわけでありまして,それぞれのお立場から御発言がありましたらどうぞ。はい,お願いいたします。 |
○ | 不登校の子どもたちが,各フリースクールでのびのびと育っている様子を伺うことができ非常にうれしく思いました。特に,奥地さんに見せていただいたビデオの中の子どもたちはとても表情がいいですね。そして,このような子どもたちを支えている先生方が全力で取り組んでいる姿勢を見せていただき感動しています。 さて,今日の論点から離れるのですが,質問させてください。 月岡さんの出された資料に,これまで通ってきた子どもの中に障害を持っている子どもが約2割(21.4%)含まれていると書かれています。私のイメージでは,軽い障害を持っている子どもは通常の子どもに比べて不登校になりやすいと思っています。他の先生方からもお聞きしたいのですが,フリースクールに通ってきているお子さんの中に,軽いものを含めて障害を持っている子がどの程度含まれているかを教えて下さい。 |
○ | ちょっと1つ教えてください。 今,そうしたお子さんを抱えておられるお立場から考えて,そうしたお子さんを援助するネットワークづくりみたいなことについて,何かお考えがおありでしょうか。 |
○ | ありがとうございました。 |
○ | ありがとうございました。続けてどうぞ御発言をお願いいたします。 |
○ | 1つだけ,親と子との関係という中でお伺いしたい点があります。 特に奥地さんにですが,どうして子どもたちが否定されてしまったかという話について,あまり詳しくされていなかったようだったので,その辺がお伺いしたい点と。 もう1つは,学校否定ではないという言葉がたびたび聞かれてはおったのですが,私はPTAという立場で参加させていただいているものですから,PTAの活動の中にその親御さんたちがどのように参加されていたのかというのが,大変疑問な点として浮かんでまいりました。何か言葉の最後のところには学校不信なのではと思われるような発言も感じたり,どうも親御さんたちの中に,我々の組織自体を含めて,学校に対しての懐疑的な発想を感じられるようなところがあったものですから,その辺を詳しくお話しいただければありがたいと思います。 |
○ | 先ほどから家庭での問題,あるいは親子関係の問題が御発表の中にも出されていて,それに関する御質問ですが,関連して何か御質問のある方,あったら出していただいて,御一緒にお答えいただこうと思います。よろしゅうございましょうか。 |
○ | だけではなくて。 |
○ | 学校の中でいじめに遭うとか,その子が感じた学校に対する,もう行きたくないと思う原因の部分ですね。 |
○ | ありがとうございました。 予定の時間がきているのですけれども,前回のおしまいに御了解いただきましたように,せっかくの機会ですので,もう少し時間をいただいて,御質問があればお出しいただきたいと思っておりますが,御発言がございましたら,引き続いて。 |
○ | 奥地さんにお聞きしたいのですが,私たちはどちらかというと一般的には,大変失礼な言い方なのですが,東京シューレさんは学校を否定している団体であるというふうに,認識しております。それが,そうした子どもたちを預かっている中で,年月がたって子どもたちが次のステップを踏んでいくことがなかなかできなくなって来てしまった。そのなかなかできない状況になって初めて,どうやってその指導をしていくかというようなところから,多少方向が変わってきたというふうに言われております。東京シューレさんの立場は,最初からそういうことでなく,今のお話をいただいたようなことなわけですね。 |
○ | わかりました。ありがとうございました。 |
○ | 子どもの,あるいは保護者の方々のいわゆる心の問題に関する原点みたいなことを今,お話しいただいたと思います。 時間がもう迫ってまいりましたが,ガイドラインについて,何かお考えがある方は……,どうぞ。 |
○ | 私のほうで出しました資料が配布されておりますので,簡単に説明させていただきたいのですけれども,民間施設についてのガイドラインの試案というのが,資料5にございまして,実は私どもとしては,もう少しこういう部分も必要ではないかなということで案をつくってみました。これはもちろん案で,15年度に調査をしたいということでございますが,今日はフリースクールの代表者の方がいらっしゃっているわけですけれども,実はフリースクールと言ってもほんとうにいろいろです。残念ながら,必ずしも褒められないようなところも,少数だろうとは思いますがございます。そういうところに行っていた方の御相談とか苦情が私どものところにはかなりたくさんあるわけです。 私どもの民間教育施設調査実施要綱案というので,この1番から3番まではガイドラインに既に載っているものです。4番から5,6,7のあたりは,できればこういうことが必要かなということで出させていただきました。例えば4番の受け入れ対象者を明確にするというのはなかなか難しいと思います。今日のお話を伺いますと,とにかくいろんな子が来るのですよということはよくわかります。ただ,川合さんのお話のように,ずうっとあちこち行って,最終的にうちに来ましたという生徒さんの例は,実は非常によく聞くことなのです。あっちこっち行ってみました,それでもどうしてもだめでした,おたくが最後ですという形で来る方,あるいは私どものほうにもそういう相談の人,かなりいるのです。児童養護施設に行く方,児童相談所に行くという方も増えているわけです。フリースクールではどうにもなりませんでしたということでいらっしゃる方も増えています。これは,やはり,ある程度でもいいのですが,どういうお子様はうちでは預かることができますよと,ですけれども,こういう人はちょっと無理ですというのを,できればはっきりさせていただくとありがたいと思います。先ほど,川合さんがNPOをおつくりになったというのも1つだと思いますし,いろいろな専門分野の方々がネットワークをつくって,この子はうちよりもあそこのほうがいいですよということが言えるようなものが必要ではないかなということです。 