橋渡し研究戦略的推進プログラム中間評価委員会(第5回) 議事録

1.日時

令和元年7月23日(火曜日)10時00分~12時02分

2.場所

文部科学省17階 研究振興局会議室

3.議題

  1. 中間評価票(素案)について
  2. これまでの討論について
  3. 橋渡し研究支援総合戦略(案)について
  4. 総合討論
  5. その他

4.出席者

委員

金倉主査、五十嵐委員、池野委員、稲葉委員、井上委員、澤田委員、髙橋委員

文部科学省

村田局長、仙波課長、砂専門官、佐藤課長補佐

オブザーバー

岩﨑PD(山梨大学 副学長)
中西PS(北九州市立病院機構 理事長)
楠岡PS(国立病院機構 理事長)
稲垣PO(日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 運営委員)
永井PO(神戸大学医学部附属病院 臨床研究推進センター センター長)
菊地 日本医療研究開発機構(AMED)課題評価委員長(公益財団法人 医療機器センター 理事長)
井本部長(日本医療研究開発機構(AMED)臨床研究・治験基盤事業部)

5.議事録

【仙波課長】  定刻になりましたので、ただいまより第5回橋渡し研究戦略的推進プログラム中間評価委員会を開会いたします。
 本日は、小安委員、鹿野委員が御欠席です。現在、9名の委員のうち7名の委員に御出席いただいておりますので、定足数である過半数には達してございます。また、本日も日本医療研究開発機構より、革新的医療技術創出拠点プロジェクトの岩﨑プログラム・ディレクター、中西プログラム・スーパーバイザー、楠岡プログラム・スーパーバイザー、稲垣プログラム・オフィサー、永井プログラム・オフィサー、菊地AMED課題評価委員長、それから臨床研究・治験基盤事業部の井本部長にオブザーバーとして御出席いただいております。
 議事に先立ちまして、設置者である研究振興局長が交代いたしましたので、村田より御挨拶させていただきます。
【村田局長】  おはようございます。7月9日付けで文部科学省研究振興局長を拝命いたしました村田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。会議開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 委員の先生方におかれましては、御多忙のところ、橋渡し研究戦略推進プログラム中間評価委員会に御参画を頂きまして、まことにありがとうございます。また、平素からPD、PS、PO、課題評価委員長の先生方におかれましても大変な御尽力を頂きまして、ありがとうございます。事務局を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 御案内のとおり、本プログラムでございますけれども、平成19年開始の橋渡し研究支援推進プログラム、それから平成24年開始の橋渡し研究加速ネットワークプログラムに続く第3期のプログラムでございます。研究支援事業全体では13年目を迎えるということになります。これまでこの会議におきましては、第3期プログラム中間評価を行うとともに、橋渡し研究支援の今後の在り方について御審議を頂いており、本日が最終取りまとめということで伺ってございます。
 この事業、既に御意見を頂いているところでございますけれども、オール・ジャパンでの推進体制は確実に、着実に構築されつつありますけれども、一方で拠点の自立化、あるいは支援人材の育成、シーズの早期導出に資する産学連携の強化などの課題を御指摘いただいているところでございます。会議におきまして、改めて橋渡し研究の意義を整理していただき、体制整備、人材育成、シーズ、研究費に関する現状や課題、今後の在り方について大変貴重な御意見を頂戴していると伺ってございます。改めて御礼申し上げます。
 文部科学省といたしましては、我が国の橋渡し研究を更に充実させてまいりたいと考えてございます。先生方におかれましては、これらの課題等について引き続き御指導、御助言を頂ければ幸いでございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【仙波課長】  それでは、以降の議事進行は主査であります金倉先生に、よろしくお願いいたします。
【金倉主査】  それでは、以降、私の方で議事の進行をさせていただきます。
 事務局から、本日の議事及び配付資料について確認をお願いします。
【砂専門官】  ありがとうございます。それでは、議事次第をご覧ください。本日の議事及び配付資料につきましては、お手元の議事次第のとおりとなっております。資料1から資料3は画面上及び印刷したものがございますので、そちらをご覧ください。
 なお、委員、オブザーバーの方の御発言は主査の指示に基づいて行うようお願いいたします。
 事務局からの説明は以上でございます。
【金倉主査】  ありがとうございました。それでは、議題1に入りたいと思います。
 事務局から中間評価素案について、説明をお願いします。
【砂専門官】  ありがとうございます。前回の会議の中で、参考資料3の評価の観点を参考に評価を進めることに御同意いただき、御意見を頂きました。参考資料3をご覧ください。
 参考資料3に中間評価の流れを記しておりまして、1のところで、必要性の観点、有効性の観点、効率性の観点から、橋渡し研究戦略的推進プログラムについて御評価いただくこととしておりました。それについて御意見を頂きまして、それを踏まえてまとめたものが資料1の中間評価票素案となります。資料1をご覧いただければと思います。
 資料1の表紙をおめくりいただくと、橋渡し研究戦略的推進プログラムの概要を示したポンチ絵となっております。
 おめくりいただきまして、中間評価票素案でございますけれども、1.として、課題名が橋渡し研究戦略的推進プログラム、2.として研究開発計画との関係について記しております。3.から評価結果を記しておりまして、(1)課題の進捗状況といたしまして、事業の概要を記しております。続きまして事業の進捗状況と評価について記しております。
 おめくりいただきまして、次に(2)各観点の再評価といたしまして、必要性の観点から本プログラムについて御意見いただいたものを取りまとめております。また、おめくりいただきまして、有効性の観点から御意見いただいたものを事務局で取りまとめたものを記しております。また、効率性としまして御意見いただきまして、取りまとめたものを効率性のところに記しております。
 下に移りまして、(3)としましては科学技術基本計画等への貢献状況を記しております。
 下に移りまして、(4)今後の研究開発の方向性として記しておりまして、前回御意見をいただきましたところ、本プログラムは継続という御意見が多数であったかと思います。留意する必要があるという御意見を頂きましたので、それについて事務局の方で項目別にまとめたものを以下に記しておるところでございます。自立化・収入・知財の観点、特色化・機能の集約化についての観点、人材の観点、シーズ・プロジェクトマネジメントの観点、その他につきまして、頂いた御意見を事務局にて取りまとめております。
 ページをおめくりいただきまして、本プログラムの中間評価委員会の設置要綱を記しております。それから、おめくりいただきまして、本委員会の委員名簿を記しております。
 次のページは本プログラムの採択拠点を記したページで、以降は本プログラムで採択されておりましたシーズ一覧を記しておるところでございます。
 以上が資料1になります。
 事務局からの説明は以上です。
【金倉主査】  ありがとうございました。前回の会議の中で、参考資料3の評価の観点を参考に評価を進めるということに同意を頂きました。本日は、委員の皆様の御意見を踏まえまして事務局がまとめた中間評価票、今御説明いただいた素案につきまして御議論いただきたいと思います。
 それでは、御議論、御意見のある方はどうぞお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。今まで議論のあったことはよくまとめられているようには思いますが、いかがでしょうか。評価結果、それぞれの課題の進捗状況、各観点の評価は良い評価だと思いますが、科学技術基本計画等へ貢献状況、それから今後の研究開発の方向性としては継続になっておりますので、書きぶりで何かを足すかどうかということ、あるいは書き過ぎがあるかどうかということだと思うのですが、いかがでしょうか。
【池野委員】  8ページの人材育成のところなのですが、これはサポートする人材の育成というか、具体的なノウハウというか、そういうところの教育のことは書いてあるのですけれども、正に起業家育成というか、アントレプレナーシップマインドを教育するような、要するにプレーヤーになる人たちの教育に関しては見受けられないというか、書いていないかなという感じがします。僕が見逃しているだけかもしれないけど、どこかにありますか。例えばBiodesignとかSPARKは正にそのものだと思うのですけれども。要するにプレーヤーに魂が入っていないと茶番に終わるのです。結構多いのですよ。僕も今、いろいろな大学でやっていまして、そこが明らかに日米と。日本が欠落しているところかなとか思っているのですけど。
【砂専門官】  有効性の項目でアントレプレナーシップ教育が重要であるというところは記載してございます。
【池野委員】  重要なのは、みんな分かっています。
【砂専門官】  はい。それを今後の方向性のところで、今頂いた御意見を更に検討が必要な項目として記載するかというところでございます。
【池野委員】  分かりました。これは中間評価だから、未来ではないから、良いのですよね。そういうことですよね。
【砂専門官】  今の時点で、評価として有効性のところで評価しておりまして、更に検討が必要なことがございましたら、今後の方向性で今後何が必要かということを書けば良いかと。
【池野委員】  なるほど。分かりました。
【仙波課長】  多分5ページ目の必要性の、「さらに」の段落の最後の方にもそれぞれ、「OJTによる教育やJapan BiodesignやResearch Studio、TSMTP等の人材育成プログラム等により、橋渡し拠点が先を見通した計画を自ら立案できる人材を輩出する必要性は高い」というふうな形で言及をしていたり、先ほど砂が申した有効性のところにも言及があったりしており、一応その評価をされているということは、この評価票の中には書かれております。更に足りない部分があれば追記をしていきたいと思いますので、もしお気付きの点があれば。
【池野委員】  分かりました。ありがとうございます。
【仙波課長】  よろしくお願いします。
【池野委員】  はい。
【金倉主査】  どうぞ、髙橋委員。
【髙橋委員】  細かいことで恐縮なのですけど、5ページの必要性の真ん中辺、「また、アカデミアから優良なシーズを」と、要するにこの橋渡しがアカデミアから発信されているということだと思います。ここでその次に「実用化を現実的に捉えるアカデミア側」というところがあるのですが、アカデミア発信ということで、もうちょっと科学的という部分を強調した方がいいかなとは思うのですが。「現実的に」というところを、むしろ「科学的に」というふうにした方がアカデミア発信という必要性はアピールできるかなと思います。
【仙波課長】  なるほど。用いる用語として、この「現実的」よりも「科学的」の方がアカデミア側としてはふさわしいのではないかという御意見ですね。
【髙橋委員】  そうです。アカデミア発信という必要性をアピールするには、その言葉の方が良いかなと思います。
【仙波課長】  ありがとうございます。
【金倉主査】  ほかにいかがでしょうか。まだ後でもいろいろ、総合戦略での議論もございますので、もし個別的な意見がないようでしたら次に進みたいと思いますが、よろしいですか――はい。ありがとうございました。
 それでは、この中間評価票につきましては、本日の御指摘を踏まえまして、事務局で先ほど御指摘があったところについては修正案を作成していただきまして、もう一度メールで審議を行いまして、もしよろしければ8月7日のライフサイエンス委員会へ報告する中間評価票の素案ということにつきまして、発表するということですが、メール審議の後は主査預かりで決定させていただいてよろしいでしょうか。
(「はい」の声あり)
