小中学校施設部会(平成30年度~)(第3回) 議事要旨

1.日時

平成30年10月2日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館5階 5F7会議室

3.議題

  1. 視察報告
  2. 小・中学校施設整備指針改訂に向けた検討
  3. その他

4.出席者

委員

(委員) 天笠茂,伊藤俊介,岩﨑元,川越豊彦,倉斗綾子,小泉治,斎尾直子,田原優子,長澤悟,野中陽一,樋口直宏(敬称略)
(特別協力者)森政之(敬称略)

文部科学省

山川施設企画課長,齋藤施設助成課企画官,西村施設企画課課長補佐

5.議事要旨

・事務局より資料1に基づき,視察報告(後半)について説明。
・各委員より,補足説明等。

○丸岡南中学校では,異学年各1クラスずつを1単位とするクラスター制が敷かれているとのことだが,この制度は福井県では一般的なのか。

○福井県では,教科ごとに,例えば1-1,2-1,3-1のように縦割りで教員がクラスを受け持つのが一般的,とのことだった。異学年の生徒がクラスター制をとるのは丸岡南中学校独自の取組。丸岡南中学校は,クラスごとに割り振られた教科教室を,学年ではなく,クラスター単位でゾーン分けし,異学年との交流が持ちやすくなっているのが特徴的だった。

○中学校ではクラスの学習効果を上げるため,クラスの集団作りが重要。今回の視察報告で紹介された教科教室型の学校にはホームベースが備えられているが,広さや形態などを教えてほしい。また教科と学級の掲示物をどのように区分けして掲示しているのか,生徒は毎時間ホームベースに戻って教科教室に向かうのか,について教えてほしい。

●今回の視察校については,すべて教室の半分程度のサイズの空間にロッカーと簡単な机,イスの置かれたホームベースを持つ形式だった。

○掲示について,教室は教科の掲示,ホームベースに学級の掲示を行っている場合が多い。

○同志社中学校では,生徒1人1台持っているタブレットで学級の情報を展開して補完されていた。

○生徒の移動について,長岡市立東中学校では2時間目と3時間目の間や昼休みなどの長い休み時間があるときにホームベースに戻って教科書などを入れ替えている,とのことだった。

○インクルーシブ教育は今回の学習指導要領の改訂において大きく打ち出されており,糸魚川小学校の事例は,具体的な対応の一つとして捉えることができる。

○視察事例を報告書に掲載する際,教育課程に関する情報も入れた方が良い。

○事例を紹介する際には,敷地面積や敷地周りの状況,地域特性を記載するなど,施設概要の基本情報をより充実すると良い。

○防災や複合化,特別支援教育との連携は,今後,より注目される観点だろう。

○今回の視察校では,教職員の休憩場所が確保されているところがあり安心した。そのような休憩場所を設置した学校において,教職員の精神的負荷の軽減に効果があったのかどうか,ということも言えると良い。

○事例を紹介する際は,配置図と方位を入れてほしい。

○発注者と設計者だけで設計を進めていくのではなく,学識経験者や地域の方も含めて検討した学校は非常に高いレベルの施設計画になっているように感じた。学校施設を計画するときの体制についても言及できると良い。

・事務局より資料2に基づき,今までの議論における主な意見について説明。
・各委員の意見交換。

○ 複合化に関して,従来は学校施設が主で,そこに他の公共施設を複合化するというものが多かったが,小規模校が増える中,学校が副となり,複合化された施設を使うということも可能性としてあるのではないか。

○教職員スペースは,休憩スペースの充実にとどまらず,働く環境としてどうあるべきかという視点での議論が必要。また,アクティブラーニングや地域連携など,組織として検討・対応が必要となることもあるかと思うが,従来の職員室でよいのか,という視点も必要。

○学校が主体となって複合化施設を管理していく事例は多く,課題は出そろってきている。今後は地域が主体の施設を,学校が使う場合の課題を明らかにしていくことが重要。

○近年,児童数の増減を予測できない地域が多くなっている。地域の児童数の増加によって,多様な活用ができていたスペースが普通教室になるなど,教室環境は大きく変化する。人口推計の精度を上げるような研究も必要だと思うが,何かしら指針のようなものがあると良い。

○社会に開かれた教育課程ということに関わってくるが,コミュニティ・スクールと施設の在り方,という視点も重要。地域との関係作りにおいて,ハードとしてどのように対応しているのか。

○中学や高校では,教科横断的な考え方が重要になってくる。教科の独立性が高い教科教室型の学校などでも,どのような空間づくりが教科横断を促進させることができるのか,という視点も検討が必要。

○教員の働き方に関連して,大規模校より小規模校の教員の方がストレスを高めやすいという報告もある。また,コピー機など機材数の少なさが長時間労働の一因となっている事例もあった。教員の働き方改革に対して,空間を設計する立場から一定の提言をすることには大きな意義がある。

○新学習指導要領では基盤となる資質・能力に情報活用能力が位置づけられた。日常的な活用のためには,大型の提示装置など普通教室の情報化対応が非常に重要。あわせて,タブレット等情報端末の収納場所や充電場所,無線LAN等のネットワーク環境を普通教室に整備することなども重要な視点。

○多様な活動に対応できるよう,教室の広さや机の大きさも含めて,普通教室の在り方を考えていくことも必要ではないか。また職員室についても同様に,スペースに余裕があり,レイアウトも変更可能なものにしていくことが重要ではないか。

○複合化が進んでおり,学校施設の中にも空調されたスペースが増えてきていることから,改修の場合も含めて省エネの効率を高めていくことも重要な視点。

○新学習指導要領への対応を考えたとき,主体的・対話的で深い学びの「対話的」に注目が集まりすぎている印象がある。単元によっては一斉指導が適した内容もあるため,施設整備についても多様な指導形態・学習形態に柔軟に対応できる環境であってほしい。

○学校施設についても「居住性の向上」という基本的な視点で議論していくことが必要。

○正しく効果の高い省エネのやり方など,使い手に対する情報発信や啓発は引き続き重要。

○避難所としての役割や猛暑への対策を含め,児童・生徒の健康面からも,空調設備についてもう少し踏み込んで記載できると良い。

○普通教室で学ぶ発達障害のある子供たちが増えている。インクルーシブ教育という観点から,教室環境の面でサポートできるような提案ができたら良い。

○異学年や異校種の児童生徒が,交流したり滞在できるスペースがあるとよい。

○新学習指導要領への対応からも,教室周りの空間の在り方は,議論すべき重要な観点。

○図書室やコンピューター室,特別教室,管理諸室の施設・設備の在り方について,今日の教育目標や教育内容,教育活動に照らし合わせて捉え直すことも課題の一つ。

○家具と空間施設が室内環境として一体となり,様々な活動を支えていることからも,家具も含めて一貫した計画・整備ができる仕組みがあると良い。

○防災・防犯も重要な課題。

○インクルーシブ教育や複合化,新しい学習指導要領への対応等を,総合的に,学校という総体の中で捉えなおす必要があるのではないか。

・以上で,意見交換を終了。
・事務局から,資料3に基づき,今後のスケジュールについて説明。

―了―

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