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不登校問題に関する調査研究協力者会議

2002年11月29日 議事録
不登校問題に関する調査研究協力者会議(第6回)議事録

1.日時   平成14年11月29日(金)  10:00〜13:00

2.場所 経済産業省別館  944号会議室(9階)

3. 出席者
(協力者) 荒井委員,石郷岡委員,大橋委員,尾木委員,下司委員,近藤委員,斎藤(八)委員,菅原委員,須藤委員,相馬委員,藤田委員,松野委員,森田委員,山上委員
(文部科学省等) 金森審議官,尾ア児童生徒課長,小林課長補佐,月岡生徒指導研究センター長
ほか関係官
(ヒアリング対象者) フリースクール英明塾代表  川合雅久氏,
NPO法人東京シューレ理事長  奥地圭子氏,
相模湖フリースクール代表  月岡照夫氏

4. 議事内容
(○委員の発言,●事務局の発言)
  おはようございます。定刻となりましたので,これから第6回の不登校問題に関する調査研究協力者会議を開催したいと思います。よろしくお願いいたします。
  また,本日の会議につきましても,報道関係者の傍聴を許可しておりますので,御承知おきいただきたいと思います。
  なお,本日は伊藤委員さん,斎藤環委員さんが,御都合によって御欠席でございます。
  本日のテーマは,「学校外における支援について」ということで,今日が2回目になるわけでございます。前回は適応指導教室等の公的支援の在り方を中心に検討いたしましたけれども,今回は民間施設について御議論いただくということでございます。
  まず最初に,民間施設のお立場として,3つの施設の関係の方々からヒアリングを行うこととしたいと思っております。
  御紹介をさせていただきます。皆様方から見て右側からになりましょうか,英明塾の川合雅久さんでございます。

【川合氏】  よろしくお願いします。

  よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  NPO法人東京シューレの奥地圭子さんでございます。

【奥地氏】  よろしくお願いいたします。

  よろしくお願いいたします。
  相模湖フリースクールの月岡照夫さんでございます。

【月岡氏】  よろしくお願いいたします。

  よろしくお願いいたします。
  ヒアリングの後,このお話を踏まえまして,民間施設の取組とその成果・課題,それから公的機関との連携など,今後の在り方等について御議論いただきたいと思います。
  なお,お手元に本日御議論をお願いしたい点について配付させていただいておりますので,御参考にしていただきたいと思います。
  また,配付資料につきましては,お話を伺った後に,事務局のほうから説明をしていただこうと思っております。
  それでは,これからヒアリングを実施したいと思います。発表される方々につきましては,日ごろから不登校の児童・生徒,その保護者の方々と直接かかわっておられる立場から,その取組の内容,成果,あるいは課題,それから当事者の考え等も含めた率直な御意見をいただきたいと思っております。
  進め方としましては,お一人について時間を,恐縮でございますが,お話を15分ほど伺うということで,そのお話を伺った後,それぞれ質疑応答の時間を5分ほど設けまして,お三方からのお話を伺った後,協議に移るということで進めさせていただきたいと思います。
  本日は,お三方とも,この会議が終わるまでは御一緒させていただいてよろしゅうございますでしょうか。では,そんなことで予定をさせていただきたいと思います。
  では,最初に,英明塾の川合さん,よろしくお願いいたします。

【川合氏】  おはようございます。フリースクール英明塾の川合と申します。今日,お招きいただいてありがとうございます。
  今日お話ししようとするのが,うちの話よりも,今の現状であるとか,そういう話をしようと思います。4点ほど,お話しさせていただきます。
  1番目がフリースクールの今の現状,2番目が最近の不登校生の状況,3番目に現在の社会状況を分析した自分の考え方なんですけれども,それがどういうふうに子どもたちに影響を与えているのか,それから,その子どもたちにどういう形で生きる力を与えるかということでの自然体験のお話をさせていただきたいと思います。
  まず最初,フリースクールの現状からお話しします。
  実際には,全国に1,000以上と言われている民間のフリースクールがありますけれども,フリースクールという名前を付けていたり,フリースペースと名前を付けていたり,御自分の考え方で開かれているところがあると思いますけれども,フリースクール英明塾は来年で28年目になります。不登校生を扱い始めまして25年になります。当時のことから考えると,かなり変わってきています。また,SSPのほうは4年目に入っております。詳しい内容は,SSPの報告書を見ていただくという形で,お話を進めさせていただきます。
  27年間やってきまして,自分自身が子どもたちに相対していて,以前とかなり変えてきた。私自身が変えてきたものが,大きな教室とか,多数のクラスを持っていたんですけれども,その多数の生徒よりも,小さな教室,大体15年くらい前なんですけれども,個を大切にするということで,非常に小さくしていきました。これは,時代の変化という形でもあるんですけれども,子どもたちの要望というのも,以前から比べると個に対する考え方が非常に強くなってきているんではないかと考えているわけです。
  例えば,授業なども,川合の授業を受けたいという要望がたくさんあれば,いくつもクラスがあると,1つにせざるを得なくなるために,どんどん縮小してしまうわけですね。つまり,個性ある授業をしていくという形で考えていくんですけれども,そうすればそうするほどフリースクールは非常に経営が困難になります。
  ずばり言って,私の塾は月間30万の毎月赤字を出しております。年間約300万の赤字を出しています。全部累積していますけれども,それでもできる限りのことをやっておりますけれども,フリースクールの多くが,生徒が5人とか6人,1人ずつを大切にしていくという形でいくと,非常に少ない人数で教えています。月謝のほうも非常に,取れるか取れないかという状況がありまして,食べていくのが非常に大変です。例えば,うちに来ている生徒の多くが,3分の1くらいが母子家庭です。それから,生活保護を受けている人たちもいます。家庭事情がいろいろな複雑な子たちがたくさんいます。
  そういう子たちが来るわけですけれども,例えば私のところに来て,1日話しただけ,または2時間話しただけで,学校に戻っちゃう子もいるわけですね。それから,子どもからの相談を受けたりします。24時間の相談をします。実は,この1週間で睡眠時間は,私は6時間なんです。そのくらい夜中電話が来るわけです。多いときは,一番多いときは2週間で睡眠時間が8時間くらいです。そこまでやらないと,子どもたちを1対1で見ないと,子どもたちが非常に危険な場合もあるということでいるんですけれども,そういう子どもたちから,最近はメール,手紙じゃなくてメールになったんですね。それから,ファックスで送られてきたりします。そういう相談のみの子どもたちから,お金を取れません。
  それから,学校に行っているけれども,行けないときだけ来る子もいます。親に内緒で来る子もいます。この子たちもお金取れません。
  それから,中学を卒業しても,自分が困ったとき,何かあったときに必ず相談に来ます。もう10年以上,15年以上,来ている子たちもいます。そういう子たちが,小さな子どもたちを見てあげるねと言って来るので,その子たちからもお金取れません。実は,払わないのか,払えないのかわかりませんけれども,実際には,フリースクールというのは,そういう形でやっております。SSPでお金を少しいただいてますけれども,それではまず,スタッフの給料も全く払えないという形で,現在もボランティアスタッフは無給です。
  これが,実際,私のフリースクール英明塾の現況。それでもうれしいのは,卒業して数年後,子どもを背負って,お母さんになって,少しずつためたお金を僕のところに持ってきてくれるんです。それがうれしくて,今も続けているんですけれども,こういった感じのフリースクール英明塾なんです。
  私のところに来ている不登校生,全体がそうであるとは思いませんけれども,2番目に,最近の不登校生の状況についてお話しします。
  サイクルとしては2年サイクルになりました。その前は,25年くらい前から考えると,5年サイクルくらいで不登校の質が変わってきています。その質が,去年のSSPの報告書に少し書きましたけれども,かなり変わってきて,ここ2年間で,またかなり状況は変わってきています。
  多いのは,グルーピングとポジショニングといいまして,グループの中に入っていられないという,またはグループから排除されてしまう。グループの中で自分のポジションをとれない子たちというのがたくさんいます。みんなと一緒にいるのが苦手という子たちもいます。勝手な行動をとっちゃう,協調性がないような子たちも今増えています。好きなことしかしない,我慢できない,耐性がないという子たちが,今非常に増えています。
  その中で,ここ1,2年,もっと増えているのが非行型です。これは都市型ではないです。保護観察処分中の子どもたちが,今フリースクールに来ております。一部はADHDだと思われます。その子どもたちが,今学校から切り捨てられています。学校が,この子たちがいるために学級崩壊,あるいは学校崩壊に陥る。それを食いとめるために,今,来るなと。学校に来るなということで登校禁止処分になっている子たちが,今フリースクールに来始めています。これから,もっと他のフリースクールにも増えていくのではないかと思われます。
  もちろん,一晩中,どこかでたむろっていますから,オール当たり前。夜中もずっとどこかにいるわけですね。コンビニの前に座っているわけです。もう喫煙当たり前です。中学1年生でたばこやめられません。少なくとも携帯の灰皿は持ってねと言うところが精いっぱいです。女の子のほうが,たばこはもっと吸います。
  その子たちに,いろいろ話を聞くと,まず目的がないです。無目的,無趣味,それから,夢や希望を全く持っていません。感動がないんです。無表情なんです。五感が働きません。そういう子たちが今は増えています。
  今までの不登校生,大体引きこもり型がほとんどなんですけれども,その引きこもり型という子たちは,今までどおりおります。これは大体家から出られない。怖い。怖いという言葉でしか表現しませんけれども,そういう子たちですね。そういう子たちが思春期,青年期の葛藤パターンで出られなくなってしまうという子たち。
  それから,最近増えているのは,その子たちの中にゲーム漬け,チャット漬け,メール漬けというのが増えています。
  それからもう1つ,暴走族に入れなくて不登校になっている子も最近見かけられています。
  それから,中学の先生なんかとよく話しすると,ADHDと思われる増加がかなり見られます。アメリカでは14〜17%,ADHDと言われていますけれども,この子たちが除外措置をとるために受け皿がなく,暴走族,チーマー,カラーギャングになっています。カラーギャングというのは,バックに必ず暴力団が入っています。
  ですから,こういう子どもたち全部を見ていくと,不登校生というのは病気じゃないかもしれないけれども,病気の子たちもいるけれども,逆に薬漬けの子もいるし,いろいろな子たちがいるけれども,この子たちをどうやって救うかということを考えているわけですね。
  それで,3番目の現在の社会状況の分析なんですけれども,このデジタル化をされた世の中ということから考えていくと,デジタルの考え方ということから,アナログの考え方に戻す,自然に返すということを考えていかなくちゃいけないんじゃないか。
  例えば,デジタル化というのは,スペシャリストとかエキスパートをつくるけれども,実際にはふたこぶラクダになっておりまして,片方ではアルバイトでファミレスやコンビニやファーストフードがつくられて,それで成り立っているわけですね。ただし,我々の教育の分野では,なかなかそれがなされていない。それをつくるために,総合バランスをとるために何が必要かということで考えたのが,自然体験ではないか,ボランティアではないかというふうに考えました。
  すべてを数値化,データ化してしまうデジタル化,ロボット化されていく子どもたち。その子どもたちのために,個を大切にしていくことを教えていく。そのきっかけづくり。外に出る,外界に出るきっかけづくりとして考えていくのが,自然体験を通してできないかという形で,現在一番力を入れているのが,不登校であっても,どこにも行っていない子たちがたくさんいて,出ることができない子,出ちゃえばどこでもいいんです。シューレさんに行っても,どこに行ってもいいんです。自分の行きたいところに行ければいいんですが,その前の子たちをどうするかということを考えて,今力を入れているのが,全く違う場所に連れて行きたいということで,自然体験を行っています。
  自然体験というのは,対象としては,不登校生とかいじめとか引きこもりになっている子たち,人間関係が非常に不得手な子たち。その子たちは1人になりたくないのに1人になっていて,非常に寂しい思いをしていたり,生きがいや生きる活力が全くないわけですね。こういう子たちを何か社会性とか協調性などを身に付けられないか,生きがいとか生きる力,自然体,愛,五感などを感じることができないか。
  まず第1に,意欲がないその子どもたちを,どうやって意欲を取り戻すかということで考えて,今進めているきっかけづくり。夢,目標など持てるようなきっかけづくりを支援しようということで動いているのが,お手元に渡しました自然体験活動のお話です。
  どうしても,こうしちゃだめとか,こうしなければならないとか,そうしないとだめになるというような考え方から,これがしたいな,できるといいなというものがつくられると,それが意欲のもと,きっかけになると思ったわけですね。脳内物質の話でいえば,ドーパミンとかセルトニンとかが動いていて,その中で前頭葉皮質のほうに,どうやっていくかということでないと,思考力も意欲もわかないわけです。ベータ・エンドルフィンもわかないし,アルファ波もわきません。そのことを与えるためには,何かびっくりするような感動を与えるとか,思い切ったところに連れて行くという方法もあるのではないかということで,6年ほど前から始めました。
  この自然体験というのは,お手元にあるように,野生のイルカにあって泳ぐ,これも環境保護団体のWater Planetというところと一緒にやっているんですけれども,その教育団体と一緒にやっています。
  特に研究しているのが,ADHDとかLD,それから自閉症,それから心に傷を持っている子たちを扱っている団体なので,そのためのノウハウも今一緒にやっていこうということで手に入れようとしております。
  それから,パプアニューギニアのほうもPNGジャパンとか,ニューギニア航空,それから,政府観光局との協力のもとに,新しい感動を与えよう。自然とは何かということを感じさせよう。日本には,全部コンクリートで覆われて,99%以上が,湖沼だろうが,河川だろうが,海だろうがコンクリートで覆われていますけれども,実際の自然の姿を見せてあげるということが,どれほど大切なのかということを考えて連れて行きます。
  実際に,今まで数回連れて行きます。実は,来月も14日からパプアニューギニアに行ってきます。それによって,今年は10年間引きこもっていた女性が元気になりました。今までケーススタディーを集めているんですけれども,全く口をきかない子がしゃべるようになったり,動けなかった子が動けるようになるという形もできます。それから,ADHDで,すぐキレちゃうような子たちが,非常に穏やかになる。
  実は,心の中にそういったものがつくられると,大体キレるというのは15分間でとめられるんですけれども,その15分間をどうやって抑えるかという,きっかけをそこでつくっていければいいかなと思って,今も進めているんです。
  こういう形で自然体験を,もっといろいろなところと結びついて,またはボランティアのほうも,それを出られたようになった子どもたちが,ボランティアをすることによって,人を思いやる心をつくっていけるという形で,新宿では新宿たまパト団といいまして,ホームレスの人たちにゆで卵を配ったり,スープを配ったりするたまパト団というのがあるんですけれども,そういったところに行けるようになったりすると,急に自分の中で自分が役に立つという気持ちがわき上がる。そういった一人一人を大切にしていくという,個を大切にしていくという形で進めていく,これが多分,子どもたちが今の世界,ほとんどがゲーム漬けになっちゃっていたり,チャット漬けになっている子どもたち,大人もそうなっちゃっているのかもしれないんですけれども,そういう子たちを救う道,または意欲を取り戻すことができるんではないかと思っております。
  ちょっと時間が,はしょっちゃいまして,詳しい説明ができませんでしたけれども,大体このくらいにしておきます。

