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学校施設の安全管理に関する調査研究について

2002/06/25 議事録
学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録

学校施設の安全管理に関する調査研究協力者会議(第5回)議事録

【日  時】 平成14年6月25日(火)  13:30〜15:30

【場  所】 経済産業省別館8階  846号会議室

【出席者】
[協力者] 伊藤  智、宇佐美絢子、生越詔二、工藤和美、斎藤?能、佐野康廣、瀬渡章子、谷口賢司、長澤  悟、野村晶三、安井義和,山本俊哉、吉澤晴行、吉村英祐
(敬称略)
[事務局] 施設企画課長、中村企画調整官、瀬戸係長  他

【資  料】
資料1 前回議事録(案)
資料2 報告書目次案
資料3 報告書案

参考1−1 大阪府安全なまちづくり条例  全文
参考1−2 大阪府安全なまちづくり条例に基づく指針(原案)

【会議概要】 (1)開会

(2)議事

【議  事】
(1) 報告書案について
事務局より資料1〜3、参考1−1〜2について説明

(2) 自由討論

  第2章  見出しの「今後の学校施設の防犯対策に係る計画・設計上の留意点」の文中で、 「今後の学校施設」とは、「計画・設計上の留意点」にかかると思われるが、既存校が学校施設のほとんどであることを考慮すれば、「今後の」という言葉はふさわしくない。

  本報告書案は、記述内容が全体的に細かすぎて、また、学校施設にそぐわない部分もある。さらに、参考となる防犯手法の事例が掲載されているが、学校におけるその必要性について吟味した方が良い。

  本報告書案では主に「外部からの侵入者対策」について検討行ったということを、どこかで断っておいたほうが良い。

  第1章と第2章ではほとんど同じことが記載されているところも多いので、整理すべきである。

  第1章の構成としては、まず第一に社会状況の変化を記述すべきである。また、次章以降において防犯対策を行う上での留意点を記述していった方が良い。

  学校施設を設計する際に、今までは設計者があまり侵入防止等の防犯について考慮してこなかったことや、防犯についてはソフト・ハード両面からの全体的な取り組みが必要であり、施設計画・設計はその一部であるというような基本的な認識を記載すべきである。

  学校施設整備指針における安全に関する事項について、その不足部分については改訂すべきであると考える。

  防犯の観点や具体的な手法を強調し過ぎると、設計者はそこだけを見てしまう。本来あるべき学校施設づくりに関する議論が残らない恐れが出て来るのではないか。学校は刑務所ではなく、楽しく夢のある空間として整備すべきである。それを踏まえた上で、子どもたちを守っていくにはどうすべきかということを考える必要がある。

  私立学校は設置者が各学校法人ごとになるため、報告書では具体的な防犯対策を記載したほうが参考となるのではないか。

  本報告書で強調されているのは、学校設置者と教職員の責任であるが、それぞれで対応できることは限られている。また、警備員の配置等の記載があるが、それに見合うだけの予算的な配慮についても考慮することが大切である。

  本報告書において、「費用対効果」という言葉は、ふさわしくないのではないか。

  第1章3(2)「各学校が最低限達成すべき目標」の部分における領域性について、一般的に領域性という言葉では塀やフェンスがイメージされるが、「おらが学校」といったような精神面での領域性もあるのではないか。

  人の目をいかに確保するのかといった観点が必要ではないか。また、最低限達成すべき目標のところには、実効性のあることを記載した方が良い。

  第1章2(1)「設置者等の責務」において、教職員と設置者が同列に並べられているが、実際には教職員は施設の日常的な運用を担当しており、とりわけ施設整備について教職員が責任を持つことは困難と思われる。

  第1章3(2)「各学校が最低限達成すべき目標」において、「来訪者を確認できる施設計画」とあるが、外部からの来訪者を一元的に確認することは実際には困難な場合も想定される。

  費用とそれに見合う効果を常に検討することは必要であり、協力者会議としては明言すべきであると思われる。

  既存校においては、耐震補強の助成制度を利用し、地震時に短柱破壊しやすい腰壁付き柱の腰壁をなくすことで、防犯上効果的な見通しの利く空間とすることもできる。このため、設計者としてはそのような補助制度を利用しながら、学校の防犯上のプランニングを考慮していくことも一つの手段である。

  第2章において、建物内部における防犯対策の記述が不十分ではないか。例えば、現状では、教室・職員室と廊下間のすりガラスが使用されていることが多いが、防犯性を考慮すれば、見通しを確保するため透明ガラスを使用し、内部相互の監視性を強めることが考えられる。