【金倉主査】  ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
 それでは、議題2に移りたいと思います。事務局から説明をお願いします。
【砂専門官】  ありがとうございます。資料2を御覧ください。これまでの委員会で御議論いただいたポイントをまとめております。
 これまで頂いた論点の整理をしておりまして、論点1として、橋渡し研究を行う意義、論点2として体制整備、論点3としてシーズ研究、論点4として人材、これを踏まえて橋渡し研究支援の在り方を検討することと同意いただいておりました。
 まず論点1の橋渡し研究を行う意義といたしまして、健康医療分野の実用化研究の意義は何かということを御議論いただき、御覧いただきますようなポイントをまとめております。また、医療分野の実用化研究で特徴的なところをまとめております。さらに、3としまして、橋渡し研究支援を大学である橋渡し拠点が行う意義は何かということでまとめさせていただいており、4としまして本事業によるインパクト・変化をまとめているところでございます。
 論点2、体制整備として、大学として、橋渡し拠点が提供する支援でどのような機能・責務が重要かという点でまとめさせていただいております。2.としまして、橋渡し拠点は拠点外の大学等をどのように支援していくべきか、続いて、基本的な考え方、拠点が行うべき取組、拠点外が行うべき取組、拠点外への必要なインセンティブということでまとめさせていただいており、さらに3.といたしまして、橋渡し拠点は中核病院とどのように連携を進めるべきかという点で、基本的な考え方やダブル拠点に見るメリット、将来的な連携の方向性についてまとめております。さらに、3.自立後(事業終了後)の橋渡し拠点の在り方についてどう考えるべきかにつきまして、規模や組織構成・特色化の観点からまとめさせていただいております。さらに、自立後について、収入、それからブランド・認定制度について、その観点から頂いた御意見をまとめさせていただいているところでございます。
 論点3といたしまして、シーズ研究につきまして、1.個々のシーズを実用化して患者さんに届けることをゴールとする場合に、国はどのようなフェーズを支援するべきかという点からまとめさせていただいているところです。2.としまして、産学連携の在り方(知財以外)について考えるべき点を、基本的な考え方、産業界の役目、アカデミアの役目、PMDAの役割という点からまとめさせていただいているところでございます。さらに、3.としまして、適切な知財管理、戦略の在り方について、基本的な考え方や適切なKPI、知財の質の向上という点からまとめているところでございます。さらに、論文と特許出願の点から、特許戦略立案機能の集約化の点から、ライセンスアウトの点からまとめさせていただいているところでございます。さらに、シーズ研究につきまして、本事業における研究費の在り方について、御覧いただく項目をまとめているところでございます。
 論点4といたしまして、人材につきましては、この橋渡し研究でどのような支援人材が重要かという点から、人材育成、教育、キャリアパスについて国はどう支援すべきかという点につきまして、基本的な考え方、支援者への教育、研究者への教育という点からまとめております。また、学生への教育、キャリアパス・雇用環境、人材流動性という点からまとめているところでございます。
 その他の議論として、今後、橋渡し研究支援事業で留意すべき点からまとめているところでございます。
 事務局からの説明は以上となります。
【金倉主査】  ありがとうございました。今まで多岐にわたる問題点につきまして議論いただいたものをここでまとめておりますが、若干、見ていただいて、抜けているものがございましたら御指摘いただいても結構かと思いますが、よろしいですか。大体各項目について今までの議論がまとめられていると思いますが、よろしいでしょうか――はい。
 それでは、議題3に移りたいと思います。これはちょっと議論になると思いますが、事務局から説明をお願いします。
【砂専門官】  ありがとうございます。資料3を御覧ください。これまで委員の先生方から頂いた意見を基に、今後の事業の在り方について、事務局にて橋渡し研究支援総合戦略案としてまとめております。表紙に続きまして、目次となっております。
 おめくりいただきまして、2番から橋渡し研究についてまとめております。橋渡し研究とは何かについてまとめており、2.2といたしましては各国の橋渡し研究について俯瞰してまとめております。2.3医療分野の研究開発環境といたしまして、他分野との違い、我が国の状況について2.3.2でまとめております。また、おめくりいただきまして9ページ、2.3.3として、アカデミアを中心としたオープンイノベーションへの期待としてまとめているところでございます。さらに10ページからは、3といたしまして、これまでの文部科学省及びAMEDの取組として、3.1事業の変遷について、これまでの文部科学省、厚生労働省、AMEDの取組についてまとめているところでございます。3.2といたしましては、これまでの橋渡し研究支援事業の成果について示しております。シーズの成果、人材育成について、それから製品の代表についておまとめしているところでございます。おめくりいただきまして、3.3といたしましては、本事業、本プログラムが抱えている課題についてまとめているところでございます。
 おめくりいただきまして15ページ、4から、今後の方向性について、頂いた意見を基に事務局でまとめさせていただいておりまして、4.1では橋渡し研究支援の意義について意見をまとめさせていただいております。4.2では、先ほどもお示ししましたが、体制の項目について、頂いた意見を基に事務局の方でまとめております。橋渡し研究が担う機能につきましてまとめております。17ページにおきましては拠点外の支援について、18ページ、4.2.3では中核病院との連携につきまして、4.2.4では適切な拠点の規模と拠点間連携についてまとめており、19ページでは、4.2.5といたしまして各拠点の組織運営の方向性、さらに、20ページでは、4.2.6といたしまして認定制度の創設について記載しているところでございます。
 4.3から、シーズ研究についていただいた意見をおまとめしておりまして、4.3.1では産学連携、4.3.2として知財戦略、4.3.3として支援すべきフェーズについてまとめております。おめくりいただきまして、4.3.4では、拠点機能を活用したファンディングについてまとめているところでございます。
 24ページでは人材育成・教育についてまとめております。4.4.1としまして、橋渡し拠点で備えるべき支援者について、4.4.2では支援者への教育、おめくりいただきまして25ページでは、4.4.3、研究者への教育、4.4.4、学生への教育、4.4.5、キャリアパス・雇用環境について、さらに、27ページ、4.4.6では支援者の人材流動性についてまとめさせていただいているところでございます。
 おめくりいただきまして、29ページ以降は付録といたしまして、委員の先生の名簿、オブザーバーの先生、PD、PS、POの先生、それから、発表者、検討の経緯についてまとめており、最後のページでは、6.3本委員会の設置要綱について記しておるところでございます。
 以上が資料3になります。事務局からの説明は以上となります。
【金倉主査】  ありがとうございます。極めて多岐にわたりますので、項目別に議論をしていった方がよろしいかと思います。
 「はじめに」は結構だと思いますが、橋渡し研究についてという項目2ではいかがでしょうか。特に事務局から、何か問題点、議論していただきたいようなポイントはあれば、また言っていただければと思いますが。
【砂専門官】  特に、現時点では。
【金倉主査】  特にございませんか。委員の先生方からいかがでしょうか。基本的なところですので、これはよろしいでしょうか。
 それでは、3章といいますか、これまでの文部科学省及びAMEDの取組、事業の変遷、これまでの成果、橋渡し研究支援事業の成果、人材育成、実用化された製品の事例について述べられているのですが、いかがでしょうか。こういう事例でよろしいかどうかとか、いろいろ問題があるかも分かりませんが、ちょっと見ていただきまして。
【岩﨑PD】  よろしいでしょうか。ちょっと戻って恐縮なのですけれども、この橋渡し研究というものの意義といいますか、位置付けというものを考えたときに、澤田委員などは重々御承知のように、最近の新規の医薬品、それから医療技術の創出に関しては、アカデミアが果たす役割が非常に大きくなっていると。アメリカの方で出た、いわゆる新薬、ノーベルドラッグというのが、16年はちょっと減りましたけど、17年、18年は非常に多くなって59で、今年もあると。その多くは、開発をいわゆるバイオベンチャーが担っていて、そのもとはアカデミア発のものが多い。すなわち、今、新規の医療技術を創出しようとすると、要するに患者さんに対して良い治療技術を提供することに関してのアカデミアの役割というのが非常に大きくなっているという、世界的なこの流れというのですかね、新しい技術を作るときのアカデミアの果たす役割が何かというところを踏まえる必要があるのではないかなと。
 日本という国が、ここにもちょっと書かれてありますように、新薬とか新規の医療技術を創出するポテンシャルとしては、アメリカほどはいかないとしても、非常に世界的に見ても有力な数を示していますし、有力なポテンシャルを持っている国であると。このポテンシャルを醸成するのは、やはりアカデミアが頑張ってくれないといけないというような、昨今のこういうライフサイエンスのイノベーションの担い手としてのアカデミアというのは非常に大きいのだと。
 それに対してこの橋渡し研究というものがどういう意義を持っているかという、もうちょっと大きな、これはちょっとオペレーションなところになってしまっているのではないかという感じがするのですね。やはり戦略的に日本の持っているポテンシャルを大きく生かして、それを育てるということは、国にとって必須なことであるというような、戦略的な位置付けというのをやはり最初に掲げて、それを述べる必要性は高いのではないかなと。そういうところから、ではどうするかというような議論の方が、多くの方に理解を得やすいのではないか。派生的には、そういうことによって日本発の医薬品、医療技術を創出、それをグローバルに出すことによって経済的なメリットもそこから出てくる可能性もあるというようなこともありますけれども、基本的にはやはり、良い、新しい、患者さんに届ける新規の医療技術というものを創出する担い手としてのアカデミアの役割が大きくて、それを推進、活性化する事業としての橋渡し研究というのは非常に大きいのだと、これは国にとって必要なのだというような観点からの論旨展開というのが頭に必要なのではないかなと私は思いました。
【金倉主査】  ありがとうございます。澤田委員、もし追加がございましたら。
【仙波課長】  すみません、もしよろしければ。
【金倉主査】  はい。
【仙波課長】  ありがとうございます。多分我々の章の立て方が悪かったのだと思います。9ページ目の2.3.3というのが、正に岩﨑先生から御指摘ございました、アメリカがバイオベンチャー中心で発展をしてきている中、日本の場合はアカデミア発の品目が少ないということをちょっと書かせていただいておるところでございまして、オープンイノベーションにかじを切り、リソースを開発後期に、この傾向は特にアメリカで顕著であり、Robert Knellerの調査によると、アメリカでは平成10年から19年の10年間で、252品目のうち117品目がバイオテク企業、若しくは大学からアメリカのバイオテク企業に技術移転されたものという形で、少し言及をしています。ただ、これ自身が、こういう形でアカデミア発のオープンイノベーションに期待されているというふうなところは我々も書かせていただいているのですが、それが橋渡し研究そのものに対する期待として、2.1の方でそれは書かせていただいているのですが、そこに直接つながっていないので、ちょっと構成の並びを直させていただいて、ここが橋渡しの本来の意義に直結するような形で整理させていただいてはどうかと思いますが、いかがでございましょう。
