今後の国立大学法人等施設整備に関する有識者会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成30年10月30日(火曜日) 15時00分から17時00分

2.場所

文部科学省 東館 3F2特別会議室

3.議題

  1. 国立大学法人等施設整備に係るこれまでの取組と今後の課題について
  2. 各国立大学法人等へのアンケートについて
  3. その他

4.出席者

委員

有信睦弘(主査),上野武,下條真司,横田浩一(鈴木英敬 代理),竹内比呂也,名和豊春(テレビ会議出席),三成賢次(西尾章治郎 代理),宮浦千里 (敬称略)

文部科学省

矢野大臣官房会計課長,石橋高等教育企画課企画官(併)室長,小幡専門教育課長,佐野国立大学法人支援課企画官,井上企画評価課長,西條産業連携・地域支援課長,西井学術機関課長,丸山学術基盤整備室長,林科学技術予測センター上席研究官,平井文教施設企画・防災部長,山﨑技術参事官,藤井計画課長,深堀整備計画室長,木村計画課企画官

オブザーバー

猿渡政範 国立大学協会事務局次長

5.議事要旨

・事務局から配布資料の確認、有識者の紹介とともに、資料1に基づき、本会議の趣旨等について説明。
・委員の互選により、主査として有信委員を選出。

(1) 国立大学法人等施設整備に係るこれまでの取組と今後の課題について


・国立大学法人支援課から、資料3に基づき、国立大学法人等を取り巻く現状と今後の方向性について説明。
・事務局から、資料4に基づき、国立大学法人等施設整備に関する現状と課題について説明。


・下條委員から資料5に基づき、Society5.0の実現と今後のキャンパス整備について説明。
○大学キャンパスを新たな技術にチャレンジしたり革新する実験の場として大いに活用してはどうか。特にSociety5.0の実現に向けて、大学キャンパスという一定の広さと活動を持った場では、例えばロボットに受付や重い荷物の運搬をしてもらうなど共生できる環境づくりにトライでき、恰好のテーマになるのではないか。
○箕面新キャンパスは駅に近く、市民と大学が共生するような場所であり、市民と一緒に育てていく実験的な都市と位置づけられる。
○サイバーメディアセンターの改修に伴い、新たに大規模な立体可視化装置を設置したスペースやラーニングコモンズを設けた。
 
・名和委員から提供資料に基づき、5G時代のキャンパスネットワークについて説明。
○北海道大学のキャンパスを、5Gの実証のための実験の場とする計画がある。
○実現のためには、従来の有線と無線の一体化、研究用、教育用、業務用などに積層する形でのサイバーセキュリティ対策、通信業者との連携が必要で、そのためにはキャンパス内の建物の在り方についても検討する必要がある。


・事務局から資料6に基づき説明があり、その後意見交換。

<主な意見>


○大学のキャンパスは生きた実験の場で、学生たちにとっては生きた教材になりうる。また企業の研究場所として、大学のキャンパスの施設や実験設備をうまく活用できる可能性もある。例えば立命館大学の琵琶湖草津キャンパスでは、省エネルギーをテーマに様々な企業の協力により、最新の省エネルギー・環境負荷軽減の技術や設備などを導入した施設整備を行い、効果の検証や改善のための研究を進めている。


○老朽化した大学図書館の改修においては、デジタル化の世の中で紙の資料をストックしておく場所をどれだけ保持すべきなのかが課題となる。例えば大学間の協力による運営でスペースを集約し、空いたスペースを学修空間に転換するなど、効率化を図り、全体としてはスペースの縮小を検討する方向になると考えられる。
 Society5.0を見据えた議論としては、授業そのものの変革も非常に大きなポイントになる。教室や図書館など施設毎の議論を超えて、キャンパス全体をアクティブラーニングの場として機能させる施設の在り方を考えてゆくべき。


○仮に大学を実験の場とする際に通信事業者と連携を図るのであれば、その取組を全国に拡大してゆくような展望も必要。また、大学には学生がいることが強みであり、人材育成の面で教員、研究者だけでなく、学生がどのように関わっていくのか考える必要がある。


○大学間連携を含めSINETや学内ネットワークに通信業者がどのように絡むのか、施設整備の在り方と絡め考える必要がある。


○これからの大学図書館は、ある種オープンサイエンスの場として機能するべきであり、新たな機能を担うための整備を行い、図書館が変わっていく必要がある。


○大学が開かれオープンイノベーションの場になってゆくとき、キャンパスに企業の建物が入ってくることが考えられる。このようなことも踏まえてキャンパス計画を考えていくべき。


