学校施設における非構造部材の耐震対策の推進に関する調査研究(第1回) 議事要旨

1.日時

平成24年5月30日(水曜日)14時半~16時半

2.場所

文部科学省省議室(東館11階)

3.議題

  1. 東日本大震災における学校施設の非構造部材の被害状況について
  2. 学校施設の非構造部材の耐震対策について
  3. その他

4.出席者

委員

岡田主査、宇留間委員、壁谷澤委員、国崎委員、坂本委員、清家委員、中埜委員、矢崎委員、山田委員、齋藤委員 

文部科学省

高井文部科学副大臣、清木文教施設企画部長、長坂技術参事官、新保施設企画課長、瀧本施設助成課長、森防災推進室長、廣田防災推進室専門官、佐藤安全教育調査官

オブザーバー

高橋教育総務課長(栗原市教育委員会)、佐藤教育総務課技術主査(栗原市教育委員会)、杉藤建築防災対策推進室長(代理:前田建築指導課課長補佐)(国土交通省)

5.議事要旨

  • 高井文部科学副大臣より挨拶
     日ごろ非構造部材を含めた学校施設の耐震化の推進、あるいは学校における安全対策などのためにご尽力をいただいていることに、心より感謝申し上げたい。
     学校施設は子供たちの安全確保はもとより、多くの施設が避難所として機能するということもあり、その安全性の確保が極めて重要である。しかし、天井や外壁などの非構造部材の対策の現状は遅れており、東日本大震災では改めて非構造部材の耐震化の重要性が認識された。特に、致命的な事故が起こりやすい屋内運動場の天井材、照明器具等の落下防止対策などは急務であると指摘がなされており、皆様には非構造部材の耐震化対策の推進方策について幅広くご意見を賜りたい。
     
  • 事務局より委員の紹介と、本協力者会議主査の選定 
    主査が岡田委員に決定する
     
  • 岡田主査より挨拶 
     天井、壁等、学校施設の非構造部材の耐震化は大変重要な問題であるが、なかなか進んでなかった。今回、非構造部材を本格的に取り上げて対策を進めることは、大変意義のあることだと思っており、私も委員をお引き受けした。専門の先生方のお知恵を借りながら、委員会としての報告書をできるだけ早くまとめたいと思っており、ご協力願いたい。

(1)事務局より全体の趣旨及び課題意識等の説明   

(2)国土交通省より天井脱落対策の検討状況説明

 (1)、(2) について質疑応答

  • 国土交通省での検討は、既存建築物にも適用されるか。
     
  • 基本的には新築が主となるが、既存の対応というのはどうしても出てくる。フェールセーフは既存建築物にも活用できるようにということで、検討しているもの。
     
  • 映画館や音楽ホールのように学校施設にも天井材は必要か。天井材を設けると、固有の周期が発生し地震の影響を受けてしまう。果たして学校施設に天井が必要か検討すべき。撤去以外にも天井膜や蓄光膜など(軽量な材料)を使うという視点もある。
     
  • そもそも学校の屋内運動場の天井は、あるべきかどうかということも含めて、この会議の中でご議論をいただくこともあると思っている。
     
  • 多くの学校で天井を設けている地域と、設けていない地域があり、地域差がある。
     
  • 震災で被害を受けていた施設の中には安全対策を施していた施設もある。対策の信頼性が低かった被害事例もあり、どんな診断方法が有効なのか、限定的に見直すことも必要なのではないかと思う。
     
  • 天井だけでなく、天井の裏に隠れている構造も含めて、現行の性能は無被害に留める設計・診断ではなく、多少の被害は許容されたもの。天井を施工する元の部分の性能がどうなのか、天井だけでなく内側の構造部分も含めて検討する必要があるのではないか。
     
  • 耐震点検の実施主体が曖昧。点検未実施の理由として緊急性が低いなどの理由が挙げられているが、そもそも意識が十分でないのではないか。文部科学省からガイドブックや様々な資料がきても、教育委員会が当事者として受け止めていないのではないか。点検・対策の主体が誰で何をするのかが大事。点検しているのが学校の教職員だったり専門家だったり様々。誰がどんな点検をするのかをしっかりと整理すべき。
     