  ありがとうございました。
  また後ほど,協議のところで,またいろいろお尋ねもあろうかと思いますので,そこでまたお話をいただければと思います。
  とりあえず,この時点で御質問ございますでしょうか。
  では,限られた時間の中ですので,また後ほど,御質問も出していただきながら,協議を深めたいと思います。
  では,続いて,NPO法人東京シューレの奥地圭子さんからお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【奥地氏】  最初の予定では10時25分からとなっていましたが,今から15分という感じでしょうか。

  そんな見当でお願いをできればと思います。よろしくお願いいたします。

【奥地氏】  おはようございます。東京シューレの奥地でございます。ヒアリングに呼んでいただきまして,これからの時代は公的,民間,市民一緒に力を合わせて子どもたちのことに取り組んでいくという時代だと思いますので,こういう機会を大変ありがたく思っております。
  私の資料は,時間の節約ということもありまして,資料と話したいこと,全部ひとつながりでやってありますので,飛ばし飛ばしながらですが,見ていっていただければと思います。
  初めに,不登校とフリースクールについての,私どもの基本的な考え方というのを述べておりますが,私も自分の子どもの不登校が24年前,それから,親の会をつくったのが19年前,そして東京シューレが18年目に入るんですけれども,たくさんの不登校の子どもたちと会う中で,4行目にありますが,不登校は問題行動ではなくて,子どもたちが学校との距離をとる必要性が何らかの意味であって,そういう表現をしているというふうにとらえておりまして,不登校を数の上で減らすというよりも,その子一人一人にとって,例えば不登校が,その子の成長に大変いい結果をもたらす,不登校であったほうがよかったという例もたくさんありますし,もう少し不登校というものをとらえ返していくということが大切ではないかと思っております。
  ただし,日本社会は不登校はなかなか否定的に見ていて,学校へ行くことが当然というふうに考えている社会ですので,子どもたちはどうしても否定的なまなざしのもとに,いろいろ,学校でも苦しんだんだけれども,不登校になってからも否定されるという中で,なかなか自己肯定感が持てない,自責感に苦しむというような結果になって,こういった構造を見るということが不登校対策の上で重要かと思っております。
  また,社会の変化も急速にあり,学校のみで成長を考えていくというような時代ではなくて,もっと多様な選択肢がいろいろ必要な状況ではないかと思っております。世界的に見ても,そういうことは多様化の方向に進んでおり,いろいろオルタナティブな教育が広がっているんですが,これは今日,資料として,世界フリースクール大会を2年前,東京シューレの子どもたちが中心になって,たくさんのフリースクールと協力をしながら世界大会を開きましたが,その記録集がお手元にあると思いますので,後で見ていただければと思います。
  そこで,学校復帰を強化するというようなことは,子どもを追い詰めるので,私どもは,子どもたちの意思を尊重する,これが大変大切であると思っておりまして,3ページ目に,フリースクールも1つの道として機能しているというようなことを述べております。大体,フリースクールで,子ども主体でやっていくということが,公教育にも何かのヒントになるような可能性も持っているのではないかと考えて,今日のレポートをさせていただきます。
  今日は,ヒアリングの項目が示されておりますので,たくさんのいろいろな話をしたいところなのですが,それに沿って,もう少し申し上げます。
  東京シューレの今の概況については,緑のパンフレットがお手元にあると思うんですが,これを開いていただきますと,東京シューレの,今3つのスペース,大学も入れると4つなんですけれども,そのような場所でやっており,事業としては,フリースクールの運営,これが3スペースで行っています。また,家庭で育っている子の応援ネットワークとしてホームシューレという事業と,それから,若者による知的な探求の場づくりのシューレ大学と,3つあります。そして,相談とか研修とか,引きこもりの20歳以上の方の支援とか,いろいろなことをやっていますが,今は通いのフリースクールに限ってお話をさせていただきます。
  もとの資料に戻りまして,3ページ目の,対象児童・生徒は,受け入れ方針としては,小学校1年から18歳までで,20歳中いられる。入会の条件は,唯一,子どもの入りたいという意思があれば,どんな子も受け入れております。
  そこで,(2)の受け入れる子どものタイプですが,いろいろな子が入ってきており,主に不登校なんですが,そのまた子どもたち個々はいろいろで,先ほど英明塾からあったように,かなり重なる点があります。非行的な子ども,保護観察中の子どももいますし,それから,ちょっと表にしてみましたが,障害等を持つというふうに医者や教育相談所や,いろいろなところで判定されて,やってきているという子どもが,そこにあるような数に上っております。
  それから,4ページ目を見ていただきますと,精神医療にかかっている子どもたちの数が,今だんだん増えていると思いますが,そこにあるように相当数おります。
  現在の子どもの数は,大体これは3スペース一緒にした数なんですけれども,全部で211人のうち,小・中学生が半分,義務教育以後が半分という感じになっております。その表には,入会時の学年,現在の子どもたちのを調べてみたんですが,大体小学校で入ってくるのが83人,中学校で入ってくるのが102人,中学校卒業後に入ってくるのが26人という感じになっております。
  職員数については,そこに述べてあるとおりです。
  そして,指導・支援の状況なんですが,指導方針としては,そこにあるように,子どもたち一人一人の自己肯定と,将来への自己実現ということで,いろいろな学びや体験を本人の関心や意欲を大事にしながらやっていっております。
  シューレの資料というのが別にあると思います。これは全く,親の方に出しているもので,親の方は,これを学校等に出しておられますが,3ページを見ていただきますと,私どもが特に指導の上で大切にしている5つの柱が述べてあります。
  居場所であるということ,それから,「やりたい」ということを大切にするということ,それから,子どもたちの自己決定です。別名で自由というふうに言います。自らに由る決定という意味ですが,それを大事にするということ。それから,子どもの場をなるべく子どもたちの力でやっていく,自治とか子ども参画ということを大事にしているということ。それから,個の尊重ということで,違いを大事にしていくということ。それらを柱にしながらやっておりますが,具体的には,ビデオを見ていただいたほうがわかりやすいかなと思いますので,ビデオ上映を,ここでちょっと短い時間,お願いいたします。
  このビデオは,15分くらいのものをピックアップして縮めたものですが,ご覧ください。
(  ビデオ上映  )
??  ここまでです。
  ほんの1分,付け足させていただきます。
  6ページ目に,では,このようなやり方で,具体的な成果は何だろうということで,まず言えるのは,生き生きと子どもたちが活動していることそのものが成果ではないかと。そこにありますように,腹痛や頭痛がどうしてもとれなかったというのが,フリースクールに来て全くとれちゃった。それから,学校では笑わなかった,荒れていたという子が非常に心が和んでいるとか,よく笑っているとか,そこにあるように,様々な子どもたちの姿そのものが成果ではないかと思っております。
  それから,進路のことについては,どんな様子かなということを7ページ目に表にしてありますが,いろいろ自分ながらの道を見付けている。実際の学校復帰については進路で,進学するということも含めて4割ぐらい,それから,アルバイトその他,たくさんの進路が見えます。私どもは学校復帰だけが成果をあらわしているとは考えていなくて,学校復帰も成果の1つであり,それから,自分に合った進路選択をやっていけるということが大事であると思っておりまして,そこの表にあるように,フリースクールが,特に義務教育が終了した後の教育やサポートの具体的な選択として,社会的に大変意味を持っていると思います。その辺はずっと飛ばしまして,後で見てください。
  それから,9ページ目には,学校再選択についてどう考えるかということ。それをまた,大変意味あるものとしてやっている子たちも,いろいろいるということ。
  それから,子どもや親が,利用者の満足度ですね。これをあらわすような文章が,いろいろそこに述べてあります。
  そしてそれをずっと飛ばしていただいて,15ページから,私たちが課題と思っていること。これは,特に経済的な側面,それがいろいろなことに響くわけですが,16ページに財政状況,固定費がいかに高いかという表を示しておりますが,もう少し,東京シューレはSSPも対象にしていただいていないのですが,公的な支援の道が開かれたら,子どもたちにとって大変いい結果がもたらせるだろうと思っております。
  17ページには,その他の要望として,特にフリースクール側から公共施設の割引・無料化とか,廃校の利用とか,それから,18ページ目に,通学定期をもっと高等部に使えるようにならないかなということで,今運動中ですが,そういった問題とか,それから,公的支援の導入の例,5として,韓国のHAJAセンターというところがあるんですが,別添資料で付けてありますが,公的な,ソウル市のお金が入って,オルタナティブな場がつくられると,どんなにすばらしいところができるかなどというのも,1つのモデルになると思いますが,こういったことを私どもとしては希望しているということで終わりたいと思います。ありがとうございました。

  ありがとうございました。
  では,先ほどの川合さんと同じで,後ほどまた協議も深めますが,この時点で御質問がございましたらどうぞ。

  後ほど,またお時間をとっていただけるそうですけれども,この資料の「はじめに〜不登校とフリースクール」,この一番下のほうに,「学校復帰については,その子の意志が尊重されるべきであり,学校復帰を強化する指導は,子ども達を追いつめる」と,そういうお考えもあるかと思いまして,実はフリースクール,いろいろある中で,学校は絶対によろしくないというお考えの方も,かなりいらっしゃるんですね。「学校に行かなくなったら赤飯をたきましょう」という著書まである人もいるんですね。そういうことについて,東京シューレさんとしては,どういうようにお考えなのかということだけ,まずお伺いしたいと思います。

【奥地氏】  学校否定ではないというところを,その前に書いてございますが,私たちは,学校をひっくるめて絶対によろしくないという考えでは全くないんですね。学校は社会の中で大切な教育機関であり,また,貴重な税金が使われて,子どもたちの学ぶ権利が保障されるためにつくられているところですから,それが子どもたちにとって大変楽しく,いやすく,自分を発揮できるような場として機能していく。そのことが大変大切だと思うんです。ただ不登校をしたというところで,もう1つ考えると,何らかの事情で学校と距離をとるいろいろな必要,そこがあって,そういうふうに子どもたちがしているというときに,やはり,あなたは学校に行くべきなんだよというふうに,その方向が示されたり,中には大変強制されたり,それから,それを期待されたり,もうその道1本しかないというところが,子どもたちにとって,やっぱり苦しむ源になり,それから,学校へ復帰すべきなのに,自分は今学校に行っていない,あるいは行こうと思っても休みが多くなる,そのこと自体が,自分がだめな人間であると思ってしまう価値観のもとになってしまうので,私どもは,子どもたちの意思を尊重する,子どもたち自身がいろいろなことを全身で感じ,あるいは心で感じ,あるいはもう生理的にいろいろな状況がありという中で,自分がどうしたいかというところが最も大切である。それを,やっぱりちょとおいておいて,学校へ復帰すべきだろうというところでやってしまうことは,私どもはもう20年以上かかわっておりますから,私自身も自分の子どもが不登校になったときに,学校に行かそうとして,大変苦しめてしまったという苦い経験がありまして,そういった学校へ戻るべきであるというところを,子どもの意思でやっていこうという意味でございます。

  ありがとうございます。
  では,学校否定ではないというのは書いてあるとおりですということですね。
  実は,森田先生のほうでおやりになった調査に,不登校になって後悔があるかどうかという点で,学校に行けばよかったという後悔をしているという人が,かなり多いというデータが出ておりまして,私どもも,すべて学校に戻ればいいということを考えているわけではないんですけれども,やはり,その子の将来の社会にどう参画していくかという点では,知識と同時に,学校も1つの社会という考え方で,社会に出る一歩として必要だろうという点を非常に強く感じているわけなんですけれども,その点,社会に参加していらっしゃる方もたくさんいるという御紹介で,非常に安心をしたといいますか,それがどんどん増えていけばよろしいなということなんですけれども,ぜひ,後々,後悔のないような生徒さんに育てていただくようにということでお願いをしたいと思います。

【奥地氏】  一言だけ。行けばよかったという後悔になるのは,私たちの社会が,いかに不登校した子どもたちを,あまり理解しなかったり,冷たかったり,生きやすくはなっていない。生きていくことができやすくはなっていないということをあらわしているということで,不登校になったことを,もっと自己肯定できたり,それから,社会の中で生きていきやすいということがあれば,違うと思います。東京シューレは非常に輪が大きいということもありまして,それがやりやすいんだと思いますが,学校に行くことのみが社会に出る一歩ではなくて,いろいろな一歩があるということを体験しております。

