特定高速電子計算機施設(スーパーコンピュータ「京」)に係る評価委員会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成28年2月26日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.出席者

委員

(委員)
髙井主査,伊藤委員,工藤委員,田中委員,辻委員,西島委員,福山委員,藤井委員,山田委員,横山委員,吉田委員
(説明者)
理化学研究所 平尾機構長,庄司運用部門長,門田企画部長,足立戦略企画課長
高度情報科学技術研究機構(RIST) 関理事長,平山センター長,木村計画推進室長,塩原産業利用推進室長

文部科学省

小松研究振興局長,生川審議官,榎本参事官,工藤計算科学技術推進室長,阿部参事官補佐

4.議事要旨

・研究振興局長より委員会開催に対する御礼の挨拶
(1)委員会の設置趣旨・運営等について
・事務局より資料1-1,1-2に基づき説明。
(2)「京」の運営及びHPCI戦略プログラムの概要について
・事務局より資料2-1,2-2に基づき説明。質疑応答は以下の通り。

【西島委員】  資料2-1のところで、「京」における産業利用の状況について、14ページのところで、今、30%というのは多分、戦略プログラムの中の10%と産業枠10%を合わせて30であって、一般利用・産業枠のところ15%増やそうという形なんですけれども、新しいポスト「京」の研究開発の40%の中での企業参画をどの程度見込んでいるんでしょう。先のことですけれども。つまり、トータルとして、産業利用枠の30が結果的にはどのぐらいになるというふうに見てるんでしょうか。
【工藤計算科学技術推進室長】  その点につきましては、これまでの戦略プログラムで参画されていた企業と大体同程度の割合の方が次のポスト「京」の研究開発の中にも見込まれます。
【西島委員】  そういうふうに見てよろしいんですよね。
【工藤計算科学技術推進室長】  はい、参加していただくことになると思います。
【西島委員】  ということは、産業枠が10%から15%増えたということが、全体が5%増えているというような印象になっていてよろしいんですね。
【工藤計算科学技術推進室長】  それは大丈夫です。
(3)前回の評価等の概要について
・事務局より資料3に基づき説明。
(4)評価の項目及び視点等について
・事務局より資料4に基づき説明。質疑応答は以下の通り。
【西島委員】  ちょっと確認ですけれども、中間評価の「京」の運営というところに、運用と利用促進が入っているわけですね。
【工藤計算科学技術推進室長】  そのとおりです。
【西島委員】  そうすると、ここの課題の進捗とか各観点というものは、当然、運用と利用促進では項目は違ってくるということで捉えていいんですか。それとも、同じような項目?
【工藤計算科学技術推進室長】  それ自体は、あくまでも運用の状態を指しておりますので、課題のものは課題のものとして別途御評価いただくという形になります。
【髙井主査】  ほかに御質問。
はい、どうぞ。
【辻委員】  資料3の方で、これまでの評価における指摘事項ということで御説明いただいているわけなんですけれども、この指摘事項に対する、どこまで振り返りができているか、どこまで是正ができているかみたいなことも含めて、今回の評価の中に含まれると考えてよろしいんでしょうか。
【工藤計算科学技術推進室長】  資料5-6ですけれども、多少これから実施機関の方からの説明を先取りしておりますが、それぞれこれまでの指摘事項につきましても、実施機関の方でこのように対応したというのを作成していただいております。この辺を御評価いただければ、まさにこれまでの指摘事項と全体の運営という面を合わせた形で御評価いただけるものと考えております。
【辻委員】  承知いたしました。ありがとうございます。
【髙井主査】  ほかはよろしいでしょうか。
【吉田委員】  よろしいですか。
【髙井主査】  はい、どうぞ。
【吉田委員】  ただいま説明していただいた評価の視点なんですけれども、入っているといえば入っているんですが、私は今まで行政レビュー側で指摘する側だったんですが、まず1つ、ずっと気になっていたのは、我々ビジネスからすると、1つの評価視点は利用者・顧客の満足度なんですね。だから、研究者側、利用者側が一体これまでの運用に関してどう問題意識を持っていて、改善点を意識しているのかと、この辺をもう少し具体的に出してもらわないと、こういうきれいな言葉だけでやられてしまうと多分評価できないだろうと。だから、利用者満足度、それは技術的にも運用的にも両面もう少し具体的に評価の視点として入れていただきたいなというのが1点です。
