学校施設安全対策部会(第2回) 議事録

1.日時

平成20年8月26日(火曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館 東館(文部科学省庁舎) 5階1会議室

3.議題

  1. 学校における転落事故防止について
  2. その他

4.出席者

委員

(協力者)石﨑一記、杉本裕、長澤悟、成田幸夫、西岡伸紀、原本憲子、福田卓司、矢萩惠一、山本美苗、吉村英祐(敬称略)

文部科学省

(スポーツ・青少年局)松川学校健康教育課長、赤間専門官、佐藤学校安全係長、長岡安全教育調査官
(文教施設企画部)長坂施設企画課長、笠原企画調整官、瀬戸専門官、木村指導第一係長、野口専門職

オブザーバー

(文教施設企画部) 森施設助成課企画官、岡施設助成課長補佐
(国土交通省)望月公園緑地・景観課長補佐 

5.議事録

【議 事】(○:委員の発言、●:事務局の発言)

・  資料2~資料4に沿って、留意点とパンフレット原案についての説明。

 

(1)学校における転落事故防止について

(1)-1.資料3(「1.安全対策の基本的な考え方」)

  

○ 「施設計画面の配慮」の「デザイン面での配慮や(P)」という表記について「設計面での配慮」と言いかえると、寸法、形状だけの話になってしまうような感じがするので「デザイン」のままでいいのではないか。

  

○ 「デザイン面での配慮」という言葉の持つイメージがはっきりしない。

  

○ 実際に学校の教職員が「学校における転落事故防止の留意点」を見たとき「デザイン」という言葉の意図が的確に伝わるのか。

○ 「デザイン面」という表現については、何かつけ加えるか、あるいは別の表現を考えるかということも検討しなくてはいけないと思う。

 

○ 「設計等」という表現はわかりにくいか。

 

○ 「乗ったら危険だと感じさせるようなデザイン面での配慮や」などと詳しく記述すればわかりやすい。

 

○ 「デザイン面の配慮」という表現は、そもそも足がかけられない、乗ることのできないデザインという意味。

 

○ 「施設計画面の配慮」の「計画・設計に当たっては」という記述は、子どもの目線に立ってとか、多様な行動に対応するという、施設計画の際の配慮を述べている。それでは、「安全対策を講じるに当たって」はどの時点での配慮を述べているのか。

○ 建物のデザインは設計段階で決定される部分も多く、運用開始後の大幅な変更は難しい。「デザイン」とは、具体的にはどういうことを示しているのか。

 

● 学校における安全確保だけを重視すると、教育環境という点がおろそかになってしまうという趣旨で、以前の不審者侵入に対する防犯対策のときの考え方と同様に「デザイン面での配慮や他機能とのバランス」といった文言を踏襲した。したがって、今回「デザイン面での配慮や」という表現だけだとわかりにくいということであれば、頭に「○○など」と例示をつけることでわかりやすくすることは可能ではないか。

 

○ 言葉が集約され過ぎているため、わかりにくいのではないか。「危険性を喚起すること」や「容易に侵入できないような工夫をする」とか、「他機能」という表記を「教育環境としての本来の機能」とするなど、言葉を補ってわかりやすくした方がよい。

   

(1)-2.資料3(「2.安全対策上の具体的な留意事項」)

 

○ 「学校の現状把握」の「そのような行為ができないような対策」という表記が、ハードの対策を想定しているのか、それとも指導するということを想定しているのかわかりにくい。

 

● 「学校の現状把握」の「そのような行為ができないような対策」については、必ずしもハード面の対応だけではなく、安全指導も含めた対策という趣旨。

 

○ ハード面の配慮だけでなく、指導も必要だということを具体的に書いたほうがいいのではないか。

 

● 例えば「そのような行為ができないような」の冒頭に、「安全指導の徹底や施設面での配慮」というような文言を補うという形ではどうか。

 

○ 「安全指導の充実」の「転落のおそれのある窓の外面の清掃」という表記だが、ふくことで転落のおそれが出てくるならば、そのような窓をふかせることがおかしい。腰壁の高さが十分な窓でも上部をふこうとすると転落のおそれがあるので、この言葉は要らないのではないか。