【岩﨑PD】  戦略的な書き方というのがやはり大事なのだろうというふうに思います。現在、新規の医療技術創出がどのように行われているか、そこにアカデミアの果たす役割が非常に大きくなっているのだというところをまず頭に書いていただいて。このKneller先生の論文はよく引用されますが、ちょっと古いのですよね。またかという感じがするので、これしかないのかと。例えばFDAのレポートなどでは、毎年、ノーベルドラッグアプルーバルといって出ているのですよね。そういうところから引けば、もうちょっと最新の、最新か最近かは分かりませんけれども。ボブがやった研究は、それはそれで非常に面白い研究なのですけれども、やはりもう10年以上前のデータですので、最新の傾向を述べるにはちょっと古い。ベースのレポートとしては非常に良いと思いますけれども、もうちょっとアップデートされた情報を入れ込む必要が。
【澤田委員】  むしろそのトレンドは強くなっている。それはなぜかというと、バイオについては特にターゲット分子を同定した後の創薬につながるスピードが速いため、以前にも増していかに早くそのターゲット分子を同定していくかということが重要になるからです。すると生体試料だけではなく、その周辺の情報も含めて把握している病院、アカデミアが中心にならなければ効率的な創薬研究に繋がりません。一方、企業だけでは、そもそも生体試料が手に入りませんし、患者さんの具体的な情報が付随した形では手に入らないので、どうしてもコラボが必要になります。
 繰り返しになりますが、アカデミアが頑張ってくださらないとそもそも何も生まれないという環境は、昔以上に強くなっています。昔であれば、ペーパーが出てから創薬にとりかかってもまだ間に合ったかもしれません。今はもうペーパーが出てからターゲット分子を追い掛けていたのでは間に合わない状況になっており、ターゲット分子を同定するところから世界と競争していかなければ戦えないのです。
【金倉主査】  では、髙橋委員、それから稲葉委員の順番で。
【髙橋委員】  私も大事なことだと思います。「橋渡し研究とは」から書くとトランスレーショナルリサーチの説明になってしまいます。私はむしろその拠点を置くということが大事で、拠点こそがオープンイノベーションの場を提供するのだということを強調すべきだと思います。アカデミアの人も企業とやりたくないわけではなくて、やり方が分からないというか、そういうところもあるので、そういうオープンイノベーションの場があるということがお互いにとって非常に大事です。
【金倉主査】  どうぞ、稲葉委員。
【稲葉委員】  関連していることになるのかなと思うのですけど、医学とか学問の領域が過去ずっと、細分化して、専門化していったのですが、例えば医学だと臓器別に疾病領域が定められて専門家が育成されているとか、あるいは科学全体もそうですよね。分野ごとにすごく細かく分かれてしまって、今何かその反動みたいなことが起こってきています。本当に、組織から細胞、細胞からたんぱく質、たんぱくからゲノムへというふうに突き進んでいって、今度またちょっと戻ってきて、ゲノムからたんぱく、たんぱくから細胞へ、細胞から組織へと、今度は組織間の連携とか、そういったところがすごく大きなシーズの源泉になりつつあるような傾向を私は日常感じています。そうすると、やはり今のこのタコつぼの中に入っていると、新しいものは出てこないと思うのですね。組織の壁を超えて連携するとかというフレキシビリティーとかアジリティーみたいなのが必要で、そういったことを一生懸命やられているのがアカデミアの先生方かなというふうに思うのです。できていない人たちもいますけれども、一部のイノベーティブな人たちは割とそういう。
 結構、例えば神経領域の先生ではない先生が神経領域の面白いものを見つけるなど、そういうことが次々と起こっていて、そういう若干混沌とした様相があるアカデミアこそ面白いというのが今の風潮なのかなと思っていまして、何かそういったあたりを表現できるといいなと。もう一つは、この議論はよく、アカデミアが産業界の仕事をしていいのかみたいなことになりがちで、アカデミアはもっとピュアに学問の世界に生きるべきだということを言う方が多いのですが、実はこのメディカルイノベーションを通じて医学の領域の進歩もすごく見られていて、開発をすることで、新しく病態のある側面が解明されていったりとか、生理学的な本来の機能が分かったりというようなこともありますので、最初の話もそうだし、この2番目の話もそうですけど、何か一方向に動いているわけではなくて、進むとフィードバックがありますよと、一旦ちょっと産業界とのコラボをすることで実は学問の領域もまた深くなっていくのですよという、そういうことを表現することで、そのアカデミアは金もうけばかりみたいな議論を若干緩和した方が好感も得られるかなと感じます。
 割と、このオープンイノベーションとかいうと、アカデミアがお金もうけばかりしていいのかということを言う方もいらっしゃるので、そうではないですよというのもどこかに入れておくといいのかなと。両方大事ですというか、両方やることで相互に深まるという雰囲気を出せるといいのかなと思いました。
【金倉主査】  ありがとうございます。文科省は。
【砂専門官】  それについては15ページにありまして、4.1の1段落目の後ろですが、「加えて、具体的な候補薬剤が発見されると、その実用化のために産官学医が連携してその疾患研究を行い、急速に病態解明が進む」と、フィードバックに関係するようなところを記載しておりますので、御参考いただければと思います。
【永井PO】  そこの記載について一言。4.1の冒頭のところ、これはリバースTRのことを冒頭に言ってしまっています。TRというのはやはり基礎研究から臨床の方に行くことがありきであって、それのみならずリバースTRもありますよという形にしないと、ちょっと誤解を生むと思いましたので、そこだけ。
【金倉主査】  ありがとうございます。
 楠岡先生、どうぞ。
【楠岡PS】  ここに記載すべきかどうかは判断が必要とは思うのですけれども、このTR事業が重要性を増しているその1つの理由として、岩﨑先生が今おっしゃった国に必要ということですけれども、その国に必要という意味として、1つは産業育成という話はあるわけですけど、もう一つ、国民の疾病治療、健康福祉の増進という点から考えた場合に、これまでは製薬企業がブロックバスターをターゲットとしてシーズ開発をし、それでかなりの疾病が制圧されてきたわけですけれども、その結果、今アンメットニーズだけが残っている。ただ、アンメットニーズというのはすごくたくさんあって、これは企業として網羅的にターゲットとしていくようなことができる分野では決してない。一方、アカデミアは言うならば研究者の数だけ担当している人がいるような形なので、その中でアンメットニーズにフィットするものがあったときに、今まではそれが研究の段階で止まっていたのを、いかに国、国民へ返すかというところの育成手段としてTRというのが存在している。
 ですから、そういう薬とかの開発の基盤というか、ベースがもう完全に変わっている中で、せっかくアカデミアの中にそういうものがありながら、アメリカ、他国ではそれがうまく発展するのに対して、日本ではそれが発展しなかった理由として、文化的なものか制度的なものかは別として、それをいかに育成するかということで拠点形成がなされて、今の結果になっている。その一番ベースになってくるアンメットニーズという話がこの中には一切出てこないのですけれども、それは書くべきなのか、それはもう当たり前のことで、そのベースの上に今の話があるのかということは、ちょっと考えた方がいいような気がします。
【金倉主査】  ありがとうございます。多分、大きく間口で入って、あとアンメットもというスタンスだと思うのですけど、いかがですか。
【仙波課長】  多分直していかないといけない。前提として皆さんが共有していた部分を書かずにこの報告書が書かれているので、そういった部分が足りないという御指摘はそのとおりだという気がします。少しそこの部分は追記していきたいと思います。
【金倉主査】  文科省としても流れとしてはいろいろ、もっと横断的な学問体系をしていこうという方向性は出されているので、橋渡しもそれに応じたような、ちょっと薫りが入っても良いということですね。
【砂専門官】  ありがとうございます。
【岩﨑PD】  その点に関して、先ほど稲葉委員からも指摘がありましたけれども、最近の新規の医療技術というのは、もう医学、薬学の専門、専攻部分ではなくなってしまっていて、いわゆる異分野の融合的な研究から面白いものが出てくる。そうしますと、今、拠点と目されている場がどこにあるかというと、多くは総合大学ですね。総合大学が持っている利点というのは、この異分野の融合研究を推進する非常に良い場になっている。そういうことから考えて、この日本の拠点がそういうところに今形成されているということの意義、これはそういうことも書かれると、やはり大学に何でそういう拠点が必要なのかというときに、単に研究者がいてアカデミアから出ますからというだけではなくて、研究者間の交流の場がそこにあって、それを活性化する。これは橋渡し研究の採択でも、毎年、単なる医学部、薬学部ではなくて、工学部の先生、理学部の先生と一緒にやってくださいということをお願いして、そういうところから。逆に言うと、こういうことをすると金太郎飴的なことになりますけど、そういうところからやはり拠点の特色化というのも生まれてくるのだろうと思います。そういう面でも総合大学にある拠点という意味をもうちょっと、何で大学にあるのかというところの論拠、論点、論旨展開というのも必要なのではないかなと思いますので、そういうことも含んでいただければよろしいのではないか。
【金倉主査】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
 では、橋渡しのところの、今頂いたところを構成し直す、あるいは文言、あるいは項目をちょっと足すということをやっていただきまして、それについてはまた皆さんの御意見を伺う、メール審議になると思いますが、そうしていただければと思います。
 それでは、次は文部科学省及びAMEDの取組というところで御意見を頂ければと思いますが、これまでの取組ということなので、よろしいでしょうか。どれを取捨選択するかということぐらいかなとは思うのですけど、余り問題がないようでしたら。
 それでは、問題となる今後の方向性につきまして御議論いただければと思いますが、ここはもう少し、先ほど御意見いただいた橋渡し研究支援の意義というのが15ページに書かれておりまして、これについては先ほど頂いたような意見もちょっと書き込む必要があるかなというふうに思います。
 どうぞ。
【池野委員】  ちなみに、このレポートは最終的に、完成版ができたらどこに提出するのでしょうか。
【金倉主査】  ライフサイエンス委員会に行って、その後は。
【仙波課長】  基本的には次の、第3期の後段の運営に役立てるので、報告はさせていただくのですが、これ自体を何か、出版するとか、そういうふうな形のものではありません。
【池野委員】  つまり、これを見て官僚の皆様が政策を作るというイメージですね。
【仙波課長】  そうです。あと2年間の政策、それから更に次の第4期をどうするかということに役立てると。
【池野委員】  分かりました。
【金倉主査】  いかがでしょうか。
 では、体制についてはいかがでしょうか、橋渡し拠点が担う機能、拠点外への支援、中核病院との連携、適切な拠点の規模と拠点間連携、各拠点の組織運営の方向性、認定制度の創設と、結構悩ましい問題がいろいろ含まれておりますが、御自由に。採択されるか分かりませんが、御自由な意見は。
 どうぞ。
【稲葉委員】  事務局の皆様から、実は拠点外からシーズも結構出てきていますよという話を伺っていて、拠点外との連携をうまくやってくれる拠点と、そうではないところがありますというお話も伺っていて、こういった情報は公開されるのでしょうか。その良いところと良くないところが公開されていくことで、自浄作用というか、だんだん自然発生的に良くなっていくこともあるのかなと思うのですが、そういったあたりは。
【仙波課長】  中間評価の中でいろいろな形で扱われた情報はオープンになっていきますし、また、我々自身が事業評価をしているもの以外に、AMEDの中においてそれぞれの拠点を評価していただいているこの取組についても、最終的に取りまとまれば公開される形になります。そういう意味では、稲葉委員がおっしゃるような、成功しているところ、失敗しているところという言い方が適切かどうかちょっと分からないですけれども、取組の進んでいるところと、そうでないところというのは、最終的には見える形になっていきます。
