基本的な考え方について(骨子案)

目次


1.国立大学法人等施設に求められる姿

 ・国立大学の役割等

 ・国立大学法人等施設の役割等

2.国立大学法人等施設の現状と課題

(1)国立大学法人等の施設整備に関する制度等

  ・施設整備の仕組み

  ・法人化以降の施設に関わる主な制度改正等

(2)国立大学法人等施設の現状と課題

 1施設の状況

  ・老朽施設の増加

  ・老朽化による影響

 2予算等の状況

  ・施設整備費の状況

  ・維持管理費の状況

3.課題解決に求められる取組

(1)施設マネジメント

(2)長寿命化

4.施設の長寿命化に向けたライフサイクルの基本的な考え方

(1)施設の長寿命化を図るための基本的なライフサイクルの考え方

(2)適切な長寿命化をはかるために留意すべき事項や課題

5.今後の推進方策

6.長寿命化を図るための具体的な方策

(1)施設の部位ごとの耐用年数

(2)効果的・効率的な整備を図るための優先順位の考え方

(3)長寿命化を図るための具体的な取組み(事例)

国立大学法人等施設の長寿命化に向けた基本的考え方について(骨子案)

1.国立大学法人等施設に求められる姿

(国立大学の役割等)

○世界最高水準の教育研究、計画的な人材養成、全国的な高等教育の機会均等の確保、地域活性化への貢献など、多様な役割を担う

○学長がリーダーシップとマネジメント力を発揮し、確かなコスト意識と戦略的な資源配分を前提とした経営的視点で大学運営を行うことで経営力を強化


(国立大学法人等施設の役割等)

○国立大学等がその役割を果たすための基盤として、国立大学等の教育研究活動を支え、高度化・多様化する教育研究への対応

○魅力ある教育研究環境の整備により、国内外の優れた学生や研究者を惹き付け、教育研究の活性化や産学連携、国際交流を推進

○地域とともに持続的発展が可能となるよう、それぞれの地域課題の解決に取り組む地域活性化の拠点となるキャンパスとして計画

○戦略的な施設マネジメントと併せた老朽対策により保有資産の魅力を高める

○施設の長寿命化により、既存施設を最大限活用しながら、トータルコストの縮減や予算の平準化を図り、持続可能で活力ある未来を実現する

 【関連する国の計画等】

○国立大学経営力戦略(平成27年6月)

「社会変革のエンジン」として知の創出機能を最大化

○未来創造に資する「科学技術イノベーション基本計画」への進化を求める

~第5期科学技術基本計画の策定に向けた第2次提言~(平成27年3月17日日本経済団体連合会)

機能分化とガバナンス強化により、魅力と特色ある大学へ革新

○科学技術イノベーション総合戦略2017(平成29年6月2日閣議決定)

戦略的な施設マネジメントと併せた老朽対策により、施設機能の向上とともに活動スペースを創出するなど、大学等の保有資産の魅力を高めていくこと

○未来投資戦略2017(平成29年6月9日閣議決定)

大学保有資産の魅力向上・一層の有効活用に向け、施設の戦略的リノベーションを行う

○経済財政運営と改革の基本方針2017 (平成29年6月9日閣議決定)  

安全・安心な学校施設整備を推進する  

企業・大学・国立研究開発法人等におけるオープンイノベーションの推進や機能強化を図る

○インフラ長寿命化基本計画(平成25年11月インフラ長寿命化の推進に関する関係省庁連絡会議)

総合的かつ一体的にインフラをマネジメントすることにより、トータルコストの縮減や予算の平準化を図り、持続可能で活力ある未来を実現する

○質の高い社会資本整備に向けて(平成29年11月16日第15回経済財政諮問会議資料)

関係府省は、地方自治体等に対し維持管理・更新費の見通しの標準的な算定方法、長寿命化・統廃合・広域化等の今後の選択肢を判断するに当たってのベンチマーク等をガイドラインとして示すべき

○学術の総合的発展と社会のイノベーションに資する研究資金制度のあり方に関する提言(平成29年8月22日日本学術会議)

外部資金の間接経費においても設備・施設利用への負担費を位置付けて、教育研究を持続的に発展させていく態勢を構築するべき

○我が国の大学等キャンパスデザインとその整備システムの改善にむけて(平成29年9月29日日本学術会議)

大学等キャンパスは学生・教職員にとって学習・研究・教育の場として魅力的な場でなければならない(略)我が国の大学の戦略として、海外からの留学生を受け入れる視点からもキャンパス整備は重要である。(略)学生数が減少する傾向にある中で、施設の減築や再利用も考慮した再整備を、維持管理を含めた長期的なマスタープランに基づき進めていく必要がある

2.国立大学法人等施設の現状と課題

【ポイント】

○国立大学法人が抱える膨大な施設や基幹設備(ライフライン)の老朽化が急激に進行

○施設の老朽化により機能面、経営面、安全面に大きな課題

○施設の整備や維持管理を行うための施設整備費補助金や運営費交付金等は減少

○特に、厳しい財政状況の中、耐震対策がほぼ完了し、施設整備費補助金の確保が厳しい状況

○一方、制度改正等により施設の整備や維持管理に活用できる財源は多様化

○施設整備の投資は、築30~50年に集中。設備等の更新需要や建物の基本的な性能の維持に適切に対応できていない可能性【資料53)参照】

(1)国立大学法人等の施設整備に関する制度等

(施設整備の仕組み)

○施設整備費補助金を基本的な財源として新増築、大規模改修等の施設整備を実施

○運営費交付金(教育等施設基盤経費)により、施設の維持管理(修繕、点検保守等)や事務委託(清掃、警備)等を実施

○各法人の土地処分収入の一部を活用し、施設費交付金により営繕事業等を実施

○産業界等との連携や寄附等の自己収入により施設整備を実施

(法人化以降の施設に関わる主な制度改正等)

