資料3 津波災害を想定した学校施設づくりの在り方について(これまでの議論及び現地調査を踏まえたたたき台)

第1部第2章 津波災害を想定した学校施設づくりの在り方について
(これまでの議論及び現地調査を踏まえたたたき台)

(※は元とした資料等)

 学校設置者は、津波災害を想定した学校施設づくりについて、以下の考えに基づき実施することが望ましい。

(1)基本的な考え方
・あらゆる可能性を考慮した最大クラスの津波での浸水が予想される学校は、校舎の屋上や上層階(以下、「屋上等」という。)や高台の緊急避難場所に、十分な時間的余裕をもって到達できるよう、避難路、避難階段を確保する必要がある。
※防災基本計画

・災害時には通行不能となる可能性がある道路や階段を緊急避難場所への避難経路とする場合は、まちづくりと一体的に安全性の向上を図るとともに、複数の避難経路を確保することが望ましい。
※防災基本計画

・高台及び屋上等の両方への避難が考えられる場合には、漂流物による火災や、想定を上回る津波に対してより安全な場所を緊急避難場所とすべきである。その結果、高台を緊急避難場所とする場合には、高台への避難経路の確保を行うとともに、高台に逃げ遅れた児童生徒や地域住民が避難するために屋上等への避難階段等の整備も併せて行うことが望ましい。
※津波避難対策ワーキンググループ

・高台への避難路や屋上等への避難階段の整備を行ったとしても、津波への安全性が確保できない場合には、学校施設そのものを安全な場所に移転することを検討すべきである。この場合には、学校は地域コミュニティの拠点であり、学校と地域は密接な関係にあることから、学校と地域の関係を十分考慮する必要がある。
※前段:「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について(緊急提言)」
※後段:緊急提言

・特に、避難行動要支援者である児童生徒が多数在籍する幼稚園や特別支援学校については、可能な限り津波が浸水しない場所に立地するべきである。
※防災基本計画

・なお、通学中や在宅時の安全等も視野に入れ、地域の津波対策と一体的に取組むと共に、防災教育等のソフト対策も一層充実することが望ましい。
※防災基本計画
※竹島小ヒアリング

(2)安全な高台への避難路の整備
・避難路・避難階段の整備にあたっては、児童生徒の体格、地域住民も含めた避難人数を踏まえ、避難路・避難階段の幅や勾配を決定することが望ましい。
※津波避難対策検討ワーキンググループ

・ユニバーサルデザインの観点から、高台への避難路には緩やかなスロープを採用することが望ましいが、地形等の条件によりスロープを採用し難い場合には、階段とすることも考えられる。
※南郷小学校ヒアリング

・高台の緊急避難場所には、避難想定人数が十分収容できる面積の集合場所及び備蓄物資を確保しておくことが望ましい。
※防災基本計画

・津波警報解除後に、高台から避難所への移動が可能となるよう、高台の緊急避難場所は行き止まりとならないようにすることが望ましい。なお、通常時にも散歩等に利用されるよう、経路の舗装や東屋の整備を行うことが考えられる。
※前段:日和佐小学校、南郷小学校ヒアリング
※後段:日和佐小学校ヒアリング

・避難経路に耐震対策がなされていない橋や、倒壊の危険性が高い建物・ブロック塀等が存在する場合には、まちづくりと一体的に安全性の向上を図ることが望ましい。また、避難路が通行不能となることを想定して、複数の避難経路を確保することが望ましい。
※防災基本計画

・学校から高台への避難時間を短縮するため、高台に近い経路に上層階から直接出る経路を整備しておくことも考えられる。
※大船渡市プレゼンテーション
※緊急提言

(3)屋上等への避難のための施設整備
・屋上等を緊急避難場所とする場合は、余裕のある入口幅や階段幅を確保した屋上等への避難階段を確保することが必要である。
※第2回質疑より

・屋上等への避難階段は、教職員が常駐していない時間帯に地震が起こった場合にも円滑に避難できるよう、屋外避難階段とすることが望ましい。この場合において、防犯上・生徒指導上、屋上等への屋外避難階段を常時開放することが難しい場合には、避難階段の入り口に集合住宅のバルコニー等に使用される隔て板を設置し、緊急時には破壊することで避難可能とすることや、鍵つきのドアを設置することが考えられる。ただし、鍵つきのドアを設置する場合には、周辺の町内会に鍵の管理を依頼するなどの工夫が必要である。
※竹島小学校ヒアリング
※名古屋市プレゼンテーション

・地域によっては、地域自体が高台から離れており、学校が地域の緊急避難場所となる場合もあることから、地域住民が避難してくることも想定して、屋上等への円滑な避難が可能となるよう避難経路を整備することが望ましい。例えば、屋上等への避難時間を短縮するよう、敷地境界のフェンスに専用の門を設けておくことや、車いすでの避難も考慮して避難階段までのスロープを整備しておくことが考えられる。なお、避難者が多数となる場合には、児童生徒の避難動線と地域住民の避難動線の空間的な分離を図ることが望ましい。
※前段:竹島小学校ヒアリング
※中段:竹島小学校ヒアリング
※後段:第2回質疑より

・屋上を緊急避難場所とする場合は、落下防止用の手すりを設けるとともに、避難者数を想定して屋上の強度を確認する必要がある。
※名古屋市プレゼンテーション

・新たに学校施設を整備する場合には、想定される浸水高さによっては、屋内運動場等を浸水の可能性が低い高層階に配置することで、津波からの緊急避難場所と避難所を兼ねることも可能となる。その場合に、通常利用時の学校機能に支障を生じない動線計画とすることが重要である。
※第2回質疑より
※後段:緊急提言

・津波により孤立した場合に備え、自家発電装置、懐中電灯、情報通信機器、拡声器、備蓄物資等を緊急避難場所等の浸水しない場所に確保しておく必要がある。
※第2回質疑より
※緊急提言

・日常生活の中で常に津波災害の危険性を認知し円滑な避難ができるよう、屋外避難階段の整備に併せ、想定される津波浸水高等を施設に表示することが望ましい。
※防災基本計画
※竹島小ヒアリング

(4)ソフトとの連携
・上記の整備を行おうとする場合には、地域住民も含めた避難訓練の実施などにより、地域住民や児童生徒の意見も取り入れつつ行うことが望ましい。また、整備後も当該施設を使って継続的に避難訓練を行い、万が一の災害に備えることが重要である。
※前段:第3回矢守委員プレゼンテーション
※後段:第2回質疑より

・学校施設が浸水の可能性がある場合には、パンフレット等においてであらかじめ予想浸水深や浸水開始時間、緊急避難場所、避難経路等を示した上、児童生徒や保護者に周知することが望ましい。
※防災基本計画

・児童生徒が学校にいない時間帯においても自分自身の生命を守れるよう、在宅時や通学中の緊急避難場所や、当該緊急避難場所への避難経路についても事前に決めておくことが望ましい。
※防災基本計画

・複数の避難動線や教職員の役割分担を明記した津波避難計画(計画図を含む)を作成することが望ましい。
※第2回質疑より
※荒浜小学校ヒアリング

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