学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議(第11回) 議事要旨

1.日時

平成24年6月26日(火曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省 3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 教育活動円滑化のための学校施設整備について
  2. 学校施設の老朽化対策について
  3. その他

4.出席者

委員

【委員】相川敬、岩井雄一、上野淳、衛藤隆、工藤和美、釼持勉、杉山武彦、高際伊都子、長澤悟、中澤正人、成田幸夫、坊野美代子、松村和子、御手洗康、山重慎二、山西潤一、山崎茂(敬称略)
【特別協力者】齋藤福栄、屋敷和佳(敬称略)

文部科学省

【文教施設企画部】清木文教施設企画部長、長坂文教施設企画部技術参事官、新保施設企画課長、森防災推進室長、野口企画調整官、深堀課長補佐

オブザーバー

【文教施設企画部】
(施設助成課)瀧本施設助成課長、富田企画官、高見課長補佐、
【初等中等教育局】(初等中等教育企画課)南野課長補佐
【スポーツ・青少年局】(スポーツ・青少年企画課)佐藤専門官

5.議事要旨

(○:委員の発言、●:事務局の発言)

・杉山主査より挨拶、事務局より委員の紹介。
・事務局より、資料2に沿って直近の文部科学省の学校施設関連における取組などについて説明。

(1)  非構造部材の耐震対策の推進に関する調査研究

・事務局より、資料3に沿って非構造部材の耐震対策の推進に関する調査研究の概要について説明。

○震災での屋内プールに関して、何か調査がされているのか。ガラスの屋根のものなどの耐震対策等はどうか。

●屋内プールにおいても当てはまるものが多いため、全く別に扱うわけではない。屋内プールも耐震対策は同様に措置を講じていきたい。

(2)  教育活動円滑化のための学校施設整備

・上野部会長より資料4ー1に沿って教育活動円滑化のための学校施設整備ワーキンググループの検討状況について説明。
・事務局より資料4-2に沿って教育活動円滑化のための学校施設整備ワーキンググループの中間まとめ素案について説明。

○域内の学校施設全体の計画的な整備を検討するに当たって、学校施設を含めた域内の公共施設全体を計画的に整備してゆく際の考え方などまでに議論を広げる予定はあるのか。

○文科省における検討であるので、学校施設を中心に報告書をまとめることになるが、学校施設の計画的な整備の検討を行う際に学校施設を含めた域内の公共施設全体を視野に入れて計画的に整備するという視点は重要なので、報告書に記載したい。

○安全に配慮した学校を整備することと地域に開かれた学校を整備することは、一見、相反する整備を同時に行うことのようにもみえる。学校の防犯性を確保しつつ開かれた学校を整備することについて、施設面における配慮や提案をする予定はあるのか。

○本報告書の参考資料として、学校施設整備の今日的な課題とポイントを視覚的に分かりやすく例示したものを追記することを考えているので、その項目の1つに加えるようにしたい。

○域内の施設全体の整備方針を検討する際の考え方についてもう少しはっきりと分かるとよい。検討会等の参加者が、各々の経験の範囲を超えて自由に意見を言える雰囲気をつくることも重要である。検討の場において意見の活性化を促すファシリテーター的な人材の重要性についても触れるといいのではないか。設計者の選定、役割などについても触れることはできないか。

○基本構想を検討するに当たっては、各自治体の教育のビジョンを実現するための理想的な学校施設像をしっかり思い描いてほしい。それに基づいて、財政との調和を図りながら、理想像の実現に向けた整備が着実に行われるような基本構想を持ってほしいという心で書いている。当たりさわりない書き方になり過ぎていないかどうか、ワーキンググループや事務局と相談して、対応を考えたい。ファシリテーター的な人材については、多くのことを書きすぎて自治体の負担とならないようにこの程度の書きぶりとしているが、自治体の実情に応じて柔軟に取り組んでいただくことが大事だと思う。設計者選定まで踏み込んで書けるかどうかについては、次回のワーキンググループで再び議論したい。

○施設整備基本構想や老朽化対策を検討するに当たっては、財政面からのマネジメントが中心になりがちであるが、学習活動へ適応した学校施設の整備などの学校施設固有の課題についても取り組み、子供たちの学びや生活に直結した豊かな学習環境を整備することも重要である。

○学校施設の整備を行う際の視点について、学校を中心として考える場合と地域から考える場合との両方の視点を1つにまとめて書いているため、うまくかみ合っておらず、玉虫色の記述になっている。様々な考え方を無理やり1つにまとめようとするのではなく、様々な考え方をそれぞれ示すという方法もあるのではないか。

○本報告書の参考資料に、学校施設整備の事例を追記する予定であるので、事例を書く際にはその点にも留意して例を示したい。

(3)  「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」の中間まとめについて

・上野部会長より資料5ー1に沿って老朽化対策検討特別部会の検討状況について説明。
・事務局より資料5-2、資料5-3に沿って「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」の中間まとめについて説明。

○少子高齢化により今後多くの学校が廃校になっていく流れの中で、老朽化の対応の方向性を教えていただきたい。

○必要に応じて統廃合や社会教育施設等と複合化を図ること等も含め、検討する必要がある。

○提出されたデータは、小中学校のデータが中心だが、特別支援学校や高等学校についても議論の対象と考えてよいか。

○当然、特別支援学校等もターゲットにしている。

○老朽化対策について検討中のビジョンの策定に留まらず継続的に検討する必要がある。国・地方公共団体ともに厳しい財政状況下にある中、老朽化対策が推進されるよう、補助制度の見直し等も含めて検討して欲しい。老朽化対策を、早急に改善しなければならない点と、計画的に実施する必要がある点とに分けた上で、それぞれ対策を打ち出す必要がある。

