第4章 各室計画

第1 基本的事項

1 高機能かつ柔軟な計画

(1) 学習内容・学習形態等の変化に柔軟に対応し得るよう各室・空間を高機能なものに計画することが重要である。

(2) 各室・空間の形状等は,用途の変更,間仕切りの移動,増築等を容易に行うことのできる柔軟な計画とすることが重要である。

2 総合的な計画

(1) 児童の発達段階,利用内容に応じた家具の導入計画を考慮し,各室・空間の面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 視聴覚教育メディア,教材・教具等の導入及び利用の計画等を考慮し,各室・空間の面積,形状等を計画することが重要である。

3 情報環境の充実

(1) コンピュータ,プロジェクタ等の情報機器の利用を考慮し,各室・空間の面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 各室・空間でのコンピュータ等の情報機器の活用を考慮し,情報用のアウトレットやコンセントを設けることが重要である。

(3) 必要に応じて,机,機器等の配置に留意しつつ,二重床,床ピット等による配線のための空間を確保することも有効である。

4 学校開放

(1) 学校開放に供する各室・空間は,利用者,利用形態等に応じた面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 学校開放に供する各室・空間は,多様な利用者が安全かつ円滑に利用することができるよう計画することが重要である。

5 安全・防犯対策

 児童が立ち入るべきでない場所は,施錠するなど物理的な立入制限をできるよう計画することが重要である。また,窓・出入口についても,容易に破壊されにくいものとするよう留意するとともに,非常時の避難にも配慮しつつ,適確な施錠管理を行うことが重要である。

6 複合化・高層化への対応

(1) 社会教育施設や高齢者福祉施設等との複合化について計画する場合には,施設相互の利用やそのための動線,運営管理の方法に配慮した施設計画とすることが重要である。

(2) 都市化の進展等に伴い,学校施設を高層化する場合には,非常時の避難,上階からの墜落・落下物等に対し配慮した計画とすることが重要である。

7 学校用家具

 机やいす,収納家具,ワゴン類,ついたて類等の学校用家具については,多目的教室や特別教室など各室において実施しようとする学習活動に適した,かつ,児童の発達段階に応じた大きさ,材質等を選択するとともに,多様な学習形態等に対応できるよう数量,形状等を各室と一体的に計画することが重要である。その際,地震等による教具等の落下や学校用家具の転倒,児童の衝突等に対して十分な安全性を確保できるように計画することが重要である。

第2 学習関係諸室

1 共通事項

(1) 多様な規模,数の学習集団の編制に柔軟に対応することができるよう面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 図書,コンピュータ,視聴覚教育メディアその他学習に必要な教材等を集中して配置し,児童の主体的な活動を支える学習・メディアセンター機能を計画することも有効である。

(3) 特別教室は,教育内容・教育方法等に応じて複数の教科での共用も考慮し,それらの教科に必要な機能を確保できる面積,形状等とすることが重要である。

(4) 特別教室に付設される準備室は,教科に係る教師の執務,実験・実習等の準備及び教材・教具等の収納,管理等に必要な面積,形状等とすることが重要である。

(5) 特別教室等は,クラブ活動や学校開放における利用を考慮し,面積,形状等を計画することが望ましい。

2 普通教室

(1) 多様な学習形態に対応する机,家具などの配置が可能な面積,形状等とするとともに,児童の生活の場としてふさわしく児童にとって魅力ある場として計画することが重要である。また,児童にとって安心して落ち着くことのできる場として計画することも重要である。

(2) 十分な面積の掲示板を壁面等に設けることが重要である。

(3) 必要に応じ水栓,流し等の設備を設置することのできる空間を確保することも有効である。

(4) 低学年用の普通教室は,生活科,図画工作等の教科学習や合科的な内容の学習が行われることを考慮して計画することが望ましい。

(5) 収納棚その他の生活用設備は,児童のための動作空間とともに,教室の周辺部の日常的に目の届く位置に計画することが重要である。

(6) 観察台,展示台等を,児童の活動空間とともに,窓側等に計画することが望ましい。その際,足掛りとならないようにし,併せて,墜落防止に配慮することが重要である。

(7) 障害のある児童が通常の学級に在籍することがあることを踏まえ,必要に応じ,後述の「4特別支援学級関係室」や「5通級による指導のための関係室」の内容を準用する。

3 多目的教室

(1) 学習内容・学習形態・発達段階等に応じ各種のコーナーを形成したり,各種の机,収納家具等を弾力的に配列し,かつ,収納できるような面積,形状等とすることが重要である。

