参考資料5 「復興への提言」~悲惨のなかの希望~(抜粋)

「復興への提言」~悲惨のなかの希望~(平成23年6月25日 東日本大震災復興構想会議)
- 国立大学等施設整備関連部分抜粋 -

2.本論

第2章 くらしとしごとの再生

(1)序(p13)

 (略)「減災」の考え方から言っても、「学校施設」の機能強化は大切である。(略)

(2)地域における支えあい学びあう仕組み

3 学ぶ機会の確保(p15)

 被災した学校の再建や整備にあたっては、災害時の応急避難場所や重要な防災拠点としての役割を果たせるように工夫する。例えば、(略)防災機能を一層強化する必要がある。(略)

 被災地の復興に向けたより長期的な視野に立って人材を育成するためには、科学技術や国際化、情報化の進展等に対応した新たな教育環境の整備が必要である。同時に、被災地において、産学官の連携により、地域の産業の高度化や新産業創出、地元産業の復興を担う人材やグローバル化に対応した人材を将来的に育成するため、大学・高専等における人材の高度化に努め、地域への定着を図ることが必要である。

(5)地域経済活動の再生

1 企業・イノベーション/産業・技術集積とイノベーション(p19)

 東北大学をはじめとして、多くの大学・大学病院、高専、研究機関、民間企業等が、地域における重要な知的基盤・人材育成機関として共存している。このような東北の強みを生かし、知と技術革新(イノベーション)の拠点機能を形成することが重要である。このため、被災した大学・大学病院、研究機関等の施設・設備をはじめ、教育研究基盤の早期回復を図り、より一層の強化をする必要がある。また、産学官の連携により、スピード感のある技術革新を可能にするため、中長期的、継続的、弾力的な支援スキームを構築せねばならない。さらに被災地の大学を中心に地域復興のセンター的機能を整備し、様々な地域ニーズに応えることが求められる。
 これまでの実績を踏まえ、研究開発の促進による技術革新を通じて、「成長の核」となる新産業および雇用を創出するとともに、地域産業の再生をもたらし、東北に産業と技術が集積する地域を創り出すことが期待される。(略)

(6)地域経済活動を支える基盤の強化

2 再生可能エネルギーの利用促進とエネルギー効率の向上(p24)

被災地における再生可能エネルギーの可能性
 再生可能エネルギー(略)については、エネルギー源の多様化・分散化、地球温暖化対策、新規産業・雇用創出などの観点から重要である。そこで、出力の不安定性やコスト高、立地制約などの課題に対応しつつ、その導入を加速する必要がある。
 東北地域は、太平洋沿岸では関東地方と同程度の日照時間を有し、気温が低く太陽光発電システムの太陽光パネルの温度の上昇によるロスが小さいため、太陽光発電に適している。さらに、地熱資源や森林資源・水資源も豊富に存在しており、地熱発電やバイオマス、小水力発電等の潜在的可能性も高い。また、東北地域には、全国的に見ても風況が良い地点が多く、風力発電の潜在的可能性が高い。

地域自立型エネルギーシステム
 被災地におけるインフラの再構築にあたっては、先端的な自立・分散型エネルギーシステムを地域特性に応じて導入していくことが必要である。そのシステムは、まず、省エネルギーシステムの効率的な活用、次いで、再生可能エネルギーなど多様なエネルギー源の利用と蓄電池の導入による出力不安定性への対応、さらにガスなどを活用したコジェネ(熱電併給)の活用を総合的に組み合わせたものである。
 こうした自立・分散型エネルギーシステム(スマート・コミュニティ、スマート・ビレッジ)は、エネルギー効率が高く、災害にも強いので、わが国で長期的に整備していく必要がある。そこで、被災地の復興において、それを先導的に導入していくことが求められる。
 地域の復興・再生において、防災、地域づくりなど、他の計画と並行して一体的に進めることがより効果的である。

第3章 原子力災害からの復興に向けて

(5)土壌汚染等への対応(p29)

 (略)放射性物質で汚染された廃棄物や土地の早期の処理や、浄化に向けて取り組むべきである。(略)

第4章 開かれた復興

(5)災害に強い国づくり

2 今後の地震・津波災害への備え(p36)

 わが国はプレート境界部に位置し、甚大な被害をもたらす地震・津波は、全国どこでも発生する可能性がある。(略)地震・津波の大きなリスクの存在を再認識し、被災した場合であっても、これをしなやかに受け止め、経済活動をはじめ諸活動が円滑に行われていくような災害に強い国づくりを進めるべきである。こうした「減災」の考え方に基づく国づくりは、日本の一つの強みとなる。
 国は、被害想定のあり方と地震・津波対策の方向性を提示し、防災基本計画の見直し等に反映することが必要である。特に、今世紀前半の発生が懸念され、大きな津波を伴うことが想定される東海・東南海・南海地震への対策については、今回の教訓を踏まえ、新しい対策の方向性を示す必要がある。また、同じく発生が懸念される首都直下地震については、日本のみならず、世界への影響も十分考慮して、対策を強化するべきである。(略)

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