  ありがとうございました。
  ほかによろしゅうございましょうか。
  ちょっと御紹介させていただきますと,本日,御欠席の委員さんから,もし出席であるのだったら,次のような質問をしたいので,そんなことを御検討くださいという御連絡をいただいておりまして,その中にも,これは奥地圭子さんに対して,学校の存在を否定する立場ではないとのことですけれども,これについてのお考えをもう少し詳しくお教えいただきたいということであるとか,ただいまの学校復帰について,強制というようなこととどういうふうに関係するかということの御質問とか,その他いくつか出ておりまして,これは委員の方々にも知っていただこうと思って,今申し上げているんですが,私のほうで,後ほど,また協議の中で御質問も出て,協議を深める中で,少し,御欠席の委員さんの御質問も御紹介しながら,織り込みながら協議を進めさせていただこうと思ってますので,御承知おきいただきたいと思います。
  では,また後ほど,御質問もまじえて協議を深めることにしまして,次に,相模湖フリースクールの月岡照夫さんから御発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【月岡氏】  皆さん,おはようございます。年中,こういう格好をしていまして,風邪を引いても,こういう格好が好きで,ちょっと声が悪いんですけれども,ふだんはもうちょっといいです。
  私のところは,概要にも書いてありますけれども,定員が15名という非常に小さなフリースクールで,スタートして今年で7年目のところです。
  それで,規模としましては,40坪ほどの相模湖駅前といいましても,ほんとうにちっちゃな町なものですから,そこのビルの1階,40坪を借りまして,大体5つぐらいの部屋でできています。
  その1つが,アトリエ兼卓球所ということで,これが一番広い部屋で,年中,いつでも卓球ができる。
  それから,運動につきましては,後ほど,ちょっと詳しくお話ししますけれども,火曜日と木曜日と金曜日の午後は,相模湖町の教育委員会さんのほうから,格安にグラウンドを貸していただいてまして,これは定期的に1年中やっています。夏でも冬でも,野球場が2面ぐらいとれるグラウンドなものですから,そこでほんとうに少ない人数なんですけれども,いろいろ工夫しながらやっています。
  それから,部屋としましては,次に大きい部屋が学習室がありまして,ここは私どものほうはスタッフも非常に少ないものですから,コンピューターも利用した完全個別指導ということでやっています。そのコンピューターが全体で学習室に10台ありますので,かなりのスペースをとっている。
  それから,それ以外には,テレビを見たり,ゆったりする部屋ということで和室と洋間が別々に1つずつ。あとはミーティングするための部屋ということで,大体そんな部屋数でできています。
  そういうこともありまして,定員が15名,それぐらいのところで,のんびり過ごせるようにということでやっています。
  それから,もちろん,先ほどお話ししましたけれども,相模湖までは,駅からちょっと坂を下りますと,湖畔まで4,5分で出れますので,それから近くに山もありますので,そういうのをひっくるめまして,一応,スクールとしては設備といいますか,利用できる場所と考えています。
  私ども,基本的な考え方というのは,これはいわゆる日常生活の中で達成感と満足感を繰り返し味わおう。そうすることが次のステップを踏み出すエネルギーを蓄積するんだという,この考え方一本なんです。あまり難しい考え方は何もしてませんで,ひたすら設立したときから,それが私の考え方でもあるし,私が自分が生きてきたことを振り返ってみると,やっぱりそこが全部じゃないかなということで,私は別に教育の専門家でもなければ,精神科関係の医師ですとか,そういう専門的なものは何もありません。後で略歴を見ていただければ,何かいろいろなことやってきた男やなと思われるでしょうけれども。ですから,僕のところはそれだけなんです。
  具体的に何なのかというと,例えば,勉強するときでも,やっぱり子どもたち見ていますと,簡単な問題が解けたときは,それはそれなりに,わかった,できた,うれしいという表情をしますよね。やっぱり難しい問題になれば,大変だけど,できた,うれしいという感じがあるわけです。
  それはスポーツでも言えることでして,たまたま私は高校,大学,社会人と野球をやって,今でも現役なんですけれども,少年野球出身の子どもたちなんかも不登校にはもちろんなるわけですね。元気な子がならないなどということはないわけで,例えば,そういう子どもたちでも,めちゃめちゃうまい子と,全く野球をやったことがない子が一緒にやるわけです。全く野球をやったことのない子で,ちょっと具体的に話しますけれども,例えばキャッチボール,私のところ,一応,軟球を使っていますから,やっぱり球を受けるというのは,球に対する恐怖感がありますから,結構難しいんですよね。
  すると,どうやって教えるかというと,まず,とにかくグローブをこの辺に置かせるわけです。距離としては,荒井先生ぐらいの距離から,そのグローブをそこに置いたままのところに,ポンと何度も入れてやるわけです。すると,ボールがグローブの中に入ったという感覚,これすごい大事なんですね。今度は,それを結構長い間やるんですよ。1日でそんな感覚は身につきませんから。でも,子どもに聞いてみると,とったと言うんですよね。実は,何もしていないんです。ここにグローブを構えているんですから,僕が入れたんですけれども,でも,子どもにとってみたら,とれたという感覚。
  今度は,また少し日にちがたって,ずらすんですね。ずらすというのは,ボールを投げる位置を。すると,とれないわけですよ,動かさないから。そのときに,ちょっと動かしてご覧というところで,ちょっとずらしたあたりに,また投げてやるわけですね。
  それを繰り返して,距離をだんだんとり始めて,今度山なりのボールで,顔には当たらない。だから,少し前に出してご覧ということで,山なりのボールを投げてやると,いわゆる捕球したという感覚。
  それがだんだんできるようになってきますと,今度は,グローブというのは,ほとんど,野球の場合,ご存じの方いっぱいいると思いますけれども,立てて使う場合が圧倒的に多いんですね,グローブというのは。こう使うか,こう使うかね。ですから,その感覚をつかませるので,この辺に構えさせるわけです。顔のあたりに構えると怖いですから,この辺に構えさせて,今度またボールを投げてやるんです。今度は山なりじゃないわけです。これは山なりのボールをとれますけれども,グローブを立てたら,山なりのボールは受けれませんから。それで,顔の近くに何度も投げる。この辺に投げて,すると,感覚的に入ってくる,わかるんです。今度ずらすんです,それをまた。
  そういうことを,まだまだお話しすると,たまたま,私,野球かなり詳しいので,そうやっていろいろな指導というと1時間以上かかっちゃいますから,この辺でやめます。
  そういうことの中で,子どもたちは,できた,やったという感覚があるんです。
  魚すくいも年中行くんですけれども,3月から10月ぐらいよくとれるんですけれども,台風の後なんかですと,一網で4,50匹,稚魚がとれますから,まさにやったーという感じなんですね。
  じゃあ,これから冬場になるとどうなのというと,冬場になると,やっぱり5,6人で出かけても,1時間ぐらい寒い中でやっても,5,6匹とか,日によってはゼロということがあります。少ないときは少ないときなりに,やっぱりとれた。とれるとうれしいですよね,魚。単純な話なんですけれども。とれた,うれしい。
  じゃあ,とれなかったときは失望するのというと,そんなことないんです。湖まで下っていって,一生懸命やってみて,網を何回やってもとれない。また,今度は逆に,坂をのぼってスクールに帰ってくる。その行動自体が結構,湖まで,とにかく行って帰ってきたという,そこに,やったとか,行ってきてうれしいんです,やっぱり。気持ちいいですもの,湖まで歩いて行って帰ってくると。
  だから,そういう非常に当たり前のことといいますか,ふだんの日常にあるようなことの中で,そういうことを味わってもらうというのが,僕の基本的な考え方なものですから,スタッフもそんなにいないということもありまして,いろいろなことをやりたいといっても,やれないということもあるんですけれども,基本的には,人間,生きるなんてことは,そんなドラマチックなことばっかりの連続とか,ショッキングなことの連続とかというのではなくて,割合日常的な中で,達成感と満足感,繰り返し,そして感謝の気持ちを持ってやっていくというか,そういうところを子どもたちにわかってほしい。
  結局,達成感とか満足感て,繰り返し味わっているうちに,エネルギーがだんだん蓄積されますよね。より大きな問題とか,その前に,今までだったら逃げていたようなこと,でも,それを乗り越えて,次のことをやったら,きっとすごいだろうなと,達成感とか満足感が。そういうことを味わわせるということを,ずっと続けているわけです。
  その結果として,いろいろな考え方があるんでしょうけれども,今日,皆さんのお手元にS・F・Sデータというのを置いてあるんですけれども,手書きのものなんですけれども。今日の会議の資料を,きのう読んでいまして,何か数字的なものを少し用意しなきゃというので,慌てて持ってきたので手書きになっていますけれども,それの3枚目を見ていただくと,先ほど,奥地先生のほうで,フリースクール出た後,どうするんだという。私のところは,平成8年5月の開校から現在まで,中途退会も含みますけれども,45人の生徒がフリースクールを通過していったわけですけれども,その中で,いわゆる進学(中学・高校)時での学校復帰というのが30名,それから,学年の変わり目での学校復帰が8名で,全体の中の84.4%が学校に戻っている。それで,それ以外に就職した者が2名,これは大人の会員も私のところにいますので,中学を出て就職したというのは1名です。それから,退会したのが5名で,この退会は,時間がないですから,何か聞きたかったら内容をお話ししますけれども,神経性の疾患があった方なんかでお預かりした場合に,やっぱり通ってくる途中で無理だとか,フリースクールまで来ちゃえばいいんだけれども,途中が怖くて,電車に乗れないとかということで,結局,難しくなったという例とか,それから,普通のお子さんでも,この5名の中の2名ぐらいいますけれども,それはあまり詳しく話している時間がありませんので。
  それで,男女比は,どちらかというと男の子,先ほどお話ししたような,割合,しょっちゅう動いているようなフリースクールですから,大きくは動きませんが,年中,こちょこちょ動いているフリースクールなので,あと,スポーツが定期的にできるということで,男の子がやっぱり多いです。今まで見ますと,男の子が,現在の在校生も含めて65%が男の子で,35%が女の子,大ざっぱに2対1ぐらいです。
  それから,今までの構成では,小学生が21名の37.5%,中学生が31名で55.4%,高校生というのは1人しかいませんので1.7%,成人3名というようなことです。
  それから,先ほどもちょっとお話しあったんですが,いろいろ障害のある方,軽い知的障害ですとか,神経障害だとか,LDですとか。そういう関係の方が今まで12名いましたから約2割,そういう方々がフリースクール,私のところに卒業したり,現在でもいるということです。
  これだけ見ますと,何か相模湖フリースクールというのは学校復帰を目標にしているのと,逆に言われそうなんですけれども,そういうことじゃないんです。先ほどからお話ししている,人生というのは絶対に,僕は,どんな大きなことでも,小さなことでも,毎日,ちっちゃなことでいいんですよ。計算問題1個解けたって,うれしいんですから。できて楽しいんですから。そのときに,そう思えるというか,楽しんじゃうんです,人生,やっぱり。ほんとうに日常生活の中で,いくらでも楽しめることがあるんですね。コーヒーをごちそうになると,うまいなと言って,飲みたかったというときなんか,すごいおいしい,うれしいじゃないですか。だから,そうやって生きると楽しいんです,人生。そうやってやろうぜというようなことしか言ってませんけれども。
  じゃあ,何でみんな,これだけ多く学校に行っちゃうのというと,私のところ,さっきからお話ししていますけれども,ちっちゃいんです,スクール。やれることも限界があります。そうすると,例えば絵が好きな子というのは,虫の絵を描いたりしているんですけれども,そのうちフリースクールのおっちゃんが教えてくれる絵のレベル,一応,私も絵描きでプロなんですけれども,でも,おっちゃんの言っているのは,油絵の世界でいうと,どうもあんまりよく知らんな,このおっちゃんはというので,油絵も描くんですけれども,専門的に油絵をやったことはありませんから,やっぱりそういうところで,もう少しちゃんとできそうなところに行きたいということで,芸術コースのある高等学校に行っている。今もう既に大学まで,武蔵美まで行った子も,卒業生の中にいますけれども,結果としてそれなんですね。
  ちっちゃくて,確かにいいんだけれども,学校には,やっぱり学校ってでかいし,友達もいるし,設備もいっぱいあるし,行事もいっぱいあるし,イベントもいっぱいあるし,楽しいことがいっぱいありそうだというのが,やっぱりあるじゃないですか。そういう経験,小さな経験をいっぱい私のところですると。だから,学校に行こうという感じで,何か,みんなそんな感じなんですね。
  学校へ行くときって,わかるんですよ。フリースクールに来る回数がだんだん少なくなって,学校にスライドしていきますから。大体2,3カ月かかっちゃって,スポンと学校に行っちゃいますからね。全然フリースクールに来なくなります。行ったんだなと。
  ですから,決して学校復帰というのを目標にしているわけじゃないんだけれども,そういうことで,たまたま小さい。いろいろなことを楽しんでやったけれども,学校のほうが,もっといろいろなこと,いいことありそうだなと。そんなところじゃないかなと思います。
  以上です。

  ありがとうございました。
  この時点で御質問,何かございますでしょうか。
  では,月岡さん,ありがとうございました。また,後ほど,御質問も出ようかと思いますし,いろいろ教えていただくことがあろうかと思いますが,よろしくお願いしたいと思います。
  ここで,御発表が終わった時点で,事務局のほうから,本日配付していただいた資料等について,確認及び説明をお願いしたいと思います。

