学校施設安全対策部会(第4回) 議事録

1.日時

平成20年11月4日(火曜日) 16時~18時

2.場所

旧文部省庁舎 2階 第2会議室

3.議題

  1. 学校における今後の安全対策の視点について
  2. その他

4.出席者

委員

(協力者)杉本裕、長澤悟、成田幸夫、福田卓司、矢萩惠一、渡邉正樹(敬称略)

文部科学省

(文教施設企画部)長坂施設企画課長、森企画調整官、瀬戸専門官、木村指導第一係長、野口専門職

オブザーバー

(スポーツ・青少年局)長岡学校健康教育課安全教育調査官
(国土交通省)望月公園緑地・景観課長補佐 

5.議事録

【議 事】(○:委員の発言、●:事務局の発言)

・資料3に沿って、報告書の位置づけについての説明。

・資料2-1、2に沿って、報告書の全体の構成についての説明。

  

○ 第3章第2に、他に危険が考えられる場所として家庭科室、図画工作教室、屋内運動場を加えたらどうか。

 

○ 安全という観点では、火を使うことや熱湯を使うことに対する事項も含まれる。施設設備的に配慮する点として書いたらどうか。家庭科室や図工室、体育館等についての記述は無いが、留意点として列挙すべき点があれば、今後、追記していきたい。

 

○ 7ページ、「4 施設面の配慮」で「転落」という言葉を削除することによって全体を表現しようとしているが、全体を表現しようとするのならば、具体的に記述しないと、意味が伝わりにくくなるのではないか。

 

○ 「転落」という言葉をはずしただけでは、事故の具体的イメージがわきにくい。事故を防ぐための大原則を前提として書けば、各室・各部の留意点に繋がりやすい。3章に細かい記述が掲載されていない場合も、原則に照らせば、事故防止のための対応が確認できるようにしてはどうか。

○ 転倒・衝突・転落・落下物への対策など事故種別毎の全体像が整理されていたら分かりやすい。また、人対人、人対物など、事故の系統によって整理できれば分かりやすい。事故の原因と防止するための対応を整理すれば、原則が見えてくるのではないか。施設的な対応の仕方についても、未然に防ぐための対策、事故が起きたときの被害を軽減するための対策等に分けて整理すると、イメージしやすいのではないか。

 

○ 事故事例の整理は可能。どのようなまとめ方がよいかは検討が必要である。

 

○ 防犯対策について検討した時は、大原則が4点に集約されていた。様々なケースの問題を、大原則に戻り確認すれば、個々の考え方についても具体的にイメージすることができた。安全対策についても、事故防止のための原則を整理してまとめられないか。

 

○ いきなり各論に入っており、全体像がつかみにくい。まず、事故の全体像について記述すべき。

 

○ 施設面での対策に加えて、安全指導のことも整理して書き、どの場所でどのような行動によりどんな事故がおきているのかということを、整理して書けば、学校現場にとってわかりやすい報告書となるのではないか。

  

○ 子どもは予期しないことをするが、自然現象に対する事故も予期できない。落下物が人にぶつかるということもある。

 

・ 杉本委員より、対人衝突の概要についての資料の説明。

  

○ 廊下等を走っている際の事故が多い。「出会い頭の衝突防止に配慮した形状などとすることが望ましい」という記述があるが、どのような形状にしたらよいのかイメージがわかない。学校は一般的に見通しが確保されていることが多く、廊下の形状だけでは解決できない。曲がり角の見通しを良くするため、配慮は必要だと思うが、それだけでは解決できない。

 

○ 廊下を走ることをやめさせるには、様々な工夫が必要。「廊下は走らない」という注意書きを掲示するだけではなく、廊下に花を置くことで走ることを抑制するといった工夫も有効である。

 

○ 新しく学校を計画する場合に加え、既存の校舎はどう対応するか検討が必要。

 

○ 8ページ、「児童生徒等がけんかしたりふざけたりすることを前提として」という記述は書いて良いものなのか。けんかをするためのスペースを確保するということに読み取れない。ふざけないように指導をすることが前提。「誤って転倒してもけがをしないように」という記述にしてはどうか。

