木造校舎の構造設計標準の在り方に関する検討会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成24年1月13日(金曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 自由討議
  2. 検討体制について
  3. その他

4.出席者

委員

荒木康弘、飯島泰男、稲山正弘、越前聡、中川貴文、長澤悟、藤田香織、山田憲明、横山俊祐(敬称略)

文部科学省

(文教施設企画部)清木文教施設企画部長、長坂技術参事官、新保施設企画課長、野口企画調整官その他関係官

オブザーバー

(農林水産省)林野庁林政部木材産業課
 青井木材産業課長補佐(木材技術班担当)
 林野庁林政部木材利用課
 中村木材利用課長補佐(木造公共建築物促進班)
(国土交通省)大臣官房官庁営繕部整備課
 山田官庁施設防災対策官
 住宅局建築指導課
 松井建築指導課長補佐、田伏構造係長
 (施設助成課)高見施設助成課長補佐

5.議事要旨

 1)自由討議

 ・事務局より資料1、2及び3について説明の後、自由討議を行った。
○  構造設計をしている立場から、今回の木造校舎のJIS規格の改正については期待をしている。建築基準法施行令第48条第2項第2号に位置づけられることにより、どの程度建築確認申請手続が簡略化されることになるのか。また、建築確認申請手続きが煩雑なラーメン構造的なもので規定した場合、その手続きが比較的スムーズになると思ってよいのか。
○  今、話があった法令上のJIS規格の位置づけを整理する必要があると思っている。
○  このJIS規格は、昭和30年代に量産した時期とは随分状況も変わってきているので、現状には即していないように見える。自由度が高いものとする方法や設計にどのように活かしていくか。
○  地元の学校建築の設計者と話したら、このJIS規格があることを知らなかった。また、JIS規格の中には樹種の名前が一つも出てこないが、どういう材料をイメージして決まっているのか。
○  今のJIS規格は、現在の学校のつくられ方にほとんど適合していない。かつては片廊下型の校舎が多かったが、今日は多目的スペースあるいは少人数教室等様々な場所を用意するというような状況である。そういう中で、このJIS規格の見直しでは、平面をある程度フィックスしなくてはいけないと思う。
○  このJIS規格の位置づけについて可能性として考えられるのは、今までの設計技術の補完や構造計算の簡略化というボトムアップ的な発想から、むしろ、木造を使って新しい可能性を開いてみせるというようなリーディング・スタンダード、スタンダードがリーディングになるというのも一つの役割ではないか。
○  木造校舎の3階建てが、実現できるといいと思っている。
○  このJIS規格の改正に当たっては、基準というよりは、設計例というスタンスの方がわかりやすく使われる可能性が高いのではないか。
○  最近のオープンクラス形式とかにきちんと対応できるような構造標準になっている必要があるのではないかと思う。
○  規模が大きい場合に、防耐火の規定をクリアし、結果として構造計画的にRC造部分に水平力を負担させることができるメリットのある混構造について、このJISの標準の中で取り上げるのか、それとも、純木造しか取り上げないのかも議論が必要なのではないかと思う。
○  より多くの人に使われて役に立つような形になって世の中に出ていってほしいと思う。これを使うメリットをいかに出すか。逆に言うと、国産材を使いながら、これだけの規模のものをこういう自由度を持って作れるということを示せ、もともとの計画が非常に合理的にできているというメリットが示せれば、使うようになるのではないかと思う。
○  このJIS規格を使うことによって、構造設計が楽になるような仕組みにできるといいと思う。
○  視点4の木材利用の促進に資するかという議論は、今の国内情勢から見てあると思う。学校を建てたい、あるいは建ててほしいという要求に対して、行政の結構ハードルが高い。木造よりRC造の方が楽だという状況が、日本全国あると思う。そういう意味では、このJIS規格を使うことによって、非常に手続き等が簡略化されるのであれば、木造で作る量は増えるのではないかという気はする。実際、木造の学校を建てている現場の方の話を聞くと、一番大変なのは確認申請を受付る側の人との話がなかなかうまく行かないとのこと。その時にこれが伝家の宝刀で使えるという状態になるのなら意味があるのかなと思う。
○  このJIS規格が必要なのかどうか、また残すことを前提にこの会議を進めるということなのか。残すことを前提に話を進めるとすれば、一から作り直すぐらいじゃないと現状に合わないため、大変だなと思っている。
○  能代市では、平成7年以降、7校の木造校舎を建てた。最初の頃の建物は、外見は非常に見栄えがいいが、経費的にも高額になった。そこで、5校目あたりからコスト縮減を図り、構造を単純化することによって、経費が抑えられた。子供たちは木造校舎を喜んでいるので、木造で作りたいが、やはり経費的に高額になると取り組みにくい。
○  10年ほど経つと、木造校舎の外壁を塗装する必要が生じるなど、メンテナンスに経費がかかる。例えばRC造なら木造より塗装回数も少なく済み、その分安上がりにできる。メンテナンスも簡単に統一できれば、いいのではないかと思う。
○  今、公共建築の木造化がなかなか広がらない理由は、コスト、メンテナンス、材料供給、法規制という四重苦ぐらいの関門が待っていること。これらを上手にクリアした標準的なものを作れば、結構活用してもらえるのではないかと思う。
○  特殊な技術ではなく、コスト的にもなるべく標準的な範囲内におさめられたもので合理的に設計され、なおかつプラン的にもオープンクラス的なものが可能なものを標準とした方がいいのではないかと思う。
○  先ほどの四重苦の問題を技術的に何らかの形で解決するような回答を示すという意味で、非常に意味があることになるのではないか考えている。普通に世の中に存在している木造の生産システムを組み合わせてできることも考えることによって、皆さんが求めるようなものになればと思っている。
○  長く寿命を保つような機能、建築の作り方が、うまく盛り込まれる、あるいは、作ることになる標準をベースにして、そういったことが世の中に広がっていくようなものを作る。ベースがあれば、それに今日的な課題についての付加価値をつけていくということも意味があるのではないかと思う。
○  理想的なプランを用意するよりも、様々なプランに対応し得るような構造の標準的なものが提示できる可能性があるかどうか。それが難しい場合は、プロトタイプを用意することは考えられる。建物の断面形も非常に重要だと考える。断面形で考えてみて、それを横方向にどれぐらい延ばし平面形につなげていくという考え方で、幾つかプロトタイプとして用意するという可能性はある気がする。
○  平面については、全体を標準化あるいはモデルを作るというのは非常に難しい。だから、部分を色々と考え積み重ねていくと、最終的に全体になるという進め方、考え方もあると思う。
○  構造システムについても、全く際限ない話で、標準というか、ある程度条件を詰めないと、まとめるのが難しいという気がする。ただ、壁的な構造はプランニングを制約してしまうため、ラーメン構造を使って、ある程度の建築計画に対応していく仕組みを考えるといいと思う。
○  ラーメン構造に代わる方法も幾つか考えていければよい。
○  今、こういう社会状況の中で、木造校舎の構造設計標準を見直す、あるいはそれを策定することのメリットに何を求めるかということ。それを考えるために、標準に盛り込むべきこと、反映すべきことが、その次の段階での具体的な課題や検討事項として出てくると思う。

 2)検討体制について

 ・事務局より資料4について説明後、ワーキンググループの設置及び委員構成について了承された。

 3)その他

 ・今後のスケジュールについて、事務局より資料5について説明した。

以上

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大臣官房文教施設企画部施設企画課

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)