 

○ 2階以上の窓の清掃については生徒がやらないという原則が徹底されているのであれば「転落のおそれのある窓」という表記は不要だが、そうでなければ、何らかの言及は必要。

 

○ 内面の清掃でも、高いところをふくときに机やいすに乗って、それらが崩れて転落することがある。外面だけというようにあまり限定しないほうがよい。

 

○ 外側に柵があれば、手を入れて窓をふける。窓の清掃で高いところはやらないよう指導するため、この表現に違和感をもたない。

○ 使う側の先生たちがこの文面を読んだときに、少しでも窓面の清掃という行為に危機感を持ってもらうという意味での表記だとすると、何らかの形で残すのがよいのではないか。

 

○ 清掃に関しては、十分な安全対策や、指導者の配慮のもとで行うことは可能であり、窓は掃除させてはいけないと示したととらえられないようにしなければならない。

 

○ バルコニーは子どもたちの生活あるいは教育活動を豊かにするという側面もあり、一律に転落事故が想定されると考えずに、総合的に考えるべき。また、個々の学校あるいは設置者の方針があると思う。

○ 「行動の禁止を」の「禁止」という言葉がきついので、判断の幅がある表現にできないか。

 

● 「転落事故が想定される場所への立ち入り」ということと、窓の掃除を並列に扱うことに無理があるのではないかというところに落ち着きそうなので、現在の文章で「転落事故が想定される場所への立ち入りの禁止や転落のおそれのある窓の外面の清掃時の細心の配慮」というように2つの事柄を明確に分けてしまうような表現ではどうか。

 

○ 「安全指導の充実」の「発達段階に応じて教職員が同席することが重要である」という表現について「必要である」という表現の方が同席することの強調ができるのではないか。

 

○ 低年齢の子どもは、必ず引率を前提としている。言葉によっては、受けとめる側が危機感を緩めてしまうのではないかというおそれを感じる。

 

○ 語尾について、強い順に「必要である」「重要である」「有効である」とすることも一案。

 

● 「有効である」というのは、一番弱いというよりは、具体的な例示を示す意味で使っているので、学校施設整備指針の整理で、重要度合いということでいえば、「重要である」と「望ましい」の2つの種類にしか分けていない。「必要である」と「重要である」はどちらがより強いのかというのは、受けとめ方の問題でもあるのではないか。

 

○ 「発達段階に応じて」という言葉を入れると、子どもが大きくなれば教員が同席しなくてもいいととらえられてしまうおそれがあるので、ここは削除していただきたい。

 

○ 「安全指導の充実」の「通常使用しないような」という記述では、出ることや乗ることを想定していないような部分は危険の可能性が大きいということに触れる必要がある。

○ 「転落の危険性があるときは、事前にその状態を十分点検するなり、必要な措置を講じた上で、教職員が同席することが重要である」といった対応をしていく必要がある。

 

○ 「同席する」という表現より子どもたちの安全確保に配慮するような表現が必要ではないか。

 

○ 「転落の危険性があるときは教職員が同席し、適切に指導することが必要である」というのはどうか。

 

○ 「点検する」という記述が必要なのではないか。

 

● 「事前の点検等、必要な措置を講じた上で教職員が同席し、適切な指導をすることが重要である」という表現であればよいのではないか。

 

○ 「安全指導の充実」について、教員が子どもの行動を制限するのではなく、子ども自身が危険性を認識することで、自立的に行動できるような資質を育んでいくことが大事。「学校内の危険箇所を児童生徒等に認識させるには」の間に、例えば「自立的な判断や行動を育むためには」という言葉を入れるとそのようなニュアンスがでると思う。

 

○ 「天窓」を(人が乗ることを想定していないトップライト)と限定しているが、学校では強化ガラス等を用いた「人が乗ることを想定した天窓」は一般に用いないため「人が乗ることを想定しないトップライト」という表現は不要なのではないか。「天窓というのは人が乗ることを想定していないので、絶対乗ることがないように」と表現してはどうか。

 

○ 屋上の塔屋のタラップについては子どもが登れないようにということだが、タラップというのは、学校に限らず、高さ2メートルぐらいのところからしか上がれないようになっているのが普通。ここで書く必要はないのではないかとも考えるが、事故例があるならばむしろ残しておくべき。