それから、2点目は、もう1つの通常プロジェクトや事業開発の評価の視点に、投下資本当たり効率というもの、これは収益がないので、投下資本に対しての効果・効率が当然必要になるんですが、これも以前から指摘していますように、もう少し定量的に。定量的にというのは、成果のほうではなくて、この2年ぐらいの運用の中で皆さんが工夫されて、例えばこの経費はこういうふうに減ったとか、この利用度がこういうふうに上がったとか、利用の簡易性が上がったとか、そういった部分を、余り構えないで、具体的にこういう努力をしてきたんだというのを定量的に出していただければ、この前の秋の行政レビューのような宙に浮いたような議論に終わらないとは思うんです。だから、もう少し定量的なものを、しかも自らやってきた努力の効果を出していただきたい。そういう評価視点を特に(3)のマル1のところには入れていただきたいと思います。
もう1つ、先ほどから説明を聞いていていつも思うんですが、全て機密性ということを強調されているのだろうとは思うんですが、成果に関する定量性が出てこない。例えば非常に気になったのは、先ほど御質問ありましたけれども、一般と企業用の利用枠を今回変えましたよね。それはなぜ変えたのかというのが、こうしたいからとは書いてあるんですが、現状はこういう応募があって、応え切れてないからこう変えるんだとか、要するに、現状の状況を数的に把握して、その上で、だからこそこういうふうに改善していくんだという説明が欲しいんです。それは読んでいてもどこにもないので、できれば、今回改善されたと今まで説明の中で幾つか出ていましたね。それに関しては、現状若しくは従前が定量的にこうだったので、これに対してこういう改善を施したといったような説明をしていただければ、非常に評価しやすいんではないかと思います。以上です。
【髙井主査】  どうもありがとうございます。後半のところは、多分議題5の方で各実施機関の方から運営状況について詳細にプレゼンテーション、説明がありますので、その中で明らかになる点もあろうかと思います。
前半の評価のポイントについてですけれども、利用者目線という観点と、それから、もう1つ、頑張り具合をいかに定量的に見せるかということですね。確かに非常に重要な論点かなと思います。別添1の評価項目の中でこれを拾い上げるようなことができるかどうか、検討の余地ありかなと思います。
【工藤計算科学技術推進室長】  頂いた御意見につきましては、評価の視点の中にこめて直させていただくというのはまず第1にございます。第2に、利用者の声につきましては、次回以降、今現状で利用していただいている研究者、それから、企業の声を一応集めたものを今依頼しているところでございますので、そこをまた集めたものを御紹介できるのではないかと考えております。
また、後段頂きました、経理的効果がどういうふうに具体的に上がったのかということや、産業利用枠を現状どう変えたが、どういうことを狙った変更なのだということにつきましても、この後の議題の中でエビデンスというか、実際の利用状況を出させていただきまして、またそこで御意見ございましたら。そこは宿題事項になって、次回にお答えする形になってございますので、そのようにさせていただければと考えております。
【髙井主査】  ほかに御意見。
どうぞ。
【藤井委員】  吉田委員の言われた最初の点とも関係するんですが、研究者の満足度みたいなところになるかもしれませんが、成果報告とか、それから、論文リストとか、割と頻繁に、大きなプロジェクトですからある程度評価されるのは当然だと思うんですけれども、その辺がどのぐらいの頻度でどんな感じで報告を各研究者が出さなければいけなかったかというデータを出していただくと、研究者がそういうことの負担がどのぐらいあったのか、それをこれから軽減化できるのかという議論ができると思うので、そこは議論対象と思ってよろしいですか。これ、工藤さんにお聞きしているわけですけれども。
【工藤計算科学技術推進室長】  事業の中のある種の成果がどのようになっていて、その成果がどういう形で出ているか評価する中にはあるんですけれども、ただ、実際の研究者が報告しなければいけない義務がどれだけかかった、ワークロードがあったのでどうであったかということそのもの自体は評価対象かというと、若干違うんではないかなと考えます。それをどれだけ我々が求めたか、リポートを求めたかというのはお示しすることは可能だとは思います。
【藤井委員】  例えば今後のポスト「京」を運営していく際に、やっぱり研究者の負担をできるだけ減らして効率的にやるという視点はあると思うので、評価対象ではないかもしれませんが、将来に残す点としてはあっていいと思うんですが、いかがですかね、ここは。
【髙井主査】  確かに利用者の負担を軽減するための実施機関としての努力というか、利用支援といいましょうか、そういう尺度はあってもよろしいかなと思います。
【藤井委員】  例えば同様なリクワイアメントが何度も出てきているとかそういうことがあったら、それは余りいいことではないので。
【髙井主査】  そうですね。
【藤井委員】  余り負担のない範囲で情報を集めていただければと思います。
【髙井主査】  ほかに何か御質問、御意見ございますか。よろしいですか。
(5)「京」の運営について
・理化学研究所・RISTより資料5-1,5-2,5-3,5-4,5-5,5-6に基づき説明。質疑応答は以下の通り。