(2) 多様な学習内容・学習形態に対応するとともに,総合的な学習の活動の場として,個別学習,少人数指導による学習,グループ学習等に対応できる計画とすることが重要である。

(3) 学年,全校等で利用する広い面積の多目的教室を計画する場合は,利用方法等に応じ適宜空間を分割することのできるよう計画することも有効である。

(4) 必要に応じ簡単な観察,実験等が可能となるような水栓,流し等の設備を設置することのできる空間を確保することも有効である。

4 特別支援学級関係室

(1) 特別支援学級関係室の計画に当たっては,児童の障害の状態や特性等に応じ,特別支援学校施設整備指針を準用する。

(2) 周辺環境が学習生活面や安全面へ及ぼす影響が大きいことに留意し,特に良好な環境条件及び十分な安全性の確保に特に留意して計画することが重要である。

(3) 障害の状態及び特性に応じ,各学年段階における各教科指導や,障害の状態の改善・克服を目的とする指導等の多様な学習活動等を円滑かつ効果的に行うことができるような室構成とすることが重要である。

(4) 特別支援学級の普通教室は,多目的教室等との役割分担を考慮しつつ,障害の特性,学習する内容等に応じた多様な指導方法のための各種の机配置が可能な面積,形状等とすることが重要である。

(5) 特別支援学級の普通教室は,音楽,家庭等の教科の実施に必要な設備の設置,収納及び整理のための空間を計画することが重要である。

(6) 特別支援学級の多目的教室は,図画工作における表現活動,体育等における各種運動,障害の状態の改善・克服を目的とする活動等を安全かつ円滑に実施するための活動空間を確保することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(7) 特別支援学級の多目的教室は,設備,家具等の設置空間及び教材,教具等を保管するための収納空間を計画することが重要である。

(8) 障害のない児童との交流及び共同学習を行う空間を,普通教室,多目的教室及び生活・交流空間との関連を考慮して計画することが重要である。

(9) 各障害に対応した教室を計画する場合は,以下の点に留意することが重要である。

  1. 言語障害に対応した教室とする場合,正しい構音の練習に利用する鏡,練習後の手洗いやうがい等のための設備を教室の周辺部に計画することが重要である。
  2. 自閉症・情緒障害に対応した教室とする場合で,情緒障害への対応が必要な場合は,心理的な不安定さを考慮して,安心してリラックスできる落ち着いた環境を確保することが重要である。また,気持ちを落ち着かせることができる配色や質感に配慮することや,室内に精神的に疲労した時に休養できるスペースを設けることも有効である。
     また,自閉症等への対応が必要な場合は,児童が落ち着き,安心して学びやすいよう,外部からの音や視覚的な刺激が制御できる環境を確保することが重要であり,蛍光灯のちらつきに対する過敏に配慮し,可能な限り自然光や白熱灯を選定することが望ましい。さらに,パニック等に十分配慮し,照明器具の防護,飛び出し防止等の安全性を確保するとともに,教室内の各々の区画の果たす機能が見てわかりやすいように整える,いわゆる「教室の構造化」※に配慮して計画することが望ましい。
     ※いわゆる「教室の構造化」・・・本指針においていわゆる「教室の構造化」とは,「自閉症等のある幼児児童生徒が見通しを持って円滑に活動するため,家具等により仕切りを設けたり,色分けをしたりすることにより,空間ごとに役割を持たせること」とする。

5 通級による指導のための関係室

(1) 通級による指導のための関係室の計画に当たっては,児童の障害の状態や特性等を踏まえ,必要に応じ,特別支援学校施設整備指針又は前述の「4特別支援学級関係室」の内容を準用する。

(2) 周辺環境が学習生活面や安全面へ及ぼす影響が障害のない児童に比較して大きいことに留意し,良好な環境条件及び十分な安全性の確保に留意して計画することが重要である。

(3) 障害の状態及び特性に応じ,障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服を目的とする指導や,障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための特別の指導等の多様な学習活動等を円滑かつ効果的に行うことができるような室構成とすることが重要である。

(4) 個別指導又は小集団による指導のための教室は,障害の特性等に対応する机,家具などの配置が可能な面積,形状等とすることが重要である。また,空間の可変性を確保するため,可動間仕切を設置することも有効である。

(5) 多目的室・プレイルーム等は,障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服を目的とする多様な活動を安全かつ円滑に実施するための活動空間を確保できる面積,形状等とすることが重要である。また,これらの活動に必要となる設備,家具等の設置空間及び教材,教具等を保管するための収納空間を確保できる面積,形状等とすることが重要である。