 

○ タラップについては、塔屋の上に旗を立てて、それを取りに行った際に転落したという事故例がある。

 

○ 指導するのは当然だと思うが、例えば表示で「乗ってはいけません」ということをはっきりと示す必要があるのでは。

 

○ 塔屋のタラップの一番下の段や、腰壁の高さというのは何か基準が決められているのか。

 

○ 決められていない。手すりの高さというのは、安全上、110センチ以上という基準があるのだが、窓の高さは規定されていない。窓の高さはもう少し低いのが現状。必要に応じて窓面に手すりを設けるというような指導が必要。

 

○ 腰壁の高さが建築基準法上の110センチ以下で開閉される窓については必ず手すりを設置しなさいと書くことが大事。

 

○ 「条件によって手すりを設ける」ということを書くということにしたい。

 

○ 設置者側や学校側が、タラップが足がかりになるという認識が必要であるため、タラップに関する表記は重要。

 

○ 「設定するなどの配慮」という表記よりも、設定されていることを確認しろというニュアンスになるのか。設定されていない場合が問題になるというニュアンスの言葉に変えたほうが、現場ではわかりやすいと思う。

 

○ 転落事故防止は、学校関係者や建築関係者の努力だけでは取組むことが難しいことが多く、市民の皆さんに理解していただかないといけない。

  

○ 転落事故防止の際に、当事者の注意が当然必要であり、このことについても理解していただくような書きぶりを載せたほうがいいのではないか。

 

● そういったニュアンスを入れたいということであれば、最初の「基本的な考え方」の「ソフト面とハード面一体となった取組」という項目が理念的な規定なので、例えば「学校だけではなくて、保護者の方々なども含めた関係者が相互に協力しつつ」というニュアンスをこの中に入れて、ソフト面とハード面が一体となった取組を強化する言い方にしたらどうか。

 

(1)-3.資料4

 

● クラブハウス、キャットウォーク、多目的ホール等様々な事例があるが、それらをイラストで一個一個描いていくというのは難しい。「バルコニー等」で挙げている以外のものを記述しているところがあるが、ほかの場所についても配慮しなければいけないといったような文言を新しく表記するというのはどうか。

 

○ パンフレットの目的の一つは、校内安全マップを作成するとき、他にもこういうものがあるという例を示すガイドにもなるということだと思う。「バルコニー等」の中に埋め込ませると、現場では認識されなくなる。少し目立たせたらどうか。

 

○ 小学校の階段の手すりは低いことがある。階段にも転落の危険があるのではないか。バルコニーの項目に渡り廊下の屋根や、クラブハウス等は含めず、別途記述する等工夫してみてはどうか。階段についても何らか触れる必要がある。

 

● 「バルコニー等」の「等」は取り、ここではバルコニーについてのみ記述する。そして、新しく6個目の項目として「その他」に、クラブハウス、キャットウォーク、多目的ホール、あるいは渡り廊下の屋根などを記述してはどうか。

 

○ 「安全指導の充実」に「転落事故の危険性について子どもたちに認識させます」とあるが、認識させるだけでいいのか。「認識させ、危険な行動をとらないよう指導します」としてはどうか。

 

○ 「屋上」の「一段目の設定」という表記があいまい。タラップの「一段目の高さ」という意味か、それとも高さだけではないということか。

 

○ 「屋上」の「一段目の設定」という表記は「高さの設定」で十分ではないか。

 

○ 校舎のイラストについて、真ん中のバルコニーからひさしに飛び移れるような絵になっている。子どもが勇気試しで飛び移っているうちに落ちるという事例がある。もう少し階段とバルコニーを離すようなイラストにしてはどうか。

 

○ 庇には雨よけの機能もあるが、日除けの機能もある。パンフレット原案のイラストでは窓から高い位置に庇がついているが、普通は窓の真上の高さにつける。

 

・両部会長一任で、今回の意見を踏まえ取りまとめることとなった。

 

(2)その他

・事務局より、今後のスケジュールの説明。

・長澤部会長、長坂施設企画課長より閉会のあいさつ。

以上

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