【稲葉委員】  具体名で見られる形になっていくということですね。
【仙波課長】  はい。
【稲葉委員】  余り駄目なところを責める必要はないのかなと思うのですが、うまくやっているところを褒めて、皆さんに頑張ってもらうモチベーションにしていただくというのはあっていいのかなと思います。
【金倉主査】  どうぞ、五十嵐委員。
【五十嵐委員】  16ページ、4.2の体制の4.2.1の橋渡し拠点が担う機能の2段目の「1については」の文章なのですが、これはこのとおりだと思うのですが、小児分野あるいは希少疾患の場合は、1拠点だけでは恐らくカバーできない、患者さんを集めるということも難しいと思います。ですから、ここには「関連学会と連携して」という文言を是非入れていただきたく思います。1つの拠点だけである特定の疾患の研究をやろうとしても限界があると思います。
【砂専門官】  はい。ありがとうございます。
【金倉主査】  他にいかがでしょうか。先ほど言われた、一応これで、3期を継続した後は、この橋渡し研究は終わりなので、その次にどういう体制でいくかというときに今までの成果が問われてくるということになるということですね。
【砂専門官】  はい。今回まとめます報告書を活用させていただいて、次の事業に役立てるということを考えております。
【岩﨑PD】  そこで、是非、委員の先生方に、先ほど大上段に構えて、橋渡し研究が必要だという話をさせていただきましたが、そういう国としての戦略的な事業に対して、国がどういう支援をしたら良いのか。ここにいろいろと事業が書いてありますけれども、この事業をするためには経費が必要なわけですよね。その経費はもうないよと、おまえら頑張ってねというような方向なのかどうなのかというのは、今後の事業のたてつけに非常に大きなところだと思うのですね。それに対して先生方から、どういうことをすべきなのかと、今までみたいに丸抱えのサポートは難しいかもしれないけど、どういうところは支援する、又はシーズの支援ということをするのであればどういう方向であるのかというような、やはり経費をどのようにするかというようなところの観点からの方向性を示さないと。良いことばかり書いても、それはそうですねと。肝心のどうやってやるのという話になったときに、皆さん戸惑うのではないかなと。今まで多くの時間を費やして、そういう議論を先生方にしていただいたのですけど、国がこういう事業を行うということに関しての具体的な支援というのがどうあるべきかと、特に資金的な、ファイナンシャルなサポートというのをどう見るのか、その辺も是非御意見を頂きたいなと。
【金倉主査】  いかがですか。
 どうぞ。
【永井PO】  是非そこはコメントしたいのですが、正に岩﨑先生のおっしゃるところなのですが、19ページの下の方に、自立化のところのパラグラフがあります。そこの下から2行目で、「例えば、獲得研究費から必要な対価を一律徴収するなどの方法も検討が必要である」と書いてありますが、これは本当にそのとおりだと思っています。臨床試験のように定型化された業務に対してはチャージも可能なのですが、アーリーなシーズを育てるための支援にはいろいろなものがあり、それに対するプライシングは難しいし、ましてや学内の研究者にチャージすることも難しいです。シーズに研究費を出すのであれば、拠点にもそれが落ちて、拠点の維持運営に役立てられるような形で研究費を拠出していただきたいと思います。それによって拠点の差別化、特色化というものも進んでいくのではないかと思います。多くのシーズを持って、たくさんの支援をする強い拠点は強くなっていくだろうし、例えばここは再生医療が得意だとか、ここは医療機器が得意だというところがあれば、そこに支援の要請が集まり、それによって拠点の特色化が進むというポジティブなサイクルも出てくるのではないかと思います。
 以上です。
【金倉主査】  ありがとうございます。永井POが言われたようなことをライフサイエンス課も考えられて、研究費としても、例えば人件費に使えるなど、拠点のお金になるようなことはプランニングされているというふうにお聞きしていますが、いかがですか。
【仙波課長】  前回もちょっとお話ししましたけれども、様々な研究費の中で、1つには、先生方がなじみ深いもので言えば、さきがけ事業のような形で、研究する分野と、その研究をマネジメントする体制と両方に研究費を使うような研究費というのは1つ存在しております。橋渡しの中で、ある一定の分野、領域、先ほど五十嵐先生も言われたように小児とか、そういうふうな特定の分野で、何らかの形のマネジメントをしながら研究費を使っていくことが有効なものについては、そういう橋渡しシーズ育成研究費みたいな形のものというのはあり得るのではないかと、いろいろな御意見を頂いている中で考えていきたいと思っております。ただ、これは何度も、ここでも言わせていただいているのですが、拠点の人件費みたいなものをそのまま立てるような事業というのは、やはり5年とか10年とか期限を区切ってしか立ち上がらないので、それを欲しいというふうな形で言われると、なかなか難しいというふうな形ですので、そうではない形がどういう形であるのかというのを、御意見をいただきながら模索していきたいと考えているところでございます。
【金倉主査】  では、まず楠岡先生から。その次に池野委員。
【楠岡PS】  ここの4.2.1、橋渡し拠点が担う機能の1の、要するに開発しにくい分野の研究開発というところなのですが、ずっと拠点、拠点と言ってきたのですが、拠点というのは拠点指定を受けた大学が拠点なのか、拠点長がいる何とかセンターが拠点なのかというところで、その拠点の意味合いがちょっと変わってきます。ここで研究開発というと、もし拠点が、何とかセンターという大学内の1つの組織を拠点と考えるならば、それ自身が研究開発をしなければいけない。もちろん拠点の中には研究も重点項目と思っておられてやっているところもありますけれども、自らの研究を1つの重点項目とするのか、それとも、拠点というのは飽くまで支援組織、この後ろの2、3、4が中心で、この研究開発というのも、研究開発を自分がするのではなくて、そういう部分に重点的な支援を行うという意味なのかということ。もし大学全体が拠点という話になってくると、1の書き方でもいいと思うのですが、そうすると先ほどの異分野という話と何か合わなくなってくるところもある。要は、この1の書き方であって、研究開発なのか研究開発支援なのかというところは明示しておかないと、ややこしいことが起こるのではないかというのが気になるところです。
【金倉主査】  いかがですか。
【仙波課長】  拠点長というのを置いている組織が拠点というふうな形であると考えていたので、先生の質問に答えるとすると、やはり大学全体ではなくて、拠点長を置いた1つの組織を我々は拠点と考えておりました。そういう意味で、ちょっとそこのところは、拠点の中で研究をする組織もあれば、拠点外のシーズをその拠点は支援して育成するという、それは両方あると思います。そこのところは10拠点それぞれで少し状態が違っているというふうには考えています。
【楠岡PS】  1として、頭にそこが来たときに、書き方は十分注意しないと、1番目に来るのがどうしてもメーンという話になるでしょうから。そうすると、そっちに重点があるのか、むしろ後ろに、あるいは1の中でも支援部門に重点があるのかは、後ろを見ればそれはある程度分かるのですけれども、頭出しのところでどうかということだけがちょっと気になった点です。
【金倉主査】  はい、池野委員。
【池野委員】  岩﨑先生の、お金の話になったので。僕はいつも1月、2月になると、日本の大学から大量の人が出張してきて、そのお世話をしなければいけない。何で1月、2月なのですかと聞いたら、3月31日までに使い切らなければ、お金があるかららしい。例えばその組織、施設の努力によって一定のお金が半分で済んだと、これは褒められるべきなのですよね、企業でいったら。皆さん企業ではないので、使い切らなければいけないのです。
 これが何で繰り越せないのかなと。そうしたら、企業努力によってたまったお金を別のところに使えばいいわけですよね。だから、それがなぜできないのかなと。
【仙波課長】  そこのところは多分、物によって違っていて、繰り越せるようにもちゃんとなっていますし。
【池野委員】  これはなっているのですね。
【仙波課長】  いや、この事業がというふうに言われると、この事業はまた補助金なので、少し繰越しが難しいお金になっています。繰越しが簡単なものから言うと、基金というのが一番簡単で、運営費交付金、これは中期目標期間の間は繰越しがある程度認められているような資金になっています。それより難しいものの方としては補助金というのがあって、現在AMEDさんには、実はこの補助金というのを使って事業をやっていただいているので、一番繰越しが難しいのですが、逆に言うと目的外使用も難しいので、不用を立てさせないと。部長から何か補足することありますか。
【井本AMED部長】  先生おっしゃるとおりのことがあって、事業運営の中では期中に1回、ニーズ調査というか、充足状況で、足りていますかとか、不要になりそうですかと1回調査をさせていただいて、不要な方々から少しお返しいただいて、足りないところに付け直すというようなことの調整も一部進めているところではございますので、必ず不要なものを使い切れと奨励しているものではなくて、できる範囲から始めているものはあります。
【池野委員】  ただ、やっている方としては、不要と言うと次年度から減額される可能性があるので、必要と言って、その必要という回答をしてから一生懸命みんな使わなきゃいけないみたいな、いわゆる茶番というようなことが現場では起こっていると思うのですよ、僕。
【井本AMED部長】  先生のおっしゃるのは多分、年度が最後の頃、2月ぐらいになると、そこに追い込まれる可能性は高いのかなと思います。
【池野委員】  そうですね。
【井本AMED部長】  年度の早いうちであるとお互いさまで、実は研究が進んだから、より必要になったところとか、あるいは、ちょっとここは安全性試験で足止めしているので、臨床部分のお金が要らなくなったというような、そういうようなことは研究者ごとに起きているので、そういったものを調査の中で調整をするようなことはマネジメントの中でやらせていただいている。ただ、先生のおっしゃる、年度が、3月とか2月になると、逆に、返されたところで、もう配れないと、そこで配られた人も、もうそれこそ使い切れないということが起きますので、できるだけ秋口ぐらいまでにそういった調査をして、冬までには再配分をするということに努めてはおります。実際、年度が最後まで行ってしまうと、もう繰越し以外に手はなくなってくることはあろうかとは思います。
【池野委員】  人間のさがとして、もらったお金を戻すというのはすごい抵抗があるのですよね。だからやはり使わなきゃいけないという意識に傾くと思うのですが、それが、自分たちの組織が使える、だから普通の人間の考え方としては、4月またいだって別に、使えればいいわけですよね。貯金しておくとか。
【井本AMED部長】  そうですね。あとは、課長からお話があったように、基本的には年度別のものは年度別でという大きなルールの中で動いているので、だからできるだけ、先生がおっしゃるように、もらったものは俺のものというふうにならないように、足りないときにお金がもらえて、要らないときには他の方を助けるようなイメージができると、それに慣れていただくと。だから、期中において多少のでこぼこが研究の進捗によって出始めた場合に、足りないときに手を挙げたらレスキューされる可能性があるということ、一方で、自分が不要になったときには、そこはお返しするという慣行が身に付いてくると、少しずつ変わってくるのかなという意味では、少しずつ始めた試みもあるので、そういった中での調整が少しでも役に立てばと。あと一方で、繰越しもある程度、認められるものについては認めていただくということも併せてやっていますので、引き続き検討課題ではありますけれども、できる範囲で進めてきたいとは思っています。