  では,資料の説明を,ここでいったんさせていただきます。
  お手元の資料1をご覧いただきますと,こちらに配付資料の一覧がございます。
  資料1が議事次第でございます。
  そのほか,卓上に配付させていただいております,本日の論点メモ案というものもございます。
  それから,資料2が,ただいまお話しいただきましたヒアリング関係資料。
  それから,資料3,こちらが民間施設の概況について。
  資料4,これが民間施設から学校・教育委員会に対する主な要望。
  それから,資料5,これは民間施設ガイドライン(試案)。
  最後が資料6,今後の審議予定(案)ということになっております。
  このほかに,近藤委員のほうから御提供いただきました資料が1枚,それから,本日お越しいただいております東京シューレさんからの封筒に入った資料一式,さらに,今御紹介いただきました相模湖フリースクールさんからのS・F・Sデータという2枚の資料がございます。
  そうしましたら,まず,本日の資料3から御説明させていただきたいと思います。
  資料3でございますけれども,こちらは不登校児童・生徒の原籍校が出席扱いとした実績があります民間施設に対して実施いたしました,文部科学省の昨年11月の調査結果をまとめたものでございます。全国121施設から御回答いただいたものをまとめました。
  1番でございますけれども,こちらは設置者の組織形態でございますが,ご覧いただきますと,個人立のところがやはり最も多く,全体の約3分の1となっておりまして,それに続きまして,「その他」として区分されています医療法人など,3番目に多いのがNPO法人という状況になっております。
  それから,2番目に,スタッフについてでございますけれども,こちらは全体の約半数の施設におきまして,5人以下のスタッフで運営されているところが多かったということでございます。
  それから,(2)番,これは各資格,様々な資格を有するスタッフがいる施設数の割合をまとめたものでございますが,これは複数回答ですが,やはり教員免許,それから,カウンセラー資格を持っている方,臨床心理士などが多いということがわかります。
  なお,すべて常勤ということではないですけれども,医師も1割程度の施設でいるというところでございます。
  それから,3番の運営方針でございますけれども,こちら,各施設が優先する運営方針についてまとめたものでございまして,これも複数回答ですが,自信・自尊感情の育成ですとか,居場所の提供などを最も優先する方針として挙げていた施設が多いということがわかります。
  それから,めくっていただきまして,2ページ目でございますけれども,4番目が,各タイプの子どもを受け入れている施設数の割合でございます。こちらは,例えば,遊び・非行型(怠学)傾向をもつ不登校の子どもについても,半数近くのフリースクールといいますか,民間施設で受け入れているといったデータでございます。
  なお,申し訳ないんですが,ミスで,※のところで,「その他の不登校」,「その他」として区分されているものとしまして,「学力不振,いじめ等」とありますが,「いじめ」というのは間違いでございますので,削除をお願いいたします。
  それから,5番目に,それぞれの民間施設が提供している活動のメニューということで,これも複数回答でございますけれども,やはり多かったのが野外体験活動,それから学校の授業の補習的な学習指導,あるいはスポーツ活動などが挙げられておりました。
  6番目が,宿泊施設があるかというところでございますけれども,「有り」が全体の約3割というところでございました。
  それから,7番目の活動を行うための施設・設備,こちらも複数回答でございますけれども,例えば学習室,面接室,プレイルーム,調理室などを持っている施設が多いということがわかりました。
  3ページ目,最後でございますけれども,入会金あるいは月謝の状況でございますけれども,入会金につきましては,一応,平均というのを出してみますと3万7,881円程度になっていたということでございますが,最低金額は0円,最高金額が75万円ということで,非常に幅広くなっています。
  それから,月謝につきましては,これは施設によって児童・生徒の受入形態ですとか,通所の頻度などに非常に違いがありまして,それに応じて金額の設定の仕方等もばらつきがあったため,平均ということはちょっと出せなかったんですが,例えば,パターンとしまして,通所の頻度によって月謝を分けている例ですとか,通所1回につきいくらという形で加算するパターンなどがありました。
  以上が資料3,簡単に御紹介させていただいたものでございます。
  それから,資料4,こちらが平成13年,昨年12月に文部科学省が実施いたしましたアンケート調査結果でございますけれども,民間施設から学校に対しまして出た意見というのをピックアップさせていただいております。
  いくつか御紹介させていただきますと,例えば,教育委員会や文部科学省が出す指導資料などが,学校の現場で指導に生かされていないという御意見ですとか,あるいは,特に学校の管理職の民間施設に対する理解がもっと必要ではないかとか,学校によっては,民間施設を非常に見下したような対応があるというような御指摘もありました。
  それから,例えば,民間施設に通っている児童・生徒に対し,学校が全く知らないというケースが見られる一方で,学校が継続的にかかわり続けることによって,学校復帰への意欲が喚起されることなども例としてあったので,学校が,自分の学校の子どもであるということを忘れずに対応してほしいという御意見ですとか,あるいは,教員にもっと施設を訪問してほしいという御意見ですとか,学校の不登校の初期段階での対応の不適切さが目立つ。例えば,進学ですとか進級といったことを理由に,学校不信に陥るような,脅迫的な対応もあって,学校復帰が遅れるような原因となっているとか。
  あるいは,もう少し学校の敷居を低く,教師と親が対等に対話できるような工夫が必要ではないかというような御意見がありました。
  裏を見ていただきますと,民間施設のほうから,今度は教育委員会,行政サイドに対する要望といたしまして,例えば,2番目にありますような,学校の教員や保護者と民間施設の指導員が一緒になる懇談会ですとか,あるいは具体的な児童・生徒の事例研究会を設けるなど,連携を支援するような施策を進めてほしいですとか,あるいは次の,民間施設と適応指導教室などの公的機関との情報交換の場をもう少し設けてほしいというような御意見がありました。
  以上,資料4でございます。
  資料5は省かせていただきますが,何度か御紹介いたしております,平成4年の文部科学省の通知の一部でございまして,民間施設に対する,要は保護者,あるいは学校,教育委員会として留意すべき点を目安として示したものでございます。
  以上でございます。

  ただいまの事務局の説明に対しまして,何か質問ございますでしょうか。
  よろしゅうございますでしょうか。

  資料4の「民間施設から学校・教育委員会に対する主な要望等」というのは,これはどこに対して出したアンケート調査でございましょうか。どの範囲までということを。

  都道府県を通じまして,SSPの事業の対象となっております全国36施設に対する調査でございます。

  よろしゅうございますか。

  はい,わかりました。

  ありがとうございました。
  では,これまでの説明を踏まえまして,これから民間施設についての御討議をいただきたいと思います。お手元に,先ほどもちょっと触れていただきましたけれども,論点メモをご覧いただきたいと思います。論議を焦点化するという意味で,1つは,民間施設の取組やその成果等の実態について。それから,民間施設と学校,適応指導教室等との公的機関との連携がどうあるべきなのか。それから,民間施設のガイドラインについて,今,お手元に資料としてもお配りいただきましたけれども,これについて,見直す必要があるのかどうなのか。あるいは,新たに付加すべき点があるかどうか,こうしたことを中心に論議を深めていきたいと思っております。
  では,先ほど質問の時間も十分とれなかったので,口切りは質問からになりましょうか。どうぞ,どなたからでも御発言いただきたいと思います。
  会を進める立場から,あまり発言するのは望ましくないんですが,私のほうから川合さんに1つお伺いしてよろしゅうございましょうか。
  先ほどのお話の冒頭で,やはり,不登校を起こす子どもの実態に,最近はテンポが早くなって変化が見られるというお話がありまして,そのことに触れて,不登校を起こしているお子さんの中に,家庭の深刻な問題を背負っているお子さんがおられるというお話,あるいは,福祉的な対応が重要じゃないかというような御指摘がございます。実は,ごく最近も私,ある会議で研究者の方から,同じようなお話を伺ったこともありまして,そこのところ,もうちょっと詳しくお話を伺えればと思いますが,お願いいたします。

【川合氏】  わかりました。
  例えば,子どもたち1人ずつと,要するに個を大切にすると,先ほどもお話ししましたけれども,大きくしてしまうと,それができなくなってしまう。個を大切にするということでしていくと,例えばの例で挙げますと,先ほどキャッチボールの話がありましたけれども,キャッチボールをする,したい,中学3年生で,もう高校野球に行きたい。でも,本人は1度もキャッチボールをしたこともないんですね。ほんとうにしたことないんです。それでも甲子園に行くんだと言うんですね。その話をしながら,キャッチボールを,じゃあ教えようかということで教えるんですけれども,なかなかできないのは,多分,月岡さんもよく知っていると思うんですけれども。
  そうではなくて,彼の心の中の闇を聞いてみるわけですね。すると,お父さんの悪口がいっぱい出てくるわけです。お母さんがいじめられているという話が,いっぱい出ちゃうわけです。
  これをよく調べていくと,本人は,お父さんとキャッチボールしたいんじゃないか。そこまで行き着いちゃうわけですね。お父さんとキャッチボールをするために,お父さんと話をしました。つまり,お父さんとお母さんの仲が悪かったので,お父さんとお母さんを,毎週日曜日に手をつないで公園を散歩して話し合いしてください。そうしたら,まず,子どもが,お父さんの悪口がなくなっちゃったんです。そのうち,キャッチボールの話もなくなっちゃったんです。甲子園の話もなくなっちゃいました。
  つまり,心の闇の中にあるものが引き出せれば,例えば,いじめだ,いじめだと言われても,そのいじめを,そのまま受け取るのではなくて,何がそこで表現していて,子どもが言っているのか。
  先ほども学校復帰の話が出ましたけれども,子どもの気持ちになっているかどうかという話は,表面的にはあっているかもしれないんですけれども,先ほど,奥地先生の話をちょっと聞いていて,ほんとうに子どもの気持ちわかっているのかなというのが疑問で,パッと通っちゃうんですね。申し訳ないんですけれども。
  どうしてかというと,子どもが言っていることと,やっていることと,ほんとうに心の中にあることが,実はアンバランスになっちゃうわけです。そのアンバランスのところを,どうやってやってあげるかということを,僕としてはやっていきたいと思っているんです。
  ただし,奥地さんのところが,ほんとうにいいところだと思って行く子たちがたくさんいるんですね。行ける子たちはいいんですね。そこに,例えば人が多いところに行ける子たちはいいんです。ところが,行けない子たちもいっぱいいるんです。人と会うことさえできない。電車に乗ることもできない。じゃあ,そういう子たちを,だれが救うのかということでやっているのが,フリースクールにもいろいろな種類がありますけれども,考え方がいろいろあっていいんじゃないか。
  それは,お互いにいろいろな意見を,または反対意見を言い合って,子どものためのことをやっているわけですから,それがなければ,対極がなければいけないし,そのバランスがうまくとれないといけないと思ってやっているんですけれども,僕としては一人ずつの心の闇を聞き出していく。そうすると,家族の問題。つまり,半家族になっている今の時代,時代背景が高度成長時代から,ずっと進んでいって,例えば,銭湯がなくなって内風呂になっていく。公共施設の車に乗らずにマイカーに乗る。それだけじゃなくて,ゲームが始まっちゃうとゲームのみに走ってしまう。ゲーム漬けになってしまうというのは,公共心,社会の中の協調性などが,どこかで取り払われちゃっているのかなと思っています。
  ちょっと失礼な発言をしまして,申し訳ありませんでした。

【奥地氏】  そうですね。発言させていただいていいですか。

  まず,委員さんの方のほうが何か。

  奥地先生,どうぞ,また後で,今のお答えについては,お答えいただきたいと。
  ちょっとここでお尋ねしたいんですが,今日のテーマは,ある意味で民間施設,学校,それから適応指導教室との,公的機関との連携の問題。それぞれの今お三方の御報告,それぞれの施設の特徴は,私どもよく理解できて,大変参考になる面があるんですが,それぞれの施設,非常に特色がございます。学校側からというよりも,まず1つは,川合さんとか,奥地さんとか,月岡さんのところへアクセスしてくる。そのアクセスが,先ほどおっしゃったように,川合さんのところは,かなり非行タイプ,あるいは遊び型という従来の,あのカテゴリーがまず最近増えてきている。文部省統計では減ってきているんですね。このあたりは,やはりされる方の特性といいますか,こういうものがずいぶん,それぞれの施設によってあるんだろう。
  そうしますと,施設側からご覧になって,うちの施設はこういう特徴を持っているんですよという意味じゃなくて,いわゆる学校側のアクセスの仕方といいますか,アプローチの仕方,あるいは不登校になった方々,あるいは保護者の方々からのアクセスの仕方というのは,それぞれの施設によって少しずつ違うだろう。そういうアクセスの仕方について,いわゆる学校,あるいはこういう公的機関等への,何かそれぞれの中でお感じになっている要望等を,そういうものがございましたら,ちょっと御紹介をお三方にしていただきたい。
  それから,そこから逃げると言っては失礼なんですが,うまく合わない,マッチングしない。今,お話を聞いたのは,受け入れた方々の特徴なんですね。だけど,来て,あ,これは僕はだめだよという方々もいらっしゃる。そういう中での,何かそれぞれの施設でご覧になった特徴といいますか,こういうものをお教えいただきたい。
  それから,その点を含めて,奥地さんに,基本的な立場は,ある意味では,公的な教育,いわゆる学校に関しても,いろいろと御参考になる点といいますか,そういうものを提供したいというお気持ちも施設としておありだろうと思います。そうしますと,そういう今の奥地さんのところから見られて,こういう学校との連携の在り方の中で,奥地さんのところの東京シューレからご覧になって,どういう要望なり,あるいは連携の仕方というものへの期待といいますか,希望というのはおありになるのか。おありになるとすれば,ちょっとその点もお聞かせいただきたいという具合に思いまして,つまり,御参考になる,活動の中から,こういう点は参考にしたいので,こういう連携の在り方というのはどうなんだろうというような御提言があれば,お伺いしたいと思いますが。
  以上でございます。

  3人に,今のことについてお尋ねしますが,委員の方々から,今の,お三人,それぞれこれからお話しいただきますので,関連して,こういうことも付け加えてというようなことがございましたら出していただいて。お願いいたします。

  非常に経済的に厳しいというお話があったんですけれども,その中で非常に個性的な活動を,それぞれ3つの施設ともすべて行われているということ,すごく感銘したんですが,例えば,受講生の授業料というか,経済的な負担はどれぐらいなものなのか。それから,行事なんかの負担はどうなのか。それから,できれば,ほかから補助等があるのか否か,その点もぜひ付け加えて。ただ,これはちょっと教えにくいことがあるかもしれませんので,話できるところで結構ですので,ぜひ付け加えていただければありがたいと思います。

  あまり注文がたくさんだとお話ししにくいでしょうから,その辺にして,御欠席の委員さんからも,ちょっと関連する質問がございましたので。では,川合さんから,お願いしてよろしいでしょうか。