  防犯対策において大切なことは、まずは侵入をできるだけ阻止することであり、次に、万が一侵入を許した場合の対応が重要であり、それを助けるための施設のあり方を考えていくべきである。報告書にはハード面が主に記述されているが、そもそもソフト面と切り離すことは困難であると思われる。

  「防犯」という言葉を使うのであれば、最初に「学校における侵入者に対する防犯」というように定義づけた方が解りやすい。

  本報告書の実行性を考えた場合、例えば、第1章3(3)「各学校の特性に応じて設定すべき目標」では地域情勢から犯罪情勢、敷地条件に至るまで「きめ細かくかつ慎重に検討」とあり、対応が難しいと思われる。報告書を簡素化し、防犯対策の例示等については、別に記載することも考えられる。

  第2章4(2)「窓・出入口」の部分について、まずは見通しの確保が重要であるといったような優先順位を明確にした方が良い。

  文章の語尾に「必要である」「重要である」「大切である」等が使われているが、使い分けを整理した方が良い。「必要である」や「重要である」が最もニュアンスが強いように思う。また、第1章2(1)の最終部の危機対応意識の維持は、極めて重要かつ必要なことであると考える。

  安全と思われていた学校で事件が発生した。塀や門が設置してあれば、塀をよじ登ったり門をこじ開けたりしているところを目撃すれば、誰もが「不審者」と判断できるが、門を開放していると学校へ普通に入ってきた者を風貌のみで不審者と判断することは困難である。また敷地に一度不審者が侵入すると、学校側は対応が難しいため、「第一に敷地にいれさせない。」ということが、池田小学校事件での教訓であると考える。

  子どもの安全は塀と門だけでは守れないと考える。「何から」「何を」守るのか、守れないものは何なのかを明確にすべきである。

  防犯対策では「ソフト面」「ハード面」の両方が必要である。また、全体としての「防犯対策の在り方」と部分としての「具体的防犯の手法」の関係を明確にする必要がある。

  実際に侵入されたときの対応や、そのための訓練に関する記述等、現場において使い易い報告書とする必要がある。

  本報告書は手引書的なものと考えている。具体的に現場の先生にとって解り易く役に立つような文章とした方が良い。

  安全管理の中でも特に防犯が中心となっているが、万が一、火災や地震が起きたときにも対応できるようにすることも考えられる。

  登下校中も学校管理下であることから、学校施設内の防犯対策だけではなく、登下校中の防犯対策に関する記述も充実させた方が良い。

  第2章4(3)「避難経路」について、事件はいつ起きるかわからないものであることから、臨機応変の対応にも配慮した方が良い。

  現在、学校週5日制の導入により、土日は子どもたちが自由に使える時間になったにも拘らず、学校は防犯管理上、門を閉ざしており、子どもたちの居場所が失われている。

  学校敷地内へ入ってきて欲しくない人の侵入を防ぎつつ、学校教育活動に協力してくれる地域の人々は入りやすい仕組みとするのが良いのではないか。

  敷地境界付近への意識を高めることは必要である。そして地域の人々が学校に対し関心を持つことで、地域の目により防犯活動が行えるような環境づくりをすることが必要である。

  第1章3(1)「開かれた学校施設づくりと学校施設の防犯対策」においては、「開かれた学校づくりを推進する中で、学校施設の防犯対策等の安全管理を行うべきである。」といった記述とした方が良い。

  各学校においては、学校施設の配置により生じる死角や防犯対策の現状を把握する必要がある。報告書には、どのような手順で安全の確保ができるのかということも示した方が良い。

  第2章3(3)「囲障中の生垣」と、(5)「立木等の剪定」については、植栽の管理をすることで視認性を確保することが重要である。

  第3章2「既存学校施設の防犯対策の推進」では、早急な防犯対策の点検が必要とされているが、今後も継続して点検や訓練の実施を徹底することも必要である。

  第3章6「海外の先進事例等の研究」の情報交換に関連して、現場レベルでの情報交換についても記述した方が良い。

  文部科学省が本報告書をどう取り扱うのかを、事務局で次回までに整理してもらえば、委員全員の共通理解が図れると思う。

(3) 今後の日程について
  次回の会議については、予め各委員の都合を確認した上で、7月上旬を目途に開催することとされた。
  また、7月1日までに、各委員から報告書案についての意見を事務局に提出することとなった。


(文教施設部施設企画課)

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