それから,5番の到達目標は,今日,皆様方お三方提示していただいていると思いますけれども,やはりある一定のところで,いわゆる卒業というのでしょうか,卒設と言っていらっしゃる方々もいらっしゃるのですけれども,そういうものを設けていただけるとありがたいなと。要するに,いつまでいてもいいんだよと言って,20歳過ぎた大人になっても相変わらずフリースクールに通っているという方がいらっしゃるわけです。それによって,社会参加が非常に遅れてしまう。あるいは資格が取れないまま大人になってしまうという方が出ておりますので,これは何とかしたい。 それから6番は,さっき申し上げた,ほかの機関とのネットワークを組むことによって,何でも引き受けるのではなくて,という意味です。それからサポート体制は当然のことだと思いますけれども。そういう形で出させていただきましたので,できましたら,今日ということではございませんが,御意見いただければ,これは来年度,私どもでこういうふうにしたいと。文部科学省さんは,SSNというので,かなり大規模な調査とネットワークづくりをおやりになるようですけれども,民間部分について,少しでもお手伝いできればいいということでございます。 |
○ | ありがとうございました。 ただいまの内容についても,せっかく今,御意見をいただいたので,この場で協議をしたほうが望ましいのですけれども,時間が乏しくなりましたので,これについては,今日の御発表を受けまして,我々もよくわかっていることは,民間施設において様々御努力がなされている。しかしながら,それぞれの施設によって実態が様々であるということも理解されました。さらに今後,我々が可能な限り,民間において提供される支援について,実態や成果等の把握に努めながら,そしてその中に,今お話しいただいたことも織り込んでいって,協議のテーブルに載せていくということが1つ,今,出されたことかなと,そういうふうにこの委員会としては進めたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。 本日は,お三方から民間施設の取組について,成果それから課題等貴重なお話をいただきました。その中で1つ確認されたことは,この不登校の問題に関しては,まずは子どもと親御さんの心の通じ合い,あるいは子どもさんが心に負っている傷の理解,あるいは子ども一人一人の立場に立つことの重要性ということを改めて今日のそれぞれのお話の中から確認をさせていただいたと思います。一人一人の子どもの自己実現,あるいは社会的な自立に向けて,本日の御発表は民間施設においての取組でありましたけれども,今後も我々が,今日のお話も参考にさせていただきながら協議を深めていかなければいけないということが確認されたと思います。 ただ,今日の御発表の中にもありましたように,不登校の状態にあるお子さんと一口に言っても,様々な要因があり,様々な対応がありまして,これは必ずしも一様ではないわけでありますので,特定の指導方針やあるいは対応が,あるお子さんには非常に効果を持ったとしても,それがすべてのお子さんに有効かどうかということについては,さらに今後多角的に,実態把握をするとともに,今後どういう対応が求められているのかという観点で検討を加えていかなくてはならないということがはっきりしたのであろうと思っております。 民間施設の取組の成果や課題,あるいは実勢を踏まえまして,学校や適応指導教室が,公的機関としてどういう支援があり得るのか,あるいはそのことについての問題点についてのお話も出されましたが,民間施設とより効果的に連携を図っていく,特に学校について言いますと,これも委員さんの中からもお話が出ましたように,学校あるいは公的機関としても,より開かれた関係づくりということが重要であるということが御発言の中にもありましたし,一方,民間施設の側としましても,ぜひ今後も,今日も我々がお話を伺っていて御努力の一端を把握しましたし,それからこういう課題をお持ちなのだということもわかりました。ぜひ今後も,積極的に情報公開等していただいて,その成果の交流によって,よりよい支援のシステムを確立するということで,今後我々としては議論を深めたいと思っているわけであります。 いずれにしましても,お三人の方々から,貴重な情報を提供していただきまして,ありがとうございました。 |
○ | 御要望としてお伺いをしておきます。 続きまして,次回の会議についてでありますけれども,「中卒後の諸課題等について」ということで,次回の会議を予定しておりまして,1つは「社会的自立へのサポート」それから「不登校と社会的なひきこもりとの関連」あるいは「義務教育を終えた段階の様々な課題」について幅広く御議論いただく予定としております。 その際にヒアリングを実施することとしていますけれども,具体的なヒアリングの対象としましては,社会的な自立支援の取組の観点から,「ピースフルハウスはぐれ雲」の代表である川又直さん,それからひきこもり問題の観点から,本日御欠席になっておりますけれども,我々の協議会の委員であります斎藤環委員さんからお願いをしたいと考えているのでございますが,いかがでございましょうか。 よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。 また,第5回の議事録(案)につきましては,別途事務局から郵送させていただきますので,御意見等がございましたら,事務局のほうにお寄せをいただきたいと思います。 次回等の日程につきまして,事務局から説明いただけますでしょうか。 |
● | 次回の会議は12月10日(火)で,朝10時から,場所はフロラシオン青山でお願いいたします。表参道で,第1回目の会議をお願いしたところでございます。 |
○ | ありがとうございました。 ほんとうにお三方,お忙しい中を御参加いただきまして,ありがとうございました。重ねてお礼を申し上げます。(拍手) では,本日はこれをもって閉会とさせていただきます。委員の皆様,ありがとうございました。 |
(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)
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