学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(平成28年度~)(第3回) 議事要旨

1.日時

平成29年11月16日(木曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 幼稚園施設整備指針改訂に向けた検討
  2. その他

4.出席者

委員

(委員) 伊藤 俊介,岩﨑 元,上野 淳,片田 敏孝,高際 伊都子,長澤 悟,野中 陽一,野本 宏一,樋口直宏,山重慎二,山下文一(敬称略)
(特別協力者) 屋敷 和佳,(敬称略)

文部科学省

【大臣官房文教施設企画部】 山下文教施設企画部長,山川施設企画課長,小谷施設助成課企画官,金光施設企画課企画調整官,西村施設企画課課長補佐,平野施設企画課課長補佐
【初等中等教育局】 本田幼児教育課子育て支援指導官 

5.議事要旨

・長澤部会長より資料1に基づき,幼稚園施設部会での検討の経緯について説明。
・事務局から,資料2に基づき,視察報告。
・視察報告に関して,意見交換。

(○委員の発言,●事務局の発言)

○幼稚園は,園の教育理念が施設整備によく表れている。社会状況が大きく変わっていく中で,新たな課題が生じ,それに応じた施設環境の変化が求められる。その観点から,他の学校種と異なり,環境に可塑性や可変性を持たせているという点が,幼稚園施設における大きな特徴であり重要な点であると感じた。

○部会では,遊びを通して環境への対応力を育てていく中で発生する小さなけがについてどう考えるべきかという点や,地域の中で子供が育つという観点も大切という発言もあった。

○幼稚園教育要領の中に環境を通して行う教育の重要性が明記されており,視察では,各幼稚園が時間をかけて,個々の理念に沿った環境を作り上げてきていることがよくわかった。

○公共施設の複合化が進んでいる中で,幼稚園において,セキュリティや安全性の確保について工夫されている事例があれば教えてほしい。

●複合化におけるセキュリティ管理に関しては,平成27年に報告書をまとめた際に,動線を限定するか,あるいは人から見えるような環境を作るかという2つのやり方があるという意見があった。今回の視察に関して言えば,複合化の事例がなかったことから,特に課題等は聞いていない。

○各園,不審者への対策や幼児の受渡しには気を遣っており,施設面において言えば,周囲と領域を明確に区切り,その空間を豊かにつくりつつ,常に人の目が届くようにしていた。また,施設自体がコンパクトという点もセキュリティの確保に大きく寄与している。

○私立など比較的大きな幼稚園の場合で,例えば、通園する時間帯や行事を行う際などに近隣の住民に配慮している点や,各園で努力している点があれば教えてほしい。

●今回の視察先ではないが,都内の住宅街にある幼稚園では,行事の前に近隣に書面で知らせるなど,理解を得るため粘り強く向き合っていると伺った。

○美晴幼稚園では本園の他に離れた敷地(プレイガーデン)と建物(プレイホール)を有しているが,使用頻度や園児の移動,建物の管理はどのように行っているのか。

●週2~3回の使用であり,バスでの移動が基本。また,プレイガーデンに経営母体を同じくする保育園があり職員が常駐しているため,その職員が建物の管理を行っていると伺っている。

・事務局より資料3に基づき,幼稚園施設部会での検討経過の報告について,資料4に基づき幼稚園施設部会(第3回)における主な意見について説明。
・資料3,4に関して,意見交換。

(○委員の発言,●事務局の発言)

○周りにあるリスクを全て取り除くのではなく,遊びを通して,自分で楽しさを見つけながら,リスクを回避する力を身につけていく,という視点はとても重要。この観点から,資料4の2段落目の表現の方が合っているのではないか。

○幼稚園教育要領では,小学校との連携や接続の推進が重視されている。このことについて,施設面として配慮すべき事項があれば記載してはどうか。

○「こども園」というもの自体を着眼点に入れてはどうか。また,取り上げられている事例は最先端のものが多いため,より一般的な園も参考にしやすい事例も掲載できるとよい。

●施設整備指針の主たる対象は幼稚園であるが,認定こども園も対象外ではなく,乳児の在籍を前提とした施設の留意事項について記載されている。わかりやすさの観点から,指針の構成や表現も工夫してまいりたい。着眼点に「こども園」を取り上げるか否かについては,今後部会で検討してまいりたい。

○取り上げられている事例を一種のモデルや理想とするのであれば,幼稚園施設整備指針の中に,そういった環境を作る重要性や必要性を盛り込み,今日のいわゆる先進例での取り組みを広く一般化させる意思を示した方が良いのではないか。

○9ページに特別な配慮を必要とする子供のために建築材料を工夫するとの記述があるが,オープンスペース等で,聴覚過敏の子供でなくても,音環境・視覚環境として刺激が多すぎると思う場面ケースをよく見かける。落ち着いた環境も必要である,という観点も入れる必要があるのではないか。

○平成22年と29年の大きな違いはこども園の数の増加にあると思う。そのような中で,幼稚園の教育に関することと,幼稚園で長時間生活することに関わる工夫が混在している感じがする。本報告書案の冒頭部分でしっかりと書き込んだ方が,読む側が理解しやすいと思う。

○4ページの対象施設について,幼稚園やこども園等の比率は地域によって様々なことを踏まえ,幼稚園しか議論しないという書きぶりではなく,例えば、幼稚園としての機能も持つ認定こども園で,その共通する部分について記載する,というような記載があっても良いのではないか。

○6ページの「家庭や地域等の連携・協働」という部分に,園に来る方や関わりのある方以外の地域の方々の理解をいかに得られるかといった視点を盛り込めるとよい。

○個々の幼稚園は多様であることから,教育方針が異なると事例が全く参考にならない。規模や人数のみならず,教育理念や預かり保育の実施の有無,送迎方法等,より詳細な情報も付記した方が参考になるだろう。

○地域との連携において,セキュリティ面への配慮はとても重要であり,その確保について具体的なイメージを持って伝えられると良い。

○限定的ではあるが,幼稚園教育要領においても情報機器の活用に関する記述がある。このことを踏まえ,ICT活用に関しても何か留意点を入れた方がよいのではないか。

○幼稚園施設整備指針の書きぶりに関して,現状の記述だと網羅的な記述にとどまり,なぜそれを設置することが望ましいのかという理由がわかりにくいため,少し工夫できるとよい。

○保育園,こども園,幼稚園等におけるそれぞれの基準に,今度改訂する施設整備指針の内容が抵触していないことを,念のため整理しておいた方がよい。

・以上で,意見交換を終了。
・最後に事務局から,今後のスケジュールについて説明し,会議を終了。

―了―


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