学校施設評価システム検討部会(第8回) 議事録

1.日時

平成20年9月12日(金曜日)10時~12時

2.場所

旧文部省庁舎 2階 第2会議室

3.議題

  1. 協力者によるプレゼンテーション
  2. 各種学校の特性を踏まえた学校施設評価の在り方
  3. その他

4.出席者

委員

(協力者)上野淳、海野剛志、佐古順彦、新保幸一、長者美里、檜山幸子、屋敷和佳、山口千代已、山重慎二、山西潤一(敬称略)
(意見発表者)岩井雄一、福本雄吉、松村和子(敬称略)

文部科学省

(文教施設企画部)岡技術参事官、笠原企画調整官、瀬戸専門官、野口専門職

オブザーバー

(文教施設企画部)岡施設助成課長補佐
(初等中等教育局)児玉学校評価室長補佐

5.議事録

【議事】(○:委員の発言 ●:事務局の発言)

・事務局から資料2に基づき、第7回部会における主な意見について説明。

 (1)協力者によるプレゼンテーション
 1.松村委員からのプレゼンテーション(資料3)

○ 幼稚園の特性について、幼稚園の教育要領の総則で、幼稚園の教育というのは環境を通して行うということが書かれている。重要なこととして3つ、幼児期にふさわしい生活の展開、遊びを通しての総合的な指導、一人一人の特性に応じた指導ということになっているので、小学校以上のように、時間割を組んで、一斉にクラス全体で授業をするというようなことは少ない。したがって、どのような環境をつくることが子供たちの教育に対して有効かということを考えなければならない。

○ 幼稚園は私立が圧倒的に多い。私立幼稚園では設置者と運営者が同じ場合が多い。(小さな幼稚園では理事長が園長)

○ 私立幼稚園では、施設の評価に対する体制(園全体としての体制)の整備が進んでいないところが多く、対応が難しい場合がある。しかし、私立幼稚園では、保護者による入園の選定が行われるため、理事長は日頃から施設の評価を行い、保護者に良い点をアピールすることを考えている。施設が古いと人が集まらないという点がある。

○ 私立幼稚園の評価の場合は、理念によって環境のつくり方が大きく変わってくる。

○ 幼稚園の評価では第一に安全ということが観点となる。日常の保育の中でのけがを防ぐということと、防災、防犯の3つの視点がある。

○ 預かり保育や未就園の親子の活動を行う場として、今までの幼稚園の教育としての役割以外に施設が対応できているかどうかということが、もう1つの視点になる。

○ 遊具については、揺すったり、ねじが緩んでいないかといった点検は教員がする。それから、年に1~2回、遊具メーカーにボルトを締め直す等の点検もしてもらう。しかし、設置地盤との関係を考えると、例えば滑り台から滑り下りてきたそばのところに、花壇のブロックがあると、滑り台自体は安全なものであっても、その動線の先が危険となる、といった視点もあり、固定遊具が安全か安全でないかというのは判断が難しい。また、教室をロッカー等の移動家具でしきって、コーナーをつくることがあるが、どうつくれば安全かよく分からない場合がある。安全かどうか調べるポイントがはっきりするとよい。

 2.福本委員からのプレゼンテーション(資料4)

○ 高等学校の特性として、校種の多様性が挙げられる。そのため、特色化、個性化に応じた施設・整備の充実が必要。

○ 学区域の拡大、撤廃等に伴う自転車通学等の増大のため、駐輪場や、通用門等の整備・充実が必要となっている。それから、教育内容・学習形態の多様化。教科担任制に始まり、情報化、国際化の対応、コース制、選択科目講座、少人数授業、習熟度授業、キャリア教育も求められている。また、指導もいろいろな形態があるので、それに対応できる施設が望ましい。また、高校は特に教科教育の展開を中心としているので、教科の準備室、それから特別教室の充実、コールシステムとか、ITC等、教育機器の整備・充実が必要となっている。

○ 進路指導の重要性について、ここも進路相談室・進路資料室・応接室・進路担当教員控室の整備、充実が必要。特に、進路相談室には外来者の方が多く来るので、進路室に付随する応接室が必要。

○ 施設評価を行うに当たって特に留意すべきことが、評価方法。回答しやすい設問項目、選択肢の設置が必要。同時に、集計とか統計処理のしやすい内容のものにしておく必要がある。さらに、広範な施設・設備のどこをどのような内容で評価するのか明確にしておく必要がある。

  3.岩井委員からのプレゼンテーション(資料5)

○ 特別支援学校の特性は、障害特性に応じて安全に配慮した施設であり、廊下、階段の広さ、情報保障のための設備、避難誘導設備、快適性、健康への配慮、安全あるいは防犯、防災という観点がある。

○ 特別支援学校は障害種、年齢幅が大きいということで、さまざまな学習形態があるため個別の指導から大きな集団までの活動ができる施設・設備となっている。

○ 視覚障害の特別支援学校では、高等部あるいは高等部の専攻科になると、あんま、はり、きゅう、といった専門教育を受けるための部屋が設けられている。また、聴覚障害の特別支援学校では、調理師等様々な技術を身につけるための実習室が設けられている。

○ 特別支援学校の学校施設評価そのものについては、基本的には小・中学校等のものに沿った形で行うことになるが、障害者関係の方々、障害によっては医療等、他の専門分野の方の意見も聞きながら進めていくことが必要。

 (2)各種学校の特性を踏まえた学校施設評価の在り方

○ 保育園や幼稚園の場合は、保護者の評価というのが重要になる。高校では生徒自身の満足度というのも重要ではないか。

○ 幼稚園は小学校、中学校と異なり、教えるというより遊びを通して成長を助けるというようなところは、評価項目などを具体的に考えるに当たっては、幼稚園の特性として考慮すべきことではないか。

○ 評価結果の公表について、例えば、幼稚園についてはまだ耐震化が進んでいないところがあるようだが、情報公開を行う際、特に幼稚園では配慮が必要。

○ 危険箇所をそのまま公開するというのではなく、より安全にするためにとか、より教育的効果が得られるためにはこういう場所をこう改善すると良いというように改善方法も併せて公開する方が良いのでは。

○ 東京都には学校運営連絡協議会があるが、協議会では、どこまで踏み込んで施設について議論されているのか。

○ 東京都に関しては、まだ施設面の評価という部分では弱い。

○ 小・中に比べて高校、特別支援学校の教育は多様性がある。中間報告の中での観点として、安全、快適、学習という項目があったが、高校や特別支援といったときに、安全ということは、単に防犯上の安全だけではなくて、生徒を管理するという、指導管理のための施設の設計の仕方というのもあるのでは。

○ 特別支援の場合はこちらの障害種に対処した場合に、こちらに対してはかえってよくないといったことや、不利なことが生じるといったことは、随分あるのではないか。

○ 京都の総合支援学校の調査を行っているが、そこは知的と肢体不自由を障害種によらないクラス編成でやっている。基本的に障害種による特殊な教育ニーズにきちんとした方法論で対処するという考え方も当然あり、その辺はやはりどちらの考え方が正しいとか、正しくないということで学校施設評価を組み立てていくべきではない。

 (3)その他

・事務局から参考資料2に基づき、パイロットモデル事業の概要について説明

・事務局から参考資料3に基づき、文教施設研究センターにおける学校評価における施設の評価に関するアンケート調査の分析について説明                      

以上

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設企画課

03-5253-4111(代表)(内線2291)、03-6734-2291(直通)

(大臣官房文教施設企画部施設企画課)