【西島委員】  まず、RISTの話を聞く機会がなかなかなかったので、大変新鮮に。確認なんですけれども、11ページ、12ページのところで有償利用という言葉が出ていたんですけれども、この有償利用は、すなわち、成果非公開というふうに捉えてよろしいんですか。それとも、有償利用の中には、成果非公開でないものと2種類あるんですか。どうなんでしょう。
【平山センター長】  産業利用の有償利用は成果非公開でございます。それ以外に、一般利用課題の中で、競争的資金等獲得課題枠を新たに設けておりますが、これは有償ではございますが、成果公開と。いわゆる計算機を使う……。
【西島委員】  金額が違うわけですよね、多分ね。産業の有償利用、これ、あんまり言うと、僕が産業界なので自分の首を絞めるようになってしまうので気を付けなければいけないんですけれども、そうすると、今後多分産業利用の有償利用が増えてくる傾向にあるということは、成果が非公開のものが増えてくるというふうに捉えることができますよね。先ほどの成果の公表と普及という中で、利用報告書なんですけれども、産業界の有償利用で成果非公開というものの、その利用報告書というのはどういう形になっているんでしょう。
【平山センター長】  利用報告書は、利用した方全てが書いていただくという形になっております。したがいまして、成果非公開の方も書いていただくわけですが、それは公表すべき内容としては極めて限定的なものとなっております。
【西島委員】  多分SPring-8のときのJASRIと同じだと思うんです。
【平山センター長】  はい。
【西島委員】  それでも、そこの部分にどういう会社が使ったという名前は出るんですよね。一応、会社名ぐらいは。出ないんですか。出るんですか。
【平山センター長】  出ます。
【西島委員】  会社名が、何をやったかという、どの程度具体……、つまり、ダウンロードするに値するような内容が出ているのかどうかという。
【塩原産業利用推進室長】  産業利用の有償利用につきましては、利用報告書は義務付けておりますが、公開するのは、企業名、公表用の課題名、課題代表者名、配分資源量、実施期間などです。課題の中身については、我々は当然利用報告書を受け取るんですが、それは申請書の計画どおりにちゃんとやったのか、他のことをやっていないかという内容を確認するためにもらっているもので、公表はしておりません。
【西島委員】  産業界の私からすると、そういう形にすることが大変利用を促進して、大変いい制度だと思うのですが、一方、こちら側に座った立場からすると、なかなか成果というのに、便りがないのはいい便りという形で持っていくというのがなかなかその辺は難しいところかなと思うんですけれども、例えば情報通信であれば、ある会社が情報通信に役立つような演算処理をやったということが、とてもほかの会社が読んで何をやっているか分からないわけですよね。そういうものがダウンロードされるときは、ただその会社が使っているという、そういうことだけですね。
【塩原産業利用推進室長】  はい、成果非公開の利用に関してはそういうことです。ただ、産業利用の主体は実証利用、成果公開課題でして、それが「京」全体の10%、来年度は15%に拡大されます。有償利用の課題数は拡大していますが、全体としては2%という上限の目処があり、その枠は拡大しているわけではございません。
【西島委員】  一番最初に言われた、財務省の思うところは、産業界に役立っているのとか、それから、広報とか言えば言うほど、そこの部分の、お金を払ってでも使った、それは何なのかという部分が問われてくると、それはいつまでたっても、ですから、私が言うのもなかなか変な話なんですけれども、形になるということで、そこはどこか覚悟しておかなければいけないということですね。
つまり、そういうのが増えてくるのが、非常に役立つことをやって企業は本気でお金を出しているんだということを強く言わないと、片方、言われたから、じゃ、産業枠を増やしましたと。でも、成果は出てきませんということをあらかじめちゃんとインプットさせておかないと、知らない人は、産業枠が増えているのは、産業はどんなふうに使ったのかというのがどんどん公開されている、例えば役立ったとかそういうものが出てこない状況を作っているということは、僕は産業としてはそれでいいと思うんです、お金払っているんですからね。でも、そういうことをあらかじめよくインプットされた状況で進んでいただきたいなと思うだけです。
それともう1点、済みません。先ほど平尾機構長の方から、「京」しかできないという言葉だったんですけれども、ちょっと定性・定量的ではないんですけれども、「京」しかできないというときに、ほかの例えば大学のコンピュータとかそういうものだったら時間をかけてお金をつぎ込めばできるんだけど、「京」では速いのと、そもそも「京」じゃなければ歯が立たなかったと。例えば全タンパク質構造。一般に捉えている、平尾機構長が言っている「京」しかできないというのは、両方だとは思うんです。
【平山センター長】  両方。
