資料2 前回会議(第1回)における主な意見

「検討に際しての論点(例)」(第1回配付資料)に、第1回における主な意見を記載。

1.国立大学法人等における課題に対応した施設の取組

老朽化した膨大なストックの長寿命化・安全性確保を前提に、以下のような課題にどう対応するか
(1)大学の機能強化等を促進する施設整備
○大学の強みや特色を生かした機能強化を活性化させるため、施設はどのような状況で、今後どのような施設が必要か
(必要な整備の例)

  • グローバル人材育成やイノベーション創出、地域再生の取組等を活性化させる施設やキャンパスの整備、施設マネジメント
  • 学生の主体的な学びの活性化に向けた多様な学習支援環境の整備
  • 陳腐化・硬直化した施設機能の質的改善
  • 医療政策(機能分化等)に対応した、効果的な病院施設の整備
  • 大学の個性・特色を醸しだし、歴史を継承するための施設整備

(主な意見)
○大学の研究力を強化するにはグローバル化が大きなポイントだが、立派な外国人客員研究者を呼ぶには、家族まで含めると広い宿舎が必要となるので、なかなか呼ぶことができない問題がある。
○留学生の数を増やすことを含め、長いスケールでグローバル化を進めていく必要がある。施設不足が1つのネックとなっていることは確かであり、グローバル化に対応するための施設整備を推進すべき。
○今後、人口が減少していくなかで、留学生の数を増やして日本に定着してもらうサステイナブルな社会を目指すといいと思うが、キャンパス近くに留学生・外国人研究者の宿舎を充実させてほしい。中国の大学では、キャンパスの中に非常に充実した宿舎があって、生活し勉強もできる環境が用意されている。
○外国から日本に多くの留学生が来ることにより、多くの日本人の学生が国際化を肌身をもって知ることが非常に大事である。
○アジアの大学には、グローバル化に対応して、留学生寮の整備や新しい学修環境創出が進んでいる事例がある。
○我が国に魅力あるキャンパスが多くない理由は、1安全確保のための耐震改修の予算が中心だったこと、2研究室、実験室等の私的空間への要望に応えてきたが、皆で共有する空間、ラーニングコモンズ、外部の環境などのパブリックスペースに十分な配慮がされてこなかったことがあげられる。
○キャンパスを街のように計画することにより、美しいキャンパス、交流が活発な出会いが生まれると思う。同窓生、地域企業からの寄附の動機付け、地域資産として愛されることにもつながるのではないか。
○パブリックスペースは、キャンパスの重要なインフラと考えるべき。
○パブリックスペースは、学生がお互いに交流したり、自学自習を進めるためだけでなく、プレッシャーの中で最先端の研究を行っている大学院生やポスドクに対しても、日常的に異分野の人などと様々な情報交換、交流を深められるように整備すれば、研究不正も大分減るのではないか。
○海外の大学では、改修により工夫して新しい公共スペースを生み出している事例がある。


(2)施設の基本的機能の確保
○大学として活動する上で必要な施設の基本的機能について、どのような状況で、今後どのような改善が必要か

(必要な整備の例)

  • 老朽化対策(長寿命化、安全性確保、機能回復、教育研究診療活動の基盤のサステイナビリティの確保)
  • 防災機能の強化
  • 地球温暖化対策への一層の貢献、次世代の社会のモデルとしての活用
  • 障害のある学生、地域住民、留学生や外国人研究者、女性研究者等の多様な利用者への配慮

(主な意見)
○老朽施設について、単なる補修で終わらせず、グリーンキャンパス、スマートキャンパスといった新しい価値に組み替えていくよう再投資して、創造的に再生を行う考え方も必要。
○運営費交付金が減っているなか、電気料金の高騰や消費税率の引き上げにより予算は一層圧迫されており、キャンパス全体でエネルギーマネジメントを考えていく必要がある。
○建物をつくることとエネルギーを減らすことを一緒に考えていく仕組みが必要ではないか。
○企業でも、スマートコミュニティの実現に向け、CO2削減やエネルギーマネジメントに取組んでおり、大学においても非常に重要。
○2008年のG8大学サミットでの札幌サステイナブル宣言にあるように、キャンパスを活用して、実験の場と同時に理想的な教材として次世代の社会作りに貢献する視点も重要。また、こうした視点で地域との関係を考えてキャンパスを計画していくことが必要。
○米国のように、学長のリーダーシップで環境対策をリードするような取組も重要。
○キャンパスマスタープランの策定、運用、パブリックスペースの充実、可変性のある空間の確保、環境配慮型建築への転換、安全・安心への配慮をきっちりやりながら、持続可能な大学施設、キャンパス設計を考える必要がある。これを実現することによって、社会教材としての大学キャンパスとなっていくのではないか。
○施設をいろいろな用途で使えるよう、可変性(フレキシビリティ)を確保することが大事である。例えば、大きな機器を入れた実験プロジェクト終了後に別なプロジェクトが使えるようにすることは、階高を確保したゆとりある設計を考える必要があり、サステイナビリティ、長寿命化につながるものである。
○民間の研究所、オフィスは、知的生産性や知識創造性をいかに高めるか、施設面で色々な提案が行われており、それが施設の魅力につながっていると思う。