【仙波課長】  そういう意味では、補助金ではあるものの、繰越しをできるものはしていきたいという形で、事務局的な手続でもそこのところはきちんとした形で繰り越せるように、不用意に不用を立てないようにというふうな形で頑張っているところでございますし、補助金でない形態があり得るのかどうかも含めて、今後ともちょっと探っていきたいとは思っておりますので、そこのところは頑張っていきたいと思います。また、補助金であっても、井本部長からもありましたとおり、AMEDという組織を作って、一体的に運用していただく中で様々なやりくりをやっていただくというふうな工夫を早い段階からしていただくことで、効率的に進めていただくということはいろいろ考えていただいているので、この補助金という制度の中でもうまくできるような仕組みが、これから先、何年間も掛かるかもしれないですけれども、作り上げていくことができるのではないかとは思っています。そういう意味で、昔ほどひどくはないのではないかと思いながら、まだ遅々として進んでいないのではないかというのは推察されます。
【金倉主査】  中西先生、どうぞ。
【中西PS】  お金の話が出たので、3点ほど。まず第1に、その繰り越せないかという議論はもう10年以上ずっと、拠点調査のたびに話があって、拠点はやはり繰り越せないことで困っておりました。ですから是非、それがもう少し柔軟な運用ができるようであれば、有り難いと思っています。ただ、難しいこともよく理解しております。
 一方で、橋渡しの事業が始まった当初は、比較的潤沢にお金がありましたので、どうやってお金を使っていこうかという話がないわけではありませんでしたが、安心していただきたいのは、ここ数年間、厳しい赤字です。自立化をしろという声が掛かるので、一見、いかにもプラス・マイナス・ゼロみたいに決算書を出していますが、結局いろいろなところからお金を頂いたりしながら、どうにか自立化してそうに見えているだけで、実際には橋渡し研究の事業に関しては全く、余るお金というのはありませんでした。
 第2に、特に足りなくなったその理由は、当初は橋渡し研究について、研究費を研究者が獲得したときに、その25%程度は支援費としてもらいなさいと、そしてそれを原資にしっかり支援しなさいという話があり、その議論の中から拠点活用という題目でのプロジェクトが出たりしました。そうすると当然、研究者は拠点と連携してやらないと応募できないということになりますので、それでもってある程度、健全な運営がやれていましたが、ある時期から料金表を作れということになりまして、そのシステムが完全に崩壊いたしました。
 第3の観点として、なぜ崩壊したかというと、研究者そのものは支援の重要性が分からない人が多いのです。そうすると、これだけとったお金をどうしてこの人らに回す必要があるのだということで、本来なら、もっとアドバイスとかを受けてほしいにもかかわらず、自分の使いたい研究費だけに使ってしまうものだから、拠点を使わなくなっちゃったのですね。加えて、これは大学の問題かもしれませんが、いわゆるコストを、実勢価格ではなくて、その人の1日当たりの日当、人頭制でやったものですから、非常に安い給料で雇用された人ばかりの上、8時間、毎日支援業務があれば良いのですが、今日は2時間、3時間と。その分しかお金が入りませんから、当然、支援すればするほど、人を持てば持つほど赤字になるような構造でした。この構造では非臨床研究の支援体制はもう続かないと思っています。
 そういうことで、申し訳ないけれども、具体的なプランがどうこうということは申し上げられませんけれども、今の形では、臨床研究の支援はある程度、料金表でもできますが、非臨床に関しては全く成立しない状態。ですから、あえて言えば、先ほど申し上げましたように、一定の金額を支援費として最初から計上していただいた形で、拠点をもっともっと活用しろというようなプロジェクトとして出てくると、それはいけるかもしれませんが、それを含めて、やはりお金のことについてはかなり厳しい状況にあって、それについて何らかの方策をというのが拠点の立場としては非常に切望するところでございます。
 以上です。
【金倉主査】  ありがとうございます。
【稲葉委員】  関連してなんですけれども、20ページの一番上の段落の最後に「チャレンジングな契約を目指すべきである」という文言があるのですが、チャレンジングではないのではないかなと思いまして、普通なのではないかなと思うのですね。要は大学としてちゃんと収入を求めるということを考えたときには、通常、こういうエクイティーや何かで回収していくということも普通に考えることだと思うのです。
 そういうふうになっていないということの背景としては、多分、大学として、こういうところで儲けても、じゃあそれを自分たちが再投資をするようなことができない現況から、特にこんなところで儲けようというふうには思わない。自分たちが評価される本年度の収入というところだけにフォーカスしてしまうという現況があるのかなと思うのですけど、文科省さんとしては、この拠点と大学と2つある、観点として2つあると思うのですけど、その中で、例えば拠点が多くの収入を得たとき、あるいは大学が多くの収入を得たときに、それを再度自分たちで使うというような制度を今後作っていくような意向というのはおありでしょうか。なかなかそこはやはり難しいところなのでしょうか。
【仙波課長】  それは、私自身も農工大に2年間出向させていただいて、第1期中期目標期間から、その辺は局長の方が多分いろいろと知っていると思うのですが、そのところで、儲けたお金を繰り越せなかったという問題について、かなり大学の方々がいろいろと思っているというのは聞かされました。
 ただ、その観点は第2期から第3期に至るところではかなり改善されて、目的を持って、きちんとした形で収益を上げたものについては、成果としてその大学に残させていただくということはできる形に。だから制度としてはその制度があって、その制度を運用していくかのところで、どこまでを経営努力として認定するのかというところが1つあります。あと、大学はそもそもの設置目的から、単純に収益だけを上げる機関にすることはできないというところがあるので、余り儲け過ぎて、いろいろな形で経済活動に対してインパクトの大きな影響を与えてしまうということは望まれていないという部分が確かにあるというのはあります。だからこそ大学ベンチャーとか様々な形で、大学とは違う組織で収入を上げていただくというのが今の大きな流れにはなってきています。一定程度の努力であれば、それは認定される制度というのは今もあります。余りにも大きな収入が上がってくるような話になれば、それは大学の外に法人を作っていただくなどの方策でとっていく方法はございますし、その法人に対して出資をすることができる大学というのも幾つか認定をされているというお答えで、全てお答えし切れているのかどうか分からないのですが、もし、局長から補足があれば。
【村田局長】  いや、もう今、課長が申し上げたとおりで、方向性としては、これは国立大学が法人化するときの最初からの議論として、やはり大学が自らの知的な資源を生かして稼ぐと、それによって得たものは正に大学が学術のために使えるようにというのが大きな方向性でございました。ただ現実的には、これも正直言って財政当局との交渉の中で、財政当局からその幅をできるだけ広がらないようにということが当初はございましたが、ただ最近は財政当局も、やはりそういうことを認めていかないと大学の発展というのがなかなか望めないのではないかという方向になって、かなり弾力的にはなってきております。一方で、最終的には大学の目的は別に収益ではありませんので、そこの制約はあるものの、制度としてはかなり広げて解釈できる余地があります。もう一つは、これも先ほど課長から申し上げたもう一つの手段として、法人として大学から切り離された組織を作って、そこでということもできるようになっておりますので、その2つをうまく組み合わせて、できるだけ大学の努力が報われるような仕組みに私どもとしても変えていかなければいけないと思ってございます。
【稲葉委員】  ありがとうございます。先ほど、儲け過ぎるといけないというお話があったのですが、恐らく異常なほど儲けていないと思うのですね。世界的に見て、日本の大学って、私立、国公立を全部合わせて、年間ライセンス収入は二、三十億円しかないという資料があるのです。例えば世界のほかの国に行くと、1大学でもその何十倍と得ている大学があったりするわけですよね。だから日本全国の、幾つあるか分からないですけど、それを全部合わせて二、三十億円って、やっぱり異常だと思うので、もうちょっと、その。
 この自立という観点でいろいろ書かれていますけど、きちんと自分で利益を得たら自分で使えるという制度を作ることが、そもそも自立の根源なのではないかなと思うのです。自立しなさいと言っておきながら、儲けたら全部吸い上げますよというと、やはり自立できないのではないかなという気はちょっとするのです。
【岩﨑PD】  実に良い論点になってきたので、そこは触れて良いのかどうなのか、ちょっと迷っていたのですけれども。今、別に橋渡し事業だけではなくて、大学そのものが、簡単に言うと稼げということで、大学の自立化、経営的な努力をしなさいということは強く言われていることなのですね。そういう中にあって、この橋渡し事業が、もし、簡単に言うと稼ぐメカニズムとして機能するのであれば、それはそれで非常にいいのですけれども、ただ、法律等々の関係で、今、稲葉委員がおっしゃったような内部留保をなかなか、目的外の、一般的に使いたいような内部留保を持つことが非常に難しい。ある程度、中期計画中のことであれば持てるけれども、それが終わると全部召し上げられてしまうというような、構造的な。
 やはり根本的なディスカッションが必要なのだと思うのですね、こういう事業というものを、多くの拠点は大学がやっていますので、大学法人がやるということの基本的なたてつけ。自立化して稼げ、稼げと、これだけの事業をやると経費が絶対に必要で、ほとんどが今、中西先生がおっしゃったように、コストセンターですよね。プロフィットセンターとして動く部分というのは非常に少ないし、動かすところは、日本は下手なので、なかなかプロフィットが入ってこない。その部分は結局、今は研究者一人一人の頑張りとか大学からの支援とか何とかということで、簡単に言うと、帳面上バランスをとっている。でも内部は、もう。これで橋渡しはもう何にもしませんとかいうことになって、これで事業をやりなさいと、これだけの事業がこれだけあると人材も育成しなきゃいけない、新しいシーズも開発しなきゃ、育成もしなきゃと、おいおい、これ、どうやってやるのだよというのが拠点の先生方の本音だと私は思うのですね。
 事業の価値は、もう多くの方が分かっている。ただ、それを動かすメカニズムとして国がどう考えているのかというのが非常に不明確になっているのではないかと。一方で、大学がやりなさいといっても、大学を取り巻く環境が、そういうルール的なところでなかなか、それこそ民間資金を導入して、経営的に出資して、それでそういう多くのところに、そういうものが多い大学にはまたサポートしますみたいなメカニズムがありますけど、でも稼いだ分が、その分だけ。よく財務当局の方が言うように、どこかの大学は何百億あって、日本は何でそんなにいつまでも国に頼るのだという話があるけど、元々の囲まれている環境が違うところにある。そういう矛盾した状況の中でこの事業をどう位置付けるかというのを根本に据えないと、絵に描いた餅に終わってしまう。これはこれでいいのですけれども、どうしたらいいのでしょうかという話になってしまうのではないかというのを私は非常に恐れるのですね。
 こういう中間評価とか、そういうのは良い機会だと思いますので、是非そういうことの声を上げていただいて、こういうものを。最初に言ったように、国の事業で大事だというときに、これをどうするのだというところを是非、その方向性だったらば話し合って、そういうところをこういう報告書に入れていただくと、大変良いのではないかなと思います。
【金倉主査】  どうぞ、澤田委員。
【澤田委員】  素朴な質問ですが、そうしますと日本の場合、大学が有している知財のライセンス料というのは大学には入らないのですか。
【仙波課長】  入ります。
【澤田委員】  では使い勝手が非常に悪いということでしょうか。
【仙波課長】  いや、別にそうでもなくて、今議論が出ているのが、何にでも使えるようなお金に積み立てるというのが大学の場合2つあります。目的積立金という、その制度上で目的を持って積み立てていって、その目的をもって使っていく。その目的積立金で積み立てていったものが中期目標期間を超えるときに、一定程度は、その目的というか目標の見直しに伴って召し上げられたり、召し上げられなかったりするというのが1つあります。もう一つは大学の基金というもの。これは各大学ともいろいろな、寄附金とか企業からのお金とかをそれに積み上げて、向こうが目的を限らずくれると大学の基金にすることができる形になっています。その基金に積み上げていったものは大学の基金として、それはずっと将来持っていくことができます。