○耐震化すれば安全面に問題がないというすりかえを起こらないようにすべき。

○耐震化は、非常に大きな課題であることは間違いないが、それとともに、老朽化対策により今日の教育ニーズに学校施設がこたえ得ることも、非常に大事な課題である。

●大規模改造については上限額が決まっており、大規模な長寿命化に向けた改造を行う際に隘路になっているという声もある。老朽化対策について、より良い教育環境をつくっていく上で、現場的視点も含めどう改善が図られるべきか検討が必要ではないか。

○耐震補強してあれば安全だろうという一般的には考えがちなので、老朽化と耐震化の違いは何かを、この報告の中で丁寧に整理する必要がある。現在の建物を長寿命化して何年もつか目安があれば示すことで、具体的な長寿命化に向けての自治体の方針が定まるのではないか。自治体がこれまで施設整備、老朽化対策を計画的に十分に行いきれなかった理由として財政的な問題が大きいならば、補助制度の実態も含めて、精査、検討することが必要ではないか。一方で、スムーズに対策を行えている自治体があれば、モデル的に示すことが重要で各自治体のよい参考になるのではないか。

●老朽化の部会では、先進的な優良事例について、自治体や委員から紹介していただいている。老朽化と耐震化については、自治体によっては耐震補強を図る際に、老朽の大規模改造をかけ、質的にも向上させつつ耐震性能も向上させることを主とした自治体もあれば、耐震補強だけを優先的に進めたところもある。大地震が起きても、建物の下敷きになることのないよう耐震化を早急に進めるのは必要だが、併せて長寿命化や老朽化対策についても進めていくべき。中規模な改造については地方財政措置が一部講じられているが、大規模改造の国庫補助の上限をこえるものは、現状の補助制度上でいうと改築になる。

●耐震補強してどれだけもつかは、1988年、日本建築学会がまとめた耐久年数に関する考え方の中で、普通の鉄筋コンクリート造の場合で50年から80年、高品質の場合80年から120年というデータがある。学校は40年程度で改築されることもあることを踏まえると長寿命化を図ることは可能だろう。そしてこの年数の考え方も、今後議論いただきたい。

○耐震化イコール長寿命化ではないが、長寿命化のための点検やノウハウ、技術を紹介したものは、各自治体が長寿命化の取組を実施するにあたって参考になるマニュアルになるのではないか。

○耐震化や老朽化対策を進める際、新築と異なり自治体の指導主事により解釈が異なるような法律の運用上の問題に起因する難しさもある。80年もつ建築をつくるためには、きちんとした施工管理も重要。発注者たる自治体担当者は、ものづくりに対するマインドを今一度しっかりと持つことが必要。

○建築の文化を考えるということを、前書き等に書くのが有効ではないか。現在の建物の老朽度や耐久性を、チェックできる技術者が不足している。人材育成や確保の方策についてももう少し踏み込んで例示的に記載することも必要ではないか。長寿命化対策を実施するため、何がPDCAサイクルという仕組みをつくる上で、ポイントとなるかを把握することが重要な課題になる。

○学校は建物自体が1つの教育のツールであり、学校における建物の持つ力について、もっと強く書くのがいいのではないか。

○学校施設老朽化はサステイナブルな社会をつくることがベースにあるのではないか。廃校になるから耐震化しないのではなくて、今ある建物を時には学校という用途や所管省庁の枠を超えて大事に使い続けていくことが重要。また、長寿命化しても、ただ古いというわけではなく、居心地や学び心地、教え心地の良さをどのように保っていくかについても、しっかりと記載していくことが必要。さらに、学校建築は、新耐震基準や多目的スペース補助など、昭和60年頃を境に建てられ方が変化しているため扱い方が違ってくるだろうから、その点についても検討に加えることが必要ではないか。

○全国的に特別支援学校は築40年を迎えようとしている。小中学校だけでなく特別支援学校も含めて、老朽化対策が進められることを願う。

○今後それぞれワーキンググループと特別部会で、親委員会で出た意見等も踏まえながら、進めていただく。

(4)  その他

1.第2期教育振興基本計画における学校施設関係の目標、指標について

・事務局より第2期教育振興基本計画の全体像と学校施設関係の目標、指標について説明。

○40年後子供の数が現在の半分になるとの予測がある。その点で、施設整備にかかわり何か今回の計画での方向性というものは示されているのか。

●ご指摘の点は、老朽化対策の箇所に、少子化が一層進展することも見据えつつ、施設の長寿命化等の対策を行っていくことの重要性を記述している。

2.学校に関する建築基準法の現代の問題

・事務局より資料7に沿って、国土交通省で検討を行う予定である階段けあげ等の基準の問題について説明

○建物種別に基準を設ける建築基準法は時代にそぐわなくなっている。平成17年の建築基準法令の改正により教室の天井高の規制が撤廃されたが、その結果は、何か悪くなったわけではなく、設計者が慎重に天井高を設定するようになり、むしろ、極めていい方向に向かっている。中学校の生徒数の減少に伴い、中学校を小中一貫校にするという取組がいろいろなところで行われているが、私が実際に関わった学校では、小学校の階段の基準に合わせるために中学校校舎の階段室を全部壊して作り直した例がある。このようなことがなくなるように、小学校の階段に関する基準は抜本的に見直すべきである。階段の基準以外にも、建築基準法にはいろいろ見直すべきことがたくさんあると思っている。

○知的障害をもつ生徒数の増加に対応するために既存の学校に分校を設置する場合などに、階段の基準を含めた建築基準法の様々な規制が足かせになることがあるので、ぜひ見直しを行っていただきたい。

・事務局より次回のスケジュールについて説明

以上

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