【西島委員】  思うんですが、今、平尾機構長の中ではどちらが多いんですか。つまり、「京」の使われ方として。
【平尾機構長】  おっしゃるとおり、両方でございます。「京」しかできないときに、例えばほかのマシンでやったら1年かかるやつが例えば3日でできるとなれば「京」を使いますね。1年かかっていたら誰もやりません。それから、もう1つは、最近よく増えていますのは、ジョブそのものはそんなに大きくないんですけれども、例えばそれをアンサンブルのようにたくさんジョブを流して、たくさんのパラメータを一気に決めるとか、あるいは非常に複雑な現象を扱うときに、どうしても統計平均をとらないといけない。そのときに、そういうアンサンブル計算をやってより正確な対応をとる。これは「京」があってこそ実は威力を発揮するものですね。
【西島委員】  そうですね。さっき言った、「京」を使いたいというユーザーに対して、教育しながら、大学でできるのものと「京」と振り分けるという、まさにそこの線引きをやっているという、そういう考え方でよろしいんですね。
【平尾機構長】  そうですね、はい。
【福山委員】  幾つかあるんですけれども、SPring-8とかJ-PARC、いろいろ理解しているつもりですけれども、この「京」は随分違うところがあるんじゃないかという、そういう観点から理解したいんですけれども、これだけ大きな施設で大きな経費を使っている施設の存在意義というのは、いい研究成果が出て何ぼ、結局それに尽きる研究施設である。そのときに、研究というのはどこからいいものが出てくるか分からない。それを絶えずウォッチして、その可能性を用意するという、そういうボトムアップの広いところを目配りすることと同時に、並行して、重点的なテーマをピックアップして、それにフォーカシングするという、その戦略性、両方必要だと思うんです。
その観点で今、西島さんが話された産業利用のことと、それから、オリジナルな研究成果の問題、これに関しては具体的に後でお聞きしたいんですけれども、そういう研究活動を推進する仕組みとしてのこの3つの関係がよく分からない。まずHPCIコンソーシアムはもちろん「京」プラスほかの日本の研究資源が全部入っている。そこには、研究資源を持っている組織とユーザーコミュニティが一緒のものなんですか。つまり、ボトムアップの意見のあらゆる側面のコメント、要求が表明される場はコンソーシアムなんですか。
【平尾機構長】  コンソーシアムですね。
【福山委員】  そう考えていいですか。ここが全てですね。
【平尾機構長】  はい。
【福山委員】  そうすると、そこにもちろんインダストリーの企業連合みたいなものも入っていると。そのときに、まず登録機関、課題選定のプロセスは、コンソーシアムとどういう関係になっているんですか。
【平山センター長】  課題選定そのものは、当初の立ち上がりのフェーズで申し上げますと、いろいろな選定の基準、そういったものはコンソーシアムの方から提示されたと。これはHPCI……。
【福山委員】  選定委員はコンソーシアムが選ばれる? 選定委員。
【平山センター長】  いや、違います。選定委員は一切入っておりません。
【福山委員】  いや、選定委員の選定は。どなたが選定委員になられるかを決めるのはどういう母体なんですか。
【平山センター長】  それはRISTが関係方面と……。
【福山委員】  それはRISTが?
【平山センター長】  決める。
【福山委員】  そことコンソーシアムとの関係は? ここの資料の7ページ目を拝見すると、ともかく連携すると書いてある。ですから、その連携の具体的な意味なんですけれども。
【平尾機構長】  コンソーシアムの方は、ユーザーのソサエティになっているわけです。それから、HPCIに資源を提供している提供機関もございます。
【福山委員】  それ、一緒ですよね。
【平尾機構長】  一緒になっています。そこが例えば我が国の計算科学、計算機科学がどうあるべきかといういろいろな意見集約をしたり、例えば「京」はこういうふうな形で使ったらいいんじゃないかというふうな意見集約をして、それは……。
【福山委員】  その中に選定作業も含まれる?
【平尾機構長】  いや、選定作業はまた全く別です。
【福山委員】  コンセプトとして。具体的な作業はもちろん別なんですが……。
【平尾機構長】  選定作業というのは、私ども理化学研究所で「京」の設置者ですが、私たちも選定作業には一切関わりません。
【福山委員】  もちろんそうだと思う。そうじゃないといけない。
【平尾機構長】  当然のことながら、公正な選定のために、第三機関が選んでいるわけですね。
【福山委員】  質問は、そういう大事な公平性を担保するために必要な委員の選定がどういうプロセスで行われるかということ。
【平尾機構長】  委員の選定は……。
【福山委員】  選定委員の委員です。
【平尾機構長】  選定委員の委員は、こちらの登録機関のほうがいろいろな方面の方々の意見を聞きながら最終的に決めているということになると思います。
【福山委員】  コンソーシアムとは具体的な関係がない?