【川合氏】  論点がずれちゃうかもしれないんですけれども,うちの塾のフリースクールとしての,まず経済状況からお話しします。
  月謝は自己申告制です。ですから,払えない人は払いません。払わない人も払いません。払える人は払ってくれます。前払い,後払い,オーケーです。1年に1回しか来ない子もいます。与那国島から来る人もいます。全国から,相談,メールなどは全世界からというか,全世界というとちょっと大げさですけれども,留学している子たちとか,向こうで働いている人たちからも相談は来ます,子どものことでとか。そういったものは一切いただいてません。いただいているのは,通ってきている子たちだけの月謝で行っています。
  行事などは,大体,今度のクリスマス会は,小学生がやりたいということで,小学生が企画していますから,行事参加が1人,中学生以上が200円で,小学生が100円だと思います。それ以外は,フリーマーケットなどをした利益を使って,飲み物とか食べ物などに使っております。
  フリーマーケットとかそういうのは,ボランティアセンターともつながっていますので,今年は『月刊福祉』のほうで,社会福祉協議会のほうの本なんですけれども,初めてフリースクールのことを取り上げていただきましたけれども,ボランティアの分野も,福祉の分野も,また,フリースクールの中には,学校法人から福祉法人に変えちゃうところもありますから,そういう意味では,福祉の分野もかなり入っていくんではないかなと思われます。
  僕自身が考えているのは,お互い,みんな違っていて,違っているのが認め合う。違っていることを認め合うことが平等だ。違っていることでいいんだ。違っているからこそ平等だから,1人ずつがそれでいいんだよ。ただ,守るものは何かといったら,マナーとエチケットとモラル,この3つは守ろうねというのが合言葉なんですね。それ以外は一切ルールはありません。ですから,先ほど,ちょっと失礼なことを言ってしまいましたけれども,実は子どもたちが感じたりするのは,それで自由でいいかなと思っているだけのことなんですね。ですから,そんな意味深いことで言ったわけではないので,この場を借りてお詫びします。
  あと,何でしたっけ。アクセス。うちに来る子どもたちの多くは,いろいろなフリースクールや,いろいろなところに行って,最終的に来る子たちが多いんです。あそこもだめ,ここもだめ,あそこの病院もだめ,あそこのお医者さんもだめ,クリニックもだめ,あそこのカウンセラーもだめという人たちが来ることが多いです。それ以外は,感覚的にうちを選んでくる子たちが多いです。
  例えば,今日も資料をほとんど,うちは出してないんです。うちのことが書いてあることは一切出してないんです。パンフレットもありません。実際に,うちに来て,僕と話をして,ほんとうに気に入るかどうか。それまでは一切お金取らないので,今,1年間来ても,まだ一銭も払ってなくて,まだ入るかどうか決めてる子もいます。そういう子たちもすべて受け入れていかないと,1人ずつに対応できないと考えております。
  ですから,うちに来ている子の多くは,いろいろなところを回って,うちに来る子。それから,やっと外に出られた子が多いです。その子たちが,うちでいやされたり,何か話を聞いたりして,人の中に入っていける。でも,すぐには入っていけない。そうしたら,近くにシューレさんあるよ,あそこに行ってみなといって,行ってもらっているんです。何人も行ってます。要するに,自分に合えばいいんです。
  なかなか人に会えない子もいます。そういう子たちは,うちでなれるまで,または電車に乗れるまで,バスに乗れるまで,うちであずかって,少しでもそれができるように。それから,メールで「助けて」があれば,いつでも,すぐ返事をする。今,手首切ってるんだけど,どうしよう,痛いよ。入ってきたときに,即答えるということを,今続けていますけれども,年が年なんで,体力的にかなり今苦しいところもあります。あと何年できるかわからないんですけれども,借金は,今のところ累積が4千万か5,6千万あると思いますけれども,多分,全部つぶれちゃうまではやろうと思ってます。

  学校からのアクセスの仕方についての何かこう,御要望とか,そういう連携の。つまり,学校からの施設へ連携のとり方の,アクセスの段階では何か御要望ございますか。

【川合氏】  学校からのアクセスの場合は,ほとんど,来た子どもたちの担任,あるいは教頭,あるいは校長が,こちらへ連絡が来ます。大体8割ぐらいが来ます。残りの2割は全く連絡ありません。その多くは,よろしくお願いしますと言われます。全部お任せしますというふうに言われます。
  それから,一番問題になるのは,学校と親との,学校を拒否してしまう親が増えているわけですね。自分が育ってきた環境が,ちょうど学歴偏重の時代だったりしてますし,そのときの,自分の育ったときに,学校の非常に縛られた状況を思い出すのかどうかわからないんですけれども,学校に不信を持っているお母さん方が多いんですね。そういうお母さん方の場合は,お母さん方と話をしている間に,学校とのコンタクトができないか。要するに,スクールソーシャルワーカー的な形でもかかわります。
  そうすると,例えば今まで全く拒否をしていたお母さんが,担任の先生に連絡をとったり,教科書をもらいに行ったりはするようになるんですね。それは,パイプ役になっているだけで,僕自身が何かやっているわけではないんです。その一つ一つが,そのお母さんにとって,今まで悩んでいた,苦しんでいたものがとれればいいなということでやっています。
  ですから,パイプ役でしかないかもしれないんですけれども,そういうアクセスの仕方を今のところはしております。

  ありがとうございました。
  では,奥地さん,お願いいたします。

【奥地氏】  私たちは,子どもたちが自分で学校に行きたい場合には,学校に行けばいいし,学校へ行きやすくする応援を周りがすべきだし,それから,今は学校に行きたくないとか,行きにくいとか,行こうとしても,それに無理があるというときには,無理に学校へ行くんじゃなくて,家庭にいることも含めて,いろいろな成長の仕方をしたらいいんじゃないか。また,それに対する応援が,やはり必要なんじゃないかというような立場ですので,子どもが決めていくということが基本だろうと思っているんですが,その中で,子どもたちは,私の子どももそうだったんですが,親が学校に行ってほしい,学校の先生も学校へ来てほしい,友達も誘いに来て,学校に行こうよ,行こうよという中では,明日,どうする,と聞かれると,行きたいと言うんです。でも,その行きたいという言葉は,行かねばならない。行ったら,すべていろんな人の心配や不安が解消される,僕はみんなに心配かけていて悪い,それがうまくいくという,「行かねばならない」の「行きたい」であることが多いわけです。
  そういうふうに,これはほんの一例ですけれども,子どもの言葉の表面ではなく対応していくということは,私どもは20年前から子どもたちから学んで気が付かされていまして,あらゆることは,子どもを信じないという意味ではなくて,さっき英明塾さんがおっしゃったように,子どもたちがなぜそのような表現になるのかというところをやっぱり深くこちらがキャッチして対応していく。私どものところにはたくさんスタッフがおりますけれども,これは子どもの人数が多いというところで,スタッフも多くせざるを得ないわけですが,だから一人一人に対応できないだろうかというと,そんなことではありません。また,私どもは,3スペースありますが,それは大小様々です。ですから,東京シューレの中でも,自分に合ったところを動いていく,これもまた子どもたちが選べばいいと考えています。それから私どもは,学校が絶対化されることがよくないと同じように,フリースクールも適応指導教室も,すべてのところが絶対化されてはいけないと思います。ですから,東京シューレのみがいいなどとは全く思っていませんで,東京シューレに合わない場合もあるし,それから東京シューレに行きたいのだけれども,例えばもっとほんとうは家でゆっくり休んで,充電して気持ちが軽くなって,人への怖さも少し減ってくればいいけれども,あせって,あるいは親のほうが,学校に行かないのだったらシューレさんへ行きなさいよといった形で,子ども自身が行かねばならないのかという自分の気持ちとは違うところで見学に来た場合には,私どもは子どもたちの気持ちや子どもの動きでわかります。
  それで,非常に重要なことなのですけれども,入会の条件は子どもの意思が大事というところでやっているわけですから,受け入れる子どもたちの話をおっしゃったとおりさせていただいたのですが,東京シューレに今,来ない,来たくないということも全くあり,で,それは否定されることではなくて,それでいいんだよと言います。むしろ無理に来ようとしている子がいると,無理に来なくていいんだよと。でも,お母さんが「行きなさい。」と言う,と。「じゃ,お母さんに話してあげるよ。」と。あなたの気持ちでやることが一番人生にとって大切なんだよ,というふうにして帰ってもらっている例もあるぐらいです。そこのところは,いろいろあってよいというところを,特に子どもが主人公になって考えたり,自分を確かめたりしていくことが大事であろうと思っています。
  そして,学校のアクセスの仕方で私どもが一番願っているのは,情報提供がもっとなされていいのではないかなということを日々感じます。と言いますのは,やってくる子どもたちが,ああ,もっと早く学校以外にも行くところがあるんだって知ってたらなあと。ほんとうに苦しかった。これはいろんな事情がありますから,学校へ行かない,行けないということは私どもはとても,ああ,それはそうだろうなとよくわかります。だけど,学校へ行かねばだめだ,もう人生はおしまいだというふうに思って,大変苦しんでいる。それから僕のような人間は1人なんだと思っている。でも,知ってみると,ああ,何だ,もっと早く知っていればよかったなと,もっと気持ちが楽になれたのにとか,僕だけじゃないんだとか,みんな学校に行ってないけれども,ずいぶん元気にやっているじゃないの,じゃ,僕もおかしくないんだとか,ずいぶんたくさんのプラスの要素というのがそこでいろいろ広がっていくわけです。もう少し学校の中のみ,あるいは公的な適応指導教室までのみ,みたいなことをしないで,一緒に先生方が考えられて,いろいろありだよと,そのいろいろありの中に,先生方も研修を積まれて,今,ずいぶんいろんな不登校の子どもたちを応援するところって増えているわけですから,そういうところにあまり違和感,拒否感を持たないで,知っていただいて,お子さんによって,何か紹介するとか,先生も一緒に見に来ていただくとか,そういうふうなことが,私はもっともっと行われたらいいかなと思います。
  それから,やはり学校の先生方と,私たち民間側が,もう少し先生レベルでもいいですし,ときどき私も学校の中で話をさせていただくときに,子どもの声を聞いてみたいということで一緒に行ったりもしますけれども,ほんとうに不登校した子どもたちの声とか,それから民間側のどんなことをやっているのだろうかということを,直に交流し合う機会というものももっと増やしていただくと,先生方も肩の力が抜けて,ああ,いろいろあっていいんだなというふうに役に立っていくのではないかなと実感しています。
  そして,私どもが大変大事だと思っているのは,親の学び合い,支え合いなのです。これは,私自身も親の1人ですけれども,私どもは非常に裾野広く,東京シューレで毎月やっている親の会,これは種類を違えて5つぐらいあります。それに全部かかわっておりますけれども,子どもにとって不登校の原因が何であれ,親が理解し,親が信頼できる関係,親も子どもを受けとめられる関係,これは非常に重要で,そこのところを私どもは非常に,親の会があったがゆえに,日本の不登校の問題がずいぶん深刻化が防げた例はずいぶんたくさんあったと思います。
  具体的な例を申し上げる時間が今,ないのですけれども,そこで,学校の先生方や教育委員会の皆さんも,親の会にもう少し積極的に出ていただいたらどうかなと。何人かの方はお越しいただいているのですが,親と一緒に考えていくというところをもう少し増やしていただくと,お互いの理解とともに,もう少し親も学校への信頼感を取り戻したりできるのではないかなと思っています。
  そして経済的なことですが,東京シューレの資料の56ページに,私どもの経済的なことが書いてあります。私どもは,NPO法人ですので,総会ですべてを決めていきますし,NPOになる前から父母会で全部決めていたのですが,全部経理をガラス張りにしまして,何がどのぐらい要るということの中で,この線が出ています。正会員が4万5,000円,そのうち消費税とビルの更新料の積立が合わせて5,000円入っていて,実質4万円です。これは毎日朝から夜まで,学習と様々な体験,相談,いろんなことを含めてです。準会員の制度もつくっていまして,数少ない利用の方は3分の1というふうになっていまして,この費用について,スタッフの給料についても,資料には書いてありますが,15万から20万の間です。これは川合さんもおっしゃっているとおり,私どもも毎日帰るのは11時,12時になることは珍しくなくて,そこは改善したいと思っているのですが,実質子どもたちの話を3時間,4時間聞くとか,親の方に来ていただいてお話しするとか,あるいは子どもと一緒に出かけるとか,いろんなことを含めますと,非常に厳しい条件の中で,でもスタッフとしては大変やりがいを感じてやってくれています。そういう善意に支えられてやっているというところを,私どもは社会的な保障,支援をもう少しいただけるようにならないかなと。学校のみではなくて,学校以外にもいろいろ選べるよという時代になったら,もう少し子どもたちは楽になれるのではないか。そして,学校以外を選んだら,ずうっと学校に行かないわけではなくて,子どもの人生のつくり方で,またそういうものを活用して,相互乗り入れというのでしょうか,そういうことがもう少しできるようになったらいいかなと思っております。NPOになってから,いろいろな財団の助成金は得やすくなったので,それは少し助かっております。
  以上です。