 

○ オープンスペースがある場合でも、その先に廊下があると走り出す傾向がある。走らない廊下の設計の仕方を一般論的として記述することは難しい。アイデアや工夫を例示するという書き方がよいのではないか。

○ 「突き当たり部はガラスの使用を控え」という記述について、ガラスが無いと閉鎖的な空間となる。対策の一つとしてはありえるが、廊下の端部は目線を受け止める大切な場所でもある。突き当たり部のガラスに衝突しないように、植栽を手前に置くなど衝突を防止するなどの工夫により対応すべき。

 

○ 廊下の突き当たり部は、採光を得るためにガラスを用いていることが多いため、「控える」と書くのは問題がある。衝突防止のための配慮をするように言及したらどうか。

○ 階段の上り端を廊下から少し下げたところに設定し、余裕を持った設計とすることも重要である。既存の校舎への検討は別途必要。

 

○ 家庭科室や図画工作室は、授業で使用する道具の設置方法に関することと、施設計画に関することの二つの視点がある。十分なスペースがない中で、様々な器具等を配置するのは危険。どんな設備をどの程度配置するのか設計段階から考慮しておくべきである。

○ この報告書はどのように活用されることを想定しているのか。学校施設整備指針の改訂を前提としているが、建物の話だけではなく、道具等の配置に係る議論を行ってもよいか。

 

● 学校施設整備指針は、計画・設計段階の留意点である。3月に改訂、公表を目指したい。また、維持管理段階の留意点に関しては、最終的な報告書の中で書き込んでいくことを考えている。施設整備指針の利用者は教育委員会の施設関係部署や設計の方々を想定しているが、本報告書については、教育委員会の施設関係部署に加え、学校現場で使っていただくことも想定。

  

○ 12ページの3つ目のポツ「大きくて厚いガラスを用いる場合は、万一破損した場合の危険性も大きくなることを考慮して」という記述に関して、物理的に、大きくて厚いガラスの方が破損したときに危険性が大きくなるという記述の事実関係については確認の必要がある。

○ 5つ目のポツ、破損時の被害を最小にするためには、安全ガラスを使うことが重要。ガラスを小さくすることが有効というのは「ガラスについての留意点」について記述している部分の記述としては不適なのではないか。

○ 13ページ、2つ目のポツ「なおガラス扉の前面に衝突防止用の手すりを設ける際は」という記述の意味が分かりにくい。

  

○ 14ページの「参考」の部分が意味が分かりづらい。人体衝突が起こりやすく、安全設計の必要性が高いガラスは、長さや床面からの高さではなく厚さに関係があるのではないか。

  

○ 既存の学校に飛散防止フィルムを貼る場合、飛散防止フィルムを貼る面など、専門家のアドバイスをうけながら作業することが重要。割れたとき、飛散防止フィルムごと落下するおそれがある。「専門家のアドバイスをうけながら」等補足の記述が必要ではないか。

  

○ 既存校の場合は、飛散防止フィルムを貼ることが、予算面のことを考慮しても有効な対応策である。新築の場合についても有効な手法となるのかは要検討。経年変化によりフィルムの接着力の低下などが起き、想定外の危険が生じる可能性がある。合わせガラスは安定した安全性がある。

 

○ 21ページの「内部仕上げ」の、「天窓」、「床」の部分については指導事項が冒頭で記述されている。この報告書では計画・設計上の留意点を中心にしているため、施設に関することを冒頭にもって来るべきではないか。

○ 「床」の1つ目のポツ、「結露防止を考慮して、最下階の床を断熱化することが望ましい」と書かれているが、既存校では同様の対応が難しい。既存校ではどのような対応ができるのか、具体的な配慮について書き込むことができないか。

○ 7ページに、「危険であることを理解しやすいデザイン・効果的な注意喚起」と書いてあるが、この報告書は、施設面で何を見直すべきかを明確に示さないと、現場で役立たないのではないか。

○ 25ページの「学校用家具」の中で、テレビ台の転倒に関する事故事例がある。テレビをテレビ台に固定するという対策は行われていても、テレビ台ごと倒れることを想定した対策はとれていないことが多いので追記してはどうか。