【平尾機構長】  関係は……。
【藤井委員】  私が答えた方が。こういうメンバーが有識者としていますよというリストをRISTさんにお送りはしています。それを決めるのはRISTさんです。
【福山委員】  分かりました、責任のありかたは。
それを理解した上で今度は、それはボトムアップからの研究の題材をいかにうまくピックアップするかという、その道筋でお聞きしたんですけれども、一方、理化学研究所のAICSの立場は、元来これは設置者だから、設置者はユーザーの1人であるという、そういう側面、研究を推進する母体と同時に、マシンを絶えずいい状態に保つとかいう、設置者としてのミッションがある。それの仕事の分け方。先ほどAICSからの御説明で、研究成果いろいろたくさんあるという御紹介があった。具体的なことは別として、あの成果は、コミュニティじゃなくて、AICS独自の研究成果だとして御紹介されたんですか。
【平尾機構長】  AICSのミッションは、もちろん「京」の設置者として「京」をきちんと運用するということですが、同時に、ユーザーの方がいらっしゃいますので、その人たちが、「京」の利便性を上げるといいましょうか、そういうための基盤研究とか高度研究をやっています。先ほど言いましたように、新しいプログラムを開発したり、あるいはライブラリを整備したりということをやるわけです。それで、例えば新しいプログラムなんかを開発しますと、そうすると、それが本当に有効に働くのかどうかということで実証研究をやるわけです。それで、それは当然のことながら、世界があっと言うような成果を出したいわけですから、そういうことが「京」でできますよということを実証したいわけですから、きょう幾つか紹介したような実証研究をやっているわけです。
私たちが、研究者はもちろんいますが、この人たちが研究をするときには、RISTさんの方のいわゆる一般枠に応募をして、そして、実は外部資金を得て、科研費とかそういうものを得て、資金を得て、そして、一般枠の方に応募して、採択されればそれで応用研究をするという形になっています。
【福山委員】  分かりました。そこはきちっと分けられているんですね。
【平尾機構長】  はい。
【福山委員】  そこが気になったところの1つ。
そういう状況、さっきのボトムアップ、共用の課題の選定のプロセス、それから、今のようなマシンのメンテナンス、このメンテナンスというのはサイエンスとして極めるための学術的な先端性を持ったメンテナンス、そういう両方があったときに、全体として見たときに、この大変な施設を使って世界先端の研究をするテーマの選び方、それの推進の仕方の戦略的な研究のマネジメントはどこでどういうふうに進んでいるんですか。個別の話じゃなくて。
【平尾機構長】  これは多分文科省が答えた方がいいと思うんですが、国が戦略プログラムを設定して、こういう分野で「京」を活用するとブレークスルーがあるぞという、5つあるわけですね。
【福山委員】  そこは関与していて、そこは分かるんですけれども。
【平尾機構長】  その戦略機関が、責任機関が、こういうテーマをやるとブレークスルーがあるということをピックアップして、そして、それを実行する。
【福山委員】  それと、「京」の今の3者の関係は具体的にどういうふうになるんですか。そういう戦略が5つありますよね。あれとの組織的な関係。
【平尾機構長】  きょう、私の資料の中の2ページ目のところに、3者のHPCIコンソーシアムの……。
【工藤計算科学技術推進室長】  平尾機構長、それよりも文科省が御用意させていただいた資料2-2の4ページ、それから、5ページ、そして、6ページが戦略プログラムと、それから、「京」の運用の関係を多層的に表示したものではございますけれども。
【福山委員】  これは「京」の使った効果が出てくる重要な研究成果をマネージするのは、全てここなんですか。だけど、これはジャスト・ワンオブゼムで、これを踏まえて「京」全体で……、これで尽きてないはず、尽きてないこともある。産業利用なんて、産学連携なんて……。
【平尾機構長】  それはまた別ですね。
【福山委員】  ですよね。だけど、それまで含めてマシンをフルに活用するという、その戦略性、そういうタイプの議論は? 確かに学術的にはこの5つの作業分野、これは分かる。
【平尾機構長】  学術的には、理研と、それから、登録機関のRISTさんと、それから、5つの戦略機関がございますが、これが連携推進会議を作っておりまして、かなりの頻度でお互いに情報交換をしたり、あるいは戦略を練っております。それからもう1つは、全体の、こういうふうに「京」を活用したらいいんではないかというのは、これはユーザーの組織であるコンソーシアムがいろいろな意見を毎年のように出しています。そういうことで、一緒に議論をしながら、こういうふうな形で戦略を決めていったらいい、利用したらいいんではないかということで、実はそこで決めているということです。
【福山委員】  今の脈絡で、一般課題的なところでボトムアップ的なふうに見えるところから、場合によってはいい研究の芽があるかもしれない。それに目を付けて、それをふっと伸ばす、これは場合によっては非常に大事ですよね。例えばそういうことは、今のようなお話で結局どういうルートでどういうふうに起こる可能性があったんでしょうか。戦略性とボトムアップ。
【平山センター長】  まず若手の人材という意味での若手人材育成課題枠が別途、一般利用の内数としてですが、5%程度設けられております。ここで若手の将来性のある方の課題が採択されていくということでございます。それともう1点、一般課題の中のボトムアップ的な話でございますが、これは選定の評価を一応見直しております。以前は評価項目ごとの個別評価の合計点で選定をしておりましたが、こうしますと、特に先端的な研究というところがなかなか準備が整わないとか、そういうような個別評価で若干マイナスの点が付きますと、もうほとんど採択のめどが立たないという問題がございました。それで、改めて、総合評価の項目を別途設けまして、個別評価と総合評価それぞれを採点していただいて、そういう先端的な課題をすくい上げるという選定の方式に今現在変えております。これで見ますと……。
【福山委員】  おっしゃるのは分かるんですけれども、私もJ-PARCとかSPring-8に関与していて、そういうプロセスで本当に先端的なものが出てくる可能性は余り高くない。課題の意味がある程度分かるような、課題を整理して採択するかどうかというのとは別に、サイエンスボードのようなものはないんですか。事務的に粛々とやる、中立性・公平性を担保するという、それはきちっとやらなければいけない、この機関は。だけど、同時に……。
【平山センター長】  多分ちょっと誤解があるのかもしれませんが、少なくともトップダウンとボトムアップというの、2つございますね。トップダウンの方は、これは戦略プログラムということで回っていて……。
【福山委員】  だから、戦略性は戦略プログラムだけになっている?