  続いて月岡さん,よろしくお願いします。

【月岡氏】  今,川合さんとか,奥地先生のほうでいろいろお話しいただいたので,大分言いたいことは言っていただいておりますけれども,私のところは,はっきり資料にも書いてあるのですけれども,週1日の場合で,月4,5回が1万4,000円からずっと授業料は決まっているのですけれども,それを楽々払える方もいるのですけれども,大変な方,さっきお話があったように,生活保護の方は今までお会いしたことがないのですが,かなりこういう状態の中できついという方がいらっしゃいます。この前も,私の町は小さな町ですけれども,そこの町議会議員と隣の町の議員で教育関係のことをしている人が来たので,そういうフリースクールなんかに通っている人たちや,スクールサイドにいろいろ支援していただきたいとお願いをしました。フリースクールに通ってくる子ども,例えばうちで週に5日来ていると月額6万円ぐらい払うわけですけれども,例えばせめて3万円ぐらいはその地域,地方自治体で援助してくれるとか,そういうことが考えられないかという話をしたのだけれども,まずそれが1つあります。
  それから,広く言いますと行政ということになると思うのですけれども,さっきから話題になっているフリースクールに来られる子はいいのですけれども,来られた後はフリースクールはいっぱいいろいろな種類がありますから,自分の気に入ったところに行けばいいわけで,むしろ来られない状態の子どもをどうするか。そこは,民間がやっているところももちろんありますけれども,大変なことなんですよね。民間ですから当然運営資金が必要ですから,1回親と会って親と話をするだけでも,親から1万円ぐらいいただかないと合わないわけです。現実に親にとっても大変ですし,やっぱり税金といいますか,そういうのは,民間ではできないところ,だから僕は適応指導教室なんていうのは,あまり要らないのではないかなと。いっぱい生徒がいるところは僕は見たことがないものですから,すみませんけど,どこかあれば教えてもらいたいけれども。公務員の方が3人もいて,いいなあ,スタッフがいっぱいいてと思うぐらいですけれども。例えばそんな民間ができることは,今,小泉さんがやっているようなことと一緒ですけれども,民間がやりたくてもできない部分に対して行政はお金を使ってほしい。はっきり言ってフリースクールなんかに来ている子というのは,困っている子の1割いるかいないかだと思います。来られる子の,今日はヒアリングがあったんですが,そうじゃない部分のほうが大事ではないか。それがまず僕のお願いです。
  個々の学校の対応とか何かというのは,私はたまたま前職が学研という出版社にもいて,学校はしょっちゅう出入りもしていましたし,父親が文部省の役人で,母親は高校の教師ですから,小さいときから教育現場を内側から見ていますから,僕の感覚は学校に対して全然敷居が高くないのです。
  こっちがそういう感覚を持っているから,僕のところって結構学校の先生がぷらぷら来るのです。僕の話し方はざっくばらんですから。
  さっき奥地先生も話していたけれども,不登校というのは,よくもあり悪くもありである。それから学校がどうのこうのっていうのは,それは子どもが決めるので,先生でもなければおれでもないし,親でもないのだからという立場ですから,非常にフリーなんです。八王子市の教育委員会の紹介で,ときどき不登校の子が相談に来るのです。相模湖フリースクールは近いんですね,隣ですから,八王子の町は。そういうところは田舎のよさだと思うのですが,東京みたいにフリースクールを敵視するみたいな人はあまりいないのです。学校の先生から紹介されたと言って,たまにですけれども来たりします。
  でも全体としてはやはり,さっき奥地先生がおっしゃられたように,フリースクールのことは知らないです。えっとか言って,見に来て,要するにフリースクールというイメージがわからないのです。それはわからないですね,全部勝手ばらばらにしているのだから。第一,統一的なイメージを持つ必要なんか全然ないわけです。だから,僕が行政にお話ししたいのは,出て歩ける子どもについて,例えばこれを制度化したり,システムをどうかしたり,資本を,当然行政ですとお金もいっぱい使います。でも,そういうことをいくらやっても,僕はあまりうまくいかないと思います。
  だから八王子市が今度,廃校になった学校を使って,不登校の生徒の小中一貫校をつくると言っているけれども,つくればまた学校では。そういう感じで。
  はっきり言うと,何でこんなのをやるかというと,やっぱりいろんな特区ができたではないですか。それで教育が一番一般でわかりやすいではないですか。だから不登校の公的な小中一貫校なんていうのは日本で初めてだからやろうと。
  そうしたらあるお母さんが,昔うちに子どもがちょっと来ていて,学校に戻って,また下の子が行かなくなっちゃったというので,今度はそんな学校ができるから,向こうはただだからというので,でも情報が何もないんで,月岡さんのところはまだやっているかと思って見に来たと言って,あ,やってんだとか言って。僕は,大事なのは人だと思うの。制度だとか,システムだとか,金ではなくてね。やっぱり金はあったほうがいいけれども,最終的にはこういうことを扱うのは,教育全体がそうだと思うけれども,別にフリースクールだけではなくて,学校現場の教師としてだって,自分を磨いて,少なくともおれみたいな人間になってみろよみたいな,おれって結構そんな気でいつもいるので,能天気な野郎だと思われているみたいだ。やっぱりそういうことだと思うね。
  それで,あとは僕は,一番肝心なのは,出られない子。フリースクールの時代なんていうのは,僕は大した問題ではないと思う,出てきているのだから。その分はどうするか。それからやはり,さっきから話が出ているように,学校はもう少し現場を知ったほうがいいですね,こういうところがあるということをね。
  私のところの経済的な面は,15人の定員で経営がやっていけるわけはありませんから,夜は3時間学習塾をやって町の子たちを教えています。おかげさまで,頭を年じゅう使っているので,1人で全教科を教えますから。この教科はだめよなんて言って,スタッフがいっぱいいたら,その先生に聞けばいいと言うけれども。学校の先生よりおれのほうが範囲が広いから,逆にわかるんだ,子どもの気持ちが。学校の先生って,自分で問題をつくって,専科だから1つだけ。それで50分でこんなにいっぱい問題を解けるかよと言ったって,先生は凝ればいいけれども,子どもというのは,今,ちょうど期末試験の最中で9教科やるわけです。僕より大変ですよね。僕は5教科は大体わかります,中学校の中身は。だからちょっとなあ,という感じじゃないですか。
  やっぱりその辺も含めて,子どもの側に立つというのは,やっぱり人間がどう活動してきたかというか,絶えず磨いてないと,フリースクールの先生だけではなくて,学校の先生も含めて,教育なんていうことをやる人はね。僕は教育とか教育学という言葉は嫌いなんだけれども,子どもを育てるなんてだれでもできることだし,その辺の観点でいろんなことをやっていれば,学校の敷居なんて全然ないです,僕は。行きたければ行くし,それだけのことですから,だから,一番学校,行政とかに望むのは,今言ったことです。

【奥地氏】  ちょっと付け足しをお願いしたいのですが,簡単に言います。
 よく東京シューレは,経済的にお金のある家庭が,つまり恵まれた家庭が行くのだろうみたいな勘違いをされるのですけれども,母子家庭の割合は非常に高いです。それからお父さんお母さんともいないとか,それは様々で,さっきいろいろおっしゃっていた家庭の状況が社会的には非常に悪くなっている,そのことはそのまま反映されていまして,特に正規の料金を払えない方の割合が,最近,2割ぐらいまで近づいてきて,それが,経済的に非常に圧迫されている,そこで,今日のヒアリング資料の18ページを見ていただきたいのですけれども,6に挙げてありますが,奨学金制度を探したわけです。探しまくりました。行政から育英会から,企業から。ところが,学校の生徒だったらあるよということなんです。でもフリースクールは学校ではないですから,そうすると,全然ルートがないのです。今でも見付からないで,ちょっと苦しんでいるのですけれども,ここら辺の何か方法をとっていただく。
  さっき英明塾さんが,借金が4,5千万あるよとおっしゃっていましたが,私はそれ以上に借金を負っておりまして,家も担保に入っております。大抵の方が,そういう覚悟でなさっているところが多いという。シューレは,それは別に金のある家庭の子が行くわけではない。ほんとうに苦しい中ででも,親が何をできるかということで,私どもに相談いただき,じゃ,半額でいいですかとかやりながらやっているということを知っていただきたいということです。
  それからもう1つ,来られない子が問題だという話がたくさん出るのですけれども,私どもは,歴史的に言うと,学校に行かない,行けない子たちを学校以外の場があって,そこが安心できるところというところで初めてたくさん来るようになった。だから,フリースクールをいろいろ回ってこられるという話がさっきから出ておりましたが,東京シューレも同じで,最終的に来るのだとおっしゃっているけれども,最終的かどうかわからないです。今,来ているから最終なんですけれども,フリースクールがあることによって,家の中に引きこもっていた子がずいぶん出てきたという言い方はできます。しかし私どもは救うという発想はないのですけれども,世間的な言い方をすれば,外へ出られないという子どもたちが,フリースクールがあることによって出るようになって,そしてフリースクールだったら安心,そのうち,フリースクール以外も安心というふうな流れになっている。その来られないとか出られないという子どもの,そこをどうするかという問題のポイントは,家庭がどうであるか。家庭がやはり社会性の源であり,それから人を信頼したり,あるいはもう人は信じられないんだと思ったりする一番の原点になるところですから,私たちが親の会に力を入れているというのはそういうことです。出そうとするのではなくて,ほんとうに本人が安心でき,充電でき,気持ちの整理ができ,人を信頼できるという気持ちでだんだん自己否定が変わってきたときに,それは安心できるところからまず行ってみようと思うわけですから,私どもはフリースクールに来ている子はいいけれども,来られない子はどうするのだではなくて,フリースクールの経験を社会に生かせるということを考えていただきたいと思っています。

  ありがとうございました。はい,どうぞ。

  私も実は,お三方と同じような状況にあるということもありまして,何だか質問のしにくいところもあるのですけれども,川合先生の話を聞いていましたら,涙が出てまいりました。ほんとにこれが現実なんだということをいろんな人たちにわかってもらいたいというふうに今,思いました。
  シューレさんの,うちも川合さんのところの何倍も借金があるのだという話を聞きまして,これまたびっくりしました。シューレさんはそんなに大変だとは思わなかったものですから。これもほんとうに申し上げたいのです。金の心配とか経営の心配をしないで,自分たちの持っている情熱を子どもたちに全部注いでいきたい,ほんとうにそういうふうに思います。私は,公立の先生方からたくさんメールをいただきます。いろんな些細な問題のもあります。その中で私は「みなさんはいいですね。お金の心配しないで子どもたちとかかわれるから」とメールを打ち返します。だれからも反論が来ないです。私たちは金の心配をしながら,「学校がなくなったら,この施設がなくなったら,子どもたちはどうなるだろう」という視点でいつもものを考えていかなければならないからです。
  そういう意味で,財政的な援助というのは非常に難しいかもしれません。私たちに合ったガイドラインをつくって,それに適合したら,公的な援助をしていただきたいと思います。でも,そのガイドラインは非常に難しいのですが,何とかしてそれをつくり上げていただきたいということが1つあります。
  それから,実は私はきのうもおとといも適応指導教室を回っています,学校も回っています。けれど,大変立派な施設の中に,生徒はほとんどいないんです。そして,去年まで使われていた施設がそのまま放置されてもいます。公民館もいっぱい空いています。そして,学校も学校の生徒がいなくて,半分以上空き教室になっています。そういうところをもっともっと我々のような弱小な民間教育機関に,ぜひ文部省が頂点になって調査をしていただき,施設を貸していただきたい。これがなされたら,もっともっと民間施設は元気を持って教育に携わることができると思います。
  川合先生の話を聞いていて,ほんとに涙が出てきました。よろしくお願いします。

  ありがとうございました。
  今のお話も踏まえて,さらに論議を深めていきたい,それからただいまの御発言の中にもありましたように,できればこのガイドラインについても御意見を出していただきまして,それぞれ御質問,御意見も交えて御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

  今,話を聞かせていただきまして,ほんとうに自らの生き方として不登校に向き合ってこられて,こういった組織を運営しておられる方々の迫力というのを改めて感じまして,今日,ほんとうに勉強させていただきました。特に,それぞれ共通しているところと言いますか,ものすごい失礼な言い方でございますが,やっぱり心で子どもたちに接しておられるということが一番感銘したところでございます。特に川合先生の場合は,受け入れの在りようといいますか,ほんとうに感銘いたしましたし,教育は嫌いやけど,今日を生きていかなければならないから,やっぱり教育やというふうなことも含めて,月岡先生の話であるとか,また私ども適応指導教室の相談員等々とヒアリングをやっておりますと,子どもたちをありのままに受けとめていくといいますか,そういった中で,子どもたちがやっぱり自己決定,自己選択していくということの教育の経過といいますか,そういったことを指導方針で示しておられる奥地先生,それぞれほんとうに感銘したわけでございます。
  私ども教育行政に携わるものといたしまして改めて感じることでございますが,こういった子どもたちが社会的に自立していくために,その子に応じた必要な支援策をとっていかなければならないということを,改めて肝に銘じたわけでございます。さらに,学校の,また教育行政の果たす役割といったことにフィードバックしていかなければならないといったことを,私どものスタンスとして感じたところでございます。そういった中で,何点か見解を述べさせていただきたいと思います。
  先ほどからの話に出ていました子どもの活動に対し,私ども学校関係者といたしまして,「こんないいスペースがあったんやな」ということを,学校というステージの中で改めて実感させていくような魅力ある学校をどうつくっていくかといった視点で受けとめたわけでございます。そういった中で,意見の第1は,フリースクールの皆さん方と,私どもの,例えば適応指導教室であるとか,学校サイドであるとかいったことの交流といいますか,連携といいますか,こういうことを積極的にやるべきではないかなということを感じたわけでございます。と同時に,今日のようなそれぞれの取組の成果等も含めて,私どもにさらにお教えいただければありがたいと,かように感じたところでございます。これがまず第1点でございます。
  次に,前からの調査にもございましたように,私ども,社会でそういった子どもたちが自立したときに,学校に行っておけばよかったという悔いを残さないための対応ということも大切だなと感じたわけでございます。そういった意味で,私どもといたしましては,2点目として,市としてもこういった不登校の児童・生徒を支援するようなセンターを統括的に設置する中で,皆様方,また関係機関とのネットワークづくりの必要性を痛感したわけでございます。先ほども申しましたように,いろんな支援策は,やっぱりこういったネットワークの中で形成されていくのではないかなと思うわけでございます。教育行政といたしましても,学校の役割といたしましても,先ほどからの話もございましたように,もっと子どもたちに私どもの持っている情報を積極的に発信していくといったことが必要ではないかなと思います。と同時に,学校がそういうネットワークの調整役といいますか,コーディネートしていくということの必要性も,教育行政ともども痛感したわけでございます。
  また,先ほどのビデオにもございましたように,学校そのものがさらに開かれて,例えばもっと多様な人との出会いとかつながりを学校自身がつくっていく,そういった役割へと学校そのものの機能もさらに発展させていくことが大事ではないかなと思います。と同時に,私ども一番感じますのは,実際に学校にも来られない,フリースクールにも入れない子どもたちに対しまして,公教育の立場から,将来社会的に自立していくための基礎的な学習内容等も含めて,どのようにフォローしていくのかといったことも問われているのではないかなと思うわけでございます。
  そういった意味で,学校がさらに子どもたちにとってすばらしい居場所になるような形で,今言ったような取組が結果として学校復帰につながれば,さらに大事ではないかなということを今,改めて受けとめたところでございます。長くなりましたが以上でございます。

  ありがとうございました。行政としての立場も踏まえての御発言でしたが,この我々の会は,多様な立場からこの会に参加しているわけでありまして,それぞれのお立場から御発言がありましたらどうぞ。はい,お願いいたします。

  不登校の子どもたちが,各フリースクールでのびのびと育っている様子を伺うことができ非常にうれしく思いました。特に,奥地さんに見せていただいたビデオの中の子どもたちはとても表情がいいですね。そして,このような子どもたちを支えている先生方が全力で取り組んでいる姿勢を見せていただき感動しています。
  さて,今日の論点から離れるのですが,質問させてください。
  月岡さんの出された資料に,これまで通ってきた子どもの中に障害を持っている子どもが約2割(21.4%)含まれていると書かれています。私のイメージでは,軽い障害を持っている子どもは通常の子どもに比べて不登校になりやすいと思っています。他の先生方からもお聞きしたいのですが,フリースクールに通ってきているお子さんの中に,軽いものを含めて障害を持っている子がどの程度含まれているかを教えて下さい。

