今後の国立大学法人等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議(第4回) 議事要旨

1.日時

平成21年5月1日(金曜日)10時から12時まで

2.場所

文部科学省16F特別会議室

3.議題

  1. 長期的視点に立ったキャンパス計画とその役割について
  2. 今後の国立大学法人等施設の整備充実について(論点整理)
  3. その他

4.出席者

委員

木村委員(主査)、杉山委員(副主査)、勝方委員、唐木委員、小澤委員、小林委員、小松委員、鈴木委員、豊田委員、中西委員、山重委員、山本委員

文部科学省

布村文教施設企画部長、岡技術参事官、小川計画課長、山﨑計画課整備計画室長、平井参事官、藤原会計課長、永山国立大学法人支援課長 他

オブザーバー

新保国立教育政策研究所文教施設センター長

5.議事要旨

※事務局より、配布資料について確認。

(1)長期的視点に立ったキャンパス計画とその役割について

長期的視点に立ったキャンパス計画とその役割について、小林委員より資料1に基づき説明があり、意見交換。

<主な意見等>(○:協力者)

○キャンパスマスタープランはどれくらいの期間で見直しするのか。

○海外(特にアメリカ)の大学では、フレームワークプランは30,50年という長期的な大学の憲法にもあたる理念と構想であり、社会情勢の変化に対応できるよう10年ぐらいのスパンで実現可能なマスタープランにブレークダウンして大学の施設環境整備を長期的かつ戦略的に考えている。

○法人化後に大学には安全の確保や管理のためのスペースが重要になってきている。例えば、MITでは事故に対する賠償金を払う代わりにキャンパス整備に回し随分整備を行った事例がある。身近なところで整備をしなければいけないところがたくさんあり、安全という面とその管理をするという観点からキャンパスをどのように考えているのか。

○アメリカではキャンパス内での教育研究生活の安全性は24時間体制で管理されており、さらに研究環境としての施設的な安全についても州の法律に基づいて十分な配慮のもとで計画・整備・管理されている。それ以外の安全性の確保は、例えば、ペンシルベニア大学では、周辺の治安が悪くなったときに、大学の自主警護・安全パトロールなどでセキュリティを高め、教職員・学生の居住する周辺コミュニティーの安全性も高めていった。研究教育環境上の安全性も含めながら地域全体の安全性を高め、大学キャンパスが地域の財という意識が上乗せされて考えられている。

○キャンパスプランの作成するための組織はどのようなものか。また具体的に進めるためにはお金が必要だが、ファイナンシャルプランニングとキャンパスマスタープランはどのような関係があるのか。

○組織については、大学によってかなり異なるが、実際に着実に進んでいる大学はトップを総長や理事会とし、その指示のもとで、外部の財務管理・運用の専門家も組織に雇用・参加して計画の立案、実現、チェックを行っている。ファイナンスを含め実現するプロセスも多様であるが、各大学ともに戦略的に資金を集める必要があり、マスタープランで具体的な大学のタスクフォースと将来像を公表ながら寄付・投資などの資金計画づくりを実施していく場合も多くある。

○施設等がなくても満足感が得られる場合があると思うがどのようにとらえているのか。

○先端的研究の施設や装置の高度化・先端化の資金利活用と同時に、研究者や学生の教育研究活動の場のアメニティをキャンパス全体で高め、特にパブリックスペースのアメニティ環境をいかにつくるかということを意識して作成されていると思う。特に州立大学では、学生生活でのアメニティの視点を非常に重視していると思う

○アメリカの大学では、空間的な感覚があるが、日本では、どのように考えられているのか。

○良い研究者、良い学生、そして運営資金をどれだけ集め、既存の施設や資産をマネジメントしていくかの学内コンセンサスを形成することがキャンパスマスタープラン策定の大きな目的であり、そのために何をするのかを戦略的に考え、示している。

○キャンパスには、北海道大学みたいな自然環境が豊かな大学と都市の中にある大学の2つのタイプがあり、各大学の状況に応じて施設をいかにマネジメントしてきくかが重要。

 