【平尾機構長】  いえいえ、そうでなくて。それから、ボトムアップの方は、本当に研究者の方が、こういう課題をやってみたいと、「京」を使いたい、そうしたら、こういうブレークスルーがあるよ、あるいは「京」じゃないとどうしてもできないんですよというような形で応募されるわけです。それをきちっと専門の分野の方が審査をされて、それで、それは2段階でありまして、科研費と同じように2段階の審査をしまして、その上に、先生の言われるボードメンバーがいて、この人たちがもう少し高い見識、高いところから、この課題がいいんではないかとかそういう判断をされているということです。
【福山委員】  だけど、それが普通の課題選定と違うところがあるかどうかなんですけれども、要するに、戦略性、トップダウンで、場合によってはサポートが少なくても、ある見識のある方がこれだと言ったときにそういうものが浮かび上がるかどうか。そのときに、それを戦略性という言葉で言っているんですけれども、それが戦略のさっきの5分野のアクティビティだけに限られているのか、本当にボトムアップ的なものから絶えず出てくる可能性があって、それを受け止めて、それをエンカレッジして、場合によったら、そこをそれこそよそにないものが出せるような、そういう道筋で……。
【平尾機構長】  私はボトムアップの中にもそういう戦略性を持った課題があるというふうに思っていますが。あるはずです。
【福山委員】  あるはずなんです。だから、言っているんですけれども、それをピックアップする、組織としてピックアップする仕組みは何かという御質問なんです。枠組みとして。
【関理事長】  私の考えでは、そういうことが出る可能性を考えて、例えば若い人たちに特別な枠を与えるとか、そういう形である意味でそういう種が出てくることを期待していると。しかし、選定の仕方については、そういう意味では、若い方たちに対する選定の仕方は、先生たちのある一定の基準はありますけれども、やはり選定をされる先生、ピアレビューをされる先生たちの考え方に依存することが大きいです。ですから、どこかで見ていて、戦略的にこれは出るかもしれないという形で判断するプロセスは、我々の中には持っていません。ただし、そういうことがあるというふうに考えて、国の方もこういうところに何%かを必ず分けなさいというふうにしていますので、大きな考え方としては、そういうふうに戦略的に新しい芽を育てていこう、あるいは生み出させていこうという考えはあると思うんですけれども、今福山先生がおっしゃったような形でそれを探して拾い上げるというプロセスは我々の選定プロセスの中には基本的にありません。
【福山委員】  状況は分かりました。どうもありがとうございました。
【髙井主査】  非常に重要な論点でありますので、是非今のは次回までの宿題というような形で、戦略性とボトムアップ性のバランスをとる、それを先ほどサイエンスボードというような話もありましたけれども、どういう場でバランスを具体的に決定しているのか。具体的に言うと、資源配分ですね。資源配分はどこで決定したのか、それから、戦略プログラム、これはまた別の次回のテーマになると思いますけれども、それをどう選んだかというようなこと、そこが結構重要なポイントかと思うので、その手続的なことも含めて次回の宿題のような形になればいいと思います。
その他の何か論点、御質問ございますか。
どうぞ。
【工藤委員】  3点ほどお聞きしたいんですけれども、1つは、有償利用についてどのような価格設定をされているか、価格設定の根拠というのはどういう形になっているかということについてお聞きしたいというのが1つ。
それから、2つ目なんですけれども、無償で成果公開を義務付けられるという場合に、特に産業利用の場合に、最低限の公開内容といいますか、どこまでの公開ということが義務付けられるのかということと、その場合の知財等との関係はどのような扱いになっているかということについてお聞きしたいというのが、これが2点目でございます。
3点目は、特に産業利用に関しまして、受け入れた後のサポートが非常に手厚いということは御説明でよく分かったんですけれども、そもそもこういう産業利用の機会があるということについて、産業界に対してどのような広報をされているのかということについて教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【平尾機構長】  最初の質問だけ。有償利用の件でございますが、これは特定先端大型研究施設の共用促進に関する法律がありまして、そこで、運営費回収方式でございます。ですから、かかった運営費がございますので、それで例えば1年間にどのぐらいそれがあるかということで、どのぐらいの時間を使われたかということで、それの実費を頂くという形になっています。
【工藤委員】  それは年間のオペレーションコストという意味でしょうか。それとも、そもそもの「京」のイニシャルコストも含めた金額か。
【平尾機構長】  具体的には、1ノード1時間使うと14円53銭でございます。
【工藤委員】  その価格の計算根拠は……。
【平尾機構長】  これは1年間「京」が動いたときに、どれだけの運営費がかかるかということで……。
【工藤委員】  それはイニシャルコストは含まない、オペレーションコストだけであるということですね。
【平尾機構長】  それは入りません。運営費だけでございます。
【工藤委員】  分かりました。
【平山センター長】  それでは、2点目、3点目についてRISTからお答えいたします。まず2点目と致しましては、利用報告書と知財の関係の御質問かと思います。知財を取得するという申請をしていただきますと、利用報告書の2年間の開示延期という手続を準備しております。実際、民間企業で何社かその開示を遅らせる手続をとって特許申請をされた企業がございます。