(6) 送迎や相談のために来校している保護者のための控室・相談室を計画する場合は,通級による指導のための教室や外来用玄関との連絡の良い位置に計画するとともに,必要な机,いす等の家具や設備等を配置できるような面積,形状等とすることが重要である。なお,通級する他校の児童及び保護者等の教育相談のための空間として計画することも有効である。

(7) 通級による指導のための管理関係室を計画する場合は,既存の管理関係室との関連を考慮しつつ,事務処理のための机,椅子等の家具や機器等を適切に配置できる面積,形状等とすることが重要である。

(8) 便所は,他校から来校する児童や保護者等の利用状況及び動線を考慮し,利用しやすい位置に男女別に計画することが重要である。

(9) 各障害に対応した教室を計画する場合は,以下の点に留意することが重要である。

  1. 言語障害に対応した教室とする場合,正しい構音の練習に利用する鏡,練習後の手洗いやうがい等のための設備を教室の周辺部に計画することが重要である。
  2. 自閉症やADHD等に対応した教室とする場合,児童が落ち着き,安心して学びやすいよう,外部からの音や視覚的な刺激が制御できる環境を確保することが重要であり,蛍光灯のちらつきに対する過敏に配慮し,可能な限り自然光や白熱灯を選定することが望ましい。また,パニックや多動・衝動性等に十分配慮し,照明器具の防護,飛び出し防止等の安全性を確保することが重要である。
     自閉症に対応した教室とする場合,教室内の各々の区画の果たす機能が見てわかりやすいように整える,いわゆる「教室の構造化」に配慮して計画することが望ましい。
  3. 情緒障害に対応した教室とする場合,心理的な不安定さを考慮して,気持ちを落ち着かせることができる配色や質感に配慮することや,室内に精神的に疲労した時に休養できるスペースを設けることも有効である。
  4. 弱視に対応した教室とする場合,児童一人一人の見え方や特性等を踏まえ,柔らかな光が得られるよう遮光カーテンや調光器等により室内の照度を適切に調節できるよう計画することが重要である。
  5. 難聴に対応した教室とする場合,静寂で落ち着いた環境を整えるため,遮音性・吸音性等に配慮することが重要である。また,発音・発語の練習に利用する鏡,練習後の手洗いやうがい等のための設備を教室の周辺部に計画することが重要である。
  6. 肢体不自由や病弱等に対応した教室とする場合,車いす等の使用や様々な補助用具を使用しての活動等に対応した面積,形状等とするとともに,体温調節が困難な児童に配慮し,室温等の調節等が可能な空間とすることが重要である。

6 特別の支援を必要とする児童のための指導上必要なその他の空間

 通常の学級に在籍する情緒障害,自閉症やADHD等の障害のある児童が落ち着きを取り戻すことのできる小規模な空間は,外部からの音や視覚的な刺激が制御でき,かつ,安全性を十分考慮した面積,形状等とすることが重要である。

7 理科教室

(1) 実験用机及び必要となる各種設備について,学習集団の規模と数,指導方法等に応じ適切に配置することのできる面積,形状等を計画することが重要である。その際,実験に必要な機能を満たす実験用机の大きさ等について配慮することが重要である。

(2) 教員が演示実験を実施しやすいよう,教員の実験用机を児童から見やすい位置や高さに設置するよう計画することが望ましい。

(3) 教員及び児童の実験用机においてコンピュータ等の情報機器が利用できるよう,情報用のアウトレットやコンセントを計画することが望ましい。

(4) 映像を利用した実験の指導等を考慮し,プロジェクタ等の情報機器の導入への対応について検討することが望ましい。

(5) 2室計画する場合には,総合的な利用も考慮しつつ,分野別に分化させて計画することも有効である。

(6) 実験用机等を可動なものとし,水栓,流しその他の設備を設置するコーナー等の空間を室内周辺部に配置する計画も有効である。

(7) 観察,飼育・栽培等のためのコーナー等の空間を,日照を得ることのできる位置に確保することが望ましい。

(8) 観察,実験等に用いる器具,材料,教材等を収納するための空間を確保することが重要である。

(9) 準備室内に,薬品を安全に収納し管理することのできる空間を設けることが重要である。その際,地震等による薬品の落下及び薬品棚の転倒等が起こらないように計画することが重要である。

