学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(平成28年度~)(第6回)・小中学校施設部会(平成30年度~)(第5回)合同会議 議事要旨

1.日時

平成31年1月24日(木曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 小・中学校施設整備指針の改訂に向けた検討
  2. その他

4.出席者

委員

五十嵐智浩,伊藤俊介,岩﨑元,上野淳,片田敏孝,小泉治,斎尾直子,志村秀明,高際伊都子,田原優子,長澤悟,野中陽一,古内久,山重慎二,山下文一(敬称略)
(特別協力者)森政之,屋敷和佳(敬称略)

文部科学省

【大臣官房文教施設企画・防災部】平井文教施設企画部長,山﨑技術参事官,山川施設企画課長,西村施設企画課企画調整官,松下施設企画課課長補佐,木村施設助成課課長補佐
【初等中等教育局】教育課程課教育課程企画室
【高等教育局私学部】私学助成課

5.議事要旨

・事務局より資料1~3に基づき,小中学校施設部会検討の経緯,これまでの議論における主な意見,報告書(案)について説明。
・各委員による意見交換。

(○委員の発言,●事務局の発言)

○学校の統廃合が進んでいる点は,計画的に長寿命化改修を進めていく上でも重要な背景であり,報告書に何らかの形で触れた方が良い。

○急激に児童数が増えた地域では,まず学校施設を確保することに意識が向いてしまいがちだが,そのような場合でも,地域における学校のあり方を十分に考慮することが重要,という視点を盛り込む必要があるのではないか。

○都市部と地方の子供たちの交流の場として,使われなくなった学校施設を利用していくことも考えていく必要があるのではないか。

○グローバル化が進んでいるため,国際交流ができるような空間作りや地域への愛着が育まれるような「まちの個性」を学校施設の中に取り入れていくことが重要である。

○小規模校がこれからも増えることは確実であり,通学のための圏域を考えると,これ以上の統廃合が難しい地域も出てきている。このような地域については,一般的な基準で学校施設を考えるのではなく,地域特性に応じた小規模校の在り方についても考えていく必要が出てきている。

○学校施設の複合化では,セキュリティの確保は重要であるが,改めて,公共施設を複合化することによる相乗効果が図れるような計画が重要である点も示してはどうか。

○近年,仮設校舎を長期間使用する事例が増えており,仮設校舎の質向上についても目を向けていく必要が生じてきている。

○一校当たりの児童生徒数やクラス規模別の学校数などのデータがあると議論が深まるのではないか。

○地域の防災拠点として学校が利用される,ということを,もっと前向きに受け止め,「地域の拠点」という立場から学校施設の整備を充実していく重要性を示せると良い。

○日常的にICTを活用できる環境の重要性に触れる中で,教室の広さを確保する重要性についても触れられると良い。

○少子高齢化は子どもの数が減るだけでなく,教員や学校に関わる人材の不足も大きな課題となっており,対応策としてAI等の技術革新を取り入れていくことも重要になってきている。

○学校現場では「家庭支援」が大きな課題であり,これに対応するため,医療機関や子育て支援機関等との連携を進めていくことが重要である。

○災害時に避難所となった学校を再開する際,教員は避難所への対応から十分な教育活動を行えないことが多い。学校を長期に避難生活することを前提とした避難所に位置づけるのであれば,防災部局との連携や切り分けが不可欠。

○ICTの整備の充実に関連して,SDGsの理念についても触れた方が良い。

○日常的にICTを活用できる環境づくりとして,「大型掲示装置は教室内への設置」ではなく「常設」とすることが重要である。また校務支援システムは,「統合型校務支援システム」の導入が重要であることをまず記載し,その上で学習者が使うネットワークと教職員が使うものを分けることが重要である点を明確に書いた方が良い。

○ICTについては「EdTechに必要なインフラとしてのICT」という表現も入れると良い。

○新たな幼稚園教育要領や学習指導要領では,幼小接続が重要とされている。そのため,特に幼稚園と小学校が一体となった施設の場合には,お互いの交流が促進できるような工夫が重要,という視点を盛り込めると良い。

○複式学級への対応やICTを活用した他校との交流,という視点も盛り込めると良い。

○光環境に関連して,自然光の重要性についても触れられると良い。

○学校の規模に合った機能空間構成やゾーニングにするという視点は重要である。

○インクルーシブ教育が進んできており,通級指導や普通学級との交流など,幅広い特性の子供が同じ教室で勉強する場面が増えてきており,落ち着いて勉強できる環境について施設計画における配慮が重要になってきている。

○小・中学校で特別支援教育を受ける児童生徒の数が増えており,特別支援学級の配置や,普通学級と特別支援学級の行き来に対する動線上の配慮などが学校計画において重要になってきている。また,特別支援学級に在籍していなくても,発達障害のある児童生徒が7~10パーセントいると言われており,学校が優しく守ってあげるような環境づくり,という観点も整備指針において大事な観点となるのではないか。

○オープン型の教室などでは特別な支援を必要とする子供が落ち着かなくて困っているという話も聞く。教室空間の望ましい形について,もう少し考える必要がある。

○アクティブ・ラーニングに対応した様々な教室空間について,利点もあるが,空調効率や音などの不具合もあるので,それらも含めて整理できると良い。

○学校施設が高機能化しても先生方が忙しく使いこなせない状況もある。また,生徒指導上,有効な校舎や空間の在り方という観点も重要。

○個々の学校の施設の質を高めていくことも重要だが,子供から大人まで様々な人が使用できる高機能な拠点となる施設を,市のような行政単位でつくり,学校などと連携して利用していくことは先端技術の体験という面からも重要だと考えている。

○東京都の高等学校では,広域通信制高校の希望者が大幅に増加した。広域通信制の学校では,日常的な学習は学校以外で行うことになるが,どのような環境でなければいけないかというルールがないため,今後の検討課題であると思う。

○日本語の「避難」という言葉は英単語のevacuation(命を守るための避難),sheltering(シェルターとしての活用),refugee(避難が長引いた状態)の三つの概念が混濁して使われているところがある。この3つめのrefugeeという状態では教育機能の回復に支障が出てきてしまうため,文教施設が避難所利用されることに対して,ある一定の指針を示すことは,学校現場のためにも重要ではないか。

○学校環境を考える上で,いつ,どこで,誰が,どのように教育を行うのか,という前提条件が問い直されている。それぞれの課題を整理し,その枠の中で,この報告書が書かれているということが伝わるよう,表現の仕方を工夫していきたい。

・以上で,意見交換を終了。
・事務局から,資料4~5に基づき,環境教育に活用できる学校施設検討部会の設置及び今後のスケジュールについて説明。
―了―

お問合せ先

大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課

指導第一係

(大臣官房文教施設企画・防災部施設企画課)