3点目、産業利用の広報の御質問かと思います。これは募集時期になりますと、ポータルその他でいろいろと御案内を差し上げておりますし、また、いろいろな発表会、産業利用の発表会とかそういう場も活用いたしまして御案内を差し上げております。また、先ほどの報告にもございましたが、利用報告書のダウンロードがかなり進んでおりまして、日本の33業種中の24業種でダウンロードされているという点から見ても、かなりの業界において「京」の産業利用制度を認識していただけているのではないかと思います。以上です。
【工藤委員】  関連して、まず1つは、成果公開のときの公開内容の、これだけは書かなくてはならないとか、どこまでを公開内容として書かなくてはならないのかということについてというのを1つ教えていただきたいのと、もう1つは、有償利用の方に絡みまして、有償利用で使った場合には、その後テーマ名以外に公開されることは全くないという制度になっているのか。例えば10年後でも構わないので、「京」を使ったおかげでこんなすばらしい成果が出来てこんな製品が生まれましたというようなことを公開していただくというような仕組みはないのかというところについてちょっと教えていただきたい。
【平山センター長】  成果公開型の場合ですと、これは原則、成果は全部公表していただきます。それは利用報告書にそういう内容を全部開示していただくことになります。これがいわゆるオープンサイエンスの一環だと考えております。
【工藤委員】  それは実行結果を含めた開示というような形になるわけですか。
【平山センター長】  実行結果、それはどこまでかというのはいろいろあるかと思いますが。
具体的に答えていただけますか。
【木村計画推進室長】  成果公開型におきましても、ここまでの公開に抑えていただきたいという、そういう希望はあります。それは認めるという形ですね。例えば計算手法とかその辺は具体的に書いていただいて、ですが、微妙なところは書かれなくてもいいと、具体的な運用としてはそんな感じです。
【平山センター長】  あと、成果非公開といいますか、成果を占有する課題の将来的な開示ということに関しましては、今のところは、何年か後には全てをというような制度は特には設けておりません。
【工藤委員】  分かりました。ありがとうございます。
【髙井主査】  よろしいでしょうか。ほかに何か。
どうぞ。
【山田委員】  2点ほど質問させていただきたいんですが、1点は、産業利用に関して、外国との比較をちょっと出されていたんですが、なぜこの「京」コンピュータで産業利用が非常に活発に行われているかという自己分析的なことはされていますでしょうか。要するに、例えば外国においては、企業が持っているコンピュータとスーパーコンピュータ、そういうものの関係が違うんだとか、何か何らかの理由があるのかもしれません。それと、やはり「京」では非常にアウトリーチ活動というか、産業界への働き掛けが非常に強いからこういう状況になっているのかという、その辺の分析が1つ必要かなと思います。
それから、もう1つは、人材育成をいろいろ活発にやっていらっしゃるんですが、どういう人材を育成したいのかというところがちょっと見えないのかなという気がします。J-PARCとかSPring-8では、例えば中性子とか放射光の原理とかそういうものはあんまり分からなくても、自分がこういう新物質を作ったと、こういうものを知りたいんだという人はどんどん来てくださいと。じゃ、「京」では一体どういう方を例えばトライアルユースで呼び込もうとされているのかという。例えば計算機の素養がなかったらやっぱり無理だよという、そういう状況なのか、いや、自分は実験でこういうことをやっているんだけど、計算をやってこういうことが分かるんじゃないかというような人まで取り込もうとされているのか、その辺のところはどういう人材を取り込みたいのかという、その辺のところをちょっと聞かせていただけるとありがたいです。
【平山センター長】  産業利用の状況ということでございます。1つ明らかなことがございまして、少なくとも欧州におきましては、産業利用に特化した利用の体制が余りございません。欧州におきましては、産業利用といえども、アカデミアと連携をした問題解決、いわゆる何らかのブレークスルーを行うという課題を採用するような制度はございますが、日本の「京」のような、例えば成果を占有するような利用制度もございません。そういった違いが今の大きな数の開きになっているのではないかと思います。
【山田委員】  例えば本当に重要な研究開発の計算は、会社が自分でやってしまって、外にはもう出さないよというようなことが海外で起こっているようなことはないんでしょうか。
【平山センター長】  それは当然あろうかと思います。
【平尾機構長】  基本的には、「京」のパワーを最大限使ってほしいというところがございます。ですので、産業利用でも我々推奨しているのは、今のプロダクションランをやるのではなくて、5年後10年後になったときに多分各企業に今の「京」と同じぐらいのパワーを持ったマシンが入るわけですね。それで、今の間に実証研究をやってください。そのときに慌ててやるんではなくて、今からそのことをやってくださいということを常に言っています。