○教育研究の多様化やグローバル化などを背景に、大学キャンパスが実験の場になっていくとしたら、施設マネジメントの観点からは、施設をどのように活用していくのか、施設担当だけでなく、教育サイド、研究サイドも含め、様々な知識を集約しながら考えていかなければならない。このような検討を行うことができる人材を育成していく必要がある。
 大学が社会と連携し、街の中にキャンパスが一体化したり、市民がキャンパスに入ってきたりする状況になると、キャンパス内の道路や植栽などを整備していかなければならない。このような整備には大きなコストがかかることから、自治体や企業の協力を得ながら、まちづくりも含めて大学の在り方を考えるという視点が必要。


○大学の施設整備は大学の意義・在り方に沿う必要があるとともに、大学施設は人の心を引く、人の心を揺さぶる、あるいは関心を引いて大学へ市民や県民の関心を向けさせるうえでは、「おしゃれ」であることも重要という声があった。
地方における大学は、地方公共団体にとって単に学問の場というよりも、地方にある大きな中心施設という存在でもあり、この中で大学と地方公共団体の連携機能も考えていく必要がある。


○大学をオープンにしていくという考え方に対して、落ち着いて基礎研究に取り組めるような環境や施設がどうあるべきかという観点もあるのではないか。


○多様性を受容するということなのではないか。例えばアクティブラーニングのため図書館を改修するといっても、ラーニングコモンズを導入するだけでなく、独りでじっくり本を読むスペースも必要となる。多様な学修スタイルに適合できるスペースが必要になっているということではないか。


○基礎研究をしっかり大学でやってこそ、ある時期にオープンサイエンスで使えるようになる。大学の施設整備においては、特定の研究分野のスペースを確保した上で、応用研究のスペース整備を進めていく必要がある。


○オープンとは、単に社会に開かれたという意味ではなく、研究者同士でのオープンという意味を含む。大学の研究環境としては、研究室があればいいということではなく、研究者同士でオープンに対話、交流できる場を確保することが重要。


○異なったフィールドや異なった発想を持った研究者たちが集まり議論・情報交換できるという場は重要。


○施設整備を行う際に、どの部分にどれぐらいのスペースが要るかという考え方は、時代によって急速に変化してゆく。情報のテクノロジーは二、三年で変わってしまうが、それを見据えたフレキシブルな施設をどのように整備していくかが課題。


○大学は地域の重要な社会資源でもあり、その環境も地域にとっては大事。さらに歴史や文化も継承している。このような視点から、ごく昔からのきれいなキャンパス、美しいキャンパスの実現についても議論すべき。


○ネーミングライツを導入する際、企業は学生が集まる共通教育の施設等にはある程度関心を示してくれるが、一般的な教室、研究施設にはなかなか関心を持たないので、当該施設を訪れる人数や期待できる効果を、関心を持った企業に示す必要がある。


○建物の寄附で問題になることは、ランニングコストが増加すること。ランニングコストの部分まで併せて寄附してもらわないと、大学の負担が増える。


○大学のキャンパスを美しくするという視点は、教育の成果や研究の成果を上げるということに比べて関心が低い。大学のキャンパスの空間に対する評価指標があると、大学内の人々が身の周りや環境をよりよくしようと考えるのではないか。


○学生が卒業するまでの間に、大学への愛着を持つような経験ができれば、卒業生による大学への寄附につながる可能性がある。


○ダイバーシティーを考慮して女子、女学生あるいは女子教職員を増やすなら、まずトイレをきれいにすべき。


○女子学生に入学を決めた要因を聞くと、トイレがきれいだったということを言われた経験がある。例えば私立の高校はよく整備されている。そういった環境を出た高校生が、今の国立大学の状況を見て満足するのかを考える必要がある。


(2) 各国立大学法人等へのアンケートについて


・資料7について事務局より説明


○産学官連携など、各都道府県は様々な場面で国立大学と協働しているため、都道府県は大学の機能・役割といったものに興味が高く、意見も持っていると思われる。例えば都道府県にも国立大学の役割や重要性についてアンケートしてはどうか。


○各都道府県が大学をどう考えているかというのは、非常に重要な視点。地域貢献をうたっている大学も非常に多く、このようなアンケートは是非実施すべき。


・都道府県を対象としたアンケートを実施することが了承され、アンケート内容については主査一任で進めることとする。


(3) その他


・資料1に基づき、今後のスケジュールについて確認。

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大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

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