 知財収入みたいなものがどっちになるかというと、基本的には目的積立金的なものに積み立てられていく。
ある一定の事業の成果として収入が上がっていくので、完全にフリーというよりも、そういう形で積み上げられていくことが多いので、多分そこの部分が、100%最初から使えるというふうな、中期目標期間で全部使い切ってしまえる程度しかどうせ収入ないのだからという話が稲葉委員からもございましたけど、そういう話になっていると。
【澤田委員】  やはり、資金をどのように大学の関連部署で活用しやすいような形にするのかを考える必要があると思います。この1や2は、基本的にずっと続いていく話ですし、出口戦略を進めようと思っても、将来を考慮すると純粋な基礎研究、基盤研究は継続的に進めないといけません。一方そこで資金は絶対稼げないので、そのために回していく資金が常に必要になりますが、今、国からの資金はどんどん減っているので、そういうところに大学が自由に使える形でお金を保有していないと、組織を維持することも、本当の、将来のための研究をすることもできなくなってしまいます。使用目的の自由度を高める方向に持っていく必要があると思います。
【金倉主査】  大学はもうお金がありません、基本的に。どんどん運営費交付金が下がってくるので、大学としては人件費を削らざるを得ない状況になってきていると思います。ですから、橋渡し研究なら、そこからお金が出てこないと、なかなか成り立っていかないと思います。
 岩﨑先生がおっしゃるように、委員の先生方は皆、橋渡し研究として続いていくという認識でいらっしゃると思うのですね。ただ、中間評価委員会として将来財政的にこういうものが望ましいというのは、なかなか書きぶりとしては難しいと思いますが。
【岩﨑PD】  やっぱり事業を継続、良い事業であるという評価は頂いていると思うのですが、では事業を継続、できればこれをもっと活性化していただきたいわけですよね。日本のポテンシャルを示すために。そのためには、財政的というか、ファイナンシャルのベースをどのようにするか。大学という非常に不明確な団体がそれを担わなければいけないという、それが非常に難しいところ。だから現行法規を、法規を変えるというのはなかなか難しいと思うのですが、運用上で、こういう基金の創出とか何とかというので使いやすいお金を作ってというのが、大学の自助努力、自分の努力でなされるのであれば、それがどういう方法であったらそういうことができるのかということを。
 これをこの中間評価の将来のあれに書く必要はないかもしれませんが、ただ、大学に、こういう方法で研究資金というものを、大学の中か大学の外の研究者でもいいのだけど、基礎研究を支援する資金としてどういうふうに、簡単に言うとプールして、それを活用するシステムというのが、現行法規上こういう方法だったらできるというようなことを、また別なところで言っていただければ。でも、そこは努力が必要だということであれば、大学の先生方は努力されるのだと思うのですね。今のところはそこが非常に難しい。
【金倉主査】  それはなかなか、それは皆さん努力しているけど、計画を越えて残せるお金というのは。
【仙波課長】  そういう意味では、企業から紐付きではないお金をもらえば、それで基金を作ることができる。基金を作るのは現行制度上でも認められていて、私が行っていた農工大学にも農工大学基金というのをちゃんと、学生の親からもらったり、企業からそういう紐付きでない寄附金をもらったりするので作っていました。私も職員として何万円かをそういうふうな形で、基金造成のために拠出をしました。そういう形で一番日本の大学で成功しているのは、慶應大学さんがものすごい基金を作っていますけれども、それ以外の大学はなかなかそこまで基金の金額がいっていないというのは御承知のとおりです。
 基金という形以外で作れるのは、企業の共同研究費とかがうまくいろいろなものに使えるという、目的をちょっと広げていただくというのは1つの手だと思います。ただ、そういったことをどこまでやることによって動かせるような形になるのかというのは、企業の方も大分しわいので、寄附金でなかったら、使途がかなり狭められるというのはよく聞く話です。
【澤田委員】  海外とのライセンス交渉をする場合、旧来はベンチャーであったり企業であったりしていたのが、今、知財のコンフリクトを起こして交渉している相手が、実は結構アカデミアも増えてきています。するとアカデミアと交渉して、アカデミアにダイレクトにお金を払わないといけなくなるわけですが、向こうは自由に使えて、それをまた次の研究に回せているのに、日本がそれをできないというのは改善の余地があると思います。書きぶりはともかくとして、橋渡し研究拠点がアドバイスをしたことによって知財の価値が高まる、あるいはプログラムそのものの価値が高まったとすると、その高まった部分については当然、対価を得ることができるはずであり、それを最終的にその維持発展のために使うことができるような方法を模索するぐらいのところまでは書けないでしょうか。
【中西PS】  それは非常に良い話と思うのですが、実は知財の中でも、特に特許収入に関する点です。橋渡し研究に関しては現状で公的資金を除いて獲得できる外部資金はほとんど特許収入しかないと思うのですが、これは実は、各大学に産学官連携本部とか知財本部とかがあって、そこが全ての契約をやって、全部そこに入ってしまう。それに関してはいわゆる拠点サイドには入らないのが現実で。では拠点側は何で自立化を目指すかというと、結局臨床試験をやったときのデータの使用許諾権とか、あるいはロイヤルティーみたいな形で入るものしかない。したがって、後期のもの、臨床研究中核病院がするようなものに関してはそれができるのですが、前期のいわゆる非臨床の部分については、なかなかそういったものが配分されてこないというのが現実で、恐らく少々書きぶりを高圧的に書いても、それは動かない。なぜかというと、我が国のほとんどの大学の産学官連携本部は赤字であえいでいますので、それをあえて出すということはまずない。それが今、非常に実際の問題としてひっかかっています。
【澤田委員】  なので、全部産学連携本部から取り上げる必要はないと思うのですが、やはり付加価値を付けた部分については、評価はされてしかるべきだと思います。その議論を公平に進めていかなければ、価値を高めるインセンティブが働かないですよね。
【中西PS】  それで、そういうことを私たちが学内で、こうですよ、こう言われていますよと言っても、なかなか聞いてくれないし理解してくれないので、例えばこういう委員会の方から、こういうふうにやるべきである、こういうことをやったところに対してこれからの事業の継続を託すんだみたいなことを書いていただくと、ああ、そうなのだと大学幹部は理解するわけです。実際そういう条件設定されてしまうと、大学は必ず動くのですが、設定されないと動かないのですね。ですから、是非そこは委員の先生方に頑張っていただければと思っております。
【金倉主査】  どうぞ。
【菊地AMED課題評価委員長】  先ほどから、岩﨑先生からもいろいろ出まして、今の議論も含めてですが、これは結局、根本に、日本の場合、いわゆる旧帝大と言われるところが主ですけど、先ほど楠岡先生が言われましたが大学に拠点を置くという、これは実は、6ページの2.2にもありますけど、海外でこのような形をとっている国はないですよね。これは恐らく10年ぐらい前に、冒頭ありましたように、日本ではアカデミアが、創薬も医療技術も今後非常に重要だということをやるときに、その当時やり得る足場としては、どうしてもこれまでの基盤のある旧帝大を中心とした総合大学に取りあえず足場を作ることしか考えられないということで始まっているのではないかと思うのです。ですから、この制度が始まったところから本質的に持っている問題の光と影が、きょうも正に光と影の両面が発言されているという感じがします。
 日本の場合には、もう今更この形を覆すことはできないわけですから、やはり、ほかの国ではこういう形がとれなかったからやらなかったのだろうという気もしないのではないのですけれども、この形で戦うにはどういう戦法があるか。今のような大学としてのお金の使い方とかそういうのも、そのワン・オブ・ゼムの話題なのだろうと思うのですが、やはりそこら辺の本質についても踏み込まざるを得ないとおもいます。個別名でもよろしければ、順天堂大学なんかは、この拠点戦略のいいとこ取りをした、さすが私立ですよね。さっき岩﨑先生が言われた、拠点ファンクションがコストセンターではやはりやっていけないので、利益を得る部分をうまくとらえて、大きなAROを中心としたGAUDIプログラムを始めて。実は私、昨日オープニングに呼ばれて基調講演をしたのですけど、新井学長も来てやっていましたが、ああいう形だと、私立としてある程度の利潤を確保しながら。5年前ぐらい前から検討してAROを担当するスタッフを100人ぐらい雇ってやっています。その人件費なんかが出るのですかと言ったら、順天堂大学では関連6病院を持っているから、ベッド数は3,500超とかで、そこの臨床データを企業と一緒になってうまく利用するという、正にここら辺のいいとこ取りをすぱっと私立大学として見抜いて、やり始めているのですよね。
 ですから、やはり現実にああいう例が出たことを含めると、この旧国立系を中心とした拠点もある程度、もう少し突っ込んだ議論を始めていかないと、やはり常に大学全体としての重しといいますか、重いところを引きずりながら拠点が成果を上げるというのは、中西先生が吐露されていましたけれども、非常に難しい面があるのだろうと思うのです。ですから、こういう中に書き込むべき内容ではないとは思いますが、恐らく次のプログラムを考えるときは、やはり10年前は旧帝大を中心とした拠点でやるという、世界に類を見ない形で始めざるを得なかったのだろうと思いますから、そういうところからきちんと考え直して、今の形ではなくて、今後どうするのかということなのです。
 形が崩せないのだったら、機能をかなり研ぎ澄ませていくのかとか、いろいろなことを考えていかないといけないということで。特に2.2にある海外の橋渡し研究の状況が出ているだけに、日本の場合が良い形なのか特異な形なのかは分かりませんけれども、この席以外の見る人が見れば、この日本の形の違いというのは、すぐに気が付くと思いますから、そこのところを全然踏み込んでいないといいますか、議論していない気がいたします。これまでに多くのメリットも出ているわけですから、そういうところをベースにして、良いところ、しかしまだ足りないところ、あるいは難しいところを明確にして書かれるのも1つの書き方ではないかなという気がいたしました。ちょっと申し上げ過ぎたかとは思いますけれども。
【金倉主査】  どうぞ。
【池野委員】  すみません。またお金の話に戻って良いですか。この前、日本の某企業の人に、スタンフォード大学の、僕がみんなで作ったセンターに寄附金を入れてくれと言ったら、寄附金だと、まず社内稟議が通らないと。もっと言うと税金が掛かってしまうと。僕がそれでびっくりしたのは、アメリカは税金ディダクション、オーケーなのですよね。だから12月にみんな個人が寄附を大量にする文化で、スタンフォードだったら、もう普通に億、当たり前に毎年こうやって寄附金が入ってくるわけですけど。だからここでノー・リストリクテッド・ドネーションを日本の各施設が募るといったときに、制度上結構難しいのではないかなと。企業にとって余り得することが、これは税金がディダクションできて、いわゆる税金控除につながるのだったら、これは1つインセンティブになるだろうし、それがないのであれば、ちょっときついかなという感じがしたのですけど。日本でね、寄附文化でもないというのもそもそもあるのですけど。
【岩﨑PD】  もうおっしゃるとおりです。企業の方がしたくても、できないというわけではないけれども、するにはかなりの覚悟が必要という。
【澤田委員】  今、寄附を非常にし難くなっているのは、寄附先とはCOIの関係もあり、共同研究もし辛くなってしまっているので、共同研究したいところにはむしろ寄附できない。そういう矛盾が起きてきますね。