8 生活科のための施設

(1) 生活科の学習における児童の活動場所は,学校のすべての施設が対象となるため,学校施設全体を生活科の実施に対応する環境として計画することが重要である。

(2) 生活科教室や生活科のために準備する教材・教具等を集約配備する室・スペースを,低学年の学習空間の周辺に,他の学習関係諸室や屋外教育環境施設との役割分担や連携を考慮しつつ,計画することが重要である。

(3) 地域の社会環境,自然環境の実態や周辺の地域施設等との連携に配慮して施設・環境について計画することが重要である。

9 音楽教室

(1) 大型の楽器を含め,学習活動に使用する楽器等が適切に配置できる面積,形状等を計画することが重要である。また,音楽の授業以外の学習活動にも対応することができるよう配慮することが重要である。

(2) 学習内容・使用楽器等の多様化や楽器の大きさなどを踏まえ,視聴覚教育メディアの設置及び保管並びに児童が日常的に利用する楽譜,楽器等の収納のための空間を利用のしやすさに配慮しつつ,確保することが重要である。

(3) 2室計画する場合には,総合的な利用も考慮しつつ,機能に応じ,分化させて計画することも有効である。

(4) 良好な音響的環境となるよう空間の形状を計画するとともに,遮音性能についても考慮することが望ましい。

(5) 児童による歌唱,演奏等の発表の場となるようなステージを設けることが望ましい。

(6) 準備室内に,視聴覚教育メディアの操作及び保管並びに多種類の楽器,小道具等の収納等のための空間を設けることが重要である。

10 図画工作教室

(1) 表現活動の内容に応じた適切な大きさの可動式の机等を活動しやすい間隔で配置することができるよう面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 収納,保管,展示,鑑賞等のための家具等を設置することのできる空間を確保することが重要である。

(3) 平面的な表現に係る学習空間と立体的な表現に係る学習空間は,それぞれ区分するとともに,必要に応じ一体の空間としても利用することのできるような室構成とすることが望ましい。

(4) 工作用の機械等を児童が安全に利用できるような動作空間を計画しつつ,危険防止の防護柵等で区分けした空間にまとめて設置することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(5) 十分な水栓,流し,水切り等を利用しやすいよう設置することのできる空間を確保することが重要である。

(6) 準備室内に,揮発性の高い塗料等の危険な材料,各種工具等を安全に保管することのできる空間を設けることが重要である。また,準備室内等に,製作途中の作品等を一時的に保管できる空間を設けることが望ましい。

(7) 附随して戸外に,直接出入りすることのできる,流し等の設備を設けた活動空間を確保することが重要である。

11 家庭教室

(1) 編成する集団の数,規模等に応じ,設備,機器等を必要な間隔で適切に配置することのできるような面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 必要に応じ,調理や被服に係る実習のための器材,道具,教材・教具等を収納できる空間を室内にコーナー等として計画することも有効である。

(3) 2室計画する場合には,総合的な利用も考慮しつつ,実習内容に応じ,分化させることも有効である。

(4) 食物に係る実習のための空間については,会食用机を配置することのできる空間を設けることも有効である。

(5) 被服に係る実習のための空間については,作品を展示する空間を確保し,必要に応じ,住居に係る学習を行うことのできる空間を確保することが望ましい。

(6) 教材等の準備,材料や用具,機器等の収納のための準備室を,実習のための教室に隣接して計画することが重要である。また,準備室内等に,必要に応じ被服に係る実習における製作途中の作品等を一時的に保管できる空間を設けることが望ましい。

12 外国語活動室

(1) 体を動かす活動やグループでの活動など多様な活動に対応することができ,また,床に座っての活動にも配慮した面積,形状等とすることが重要である。

(2) 机や椅子を設置する場合には,活動しやすい間隔で配置することができ,また,必要に応じ,周囲に寄せて,まとまったスペースを確保できるよう計画することが重要である。

(3) 外国についての関心と理解を促すための資料等の展示,掲示等ができるスペースを確保することが重要である。

(4) 室内に学習活動に用いる教材等を収納するための空間を確保することも有効である。

(5) 外国語活動における会話や歌といった活動内容を考慮し,遮音性に配慮した計画とすることも有効である。

13 視聴覚教室

(1) 将来の機器の更新等を考慮しつつ,各種機器を,それぞれの機能,特性等に応じ,効果的に配置し,利用することのできるよう面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 良好な音響的環境となるよう空間の形状等を計画することが望ましい。