○長期借入金の対象に学生寄宿舎等が追加

○国立大学法人の業務に関わらない使途で第三者へ土地等の貸付けが可能に

○中期目標期間終了時における積立金の繰り越し理由として、長期修繕計画に基づく施設長寿命化(延命化)のためのライフライン等の整備等が明確化

○競争的資金の間接経費は、競争的資金を獲得した研究者の研究開発環境の改善や研究機関全体の機能向上に活用するために使用することとされており、使途として管理施設、研究棟、研究者交流施設等の整備、維持及び運営経費等が例示

(2)国立大学法人等施設の現状と課題  

 1施設の状況

(老朽施設の増加)

○耐震対策はほぼ完了したものの、昭和40年代から50年代にかけて整備された膨大な施設の更新時期が到来

○経年25年以上の改修を要する施設は874万㎡(全体の約30%)あり、今後5年で経年50年以上の要改修面積が現在より倍増する見込み

○基幹設備(ライフライン)の老朽化も進行。耐用年数の2倍を超えた(経年30年以上の)設備が今後5年で全体の4割を超える見込み

(老朽化による影響)

○老朽化の進行により、機能面、経営面、安全面で課題が生じている

  ・機能面(教育研究の進展等への対応が困難)

電気容量、気密性不足等による施設機能の陳腐化、建物形状による用途変更の制約、オープンラボやラーニング・コモンズ等のスペース確保が困難、 教育研究機能の低下による国際競争力、成果研究に対する信頼性の低下

  ・経営面(経営への圧迫)

老朽化した設備等による光熱水などのエネルギーロスや維持管理経費の増加、 頻繁に必要となる修繕への対応など、大学の財政負担が増加

  ・安全面(事故発生リスクの増加)

ガス配管や給排水管等の腐食、配電盤・電気配線の断線等による停電、 外壁剥落、天井落下、空調停止などの事故発生 事故による教育研究活動の中断や研究成果の消失等のリスクが増大


 2予算等の状況

(施設整備費の状況)

○施設整備費補助金は減少傾向

○近年、建物の減価償却費見合いの施設整備費補助金は確保できず、有形固定資産(建物)の残存度は年々低下。施設整備への投資以上に老朽化・陳腐化が進行

(維持管理費の状況)

○運営費交付金(教育等施設基盤経費)は法人化時に比べ約10%減少しているが、競争的資金等の増加により大学全体の収入は増加

○法改正や老朽化による事故防止のための点検保守・運転監視費等の増加により修繕費は減少

3.課題解決に求められる取組

【ポイント】

○インフラ長寿命化基本計画において、メンテナンスサイクルの構築等によりトータルコストの縮減や予算の平準化が求められている

○現状と課題を解決するためには、保有施設の総量の最適化を図るなど施設マネジメントの取組を行うとともに、施設の適切な長寿命化により既存施設を最大限活用していくことが必要

 

(1)施設マネジメント

【ポイント】

○キャンパスマスタープラン等を踏まえ、長期的に活用していく施設と将来的に不要となる施設の分類や、保有施設総量の最適化を図ることが重要

○施設状況のデータを元に、真に必要性の高い施設から重点的に整備することが必要

○老朽施設の整備により、光熱水費や維持管理費等を縮減し、維持管理に係る財源を確保するとともに、多様な財源を確保し、それを更なる施設の維持管理に還元するなど、好循環を生む施設整備の仕組みづくりについて検討することが必要

 

○大学の理念を踏まえ、長期的視点から策定されたキャンパスマスタープランとの整合性を図りながら、長期的に活用していく施設と将来的に不要となる施設の分類や、保有施設総量の最適化を図ることが重要

○膨大な老朽施設を効果的・効率的に整備を行うため、施設の劣化状況や教育研究ニーズへの適応状況等を適切に把握し、各部局等で個別に保有している施設に関する情報をテーダベース化などにより全学的な情報として整理・分析することが重要

○施設の整備には多額の費用が必要であるため、長期的視点に立って今後の施設の活用や整備に係る費用、将来の財政状況の見通しを立てたうえで、真に必要性の高い施設から重点的に整備することが必要

○老朽施設の整備により、光熱水費や維持管理費等を縮減し、維持管理に係る財源を確保するとともに、スペースチャージや土地の貸付け等による多様な財源を確保し、それを更なる施設の維持管理に還元するなど、好循環を生む施設整備の仕組みづくりについて検討することが必要


(2)長寿命化

【ポイント】

○限られた予算の中で、国立大学法人等が抱える膨大な施設を効果的・効率的に整備するためには、施設の老朽化対策として長寿命化により既存施設を最大限活用することが重要

○各施設の長寿命化にあたっては、適切な維持管理と共に、どのタイミングでどの程度の整備を行うべきか、各施設の特性等に応じたライフサイクルを検討することが重要

 

≪以下は、【資料5】基本的な考え方について(主な論点案)を参照≫

4.施設の長寿命化に向けたライフサイクルの基本的な考え方

(1)施設の長寿命化を図るための基本的なライフサイクルの考え方

(2)適切な長寿命化を図るために留意すべき事項や課題

5.今後の推進方策

今後の議論やアンケート調査等を踏まえ整理

6.長寿命化を図るための具体的な方策

※以下の項目については、今年度に項目の整理を行いつつ、来年度以降、具体的に検討

(1)施設の部位ごとの耐用年数

(2)効果的・効率的な整備を図るための優先順位の考え方

(3)長寿命化を図るための具体的な取組み(事例)

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大臣官房文教施設部参事官付(技術担当)

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