【川合氏】  今,御指摘があった軽い障害だけではなくて,実際には重い障害も含めて,うちには来ています。割合としては今,うちには50%ぐらいいます。LD,ADHD関係はもちろんのこと,精神障害,人格障害,統合失調症関係,それからうちの場合は,各クリニックからとかいろんな病院からも紹介されるという形,学校からも紹介されてくるけれども,いろんな子たちが来るわけです。その中で統合教育という形で,ノーマライゼーションの考え方でうちは開いているので,どの子もみんな一緒という形でやっていますから,それを障害と見るか,例えばボーダーラインの子たちもたくさんいますから,そういう子たちも全部同じ目の位置で扱っていますから,パーセンテージはなるべく出さないようにしています。先ほど,デジタル化とアナログ化という話をしましたけれども,データをつくるのを非常に僕自身は嫌ってまして,そういうふうに区分けする,または隔離してしまうということを今,なるべく排しているのです。なくして,すべてを受け入れようという考え方です。かかわり合いとしては,今日は実はこれが終わった後に,民生児童委員の代表の方々の前でまたいろいろお話をして,不登校に関して理解してもらうとか,そういう形をしますけれども,実際には障害を持った子たちというのが非常に増えている。特に先ほどもちょこっとお話ししましたけれども,LD,ADHD関係が非常に増えているのではないか。というのは,この間も学校連絡協議会のほうで話をちょっと出したら,その答えが校長先生方から出てきて,今,困っていると。その子たちのおかげで,今,大変なことになっているという御指摘もありました。今までになかった状況があるので,この今,中学1,2年生の子たちがまた上のほうに来ると困るので,今,排除をしている状況であると。その子たちの受け皿に今,なりつつあるかなと考えています。
  ですから,アメリカ並みに14から17%のADHDという数字までいくかどうかは,僕自身はあまりデータとして出したくない,ちょっと怖いなと。日本もそこまでいくのかなという感じです。ヨーロッパでもやはり,精神関係の問題でお薬を飲んでいる方が大体同じようなパーセンテージおりますから,日本もそういった形になっていく可能性はあると踏んでいます。そのための方策が何かないかということでお話ししたのが自然体験なのですけれども。多分,この問題がまた大きくなっていくのではないかなとは思っています。

  ちょっと1つ教えてください。
  今,そうしたお子さんを抱えておられるお立場から考えて,そうしたお子さんを援助するネットワークづくりみたいなことについて,何かお考えがおありでしょうか。

【川合氏】  実は,私もNPO法人の統合教育研究センターというのをつくりまして,そういう子たちをどうやって扱っていくかということ,それから将来的な職業訓練までも含めて考えていきたいと思ってつくったのですけれども,まだ資金が全く集まらず,宣伝もできず,全く進んでおりません。多分ここ数年の間にこの問題が大きくなるだろうと思って,今のうちに準備しようという形なのです。
  一応,今日,NPOアワードというのが夕方またありまして,そちらのほうで私,またプレゼンしなくてはいけないのですけれども,賞をいただくことになりまして,できたらスポンサーが付けばいいかなと思っているのですけれども。不登校だけではなくて,障害関係を扱っているフリースクール,専門のフリースクールも,これから出てくると思います。数年後を読みながら,準備をしておかないといけないのではないかなと思っています。

  ありがとうございました。

【奥地氏】  ヒアリング資料の3ページを見ていただきたいのですが,表1のところに,これも,私どももあまり何%いるとか,ふだん障害を持っている,持っていないということを意識してないのですけれども,文科省さんが客観的な資料をいろいろ示してほしいというお話もあったものですから,この際,ちょっとやってみたというところですけれども,はっきり親のほうからこんなふうに判定されていますというようなお話があった方を列挙しただけでも,そこにあるような人数います。そして,私どもの感触では,それは時代とともにだんだん増えたのですけれども,もちろん私どもは初年度から障害を持っていようと持っていまいと,やはり統合教育の観点から一緒にやってきて,どの年にも何人かずつはいたのですけれども,増えました。やはり感じるのは,学校の中でいじめられる,あるいはいじめられなくても,学校の枠というのは,やっぱり私から見ると固いんですよね。それで,一律や,一斉に,一緒に,みたいなことを求められるので,やはり障害も個性の1つですから,それにストレスを受けるとか一緒にやりにくい。それをクラスの子や学校の先生から見ると,やはり叱責が多くなったり,いじめっぽい形で何か関係ができてしまうとか,そんなようなことから,学校の中に居にくくなるということが影響しているのではないかなということは,お話を聞いていて感じるわけです。
  もう1つ,以前だったらこの子は何とか障害だよみたいなことをあまり問題にしないで,すごい集中力がないねとか,あることはできるのにあることは全然だめだよねとかって,それでその子にどうやって対応したらいいかなというふうに考えていたのか,最近はそういう意味では専門研究が進んだといいましょうか,近代化が進んだマイナス,プラスもあると思いますが,マイナスもあって,この子は何々の障害だからこうしなければいけないけれども,ほんとにそうかどうかは専門家にかけるのが怖いだの,いや,専門家がそう言ったんだから,もっとそういうふうにさせないとだめだとか,その辺の判定されたということに対する親のゆらぎとかが前よりはきつくなっていて,どんな子であれ,それに判定の名前が付く付かないに関係なく,その子をその子としてありのままに一緒に行き合っていくみたいな,それがどんな場合にも求められるかなと思います。
  ただ,実際にはスタッフの手が必要です。そこで,私どもまた困りまして,何しろ人件費の枠はほんとうに少ないですから。それで,いろいろ財団を探しまして,ある財団が障害を持った子がフリースクールに増えているという,障害を持った子を指導をしてくれる人への人件費,めったに財団って人件費はないのですけれども,それは確保できまして,3年間だけは1人だけそういうことができましたのでほっとしているのですけれども。もう少しそういったことへの手当てができるような形になればいいと思っています。
  私どもの対応の1つとして,シューレの中に「障害を語る会」というのをつくっています。障害を持っていると思われる方,あるいはそういうことをどうしたらいいかと思っておられる,つまり障害と不登校が重なっているわけですから,そのことについての親の不安とかは,やっぱり一般的な不登校よりは大きかったりしますので,そこら辺を話し合ったり,いろいろ勉強し合うという形でそれに対応しているという状態があります。

【月岡氏】  私のこの数字は,何か資料になるかなと思って挙げただけですが,これは,来られたお母さん方が,うちの子はこういう認定を受けたのですけれども,おたく様では扱っていただけますか,あるいは診断書を持ってこられた方をチェックしたものです。ですから,僕は精神科医でも何でもないですから,そんなのはわかりませんから,どの子が何を持っているのか。それは公的なところで診断されてこうだよということで持ってこられた数だということです。ほかのことはいろいろ,今,お話しいただいたので,よろしいのではないかと思います。

  ありがとうございました。続けてどうぞ御発言をお願いいたします。

  1つだけ,親と子との関係という中でお伺いしたい点があります。
  特に奥地さんにですが,どうして子どもたちが否定されてしまったかという話について,あまり詳しくされていなかったようだったので,その辺がお伺いしたい点と。
  もう1つは,学校否定ではないという言葉がたびたび聞かれてはおったのですが,私はPTAという立場で参加させていただいているものですから,PTAの活動の中にその親御さんたちがどのように参加されていたのかというのが,大変疑問な点として浮かんでまいりました。何か言葉の最後のところには学校不信なのではと思われるような発言も感じたり,どうも親御さんたちの中に,我々の組織自体を含めて,学校に対しての懐疑的な発想を感じられるようなところがあったものですから,その辺を詳しくお話しいただければありがたいと思います。

  先ほどから家庭での問題,あるいは親子関係の問題が御発表の中にも出されていて,それに関する御質問ですが,関連して何か御質問のある方,あったら出していただいて,御一緒にお答えいただこうと思います。よろしゅうございましょうか。

【奥地氏】  子どもがなぜ否定されたかというのは,親が,子どもをどうして否定したのかというような御質問ですか。

  だけではなくて。

【奥地氏】  社会一般にもということですか。

  学校の中でいじめに遭うとか,その子が感じた学校に対する,もう行きたくないと思う原因の部分ですね。

【奥地氏】  まず,親と子の関係について,不登校で子どもたちが一番きついのは,親が学校に行って当然だと思っていることです。これは,多分99%ぐらいの日本人はそう思っているのではないかと。ただし,いろんなことに出会っていくと,そうではないなと,学校に行かないことも受け入れる必要があると,だんだんなってきていると思いますけれども,それでも多数の方が,学校に行って当たり前,お父さんもお母さんも,学校でもいろんな苦しいことやいやなことはあったけれども,そこを通って社会人になっている。社会ももっと学校よりきついのよ,学校に行って当たり前でしょうみたいな考え。それから大勢の子が学校へ行っている,そこでその子にとって学校へ行けないとか,行かないとかということが,その子にとって大切,必要であっても,そういう価値観のもとで,やはりその子どもに対して,どうしても否定的なまなざし,あるいは無理やり車に乗せて学校へ連れていくとか,すごく様々なことがあったわけですけれども,その陰にはまた,何とかして連れてきてくださいみたいな学校の指導もかつてはあったわけです。95年ぐらいからがらっと変わってきてソフト化してきたと思いますけれども,80年代はかなりあって,大変子どもたちが苦しんだわけです。親が子どもを苦しめているそのもとに,この子の性格が弱いとか,この子がすごい勝手なんだとか,みんなと一緒のことができないんだという見方そのものも問い直さないといけないということがあったと考えます。つまり自分の足元,自分が持っている価値観が子どもを苦しめ,子どもは親にわかってもらえない苦しさの中で,こんな自分はだめなんだというふうに,みんなと一緒のこともできない,それから親や先生にも迷惑をかける,そして親の期待のようにはできない自分というふうに否定的に認識する構造になっているということを最初に申し上げたのです。親と子の関係で,不登校について言う場合に,そこの親の子どもを受け入れられない価値観について,やはり一番問いかけていく必要があるのではないかと思います。
  ただし,不登校の原因が家庭かどうかは別なんですね。いじめに遭うとかあっても,いろんな子が学校というところで過ごしているわけで,学校というのは何も100%楽園ではない。だけど学校へ行っている。そうすると,学校へ行かなくなった子どもというのは,一体どうしてそうなのか,やっぱりその子の,何か個人病理的に問題があるのではないかという見方をされがちです。けれども,やはり一人一人の子どもにとって,例えばいじめや体罰や部活のしごきや,そういうことがあったら,恐怖感で学校に行けなくなるのは当然ですし,それは性格の問題ではないと思います。それから学校で友達が一番大事なわけですけれども,友達関係で,大変傷付いたり,不信感を持ったり,それから友達に合わせるためのものすごい努力を子どもたちはやったりして,そのストレスで非常に疲れきってしまうというようなこともありますし,テスト競争とかそういったことに,自分のストレスやら,自分がだめだという思い,自分への投げやりな気持ち,そんなものを味わったりもします,先生への不信感も生まれます。ずいぶん様々なことがあります。学校大好きでも,学校に一生懸命頑張って疲れてしまうということもあるし,そうすると学校との関係や何らかのマイナスが生じて,今,距離をとることが大事になっているというように思いますので,その子どもの問題がどうであるというようなことよりも,いろんな子が地域にいて,そのいろんな子が,過ごしやすい,安心できるという学校が望まれるわけです。
  ところが学校というものは,人がつくった制度ですから,100%だれにでも合うわけにいかないということがあると思いますし,それから,予想もしないというような人間関係に出会うということもあるでしょうから,そこで学校のみでないとだめだよという考えだと,子どもたちにとってきつい。だから選択肢を学校以外にも増やす必要があるのではないかというところを,私たちはもっと考える必要があると思っているわけです。
  学校以外もありだよ,選択肢を広げようよみたいな言い方をすると,学校否定というふうに勘違いされやすいのですけれども,PTA活動の中にどのぐらいかかわってきたのだろうかという御質問なのですが,実は,PTA会長や副会長,それから広報委員会の委員長をやっていた,PTA活動にとても熱心な親御さんのお子さんなども,ずいぶん不登校になっておられて,親の会の中で,実は子どもが不登校になったんだけれども,自分はPTAの役員をやっていて,学校へそのまま行って仕事をやるべきか,それとも子どもがプレッシャーを受けるだろうかみたいな悩みというのも,親の会にはよく出てくる話なんです。18年もやっていますから,私が付き合っていて,Aさん,Bさん,具体的にいっぱい顔が浮かびます。だけど,その人たちがPTA活動に不熱心だったというわけでもない。不登校ってパターン化できないですね。ですから,PTA活動とのかかわりに問題があったから,もしかして不登校かなというのはちょっと違うのではないかと。それから私どもが申し上げることが学校不信に聞こえるかもしれませんが,はっきり言って,学校に傷付いている子どもさんと親の方がものすごく多いというのも実際に認識すべきなのではないかと思います。
  これは,学校を非難すること,学校ぐるみ全部だめよ,と流していることではないのです。学校は現実に子どものための器ですけれども,子どもにとってどうなのだろうかという吟味と,それからその子どもが,学校の先生から見たら何か望ましくない,こうあるべきなのにそうできないみたいなことがあったときに,学校の先生や教育委員会や行政が親に対してどういう言葉をはいているかご存じですか。親から見ると,すごく苦しんでいるのに,なおかつ,親の育て方が悪いんですよ,みたいなところで言われてしまったりします。それがすべてではないですよ,うちの学校の先生はとても信頼できます,校長先生も前の学校と違ってすごくいい先生ですとか,そういう話も私たちはたくさん聞いています。だから,十把一からげに言っているのではなくて,でもいろんな子どもたちはすごく傷付いている。それから助けのサインを出しても,やっぱり,育て方が悪いんでしょうみたいな形で言われてしまって,親としてほんとは学校を頼りたい,それから学校に信頼感を取り戻したいのだけれども,でも,いっぱい重なってくると,ああ,子どもは学校に行かないという気持ちがわかるわと,親のほうも思ってしまう経験もたくさんあるのです。その辺も,もう一度見つめ直していただいて,学校に合わない子は,子どもと親に問題があるんだみたいな見方ではなくて,一人一人のところで吟味していただくと,またいい結果が生まれるのではないかと思っております。

  ありがとうございました。
  予定の時間がきているのですけれども,前回のおしまいに御了解いただきましたように,せっかくの機会ですので,もう少し時間をいただいて,御質問があればお出しいただきたいと思っておりますが,御発言がございましたら,引き続いて。

  奥地さんにお聞きしたいのですが,私たちはどちらかというと一般的には,大変失礼な言い方なのですが,東京シューレさんは学校を否定している団体であるというふうに,認識しております。それが,そうした子どもたちを預かっている中で,年月がたって子どもたちが次のステップを踏んでいくことがなかなかできなくなって来てしまった。そのなかなかできない状況になって初めて,どうやってその指導をしていくかというようなところから,多少方向が変わってきたというふうに言われております。東京シューレさんの立場は,最初からそういうことでなく,今のお話をいただいたようなことなわけですね。