(3) 準備室や調整室等,各種視聴覚教材の作成,編集及び保管並びに各種視聴覚機器・機材の点検,調整,保管等のための空間を併せて計画することが望ましい。

(4) 視聴覚教室は,情報環境を充実させた他の学習関係諸室等との役割分担や連携を考慮して計画することが重要である。

14 コンピュータ教室

(1) 将来の機器の更新,増設等も考慮し,コンピュータ等の情報機器,机,情報用のアウトレットやコンセント等を利用しやすいよう配置することのできる面積,形状等とすることが重要である。
 また,児童の様々な学習活動を支える学習・メディアセンターとしての機能を持たせた計画とすることも有効である。

(2) 準備室は,教材・教具,消耗品等の収納空間を確保するとともに,教師が教材やプログラム作成等を行うことのできる空間を確保するよう計画することが重要である。

(3) コンピュータ教室は,情報化に対応した他の学習関係諸室等との役割分担を明確にし,相互の密接な連携に留意して計画することが重要である。

15 図書室

(1) 多様な学習活動に対応することができるよう面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 1学級相当以上の机及び椅子を配置し,かつ,児童数等に応じた図書室用の家具等を利用しやすいよう配列することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(3) 児童の様々な学習を支援する学習センター的な機能,必要な情報を収集・選択・活用し,その能力を育成する情報センター的な機能,学校における心のオアシスとなり,日々の生活の中で児童がくつろぎ,自発的に読書を楽しむ読書センター的な機能について計画することが重要である。

(4) 司書教諭,図書委員等が図書その他の資料の整理,修理等を行うための空間を確保することが望ましい。

(5) 資料の展示,掲示等のための設備を設けることのできる空間を確保することも有効である。

(6) 図書を分散して配置する場合は,役割分担を明確にし,相互の連携に十分留意して計画することが重要である。

16 特別活動室

(1) 特別活動の内容に応じ必要な面積,形状等を確保することが望ましい。

(2) 必要に応じ,和室の部分を設けることも有効である。

17 教育相談室(心の教室)

(1) グループ指導も可能となるよう必要な面積,形状等を確保するとともに,必要に応じ空間を仕切ることができるよう計画することが望ましい。

(2) 児童と教師が個別に相談したり,児童が落ち着いて時間を過ごすための空間,教師が保護者等からの相談に応じる空間として計画することが重要である。

(3) 児童の立ち寄りやすい位置に保健室との連携を考慮し計画することが望ましい。

(4) 指導に必要となる資料等の収納空間を,隣接して又は教育相談室内に確保することが重要である。

(5) 必要に応じ,専門の相談担当者が常時業務に従事したり,アドバイザーを交えた関係者による事例研究ができるよう計画することも有効である。

(6) 不登校児童の居場所としての適応指導教室は,学校内で他の学習空間から独立した場所となるように配置し,暖かい家庭的な雰囲気で個別学習を行うことのできる空間として計画することが有効である。

18 放送室

(1) 児童及び教職員による利用内容等に応じ,必要な空間を確保することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(2) スタジオを計画する場合は,必要な音響的環境を確保することのできる形状,構造等とすることが重要である。

19 教材・教具の作成・収納空間

(1) 教材・教具及び児童の作品等を,種類に応じ,分類して保管し,管理することのできるような面積,形状等を確保することが重要である。

(2) 必要に応じ各種の教材及び視聴覚教材の作成のための空間を確保することのできるような面積,形状等とすることが望ましい。

第3 屋内運動施設等

1 共通事項

(1) 活動内容に応じた適切な面積,形状等とすることが重要である。

(2) 利用人数等に応じ,出入口の位置等を適切に計画することが重要である。

(3) 便所,更衣室,シャワー室等の附属施設は,利用状況等に応じ,適切な面積,形状等とすることが重要である。

(4) 学校開放等における地域住民の利用をも考慮し,面積,形状等を計画することが重要である。

2 屋内運動場

(1) 多様な運動種目を想定し,面積,長短辺寸法,天井高等を適切に計画することが重要である。

(2) 器具室は,器具等の種類に応じ出し入れしやすいよう分類し保管することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(3) 観覧のための空間を,必要に応じ,計画することも有効である。

(4) 上部を観覧席などとして計画する時は,行われる活動内容・活動形態に応じ,十分安全な面積,形状等とするとともに,十分な高さと強度を持った腰壁や手すりを設置する等,安全性の確保を図ることが重要である。

(5) 儀式的行事,学芸的行事,各種集会,児童の学習・研究成果の発表等における利用も予定する場合は,ステージ,視聴覚教育メディア,照明機器,音響機器等の設置に十分配慮した面積,形状等を確保することが望ましい。