○ 29ページについて、現場の臨場感を出すために、「駐車場の屋根」を「駐輪場の」にしたらどうか。

  

○  棚の転倒防止のためには、固定するだけではなく、二段に重ねないことも重要。

○ 幼稚園ではよく見かけるが、衝突時にけがをしないように、角をはじめ、ぶつかる可能性がある場所には緩衝材を設置することが必要。また、朝礼台についても同様の対策が必要。

○ 19ページの開口部において、防火扉、防火シャッターは誤作動や、点検中の事故が実際に発生しており、今後も発生が予想されることから、もう少し詳しく書きこむべきではないか。

  

○ 家具や、石やステンレスでできた流し台、打ちっぱなしのコンクリートなどについても角が鋭い場合は注意が必要。施設や設備の設計時の留意点を、原則として示しても良いのではないか。

  

○ 家具に関しては、できるだけ突起は設けず、引き手などは掘り込んでおくことが大切。転倒したときに、突起でけがをしないような配慮が必要。

  

○ 30ページ、校庭のところで「天然」芝と限定する必要があるのか。

  

○ 芝生は、養生期間中など、子どもが遊ぶことを禁止する期間もあるため注意が必要。ウォークトップというゴムのような柔らかい素材を校庭に使うのも有効ではないか。但し、転んだときに滑ると、やけどをしてしまうという問題点もある。

  

○ バルコニーがない場合、教室の内側から割れた窓ガラスは外部に落ちる。外部にいる人にとっては、上からガラスが降ってくることになるため危険。飛散防止フィルムを貼ることが有効。強化ガラスにして、さらに飛散防止フィルムを貼るのが最善かと思う。

  

○ 窓には、手前に開く形式のものもある。この形式の窓では転落事故防止の注意が必要である。

○ 35ページの遊具に関しては、留意点を網羅的に挙げることは困難である。遊具の事故に関しては、想定外の事例も多く、整理してまとめて記述すべき。

  

○ 遊具について、は肝心な所、代表的なところ、事故がよく起きるところなど、原理・原則を記述してはどうか。細かい記述が多すぎるとインパクトがなくなる。設計をした後、原理・原則にてらしあわせ、チェックができる記述としてはどうか。

○ 体育館では、柱がアリーナ側に突出しないようにし、やむを得ず出る場合は緩衝材をつける必要がある。また、取っ手をつける場合も突起物ならないようにすべきである。

 

○ 資料2-2の1ページ目の日本スポーツ振興センターの給付件数について、発生件数と給付件数というものがある。発生件数というのは事故の起きた件数で、給付件数というのは事故が起きて医療費を給付した件数で、それにより数が変わってくる。発生する事故が後を絶たない、増加しているということを表したいのであれば、発生件数で表した方がいいのではないか。

○ 35ページの一番上の○について、ブランコで遊んでいる際の接近防止柵に、ブランコから落ちて衝突し、死亡した事故事例もある。緩和材・緩衝措置などを用いるのが一案。

 

○ 34ページ、「遊具をまとめて配置」という表現について、国土交通省の指針「都市公園における遊具の安全確保に関する指針(改訂版)」の中に、遊具と遊具の安全領域は確保すべき必要があるという考えを示しているので、「周辺部等にまとめて」という表現は不適なのではないか。

○ 報告書が計画段階において、設計者が参考にするという前提であれば、国土交通省の指針「都市公園における遊具の安全確保に関する指針(改訂版)」だけではなく、公園施設業協会の規準も参考資料としてとりあげてはどうか。

○ 35ページは管理に当たっての配慮事項については、計画・設計の際の配慮事項ではないため、分量を抑えても良いのではないか。

  

○ 地震時など、転倒防止策を施していないピアノや金庫などの重い物の移動をどう防ぐかといった観点も報告書に盛り込むのか。

  

● 大地震の際に重量物が転倒して危険ということについては、国立教育政策研究所文教施設研究センターによる「非構造部材等の耐震化事例集」とものが作られており、対策を示している。

 以上

 

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