ですので、そういう意味では、産業界の方々もそういうことを理解して随分チャレンジングなことをやっていただいていますし、それから、自動車業界とか薬のところなんかは、業界がコンソーシアムを作っています。だから、あるところまで一緒にみんなでやりましょうと。そこから先はそれぞれの会社が競争するわけですが、あるところまではみんなで一緒にやって、こういうふうにしたら例えば新しい製品につながるとか、ブレークスルーになりますねというところまで一緒にやるというふうなコンソーシアムがいろいろな業界が出来つつあります。これは私は、「京」の出現によって産業界にとっては非常に大きなインパクトを与えているんじゃないかと思っています。
それから、人材育成の方でございますが、私どもスプリングスクールとかサマースクールをやっておりますが、これはあくまで「京」のような非常に超並列のマシンをどういうふうにしたら使いこなせるかというところが主でございます。例えば情報科学そのものの教育とか、計算機のそういう教育に関しては、これはもう大学にやっていただこうというふうなスタンスでおります。
ただ、それだけではなかなか人材育成につながらないなということを私たちも認識しまして、インターンシップ制度を導入いたしました。これは大学院生の方に夏に実際に機構の方に来ていただいて、ある研究チームに属していただいて、実際に手を動かしながらプログラムを書いたり、あるいは計算をしたりという形で、もう少し基礎的なところからスタートして研究につながっていくと、そういう形のものをやっております。ただ、人材育成というのはやっぱり非常に重たい課題ですし、大変な課題ですので、これは今、大学なんかの情報基盤センターの方々あるいは大学のそうした関連の部局とも相談しながらもっと力を入れていかないといけないなとは思っております。
【髙井主査】  じゃ。
【横山委員】  恐れ入ります。時々成果を拝見しておりますが、すばらしい御進捗本当におめでとうございます。2点、それぞれセンター長と機構長に関連することをお伺いしたいと思います。RISTの御用意されたページ17の方に、海外に対する利用促進という項目がございまして、御説明いただきました。この背景を伺いたいんですが、どのようなコンセプトで海外の利用促進を目指されているのか。アジアの中核として日本が世界的に貢献するというのは非常にすばらしいと思うんですが、その点をまずセンター長にお伺いできればと思いました。
【平山センター長】  やはり日本と致しましては、アジアを計算科学の面できちっとリードしていけるということが非常に重要な側面ではないかと考えております。また、コンソーシアムの方からも、「京」の制度が立ち上がったときに、今後のアジアの支援という視点でいろいろ考えて動くようにという宿題を実は頂いております。そういうことも併せまして、昨年はシンガポールとかそういうところに伺いまして、現地での募集説明会等を開催したりというような展開をしております。また、ベトナム辺りからも応募がございまして採択された課題もございますが、やはり現実の問題と致しましては、特にそういうところはほとんど、よくてPCクラスタレベルの計算の規模でございまして、かなりの支援をしていかないと、日本のHPCIを使うところまでは到達できない状況になっております。
【横山委員】  御苦労も多いかと思いますが、是非応援していきたいと思っております。
それとちょっと関連するんですが、機構長の方に、先ほどランキングのお話を幾つか頂きました。この「京」コンピュータのような巨大なコンピュータは、ただ単に成果を生み出すばかりでなく、その波及効果として、国際的にハードパワーとしてのコンピュータを持ち、ソフトパワーとして非常に日本の科学技術力を象徴するようなそういう存在であると思っております。ランキングというのは1つの非常に分かりやすい指標ではあるんですけれども、いろいろな国際的な場に出られて、「京」コンピュータがまさにそうした日本の科学技術力の象徴的な状態になっているようなことを経験されたようなことはございますでしょうか。
【平尾機構長】  先ほども私、お話ししましたけれども、世界ではTop500という、Linpackのベンチマークが一番有名でこれがいまだに使われているんですが、これはCPUのスピードを測る指標でございまして、20年ほど前だったらそれでよかったんですが、現在のようなああいうふうな超並列マシンでは、必ずしもスパコンの性能を測るいい指標ではないですねということが国際的にも言われているわけです。もう少し総合的な指標でやりませんかと、そうした形で新しいベンチマークなんかも次から次と出されているんですが、同時に、そうしたランキングで上位をとるということももちろん重要ですし、サイエンスの成果を出すということ、これによって本当にストロングサイエンスマシンなのかどうかという判断があるわけですので、私たちはそうした現在知られているランキングでもトップに近いところをとろうと。そして同時に、それを使って本当の成果を出す、「京」はそういうマシンであるということを世界にも訴えていますし、そういう評価が今はなされているんではないかと思っております。
【横山委員】  ありがとうございます。「京」の広報の体制も非常にすばらしくて、たくさんやっておられて、多分国際的にもっとやっていかれると、コンピュータの世界のみならず、いろいろな国際的な教育研究の現場でますます日本の中核として注目されると思いますので、是非その観点もよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
(6)その他
・今後のスケジュール等について、事務局から説明。
髙井主査より閉会を宣言。


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