(6) 災害時の避難場所となる場合に備えて,便所,更衣室,備蓄倉庫等を計画することも有効である。

3 屋内プール

(1) 水槽部分は,利用内容等を考慮しつつ,長さ及び幅を適切に設定し,必要な水面積を確保することが重要である。

(2) 低学年児童が楽しく遊ぶことのできるような形状等を工夫したプールを計画することも有効である。

(3) 水深については,急激な変化のない適切な深さとするとともに,見やすい位置に水深表示を設けることが重要である。また,低学年児童の利用,児童の安全性,地域住民の利用等を考慮し,水深を可変とすることも有効である。

(4) 適切な浄化装置を設置することが重要である。また,排(環)水口には,蓋等をネジ・ボルト等で固定させるとともに,配管の取り付け口には吸い込み防止金具等を設置し,吸引事故防止のための二重の安全構造とすることが重要である。

(5) プールサイド及び通路等は,プール本体の大きさ等を考慮して,十分な広さを確保することが重要である。

(6) 附属施設は,利用状況等に応じた適切な面積を確保し,見学者の動線の設定に留意しつつ,利用しやすいよう配置することが重要である。

(7) 必要に応じ,安全管理のための監視室や,救急処置のための救護室・医務室等の施設を計画することが望ましい。

(8) 湿気が流出しないような出入口等の位置,室構成等とすることが重要である。

(9) 災害時の防火用水,便所洗浄水等として利用できるよう計画することも有効である。

第4 生活・交流空間

1 共通事項

(1) 家具等の導入計画と総合的に検討し,ゆとりと潤いを感じられるような意匠,構成等とすることが重要である。

(2) 必要に応じ各種視聴覚メディアを効果的に活用することができるような空間の形状等を計画することも有効である。

(3) 大空間とする場合は,環境条件の確保に十分留意して空間の形状等を計画することが重要である。

2 ホール,ロビー,ラウンジ等

(1) 利用しやすい家具等の配置を考慮した面積,形状等を確保し,明るく落ちついた心を和ませる雰囲気となるような意匠,構成等とすることが望ましい。

(2) ベンチ,水飲み場等を配置するなど,児童の交流等を促すための工夫をすることも有効である。

(3) 学校紹介や児童の作品,芸術作品等の展示のためのギャラリーを計画することも有効である。

(4) 保護者や地域住民との連携を進めるため,休憩・談話等のためのラウンジ等の空間を計画することも有効である。

(5) アルコーブ等を計画する場合は,通過動線が入り込まないような計画とすることが重要である。

3 食堂,ランチルーム等

(1) 食事形態に応じたゆとりある食事を可能とする家具を弾力的に配置することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(2) 内部又は近くに,手洗いのための設備を設置するコーナー等の空間を設けることが望ましい。

4 調理室

(1) 効率的かつ安全・衛生的に作業を行うため,必要となる設備を利用しやすいよう設置し,安全・衛生管理を適切に行うことのできる面積,形状等とすることが重要である。

(2) 床を乾いた状態で使用するドライシステムにより計画することが重要である。

(3) 休憩,着替え等のための空間を確保することが望ましい。

第5 共通空間

1 昇降口,玄関等

(1) 出入口の幅を十分確保し,下足箱,傘立て等の配置を考慮し,安全かつ円滑に出入できる面積,形状等とすることが重要である。

(2) 車椅子を利用した移動に支障のない適切な面積,形状等とし,障害のある児童,教職員及び学校開放時の高齢者,障害者等の利用に支障のないようにすることが重要である。

(3) 地域の気候的状況等に応じ,風除室を設けることも有効である。

(4) 交流の場としてふさわしい意匠に配慮した空間とすることが望ましい。

(5) 訪問者が利用する玄関及び学校開放用昇降口は,訪問者に分かりやすい位置に計画することが望ましい。

2 便所,手洗い,流し,水飲み場等

(1) 水洗式で,男女別に児童数,利用率等に応じた適切な数と種類の衛生器具を設置することのできる面積,形状とし,清潔で使いやすい計画とすることが重要である。

(2) 障害者用の便器,手すり等の設備を設置した便所を,一般の便所内あるいは適当な位置に確保することが重要である。

(3) 便所の手洗い部分を,洗面室,洗面コーナー等として独立して計画することも有効である。

(4) 手洗い,流し等を設置する空間は,児童数,利用率等に応じた数の水栓を適当な間隔で設置することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(5) 手洗い,流し等は,通行部分が濡れるような配置は避け,まとまりのあるコーナーとして計画することが望ましい。