  • 今回の検討は屋内運動場の天井を優先するということだが、照明や壁、エアコン等の設備の落下も被害が報告されている。他の非構造部材も検討対象とすべきではないか。
     
  • まずは緊急的に屋内運動場の天井を優先して検討し、その後、他の非構造部材についても検討していく進め方としたい。 

(3)東日本大震災の被害状況ヒアリング(宮城県栗原市教育委員会)

  1. 岩手・宮城内陸地震では、見た目では被害がなさそうに見えても内部の吊り材や枠材などが被害を受けていた。天井は見えない部分の被害がある。 
  2.  栗原市では複数の体育館で天井材が全面的に崩落した。復旧方法については、天井材を張り直しても再び落下する危険性があると判断し、全面撤去した。また、市役所の議場の天井落下への対策として軽量素材となるガラス繊維幕工法を採用。
  3. 地方自治体においては建築専門家が不足しており点検等は外部の業者に委託している状況。また、全施設の点検調査・対策を検討するには多大な事業費が課題。これまで以上に国や県等の技術支援や補助制度の拡大が必要。
     
  • 点検のできる専門家が足りないという点は、今後の大きなテーマである。学校に校医が必ずいるように、建築についても校医が配置され専門家によるバックアップができるとよい。

(4)東日本大震災の被害状況ヒアリング(清家委員)

(主な論点)

  1. 今回の被害では、振れ止めをつけていても被害が生じたものがあった。対策の方法が間違っていたのか、想像以上に揺れたのか、原因は不明。
  2. 1/3の天井が落下した施設で、そのまま放置していたらもう1/3の天井が落下した例がある。被災後に確実に使用できる状況なのか、天井の対策状況について緊急点検することも考えるべき。   

(5)協力者会議における検討課題について 

  • これまでは構造設計事務所、天井メーカーのいずれも天井の耐震チェックを行ってこなかった。誰が責任をもってこの施設は耐震性がある施設だと判断するか、明確にしていくことが大切。天井について「ないものは落ちない」。安全性を考えた時に、学校施設に天井は必要か。
     
  • 吊り天井がない体育館でも照明が落下する危険性はあるし、バスケットゴールも金具が外れて落下したりすると、避難所として使用できない状況になる。是非、天井以外の非構造部材についても加えて検討してもらいたい。
     
  • 今回の震災の被害状況をみると、天井だけが落下しているものもあれば、照明だけが落下しているもの、設備と天井の取り合い部で天井が落下しているもの、様々。

(6)「天井落下防止対策検討ワーキンググループ」の設置について

 天井等に関する専門的な検討を行う「天井落下防止対策検討ワーキンググループ」の設置が了承され、メンバーとして本協力者会議から、清家委員と山田委員が参画すること、清家委員を同ワーキンググループの主査とすることについて岡田主査より提案し、了承。

(7)天井落下防止対策検討ワーキンググループ・学校施設の屋内運動場等の天井に関する実態調査について

  • 吊り天井に限定をしてアンケートをするのか。
     
  • 吊り天井を想定して考えている
     
  • 体育館だけでなく校舎も含め、全体の非構造部材の調査にしてしまってはどうか。どこでどのような被害があったのかという情報も広く集めるような調査も実施できればよい。
     
  • 何度も調査をかけることがないように、ワーキングの先生方と考えたい
     
  • 学会の調査で体育館を担当したが、構造被害は多数みられるものの、天井が吊られていた件数は少なく、調査対象としてカバーできているものは限られている。また、被害状況についても目視による調査にとどまっており、詳細なものをあらためて調べないといけない。照明器具やバスケットゴール等の被害状況は広く浅くだが情報はある。すでに各種調査で調べているものを取り込んでいく必要がある。
     
  • 構造体に関するIs値のような天井向けの指標をつくり、危ないものから補強するという流れになればよいが、メカニズムがわかっていないことが問題。また、アンケートの中で設置者、現場の技術者に、実態としてどんな対策が可能か、工法としてどんなアイデアがありうるか、現場のアイデアを吸い上げてみてはどうか。
     
  • 日頃から天井の点検を十分に実施し対策を講じていたため落下しなかった例を集められないか。被害のあった事例は集まるが、大丈夫だったデータは少ない。

  • 点検して対策を講じていたのに落ちた例もあれば、危ないと思っていたのに落ちていないという例もあり理由がわからない。大丈夫だった例は少ないと感じている。

(8)事務局より今後のスケジュール案について確認 

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課 

防災推進係
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2235)、03-6734-2290(直通)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)