老朽化対策検討特別部会(第2回) 議事要旨

1.日時

平成24年5月29日(火曜日)15時30分~17時30分

2.場所

文部科学省東館17F1会議室

3.議題

  1. 地方公共団体・有識者からのヒアリング
  2. 第1回特別部会の補足事項について
  3. 自由討議
  4. その他

4.出席者

委員

上野部会長、安間委員、伊香賀委員、海野委員、木村委員、小松委員、菅原委員、成田委員、丹羽委員、望月委員、柳原委員、山本委員
(立川市説明者)白坂立川市行政管理部施設課長

文部科学省

長坂技術参事官、瀧本施設助成課課長、富田施設助成課企画官、齋藤施設助成課課長補佐、高見施設助成課課長補佐、中島参事官付参事官補佐、深堀施設企画課課長補佐、廣田施設企画課防災推進室専門官

5.議事要旨

(1)地方公共団体・有識者からのヒアリング

・立川市より資料1に基づき立川市の維持保全の在り方についてプレゼン

○大規模修繕のほかに、バリアフリーや省エネ・断熱性能の向上などを複合的に行う場合、補助金が使いにくくなっていないか。
○(立川市)現在の補助制度は大規模改造の上限が定められており、規模の大きい事業が対応できない。
○施設の優先度の決め方は結構難しい。ハードの状況と、地域全体の中でのその建物の利用状況、両方勘案する必要がある。個々の建物を維持することは大事だが全部維持すると膨大な金がかかる。使われていない施設をどう減らすか検討することも重要。
○前回の部会では、例えば減築等により維持管理に必要な負担を減らすことを検討するには、児童生徒数の動向等を踏まえたその地域におけるストックの必要性も検討の視野に入れないといけないかなという発言があった。
○(立川市)財政的な支出は、直近の20年ぐらいまでが従来どおりのコストで対応できる限界で、その次の20年は改築に必要となる費用が大幅に上がる。将来的な建物のあり方を見直すなど、この高さをゆっくり圧縮していきたい。
○立川市の取組は、場当たり的な整備でなはなく計画的に進めており、また、単なる老朽化をとめるということではなく、サステイナブルな環境の整備や、バリアフリー化、教育環境・生活環境の向上等質的な向上も目指している点で非常に参考になる。

 

・海野委員より資料2に基づき川崎市の維持保全の在り方についてプレゼン

○改修に4年かかるということだが、工事は夏休みだけを想定しているのか。
○(海野委員)多いところは、1,000人の児童生徒がおり、またその数も増加しているとともに校庭のスペースも限られているため、校庭に仮設校舎を作ったり、余裕教室を活用することが難しい。夏休みと冬休み中の工事となるので、かなり効率の悪い。また、財政負担を平準化するため、今後5年間は、5億円程度の改修を広く実施し域内の施設の底上げを行いたいと考えている。
○改修工事に3年、4年かかるというのは大きな課題で、これも議論したい。ただ、学校施設評価の仕組みを使って、単なる劣化防止ということではなく、安全性のほかに快適性や環境への適合性(CASBEE)、それから学習活動への適合性といった総合的に学校機能の維持向上を同時に考えてられており、極めてモデル的な取り組みだと思う。
○新しい学習活動への対応等、今後、質的な改善を維持保全計画にどのように具体化していくのか興味を持った。川崎市では、施設評価の5観点を、レーダーチャートを用いて見える化し、それを長期保全計画としてまとめている。質的向上の要素を含めた老朽化対策ビジョンの取りまとめに向け、検討されているということは、非常に重要である。
○質的改善の、特に学習環境に係る評価項目の設定方法について伺いたい。
○(海野委員)客観的な評価項目をつくるのは難しいと思う。単に空間の有無で判断するのではなく、各学校の教育目標等に対する学校評価と連動したものを作ることがポイントになる。

 

・小松委員より資料3に基づき公共施設のマネジメントについてプレゼン

○プールや図書室、給食室等は各学校に整備する必要があるかは論点になりうる。

 

(2)第1回特別部会の補足事項について

・深堀施設企画課課長補佐より資料4に基づき「学校施設評価システム検討部会」による報告について説明

○ワーキングの検討においても、老朽化対策は大きなテーマ。両方を常に関連づけながら議論したい。学校施設整備基本構想のガイドラインでは、立川市や川崎市の取組のようなグッドプラクティスを事例紹介していきたい。

 

・事務局より資料5,資料6に基づき前回部会の意見などに対する補足説明

 

(3)自由討議

○大規模改修、再生整備は、どの程度やるかが悩ましいが、その点でも評価の視点が大事だなと思う。環境への配慮やバリアフリー化、また施設の複合化など多くのことを考慮すると改修費は増加する。改築する場合にのみ必要となる躯体に係る費用は相対的に低くなる。
○お金がないという状況が前提ならば、躯体に係る費用の差は大きい。改修や改築に係る工期の長期化により、工事費も相当割高になる。いずれはすべての校舎を改修・改築するのだから、例えば仮設を順番に使用するなどの仕組みつくる等の工夫ができないか。改修は、改築より工期が短いというメリットもある。
○整備計画を一度立てたら終わりではなく、5年に1回程度、定期的に劣化調査をする必要がある。新築の事業が減り、営繕担当の職員が不足しており、定期的に点検をするための体制を組む余裕が無いのではないかと危惧している。劣化度調査に係る人材に関する、国の取組が必要ではないか。定年退職後の建築士やボランティア等を学校の施設の劣化調査に活用することも一案。中規模修繕費が平米当たり1,000円という事例が紹介されたが、少し少ないように感じる。劣化の回復だけではなく、耐震補強やバリアフリー化、エコの改修等を実施するのであれば、アメリカでの取り組みも勘案して、新営単価の2%~4%程度を毎年確保する必要があるのではないか。
○中小レベルの都市になると、教育委員会に建築の専門家がおらず建物の劣化にかかる調査が十分にできない。教職員に頼るのではなく、専門家に依頼する仕組みが必要。学校施設の評価に基づき、何を誰が実行するのかを明確にする必要があるのではないか。
○自治体が計画を策定した後、予算が伴う計画をいかに推進していくかも課題。3~40年で建て替えるのではなく、長寿命化を図ることは非常に重要。
○施設の評価は老朽化対策と密接に結びついている。大規模改修をどのレベルまで実施するか、国が最低限の仕様を提案し、残りは自治体が必要な要素を追加するという仕組みも必要ではないか。それに基づいた補助制度があると、非常に動きやすい。
○単に劣化を改修するだけではなく、教育環境の向上やエコロジカルな仕掛け等に総合的に取り組めるような制度の創設も今後の議題となりうる。
○(事務局)現行の補助制度を改正することは容易ではないが、学校施設の改善や、長期的に考えた場合の国の財政的なメリットがあるのであれば、検討していきたいと思う。現行の制度について、次回に改めて説明する。
○教育環境の質的向上というキーワードについて、具体的なイメージをいかに共有するかが重要。必要面積は定期的に見直されており、今回、多様な学習活動に対応するためスペースのあり方について検討するのも一案。

 

(4)その他

・事務局より資料7に基づき今後のスケジュール案について説明。

 

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