本検討会におけるこれまでの主な意見

1.国立大学法人等施設における現状と課題について

○施設の機能強化と学生数は、ある程度関連する問題であるため、高等教育政策と連動させながら検討する必要があるのではないか。

○老朽化に対して予算の範囲で優先順位を付けて対応することにも限度があるため、予算の確保も重要ではないか。

○土地の活用は国や自治体の理解を促すなど総合的な対処が必要ではないか。

○キャンパス移転をした大学は、将来的に施設の老朽化時期が重なることが大きな問題となるのではないか。

○計画的に修繕を行うための予算の確保が難しく、突発的な事故が発生している。

○建物以外の樹木など共通的なものの管理にも多大な費用がかかる。

○自分たちの大学を大切に使うという利用者意識の醸成が大事ではないか。

○世界最先端の研究のためには最新の施設が必要だが、適切な費用が見えづらい。

○施設の整備・更新等については目標がないため適切な費用が示せない。何にどのくらいかかるのか予算を要求するためにも指標やガイドラインが必要。

○現在の財政状況から建物の新改築は難しいため、今ある建物を100年持たせる方法について議論すべき。

○大学は運営費交付金や授業料など、様々な方法で資金を作らなくてはならない。

○大学は常に社会と共に未来を開拓する場であり、常に新たな需要がある。今後も施設整備のための費用が必要。

○教育や研究のプログラムに伴って建築物も変わっていくべき。

○Society5.0やSDGs等を考えると、大学のキャンパスは社会のモデルとなるような役割が重要。

○目指す方向性に関して、全部の大学が同じようにではなく、個々の大学がそれぞれの特色や強みを生かすことが重要。

2.老朽化対策に求められる取組について

(1)施設マネジメント関連

○老朽化した建物の中には、敷地の使い方として非効率的な建物もあり、建て替えてコンパクトにした方が、コストを削減でき、より魅力的なキャンパスに出来ることもあるのではないか。

○施設の利用状況等を把握し、利用効率を高める工夫を行いつつ、未利用の施設は縮減するなど維持管理費を削減するような取組も必要ではないか。

○地域の特性等を考え、100年後もサスティナブルな建物として残していくという考え方も大切ではないか。

○全ての老朽化した施設を長寿命化するのではなく、より効率的に歴史的なことも踏まえたキャンパスにしていく必要があるのではないか。

○財源の問題については、各大学で、スペースチャージや外部への貸し出し、ネーミングライツなど、様々な財源を確保するための取り組みを引き続き実施していく必要があるのではないか。

○学生や教員、地域の方々などの施設利用者にも、大学施設の維持には費用がかかると理解して貰うことが重要ではないか。

○施設整備については、従来のビルド&ビルドではなく、スクラップ&ビルドを視野に入れるべきではないか。

○施設の劣化状況を早く正確にチェックする方策等を、実際の研究等も参考に検討することが必要ではないか。

○25,50,75年といった定期的な改修も必要だが、普段からの維持管理も建物を長く使うためには重要。

○築35年程度で高度経済成長期の建物は旧耐震基準で建てられたため、それをずっと維持していくべきか、計画的な観点での検討が必要。

○少ない予算で小規模に立てた建物が建て詰まりしているなど、様々な条件で建てられた施設の中には、築年数によらず現代に見合わなくなった施設もある。

○旧耐震の建物で、耐震補強・機能改修等を行ったものを25年ほど使った後、再度投資するのか取壊して改築するのか判断基準が欲しい。

○既存施設では対応ができず、新しい施設整備が必要なものについての議論も必要。

○利用者が施設を大切に使うような意識の醸成も長寿命化には必要。

○保有施設の総量が増加すれば、維持管理費も増加するため、総量をある一定の枠に抑える必要がある。

○自治体や民間での取組みについてグッドプラクティスを紹介して欲しい。

○施設を残す技術は整ってきているなか、構造物の躯体や仕上げ等の延命化の議論で一番重要なのは、重要な建築物か判断すること。

○改修や建て替えのサイクルも建物ごとに異なっていいのではないか。建物にも古くなると使い勝手が悪くなるものと、教室などそれほど影響がないものがある。

○改修や建て替えのサイクルを一律に定めて修繕計画を作るのではなく、キャンパス計画全体を見据えつつ、建物ごとに必要に応じて計画を立てることが重要。

○施設のハード面・ソフト面の評価と、それらの重み付けをどうするのか検討が必要。大学毎の性格が異なるため力点の置き方は異なる。

○経済性を考えると、建て直した方がいいという結論に行きがちだが、個別の建物を残すかどうかは経済性だけではなく価値判断という別の観点も含めての検討が必要。

○鉄骨造とは違い、RC造を建て替える場合は廃棄物についても考慮が必要。

○効率性や経済性は大切だが、価値判断はものすごく重要。

○長寿命化に向けた検討フロー図について、「長期的に活用する施設」と「将来的に不要になる施設」とに振り分ける方法を示すことが重要。

○定期的な点検や維持管理は、基本的に現状をリアルタイムで把握できることが重要。どのような頻度でどのような点検や維持管理を行うのか、仕組みをより明確に提案できるといいのではないか。