3 児童更衣室等

(1) 同時に使用する児童数に応じ,男女別に更衣できるよう,ロッカーの必要な数及び配置に留意した面積,形状等とすることが重要である。

(2) 必要に応じ,シャワー等の設備を設置することも有効である。

4 廊下,階段等

(1) 日常及び避難時の通行の場として必要な照度を確保し,過度の混雑を生じることのない安全な幅,形状等とすることが重要である。特に,吹抜け等に面した階段では,墜落・転落事故防止のための防護措置を講ずることが重要である。

(2) 廊下の曲がり角,廊下と階段の接続部等は,出会い頭の衝突防止に配慮し,見通しを確保するなど形状等を工夫することが重要である。

(3) 廊下にベンチ等を配置するなどして児童の待ち合わせスペースを計画したり,学校紹介や児童の作品の展示のためのギャラリー等を計画することも有効である。

(4) 必要に応じ,車椅子を利用した移動等に支障のない適切な面積,形状のスロープを設けることが重要である。

(5) エレベータを設置する際には,その円滑な利用のため,適切な面積のたまりの空間を計画することが有効である。

(6) 廊下の突き当たり部は,衝突防止に配慮した計画とすることが重要である。

第6 クラブハウス(保護者や地域住民との連携協力の場)

1 共通事項

(1) PTA活動やボランティア活動の場としての利用のみならず,学校教育における利用も考慮しつつ,開放時の活動に伴い必要となる諸行為を安全かつ円滑に行うことのできるような面積,形状等とすることが重要である。
 また,必要に応じ各種視聴覚メディアを効果的に活用することのできるような計画とすることも有効である。

(2) 障害者も含め幼児から高齢者まで多様な人々の利用を考慮し,各空間を認識しやすく,相互に利用しやすい構成として計画することが重要である。

(3) 保護者や地域住民との連携や総合型地域スポーツクラブの活用を進める上で,休憩・談話等のためのラウンジ等の空間を適宜計画することも有効である。

2 ミーティング室

(1) 良好な環境条件を確保することができるよう計画することが望ましい。特に,体育施設開放用のものは体育施設からの騒音,振動等による過度の影響を受けないよう留意して計画することが望ましい。

(2) 利用内容に応じ必要となる家具,視聴覚メディア等を弾力的に配置することのできる面積,形状等とすることが望ましい。

(3) 必要に応じ,和室の空間を設けることも有効である。

3 更衣室,ロッカー室等

(1) 利用状況に応じ必要な着替えのための空間を男女別に確保し,適当な数のロッカーを利用しやすく配置することのできる面積,形状等とすることが望ましい。

(2) 体育施設開放用のものは,シャワー室と,隣接させ又は一体として計画することが望ましい。

4 便所,手洗い等

(1) 利用状況等に応じ適当な種類及び数の衛生器具を男女別に適切な間隔で配置することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(2) 障害者用の便器等を設置することのできる空間を利用しやすい位置に計画することが重要である。

(3) 便所の手洗い部分を,洗面室,洗面コーナー等として独立して計画することも有効である。

(4) 災害時の避難住民の利用にも配慮して計画することが有効である。

5 その他

(1) 開放用玄関等の出入口部分は,利用状況等に応じ適当な数の下足箱,傘立て等を適切に配置することのできる面積,形状等とし,開放諸室と連絡のよい位置に計画することが重要である。