【岩﨑PD】  先ほど課長がおっしゃったように、基金を作るというのは日本の場合は非常に環境的に難しいのですよね。本当に個人の善意による寄附みたいなところでやらなければいけないとなると、やはり結局は同窓会がどのぐらい力を持っているか。例えば慶應とか、そういうところは強いのですよ。だから、やはり国立大学系のところは、なかなか集められない。ほとんどの大学は持っていると思います。教育の基金とかということで、それこそ卒業生から集めて。ただ、残念ながら微々たるもので、こういう研究に資するような、研究を支援できるような額のプールを持っているというところは残念ながらないのではないかというのが事実だろうと思うのですね。
 今、菊地先生がおっしゃったようなところも含めて、この事業を可能とする仕組みというのを、やはりこの中間報告の、特に将来の方向性を示すというときには、是非そういうところも入れていただかないと。それは今できないかもしれないけれど、こういう方法があるということでもいいかもしれませんけれども。そういうことで財政的な基盤をちゃんと作りながら事業をやるというようなたてつけにしないと、結局昔と同じなのです。竹やりで頑張れみたいな精神論になってしまうのですね。これだけ非常に必要で、拠点というものが頑張らなければいけないというようなところにどうしても落ち込んでしまう。やはり世界を競争相手にしていい事業をするのであれば、それなりの経費が掛かって、それをちゃんと補塡する仕組みを持たないと、本当に続かなくなってしまうのではないかという気がします。
【金倉主査】  どうぞ。
【髙橋委員】  もう問題点は明らかになってきていると思うので、ではどこで何ができるかということですよね。それは、それこそ今の拠点から、現実的な、具体的な悩みを聞いて、どういうことができるか可能性を聞いて、その情報をまず集めることから入らないと駄目ではないですか。それを聞いて、またいろいろな知恵を出し合うというか、そういう形に。
【金倉主査】  いろいろヒアリングはしていただいているので、今後の方策としても考えていただいているようなので、それは私個人的には楽観的にいます。ただ、順天堂みたいなシステムが日本にとって良いかどうかというのはなかなか難しい問題です。やはり日本にとって最も重要なのはシーズ開発だと思うのですね。何といってもクオリティーの高いシーズを開発するシステムを作っていく。これがないと将来はないので。短期的な応用研究あるいは知見があっても、それは必ずしも良い実りにはならないので。やはり種が最も重要なので、それを作るような体制を日本としては築いていただくというのが今後、長期的には基本じゃないかなと、私、個人的に思うのです。そのためにはやはり橋渡し拠点は絶対必要だと。できるだけシーズをいろんなところからとってくるような拠点が何個かは絶対に必要なので、それを築いていくということと、やはりお金をとっていただく。
 あるいは研究としても、シーズAの研究はできたら多くとっていただきたいし、シーズCになれば本当に実りのあるものだけにしてほしいというのが私の個人的な希望です。それについては今後の議論だと思うのですが。それから研究費としては、先ほど言われたように、研究費の中に何らかの、橋渡し研究に使っていただけるようなお金にしていただくと。それはもうファンディングのときに、そういうお金であるということを記載していただく以外に手がないのではないかと思うのですが。
【髙橋委員】  むしろ、こういう委員会で、もっとお金が必要だという声ががーっと上がると、財務省からもうちょっとこっちにお金が落ちてきたりするのですか。それだったら、僕ら、がんがん言います。
【金倉主査】  具体的なことはここではなかなか言えないですが、厚労省とか、やはり幅広い、何層にもわたる支援が必要だと思うのですね。だから、文科省だけでの支援ではなくて、いろんな、多層性な支援を得て橋渡しの研究を進めていくということが重要な問題ではないかなと思っているのですけど。それは今後、厚労省と文科省が連携してやっていただくことも必要だと思うのですが。
【菊地AMED課題評価委員長】  今の委員長の発言が正に一番的を射ているというか、私はさきほど順天堂大学の話を出しましたけど、10年前に総合大学を足場に、1つの国の中でありながら10か所の拠点を作ったという、これはやはり日本ならではの、独特の戦略で始めたという考えで良いと思うのです。やはり大学そのもののポテンシャルを強くするという面も、この拠点事業を通して実は暗黙に内在しているわけですから、そこら辺の意義とか効果ももっと高らかに謳って良いのではないかと思うのです。どちらかというと、拠点から出てきたシーズAやシーズB、シーズCみたいな、見える形での評価に目が行きがちなのですが、この10年間、各大学のいろんな意味でのポテンシャルを上げてきたというところは、本当に物すごく大きな意義があって、だからこそそういう面もきちんと強調しながら継続をすべきと。それから当然、他省との連携、厚労省の中核病院とも期せずして連携して、今もう始まっているわけですよね。
 ですから、国全体としての10年前の方針というのは実は間違っていなかったというぐらいの大きなことを言ったら良いのではないかと思うのです。なおかつ、こういう事実上の問題がありますということを明記すると、いろんな方、見る方がそれをよく理解していただけるのかなと思いましたので、追加でコメントさせていただきました。
【仙波課長】  ありがとうございます。評価委員長からそう言っていただけると重みが違うのですけど、そういう意味では、4.1の意義みたいなところが、この事業でやってきたことによる意義でありというふうな部分を少し追記させていただくのかなという気がしております。
 また、6ページ、7ページで言われていた各国の状況と日本が違うのではないかという点については、NIHも、それからドイツのフラウンホーファーの方も、基本的には彼ら自身がシーズを扱うというよりも、大学などと協力しながらシーズを出していくので、この機能がNIH側にあるのか、AMEDはAMEDの中ではなくて、AMEDから補助金として大学に出して、大学の中に育成していただくのかというふうな観点の違いではないかという気がしております。どこまで内製化しているかの違いかなと。フラウンホーファーについても、フラウンホーファー協会自身の中でやっている部分と、外の大学のシーズを扱う部分があるので、そういった意味では日本のやり方も、いいとこ取りなのか悪いとこ取りなのか分からないですけれども、そういう部分は、似通っているところはあると思いながらやってきたつもりでございます。ですので、そういったところも含めて、少し海外の状況と比較した部分も追記させていただくのかなという気がしております。ありがとうございます。
【金倉主査】  他にいかがでしょうか。これでよろしいですか。
 楠岡先生、何かございますか。
【楠岡PS】  もっと先の方でいろいろ。
【金倉主査】  先の方でいろいろ。ありがとうございます。
 それでは、時間的には、議論は尽きないところでございますが、本日の議論を踏まえまして事務局で修正案を作っていただきまして……。
【楠岡PS】  体制のところの話だけかと思っていたので発言しなかったのですけど、後ろの方でマッチングファンドを必須化するという、シーズCにおいてマッチングファンドを必須化するという案が書かれています。現状、臨床研究中核にしろシーズCにしろ、やはり企業としては、実は前臨床から絡んではいるのですが、表へ出てくるためにはやはり臨床的POCがないと社内で通らないというようなこともあって、どうしてもシーズCでも2相あたりまで、特に2相後期ぐらいまでは表立っては出てこないというのが現状です。その程度の出資であれば、社内でもある程度のレベルの決裁でお金がもらえるというので来ているわけですけれども、今後、もしマッチングファンドを必須とするとか、企業連携をシーズCの初期からとなると、逆に企業の方が、今のような、ちょっと隠れながら支援することができなくなってしまって、むしろ問題になるのではないか。だから連携を進めるのは当然ですけれども、それを必須条件化するというのはまだ難しいのではないかというので、意見を言わせてもらおうと思っていたところです。
【金倉主査】  分かりました。ありがとうございます。すみません、私も人材育成とかを議論するのを忘れておりまして、時間的にはまだございますので、いかがでしょう。人材育成とかのところで。
【楠岡PS】  マッチングファンドは会社の上層の判断が要りますし、ですからそうすると、例えば部門長決裁で済む形で今まで実はサポートしていて、臨床的POCがとれた段階で会社として提携するという現実的なサポートが難しくなるのを危惧するところです。
【金倉主査】  いかがですか。
【砂専門官】  ちょっと戻りますが、拠点のところで、今のところまだ余り議論が出ていないような規模とか認定について、何か委員の先生から御意見いただければと思うのですが、何かございますでしょうか。
【仙波課長】  その間に、マッチングファンドについては確かに、おっしゃるとおり難しいのかもしれませんが、企業との関わりというのがやはり深まってもらわないといけないので、何らかの形で企業の関与というのをうまく、外形的に見えるような形に、シーズCぐらいからはできればいいなという思いはあります。そのあたりの度合いをどうするかということで、ここでも「連携を組み入れることやマッチングファンドの形をとることなど」というのを24ページの方に書かせていただいたのですが。
【楠岡PS】  現実的に企業の方は絡んでいるのですが、申請書には、実際はそういうのが一切出てこないという、その会社の問題もあって。
【仙波課長】  そうなってくると我々もちょっと不安になるので。
【楠岡PS】  ところが何かトラブルがあって、AMEDの方に来ていただいてお話しすると、研究主任者以外に企業の方がぞろぞろと来られていて、おたくがやっておられるのですねと分かるような現実もあります。そのあたり企業としてもまだ表には出られないけれども、かなり興味を示しているというような、ちょっとグレーゾーン的な取扱いは考えておかないと、なかなかシステムとして難しくなってしまうのではないかというところが、ちょっと。
【稲垣PO】  恐らくそこは企業として難しいところかと思います。ただ、最終的にシーズCまで行ってそのまま申請に進めようとしたときに、どこも企業が引き取ってくれず申請できなくなるというのは公的な研究費を使った事業としては望ましくないのは確かなので、そこのところははっきりさせた方が良い。その意味で、企業の関与を求める記載があっても良いかと思うのですが、ただ、マッチングファンドというように企業の関わり方を最初から限定されてしまうと、なかなか企業側としては連携に踏み込むのが厳しいかなとも感じます。一緒になってアカデミアの開発研究に伴走するぐらいの軽い関係から連携を始められるような記載の方が有り難いのかなと思うのですが。
【仙波課長】  名前が出ないような形というのはいろいろな方策があるような気はしますので、申請書に書くが、公表資料の中には入ってこないような書き方ができれば。そういう書き方であれば書けるという話があるのでしたら、そこも含めてちょっと相談していければと思います。
【岩﨑PD】  水を差すようなことで申し訳ないのですけど、私も、シーズCだったらば企業がいろいろな形で伴走して、Cでいい結果が出たら、その後は実用化に向かって頑張っていただきたいというのが多い。やはり医師主導治験をやっても宙ぶらりんになってしまって、その後出口がなくなってしまうという、残念ながらそういう例もあるので、それを何とかしたいと思うのです。果たしてそこの段階で企業が、伴走でも良いから付いていただけるのかどうなのか。先ほどちょっと五十嵐先生からありましたように、例えば小児とか、それから非常にレアなディジーズとか。ただ世界的に見ると、今、レアディジーズ、オーファンというのがもう4割、5割を占めるような、FDAの承認とかを見ると。そこでそのビジネスのプランをどうやって立てるかというところは、研究者とはまた違う。先ほど池野先生もおっしゃったように、研究者がどういうような将来像を描いて伴走者を見付けるかというようなところの、一種のトレーニングといいますか、そういう面の人材も養成しないと、単に、これはアンメット・メディカル・ニーズが高いのでやりますよというだけでは、企業の方はなかなか伴走までは、難しいところが。そうすると、そういうところが日本だとポシャってしまう可能性もある。