○物理的なコストだけではなく、職員の人件費等も考慮してトータルコストを考える必要がある。

○教育研究ニーズを反映する体制を作ることが大切ではないか

○各大学にいる専門の教員の知見・意見が反映されるような体制作りが必要。

○大学における主役は学生である。長期的な施設の必要性を考える際には、学生のことも含めて考えるべき。

○魅力ある教育研究環境とはモノとしての環境ではなく、新たな思考を生み出せるような空間という意味に捉えてはどうか。

○キャンパスマスタープランは非常に重要であり、そこから各整備計画へと落とし込んでいくと良いと思う。

(2)個別施設の長寿命化関連の意見

○長寿命化を図るうえで、客観的な指標、メルクマールがあると良いのではないか。

○長寿命化を何年程度とするのか、その年数によっては建替えた方が良い場合もあるため、長寿命化とは何年を目指すのか整理した上で議論した方がいいのではないか。

○長寿命化は問題を先送りにする側面がある。計画的に予防保全を行ってもコストが削減できるかは分からないため、どういう目標を設定するのかを検討することが重要ではないか。

○長期的に目標を立ててやる部分と、当面対応すべき部分を分けて考える必要があるのではないか。

○従来のライフサイクルから長寿命化へと転換するイメージを全部一律に揃えることは難しい。具体的な部分は個別施設計画で分類していく必要あるのではないか。

○老朽化が進んだ施設は、かなりの費用をかけないといい状態には戻せないのではないか。

○長寿命化を考えながらやっていくものと、やめた方がいいものの切り分けも大事ではないか。

○耐用年数は物によってばらつきが大きい。実務的には劣化状況を評価し、優先順位を決めて対応することが必要ではないか。本検討会でも優先順位や診断といったことに論点の重点を置くべきではないか。

○維持管理に関するデータの蓄積が必要ではないか。

○既存の築50年の建物をさらに何年使うのかは、その時の施設の状況に応じて判断する必要がある。

○空調等の設備の更新・修繕、屋上防水は25年スパンとなっているが、空調機や屋上防水は15年程度しかもたない。部位によっては単純に時間を基準に整備の時期を示すことは問題がある。

○設備機器は25年後には部品の供給がないこともある。民間では15年程度で劣化している部分を直すことがある。15年が1つの節目ではないか。

○単純に15年、20年を目安とするのではなく、担当者が適宜見て判断することが必要。

○建築学会で耐用年数100年が提言された当時は、建物のスクラップ&ビルドを減少させ、地域環境負荷を減らす意味で100年と提言していた。

○コンクリートはメンテナンスフリーで100年もつと考えられていたが、本当にもつのか検討が必要。

○長寿命化においては、躯体の状況を調査する必要もあるのではないか。

○今ある建物の長寿命化だけではなく、内部の使い方や動線などのスペースプランニングについても考える必要がある。

○各大学では修繕や改修の優先順位の考え方に悩んでいる。優先順位の考え方として、定量的・定性的な指標を、教室棟、実験棟、研究棟など施設用途ごとに示してはどうか。

○建物を新しく建てる際は、内部を柔軟に改装できるように、アダプタビリティを高くすることが建物の長寿命化を図る際の基本ではないか。

○施設の用途等を20年、30年後まで予測することは難しいため、柔軟性を高めておくことが重要。

○日常的な維持管理によって、長期的に劣化を防止するというのは難しいが、点検等で事故発生のリスクを減少させることは、建物を長く使うための重要な方策だと思う。

○変状の有無を把握して予防保全を講じれば延命化を図ることができる。

○設備系では、年数よりも運転時間・使用時間によって劣化が進むことが多い。耐用年数で目標を設けることは重要だが、併せて点検をしっかり行うことで初めて予防保全が出来る。

○日常的な維持管理も大事だが、定期的な点検として法令点検だけではなく、建物に関する様々な点検が必要。

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