資料1-2 はじめに

はじめに

○平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、岩手県、宮城県、福島県を中心とした東日本の広い範囲に被害が及び、主に津波に巻き込まれたことにより多くの尊い人命が失われた。

○学校における物的被害に目を向けると、約八千校において、津波による校舎や体育館の水没、浸水を始めとして、件数は少ないながら地震による倒壊や半焼など、多様な被害を被った。なお、倒壊被害が少なかったのは、耐震対策の成果によるものと考えられる。また、学校施設が子供たちや地域住民の緊急避難場所、または避難所としての役割を果たす中、発災直後から教育活動再開までの間において様々な課題が顕在化した。

○我が国は、自然災害が多発する地域に位置しており、今後も自然災害の発生を避けることはできない。そのため、子供たちの学習・生活の場としての役割だけでなく、地域住民の防災拠点の役割をも果たす全国の学校施設の安全性を確保することが強く求められている。

○こうした状況を踏まえ、文部科学省は、平成23年7月に全国の学校設置者に対して学校施設の耐震対策や津波対策、防災機能の確保等に関する緊急提言として、「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について」をとりまとめた。

○その後、政府の中央防災会議における南海トラフ巨大地震による被害想定の見直しや、災害対策基本法、国土強靱化基本法(P)、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、首都直下地震対策特別措置法といった災害対策法制の整備、また、津波や地震による被害や避難所の実態に関する様々な分野の調査結果や研究成果が取りまとめられてきた。このため、文部科学省では、学校建築、災害社会工学、防災教育等の分野を専門とする学識経験者、行政関係者等の協力を得て、「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」の下に「災害に強い学校施設づくり検討部会」を設置し、学校施設の津波対策や避難所となる学校施設の在り方について検討した。

○当部会では、これまで約○か月にわたり、東日本大震災により避難所となった学校における施設の利用状況や今後、津波被害が想定される地域での学校における施設の防災機能強化の取組みについて、現地調査を実施し、活発な議論を行った。

○本報告書では、上述した災害対策法制等の動きを把握しつつ、現地調査や各委員からの知見を踏まえ、津波災害に対応し、また、避難所として機能する学校の施設・設備面における検討の成果を取りまとめた。

○第1部では、津波災害が想定される地域における学校施設の在り方について、第2部では、地域の避難所となる学校施設の在り方について基本的な考え方を示すとともに、具体的な計画・設計上の留意点を示した。

○災害に強い学校施設を推進するためには、学校設置者をはじめ、学校の計画・設計、管理運営に係る関係者が、個々の学校の立地条件や運営実態に応じて検討を行い、具体的な対策を講じることが重要である。

○本調査研究協力者会議としては、これらの取組みと避難訓練を含めた防災教育などのソフト施策とも有機的に連動させることによって、全国の学校施設の安全性が確保され、防災機能の強化が図られていくことを、切に期待するものである。

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