資料2 これまでの議論における主な意見

1.新学習指導要領への対応

  • 社会に開かれた教育課程ということに関わってくるが、コミュニティ・スクールと施設の在り方、という視点も重要。
  •  施設面の改善が教育の質の向上に寄与する側面をとらえ,施設整備から見たカリキュラム・マネジメントの在り方が提起できると良い。
  •  アクティブ・ラーニングや地域連携など、組織として検討・対応が必要となることもあるかと思うが、従来の職員室でよいのか、という視点も必要。
  •  子供たちが対話を含めて丁寧に学習活動を進めていくためには,少人数学習に対応できる空間が重要。
  •  中学や高校では、教科横断的な考え方が重要になってくる。教科の独立性が高い教科教室型の学校などでも、どのような空間づくりが教科横断を促進させることができるのか、という視点も検討が必要。
  •  従来の室名にとらわれず,そこで行う活動に着目して,スペースや機能等の必要性をまとめることも検討する必要はないか。
  •  新学習指導要領への対応からも、教室周りの空間の在り方は、議論すべき重要な観点。
  •  アクティブ・ラーニングなど学びの質向上に向けた取組が進んできたことも踏まえ,旧来のものから変わっていない机や椅子について在り方を議論することも必要ではないか。
  •  家具と空間施設が室内環境として一体となり、様々な活動を支えていることからも、家具も含めて一貫した計画・整備ができる仕組みがあると良い。
  •  主体的・対話的で深い学びの実現に関して、施設面では、対話のできる環境をどのように作って深い学びにつなげていくか、という視点が重要になってくると思う。ラーニング・コモンズなどが例として考えられるが、報告書の中でどのように扱い強調していくか検討が必要。
  •  現状、かなりの部分の学習活動が普通教室で行われていることを考えると、ラーニング・コモンズやオープンスペースといった教室回りとともに、普通教室自体も多様な学習に対応できる豊かな環境にしていくことが重要。
  •  普通教室に自由度の高い空間を付属させて学習環境を豊かにしていく、という考え方がある一方で、一斉授業も多様な学習形態の一つとしてとらえ、普通教室という枠組みにとらわれず、自由度の高い空間の中に一斉授業もできる場を用意しておく、という考え方もある。


2.ICTを活用できる施設整備

  • タブレット端末等ICT機器を使った学習が日常的に可能な教室環境の在り方や,職員室の環境についても議論が必要。
  •  主体的・対話的で深い学びを行う上で,複式学級など子供の数が少ない環境では,学校間だけではなく,他の教育施設を結ぶICTの整備も重要。
  •  新学習指導要領では基盤となる資質・能力に情報活用能力が位置づけられた。日常的な活用のためには、大型の提示装置など普通教室の情報化対応が非常に重要。あわせて、タブレット等情報端末の収納場所や充電場所、無線LAN等のネットワーク環境を普通教室に整備することなども重要な視点。

3.インクルーシブ教育への対応

  •  インクルーシブ教育システムの充実や合理的配慮への対応について、施設のバリアフリー化を含めどのように進めていくかは、引き続き課題。
  •  特別支援教育は、対象となる児童生徒数の数や状態が大きく変わるので、自由度の高い空間を用意し、毎年の変動に応じて柔軟にスペースを構築していくようなシステムが有効。
  •  外国籍の子どもたちへの対応や国際化人材を育てるための学校の在り方という観点も今日的な背景の一つとして触れても良いのではないか。

4.教職員の働く場としての機能向上

  • 多様化が進む子供に対応する教員が十分に勉強や研修を行える環境づくりが重要。
  •  教員の働き方に関連して、大規模校より小規模校の教員の方がストレスを高めやすいという報告もある。また、コピー機など機材数の少なさが長時間労働の一因となっている事例もあった。教員の働き方改革に対して、空間を設計する立場から一定の提言をすることには大きな意義がある。
  • 職員室に作業や打合せ,リフレッシュなどができる多目的な共有スペースがあると良い。
  • 教職員スペースは、休憩スペースの充実にとどまらず、働く環境としてどうあるべきかという視点での議論が必要。

5.地域との連携・協働の推進

  • 地域住民との連携・交流スペースについては,計画段階から必要性や活用方法について議論をしておくことが必要。
  • 複合化を行う上で、常に安全管理とのバランスが課題。学校敷地の中だけでなく,地域全体で子供たちの安全性を確保するという視点も重要。
  • 財政規模が縮小している自治体においては学校施設という単体ではなく,学校群あるいは地域の公共施設と一緒に施設整備を考えることが必要になってきている。
  • 複合化に関して、従来は学校施設が主で、そこに他の公共施設を複合化するというものが多かったが、小規模校が増える中、学校が副となり、複合化された施設を使うということも可能性としてあるのではないか。
  • 複合化が進んでおり、学校施設の中にも空調されたスペースが増えてきていることから、改修の場合も含めて省エネの効率を高めていくことも重要な視点。
  • 児童生徒の放課後の居場所を確保することも重要。
  • 学校の環境をつくる上で、ソフトとハードを結び付けるコーディネーター役を担う人材や組織の在り方を検討していくことも必要。
  • 発注者と設計者だけで設計を進めていくのではなく、学識経験者や地域の方も含めて検討した学校は非常に高いレベルの施設計画になっているように感じた。学校施設を計画するときの体制についても言及できると良い。
  •  学校をチームとして支える方々のスペースは、情報セキュリティの観点からも教職員の休憩スペースと一緒にするのではなく独立して設けることや、一方で教職員との連携のためどのような配置が望ましいかなど、その在り方を含めしっかりと記載した方が良い。

6.学校施設の機能向上

  • 学校施設についても「居住性の向上」という基本的な視点で、温熱環境などについて議論していくことが必要。
  • 正しく効果の高い省エネのやり方など、使い手に対する情報発信や啓発は引き続き重要。
  • ブロック塀などの囲障を含め、学校施設の安全性を高めていくことは引き続き重要。
  • 様々な教育用具等を効率的に収納できるスペースを設けることは,空間を豊かに使うためにも重要。
  • 現状における学校施設整備の最大の懸案は老朽対策。施設整備指針にも既存施設の機能等を向上する方法に関した記述を充実させる必要があるのではないか。

7.変化に対応できる施設整備

  • 学校施設の長寿命化が進められる中,教育の様々な変化に施設がついていけるよう、長期的な視点を持った施設整備が重要。

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