2.今後の国立大学法人等施設整備の進め方等

(1)各大学における施設整備計画の策定
○各大学等が、強みや特色を生かした機能強化を活性化させるため、キャンパスマスタープラン等において、基本方針等で重点的課題を明確にした上で、施設整備計画を検討


(主な意見)
○まず、大学の理念、ミッションがあり、それを踏まえキャンパスマスタープランを策定し、PDCAがうまく回るようにすべき。
○現時点では、キャンパス計画について、時間や空間から全体を見渡して考えられる人がいない。理念を実現していくには、50年後を見据えた中での5か年計画を考えるべき。
○大学の使命、経営、キャンパスという環境のバランスをとりながら、公共性の高い環境から順番に整備投資を行うことや、良好な維持管理を継続的に行えるよう施設の規模を設定することが重要。

(2)国における施設整備推進の基本的な考え方、内容等の設定等
■施設整備計画等
1 投資効果の明確化、整備量の設定
・成果指標・成果目標の設定
・施設整備量の目標(面積)の設定、投資額の検討
2 計画的・重点的な予算配分
・大学の機能強化を促進するための施設整備費のメリハリある配分の在り方
・施設の基本的機能を確保のための施設整備費の計画的な配分の在り方
3 施設整備による教育研究上の効果等を一層活性化させるための方策

(主な意見)
○今後、質的向上を図る必要があるが、目標の設定に当たって共通化にこだわり過ぎると、各大学の個性化を妨げることにつながるので、注意が必要ではないか。
○海外の魅力的なキャンパスと比較すると、日本の大学は相当見劣りする。単に老朽化対策にとどまらずに、海外から来たくなるようなキャンパスにしていくための十分な投資規模とすることが必要でないか。
○キャンパスマスタープランのステップアップとして、例えば、スマートキャンパスのような次の社会モデルを想定してチャレンジしている取組に対して、実践しやすくなるよう支援してはどうか。
○欧米の大学の例のように、実験の場、理想的な教材となる環境に配慮したキャンパス整備を我が国で目指すには、年次計画で進めるより、一気に予算をつける仕組みを考える必要がある。
○建物への支援だけでなくオープンスペースにも支援できるようにするなど施設整備費をもう少し使い勝手のよいものにしてはどうか。
○IPCC第5次のWGのレポートにおいて、建築的な配慮によって低炭素化を進めると、知的生産性の向上、活動する人の健康状態がよくなる高ベネフィットがあり、気候変動の緩和にもつながる趣旨が盛り込まれる予定。キャンパスの議論の際にも視点として入れていってはどうか。


■施設整備におけるシステム改革
1 戦略的な施設マネジメントの推進方策
・大学の機能強化や、教育研究組織の再編成等の戦略に基づく、スペース・コスト・クオリティが一体となった施設マネジメントの推進方策
・既存施設の有効活用を促進する方策(大学間の施設等の共同利用も含む)
・地域と連携した施設整備の促進方策
※「国立大学等施設の総合マネジメントに関する検討会」の検討を基に議論

(主な意見)
○スペースを作っても使わなければ何もならない。スペースを経営資源としてとらえ、使い方を評価し、きちんと使うようにするなど、PDCAサイクルをいかに上手く回すかが、サステイナビリティにもなるのではないか。評価しながら軌道修正できるように考えていくべき。

2 多様な財源を活用した施設整備の促進方策
・新たな財源を呼び込む方策(民間資金を活用した整備方策、改修整備への寄附金獲得など)

(3)国と国立大学法人等に求められる役割、及び連携・協力して施設整備を進めるための方策

(主な意見)
○各大学が、大学改革全体の中で施設全体について長期的な視点で考えられるよう、国において方策を考えてほしい。
○国内外を比較すると、我が国においては、キャンパス全体を見通しながら次のキャンパスの有り様をデザインできる人材育成について考える必要がある。

 

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