【奥地氏】  はい,そうです。そういう話を聞くと驚いてしまうのです。初めからずうっと私どもの仕事を見ている人,知っている人は決してそういうことをおっしゃらないと思います。私どもの考え方は出発してから一貫して変わっていないのです。学校否定ではなくて,学校へ戻すのみというところが違うのではないかというところで,幅を広げる。だからさっきもお出ししたように,学校へ戻っている子,それから学校的な進学ルートをたどっている子,それから海外の大学,大学院まで含めたら相当数いまして,決して学校否定ではないのだけれども,学校否定のところよ,だから近づかないほうがいいよというふうに実際上教育委員会で言われたり,適応指導教室で言われたりして,そういうふうに学校を見るところだったら,行かせてもよくないから,子どもがいやいやながらでもやっぱり戻しますみたいな例もあったのです。どこでそんなふうになってしまうのかなというところが,私どもとしては疑問なのです。
  もし学校否定のところではないかというふうにどこかでお聞きになって,そういう印象になっておられる方は,私どもは学校を軸にしていい,悪いと言っているところではなくて,学校にこだわらないで,子ども自身が自分の気持ちや意思を尊重してやっていくというところが大事なのではないかというふうに。英明塾さんはSSPの対象となられていますけれども,私どもは申請しても受けられませんでした。その理由に,学校復帰ではないと言われてしまったのですけれども,でも,広い意味で考えれば,学校復帰している子はたくさんいるわけですし,そういった子ども自身の自己確立,自己実現,それから子どもの幸せがどの辺であるのかというところでやっていくのが最もうまくいっている。何か次のステップを踏んでいくのがなかなかできないから方向が変わったのだろうかとおっしゃっているのですけれども,私どものフリースクール,東京シューレに通って,その後歩いていった子たちで,多分ほかの公的な,例えば適応指導教室とかいろんなところより,後が,例えば適応指導教室を通って高校に進学したとします,その後,また非常に苦しい状態になられている数というのは,相当数,公的な機関なんかでもあります。またこっちへ来られますからわかるのですけれども。
  東京シューレの場合にも,そういうこともありますけれども,それは,自分というものの不登校をいったん肯定して,それから学校を再選択する場合には,非常にうまくいくのです。でも,学校に行かなければいけない,行かなければいけない,やっと余裕が出てきたから,さあこれて学校復帰しよう,進学しようというふうにあせって,あるいは自分の状態にあまり合わない選択をした場合には,やはり長続きしなかったりうまくいかなかったりするわけですから,そういうことも含めて,うまくいかないから方向が変わったのだろうというのは全然違って,フリースクールで子どもたちはこんなにも,さっきもビデオを見ていただいたと思いますけれども,あれは日常の姿です。はっきり言って私たちは二重の仕事をしていると思っているのです。いったん学校に何かで傷付いて行かない,あるいは学校に行かなくなってしまった理由はわからないけれども,とにかく行かなくなった,行けなくなったそのことが,もう自分はだめだと思って苦しい,元気がなくなったり,人が怖かったりして,おそるおそる東京シューレにやってきた。でも,この自分でいいじゃん,学校へ行こうと行くまいとこの自分に価値があるんだよというところで元気になって,そこからまたいろいろ自分が学びたいこと,やりたいこと,それからいろんな社会的な諸経験をやっていくという2段階ですね。心理的な安定がないうちは,いろんな活動をすると言ってもできませんから,さっき英明塾さんがおっしゃっていたようなことは一人一人あるわけです。その上で,やっぱりさっきのような子ども主体でやっていく活動というのは,私なんかは感動します。あの子どもたちがここまでの力を持っているということ。それで,就職して会社に入った人たちが言うには,何と言ったって,会社で一番役に立っているのはあのミーティングだよなと,やっぱり自分の意見を言って,人の意見を聞いて,企画を出してそれがまずかったかどうか反省して,また出し直して,みんなで決定していくみたいな,それが一番役に立っていると言っているのですけれども,不登校で一般社会から見たらかわいそうな子たちなのではないのみたいなのが,実は非常に生き生きと社会の中でも自分を発揮してやっているという人たちが大部分なわけです。900人の卒業生がいますが大部分です。だからそこら辺はちょっと,もし何かイメージの間違いがあったら,私は今日訂正していただけるとありがたいと思っています。

   わかりました。ありがとうございました。

【月岡氏】  今の質問の前のに関して,ちょっとお話ししたいと思ったことがあったのです,学校との関係の中で。実は,いじめの問題というのは,学校の問題としていろいろあります。私のところもいじめの関係で来ている子がいるのですけれども,何人かそういう子が来ているのですけれども,このいじめというのは,文部省の方々がいらっしゃるから,基本的なところでどう考えていらっしゃるのか,この場はちょっと違うから別の機会でもいいのですけれども。
  A君とB君といいます。その子たちがふざけっこしていた。その中で,B君が僕はいじめられたという認識を持った場合,学校側はよく,いじめはなかったという認定に立つときに,学校として見ている範囲では,あれはいじめとは見えなかったというのが非常に多いのです。ところが,いじめというのはあくまで,例えばA君とB君の関係だったら,B君がいじめられたと思うけれども,A君とC君,A君とD君,同じことをやられても,C君とD君は,それは遊びの範疇でしか感じないということがあるわけです。だから,何を言いたいかと言いますと,いじめは,いじめられたといった保護者とか子どもの側に立って,1度その立場できちんとその保護者とか子どもの意見を聞くこと,最初からいじめはなかったという前提に立ってしまうと,今,それですごく苦しんでいるお母さんが来ているのです。毎日悔しくて寝られないと。子どもが,おまえ死ねとかいろいろなことを言われたので,急に朝起き上がって泣きだして,その子は学校にいたときのことを思い出してぼろぼろ泣くというのです。
  だから,僕に言わせれば,第三者がいじめだとかいじめではないとかというような見方を絶対変えてほしいの。特に学校現場は,いじめがあるということをなかなか認めたがらない。大体いじめがないなんていうこと自体がおかしいので,同じA君との関係で友達がいっぱいいたときに,やられたと感じたのだったら,それはいじめなんです,認定というのは。だからそこをはっきりしてほしいのです。何かいろんなのを聞いているといらいらしちゃいます。だって本人が感じることでしょう。それが何で学校がいじめとは認定できないなんて言うのですか。毎日その子どもは来ているから,毎日そのお母さんに僕は言われるのですよ。もう悔しくて,メールでやりとりしていて,いろんなことを担任の先生もおっしゃって,温かく温かくと言ってくださるのだけれども,いじめという言葉が出たとたんに,メールもぴたっととまってしまって,それまでは子どもとの間にすごくやりとりがあったのに,いじめという3文字がメールに載っちゃうと,それから後はメールが来なくなっちゃった。何を考えているんだろうなというので。
  僕は一番いじめに関しては,いじめられたと思った人の立場,絶対そこに立っていろんなことを発想してほしいと思います。だれかを責めるとか何かではないですよ。それがない限り,絶対親も子どももいじめの絡みでは学校に戻りません。それを抜きにして,君がなぜ学校に来られないか,クラスのみんなで考えて,来られるように協議したり,いろいろしていますなんて言ったって,それを読んだ子どもは,ばかにするなと言っています。だからその辺のことを,僕の場合は,奥地さんとか川合さんみたいに広い感覚でものを考えないで,どちらかというと動物的なものですから,話が狭くなって申し訳ないのですけれども,ちょっとそれは一言言っておきたいです。

  子どもの,あるいは保護者の方々のいわゆる心の問題に関する原点みたいなことを今,お話しいただいたと思います。
  時間がもう迫ってまいりましたが,ガイドラインについて,何かお考えがある方は……,どうぞ。

  私のほうで出しました資料が配布されておりますので,簡単に説明させていただきたいのですけれども,民間施設についてのガイドラインの試案というのが,資料5にございまして,実は私どもとしては,もう少しこういう部分も必要ではないかなということで案をつくってみました。これはもちろん案で,15年度に調査をしたいということでございますが,今日はフリースクールの代表者の方がいらっしゃっているわけですけれども,実はフリースクールと言ってもほんとうにいろいろです。残念ながら,必ずしも褒められないようなところも,少数だろうとは思いますがございます。そういうところに行っていた方の御相談とか苦情が私どものところにはかなりたくさんあるわけです。
  私どもの民間教育施設調査実施要綱案というので,この1番から3番まではガイドラインに既に載っているものです。4番から5,6,7のあたりは,できればこういうことが必要かなということで出させていただきました。例えば4番の受け入れ対象者を明確にするというのはなかなか難しいと思います。今日のお話を伺いますと,とにかくいろんな子が来るのですよということはよくわかります。ただ,川合さんのお話のように,ずうっとあちこち行って,最終的にうちに来ましたという生徒さんの例は,実は非常によく聞くことなのです。あっちこっち行ってみました,それでもどうしてもだめでした,おたくが最後ですという形で来る方,あるいは私どものほうにもそういう相談の人,かなりいるのです。児童養護施設に行く方,児童相談所に行くという方も増えているわけです。フリースクールではどうにもなりませんでしたということでいらっしゃる方も増えています。これは,やはり,ある程度でもいいのですが,どういうお子様はうちでは預かることができますよと,ですけれども,こういう人はちょっと無理ですというのを,できればはっきりさせていただくとありがたいと思います。先ほど,川合さんがNPOをおつくりになったというのも1つだと思いますし,いろいろな専門分野の方々がネットワークをつくって,この子はうちよりもあそこのほうがいいですよということが言えるようなものが必要ではないかなということです。
  それから,5番の到達目標は,今日,皆様方お三方提示していただいていると思いますけれども,やはりある一定のところで,いわゆる卒業というのでしょうか,卒設と言っていらっしゃる方々もいらっしゃるのですけれども,そういうものを設けていただけるとありがたいなと。要するに,いつまでいてもいいんだよと言って,20歳過ぎた大人になっても相変わらずフリースクールに通っているという方がいらっしゃるわけです。それによって,社会参加が非常に遅れてしまう。あるいは資格が取れないまま大人になってしまうという方が出ておりますので,これは何とかしたい。
  それから6番は,さっき申し上げた,ほかの機関とのネットワークを組むことによって,何でも引き受けるのではなくて,という意味です。それからサポート体制は当然のことだと思いますけれども。そういう形で出させていただきましたので,できましたら,今日ということではございませんが,御意見いただければ,これは来年度,私どもでこういうふうにしたいと。文部科学省さんは,SSNというので,かなり大規模な調査とネットワークづくりをおやりになるようですけれども,民間部分について,少しでもお手伝いできればいいということでございます。

  ありがとうございました。
  ただいまの内容についても,せっかく今,御意見をいただいたので,この場で協議をしたほうが望ましいのですけれども,時間が乏しくなりましたので,これについては,今日の御発表を受けまして,我々もよくわかっていることは,民間施設において様々御努力がなされている。しかしながら,それぞれの施設によって実態が様々であるということも理解されました。さらに今後,我々が可能な限り,民間において提供される支援について,実態や成果等の把握に努めながら,そしてその中に,今お話しいただいたことも織り込んでいって,協議のテーブルに載せていくということが1つ,今,出されたことかなと,そういうふうにこの委員会としては進めたいと思いますが,よろしゅうございましょうか。
  本日は,お三方から民間施設の取組について,成果それから課題等貴重なお話をいただきました。その中で1つ確認されたことは,この不登校の問題に関しては,まずは子どもと親御さんの心の通じ合い,あるいは子どもさんが心に負っている傷の理解,あるいは子ども一人一人の立場に立つことの重要性ということを改めて今日のそれぞれのお話の中から確認をさせていただいたと思います。一人一人の子どもの自己実現,あるいは社会的な自立に向けて,本日の御発表は民間施設においての取組でありましたけれども,今後も我々が,今日のお話も参考にさせていただきながら協議を深めていかなければいけないということが確認されたと思います。
  ただ,今日の御発表の中にもありましたように,不登校の状態にあるお子さんと一口に言っても,様々な要因があり,様々な対応がありまして,これは必ずしも一様ではないわけでありますので,特定の指導方針やあるいは対応が,あるお子さんには非常に効果を持ったとしても,それがすべてのお子さんに有効かどうかということについては,さらに今後多角的に,実態把握をするとともに,今後どういう対応が求められているのかという観点で検討を加えていかなくてはならないということがはっきりしたのであろうと思っております。
  民間施設の取組の成果や課題,あるいは実勢を踏まえまして,学校や適応指導教室が,公的機関としてどういう支援があり得るのか,あるいはそのことについての問題点についてのお話も出されましたが,民間施設とより効果的に連携を図っていく,特に学校について言いますと,これも委員さんの中からもお話が出ましたように,学校あるいは公的機関としても,より開かれた関係づくりということが重要であるということが御発言の中にもありましたし,一方,民間施設の側としましても,ぜひ今後も,今日も我々がお話を伺っていて御努力の一端を把握しましたし,それからこういう課題をお持ちなのだということもわかりました。ぜひ今後も,積極的に情報公開等していただいて,その成果の交流によって,よりよい支援のシステムを確立するということで,今後我々としては議論を深めたいと思っているわけであります。
  いずれにしましても,お三人の方々から,貴重な情報を提供していただきまして,ありがとうございました。

【奥地氏】  1つだけ要望があるのですけれども,ちょっとお願いしていいですか。
  ぜひこのヒアリングに,あと何回かありますから,不登校の体験者,子どもを呼んでいただきたいと思います。それだけお願いいたします。

  御要望としてお伺いをしておきます。
  続きまして,次回の会議についてでありますけれども,「中卒後の諸課題等について」ということで,次回の会議を予定しておりまして,1つは「社会的自立へのサポート」それから「不登校と社会的なひきこもりとの関連」あるいは「義務教育を終えた段階の様々な課題」について幅広く御議論いただく予定としております。
  その際にヒアリングを実施することとしていますけれども,具体的なヒアリングの対象としましては,社会的な自立支援の取組の観点から,「ピースフルハウスはぐれ雲」の代表である川又直さん,それからひきこもり問題の観点から,本日御欠席になっておりますけれども,我々の協議会の委員であります斎藤環委員さんからお願いをしたいと考えているのでございますが,いかがでございましょうか。
  よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。
  また,第5回の議事録(案)につきましては,別途事務局から郵送させていただきますので,御意見等がございましたら,事務局のほうにお寄せをいただきたいと思います。
  次回等の日程につきまして,事務局から説明いただけますでしょうか。

  次回の会議は12月10日(火)で,朝10時から,場所はフロラシオン青山でお願いいたします。表参道で,第1回目の会議をお願いしたところでございます。

  ありがとうございました。
  ほんとうにお三方,お忙しい中を御参加いただきまして,ありがとうございました。重ねてお礼を申し上げます。(拍手)
  では,本日はこれをもって閉会とさせていただきます。委員の皆様,ありがとうございました。

──  了  ──

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)


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