 

(2)今後の国立大学法人等施設の整備充実について(論点整理)

事務局より資料2及び資料3-1、3-2について説明。

<主な意見等>(○:協力者、●:事務局)

○大学間ネットワークが行われる場合、キャンパスマスタープランに大きな影響が出てくるのではないか。

●マスタープランは大学毎のプランであり、各大学で大学間ネットワーク等の状況もふまえて考えていくことになると思う。

○教育研究の活動を含めてキャンパスマスタープランを考えることが必要。

○グローバル化された世界の中で日本が生き残るためには、大学の果たす役割は重要であり、国際的な知の交流拠点となるような打ち出しが必要ではないか。

○附属病院では、教育・研究・診療を行っており、キャッシュフローで半数が赤字となっている。また、臨床医学の論文数は外国の主要国は伸びているが、日本では法人化前は伸びていたが法人化後に減少しており、国際競争力が低下している。原因の一つとして、借入金の返済のため、診療にかかる時間が増えており、研究に回す時間の減少がある。財政投融資と1割の国費では、苦しい状況であり、民間に比べると負担が大きい。弾力的な対応ができないか。なお、コスト削減と機能を低下させないための工夫も重要。

○学生と教職員の健康もきちんと見る必要があり、労安法により作業環境の確認があり産業医をお願いしたりしている。その際、附属病院の役割も大切であり、適切な支援が必要ではないか。

○昨今の経済状況では、産学連携による民間からの相応の規模の資金提供は厳しい状況。資金面だけではなく、企業が持っている特殊な研究施設などを活用するなど多様な連携が必要ではないか。

○日本では、基幹技術が徐々になくなってきている。それぞれの大学で大きな設備の整備はなかなかできない状況だが、拠点として整備していくことは重要。

 

事務局より資料3-1,3-3について説明。

<主な意見等>(○:協力者、●:事務局)

○大学の構想と政策的な対応とは、違う概念であり、ファンディングが違えば一番いいが、同じ財源でどう割り振るかが課題ではないか。

○役割分担のところは、国と大学のそれぞれでPDCAサイクルを考えてもう少しわかりやすく整理した方がいいのではないか。その中で、国と各大学の目標がそれぞれ進められ、相互関連が出てくるというのが明確になるのではないか。

○各大学の多様な考えと国の整備の考えをどのように整理するか。各大学の独自性をどのように確保していくかについて整理する必要があるのではないか。

○長期借入金による整備を実施するためには経営判断が必要だが、各大学で判断していいのか。専門性が必要であり、特に大学の規模によっては、今の組織では厳しいのではないか。大学の対象によって支援の方法が異なるのではないか。

○日本の大学では、必要な水準を満たしていない状況もあり、今議論していることと若干マッチクングしない部分がある。

○キャンパスマスタープランは、必ずしも先端的な戦略だけでなく、ベースとなる水準を整備するということが大前提となっている。各大学で、キャンパスマスタープランを作成した方がいいが、大学の規模等によっては整理の方法がわからない場合もある。キャンパス計画のスタンダードみたいなものをいくつか示す必要があるのではないか。

○キャンパス計画のスタンダードやIs値だけではなく快適性等を示す新たな指標、ベンチマーキングは国として示した方がいいのではないか。

○法人化に伴い各大学には中期目標・計画によりPDCAを回す仕組みとなった。国のPDCAサイクルも考える必要があるのではないか。

○PDCAサイクルを考えることや、新たな指標は重要である。老朽度だけではなく大学の役割も踏まえた指標を検討することが必要ではないか。

○今後は、大学が個々のキャンパス計画をしっかりと持つ必要があり、一方、国は国としての方針があり、それが密接に融合しつつ財政的な支援がなされていくという将来の姿がある。そこに至るまでに整理しなければいけない事項もあり、時間的な段階をわけて整理するとわかりやすくなるのではないか。

 

(3)その他

○事務局より資料4に基づき、今後のスケジュールについて説明。

 

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室

(大臣官房文教施設企画部計画課整備計画室)