 こういう事業でそういうところも総合的に勘案しながら、人材育成とか、最終的な、ビジネスプランと言って良いのかどうなのか。持っているシーズのポテンシャルをどのように見える化していくかというところのトレーニングも必要なのではないかなというところもありますので、単に伴走しなければいけないということになってしまうと、通常の企業の方だとなかなか難しくなってしまうのではないかという懸念があるのですね。だからそこら辺もうまく、人材育成とか、そういうところと絡み合わせながら作っていただけると、方向性が出るのではないかなと。
【稲垣PO】  シーズのビジネス上のポテンシャルも考慮できる人材育成とまで言っていただけるならば、それは有り難いです。
【金倉主査】  それから、認定制度については。
 どうぞ。
【永井PO】  認定制度は、基本的には趣旨に賛成で、良いと思うのですが、ちょっと気になる記載があります。バーの2つ目なのですが、開発段階に応じて、Aとして認定する拠点、Bとして認定する、Cとして認定する、これはやはり法人としての自立性というものがあるので、ばらばらにそれぞれを、おたくはAです、おたくはBですという、そういうふうに読めてしまうのですが、ちょっと記載の意味がよく分からない。
【砂専門官】  これの背景にありますのが、例えば基礎研究、応用研究寄りに強い拠点があるという可能性もありますし、どちらかというと実用化、レイトフェーズで強いところが想定されるというのが背景にありまして、こういう記載ぶりになっているのですが、先生はこういうのは難しいという。
【永井PO】  開発というのはやはり連続的なものなので、ちょっと難しいのではないかという気がします。
【澤田委員】  多分、フェーズよりは分野であるとか疾患領域の方で特徴が出てくるような気がします。あるいは薬剤か機器かとか。
【稲垣PO】  多分ここは、認定制度の役割というか使い方のところで、支援を受けたい人たちでも、過去に支援を受けた経験があり支援内容がよく判っている人は良いのですが、初めてどこかで支援を受けたいなと思ったとき、どこに行けば望むような支援が受けられるか?というところが分かるような形での認定制度になっているといいなと思います。シーズA、B、Cという言い方だと部外者には何のことか分かりませんが、先ほどおっしゃったように基礎研究と応用研究、または疾患領域とか、あるいはこの段階のこの種のモダリティーは強いですとかいうのが外から分かるような認定だと、その認定制度が意味ある情報提供の形となり、また認定された部分を強みとしてその拠点も育つような好循環が期待できるのかなと思うので、単にステージ、A、B、Cというのはちょっとどうなのかなという気がします。
【岩﨑PD】  どうなのですかね、認定制度。要するにお墨付きをもらうことによってのインセンティブがないと、逆に、では医療機器の認定は、やらなければいけないような話になってしまうと、さっきの話で、人もお金も掛かると。お金が入ってこないと。やらなければいけない、そうじゃないと認定ではなくなってしまうというような。そういうふうになってしまうと、橋渡し研究事業そのものの将来的な方向性から見ると、認定なんか要らないと、とんでもないと。
【永井PO】  一応、先生、インセンティブの付与の方策について。
【岩﨑PD】  だからそれは、認定施設でないと応募できないとかというようなことでやるとしても、保証という、認定制度、認定施設ということになると、先ほど言ったように期待もあるわけです。あそこに行ったらこういう支援を受けられるに違いない、してくれなきゃ困るじゃないかというような、研究者からはそういうふうに見られると思うのです。それに応えるだけのポテンシャルを持っていればもちろん良いのです。やはり他の大学と違いますよと。いろいろ研究大学だ何だかんだの差別化の一環でやるのであれば、それは構わないのですけど。ただ通常、その認定制度、臨床研究中核にしても、なかなかそこら辺は難しいところ。というか、あそこはまだそういうところの、臨床研究をちゃんとここでやっていただきたいというたてつけがあるけれども、橋渡し研究拠点というと、先ほど来あるように、橋渡し研究って何ですかというところが非常に不明確なので。じゃあ臨床をそこでやっていただけるのですかとか、創薬のターゲットをここで見付けたけど、それをちゃんとやってくれるのですかとか、とんでもないリクエストが来てしまう。橋渡し研究の認定というのは、私は基本的に、非常に難しいのではないかと思うのですね。
【金倉主査】  どうでしょう。
【楠岡PS】  私自身の読み方が浅かったかもしれないのですけれども、拠点の基盤整備費はなくなるけれども、拠点の認定に対して、今のA、B、Cの研究費制度は残っていて、拠点でないと、このA、B、Cの申請は出せない。要するに拠点を通じて、今、Aは拠点が直接支援していますし、B、Cは拠点を通じてしか出せないという形の、その制度は残るという前提で、その認定と思っていたわけです。そこの中では、先ほど中西先生がおっしゃっていたように、推薦した拠点は当然マージンを取る。要するに後の支援を引き受けて、ただ、自分のところで人手が足りなければ他に出すかもしれないけれども、そこはその拠点なりが相手との話合いの中で分配を決めるというような、そういう意味で拠点にも一定のお金が入る、そういう制度としての認定と思っていたのですけれども。
【金倉主査】  多分そうだと思います。ただ、要するに、代弁すると良くないのですが、本当は集約せざるを得ないだろうと。今ある数だけの拠点に大きなお金を落とすのはなかなか難しかろうと。そうすると、やはり多少は集約化して、機能分化せざるを得ないということになってくるのですけど、今まで頑張ってきたところがそれで良いのですかということもあって、規模は、残すけどお金は落ちてこない、良いものが発掘できなければ落ちてこないと、そういう意味合いでの認定制度という。
【仙波課長】  そうですね。18ページの規模というのが、10をそのまま残して良いのですかというのと、20ページの認定というのが、多分、10そのまま全部でなければ、認定する数というのは10よりも小さくなるのではないでしょうかという話になるのだと思っていますので、主査がまとめていただいたとおりです。
【楠岡PS】  自立化のところも実は今まで、サイトビジットで自立化に関して収支的なものを出していただいているのですけれども、ダブル拠点の場合はどっちの収入か支出かよく分からないようなところがある。それからもう一つが、出していただいている表が、PLでもなければキャッシュフローでもない、BSでもないという、非常に訳の分からないものが出ていて、実際上は、例えばダブル拠点だと、病院の直接雇用の人をそこに張り付けているということで、実質上、実は病院の中で2億か3億ぐらいお金が動いているのですけれども、それが見えたり見えなかったりします。ですから今自立していると言っているところも、本当にTRの拠点として自立できるかどうか。単独拠点は別ですけれども、ダブル拠点の場合はそこのところがどうなるかなかなか難しいところがあるのと、それと、その拠点を、TRと中核をもし大学の方針として分けるという話になると、極めて難しい問題が出てくるかもしれない。逆に病院の中に置いておいて、そこは混然一体という話もあるかもしれませんが、そうするとちょっと病院機能に相入れない部分もあるので、結局ここのところをどうするかというのは、かなり各大学で知恵を絞っていただかないと難しいというか、ある程度方向性が出たら、2年間にどうするかいろいろ考えていただかないと、制度論として結構難しいところが出てくるのではないかという気はいたします。
【金倉主査】  確かに、おっしゃるように、臨床中核と連携しないと成り立たないというシステムになっていきますので、そこの施設に多分、大体集約されてくるということになる。若しくは何大学かで1つのユニットとして動くということでないと、なかなか難しいということになるのではないかなと思います。
【仙波課長】  正に臨床中核病院だけでなく、いろいろな形で、今日もちょっと議論が出ていましたけれども、産学連携本部だとか、それからオープンイノベーション拠点だとか、大学の中の様々な組織と一部を共有しながら、一部が独立しながら、それをこの認定の中では、どの機能をどこに、言い方は悪いですけど、寄生をしているかというので、大学の中、病院の中のどの部分かを共有しながら、その機能を持っていただければ、橋渡し、TR拠点として、認定という言い方がよいのかどうかは別として、認定しても良いのではないかという気がしています。
 ただ、何かに寄生――寄生という言い方もちょっと悪いかもしれませんが、何かと一緒になってその機能が大学に残るという形に我々もどんどんしていければと思うので、こういう、認定ではなくても良いのですが、何らかの、あなた方がやってきたことはちゃんと根付いていますよというふうな評価はしてあげたいと考えています。それは少し、書きぶりも含めて相談をするのと、その認定がフェーズではなくて機能であるというのは、ちょっと修正をしながらやっていければというふうに思っています。
【岩﨑PD】  こういう話の中で、文科省が橋渡し研究拠点を作る、厚労省が臨中の拠点病院を作る、AMEDの設立の目的はどこへ行っちゃったのだという、一方では懸念もあるのですよ。やはり省庁の色が強く出るようなことでこの事業を分けることは余りよろしくないのではないかなと。そういうもので革新事業創出拠点みたいな名前であれば、そういうものを包含したような名前で、その中で臨中の機能もその中に一部入るようなところで、もうちょっと。せっかくAMEDを作って、一気通貫に行わなければいけない、こういう事業はそれこそそうでないと世界に伍していけないという観点からすると、そういう分断的な、認定というか承認というか、そういうステータスを与えるというよりは、もうちょっと、やはりここで元々のAMEDの設立に戻って、この事業はどうあるべきかというところからスタートさせていただいて、そういうところで、じゃあどういう制度を作るかというところを是非ディスカッションしていただかないと。私は、5年が経って、AMEDが何となくまたばらばらになってきているのではないかという懸念が非常に強いのです。だから、是非そういうころも勘案していただければ有り難いなというふうに思います。
【金倉主査】  貴重な意見ありがとうございます。ちょっと、まとまるというか、まだまだ今後の展望を議論する必要が多いということが出されたような最後になってしまいましたが、一応、中間評価ということですので、今後のことはもう少し改めたことで考えていくことが必要だということは皆さんの意見からよく分かりました。そのようなことを多分ライフサイエンス課としても考えていただけるのではないかと、次のステップとしてどういう方向でやればいいのかということはお考えになっていただけることだと思うのですが。一応、本日は時間になりましたので、8月7日のライフサイエンス委員会に報告しないといけませんので、その文章についてはメール審議でもう1回、皆さんにお送りいたしますので、そこでまたもう1回御意見を頂いて、もう8月7日と限られていますので、あとは事務局等にお任せいただければというふうに思います。よろしいでしょうか――はい。
 それでは、事務局から今後のことをお願いします。
【砂専門官】  本日は長時間にわたりまして大変有益な御議論いただきまして、また、多忙なところ5回にわたり本委員会に御参加いただきまして、まことにありがとうございました。事務局よりお礼申し上げます。
 本日の資料につきましては、会議終了後、ホームページに掲載いたします。また、本日の議事録につきましても、事務局にて案を作成いたしまして、委員の皆様にお諮りして、主査の確認を得た後にホームページで公開いたします。
 8月7日のライフサイエンス委員会にて報告いたします中間評価票の素案、及び橋渡し研究総合戦略につきましては、本日の御意見を踏まえまして事務局にて修正案を作成し、メール審議を行った上で、主査預かりで確定させていただくことでお願いできればと思います。短時間で御確認いただくことになって申し訳ございませんが、委員の皆様におかれましては何とぞよろしくお願い申し上げます。
【金倉主査】  ありがとうございました。それでは、中間評価委員会はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――

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