環境を考慮した学校づくり検討部会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成21年7月22日(水曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 旧文部省庁舎4階 文教施設企画部会議室

3.議題

  1. 環境を考慮した学校づくり検討部会の検討内容について
  2. 既存学校施設におけるエコスクールづくりの現状と課題について
  3. 学校施設における総合的な環境性能の評価手法について
  4. その他

4.出席者

委員

(協力者)伊香賀俊治、伊東友忠、押尾和子、小泉治、長澤悟(敬称略)
(特別協力者)新保幸一、村岡泰孝(敬称略)

文部科学省

(文教施設企画部)西阪部長、岡技術参事官、長坂施設企画課長、森企画調整官、その他関係官

オブザーバー

(環境省環境教育推進室)林室長補佐
(文教施設企画部施設助成課)都外川課長補佐

5.議事要旨

1)環境を考慮した学校づくり検討部会の検討内容について
・事務局から資料3,4,5に基づき環境を考慮した学校づくり検討部会の検討内容について説明。

2)既存学校施設におけるエコスクールづくりの現状と課題について
・国立教育政策研究所文教施設研究センターから資料6に基づき校舎のエコ改修モデルプランについて説明。その後意見交換を行った。

○ 2地域及び4地域の小学校のモデル校舎を対象に、エコ改修実施前後のCO2排出量等に関するシミュレーションを行ったところ、校舎の年間CO2排出量は、改修前に比べ約25%から40%削減される結果となった。
○ モデルプランに関する留意事項は、校舎に限定しているため必ずしも学校全体のCO2排出量を反映したものではないこと、また、地域開放や給食調理に伴うCO2排出量は含まれていないことである。
○ 耐震改修と老朽改修を含むエコ改修の工事単価は、12万円/平方メートルから13.6万円/平方メートルであり、エコ改修に伴う単価増は3.3万円/平方メートルから4.9万円/平方メートルである。

○ 今般のスクール・ニューディール構想により学校施設への太陽光発電の導入を積極的に推進していることから、太陽光発電の発電量について考慮した方がよいのではないか。

・村岡特別協力者から資料7に基づき藤沢市における既存学校施設のエコスクールづくりの課題等について説明。その後意見交換を行った。

○ これまで耐震化に予算を集中投資してきたため、外壁補修、屋上防水、トイレ改修等の補修工事が先送りとなっている。全小中学校56校の内、築30年を経過する学校は28校であり、大規模改修が未実施である学校は25校である。
○ 老朽化した学校を長く使用していくためには、教育環境や生活環境の向上も含めた建て替えや大規模改修が必要である。
○ 少子化により学校内のスペースに余裕が生まれることから、学校を地域の活動拠点と位置づけ、余裕教室活用を含めた多目的な活用を図り、学校以外の施設整備費を抑制するなど、全市的かつ柔軟な発想での検討が必要である。
○ 他方、児童生徒が増加する地域がある。児童生徒が増加している学校では、教室が不足し、プレハブを設置しており、このような学校では特別教室の新設や少人数学級の教室の確保が困難である。将来を見据えた対策が必要となっている。
○ 平成20年度に学校におけるエネルギー消費量等と施設面の実態把握を行った。今年度は、さらに室内の温熱環境の測定や、教職員、児童生徒のニーズ調査等を行い、詳細な実態を把握・分析した上で、環境に考慮した学校施設整備方針を策定する予定である。

○ 整備計画の策定は、財源計画も含め検討する必要がある。  
○  エコ改修をする際、どこまでコストをかけるか、また、建物を何年使用することが可能か判断に困る。
○ 都市部の既存学校施設では、バリアフリー化を図る際、日影規制の関係等でエレベーターを設置できず、改築整備にせざるを得ない場合がある。 
○ エコ改修は学校で生活しながら改修を行うため、学校や施工業者にとって苦労が多い。
○ 学校現場では、太陽光発電の設置に伴い、発電量や発電の仕組み等を表示するパネル設置を希望していたが、予算上の都合でできなかった。
○ エコ改修の実施に当たって、教育とどうリンクさせていくか検討することが重要である。

3) 学校施設における総合的な環境性能の評価手法について
・伊香賀委員から資料8に基づき学校施設における総合的な環境性能の評価手法について説明。その後意見交換を行った。

○ イギリス政府は2016年までに新築の学校について、2019年までには民間の新築建築も含めてゼロカーボン化するという政策を決定している。
○ 国土交通省の審議会では、「中期的視点に立った住宅・建築物における環境対策のあり方」について、1.ライフサイクルを通じた環境対策、2.エネルギー消費の一層の削減方策、3.総合的な環境性能評価の推進方策の3つの観点から検討している。
○ 環境品質・性能と環境負荷低減を評価するCASBEE簡易版では、建築物の環境効率の簡単な表示や、ライフサイクルCO2の算出が可能である。また、改修前後のデータ比較も可能である。
○ 東京都では、都立高校も対象とした「地球環境保全型都有施設整備指針」を策定し、公共施設の新築や改修する際に、CO2排出量や予算の簡易的なチェックと、CASBEE評価を行うことができる統合ツールを開発している。
○ 国土交通省では、住宅を建ててから壊すまでの間に排出されるCO2を太陽光発電やバイオマスエネルギー等で帳消しにするプロジェクトを開始している。

○ 規模に関係なくゼロカーボン化は可能である。例えば、文教施設研究センター作成のモデルプランでは、5,000平方メートルの校舎でも30kW分の太陽光発電を設置すればCO2排出量を帳消しにすることが可能である。 
○ CASBEEを用いて小学校や中学校を評価する場合は、1.評価に手間がかかるため、読み替えのマニュアルやひな型が必要、2.設置者における技術者の配置状況に配慮が必要、3.現場の先生に点数を付けてもらうなど学校の使われ方の把握方法について検討が必要、4.環境対策に対する費用算出のツールを開発することが必要、などの課題がある。 
○ CO2削減効果や省エネ効果等を自治体の経営層から求められることがある。どの程度環境対策を行うと、どの程度の効果があるのかということを自治体内部だけで出すことは難しいため、CASBEEのようなツールがあると助かる。
○ CASBEEは学校施設のみならず、庁舎などその他の公共施設にも利用可能であり、自治体の中で対象となる施設数がある程度確保されるため、意義が伝わりやすい。
○ 環境配慮契約法において、国等の建築物の建築又は大規模な改修に係る設計業務を発注する場合は、CASBEE等を活用した総合的な環境保全性能の規定やライフサイクルCO2の算出等を求めている。自治体は努力義務ではあるが、本部会での検討結果をきっかけに取組が進むとよい。

4)その他 
・事務局から資料9に基づき先進事例の現地調査について説明。
・事務局から資料3に基づき環境を考慮した学校づくり検討部会の今後のスケジュールについて説明。

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

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