(2) 器具庫とは別に,開放に伴い必要となる物品等を保管することができるよう倉庫等の収納空間を計画することが望ましい。

(3) 利用者が活動の合間などに気軽に休憩,談話等を行うことのできるラウンジ等の空間を計画することも有効である。

第7 児童生徒地域交流施設

1 共通事項

(1) 集団宿泊研修を行う規模に対応した面積,諸室を計画することが重要である。

(2) 校舎や屋内運動場等の施設と連携して,適切な出入口等を計画することが重要である。

2 宿泊室等

(1) 男女別の利用を考慮し,必要な規模について計画することが重要である。

(2) 宿泊研修の場であり,浴室又はシャワー室について計画することが望ましい。

(3) 指導員室については,男女別に各々設けることが望ましい。

(4) 必要に応じ厨房,食堂,洗濯室等について計画することも有効である。

第8 講堂

1 共通事項

(1) 講堂の利用目的,利用人数等に応じ,多様な集会活動が行えるよう児童・教職員・父母等の着席配置方法等を考慮し計画することが重要である。

(2) 学校開放に利用することを考慮し,その規模,空間形式,必要な設備等を計画することも有効である。

(3) 児童の学習・研究成果の発表の場として,発表形式に応じた資料・作品展示の場としての機能を持つことも有効である。

(4) 校舎や屋内運動場等の施設と連携して,適切な出入口,便所等を計画することが重要である。

2 ホール

(1) 集会活動等に適切な面積を持つステージを配置し,各席からステージを見やすく聞きやすい空間として計画することが重要である。

(2) 視聴覚メディアのための設備,照明機器,音響機器の設置に十分配慮した面積,形状等を確保することが望ましい。

3 附属施設

(1) 利用者が活動の合間などに気軽に休憩,談話等を行うことのできるラウンジ等の空間を計画することも有効である。

(2) 様々な活動を行う際に必要となる控室や物品等を保管することができるような倉庫等の収納空間を計画することが望ましい。

第9 管理関係室

1 共通事項

(1) 学校の運営管理に必要な事務を円滑に処理することができるよう適正な面積,形状等を計画することが重要である。

(2) 教務事務及び学校事務における事務機器の活用を考慮して面積,形状等を計画することが望ましい。

(3) ゆとりと潤いの感じられるよう面積,形状等を計画することが望ましい。

(4) 多様な学習活動に対応した教材の準備や指導計画等の作成のためのカリキュラムセンター機能を計画することが望ましい。

2 校長室

(1) 校長室は,必要に応じ他の管理関係室と区画し,応接や各種資料等を保管するための家具等を設置することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(2) 学校の歴史等に関わる各種資料等を保管し,展示するための家具等を設置することのできる空間を校長室に確保することも有効である。

3 職員室

(1) 事務処理のための机,椅子等の家具や機器を適切に配置し,書棚,掲示板,個人用ロッカー等を十分に設置することができるようにするとともに,各種の文書,教材・教具等の保管のために必要な面積,形状等とすることが重要である。

(2) 職員室内に防災関係設備を配置する場合は,自動火災報知器,防排煙連動操作盤等の設備や非常用放送設備等との関連を図り適切な空間を確保することが重要である。

(3) 必要に応じ職員室内に休憩コーナー,打ち合せコーナー,湯沸し,流し等の設備を配置するコーナー等の空間を設けることも有効である。

(4) 学校規模等によっては,必要に応じ,学年ごと等に分散した教師コーナーを確保することも有効である。

(5) 必要に応じ,諸活動を支援する支援員や学生等の教職員以外の当該学校の活動に関与する者の事務等を考慮して計画することが望ましい。

4 保健室

(1) 各種業務に柔軟に対応し,ベッドを配置する空間を適切に区画することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(2) 屋外と直接出入りすることのできる専用の出入口を設け,その近傍に手洗い,足洗い等の設備を設置する空間を確保することも有効である。

(3) 必要に応じ養護教諭がカウンセリングを行うことのできる空間を保健室に隣接した位置又は保健室内に間仕切り等を設置して確保することも有効である。

5 事務室

 収納家具を十分かつ適切に配置することのできるような面積,形状等とすることが重要である。

6 受付

(1) 受付では,記帳や名札の受け渡し等が円滑に実施できる計画とすることが重要である。

(2) 外部からの来訪者が近寄り難い雰囲気とならないように,ゆとりや潤いといったデザイン上の工夫をすることが望ましい。

7 主事室

(1) 業務の内容に応じ,必要となる空間を確保し適切に区画することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(2) 着替え,休憩等を行うことのできる和室などの空間を計画することが望ましい。

8 会議室及び応接室

(1) 会議室は,会議机等の家具を弾力的に配置することのできる面積,形状等とすることが重要である。

(2) 会議室は,必要に応じ各種視聴覚メディアを効果的に活用することのできるような計画とすることも有効である。

(3) 応接室は,応対のための家具等を適切に配置することのできる面積,形状等とすることが重要である。

9 職員用更衣室及び休憩室

(1) 職員用更衣室は,男女別に計画し,必要な収納家具を設置することのできる面積,形状等とすることが望ましい。

(2) 職員用更衣室には,シャワー等の設備を設置することが望ましい。

(3) 休憩室は,ソファ等の家具の導入を考慮し,ラウンジ的な空間として計画することが望ましい。

10 PTA室

 PTA活動の拠点となる室として,必要な家具等を適切に配置できる面積,形状等とすることが望ましい。

11 便所,手洗い等

 管理関係室近傍に職員や外来者用の便所,手洗いを計画することも有効である。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

課長 長坂 潤一(内線2286) 専門官 瀬戸 信太郎(内線3181) 専門職 野口 公伸(内線2288)
電話番号:03-5253-4111(内線2291)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)